【作品#0665】AVA/エヴァ(2020) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

AVA/エヴァ(原題:Ava)

【概要】

2020年のアメリカ映画
上映時間は96分

【あらすじ】

殺し屋のエヴァはサウジアラビアでドイツの将軍を心臓発作に見せかけて暗殺する予定だったが、情報ミスによりエヴァは逆に殺されそうになる。何とか逃げ切ったエヴァは上司のデュークを問い詰めるが…。

【スタッフ】

監督はテイト・テイラー
音楽はベアー・マクレアリー
撮影はスティーヴン・ゴールドブラット

【キャスト】

ジェシカ・チャスティン(エヴァ)
コリン・ファレル(サイモン)
ジョン・マルコヴィッチ(デューク)
ジーナ・デイヴィス(ボビー)
コモン(マイケル)
ジョアン・チェン(トニ)

【感想】

当初の監督はマシュー・ニュートンだったが、家庭内暴力など複数の告発を受けて降板し、テイト・テイラーが引き継いだ。

フェミニストを公言するジェシカ・チャスティンにとってアクション映画で主演するのは初めての事である(後に「355(2022)」にも出演)。設定だけで判断すると、男性キャストが主演するB級アクション映画という印象である。

本作ではエヴァの父親は母親ボビー(ジーナ・デイヴィス)を裏切ったという設定である。こちらは、ジェシカ・チャスティンが主演した「モリーズ・ゲーム(2017)」でケヴィン・コスナーが演じた彼女の父親の設定とよく似ている(こちらは匂わせ程度だったが)。

ジェシカ・チャスティンは本作で製作にも名を連ねているのだから、自らやりたかった企画であり出演なのだろう。男性キャストが今までやっていたようなB級アクション映画に女性でありフェミニストであるジェシカ・チャスティンが出演したのだからそれ自体に意味があるのだろう。さらには父親は不貞行為をしていたという設定である。はっきり言って露骨である。

本作の一番の問題点は、ジェシカ・チャスティンがあまり強そうに見えない点である。調べたところによるとジェシカ・チャスティンの身長は163cmである。そんな彼女が自分より体の大きな男相手に肉弾戦でいとも簡単に勝利するところはややリアリティに欠ける。素早い身のこなしがあるわけでも圧倒的な強さがあるわけでもない。スタント映像との組み合わせによる編集だが、時折あまり強そうに見えないカットも混在しているのは見て取れる。

それから、サイモンが送り込んだ殺し屋が夜の公園でエヴァに襲い掛かる場面。そこでは殺し屋がエヴァを捕まえ特殊警棒で殴り掛かるとエヴァも応戦し、そこで殺し屋は銃を手に取るのだが、エヴァの反撃に遭って銃は弾き飛ばされ殴り合いとなる。もし殺すだけなら最初から銃を使えば良かったはずなのに、なぜ特殊警棒を使っているのか。この手のアクション映画によく言えることだが、なぜその武器を使うのかという基本的なところを無視して、「このシーンは格闘」「このシーンは銃撃戦」みたいになっているのはどうしても気になる。ここで銃すら出てこないならまだ理解できるが、殺し屋は銃を所持している。そのうえで銃を使わないならそれなりの理由を映画内で明示すべきだろう(生け捕りを指示されているとか…)。

サイモンはエヴァを守ろうとしたデュークを殺し、その復讐がラストで繰り広げられる。どうもハイレベルの戦いという感じには見えなかった。サイモンを銃殺したエヴァが歩いていると、背後からサイモンの娘カミーユが尾行しているところで映画が終わる。カミーユがエヴァを殺してしまうのか、それとも続編を期待した演出なのか。

ジェシカ・チャスティンという人物が携わって主演したことで意味は十分に伝わった。さらには女性であっても、男性がアクション映画に主演したのと同等の扱いにしたい意図も分かる。でも、それを納得させるだけのものは見られなかった。これだったら男性との体格差を感じさせない急所を確実に狙うアクションや、武器の扱いが優れているという設定の映画にすれば良かったのにと思う。ジェシカ・チャスティンが携わって主演したからこそ意味があるのに、本作の出来だと彼女が主演した意味がなくなってしま
うような作品になっている。



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