ある雑居ビルでのお話

 

いつの間にか放置自転車が増えてしまったそうです。

 

そこでこのような貼り紙をしました。

 

「ここは自転車捨て場です。

ご自由にお持ち帰りください」

 

この一休さん的ブラックユーモアで

自転車放置問題は一気に解決!

 

「自転車を放置しないでください」などの貼り紙をしたら

かえって放置自転車が増えたかもしれませんよね。

 

駅や施設のトイレでも

 

「トイレは綺麗に使いましょう!」と書いてあるより

 

「いつも綺麗に使っていただきありがとうございます!」

と書いてある方が

 

なんだか、より綺麗に使いたくなりませんか。

 

これは「ナッジ理論」と呼ばれるそうです。

 

このナッジ理論は、

2017年にノーベル経済学賞を受賞した

シカゴ大学のリチャード・セイラ―教授が提唱した概念です。

 

「nudge ナッジ」とは

英語で「軽くつつく、行動を後押しする」という意味の言葉です。

 

ですから「よりその気にさせる」といった感じなのでしょうか。

 

これは、強制されるよりも

それとなくしてほしいことを伝える方が

人間は動きやすいという性質に基づいています。

 

相手に気づかれないうちに人間の心理に働きかけ

それとなく誘導する仕掛けです。

 

身近な例としては

 

コンビニやスーパーでレジの前の床にある

矢印や足跡マークを見ると

 

「こちらにお並びくださ~い!」なんて言われなくても

ちゃんと列を作って並んでますよね。

 

階段のそばにエスカレーターやエレベーターがある時

つい楽な方を選びがちですが

 

階段をピアノの鍵盤にみたて

足を乗せると実際に音が流れたり

 

「ここまで登ると○○カロリー消費!!」と書かれてあると

 

「健康のためだし、階段で行こう!!!」という気に

なっちゃうかもしれません。

 

これらもナッジ効果の一つです。

 

日本でもこのナッジ効果なる「仕掛学」をスタートされた方がいらっしゃいます。

 

大阪大学大学院経済学研究科の松村真宏教授です。

 

松村教授には『仕掛学』『人を動かす「仕掛」』

『しかけは世界を変える』などの著書があります。

 

松村教授は

 

『全て、ちょっとした仕掛けによって、自発的な行動を誘導することを

「仕掛学」の定義としています。』

 

とおっしゃっています。

 

では事例を見ていきましょう。

 

事例1

キャビネットのファイルがいつも整理整頓されてない・・・

 

う~ん、それは困った。

 

それならこれはどうですか?

 

並べたファイルボックスの背表紙に一本の線を引いてみます。

 

これで課題解決!

直線は順番通りにそろっていないと気もちが悪いもの

 

それからはきちんと並べようという意識が生まれ

「自主的な整理」ができるようになります。

 

事例2

「ローマの休日」にもでてきた「真実の口」

 

ある会社の食堂で

「真実の口」を形どった自動消毒器と普通の「消毒スタンド」を

週ごとに交互に置いたところ

 

 

最初は物珍しさもあって多くの人が

「真実の口」に手を入れて消毒していましたが

 

最終的には普通の「消毒スタンド」でも

同様に消毒を行うようになりました。

 

事例3

ゴミが散乱している光景

 

ゴミ箱の上にバスケットボールのゴールを

付けてみました。

  

効果は絶大だったそうです。

 

事例4

定時になると同じ映画のテーマ曲を

流し続けた会社がありました。

 

そして定時後に仕事を続ける社員には

申請書の提出を義務付けました。

 

その結果、定時までに仕事を終わらせる習慣がついたそうです。

 

事例5

ある病院では

日勤と夜勤の看護師さんの入れ替えが

スムーズにいかないという悩みを抱えていました。

 

そこで勤務時間に合わせて

ユニフォームの色を変える仕掛けをしたそうです。

 

そうすることで、勤務時間が終了している看護師さんが

まだ働いているという事実が一目瞭然となり

残業時間を大幅に削減できたそうです。

 

 

事例はまだまだあります。

 

日常生活のいろいろなところで

何気にだまされていることを知りました。(笑)スター

 

そんな自分が面白くて好きです。ラブラブ

 

松村教授にお願いです。

 

ワインを飲み過ぎない「仕掛学」と

 

朝早く起きれる「仕掛学」を

 

教えてください。

 

お願い致します。

 

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仕掛けには問題に気づくスキルも必要です。

 

日常生活を改めて見つめ直してみると

仕掛けが必要なことが溢れています。

 

松村真宏教授

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音譜今日もお読みいただきありがとうございました。 明日もよろしくお願いいたします。音譜