雨上がりの空に

まるで神様からのご褒美のようにふっと現れるもの。

 

そう、虹です。

 

先日、首都圏でも大きな虹がかかりました。
 

ちょうど塾の授業が始まる前のことです。

 

「あっ、虹!」

 

思わず生徒たちをガラス張りの窓際に呼びました。


みんな一斉に外を見て、

「わあ〜!」と歓声。

 

その声だけで

なんだかいい一日になりそうな気がします。

 

虹って本当に神秘的ですよね。

なんだか、神様からのメッセージのよう。
 

ふと、映画『オズの魔法使い』の

「虹の彼方に」のメロディがよぎりました。


あの歌のように、

このままどこか素敵な場所も連れて行ってくれそうな、

そんなしあわせな予感。

 

そのように虹を見上げているとき、

見つけてしまったのです。

 

「あれっ?」

 

主役の虹の外側に、もうひとつ、

うっすらと淡い光の帯が寄り添っているのを・・・

 

ダブルレインボーです。

 

「ダブルレインボーってね、

心のきれいな人にしか見えないらしいよ。

見える?」

 

冗談で言ったのに、生徒たちは間髪入れずに

 

「見える!見える!」
「先生、めっちゃ見える!」


そうだよね、みんな、ちゃんと見えてるよね。

その元気な声で、もう十分です。

 

授業を終えてスマホを見ると、

LINEに虹の写真がいくつか届いていました。

友だちからです。

 

どれも「綺麗! 」「凄い!!」という

心の声がそのままが聞こえてくるようです。

 

写真そのものももちろん嬉しいのですが、

「虹を見て私のこと思い出してくれたのかな」と思うと、

じんわりと温かい気持ちが広がります。

 

喜びを誰かに伝えたくなる瞬間。
そして、それを受け取れるというささやかな幸せ。

 

さらに次の日。

今度は見事なアーチ型の虹の写真が

別の友だちから送られてきました。
 

それはそれは美しい、半円を描く虹。

 

「友だちが送ってくれたの」

その一言に、また心がほどけます。

 

つまり、私の友だちのそのまた向こうに

知らない誰かがいるということ。


虹は空にかかるだけでなく、

人と人のあいだにも

静かに橋をかけているのかもしれません。

 

あまりに素敵だったので、
「きっといいことあるよ!」という言葉を添えて、

私も友だちや息子たちに送りました。

 

すると、ひとりからこんな返事が届きました。

 

「幸せのお裾分けありがとう!」

 

この言葉、いいなぁ、気になるなぁ・・・

 

「お裾分け」

 

もともとは、いただいたものを少し分けること。


「ほんの少しですが…」と差し出す、

あの控えめでやさしい響き。

 

「裾」というのは、衣服の端の部分。
つまり、ほんの端っこ、という意味もあるそうです。

 

でも、そこにあるのは「端っこ」ではなく、
「ほんの少しだけですけど、どうぞ」という、

やさしい遠慮とあたたかい思いやりが込められているように思います。

 

子どものころ、ご近所の方が

「ちょっと作り過ぎちゃって・・・」と

手作りのお惣菜を持ってきてくれたことを思い出します。
 

「美味しく作ったから、一緒にどうぞ!」という気持ちも

一緒に運ばれてきたのでしょう。


そんなやりとりが、

日常の中に自然にあった時代でした。

 

これも「しあわせのお裾分け」だったのでしょうね。

 

「しあわせ」って、

ひとりで抱え込むより、
誰かと分け合った方がなぜか大きくなります。

 

たとえば、ロウソクの灯。

 

真っ暗な部屋の中に

一本のロウソクが灯っているとします。

 

そこに新しいロウソクを近づけると、

もう一つ灯がともり、明るく輝き始めます。

 

では、もとのロウソクはどうなったでしょうか。

 

もとのロウソクは小さくなることはなく

そのまま燃え続けています。

 

それどころか、灯りが増えて、

周りはもっともっと明るくなります。

 

これが「お裾分け」の魔法なのかもしれません。

 

あなたの「しあわせ」を誰かに分けると、

その人の心に灯った光が

今度はあなたを照らし返してくれます。

 

笑顔もそうですし、
「ありがとう」の一言も、きっと同じです。。

 

差し出したものは、減るどころか

どこかでやさしく広がっていく。

 

そして気がつくと、思いがけない形で、

また自分の元へ戻ってきます

 

だから、「幸せのお裾分け」をするために、
特別なものはいらないのでしょう。

 

ただ一つ大切なのは、
自分の中にある「小さな幸せ」に気づくこと。

 

今日も無事に一日が過ごせたこと。
誰かとちょっと笑えたこと。
ふとした景色に心がほどけたこと。

 

それに気づけたとき、

心の中にそっと余白が生まれます。

 

その余白があるからこそ

誰かに「どうぞ」と差し出すことができるのでしょう。


その温かさが、言葉やしぐさにじんわりにじみ出ていき、

それがまた、誰かの小さな幸せに・・・

 

気がつけば、
やさしさは静かにめぐっていきます。

 

あの日の虹は、あっという間に消えてしまいました。
でも、消えなかったものもあります。

 

誰かと「きれいだね」と言い合った瞬間。
届いた写真。
交わした短い言葉。

 

それらは今も、

心の中で小さな灯としてともっています。

 

虹は、空にかかる橋。
そして、人と人をつなぐ橋。

 

今日もどこかで、誰かが空を見上げ、
ふと誰かの顔を思い浮かべるかもしれません。

 

その気持ちが、また誰かへと届いていく。

 

あなたも今日見つけた小さな幸せを、

そっと誰かに届けてみませんか。

 

きっとそれは、
思いがけないやさしさになって、

またあなたのもとへ帰ってきますから。

 

あなたの心にやわらかい虹がかかりますように・・・

 

そして、そのしあわせの裾が、

そっと誰かのもとへ届いていきますように・・・