【作品#0239】ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(原題:Mission: Impossible - Rogue Nation)

 

【Podcast】

Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。


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【概要】

 

2015年のアメリカ映画

上映時間は131分

 

【あらすじ】

 

IMFのエージェントであるイーサン・ハントは、謎の犯罪組織「シンジケート」を調査するためにIMFロンドン支部を訪れるが、そこはその「シンジケート」に乗っ取られており、イーサンは拘束されてしまう。

 

【スタッフ】

 

監督/脚本はクリストファー・マッカリー

製作はトム・クルーズ/J・J・エイブラムス

音楽はジョー・クレイマー

撮影はロバート・エルスウィット

 

【キャスト】

 

トム・クルーズ(イーサン・ハント)

ジェレミ・レナー(ウィリアム・ブラント)

サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン)

レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト)

ヴィング・レイムス(ルーサー・スティッケル)

ショーン・ハリス(ソロモン・レーン)

アレック・ボールドウィン(アラン・ハンリー)

 

【感想】

 

当初は前作「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011)」のブラッド・バード監督を想定していたが断られたことで、その前作でノンクレジットながら脚本に参加し、トム・クルーズ主演の「アウトロー(2012)」の監督クリストファー・マッカリーが監督を務めたシリーズ5作目。興行成績ではシリーズ記録を更新した前作には僅かに及ばなかったものの、日本を含む世界でヒットを記録した。

 

前作でようやくチーム戦の良さを表現できるようになったと感じたが、本作はその部分が後退しているようにも見える。その理由は本作が同じスパイシリーズである「007シリーズ」の特に「007/スカイフォール(2012)」の影響を受けているからだろう。「007/スカイフォール(2012)」では、スパイが時代遅れとなり、主人公が落ちぶれてはみ出し者になってしまうが、主人公が立ち上がって活躍してその必要性を確かなものにするというものであった。そして本作もIMFが解体されることになり、主人公のイーサン・ハントがはみ出し者になってしまう。そして、彼を信じるチーム員たちが集まって人類の危機を救うという話になっている。さらには「007/カジノ・ロワイヤル(2006)」や「007/慰めの報酬(2008)」からの引用と思われる箇所もあり、その影響は大きいと思われる。

 

このような設定にした影響か、ベンジーと敵か味方か分からぬイルサこそ終始イーサンとともに行動しているが、中盤以降に合流するルーサーとブラントには見せ場らしい見せ場がなく、彼らがイーサンと協力している感じはあまり伝わってこない。そんな設定でもラストにかけてチーム戦の良さが伝わってこれば良いのだが、ルーサーとブラントは罠を作っているだけで、見せ方としてはあまりスマートには見えない。

 

そして本作のテーマは、「結局運が良かっただけじゃない?」という問いへの回答であると感じる。アバンタイトルのアクション後、ブラントが委員会で前作の作戦についてハンリーから追及を受けている場面になる。その委員会の委員長らしき男から「君たちの貢献は認めるが、運が良かっただけじゃないか」と指摘される。敵でも味方でもない第3者からの発言こそ、観客や批評家からの視点であると感じ、それをイーサンの仲間であるブラントに突きつけることで、「じゃあ運じゃなくで実力で結果を出してやる」と思わせるようにも見える。そして本作がその問いに出した答えは「結局、運要素もあって、結果論みたいなところもありました。でも面白いでしょう?」というところではないだろうか。

 

それを感じる要素は2つあって、1つはこの映画製作自体がポイントだろう。本作は大枠だけ決めて、脚本が完成する前に撮影に入っている(この製作方式は次回作「ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018)」にも引き継がれている)。やりたいアクションを優先して、設定や人物背景などは後に追加撮影の映像を入れたり、撮影終盤に登場人物を集めた場面の撮影をしてそこで状況を整理するセリフを言わせたりしているのだ。後付けで何でもできるなんてまさに結果論のような話だ(これは褒めている)。

 

そして要素の2つ目はトム・クルーズという存在だろう。20代前半でスターの仲間入りを果たしたトム・クルーズが50代になってもアクション俳優としてやっていけるかの挑戦であり、彼の行うスタントのインフレは作品ごとに上昇している。設定を後付けにしてまでアクションシーンを優先しているところに観客の求めているポイントを理解し、そしてそれを本人が演じることで緊張感、迫力、面白さをもたらしているのだろう。CGが登場して以降、それに反発するかのようにリアル路線が流行ることもあるが、トム・クルーズこそその時代の最先端を言っている人物だと感じる。シリーズ2作目「M:I-2(2000)」でも披露したバイクアクションもスピード感と言う意味では間違いなく本作に分があるし、アクションに大きな説得力がある。彼の生身のアクションこそ、結果論でも運でもない実力そのものなのだ。

 

こんな製作方式でも1本の映画として成立させるのだからそれはそれで凄いし、トム・クルーズ本人が演じる過激なアクションも見事である。チーム戦としての良さも前作並み、あるいはそれ以上に発揮できていればさらに良い作品になったとは思うが、間違いなく良作ではある。

 

【音声解説】

 

参加者

├クリストファー・マッカリー(監督)

├トム・クルーズ(イーサン・ハント役/製作)

 

上記2名による対話形式の音声解説。このコンビによる音声解説は「アウトロー(2012)」以来でもある。この音声解説を聞いていると、いかに脚本が未完成のまま撮影が進められたのかがよく分かり、それでも1本の映画として完成させるんだからそれはそれで凄い。また同時に、状況が分からないまま演技させられる俳優陣は可哀そうだなとも思う。にしてもこのコンビの信頼関係あってこそだなと思うし、映画が始まってからエンドクレジット終わる直前まで喋り続けてくれ、ちょっとした小話にはこちらも笑ってしまうほどである。音声解説でも全力で観客を楽しませようとする彼らの姿勢からも映画作りの真摯さが伝わって来る。ぜひ聞くべき音声解説。

 

【関連作品】

 

ミッション:インポッシブル」…シリーズ1作目

M:I-2(2000)」…シリーズ2作目
M:i:Ⅲ(2006)」…シリーズ3作目
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011)」…シリーズ4作目
「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015)」…シリーズ5作目

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018)」…シリーズ6作目

ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE(2023)」…シリーズ7作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

【予告編】

 

 

【配信関連】

 

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語/スウェーデン語/ドイツ語/ロシア語)

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├日本語吹き替え

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語/フランス語)

├日本語吹き替え

音声特典

├クリストファー・マッカリー(監督)、トム・クルーズ(イーサン・ハント役/製作)による音声解説

映像特典

├ストーリーの構成
├トム・クルーズ流 映画製作
├登場人物たち
├空中シーン
├水中大作戦
├カーチェイス
├ミッションは続く

 

<4K Ultra HD+BD>

 

収録内容

├上記BD+DVDと同様

 

【グッズ関連】

<ポスター>

サイズ
├68.5㎝×101.5cm