坐骨神経痛の保存療法に牽引療法があります。これは腰椎を引き伸ばして筋肉の緊張を解きほぐすことを目的とした治療法で、骨盤のあたりにベルトをかけて足の方向に文字通り牽引します。牽引にかける力は体重の半分の重さ上限として、20kg~30kgぐらいの力で引っ張ることが多いですが、もっと小さな力で引っ張る場合もあります。
ただし牽引療法による痛みの緩和効果には個人差があり、牽引療法に対して否定的な考え方をする医師も少なくありません。学術論文においても有効とするもの、有効性が実証できなかったとするものがバラけており、腰痛の症状によっても統一した見解がみられません。
どちらかと言えば、進んだ考え方をする医師ほど、牽引療法を過去のものとして捉えているようです。
これは坐骨神経痛などの腰痛に関する知識がある程度ある方なら、専門家でなくとも分かることで、牽引の仕方が間違ってしまうと、かえって筋肉の緊張が高まってしまうでしょうし、腰椎へのダメージも強く懸念されます。腰に余計な負荷をかけないで緊張をほぐす方法は、温熱療法をはじめいくらでもありますので、臨床の場で牽引療法が用いられるケースは少なくなっていくのではないでしょうか。
なお腰の牽引はにわか知識で素人でも出来てしまうものですから、坐骨神経痛の痛みをおさえるために、闇雲に牽引を行うということがないようにしていただきたいものです。万一勝手に牽引を行なって、さらに症状を悪化させてしまった場合は、放置せずにすぐ専門医に診てもらうようにしてください。(坐骨神経痛こむ)