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海と山、時々きもの

ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

8月に泊まったモンテローザ小屋。
非常に快適だったしここに至るパノラマルートは最高だったので、ここを目的地とする山旅も良いと思うくらい個人的に超お薦めの山小屋。
2025年8月時点での宿泊に関する情報を書き留めておく。

 
①宿泊予約
モンテローザ小屋の宿泊予約はオンラインで簡単に出来る。
 
今回は行かなかったけどドームヒュッテを予約したとき、自分の予約ページみたいなのにモンテローザ小屋とドーム小屋の2つの予約が表示されているので同じ所(スイス山岳クラブ?)が運営しているのかもしれない。
この点は自分の旅程を管理する上でとても便利だった。
 
ウェブサイトは英語、ドイツ語、フランス語で表示。
英語表示の場合一番上の「Reservation」を押すとカテゴリー別の宿泊料金が選べる。
幾つかのカテゴリーにある「SAC Member」というのは「スイス山岳クラブ(Swiss Alpine Club)会員」のことだと思われるので、大抵の外国人は「Non Member from 18 year old」を選択することになると思う。
 
ちなみにこの非会員(18歳以上)向けの1泊2食付きの値段は2025年時点で116スイスフラン(=11月末現在のレートで約22,500円)。
 
事前の支払いは必要ないけど、予約時にクレジットカード番号を入力する必要がある。
キャンセル料規程があるので、よく読んだ上で直前のキャンセルの場合はキャンセル料がカードから引き落とされることに注意。
 
私は今回ここに2泊した。
デュフールシュピッツェかその隣のノルデンドを往復しようと思う場合、2泊あったほうが体力に余裕はあると思う。
但し、1泊だけで、2日目にデュフールを登頂して昼過ぎに小屋に戻りそこからパノラマルートあるいはオールドルートを通ってその日のうちにローテンボーデンへ戻っている人達もちらほらいた。
 
体力に自信満々であれば1泊2日は可能であると思う(氷河を渡ってからローテンボーデンまでは基本登りなので相当疲れると思うけど)。
 
このオンライン予約システム、電話が苦手な自分にとっては予約もキャンセルもほんと簡単に出来るから大変有難かった。
キャンセルが簡単にできる、というのは山小屋側が少し心配になるけど、クレジットカード情報を入力するからNo-showの場合など普通にカードから引き落しできるの強いと思う。。。けどどうなんだろう?
色々不便なこともあるのかもしれない。
 
②受付と精算
モンテローザ小屋の受付は食堂の脇にある。
食堂があるのは1階(日本で言う2階)。
 
パノラマルートから来た場合はモンテローザ小屋のテラスに着くと思うけど、そこが食堂の階。
眺めがまーべらすなテラス。
 
食堂。ここに登山靴のまま入るのは確か駄目だった気がするけど記憶が定かではない。
テラス側からみてこの食堂の奥に受付がある。
 
テラスから外階段を降りると小屋の本来の入り口がある。
宿泊者が色んなものを干している。
 
オールドルート(Alter Weg)から登ってくるとここに出る。
 
入り口を入ったところ。
ここに貴重品以外の荷物などをおいておける。ちなみに番号は特に指定されている訳ではないので好きなところに置く。
この棚とは別に、ロープやヘルメットをかけられるフックも入り口にあって大変便利だった。
 
ここで備え付けのクロックスに履き替えて上に上がる。
ここから中は登山靴は禁止。
勿論アイゼンとかピッケルとかその他もろもろを持って上がるのも禁止。
 

 
テラス脇で受付をすると、自分の番号みたいなものを渡される。
これは食堂で注文したりするときに自分に降られた番号を言う必要があるので、番号札は常に身に着けたほうが良いと思う。
 
精算は毎日夜9時半(8時半だったかも。記憶が曖昧)。その日毎に宿泊料金やその日受付で注文した食事や買ったお土産等の精算をする。
なんで毎日精算にすんのかな、面倒くさくないのかな、と思ったけど、例えば私のような単独客がデュフールからの帰りに遭難したりした場合、本来の精算時間に現れなかったら山小屋側としては異常にすぐ気づける、という利点があったりするんだろうか。
よくわからない。
 
精算はクレジットカード可能。
但し受付可能なクレジットカードの種類があるので事前に小屋HPで確認しておいたほうが良い。
 
ちなみにこの受付の時と、夜の精算の時に翌日の朝食時間をいつにするか選べる。
朝食時間は3種類(2時、6時、7時だったと思う)から選べて、デュフールやノルデンドに行く場合は夜2時を選択する。
 
チェックアウトは8時まで。
 
③部屋
モンテローザ小屋の部屋は2階(日本の3階)と3階(日本の4階)。
受付で部屋番号を割り当てられる。私の部屋は今回2階だった。
 
ベッドは割り当てられないので早い者勝ち。私がチェックインしたのは12時頃だったので選びたい放題だった。
部屋の入り口に棚があって荷物はそこに置くこともできる。
小屋内は部屋も含めて非常にあったかく、備え付けの布団で寒いと思ったことはなかった。
冬はまた違うのかもしれないけど。
 
ちなみに消灯時間は22時か22時半(うろ覚え)で、日本と比べて非常に遅い。
後、消灯時間近くなると寝てる人もいるから静かにしようか、みたいな気遣いはこっちは皆無なので、気になる人は耳栓とかアイマスクあったほうが良いと思う。
 
④食事
 
夕食時間は18時半。
朝食時間は上でも書いたように3種類から選べる。
 
夕食は、スープ+サラダ+メイン+デザート、という構成。
後パンもついてる。
 
食堂で名前を書いた札がある席を探して、そこに座って山小屋の人が配膳してくれるのを待つスタイル。
初日の夕食のスープ。
サラダ。
生野菜が死ぬほど苦手な自分にとってこれは結構苦行だった(半分以上残してしまった、ごめんなさい)。
 
メインのパスタ。奥はソースかと思って食べたら林檎のコンポートみたいな味がして一瞬フリーズしてしまった。
これも正直日本人には量が多くて完食できなかった。すみません。。。

 

 

 

初日はここでお腹いっぱいになってしまったのでデザートは配膳の人に言ってスキップさせてもらった。
 
ちなみにベジタリアンの人は予約時に料金に1日あたり+10スイスフランすればベジタリアン用メニューが貰える。
ヨーロッパだなぁ、という感じ。
 
朝食はビュッフェ形式。
初日(というか2日目)はビュッフェ形式なのを忘れており、テーブルに置いてあるパンとジャムとコーヒーだけなのかと思ってたけど、食堂の奥にチーズなどが置いてある。
 
ちなみに雪山登山において重要なお湯。
 
お湯はない。
 
もしかしたら食堂の人に言えば特別にくれたりするのかもしれないけど、私は今回聞いていないからわからない。
その代わり、宿泊料金には温かい紅茶(甘い)が含まれていて、これは朝食時に食堂のポットでセルフで補充する形式になっている。貰える量には上限があるので注意。
 
⑤Wifi、充電
 
Wifiは無料で使える。
充電は食堂の窓近くと、0階(1階)の荷物置き場の近くにコンセントがある。
こっちは食堂の窓のコンセント。
 
こっちは荷物置き場の。
 
宿泊客が多いと結構取り合いになると思うので、不安な人はポータブルバッテリーを持ってくれば安心かもしれない。
私は持ってきたので自室で充電した。
 
⑥シャワー、トイレ
 
モンテローザ小屋の素晴らしい所は5スイスフラン払えば数分間(確か4分間だったと思う)シャワーが使える所。
夏は汗まみれになってたどり着くと思うのでこれは非常に有難かった。
 
トイレは宿泊階にもあるし、後、0階(1階)の荷物置き場の正面にも男女1個ずつある。
出発時登山靴に履き替えたけどトイレ行きたくなった、みたいな時に大変便利。
 
⑦乾燥室
 
もしかしたらあるのかもだけど、今回私がぱっとみた限り、モンテローザ小屋に室内乾燥室みたいなものはない気がした。
(小屋の人に確認した訳ではないので気になる人は要確認)。
 
宿泊階の窓にこんなサインがあるのは、きっとここに干そうとした人がたくさんいたんだろうなと予想。
 
干すなら0階(1階)の荷物置き場の所か、小屋の入り口の小テラスに干すのがいいと思う。
この入り口の小テラスは皆ありとあらゆるものを干しまくっていた(私も干しまくった)。
 
⑧客層
 
客層はいろんな人がいた。
ローテンボーデンからモンテローザ小屋往復の人、デュフールシュピッツェやノルデンドまで行く人、恐らくマルガリータ小屋から縦走してきた人、縦走していく人、いろんな層。
 
モンテローザ小屋を目的地とする人は結構ふくよかな体型の人もいたし単独行のおじ様もいた。
デュフールやノルデンドに行くと思われる人はガイドパーティかグループの人のみ。
グループの人達は、なんか両腕から首まで入れ墨入ってて日焼けして体型もシュっとしててギアも使い込んでいて如何にも「山屋です」みたいな圧倒的オーラを放っている人達が多かった。
 
単独は私だけ。
2日目の朝2時に朝食を取ってた中でソロは私だけで場違い感が半端なく(被害妄想)、「え、このヘタレチキンそうなアジア人ハイカーひとりでデュフールかノルデンド行くのマジか」みたいな視線を感じた(被害妄想×∞)。
 
…というのは被害妄想にしても、少なくともデュフールかノルデンドに行くにあたって単独はあまりお薦めされないな、というのは今回行ってみて思った。これは改めて書く。
 
マルガリータ縦走組ははっきり確認した訳ではないけどグループが多い印象。
 
 
。。。モンテローザ小屋についての覚書、こんなところだろうか。
もしまた何か重要なことを思い出したら書き足すかもしれない。
 
もう1回挑戦したとしても私はデュフールの頂上までたどり着ける気がしないけど、モンテローザ小屋に至るまでのルート上の景色と小屋からの眺めが素晴らしすぎて、モンテローザ小屋に泊まるためだけにでもまた行きたいなぁと思う。

 
 
先週はパリに行き今週はドイツ方面に出張していた。
出発日の朝は今年初雪で、出張先の方が暖かいように感じた(と思ったけど翌日は0℃にまで下がった)。
 
当地でも思うし先週のパリ出張でも思ったんだけど、なんか、名刺を出すと「名刺ないんだよね」と返されることが増えている気がする。
 
10年前のパリでは多少あったけど、今回の駐在では結構な頻度で名刺を貰えないことが多い。
営業部署の人とかそういう業種(?)の会社の人は勿論持っているんだけど、内勤メインの部署の人と会う時かなりの確率で「名刺ないんだよね」と言われる。
部長レベルくらいの人なら持ってるんだけど、課長以下くらいになるとない人が多い。
 
今回も、同業種の人達数人(割と若手)と会ったときに名刺を渡したら「ごめんね。名刺ないんだ。去年廃止になったんだよね。申請すれば貰えるらしいけど」と言われた。
 
これは、
 
①単に私が名刺を渡す価値がないと思われている、
②本当に名刺を持っていない
 
の2つの可能性があって、疑り深い私はこれまで①かなと思ってたんだけど、なんか最近本当に②な気もしてきた。
 
日本だったら考えられない気がするんだけど。。。でもこっちでの名刺って日本程重くないのでもしかしたらほんとにないのかもしれない。
 
こっちでの名刺がどのくらい「軽い」かというと、まず日本みたいに出会ったらお互いに列をなして相対し、お辞儀をしつつ自分の名刺を差し出し相手の名刺を恭しく受け取る(相手の名刺を自分のよりやや上に捧げ持つよう手の角度に注意)、みたいな開始の儀式はない。
 
出会ったら握手しするっと着席、着席したところで名刺を「これ僕/私の名刺ね」でぽいぽいっと相手の前に置く、で名刺交換の儀終了。
カードホルダーの上に相手の名刺を絶妙なバランスで載せる(載らない場合は上に並べる)、みたいなのも勿論ない。
 
日本で若い頃名刺を忘れたり相手の人数が想定より多すぎて挨拶の途中でなくなっ足りしたときはもう切腹するしかないと思うくらい焦ったりしたけど、懐かしい。
 
扱いが軽いのは安心する反面、なんかもやもやする気持ちもある。
アポ取りは全部秘書さんがやってくれるので、名刺をもらって面談後にお礼のメールを投げてそれでそこから交流が始まる、みたいなのがないと今後も秘書さん経由のやり取りに終わってしまう可能性がある。
それはちょっと焦るというかわざわざ対面で出張にいった意味が5%くらいなくなる気がするというか。。。まぁでもこっちではそういうものは求められていない、ドライな関係で良い、ということなのかもしれない。
…まぁ、もしくはやっぱり「おまえとは直接やり取りする気はないよ」という意思表示なのかもしれない。
 
ちょっともやもやしながら出張終了。
 
帰りに会社へのお土産を買いにデパートに寄ったらシュトーレンコーナーがあった。
これ全部シュトーレン。
 
さすがドイツ。
 
日本にいた頃はダロワイヨのシュトーレンが好きだった。
なんでフランスのダロワイヨが日本でドイツのクリスマス菓子であるシュトーレン売っているのかは謎だけど。
外側のさっくり感と中のしっとり感の塩梅が個人的に丁度良かった。
 
マジパン入りのシュトーレン。
確かダロワイヨのシュトーレンも中にマジパン入っていた気がする。
 
個人的にマジパンという存在が非常に苦手(マジパンごめん)なんだけどダロワイヨのシュトーレンの中に入っている奴は普通に許容できるというか気にならないというか好き。
 
売り場で手にとってみてあまりの重さに一瞬気が引けたけど、クリスマス時期にドイツくることなんてこの先もうきっとないし、と思って自分用に1つ買って帰った。
これはマジパンは入っていない奴。
 
今朝一切れ試してみた。
ダロワイヨのが私の中では不動の一位ではあるけどこれも思ったよりはおいしいというか普通においしくはある。
 
10月11月と結構忙しいというか色んなことがいっぱいいっぱいで疲れた。
今回の出張報告が一段落したら年内はもう大きい仕事はないはずないので、一息つきたい。
スイスの山旅記録の途中だったのに気づけば1か月も空いてしまった。
 
言い訳をすると、スペインの時のように「思い出すと頭が…」という負の記憶だから、というわけではない。
8月のあの山旅の中でもモンテローザ小屋からデュフールシュピッツェ(の途中)までの旅はものすごく記憶に残る旅だった。
 
書きたいことはたくさんある。
モンテローザ小屋の快適さ、勝手に感じていたアウェー感、小屋でドイツ人の人と話した単独行について、真夜中の出発で今まで一番出発を迷ったこと、真っ暗な岩場と氷河の緊張感、氷河を抜けた時の安堵…etc.
 
うまく纏めたいなあと迷っていたら仕事の忙しさもあって今に至る…という以上言い訳。
 
11月終わりになればちょっとは落ち着く。。。はずなのできちんと書きたい。
 
少しだけ近況報告を記録しておくと先週はパリに出張に行っていた。
 
久しぶりのパレロワイヤル(の中庭)。
 
仕事終わりにパレロワイヤルの中にある靴屋に寄って女性の店員さんに目当ての靴をお願いしてソファで待っていたら、若い男性店員さんに「〇〇(私が今住んでいる街の名前)から来たの?」と問われた。
私が女性店員さんとの会話で〇〇に住んでいると言ったのを聞いていたらしい。
 
そうです、と言うと「僕は△△(私が今住んでいる国の南部地方の名前)出身なんだ。〇〇って聞こえて嬉しくなって」と言われて私もちょっと嬉しくなった。
それくらいには今住んでいる国&街に愛着はある。
 
いつからパリに住んでいるんですか、と訊いたら「3年前だよ」とのこと。
「シドニーやバルセロナに住んだ。で、3年前からパリなんだ。パリに住むのが夢だったんだよ」と目をきらきらさせて言う若者。
 
へー。
 
パリへの憧れというかパリの偶像化って非欧州人が持つ感情かと思っていたけど欧州内というか隣の国の人でもそう思うんや。。。なんかちょっと意外。
別に普通に週末日帰りできる距離だけどな。。。と思ったけどファッション業界で働く人にとってはやっぱりパリに住むっていう事は特別な憧れがあるんだろうか。
(アントワープでは駄目なのか。。。)
 
 
私は文化的素養もないしファッションにも特段興味ないので住むなら今の街がいいかな、と心の中で思った。
観光客で混んでないし、大体の場所で英語が通じるし、治安も悪いけどパリに比べればましだし、小さいからどこに行くにも便利だ。
 
但しおいしいものや日本食が充実している、という点ではパリに対してちょっと羨ましいなとは思う。
 
今回はパリで絶対に行きたいと思っていたとらやに寄った。
出張中はパン屋で購入したバゲットサンドで命をつないでいたのでこれが唯一の外食。
炊き混みご飯セットは売り切れていたので、お汁粉と生菓子とあずき茶を頼んだ。
 
和菓子、最高~~~~。
 
1年ぶりくらいのあんこが細胞の隅々に染みた。
 
お汁粉をちびちびやりながら、そういえばちょっと前に、「日本からの出張の手土産に〇〇〇の羊羹を持ってくる奴は気が利かない」(うろ覚えだけどたぶんこんなニュアンス)という多方面に失礼なポストをして炎上した人がいる、と同僚に聞いて爆笑したことを思い出した。
(爆笑した後、自分が出張時に持っていくお土産を悩んだりする気持ちを思い出してちょっと切なくもなった)
 
あんな重いものわざわざ持ってきてくれる気持ちが嬉しいし、というかそれ以前に仕事で大変なのにお土産持ってきてくれるという気持ち自体が嬉しいし、貰い物に対してケチつけようとする神経がわからん。。。
こんなにおいしいのにな。。。あんこが大好きな性質に生まれて良かった。
 
ちなみにポストした人は当地在住みたいな事を書いていたらしいけど、たぶん違う。
 
どうせ嘘をつくならそれこそパリ住み、という設定にでもしておけば良かったのに何故にわざわざこの日本人が非常に少ない陸の孤島みたいな街を創作の場所として選んだんだろうか、、、
 
と改めて謎に思いを馳せながらあんこを隅々まで堪能してパリ出張、終了。
 
人の多さと仕事の疲れで帰宅後の週末は2日寝込んだ。

ツェルマット(&サースフェー)山旅5日目。

翌日の行程に対する緊張のあまり殆ど寝られないまま5時過ぎに起床。


前日にチェックアウトの手続きを済ませておいたので無人のフロントに鍵を返却し、朝一のゴルナグラート鉄道に乗るために駅に向かう。

この日の予定はツェルマットからモンテローザ小屋への移動のみなのでそんなに早く出る必要はないかも、と思ったけど、ローテンボーデンからモンテローザ小屋までのコースタイム4時間は自分には絶対無理(たぶん6時間はかかる)と思ったし、あまりにも日中暑いので早く出て早く小屋に着いておきたかった。

朝一の鉄道、結構並ぶかと思ったけど思ったほどではなかった。

チケットは前日にオンラインでローテンボーデンまでの片道を購入済。


確かお薦めは進行方向右側(だった気がするけど違うかも)、と聞いた気がするので右側に陣取る。


車窓からの景色は素晴らしい。


素晴らしいと思うけど、明日の行程に対する不安と、そもそも今日無事にモンテローザ小屋にたどり着けるのかという不安であんまり景色が身に入ってこない。

 

一応モンテローザ小屋のHPから紙地図はダウンロードしているし、ローテンボーデンから小屋までのルートは氷河さえ迷わなければ目印のペンキがあるはずだし、その氷河も一応目印のポールがたっていると小屋のHPには書いてあったけど。。。
ただ、鉄道&バスのツェルマットーサースフェー間の移動だけでも結構疲れていたのに同じ全荷物を背負っての徒歩4時間以上の行程をこなせるのだろうか。

不安を抱えながらローテンボーデンで下車。
駅の近くにトイレがあって助かった。


トイレを済ませて、ちょっと坂を下り、この標識の下に重いザックをデポ。

 

せっかくなのでリッフェルゼーの逆さマッターホルンを見にいく。


早朝だから湖面も静かでよく見えた。


きれいだけど、今日と明日に対する不安で気もそぞろ。
もう行かねば。。。


荷物を背負い直して、「モンテローザヒュッテ」の標識がさす方角へ一人歩き出す。
この日の朝一便で降りた人達のうちこちらに来る人は私一人だった。


誰もいない、と思って歩いていたらローテンボーデンを出発して間もないころに2人組とすれ違ってびびったんだけど、この人達はどこから来たのだろう?
ゴルナグラート駅から降りてきたんだろうか?モンテローザ小屋から来たとすると夜明け前に小屋を出発して暗闇の中岩場を歩いてきたことになるけど。。。謎だ。

 

ちなみに私はコミュ障で山の中で人とすれ違ってもよっぽどのことがない限り話しかけたりはしないので、山行中に謎だと思ったことは大抵謎のまま終わる。

後ろを振り返るとマッターホルン。


前には氷河。

そして周りには誰もいない。最高。

この辺りで前日からの緊張がちょっと和らいできて、この最高の景色を独り占めできる喜びがじわじわ湧いてきた。

氷河歩きはちょっと緊張するけど。。。

景色最高や。。。これが見られただけでも来たかいがあった。


うきうきで歩いていたら視界の端で何かが動いてびっくりした。

 

あまりにも巨大で一瞬たぬきかと思ったマーモット。


最高の景色に加えてマーモットも見られた幸運に気分が上がる。

 

途中でゴルナグラートとの分岐があった。だいぶすごい傾斜だったけど。。。間違っても登りで使いたくはない。


ちなみに1つ不思議なことがあって、yamapでの位置情報は使っている時はこんな感じで大まかな位置情報しか出ず登山道は表示されない。


と思ってたんだけど後からyamapのログを見返すと登山道らしきものが表示されている。


これは私はプレミアム会員じゃないから登山道がリアルタイムで表示されないんだろうか?

それとも使い方が悪くて見逃しているだけ?

私には紙地図を読むスキルがないので、リアルタイムでyamapの地図上にこの登山道が見えていればこの翌日のデュフールに向けたルートファインディングはもう少し楽だったのかな、と思ったりした(それじゃだめだと自分でもわかっているけど)。

という疑問は後から湧いてきたもので、この時はただ、粛々と登山道を歩いていた。
ローテンボーデンから氷河までは迷うことはないと思う。


だいぶ平べったくなってきて池塘っぽいものがぽつぽつ見えてきた辺り。


 

この辺りに標識があって、モンテローザヒュッテ、3時間、とある。


こっちはモンテローザヒュッテ(オールドルート)3時間15分、の標識。


この標識の辺りでちょっと大休憩を取った。


ローテンボーデンからモンテローザ小屋まではパノラマルートとオールドルート(Alter weg)の2種類あり、一応2025年時点でモンテローザヒュッテのHPではパノラマルートの方が(recommended variation)の表示が出ていたので私はパノラマルートを選択した。

ただこのrecommended variationの意味について、私はヒュッテが「こっちの道がお薦めやで」と言っているのだと解釈したんだけど、もしかしたらそれは私の英語力が低い故の誤解で、「この道を行くにはバリエーション行けるくらいのレベルを持っとくことをお薦めします」ということなのかもしれない。謎。

今回私は行き帰りともにパノラマルートを使ったけど、行きパノラマルート帰りオールドルート、としている人達も結構見かけた。
ただ、オールドルートの氷河上の標識はちょっとわかりにくい、という記録も見かけたので注意が必要かもしれない。

休憩後、出発。

向こうにモンテローザ小屋(宇宙船)が見える。

 

池塘を過ぎ

 

お花にちょっと癒され、

 

ひたすら歩いていたら、今まで見下ろすばかりだった氷河が視線の高さと同じくらいに見えてきた。


どこら辺から取りつけばいいのかな、とちょっとドキドキしていたけど、恐らくここかな、というポールがある辺りで氷河に乗り移る。


氷河の取りつきには垂直のハシゴがあると色んな記録で読んで楽しみにしていたので何にもなくてちょっと拍子抜けした。
これは私の下調べ不足で、恐らくあの有名なハシゴがあるのはオールドルートなんだと思う。
ヒュッテのHPにもオールドルートの方は氷河の入り口に「15mのハシゴ」と書いてあるし(でもclimbing "up" a 15 m ladderってあるんだけど降りるんじゃないのか?謎だ)

いよいよ楽しみでもありこの日最大の不安でもあった氷河歩きが始まる。ドキドキする。


取りつきの手前でアイゼンを装着し、一応ピッケルをザックから外して背中に挟み、そのまま普通に歩いて氷河に乗り移る。落石がすごい。


一応氷河上にこういうポールがたっている。なのでそのポールを探しながら歩く。

 

これは昔の落石が残っているのか今でも後ろの山から落石が続いているのか。

 

私は行きはヘルメットは装着しなかったんだけど、帰りはこの落石がちょっと怖かったのでヘルメットをして氷河を渡った。
まぁ、この後ろの山からの落石なのだとしたらヘルメットごときじゃ衝撃を吸収しきれないと思うけど。。。一応気休めに。

氷河を数m歩いて思ったのは、

意外と固い、

という感想。

なんか、雪面というよりは氷面に近い。

まぁ、考えてみれば「氷」河なので氷に近い強度なのは当たり前なんだけど。

暑さで氷河の上に川が流れているほどだったので、たぶん少しは硬さも緩んでいるんだろうけどそれでも想像の数百倍固い。

 

アイゼンの爪があんまりきちんと刺さっている感じがしなくて、非常に心もとない、と思った。


あちこちに水が流れたりその水が溜まっていたりしてきれいだった。

 

遥か後ろにマッターホルン。


クレバスはあるにはあるけど、まぁこれくらい別に怖くはないな、と思っていた。

 

甘かった。

進むにつれて、当初大したことないやん、と思っていたクレバスがどんどんでかくなってくる。

 

こわ。。。


ポールがあっちにあるということは、クレバスをどこかで横断する必要があるということ。


しかし足もとはアイゼンがあんまり刺さっている感じがしなくて下手するとつるっと隙間に吸い込まれてしまいそうでちょっと怖い。。。


何か所かクレバスを渡ったけど、1か所、幅は大したことないけど向こう岸(?)が数10㎝高かったためにどうしてもそのままぽんと飛び越えられなくて、先にザックを向こう岸にあげてから、ピッケル突き刺してよいしょ、と乗り越えたところもあった。


クレバス、結構怖いね、、、とこの辺りから思い始める。


これはクレバスに挟まったこの岩をつたいながら乗り越えるんだけど、足つるっと滑らせたらそのまま奈落の底にグッバイすると思われる所で、最初は(まじでこれ進むんか??)となった。

 

ポールの指し示す通りに進んだら多分これが正規ルートだと思うので私は行き帰りともにここを通ったけど、帰りはこれを巻いて違う所から進んでいた人達も見かけたので、ポールを目印に自分が正しいと思う、自分にとって渡れそうな道を行くしかないと思う。

 

クレバスだらけの氷河。

 

氷河上でポールを探しながら1時間程歩いたらようやく氷河終わりが見えてくる。


ここ↑も結構こわいなと思ったポイント。

何が怖いって、この雪面というか氷の面は斜めっていて、さっきも書いたようにアイゼンはあんまりしっかり刺さっている感じがしない。
何かのはずみに足滑らせたらそのまま左に滑ってクレバスの隙間にグッバイ、だと思う。

 

一応ピッケルも手に持っていたけど、これ万が一クレバスの隙間に落ちても氷面が固すぎてピッケルやアイゼンではとてもじゃないけど滑落を止められないだろうな、という気がした。

クレバスは狭いところもあればこんな巨大なところもある。


ようやく氷河が終わってさてどこへ行くべきだろう、と思ったけど、地図とポール目印からすると恐らくこの岩場を上がるべきっぽい。



見るからにツルツルっぽいなぁ、と思ったら案の定滑ってこけ、右手の薬指に軽く穴が開いた(ここでもグローブは無事だったけどその下の皮膚をやられた。布って強い)。
ただでさえ右手の小指ちゃんがうまく曲がらないのにここで薬指くんにもダメージ入るの痛い。


振り返って氷河を眺める。滝みたいで面白い。


本来の氷河の取りつき(ローテンボーデンからくる場合は氷河の終わり)はここからもう少し先にあるんだけど、帰りはここに先人の切ったステップがついていたので私はここからピッケル刺し刺し氷河に上がった。

 

ここからは青白青のペンキ、あるいは青〇のペンキを目印に進む。


ローテンボーデンからモンテローザ小屋に来る場合はそこまで迷うようなところはないと思う。
道がわかりにくいな、と思ったのは2か所くらい。

但し帰りは道迷いをしてしまい、個人的にモンテローザ小屋→ローテンボーデンは結構道を見失いやすいように思った。

モンテローザ小屋まではほんのもう少しに見える。。。
湖の上、写真上の中央辺りに宇宙船が見える。

こう見るとめちゃくちゃ近いんだけど、ここからが遠かった。。。。

私はここでばてまくり、結局後の電車で来たであろう人達2組くらいに抜かされた。。。


岩場を進むのは楽しいんだけど。。。

 

進んでも進んでも岩場だし。。。


ちょっと足もと悪いところもあるし。。。

何より暑い。。。


モンテローザ小屋は近いようで遠い。。。(この尾根超えたら小屋があるんじゃないかな)というのを10回くらい思った(つまり10回くらい尾根を越えて岩場をトラバースした)。

渡渉箇所も大きいところは1か所だったけど、ちょこまかと流れを横切る所があった。

危険な所はそんなにないと思う。
ちょっとつるつるで怖いなと思うようなところにはこうやって金属ステップつけてくれているし。


ヤバい所にはこうしてちゃんとハシゴもかけてくれている。


しかしあまりにも暑くて氷河終わりからの岩場のトラバース路が長くて、最後の方は無になりながら歩いた。


最後の方は写真を撮る気力もなくし、何とかひねり出した気力でこれを撮ったときもたぶん虚無の気持ちだった。


最後干からびたみみずみたいになりながらようやく、モンテローザ小屋到着。


正確な時間は図ってないけど、たぶん6時間はかかったんじゃないかなと思う。

今回の山旅の主目的デュフールシュピッツェ(Dufourspitze)。

標高は4634m。
スイス・イタリア最高峰で、ヨーロッパではモンブランに次いで高い山らしい。

そもそも何故このたぶん特に日本人にとってはマイナーと思われる山に登りたくなったのか、実はあんまりよく覚えていない。

メンヒに登ることを決めてYoutubeでメンヒを検索しまくっていたらYoutube君に「こんな山もあるで」とお薦めされたからだった気もするし、

モンブラン三山縦走ルートは疲れそうで嫌だな、他の山ないかな→マルゲリータ小屋でマルゲリータピザ食べるの面白そう→マルゲリータ小屋はモンテローザという所にあるらしい、で「モンテローザ 山小屋」で検索したらモンテローザ小屋がヒットしたからだった気もする。

よく覚えていない。

で、メンヒと同じくYoutubeで動画を見ていたらマルゲリータ小屋に行くよりもモンテローザ小屋経由でデュフールシュピッツェに行くルートの方が楽しそうに見えて登りたくなった。

デュフールシュピッツェに心惹かれた理由は主に2つある。

①デュフールシュピッツェへのルート

心惹かれた理由の1つ目はルートが多様で楽しそうだったこと。

ルートはこのスイスアルパインクラブの地図を参照。
SAC Route Portal | Swiss Alpine Club SAC

ツェルマットからデュフールシュピッツェまでのルートを2分割すると、

ツェルマットーモンテローザ小屋
モンテローザ小屋ーデュフールシュピッツェ

に分けられる。

* Youtube動画の中にはモンテローザ小屋ではなく小屋のもう少し上でテント泊している記録もあったけど、この地域でテント泊が許可されているかは事前に確認したほうが良いと思う。


ツェルマットからモンテローザ小屋に行くには途中で氷河(たぶんゴルナグラート氷河)を横断する。
この氷河歩きをやってみたいなと思ったし、その後もどちらかというと岩場寄りのルート(でもクライミングはない)なのが楽しそうに見えた。

氷河横断は不安だけど、モンテローザ小屋のウェブサイトによると一応ゴルナグラート氷河上にポールの目印はあるらしい。

 【注】2025年時点。毎年あるのかどうかはわからない。後、私が今回使ったパノラマルートのゴルナグラート氷河上の目印は明瞭だったけど、オールドルートは氷河上の目印がわかりにくい、という記録も見た。

モンテローザ小屋からデュフールシュピッツェへのルートもバラエティに富んでいる。

まず、真夜中に出発して暗闇の中岩場を歩く。
岩場の後はクレバスだらけの氷河(たぶんモンテローザ氷河)を歩く。
氷河の後は雪原を登る。
雪原を登って尾根に取りついたらそこから最後、岩と雪のリッジを登り上げて頂上に着く。

頂上からは、来た道を引き返すルートと、隣のノルトエンド(Nordend)との間を懸垂下降して降りる2択がある。

私が参照した日本語の記録3つのうち2つは懸垂下降ルート、1つは往復ルートを選んでいた。

Youtubeの動画だと体感、往復ルートの方が多いかな、という感じ。

岩場+氷河+岩雪稜+懸垂下降、めっちゃ楽しそう、と思った。

ちなみにモンテローザ小屋からデュフールシュピッツェはスイスアルパインクラブの上記ウェブサイトによれば標高差1750m、時間は7-8時間。
ヤマレコによれば登りは5-7時間らしいけど、たぶん5時間で行けるのはスーパーサイヤ人だけでは?と思う。
モンテローザ/ディフイールシュピッツェ|最新の山行記録と登山ルートやアクセス、気象状況など-ヤマレコ

②モンテローザ小屋

デュフールシュピッツェに心惹かれた理由の2つ目、モンテローザ小屋。
2009年に出来た小屋で、色々ハイテクな技術を駆使して作られた小屋らしい。。。

Monte Rosa Hut (English)

技術は素人のような私には(なんかすごいんだな。。。)ということしかわからず、単純に

見た目がカッコいい。

というのが泊まってみたかった理由。
 

以上の理由でデュフールシュピッツェを目的地に選んだものの、不安は山のようにあった。

一番大きかったのは、ルートファインディング。

まず、デュフールシュピッツェに行くにはモンテローザ小屋を夜中2時‐3時に出発して、最初は岩場、その後は氷河を超える必要がある。

2-3時に出発する=真っ暗な中でヘッデンの明かりだけでこれをやる必要がある。

動画を色々見ても、大体の動画は当たり前だけど明るくなってからの雪原歩きくらいから始まっており、肝心の一番怖そうな岩場と氷河をどう超えるのかのヒントが全然ない。
(暗い中で始まる動画もあるけどヘッデンの明かりしか見えてないのでルートの参考にはならない)。

日本でいつも使っていたyamapは使えない。
地図は紙地図を一応SACの上記のウェブサイト掲載地図を打ち出したけど、これとコンパスのみで真っ暗な中、岩場やクレバスだらけの氷河をひとりで超えていけるのかすごく不安だった。

ゴルナグラート氷河上にはポールの目印があるらしいけどモンテローザ氷河上に目印はあるんだろうか?(結論から言えばなかった)。

後、頂上から懸垂下降した場合、トレースがあればいいけどトレースがなかった場合にクレヴァスにおびえながら雪面を一人で戻ることができるのだろうか、という不安も大きかった。

2つ目の不安は体力。

モンテローザ小屋からデュフールシュピッツェまでは標高差1750m、7-8時間。
こちらのコースタイムは私にはきついので私は恐らくもっとかかる。
そして下りも加えると恐らく往復には12時間以上はかかるだろう。

私のアイゼンを付けての雪山での最長行動時間は2年前のGWに七倉山荘から烏帽子小屋付近まで登った6時間。

あの時はばてばてでテントに入ってどら焼き齧りながら寝落ちするぐらい疲れていたのに、登りだけで8時間、そして全部で12時間以上の行程をこなせるのだろうか。

3つ目の不安は、頂上直前、最後の岩と雪のリッジ。

これはyoutube動画を色々見ていて、(これくらいなら行けそうじゃない?)という根拠なき自信と(いやこれ無理。落ちたら死ぬ)という不安が交互に来た。

メンヒで落ちてからは若干不安の方が大きくなった。
メンヒで落ちた時は軽傷で済んだ(そういえば突き指だと思ってた小指はたぶん骨が逝かれてるんだけどそれはまた別途書く)。
でもデュフールのここで落ちたら軽傷では済まない。たぶん99.9%死ぬ。

少しでも怖い危ないと思ったらそこを頂上にして引き返せばいいか、とも思っていたけど、一番怖いのは行けると思って行ったはいいものの引き返せなくなった時。
引き返せない場合はノルデンドとのコルを懸垂下降するルートしかないんだけど、そうするとさっきも書いたように下降の後クレバス帯でルートファインディングできるのか、という別問題が発生する。


デュフールシュピッツェ、面白そうなルートだったけど不安はたくさんあった。

そして結局頂上には全くたどりつけなかったんだけど、ここを選んで本当に良かったと思っている。

不安が大きかった分、充実した、忘れられない旅になった。