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海と山、時々きもの

ダイビング記録+きもの試行錯誤の覚書。…だったはずなのに最近は山歩きの記録簿と化しつつある。
23年秋から山のない国に滞在中のため山歩き頻度は低下中。

 
3日目、この日私は結局頂上まで行けなかった。
何が敗因だったのかなと未だに考えるけど決定的な「これ」という原因は思い当たらない。
ただ原因の一つはエネルギー不足(への不安)かなと思う。
 
この日の朝食時間は2時を選択した。
出発予定時間は6時だったのでだいぶ早いんだけど、2回目の朝食時間にしていたら6時出発に間に合わないのでやむを得ず2時を選択。
で、あんまり早くご飯食べても出発時間にまたお腹すくだろうからぎりぎりに行こう、と思って2時25分くらいに食堂に行って自分の名前が書かれたテーブルに行ったらなんと、
 
パンバスケットが空だった。
 
本来朝食はパン3切れ(ぱさぱさ系のパン2切れとブリオッシュ系のパン1切れ)なんだけど、だれかが私の分まで食べてしまったっぽい。もう来ないと思ったんだろうか。
 
食堂にいた忙しそうなスタッフのお姉さんに「あの、パンがもうないんですけどもらえますか」とおそるおそる声をかけたら「違うテーブルの余ったパン取って。でも後10分で食堂閉めるわよ」と言われて、大慌てで他の誰もいないテーブルのパンバスケットで余ってたブリオッシュ系のパン1切れを取得。
 
ついでに大皿からサラミとチーズそれぞれ2切れを取得して、オレンジジュースと紅茶1杯で何とか全部胃の中に押し込んで食堂を退散。
 
お腹は空いていないんだけどこれだけで足りるはずもなく、前日もあんまり食べられなかったこともあって5時を回る頃にはお腹が鳴り出した。
気休めに、初日シャモニーで買ったプロテインバー1本を摂取。
 
でその結果、手元の食料が小さなエネルギー飲料2本とプロテインバー1本になってしまった。
 
これで頂上までの往復(自分の予想では12時間)持つのかな、という不安に苛まれながら6時前、出発。

 
風は強いけどそこまでではなく、この頃は景色を楽しむ余裕があった。

 

最初の方はひたすら広大な雪の斜面をジグザグと登っていく。

 

 
 

 
 

 
これなんていうんだっけ。ブロッケン現象、ではない。山の影が向こうの方に見える奴。

 
危険個所はどこもなく、ただひたすらに雪の斜面を登るだけなんだけど、登っても登っても同じ雪の斜面で、なんかだんだん疲れてきたというか正直飽きてきた。

 
この時間に下ってくる人達がいたんだけどこの人達は頂上に行ってきたんだろうか。それともどこか違うルート(三山縦走ルート?イタリアルート?)から来たんだろうか。

 
ひたすら雪の斜面を登っていたら斜度が緩んでコルっぽい所に出たんだけど、この辺りから風がすごくなった。

 
風が強い、といってもいつかの根石岳山荘前やテイデ山で経験したような、体が吹っ飛ばされそうな程の強風、という訳では全然ないんだけど、風が強くて顔が冷たいを通り越して痛く(フェイスカバーだけでバラクラバを持ってこなかったのは失敗だった)、しかも顔だけじゃなく体全体もなんかだんだん寒いな、と感じるようになってきた。

 
お腹が減っているせいか全然力が出なくて、5歩歩いては休み、5歩歩いては休み、寒い寒いと思いながらのろのろと進む。
進みながら、「この風頂上まで続くのかな?今の時点で『寒い』と感じるのは危険では?食料持つのかな?行って帰ってこられるのかな?」と不安がどんどん大きくなっていった。
 
とりあえずヴァロ避難小屋まで行こう、と避難小屋を目指す。
 
これは帰りに撮った避難小屋までの道。
この左の方から上がったんだけど、小屋直下は氷の斜面になっていて、そこをトラバースするのにちょっと神経を使った。
滑落しても死にはしないと思うんだけどせっかく登った数10mを無駄にしたくない。
 
小屋には、ガイドパーティと思われる3人組と、ソロの若者と、私の5人がいた。
私の顔色が悪かったのか、ガイドパーティのガイドさんが「毛布を巻くといいよ」と声をかけてくれる。
でも正直あんまり手を触れたくない感じの毛布だったので適当に膝にかけていたら、「そうじゃない。直接座ると冷たいからまず毛布1つ敷いて、2つ目はこうやってかけてから体に巻いて」とガイドさんがそこら辺の毛布をかき集めてぐるぐるに私を巻いてくれた。
メルシー、ムッシュー。
 
毛布巻いてもしばらくがたがた震えてたんだけど、飲み物飲んだりしたらだんだん落ち着いてきた。
落ち着いてから、モンブランはこれで9回目、という地元出身の若者の話に相槌を打ちながら、自分のこれからのことを考えていた。
 
私はここから頂上まで行って帰ってこられるのか。
 
なんか力が出ないし寒い。
寒さは、ベースレイヤーの腕が捲れていたりしたのを直したので少しましになるような気もしたけど、ここから標高が上がったらもっと寒くなるんじゃないのか。
ここから見る限り、風を防ぐようなものは何もない。

 
私のこの日の装備はミレーのアミアミの上に
 
上5枚:ミズノのサーモ+モンチュラのナントカマグリア+モンチュラのフリース+マムートのノードワンドプロ+パタゴニアのDASパーカ(+背中にカイロ)
下3枚:モンベルのメリノウールタイツ+モンチュラのエクスカリバー+マムートのノードワンドプロ
 
もうこれ以上着られるものがない。SOLのエマージェンシーシート巻くくらいしかできない。
防寒装備Maxで「寒い」と感じる状態で進むのは正しいのだろうか。
 
そして食料というかエネルギーが足りるのか不安。
 
ここから頂上まで通常は2時間だけど私はたぶん3時間はかかる。ヴァロ小屋起点で考えて往復6時間。
ここから進むことはできるけど、途中で寒さを我慢できなくなったら?
エネルギー不足で動けなくなったら?
 
後、トイレも微妙に行きたい。
だけどここまでもここからも花摘めるような物影はないし。。。ヴァロ小屋周辺で頑張れば物影を探せそうな気もするけど。。。凍ってるところもあるからちょっと怖い。
グーテ小屋まで我慢できるんだろうか。
こういう時女性は不便なんだよな。。。男性は後ろ向いて立ったままパッとできるけど。
 
などと悶々と考えた結果、引き返そう、と決めた。
 
なんか、いろいろな心配事ばっかりで全然楽しい気持ち、わくわくした気持ちがなくなっていた。
それはもう自分にとっては山行を続ける意味がないな、と思った。
 
一緒にいたガイドパーティのガイドさんにお礼を言ってから「私もうここから引き返します。なんか調子悪いから」と言うと、すんごい吃驚した顔をされた。たぶん絶好のコンディションで時間もまだ早いのになんで引き返すんだ、と思ったと思う。
でも「それはwise decisionだね」と慰めてくれた。おっちゃん、まじメルシー。
 
というわけでこれが私のこの旅の最高到達地点(ヴァロ小屋は4362mなのでちょっと標高はずれている)。
 
外に出て、上に向かうガイドパーティと若者に「頑張ってね」とあいさつして別れ、下る。
コルに着いたところで振り返って見上げた所。
 
時間は早いので、まだまだ下から登ってくる人達はたくさんいた。
登ってくる人達を見るたびに、(私は今もったいないことをしているのでは?)という考えが頭を掠めたけどまた登りなおす気力は全然湧いてこなかった。
 
下るだけなのに全然力が出なくて途中で休み休みグーテ小屋に帰った。
 
グーテ小屋の部屋に帰って仮眠して起きたら隣のベッドでごそごそしている人がいて、ちょっと話をした。
同じようにソロで今日頂上を目指したけど体調がいまいちで戻ってきたという。
私よりはだいぶ早く出発しだいぶ先まで行ったようだけど、勝手に親近感。
 
流れでお昼を食べに行くことになり、色々と話をした。
 
何とグアテマラから来て、モンブランは今回が3回目でまだ登頂できたことはない、という。
情熱がすごい。。。自分はまたモンブランに挑戦したいかと問われると。。。うーん。。。
 
うーん。。。と思いつつも、午後になってモンブランから返ってくる人達が増え、食堂でガイドさんとシャンパンでお祝いしたり家族に「登頂できたよ!」と電話したりしている人達を見ていると、(もうちょっと頑張れば良かったかも?)という後悔が結構湧いてきた。
 
ヴァロ小屋で休んだ後はウェアを直したおかげか寒さはそこまで感じなかった。
風は強かったけど天気は午後まで申し分ない予報だったし、食料は心許なかったけどゼロというわけではなかったし、トイレだってあの後人のいなくなるタイミングを待ってヴァロ小屋の影で済ませることもできたかもしれないし、もっと頑張れば良かったのかもしれない。
私は絶好の機会を無駄にしたのかもしれない。。。
 
と思う一方で、引き返す判断は間違っていなかったのかも、と思ったりもした。
この日夜、踊り場で荷物を整理していて横に別の宿泊客のおじさまが来たのでスペースを空けようとしたんだけど、何を考えていたのか、私はそこで後ろに下がってスペースを空けようとした。
当たり前なんだけど踊り場なので後ろにスペースなどなく、足を踏み外して体が後ろに傾いた。
とっさに体をひねったので階段を途中まで滑り落ちただけで済んだんだけど、階段にへばりついたまま茫然と上を見たら、おじさまも茫然と私を見ていた。そりゃ吃驚するよな、すみません。
「なんか、疲れてるみたい、へへへ・・・」とアホみたいな笑いと言い訳をひねり出すしかなかったんだけど、すんごい同情的な目で肩をぽんぽん叩かれた。
 
たぶん、だいぶ頭が働いていないというか疲れていたんだろうなと思う。
下手したら「日本人宿泊客、グーテ小屋内で転落し救助」みたいなアホみたいな事になっていたかもしれない。
なので、引き返したことに対する後悔もある一方で、こんだけ頭働いてないならあそこで引き返したのは正解だったかも、という思いもある。
 
夕食の時に同じテーブルになった人達は、私とグアテマラの人以外はガイドパーティで本日登頂できたことを祝う人達ばかりでそれを見てたらちょっとまた後悔が大きくなってきた。
一人の人はカナダからとのことだったけど、どう見ても60過ぎていて、それでいてものすごく元気だった。
私とロドリゴ(グアテマラの人)が今日引き返してきた、というと、カナダの人もそのガイドも「明日また挑戦してみたら?せっかくなんだから」と言う。
ロドリゴは迷っているようだったけど、私は全く挑戦する気になれなかった。
あのただひたすら何にも景色の変わらない雪原を登る時間をもう1回繰り返す元気がない。。。
 
もったいないかな、と思う気持ちもありつつ、かといってもう一度挑戦する気にもなれないまま、もし万が一仮に2時頃目が覚めて元気が有り余っていたら考えよう、と思いつつ就寝。

今週末はこの夏の大本命、「マルゲリータ小屋でマルゲリータピザを食べる」を叶えた。







夢叶って大満足。

モンブランの記録を終えてからになるけどまたおいおい記録を書いていきたい。

今回のモンブラン登山では一日目の線路沿いでの道間違い(という思い込み)をはじめ色々やらかしたというかおかしかったんだけど、一日目の夜も幾つかやらかした。
 
まず、夕食を終えて部屋に帰ったらザックの中がびしょ濡れになっているのを発見した。
ペットボトルの水を購入して高山病の薬を飲むのに使いそのままザックに適当に放り込んで夕食に出かけたんだけど、どうやらキャップがきちんとしまっていなかったらしく、ペットボトルはほぼ空になりその分の水がザック内に浸水してる、という最悪の事態。
 
一番最悪だったのは、ザックの一番下においてたオーバーグローブ2セットとウールのインナーグローブ1セットが水に浸かり、そのうちオーバーグローブ1セット(ワークマンのインナー付きの奴)とインナーグローブがびしょ濡れになった。
もう1つのオーバーグローブはインナー付きではないのですぐに乾くだろうと思われたし、今日来るまでに使った薄手のインナーグローブでグーテ小屋までは行けるだろうけどこれはかなり焦ったし萎えた。
 
で、かなりしおしおとなりながらザックの中のものを全部取り出し水分をふき取って一息ついてから明日用に食堂にお湯をもらいに行こうかな、と山専ボトルを取り出して蓋を開けたらなんかおかしいことに気づいた。
 
中蓋がきちんと閉まらない。
 
中蓋をしげしげと眺めながら自分の記憶をたどっていたら、3月の山行から帰ってきた後ボトルの蓋を分解して洗った後に恐らくゴムの部品をつけ忘れているのだろう、という結論に達した。
 
山に行く際は家を出る前に持ち物を細部まで確認しましょう
 
という教訓を得た。
 
そしてこれも結構焦った。
全然寒くないので明日のグーテ小屋まではペットボトルだけでも十分行けるけど、グーテ小屋から頂上を目指す時はさすがに温かい飲み物がないとかなり不安。
まぁ、最悪グーテ小屋でお湯入れてもらってボトルは絶対横にしないようにしながら登ればなんとか行けるか、と思いながら準備して就寝。
 
例によって全然寝られず、そのうち夜中に頂上を目指すのであろうと思われる人達が準備し始め、その後少しだけうとうとできた。
6時前に起きたとき、なんか部屋に人の気配がないな、と思って起き上がってしばらくしてから思い切って部屋の電気をつけてみたら前日ほぼ満員だった部屋には私以外誰もいなかった。
やっぱりテートルース小屋に泊まって頂上を目指す人が殆どなんだろう。
 
もそもそと朝食を食べる。お腹減っているはずなのに全然食べられない。
パンは2切れを食べるのがやっと。サラミもチーズもあんまり喉を通らない。
主食コメで育った昭和生まれにヨーロッパ式朝食は結構きつい。私だけかもしれないけど。
気休めとして前日シャモニーで購入したジェル飲料を摂取する。
 
8時過ぎだったと思うけどゆっくり出発。
受付の女神に「出発します。ほんとにありがとうございました」と言ったら、「良い一日を。気を付けてね」と返ってきた。
マジ女神。
 
テートルース小屋を出てグランク―ロワール方面に向かう。
本日の目的地は右上に見えている宇宙船みたいなグーテ小屋。
 
 
 
この辺りで既に落石の痕跡がある。
 
こんな石が降ってきたら一溜まりもないので、ヘルメット装着。アイゼンはもうちょっと後でつけた。
 
高速道路みたいな道がついているのでそれを辿っていけばいいだけ。
ピッケルは一応背中とザックの間に挟んだけど特に使うようなところもない。
 
いよいよグランク―ロワールが近づいてきて、ちょっとわくわくというかどきどきした。
 
あれがグランク―ロワールか。。。
グランク―ロワールの取りつきまで雪面が途切れてちょっとだけ岩場を登るっぽい。
 
 
 
グランク―ロワール取りつき。
動画でよく見る雪のない時の本来の横断ルートはこの写真の下、ロープが張ってある所なんだけど、トレースは緩やかな上り坂でついているのでそれを辿ることにする。
 
 
 
落石が起こりませんように、と願いながら、ちらちら上を見つつ横断。
予想していた通り、ヘタレの自分は一気に通り抜けられずグランク―ロワールのど真ん中で立ち止まってしまった。
遠くからはわからなかったけど真ん中は雪面の上に細かな石ころによる川のような流れの跡が出来ていて、如何に落石が多いのかがわかる。
なんとか通過しほっとする。
 
グランク―ロワールを抜けたらもう安心…とこの時までは思っていた。
 
 
 
この地点まで来たときに、上の方から割と小さな石ころが降ってくるのが見えて、(あれ、この軌道って…)と思う間もなく「石ころ」が「岩」になりどんどん自分に迫ってきた。迫ってきたというか吹っ飛んできた。
鈍くさいので全く動けず体を左の岩面に寄せるのが精いっぱいだったんだけど、幸い、目の前のこのペンキがついている岩にぶつかって軌道が右に逸れてくれた。
 
両手を合わせたくらいのサイズの岩で、まともに食らってたら吹っ飛んでいただろうと思われる勢いだった。
 
こわ。。。
 
落石ってこうやって降ってくるんだ。。。
そしてグランク―ロワールを超えても落石ってあるんだ。。。まぁ考えてみれば当たり前か。
 
いつも登りはへばって俯きながら登ってるんだけどこの後は上をガン見しながら登った。
そしてやっぱりここを真っ暗闇で通過する旅程を組まなくて良かった、と改めて思った。
 

 
ダイナミックな岩登りをするところもあるんだけど全体的にガレガレザレザレしているので、私のような岩登りスキル1/10みたいな人間には結構つらい。後、落石を引き起こしてしまわないか不安なので足運びにはめっちゃ慎重になる。
(私の後から登ってきている人はいなかったけど、下っていく人達とは結構すれ違う)。
 
こういう所は楽しいんだけどな。
 
ここは直登しようとしてちょっと怖かったのでうろうろ別の道を探した結果右側から巻いた所(帰りも巻いた)。
 
ペンキの目印はついているんだけど、自分の技術ではちょっと怖いな、と思ったり、踏み跡も色々あったりするので迷う。
 
フィックスロープが見え始めたのでチェストハーネスを作る。
 
別に確保しながら進む程の所でもないように思うんだけど、ちょっと怖い。
なんかやっぱり、去年メンヒで落ちたことと3月のひどい山行が自分の中で負の記憶として大きくなっていて好きだったはずの岩場に恐怖心というか苦手意識が出来ている気がする。
 
この岩尾根は登りも下りもアイゼンをつけていない人が結構いた。
雪のない所が殆どだったので技術ある人はアイゼンなしでも全然いけると思うんだけど、私はやっぱり怖かったのでグランク―ロワール手前からグーテ小屋までずっとアイゼンつけたまま登った。
だって滑ったら落石まき散らしながら結構な距離を落ちると思う。
 
こういう所も以前ならセルフビレイとかしなかったと思うんだけど、この日も帰りの日も全部いちいちセルフビレイしながら登った。
 
岩尾根は思っていたよりも長く急で、速攻バテバテになり、休憩しまくり行動食のジェルを啜りまくりながら登った。
 
前日はあれがモンブランかな、などとアホなこと思っていたけど、ここまで登ってきて違うことに気づいた。
グーテ小屋と同じ高さのはずがない。
 
 
 
懸垂下降のための支点だと思うけど、もっと雪がある時はこの尾根でも懸垂が必要なことがあるのかもしれない。
 
フィックスロープが出てきてからずっと岩場を登る訳ではなくて、途中で何度かこういう普通の登山道みたいな道になったりする。
 
これがたぶん最後の岩場の登り。
 
ここで下ってくるパーティを休憩しつつ待ってたら、最初におりてきた若者に1人?と聞かれた。
 
1人だよ
どこから来たの?
今住んでるのは●●だけど出身は日本だよ。あなたは?
ポーランドだよ
 
ポーランド!
遠く(でもないけど)から来るんだなぁ、と思ってたけど、グーテ小屋でも結構ポーランドからのグループを見かけた(サッカーのユニフォームみたいなのにPolandと書いていた)ので山好きの人が多いのかもしれない。
 
どこまで行くの?
今日はグーテ小屋まで。明日頂上を試してみようと思ってる。頂上まで行けた?
昨日頂上まで行ったよ
 
と満面の笑顔の若者。羨ましい。
 
すごい風だったからヴァロ小屋で3時間くらい停滞したよ。昨日頂上を目指した人達は皆そこにいた。3時間くらいいて、だれかが『そろそろ行ける』って小屋を出て皆それに続いた。風はすごかったけどちょっとましになってて、何とかたどり着けたよ
 
皆勇気あるなぁ。。。
私はヘタレなので、風すごかったら引き返してしまうかもしれない、と思いながら若者の話を聞く(そして結局その予想は正しかった)。
 
最後に名前を聞かれたので「●●」と答えたら「僕はバルテック。気を付けてね。頂上行けるといいね」とさわやかに挨拶して若者は下って行った。
 
名前、かっこよ。
 
私がこれまでに聞いたかっこいい名前ランキング1位かもしれない、などとどうでもよいことを考えながら登山再開。
 
心配していた旧グーテ小屋直下の急斜面は結構まだ雪が残っていたけど予想していたほどは怖くなかった。
 
へろへろになりながら登り切ってなんとか旧グーテ小屋の上まで上がったら景色が素晴らしすぎて声が出た。
 
最高of最高。
 
 
 
ここまで登ってきて良かった、と心底思った。
今回の旅でこの時が一番景色への感動が大きかった気がする。
 
嬉しさでいっぱいになりながらてくてくと高速道路を歩いてグーテ小屋着。
 
受付でチェックインしている時にふと、横の棚を見上げたら保温ボトルがあるのを発見して即購入した。
助かった。。。
保温力は山専ボトルに劣りそうだけど何もないよりまし。
 
部屋に荷物を置いた後、食欲はなかったけどとりあえず何かエネルギー的なものをお腹に入れようと思ってクッキーとお茶を頼む。
 
ここまで結構登ってきた気がするけど、地図で見るとまだ半分くらいしか来ていないようでちょっと悲しい。
 
靴と昨日テートルース小屋で濡れた手袋を干しに外に出てモンブラン方面を眺める。
ここまでこんなにバテバテで明日果たして山頂まで行けるんだろうか。
通常は5時間らしいけど、私は絶対に5時間ではいけない。
通常3時間のテートルース小屋ーグーテ小屋を4時間かかってるんだから、頂上まではたぶん7時間はかかる気がする。

 
食堂に掲示してあった明日の天気予報を眺める。
 
「vent a 4000m(4000m地点での風)」は「北西60km/hのち40km/h」、「vent au sommet du Mont-Blanc(モンブラン頂上での風」は「北西60㎞/hのち50㎞/h」と、早い時間帯は結構強い風の予報。
 
夕食後に見た天気予報サイトも大体同じ(グーテ小屋は外に出れば電波通じる)。
天気は快晴だけど午前中は風が強い。ただ風は午後になるとちょっとましになる。
 
 
 
明日は頂上への往復だけだしあまり早く出発する必要はない。
ちょっとでも暖かいように日が出てから出発したいし、風が強いのは嫌だし、7時間かかるとして6時出発でいいかな、と決めた。
 
小屋に貼ってあったポスター。「睡眠薬飲んで登山するのはよくないですよ」らしい。
 
山小屋でいつも睡眠不足に悩まされるので睡眠導入剤とか使おうかな、と考えることもあったんだけど、やっぱよくないのか。。。
しかしそうするとこの「山小屋で寝られない問題」はどうやって対処したらいいんだろう。
 
と考えながら就寝。
モンブラン山旅一日目。
前日は殆ど眠れなかった。
テートルース小屋が予約できたことでこの日の旅程はそんなに厳しいものではなくなったけど、翌日以降への不安があったのかもしれない。
 
始発のバスでベルビューのケーブルカー乗り場に向かう。
平日だと始発のゴンドラには間に合わなそうなんだけど休日は6時台のバスがあって、7時過ぎにはケーブルカー乗り場に着いた。
チケット売り場は開いていないので開くまで待つ。
待っている人は結構いるけどヨーロッパなので列を作って待ったりはしない。日本人としてはやきもきする。
 
ここからテートルース小屋までは標高差2172m。
 
列はなかったもののチケット売り場がオープンしたらなんか自然な流れで列みたいなのが出来、チケットを購入し幸い最初のケーブルカーに乗ることができた。
ー ただ適当な列なので、私の後から来た人でもたまたま立っている場所が扉に近く先にチケット買ったりしていた。
 
ケーブルカーはそこまで大きくないのでもっと繁忙期だと場合によっては始発に乗れなくなる気がする。
このヨーロッパの「並んで待つ」という習慣がない所、未だに自分にとってはストレスたまる。
(列のためにあらかじめ場所が区切ってあったりするところはさすがにこっちの人もちゃんと並ぶ)
 
数分で頂上駅到着。
なんかこの先に、山小屋の予約を確認しているのかな?と思われた男女2人がいた気がしたんだけど、私が準備している間にいなくなっていたので気のせいかもしれない。
 
この左の坂を上がる。
 
ここからテートルース小屋までは標高差1373m。私にとっては結構な距離。
グーテ小屋までは標高差2023mとのことなので、ほんと初日テートルース小屋の予約が取れて良かったなと思う。
 
この辺りで、テートルース小屋まで2時間35分、の標識を見たんだけど、当初は線路沿いを上がるつもりだった。
線路の脇に小道がある。
 
当初この線路沿いを上がっていたんだけど、15分程経ったところで、なんでそんなことを思ったのかわからないんだけど、突然、
 
ほんとにこの線路はニーデーグルまで行くんだろうか
 
と不安になった。
私の前後に誰一人歩いていなかったからかもしれない(今思えば私がのろのろ準備し過ぎておんなじケーブルカーの人はみなはるか先を歩いていたんだと思う)。
 
そしてここから、今思い返してもどう考えても自分の頭がいかれていたんだけど、謎の行動&思考回路になった。
 
まず、不安になったところでYamapの地図を取り出した。
で、自分の今いる位置から線路のマークをすいすいスワイプしていったら、
 
Mont Lachat
 
という駅に続いていることを発見した。
 
もしこの時そのまま線路をスワイプし続ければ、線路はMont Lachatを経てやがてニーデーグルに達する、ということがわかったはずなのに、私はMont Lachatの文字を見た瞬間何故か、
 
やばい、まちがえた
 
とプチパニックになった。
 
私の事前知識では、ベルビューからニーデーグルまでは一駅のはず。
モンラシャという駅名はなんかで見た気がするけど、ベルビューの次がモンラシャなのはおかしい(*注*おかしくないです)。
ということはちゃんと調べ切れてなかったけど、きっとベルビューからは線路は二路線あって私はニーデーグルに行く路線ではなく間違えてモンラシャに行く路線を歩いてきてしまったんだ(*注*線路は1本です
引き返さなきゃ!
 
という正常な人が宇宙猫になりそうな謎思考により、慌てて引き返し始めた。
 
別に地図上の線路をそのままスワイプし続ければ「ニーデーグル駅」の文字が見えて間違っていないことがわかったはずなのに、何故こんな思考になり結局引き返してしまったのか今もって謎。
 
前日もそうだけど、ここ数日初日グーテ小屋まで行けるかとかテートルース小屋の空きがあるかとか色々不安過ぎて寝不足だったからかもしれない。
 
とりあえず確実に言えることは、この時私の思考回路はショート寸前、というかショートしてた。
 
そして思考回路がぷっつんしたまま、それまで20分程登ったのを無駄に引き返して、正規のトレイルを辿ることにした。
 
ちょっと時間を無駄にしたものの、結果的にこのトレイルを歩いて良かったなと思う。
このトレイルは最初ちょっと高度を下げた後はほぼ水平距離を歩き最後に一気に高度を上げる、というルート。
 
当初は木陰を歩くことができるし景色は素晴らしい。
 
途中何か所か鎖場が出てくるけど危険ルートは全くない。
 
これは何の侵入を防ぐ目的なのか、扉みたいなのが何か所か設置してあった。
 
装備からしてモンブランではなさそうだな、という人達もいたんだけど、恐らくこのルートはツールドモンブラン(TMB)の一部になっている気がする。
 
この野原みたいなところでTMB(?)とニーデーグル行きのルートが分岐する。
 
ここを過ぎると急激に登りになり、しかも結構朝日が当たって、あっという間にヘロヘロになり始めた。
 
小さな雪渓がまだ残っているところもあるけど何にもつけなくても大丈夫な程度だった。
 
雪渓を渡った後は日陰だけどすんごい急な崖についた道で一気に高度を上げていく。ばてる。
 
日陰の崖道を登り切った後はじりじりとお日様に焼かれながら更に高度をあげていく。
あそこに線路っぽいものが見えるということはもうすぐニーデーグルだと思いたい。
 
ニーデーグル小屋がようやく見えてきたけどここからがまだまだ遠くて絶望。
 
よれよれになりながらニーデーグル小屋到着。
 
よれよれのバテバテだけど、一応最初の30分くらいのロスを除けば3時間弱くらいで来られた。
コースタイム(2時間35分)よりはかかっているけど、これなら「17時までにテートルース小屋にチェックインする」という目的は達成できそうで安心する。
 
干からびていたのでここで飲み物を2本買い足す。
 
 
 
食欲はあんまりなかったんだけど、とりあえず何かお腹に入れようと思ってスープを頼んだ。
 
小屋に着いた時は全然人がいなかったんだけど、のろのろスープを啜っている間にどんどん人がやってきた。
結構軽装、というかトレランスタイルの人達が多くて、この人達はどこまで行くんだろう、と不思議になる。
 
犬も来ていた。
 
スープをちびちびしながらルートを確認していたら、想定していたルートの下にちょっと短そうな別のルートがあるのを発見した。
 
この下の地図で上のルートを行っている記録が多い気がするんだけど、下にもルートがある。
 
短そうでできればこっちを行きたいな、という誘惑に駆られたんだけど、このルートがどんなところなのか全然下調べしていないのと、最後テートルース小屋に微妙にたどり着かず道が途切れているのが気になる。
 
ここはもう恥を忍んで小屋番さんに聞こう、と思って小屋の中に入って聞いてみたところ、「この下のルートもテートルース小屋に行くよ。ただ、雪が多い時によく使われるルートだから今の時期は上のルートを行ったほうがいいよ」とのこと。
 
なるほど。なら素直に当初予定通り上のルート(ニーデーグル駅から上がるルート)を行こう、と思って1時間くらいの休憩の後小屋出発。
 
ただ、最初はルートが明確だったんだけど、ちょっと行った辺りでルートを見失ってしまった。
 
この辺りでルートを探してうろうろする。
 
一応、ニーデーグル駅からのルートは隣の尾根上に見えているんだけど、微妙にガレた急斜面を下らなきゃ合流できそうになかったりしてあまり行きたくない。
 
悩みながら(でもここであってるはずなんだよな)とYamapの地図を眺めながらきょろきょろしていたら、上の方から下ってくる人が見えてここでも恥を忍んで「テートルース小屋から下ってきました?」と訊いてみた。
 
そしたらちょっと間があった後に、「そうだけど、道が悪いのであまりお薦めしない。一番良いのはニーデーグル駅まで引き返して駅からのルートを上がることだよ」と言われてしまった。
 
うーんそれは嫌だ。。。
 
たぶんこの人が言っているのはニーデーグル小屋の小屋番さんが「もっと雪がついている時のルート」と言っていたルートの事な気がする。
私はそっちに行きたいんじゃなくてニーデーグル駅からのルートに合流したいんだよな。地図上では道があるから。
でもこの人はどうやら英語があまり得意でないようで、私の方もこれをフランス語で説明する能力はない。
 
なので結局Yamapと周りを交互に見つつそのまま進むことにした(アドバイスを無にしてすみません。)
 
しばらくしたら横切れそうな雪渓が出てきたので雪渓を横切りニーデーグル駅からの道に合流。
 
このログの下の方のルートがこの日ニーデーグル小屋から上がったルートなんだけどルートを大幅に外れているのがたぶん迷った辺り。
小屋からのルートはニーデーグル駅からのルートに比べてちょっとわかりにくい所がある。
 
何とか正規ルートに合流できてほっとする。
この辺りは結構アイベックスが多い。
 
ひょっこりアイベックス。
 
暑くてばてばてだけど振り返れば景色は最高。
 
でも前を見ると道のりはまだまだ遠くて絶望する。
遠くの方にグーテ小屋は見えるけどここからはテートルース小屋は見えない。
 
この辺りで雪渓をえっちらおっちら登っていたら、上の方からニーデーグル小屋で見たトレランナーの集団がヒャッハーしながら降りてきて吃驚した。
 
このトレラン集団はどこまで行ったんだろう?
トレランシューズだし超軽装でヘルメットもないしまさかグーテ小屋までは行ってないと思うけど。
(でも翌日グーテ小屋に向けて岩場を登ってたらトレランシューズみたいなので降りてきてた人もいた)。
 
でもテートルース小屋までだとしても私がスープ啜ってる間にここからまだはるか先に思えるテートルース小屋に到達して降りてきたってことなんだからすごい俊足だ。。。
 
登山道の真ん中で堂々と寝転がってるアイベックス。
行きも帰りも何頭かいたのでこの辺りが縄張りなんだろうか。
 
アイベックスを邪魔しないように回り込んで登ってたら、後ろから別のアイベックスが登ってきた。
 
君らすごいよね。そんな雪の急斜面でもアイゼンとか必要ないもんね。
 
 
 
そしてテートルース小屋、遠い。。。
 
最後の岩尾根をひいひい言いながら登る。
雪は多少ついているところもあったけど、アイゼンなしでも行けた。
 
ようやくテートルース小屋が見える。
ちなみに私が半分魂抜けながらのろのろ登ってる間、この横の雪斜面をヒャッハーしながら降りていく集団(雪山装備ではあった)がいた。
結構急だったけどすごいな。。。
 
岩尾根を登り切った所に山小屋の予約を確認されるという噂の検問所(?)があったけどこの日は閉まっていた。
 
ここでノルウェーから来たというおじさまと少し話をして、「じゃあ山小屋でまたね」と私が先に出発したんだけど、この何でもない雪の平原をへろへろで5歩歩いては休み、5歩歩いては休み、と歩いてたら後ろから軽快に歩いてきたノルウェーおじさまに「手貸そうか?」と笑われた。
 
ヘタレに生まれてすみません。
 
到着は16時半。ニーデーグル小屋を出て4時間半。
ニーデーグル小屋の小屋番さんは「テートルース小屋まで僕は2時間もかからないよ」と言っていたし殆どの人の記録では3時間くらいで行けているので、如何に私が駄目かということがわかると思う。
 
ノルウェーおじとか、失礼ながら私より20歳くらいは上に見えたんだけどな。。。
岩尾根で干からびた私がへろへろと登っている後ろからしっかりした足取りで登ってきてすいすい抜かしていき、検問所で休憩した後の数十mの道も結局抜かされてしまった。
問題は年齢じゃないんだ。私がヘタレなだけなんだ。。。
 
とちょっぴり悲しくなりながらチェックイン。
「〇〇と言います」とフランス語で受付のお姉さんに伝えたら、
 
「あら、あなたね。キャンセル待ちの。あの時電話取ったの私よ」
 
と英語でにっこり言われて、
 
我が女神よ、ここにいらっしゃったのですね
 
となった。
 
「あの、本当に有難う。ほんとのほんとに有難う。あなたのおかげで助かりました。一日でベルビューからグーテ小屋まではとても行けなかったから」
 
と伝えたけど、もっと感謝の気持ちをうまく伝えられない自分の乏しい英語力が恨めしかった。
 
ここまでの所要時間とバテ具合を考えると、初日に17時までにグーテ小屋到着は絶対無理だったと思うので、ほんとこのお姉さんのおかげで助かった。
 
チェックインした後、外で景色を眺めてごろごろする。
テートルース小屋もグーテ小屋もインナーシーツ必須なのでテートルース小屋で購入した。
 
上の方に旧グーテ小屋とその右にグーテ小屋が見える。
旧グーテ小屋の下がルートである尾根のはずだけど、この尾根を登るの、私は一体何時間かかるんだろうか。。。
 
で、たぶんあれが悪名高いグランク―ロワールなんだろうな。
この写真だと右下のあたりにトラバース跡が見える。
雪は思ったより結構溶けてる。
そしてトレースがちょっと上り坂気味についているのを見て憂鬱な気分になる。
早く通り抜けなきゃいけない所なのに私のヘタレ体力では登りを素早くなんてことは絶対無理だ。
 
グランク―ロワールは上り坂が憂鬱ではあるもののまぁ運みたいなものだからそんなに不安はないんだけど、その後の尾根が自分の予想より結構ハードそうに見えて明日の不安でぎゅっと胃が重くなった。
まぁ、明日はグーテ小屋に登るだけだから道を迷ってもいいからゆっくり確実に行こう。
 
もう17時を過ぎてたけど上から下って来て更にそのまま下っていこうとしている人達がいて、この人達は今日どこまで行くんだろう、と不思議になった。
10時頃までは明るいとはいえ、今から降りたらニーデーグルつくのは8時にはなるだろうし。。。
皆タフだな。。。
 
 
 
グーテ小屋の食事の前菜のスープ。
なんか味に覚えがあるな、と思ったら昼にニーデーグルで食べたのと同じだった。
 
メイン(スープとメインの間にサラダもあった気もするけど忘れてしまった。気のせいかもしれない)。
おいしかったけど例によってお腹空いてるはずなのに全然食べられず肉2切れを飲み込むのが精いっぱいでクスクスも半分以上は残してしまった(普段嫌いな野菜はなぜか全部食べられた)。
 
テーブルは小屋から指定される(名前を書いたプレートがおいてある)。
ノルウェーのおじさまと同じテーブルになったのでまたちょっと話をした。
モンブランにはもう何回も来ていて、明日は頂上を目指しそのまま麓の駐車場まで降りるという。
 
「そのまま麓の駐車場まで!!??」と目が飛び出そうになった。
私が真似しようとしたら確実に疲労で途中で滑落してると思う。
このノルウェーおじさまだけではなく、翌日や翌々日もいろんな経験豊富な人や体力化け物みたいな人達と出会った。
 
食堂に松本清張の本があった。
"Inspector Imanishi Investigates"ってそんな本あったっけな、と思って帰国後に調べてみたら「砂の器」だった。
アルプスの山小屋においてる日本の本が「孤高の人」とか「神々の山嶺」ではなく「砂の器」なのちょっとおもしろい。
 
今回のモンブラン登山の不安の一つに高山病になったらどうしよう、というのがあった。
 
もともと不安だったところ、本来はシャモニー到着翌日にエギーユミディでコスミック小屋まで散歩して高度順応しようかなと思っていたのに直前のテートルース小屋一泊追加でそれもできなくなったのでさらに不安になった。
 
到着翌日に即山行スタート、というスケジュール。
そういう意味では今回の山旅で、高度順応的なものは全くしていない。
 
ただ、結果として、高山病らしき症状はほぼ全くでなかった。
(寝る前にちょっと頭痛いかな、となったくらい)。
 
去年ブライトホルンとアラリンホルンで気持ち悪くなったので、今回はラッキーだった。
グーテ小屋では、高山病でヘリで運ばれた人もいたので。
 
今回大丈夫だった理由を自分なりに2つ考えると、1つは
 
①日程がかなりのゆっくり登山であったこと
 
テートルース小屋泊を追加したことによってエギーユミディでの高度順応はできなくなったけど、同時にというか逆にかなりのゆっくり登山になった。
1日目にベルビューからテートルース小屋、2日目にテートルース小屋からグーテ小屋、3日目にグーテ小屋から山頂を目指す、と徐々に高度を上げていく旅程になったので、これが逆に良かったのかもな、と思う。
 
②処方箋無しでも高山病の薬が買えたこと
 
高山病の薬、ダイアモックスは医師の処方箋がないと買えない、ということを直前に知って(\(^o^)/オワタ)と思っていたけど、シャモニー到着後、ダメ元で薬局に行ってみた。
 
「高山病の薬ってありませんか?」と聞くと、カウンターのマダム曰く、
 
「2種類あるわよ。強いのと弱いの。強いのはお医者さんの処方箋がないと買えないけど」
 
処方箋なくても買える薬あるの神やん
 
というわけで処方箋無しでも買える「弱い方の高山病の薬」がこちら。

 
mal des transportsというのは乗り物酔いなので、「え、乗り物酔いと高山病の薬っておんなじなの?原因違うんじゃないの?」と思ったけど、確かにmal des montagnesとも書いているし、半信半疑ながらこれしかすがるものがないので買ってみた。
 
薬局のマダム曰く、摂取は1日5錠が上限、食後よりは食前が良いとのこと。
 
私はこれを買った日(つまり山旅開始前日)の夜から、朝、昼、夜、の1日3回飲んだ。
 
この2つのおかげか、今回頭痛や気持ち悪さみたいなのは寝る前を除いてなかった。
7月もちょっと高山に行く予定なので、この薬を握りしめて行こうかなと思っている。