【作品#0253】バットマン フォーエヴァー(1995) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

バットマン フォーエヴァー

 

【Podcast】

Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。


Apple Podcastsはこちら
Google Podcastsはこちら
Spotifyはこちら
Anchorはこちら
Stand FMはこちら

 

【概要】

 

1995年のアメリカ/イギリス合作映画

上映時間は122分

 

【あらすじ】

 

自分の顔を負傷する事件で自分のことを助けてくれなかったバットマンへ憎しみを抱くハービー・デントと、ブルース・ウェインの経営する会社でマインドコントロールの装置を作ったのにそのアイデアを却下してバットマンを憎むエドワードの2人は共謀することになる。

 

【スタッフ】

 

監督はジョエル・シューマカー

製作はティム・バートン

音楽はエリオット・ゴールデンサール

撮影はスティーヴン・ゴールドブラット

 

【キャスト】

 

ヴァル・キルマー(ブルース・ウェイン/バットマン)

トミー・リー・ジョーンズ(ハービー・デント/トゥー・フェイス)

ジム・キャリー(エドワード・ニグマ/リドラー)

ニコール・キッドマン(チェイス・メリディアン)

クリス・オドネル(ディック・グレイソン/ロビン)

ドリュー・バリモア(シュガー)

マイケル・ガフ(アルフレッド・ペニーワース)

 

【感想】

 

全2作品で監督を務めたティム・バートンは製作に回り、監督はジョエル・シューマカーが務め、主演のバットマンはマイケル・キートンからヴァル・キルマーへ変わるなど、スタッフやキャストを一新したシリーズ3作目は、前2作品を上回る大ヒットを記録。トゥー・フェイスを演じたトミー・リー・ジョーンズは、ジョエル・シューマカー監督作品では、「依頼人(1994)」に続けての出演となった。

 

監督のジョエル・シューマカーは全2作品のような暗くて真面目な映画を撮りたかったようだが、ワーナー・ブラザーズは明るい映画を望み、いわゆる90年代のハリウッド娯楽大作っぽい映画に仕上がっている。冒頭のアクションシーンから爆発があり、ほんの少しだが昼間のゴッサム・シティが映るなど、ティム・バートンが監督した作品とは明らかに違うテイストになっている。

 

前2作品から鑑みてもキャラクターが多い本作。トゥー・フェイス、リドラーという2人の悪役に、紅一点のチェイス、待望のシリーズ初登場ロビンと、彼らのキャラ説明やバットマンと関わる場面などを描いて、かつ話を進めるのに精いっぱいという印象は拭えない。

 

前2作品もバットマンの影は薄い作品であったが、主役を演じる俳優が変わった以上、ヴァル・キルマー演じるブルース・ウェイン/バットマンにはもう少しスポットライトを当てても良いはずだ。また、前2作品と違い、ブルース・ウェインは会社を経営しており、秘書がいて、研究所なんかもあるのに、まるでそれが当たり前のように始まるのも違和感がある。

 

それから本作は悪役が2人登場するが、どっちかだけで良かった。トゥー・フェイスとリドラーが共謀してバットマン退治をしようとする流れはよく理解できない。トゥー・フェイスはその名の通り、2つの顔を持っている訳だが、冒頭からずっと悪の一面しか見せないのであればトゥー・フェイスの意味がない。後にバットマンが助けてくれなかったせいで顔を負傷することは後にバットマンが映像を見るシーンで描かれるが、せいぜい数秒程度の描写だった。また、スパイスとシュガーと言う2人の女性を連れ歩いたり、コインの裏表で判断したりと、そのトゥー・フェイスである意味を持たせることのできる設定も、このせいでまるで生きてこない。

 

そしてエドワード・ニグマはブルース・ウェインの会社で働く従業員だが、マインドコントロールをできる発明品をブルースに却下されたことで憎しみを持つキャラクターである。そもそもなぜブルースに憧れを持っているのか、なぜマインドコントロールの機械を開発しようとしているのかがさっぱりで、それを却下されて憎んだところでただの逆恨みでしかない。悪役を2人にしたことで描写が分散し、背景や彼らが共謀する動機も丁寧に描かれず、前2作品のジョーカー、ペンギンに比べ、圧倒的に浅い悪役となってしまった。

 

また、本作はバットマンの相棒となるロビンがシリーズ3作目にして初登場となった。悪役2人の描写に加え、ロビンの誕生の物語まで描かなければならないのは大変だ。しかも、ブルース・ウェインと同じく両親を目の前で殺される設定や、それを契機に復讐に挑む過程やブルース・ウェインに諭される流れなどは明らかに説明的で駆け足だ。映画の印象を「陽」にするのに一役買っているとは思うが、本作にこのキャラクターが必要だったと思えない。

 

そして紅一点となるのが原作にはないオリジナルキャラクターのチェイスである。男ばっかりだから女も入れておけと言わんばかりの古臭い配役であると感じる。ニコール・キッドマン自体に魅力があることは紛れもない事実だが、このキャラクターも必要だっただろうか。

 

悪役2人は多いし、バットマンと対立する理由も描写不足で、演じる俳優がいくら立派でも映画の悪役として魅力がなかった。ロビンの誕生もバットマンとの共闘も必然性を感じるドラマはなく、紅一点のチェイスもわざわざ登場する理由はなかった。登場人物が多いと、描写が分散し、ドラマとして絶対に浅くなる。ティム・バートン版にはなかった爆発に頼ったような大味なアクションも退屈だった。

 

【音声解説】

 

参加者

├ジョエル・シューマカー(監督)

 

監督のジョエル・シューマカーによる単独の音声解説。作家性の強いティム・バートンから職人タイプのジョエル・シューマカーへ監督が変わったことで、どう取り組んでいったかを聞くことができる。特にジム・キャリーはべた褒めだった。

 

【関連作品】

 

バットマン(1989)」…シリーズ1作目

バットマン リターンズ(1992)」…シリーズ2作目

「バットマン フォーエヴァー(1995)」…シリーズ3作目

バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲(1997」…シリーズ4作目

バットマン ビギンズ(2005)」…ダークナイトシリーズ1作目

ダークナイト(2008)」…ダークナイトシリーズ2作目

ダークナイト ライジング(2012)」…ダークナイトシリーズ3作目

THE BATMAN-ザ・バットマン-(2022)」…リブート1作目

「キャットウーマン(2004)」…キャットウーマンを主人公にしたスピンオフ

「ジョーカー(2019)」…ジョーカーを主人公にしたスピンオフ

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

<BD>

言語
├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├ジョエル・シューマカー(監督)による音声解説

映像特典

├なぞなぞ:なぜバットマンは永遠か?
├コウモリの影 パート5:ヒーローの再構築
├バットマンの裏側
├闇の中から:バットマン フォーエヴァーの美術
├ゴッサム・シティーのいろいろな顔
├バットマン フォーエヴァーのスタント
├バットマン フォーエヴァーの特殊効果
├バットマン フォーエヴァーの音楽
├ヒーローたち
├バットマン
├ロビン
├チェイス・メリディアン博士
├悪党たち
├リドラー
├トゥー・フェイス
├未公開シーン集
├アーカムからの脱獄
├トゥー・フェイスの憎悪
├美女とバットマン
├ディックの痛み
├ブルースの悩み
├バットケーブの秘密
├終わりは?
├ミュージック・クリップ Kiss from a Rose by Seal

 

<4K Ultra HD+BD>

収録内容
├上記BDと同様

 

<DVD(4枚組)>

 

収録内容

├「バットマン(1989)」

├「バットマン リターンズ(1992)」

├「バットマン フォーエヴァー(1995)」

├「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲(1997)」