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海と山、時々きもの

ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

7月にイタリアのマルゲリータ小屋にピザを食べに行った記録。

 

今回マルゲリータ小屋を目的地に選んだのは夏山の目的地をどこにしようかな、と色々探していた時にYoutubeのFTの”The ultimate escape: a pilgrimage to Europe’s highest hotel"という動画を見ていて

 

マルゲリータ小屋ってピッツァマルゲリータあるんだ。へー。

 

…。

 

…マルゲリータ小屋でピッツァマルゲリータ食べるの、なんかおもろ

 

と勝手に一人でうけてマルゲリータ小屋を目的地に設定した。

(単に小屋もピザも同じ王妃に由来してるだけなので、冷静に考えると別に何もおもろくはない)

 

マルゲリータ小屋にこれまで興味を持ったことはあった。

特に去年デュフールシュピッツェを目指した旅でモンテローザ小屋とマルゲリータ小屋をつなぐルートがあると知り、行ってみたいな、と思って帰ってきてから色々ルートを調べたりした。

ただ、マルゲリータ小屋とデュフールシュピッツェ間のリッジは私のような鈍くさい奴が1人で行ったら滑落死確実のルートに見えたし、マルゲリータ小屋とモンテローザ小屋を直接つなぐルートは氷河横断があり英語では記録があまり見つけられず1人で行けるような氷河かわからないのが怖かったので断念。

 

イタリア側から直接登るルートはなんか最近の日本語の記録があんまり見つけられず、アクセス方法もよくわからなかった。

日本語の記録は出発地点がチェルビニア(どこ?)だったり、シャモニーからガイドの車で国境超えてたりするし、youtubeの英語の登山記録をみると出発地点はAosta(どこ?)だったりStaffal(どこ?)だったりGressoney(どこ?)だったりAlagna(どこ?)だったりして本当によくわからなかったので、面倒くさくて一度は断念した。

 

今回、ピザ食べに行こう、と決めてから改めて色々調べた結果、私のように公共交通機関でアクセスするには空路でミラノ入りし、電車とバスを乗り継いでAlagnaを目指しそこからケーブルカーでアクセスするのが一番楽そうだな、と思った。

 

というわけで今回の旅程はこれ

 

1日目:ポテト王国ーミラノーアラーニャ

2日目:アラーニャープンタインドレン駅ーニフェッティ小屋

3日目:ニフェッティ小屋ーマルゲリータ小屋

4日目:マルゲリータ小屋ープンタインドレン駅ーアラーニャ

5日目:アラーニャーミラノーポテト王国

 

今回は仕事の関係で結構タイトな日程になってしまい高度順応日を設けていない。

ほんとはニフェッティ小屋で2泊くらいするのが高山病対策として望ましいらしいけど私の計画では1泊しか取れなかったので、今回行く前の一番の不安は高山病になったらどうしよう、というものだった。

2番目の不安は、そもそもミラノ空港から未知の土地アラーニャにたどり着けるのか、というもの。

 

【コースタイムと実際の所要時間】

 

2日目から4日目の山旅の標準コースタイムはAlagna地方や小屋のウェブサイトや動画を参照すると大体以下の通り。

 

プンタインドレン駅ーニフェッティ小屋:1.5時間

ニフェッティ小屋ーマルゲリータ小屋:5時間

 

私(千年に一度のヘタレ)の実際の所要時間は以下の通り:

 

プンタインドレン駅ーニフェッティ小屋:2時間

ニフェッティ小屋ーマルゲリータ小屋:6時間

 

ちなみにアラーニャからプンタインドレン駅まではゴンドラ/ケーブルカーを3つ(乗り換え2回)乗る必要があり、ケーブルカーは待ち時間が発生したりするので、時間は多めに見ておいた方が良いかもしれない。

私が初日アラーニャで立ち上げたYamapのログは初日の所要時間は4時間になっている(小屋到着後すぐに切らなかったのでそのせいもあるかもしれないけど)。

 

 

 

【ルートの感想】

 

今回のルートについて事前に色々Youtubeの動画で予習して、大体は想定通りだなと思ったけど、一つ大きく想定外だったのは、

 

クレバスの状態がめっちゃ悪い

 

ということだった。

悪いというか、結構心細いクレバスが多いというか。

 

プンタインドレン駅からニフェッティ小屋までは軽い氷河を2回渡るだけで基本は岩場を歩いていればつく。

ニフェッティ小屋からマルゲリータ小屋までクレバス地帯が多いのはわかっていたけど、クレバスが予想より「これ渡って大丈夫か」と思うものが多かった。

 

トレースはついてるんだけど、このスノーブリッジは私の体重に耐えられるんだろうか、と思ったクレバス。

(不安だったので巻いた)

 
これはまぁ大丈夫そうに見えるけど1か月後とかには渡りたくないな、と思ったクレバス。

 
これも自分は大丈夫だと思ったけど、先行していたチェコからのパーティが「一人で大丈夫?」と聞いてきたクレバス。

 

ルートは基本歩いていれば着くルートだと思ったけど、こういう心もとないクレバスが結構あったので、一人はあんまり推奨されないのかもな、と思った。

 

実際に、今回の山旅で出会ったソロの人は1人だけだった。

後、すれ違ったパーティのうちガイドと思われるイタリア人に3回くらい「no rope? no good」と渋い顔をされた。

(最後の人にはno friend?とも言われた)

 

景色も料理も満喫した充実した山旅だったけど、旅が終わった後単独行について改めて色々と考えたりもしたので、少しずつ書いていこうかなと思う。

先週7月31日金曜日、たぶんこの街というかこの国で一番有名な小僧が日本の直垂に着せ替えられた、という報道を見た。
 
報道によれば8月1日が160年前に日本がこの国と修好通商条約を締結した日で直垂着せ替えはそれを記念したものらしい。
 
その条約って果たして日本にとっては記念すべきものだったんだろうか、などと性根の曲がったことを一瞬思いつつも、直垂は見たい、と思った。着物好きだし。
 
小僧を初めて見たのはパリに住んでた10年前に日帰りでこの街に遊びに来たときで、「へーこれが世界三大がっかりスポットの1つか」以外の感情は特に湧かず、今回こちらに来てからも出張者に「これが三大がっかりの1つです」と案内する以外は近づいたことがなかった。
小僧には何の罪もないけど別に彫刻や街並みに興味ないしそもそも人が多い所が嫌いなのでこの周辺はめったに近づかない。
 
でも「直垂をつけた小僧」はさすがに見たかったので、8月1日土曜日、頑張って中心部に出かけることにした。
 
30℃を超える気温の中、冷房などないバスを乗り継ぎてくてく歩き、人のいなさそうな外側から近づいていくとスポット的に人口密度50倍くらいになっている場所が見えてきて小僧到着。

 
ん?
 

 
直垂、着てなくない???
 
え?
 
1日の条約締結を記念して着せ替えられたはずなのに1日当日に直垂着てないってどういうこと???
 
としばし茫然としたけど、着てないものは仕方ないのですごすごと退散。
 
このためにこの酷暑の中30分近くかけて大嫌いな人込みに出かけたのに。。。ちょっと切ない。
まぁ運動だと思えばいいか。。。
 
翌日の日本人の集まりでそれを言った所、
 
「ああ、あれ日替わりですよ。日替わりどころか半日くらいで着替える時もあります」
 
と言われて衝撃だった。
 
小僧ってそんな早着替えやったんや。。。
 
「衣装の予定も公開されてますよ」
 
と教えてもらったので帰ってきて探したら確かに公開されていた。
 
毎日衣装を着ている訳ではなく、年間の半分くらい衣装を着ており、月間の衣装予定を月1で公開するらしい。
カレンダーを見ると確かに衣装を着ている時は月間で数日しかなく、1日で2回着替えている時や、午後しか服着てないときもある。
3年も住んでるのに知らなかった。
 
私が行った8月1日は午前はフライドポテト記念日衣装を着て午後はどっかの団体の寄贈衣装を着る日だったらしい。
 
フライドポテト記念日とかいう日が存在したんや。。。
 
知らんかった。
8月1日は「このポテト王国の」フライドポテト記念日らしいので、別の国のフライドポテト記念日はまた違うのかもしれない。
無断な知識が1個増えた。
 
てか「フライドポテト記念日衣装」ってどんななんだろ。ちょっと見てみたいかもしれない。
 
自分が無駄知識を得たついでに持ってる無駄知識をここに置いておくと、この〇〇シリーズ(あんま直接書きたくない)は小僧の他に、
 
・〇〇少女
・〇〇犬
 
がいる。
 
〇〇犬はこれ。
 
 
 
わざわざ見に行く価値があるかというと。。。
時間を持て余して持て余してもうどうしようもない、という時の時間つぶしにはお薦めかもしれない。
 
 
ちなみに小僧の近くにある有名な広場は個人的には夜の方がお薦め(ただしスリがめっちゃいるので治安には注意)。

 
 

 
今回泊まったテートルース小屋とグーテ小屋。
有名な小屋だけあって予約方法についてはめちゃめちゃ詳しいやり方が既にネット上にも色々出ているので、今回自分が行ってみて気づいたことや事前に知っておけば良かったと思った事を中心にメモしておく。
 
①予約:待っていれば意外に空きが出る
 
日本語での詳しい解説がいくつかネット上にあるけど、テートルース小屋とグーテ小屋は以下のフランスの山岳連盟のウェブサイトから予約できる。
 
ウェブサイトはフランス語と英語での表示があるので英語にしてPublic⇒Public bookingを選択。
 
メールアドレスとパスワードを求められるので初回であれば登録、もしもう持ってたらログイン。
 
waiting roomに放り込まれると思うので下の画面になるまで待つ(リロードボタンなどは押したらだめ)。
英語を選択したはずなのに何故か画面が勝手にフランス語になっているけどヨーロッパあるあるなので気にしない。
「グーテ小屋(Refuge du Gouter)」と「テートルース小屋(Refuge de Tete Rousse)」のどちらか予約したい方を選んで右端の「人数(Nbr de personnes)」を予約人数分選んでcontinuerを押す
下の画面はグーテ小屋の空き室状況。
真っ赤なのは空きなし、の意味。でもこれで絶望して諦めるのはちょっと早い。
 
私がモンブランに行こうかな、と思いたったのは今年の4月くらいなので上の予約サイトにアクセスしたときはテートルース小屋もグーテ小屋も9月まで空き無し、の状態だった。
 
まぁでも絶対空き出るよな、と思っていたので、そこからは1日4回(出勤前、昼休み、退勤後、就寝前)くらい上のウェブサイトをチェックしまくった。
そうしたら意外に空きが出ることに気づいた。
個人的な体感だけど、欧州時間の早朝(日本の午後~夕方)だと特に空きが出ていることが多い気がした。
 
グーテ小屋に2連泊したかったこと、6月に行きたかった(7月はこの夏の本命のマルゲリータ小屋の予定を既に入れていたのと、8月は高温が不安だった)ので、ウェブサイト詣でを開始して3週間後くらいに6月に2日連泊の空きが出たのを見つけて速攻予約した。
 
予約したら登録したメールアドレスにメールが来て予約金の支払いが求められるので支払う。
 
ちなみにテートルース小屋は前書いた通り、直前に電話してキャンセル待ちに登録することになった。
電話する前に見たウェブサイトの空き室状況は「満員(赤)」ではなく「オンライン販売は満員(オレンジ)」だったのでワンチャンあるかと思ってたんだけど、結局電話しても満室でキャンセル待ちに登録だったので、今回たまたま空きが出ただけで泊まれない可能性もあった。危なかった。
 
②受付、精算方法
 
他の山小屋と同じくテートルース小屋もグーテ小屋も食堂で受付。
テートルース小屋は自分が1泊だったためか、受付時に支払った。
グーテ小屋は2連泊だったけど、毎日夕食後に支払うスタイル。
 
グーテ小屋での夕食後の精算は宿泊料(と翌日の朝食や軽食)のみ。食べ物やお土産などは買う都度その場で精算。
この点は、全ての精算を毎日夕食後にするモンテローザ小屋とはシステムが違った。
 
テートルース小屋、グーテ小屋ともにクレジットカード精算可能。
ただ、カード会社によっては使えない可能性もあるで不安なら事前に小屋に確認したほうがいいと思う。
 
後、グーテ小屋で2日目精算しようとしていた時に小屋のブレーカーが落ち、勿論カード支払いも出来なくなった。
幸い一瞬で復旧した(小屋主さんはかなり焦っててきぱき指示を飛ばしていた)ので結果的にカードで支払うことはできたんだけど、こういう緊急時にはやはり現金を持っていたほうが安心かも、とは思った。
 
③朝食とお弁当(Picnic)
 
朝食は指定のテーブルにパンの入ったバスケットがあり、そこから各自取る(全粒粉系のパン2切れとブリオッシュ系1切れ)スタイル。チーズとサラミは大皿で一カ所においてありそこから各自好きなだけ取る。
水分は結構厳格な制限があり、オレンジジュース1杯と温かい紅茶1杯。
ただ、制限の紙が見えてなかったのか意図的なのか、結構紅茶お代わりしている人もいた。
 
グーテ小屋では朝食の時間が合わない場合、お弁当的な軽食を頼む(購入する)ことが出来た。
内容は私が泊まった時はこれ。軽食が必要な前日にお願いすると、夕食時に渡してくれる。

 
結構充実していたので、頂上を目指す日、この軽食購入可能システムを知ってれば出発より数時間も前に朝食を食べに行ったりパンがなくなってて焦ったりすることもなかったのになという点は今でも後悔。
 
④水とお湯
 
テートルース小屋、グーテ小屋ともに水は一切出ない。歯磨きも手洗いも全てペットボトルの水を購入して済ませる必要がある。
 
後、雪山登山に必須のお湯については、テートルース小屋では聞いてないのでわからないけど、グーテ小屋では温かい紅茶(ちょっと甘い)を購入することが出来た。これも必要な前日にお願いして代金を支払い水筒を渡しておくと、夕食時に中身を入れて食堂の籠の中に入れられているのでそこからピックアップする。似たような水筒だと間違えて持っていかれる可能性があるので目印を貼っておいたほうがいいかもしれない。
 
⑤部屋とベッド
 
テートルース小屋、グーテ小屋ともに部屋とベッド番号を受付時に指定される。
私はテートルース小屋では二段ベッドの上で、結構昇り降りに苦労した。
グーテ小屋では幸い独立した端っこのベッドを割当てもらえたのでこれは非常に快適だった。

 
私が泊まったときは「2連泊だね。ベッドはそのまま使っていいよ」と言われたので荷物はベッドヘッドに置いたままにしていた。
ただ、玄関に置いてあった頂上アタックに使わない用具(帽子や手袋)はアタックから帰ってきたらなくなっており、小屋番さんに聞いた所、忘れ物として回収されてしまっていたことが判明した。
玄関においてある用具は毎日回収される可能性があるので連泊する場合は注意が必要だと思う。
 
グーテ小屋、テートルース小屋ともにベッドのインナーシーツは必須。小屋で購入することもできるので私は購入するつもりで持っていかなかった。
 
テートルース小屋で購入したインナーシーツ。
 
グーテ小屋、テートルース小屋ともに小屋内は非常に暖かくて半袖の人もいた。
自分は寒がりなほうだけど、夜中暑くて上1枚脱ぎそれでも暑くて靴下も脱いだくらいには暖かかった。
 
⑥Wifiと充電
 
テートルース小屋、グーテ小屋ともWifiはない。
テートルース小屋では食堂の端っこで、グーテ小屋では小屋の外のテラスで電波が入る場所があったので天気予報を確認するときはそこでした。テートルース小屋では確認していないけどグーテ小屋では食堂に翌日の天気が張り出されているので天気予報はそこで確認することができる。
 
残念ながら全部フランス語だけど、大事な所はハイライトしてくれているので何となくはわかる。
 
充電はグーテ小屋、テートルース小屋ともに食堂でUSB充電可能。
ただ注意したいのは、グーテ小屋は夜中は朝食指定時間以外は食堂は閉まっているので充電も使えないということ。
後、食堂の充電器に刺したまま食堂が閉まっている時間に出発しようとすると携帯が取れない、という事態に陥ると思うので開いている時間に必ず回収したほうがいい。
テートルース小屋ではどうなのかは未確認だけど部屋から出る際は必ず食堂を通る構造になっているのでたぶんいつでもアクセスは可能だと思う。
 
今回の山旅で小屋について気づいたことはこれくらいだろうか。
後1つ気づいた点というか気になった点としては、グーテ小屋は食堂の閉まっている時間は使えるトイレが宿泊階にあるトイレだけなので、早朝テートルース小屋から登ってくる人達が宿泊階まで上がってきてトイレを使う。
結構皆遠慮なくどかどかと音を立ててあがってくるので、4時くらいから7時くらいまでは割と頻繁にどかどか足音が聞こえて繊細な人は寝づらいかもしれない。
 
グーテ小屋もテートルース小屋も非常に快適だったし、テートルース小屋の小屋番のお姉さんは女神だったし、グーテ小屋の小屋主(と思われるムッシュ)は陽気でフレンドリーなおじちゃんだった。
快適に過ごさせて頂いて大変感謝している。
 

 
4日目、うとうとして朝4時頃起床。
部屋は半分くらい人がいなくなっていた。
前日同じように撤退してきたロドリゴのベッドは空だったので、どうやらもう一度頂上に挑戦しにいったらしい。
やる気と元気がすごい。
自分はもう、全然頂上に再チャレンジしたいという気持ちを持てなかった。
 
前日一緒にお昼を食べている時に「テートルース小屋からここまでの岩場が思っていたより怖かった」という話をしたらロドリゴが心配して、
 
「下山のタイミングがあえば一緒にロープをつなぐよ」
「有難う。でも一人で大丈夫」
「ほんとに?ロープつなぐよ」
 
というやり取りを3回くらいしたので、ロドリゴがいなかったのは正直ちょっとほっとした。
 
ロドリゴは来る途中にもアイゼン履くのが初めてという他のソロの登山者に出会い心配してロープをつないだ、と言っていたくらいほんとに優しい気のいい兄ちゃんで、私のことも心配してくれたんだと思うんだけど、私は一人で降りたい。
 
この後のマルゲリータ小屋への山旅の時にもちょっと思ったんだけど、私は一人が好きだし一人で行くからには例え事故って死んでも一人で完結したい。
でも体力も技術もない私のようなぴよぴよのチキンがそんなことを思っても結果的にそれが他の登山者や救助・捜索の人達に迷惑かけることになるかもしれないし、この考えが正しいのかはよくわからない。
 
ロドリゴ、3度目の正直で頂上踏めるといいな、と思いながら支度。
この日も指定の朝食時間には微妙に合わない時間の出発だったんだけど、前日夜受付でそれを言ったら「picnic用意できるよ」と言われたので、この朝は朝食には行かず購入したpicnic(軽食)をたべた。
たしか12ユーロとか20ユーロとかそんな感じだったと思う。
 
軽食の内容はこんな感じ。だいぶ充実。
 
食事を終えて玄関で出発準備をしていたら、同じく1人で出発準備している若者から「一人?」と聞かれた。
「一人だよ。あなたも?」と聞くと「僕ガイドなんだけど、クライアントが昨日高山病でヘリ下山しちゃったんだよね。だから一人」という回答が返ってきた。
 
前日お昼を食べてトイレで歯を磨いていた時にヘリの音がするなと思ったら一瞬グーテ小屋の横に着地してまたすぐ飛び立っていって、この時間に荷揚げするんだな、と思っていたけどあれは高山病の人を下山させるヘリだったのか。
 
高山病だけは幾ら準備しようが体質もあるだろうしどうしようもない事態だと思うので自分が発症しないかはほんとに怖かった。
頂上には行けなかったけど幸いヘリを呼ばなきゃいけないような事にもならずここまで無事でいられたことに感謝しながら出発。
 
6時頃だったと思うけど丁度日出が見られた。
 
一番気が重かった岩場が始まる。
 
帰りは、前日怖いなと思った尾根は全部巻いた。これは巻いたところを振り返って撮った所。
 
微妙に足跡がついていたりしたので巻く人もいるんだとは思う。
ただ、結構ざれざれで気を付けないと落石を引き起こしそうな所ばかりでめちゃめちゃ神経を使った。
巻き道をそろそろと下っていたら尾根から逸れてこっちに来ようとする登りパーティがいたので一応「こっちは正しい道じゃないですよ」と声をかけたんだけど、「君が下ってきてるってことは正しい道だよね」と返されてしまった。
いえ、チキンなので巻いてるだけです。
 
ほんとはこういう尾根をずっと上り下りするのが正しい。
 
落石を引き起こすと下手すると前々日の私みたいに下にいる人に石が飛んでいく事態になりかねないので、下りも登りと同じくらい神経使った。
 
しばらく下ってグランク―ロワールが見えてきた時はほっとした。
 
2日ぶりのグランク―ロワール。下りは楽。
 
テートルース小屋をスルーしてそのまま下る。
前日夕食のテーブルが一緒になったガイドパーティはテートルース小屋の横から伸びてる雪斜面を下るつもりだ、その方が早いよ、と言っていたけどたぶんここの事かなぁと思う。
 
ただ私はチキンなので下調べしていない急斜面を一人で行く勇気はない。おとなしく来た道を戻った。
 
テートルース小屋からは何もつけていない人が多かったけど私はちょっとでも怖いなと思ったところはチェンスパを使った。
ただチェンスパは荷物が増えるだけであんまり持ってきても意味ないかも、とは思った。アイゼンがあれば良いように思う。
 
 
 
来る途中はヘロヘロ過ぎて周りを見る余裕があんまりなかったので下りは景色を満喫しながら下った。
 
 
 
ここも横に滑ったらちょっと怖いなと思ったけど、落ちても10mくらいだし大きな問題は起きなさそうな所なのでここはそのまま通過。
 
ここは尻セードしている人が多かったので私も尻セードでおりた。
 
尻セード後、ちょっと一息入れようかなと軽食のナッツを食べていたら、向こうからアイベックスが近づいてくるのが見えた。
 
めっちゃ近くまでやってきて私を認識して立ち止まったアイベックス。
蹄をかんかん、とやられたんだけど、後から考えればあれは(俺の進路を塞いでんじゃねえぞこのゴリラ)という威嚇だった気がする。
 
気づかずすみません。
 
ニーデーグル小屋で大休憩した後、帰りは線路沿いに帰ることにした。
 
行きに通った下の道とはまた違う展望の良さでこっちの道も素晴らしい。
 
モンラシャの駅は改装中なのか、石垣だけ詰んであった。
 
モンラシャ駅(跡地?予定地?)で休憩後、そのまま線路を下る。
 
 
 
ベルビューにある標識。
「ニーデーグル:2時間35分」とある標識の方に行くと私が行きに使った道を辿ることになる。
モンブランに行く人は線路沿いをそのまま上がっている人が殆どのように思った。
前半涼しい道を行って最後一気に高度を上げるか、かんかん照りの中日よけのない道をゆるゆると登っていくか、の二択。
 
ベルビューからケーブルカーとバスを乗り継いでシャモニーに帰着しポワンイザベルにチェックインしてモンブラン山旅終了。
 
結局ヘタレ過ぎて頂上には及ばなかったけど、色々良い経験になった旅だった。
岩場がほんとに苦手というか下手くそなんだな、というのを再確認できたし。
体力も、結構この旅に向けて準備したつもりなんだけど及ばなかったな、というのも反省点だった。
 
モンブランが周辺含めてMontblanc massif(モンブラン山塊)と呼ばれるのを身をもって実感した気もする。
Yamapの記録で見るとそれほど長い距離を歩いてはいないんだけど、ベルビューから登り始めたせいか、歩いても歩いても遠いな、という印象を持った。
グーテ小屋からコースタイム5時間、と聞くとそんなに遠くは感じないんだけど、3日目は高度のせいなのかエネルギー不足なのか寒さへの恐怖か、登っても登っても同じ景色が続くようで登り続けたいという気持ちが保てなかった。
もうちょっと準備していれば(小屋に朝食の代わりに軽食を頼んだり自分のウェアを出発前にきちんと見直したり)もう少し進めたのかな、という後悔はある。
 
後悔も含めて結構満足してしまったので、もう一度挑戦したいかと問われれば今の時点では正直Noかなと思う。
ただ、もし気が変わって来年また挑戦する機会があるのであれば、今度はもっと準備をして臨みたい。
 
 
 
3日目、この日私は結局頂上まで行けなかった。
何が敗因だったのかなと未だに考えるけど決定的な「これ」という原因は思い当たらない。
ただ原因の一つはエネルギー不足(への不安)かなと思う。
 
この日の朝食時間は2時を選択した。
出発予定時間は6時だったのでだいぶ早いんだけど、2回目の朝食時間にしていたら6時出発に間に合わないのでやむを得ず2時を選択。
で、あんまり早くご飯食べても出発時間にまたお腹すくだろうからぎりぎりに行こう、と思って2時25分くらいに食堂に行って自分の名前が書かれたテーブルに行ったらなんと、
 
パンバスケットが空だった。
 
本来朝食はパン3切れ(ぱさぱさ系のパン2切れとブリオッシュ系のパン1切れ)なんだけど、だれかが私の分まで食べてしまったっぽい。もう来ないと思ったんだろうか。
 
食堂にいた忙しそうなスタッフのお姉さんに「あの、パンがもうないんですけどもらえますか」とおそるおそる声をかけたら「違うテーブルの余ったパン取って。でも後10分で食堂閉めるわよ」と言われて、大慌てで他の誰もいないテーブルのパンバスケットで余ってたブリオッシュ系のパン1切れを取得。
 
ついでに大皿からサラミとチーズそれぞれ2切れを取得して、オレンジジュースと紅茶1杯で何とか全部胃の中に押し込んで食堂を退散。
 
お腹は空いていないんだけどこれだけで足りるはずもなく、前日もあんまり食べられなかったこともあって5時を回る頃にはお腹が鳴り出した。
気休めに、初日シャモニーで買ったプロテインバー1本を摂取。
 
でその結果、手元の食料が小さなエネルギー飲料2本とプロテインバー1本になってしまった。
 
これで頂上までの往復(自分の予想では12時間)持つのかな、という不安に苛まれながら6時前、出発。

 
風は強いけどそこまでではなく、この頃は景色を楽しむ余裕があった。

 

最初の方はひたすら広大な雪の斜面をジグザグと登っていく。

 

 
 

 
 

 
これなんていうんだっけ。ブロッケン現象、ではない。山の影が向こうの方に見える奴。

 
危険個所はどこもなく、ただひたすらに雪の斜面を登るだけなんだけど、登っても登っても同じ雪の斜面で、なんかだんだん疲れてきたというか正直飽きてきた。

 
この時間に下ってくる人達がいたんだけどこの人達は頂上に行ってきたんだろうか。それともどこか違うルート(三山縦走ルート?イタリアルート?)から来たんだろうか。

 
ひたすら雪の斜面を登っていたら斜度が緩んでコルっぽい所に出たんだけど、この辺りから風がすごくなった。

 
風が強い、といってもいつかの根石岳山荘前やテイデ山で経験したような、体が吹っ飛ばされそうな程の強風、という訳では全然ないんだけど、風が強くて顔が冷たいを通り越して痛く(フェイスカバーだけでバラクラバを持ってこなかったのは失敗だった)、しかも顔だけじゃなく体全体もなんかだんだん寒いな、と感じるようになってきた。

 
お腹が減っているせいか全然力が出なくて、5歩歩いては休み、5歩歩いては休み、寒い寒いと思いながらのろのろと進む。
進みながら、「この風頂上まで続くのかな?今の時点で『寒い』と感じるのは危険では?食料持つのかな?行って帰ってこられるのかな?」と不安がどんどん大きくなっていった。
 
とりあえずヴァロ避難小屋まで行こう、と避難小屋を目指す。
 
これは帰りに撮った避難小屋までの道。
この左の方から上がったんだけど、小屋直下は氷の斜面になっていて、そこをトラバースするのにちょっと神経を使った。
滑落しても死にはしないと思うんだけどせっかく登った数10mを無駄にしたくない。
 
小屋には、ガイドパーティと思われる3人組と、ソロの若者と、私の5人がいた。
私の顔色が悪かったのか、ガイドパーティのガイドさんが「毛布を巻くといいよ」と声をかけてくれる。
でも正直あんまり手を触れたくない感じの毛布だったので適当に膝にかけていたら、「そうじゃない。直接座ると冷たいからまず毛布1つ敷いて、2つ目はこうやってかけてから体に巻いて」とガイドさんがそこら辺の毛布をかき集めてぐるぐるに私を巻いてくれた。
メルシー、ムッシュー。
 
毛布巻いてもしばらくがたがた震えてたんだけど、飲み物飲んだりしたらだんだん落ち着いてきた。
落ち着いてから、モンブランはこれで9回目、という地元出身の若者の話に相槌を打ちながら、自分のこれからのことを考えていた。
 
私はここから頂上まで行って帰ってこられるのか。
 
なんか力が出ないし寒い。
寒さは、ベースレイヤーの腕が捲れていたりしたのを直したので少しましになるような気もしたけど、ここから標高が上がったらもっと寒くなるんじゃないのか。
ここから見る限り、風を防ぐようなものは何もない。

 
私のこの日の装備はミレーのアミアミの上に
 
上5枚:ミズノのサーモ+モンチュラのナントカマグリア+モンチュラのフリース+マムートのノードワンドプロ+パタゴニアのDASパーカ(+背中にカイロ)
下3枚:モンベルのメリノウールタイツ+モンチュラのエクスカリバー+マムートのノードワンドプロ
 
もうこれ以上着られるものがない。SOLのエマージェンシーシート巻くくらいしかできない。
防寒装備Maxで「寒い」と感じる状態で進むのは正しいのだろうか。
 
そして食料というかエネルギーが足りるのか不安。
 
ここから頂上まで通常は2時間だけど私はたぶん3時間はかかる。ヴァロ小屋起点で考えて往復6時間。
ここから進むことはできるけど、途中で寒さを我慢できなくなったら?
エネルギー不足で動けなくなったら?
 
後、トイレも微妙に行きたい。
だけどここまでもここからも花摘めるような物影はないし。。。ヴァロ小屋周辺で頑張れば物影を探せそうな気もするけど。。。凍ってるところもあるからちょっと怖い。
グーテ小屋まで我慢できるんだろうか。
こういう時女性は不便なんだよな。。。男性は後ろ向いて立ったままパッとできるけど。
 
などと悶々と考えた結果、引き返そう、と決めた。
 
なんか、いろいろな心配事ばっかりで全然楽しい気持ち、わくわくした気持ちがなくなっていた。
それはもう自分にとっては山行を続ける意味がないな、と思った。
 
一緒にいたガイドパーティのガイドさんにお礼を言ってから「私もうここから引き返します。なんか調子悪いから」と言うと、すんごい吃驚した顔をされた。たぶん絶好のコンディションで時間もまだ早いのになんで引き返すんだ、と思ったと思う。
でも「それはwise decisionだね」と慰めてくれた。おっちゃん、まじメルシー。
 
というわけでこれが私のこの旅の最高到達地点(ヴァロ小屋は4362mなのでちょっと標高はずれている)。
 
外に出て、上に向かうガイドパーティと若者に「頑張ってね」とあいさつして別れ、下る。
コルに着いたところで振り返って見上げた所。
 
時間は早いので、まだまだ下から登ってくる人達はたくさんいた。
登ってくる人達を見るたびに、(私は今もったいないことをしているのでは?)という考えが頭を掠めたけどまた登りなおす気力は全然湧いてこなかった。
 
下るだけなのに全然力が出なくて途中で休み休みグーテ小屋に帰った。
 
グーテ小屋の部屋に帰って仮眠して起きたら隣のベッドでごそごそしている人がいて、ちょっと話をした。
同じようにソロで今日頂上を目指したけど体調がいまいちで戻ってきたという。
私よりはだいぶ早く出発しだいぶ先まで行ったようだけど、勝手に親近感。
 
流れでお昼を食べに行くことになり、色々と話をした。
 
何とグアテマラから来て、モンブランは今回が3回目でまだ登頂できたことはない、という。
情熱がすごい。。。自分はまたモンブランに挑戦したいかと問われると。。。うーん。。。
 
うーん。。。と思いつつも、午後になってモンブランから返ってくる人達が増え、食堂でガイドさんとシャンパンでお祝いしたり家族に「登頂できたよ!」と電話したりしている人達を見ていると、(もうちょっと頑張れば良かったかも?)という後悔が結構湧いてきた。
 
ヴァロ小屋で休んだ後はウェアを直したおかげか寒さはそこまで感じなかった。
風は強かったけど天気は午後まで申し分ない予報だったし、食料は心許なかったけどゼロというわけではなかったし、トイレだってあの後人のいなくなるタイミングを待ってヴァロ小屋の影で済ませることもできたかもしれないし、もっと頑張れば良かったのかもしれない。
私は絶好の機会を無駄にしたのかもしれない。。。
 
と思う一方で、引き返す判断は間違っていなかったのかも、と思ったりもした。
この日夜、踊り場で荷物を整理していて横に別の宿泊客のおじさまが来たのでスペースを空けようとしたんだけど、何を考えていたのか、私はそこで後ろに下がってスペースを空けようとした。
当たり前なんだけど踊り場なので後ろにスペースなどなく、足を踏み外して体が後ろに傾いた。
とっさに体をひねったので階段を途中まで滑り落ちただけで済んだんだけど、階段にへばりついたまま茫然と上を見たら、おじさまも茫然と私を見ていた。そりゃ吃驚するよな、すみません。
「なんか、疲れてるみたい、へへへ・・・」とアホみたいな笑いと言い訳をひねり出すしかなかったんだけど、すんごい同情的な目で肩をぽんぽん叩かれた。
 
たぶん、だいぶ頭が働いていないというか疲れていたんだろうなと思う。
下手したら「日本人宿泊客、グーテ小屋内で転落し救助」みたいなアホみたいな事になっていたかもしれない。
なので、引き返したことに対する後悔もある一方で、こんだけ頭働いてないならあそこで引き返したのは正解だったかも、という思いもある。
 
夕食の時に同じテーブルになった人達は、私とグアテマラの人以外はガイドパーティで本日登頂できたことを祝う人達ばかりでそれを見てたらちょっとまた後悔が大きくなってきた。
一人の人はカナダからとのことだったけど、どう見ても60過ぎていて、それでいてものすごく元気だった。
私とロドリゴ(グアテマラの人)が今日引き返してきた、というと、カナダの人もそのガイドも「明日また挑戦してみたら?せっかくなんだから」と言う。
ロドリゴは迷っているようだったけど、私は全く挑戦する気になれなかった。
あのただひたすら何にも景色の変わらない雪原を登る時間をもう1回繰り返す元気がない。。。
 
もったいないかな、と思う気持ちもありつつ、かといってもう一度挑戦する気にもなれないまま、もし万が一仮に2時頃目が覚めて元気が有り余っていたら考えよう、と思いつつ就寝。