2012年にユナイテッド航空と完全統合され
今では消えてしまったコンチネンタル航空
本部はアメリカ合衆国テキサス州ヒューストン
日本にも就航していて
アメリカ第4の航空会社を誇っていました。
ところが
1994年当時のコンチネンタル航空は
過去10年間で黒字を出したことは一度もなく
以前に2度の経営破綻の経験あり
定時到着率は最下位
手荷物紛失個数は断トツの1位
苦情件数は業界平均の3倍(2位に大幅に差をつけ堂々1位)
このように名誉ある(??)状態でした。
飛行機に乗っても時刻表はあてにならず
いつ飛ぶかもわからない
飛んでも目的地に着くかどうかわからない
着けたところで預けた荷物が出てくるかどうかわからない
目的地があり、定刻通りそこへ着きたいのであれば
コンチネンタルだけは避けた方がいい。
これがアメリカでの常識でした。
うそ~!
航空会社として当たり前のことすら望めない
こんな信じられないことが日常茶飯事
当時は5社の中堅会社が統合された寄せ集め会社で
予算がないので
寄せ集められた飛行機の色を統一することもできず
いろいろな色の飛行機が飛び
従業員同士もお互いにいがみ合っていました。
やる気のない経営陣にやる気のない従業員
信用がないから
格安にしてもチケットは売れず
飛ばせば飛ばすほど赤字
機材もサービスも最悪
こんな会社の株など誰も買うはずはなく
当時の株価はわずか2ドル
(私でも買える!)
まさに墜落寸前の飛行機状態でした。
と、そこにあらわれた救世主がゴードン・ベスーンさんです。
今までの経験を買われ意気込んできたものの
会社の惨状は想像をはるかに超えていて
何から手をつけていいかわからない有様
引き受けてしまったことを後悔して
眠れない夜が続いたそうです。
それでも
何とか無気力な会社の空気を払拭し
目標に向け一丸となれる企業文化を作りたい
その想いから生まれたのが
“Go-Forward Plan”
☆ 管理職と従業員の相互理解を図るため
役員室のドアを開けたままにして
月に一度、従業員を呼んで簡単なパーティーをした
☆ 金曜日はカジュアルデーにして
カジュアルな格好での出勤を推奨した
☆ ルールでがんじがらめだった古いマニュアルを駐車場で焼いて
従業員が自分の頭で考えて動ける「ガイドライン」を作成した
☆ 従業員と対話集会を持ち
会社の内情をオープンにして協力を仰いだ
そして大きな引き金になったのが
「定時ボーナス」です。
運輸省が毎月発表する「定時到着率ランキング」で5位以内に入れば
従業員全員に65ドルのボーナスを支給するというものでした。
そして翌月
「定期到着率ランキング」は80%で第4位
ゴードン・ベスーンさんはお給料に65ドルを上乗せするのではなく
各従業員に65ドルの小切手で渡しました。
この方が「定時ボーナス」を特別なものとして見える化できるからです。
従業員たちは、コンチネンタル航空で働くことに
「誇り」を取り戻し
生き生きと働くようになりました。
その波動はお客様や協力会社にも伝わり
2ドルだった株価も50ドルに跳ね上がりました。
1995年には過去最高の収益を達成して
最も株価が上がった会社に送られる
「ストック・オブ・ザ・イヤー」を受賞
1996年には「エアライン・オブ・ザ・イヤー」に
そして6年続けて
「アメリカの働きがいのある会社100」に
選出されました。
たった1年で見事なV字回復
大変身です!!!
ある時、「定時ボーナス」について
ある従業員がゴードン・ベスーンさんに聞きました。
「電話対応をしている人は、直接定時到着に関係ないのに
どうして定時ボーナスが受け取れるのですか。」
するとゴードン・ベスーンさんは、自分の腕時計を見せながらこう言いました。
「この腕時計が時を刻むのに
この時計の部品で一つでもいらないものはあるかね?」
心を一つにしたコンチネンタル航空でした。
(ゴードン・ベスーン著
「大逆転!コンチネンタル航空-奇跡の復活」を参照しました。)
ゴードン・ベスーンさんの偉業の根底にあるのは
勇気をもって基本に戻ったこと
それは「当たり前」に徹したことだと思います。
ただこの「徹したこと」が実に素晴らしいのではないでしょうか。
航空会社の使命である「安全」と「定時到着」という
「当たり前」に徹したこと
従業員を信頼するという「当たり前」に徹したこと
トップセールスマン1000人以上をヒアリングした結果
営業成績を上げている一番の理由は
「当たり前のことを当たり前にやっている」
だそうです。
本当に差を生むのはこの「当たり前」
なかなか難しいんですよね、これが・・・
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当たり前のことを
当たり前にやるだけ
ただし本気で
星野仙一 元プロ野球選手
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特別なことをするために
特別なことをするのではない。
特別なことをするために
ふだん通りの当たり前のことをする
イチロー 元メジャーリーガー
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今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。