ツェルマット山旅2日目。
この日は朝ブライトホルンを通常ルートで登ってから下山、ツェルマットからサースフェーへの移動日。
この日のブライトホルンの天気予報は引き続き良さそう。

ただ一個だけ午後から天気悪化の予報があったので、早め出発早め下山を決意した。
事前計画のときにブライトホルンの登山口を調べるとklein matterhornと出てきたんだけど、そんな名前のゴンドラ駅は見つからずどうもmatterhorn glacier paradis=klein matterhornらしい、というのがわかった。
klein matterhornでグーグルに打ち込むと下のホームページがトップに出てくる。
Matterhorn Glacier Paradise | Peak in Zermatt
で、このHPでliftsという所をクリックして夏季の運行情報を調べるとZermatt-Trockener Steg-Materhorn Glacier Paradisの欄では始発は8時30分になっている。
だから始発は結構遅めなんだな、と思ってたんだけど、スイス国鉄アプリで時刻表を検索すると始発は7時6分と出てくる。
ようわからない。
でもとりあえず早いほうを試してみるか、と思いつつ6時半にホテルをチェックアウト(早朝チェックアウトが可能かは事前に確認した)して不要な荷物を預け、スイス国鉄アプリを信じて7時前に乗り場に向かった。

混んでるかと思いきや全く並ぶこともなく始発の結構でかめのケーブルカーみたいなのに乗り込み出発。
素晴らしい景色だ。。。

と思いつつ眺めていたら、車内で結構でかめのアメリカ英語の会話が聞こえてきた。
他の言語がほぼ全くわからないので消去法で英語が耳に入ってくる。
どうも声のデカいアメリカ兄ちゃん(といっても40らしいが)がドイツ人のおじさんに話しかけている様子。
ERのドクターでやっと1週間休みが取れてChatGPTに「夏にスノボするならどこがいい?」と訊いたらツェルマットをお薦めされたから来た、とのこと。
・・・ザ・アメリカ人って感じだ(偏見)
「スノボってヨーロッパであんまり見ないよね。でもアメリカではスキーよりスノボの方がクールなんだよ」
ヨーロッパでスノボがあんまりいないのは知ってる。
アメリカでスノボの方が「クール」なのは知らんかった。
ただまぁなんかアメリカ人はスノボのほうが好きそうだよね、とは思う(偏見)
と思いながら聞くともなく聞いてたらアメリカ兄ちゃんがいきなり、
「トランプの関税政策についてどう思う?」
・・・。
この景色の中で出てくる言葉が「トランプの関税政策」なのマジか

なんかこう、なんかもっと他に何かあるんじゃないか。
相手は見知らぬドイツ人、お互い休暇、大西洋を越えてやってきた初めてのツェルマット、周りは素晴らしい山々。
なんかこう、もっと他にさぁ。。。
兄ちゃんはトランプ支持派らしく、トランプの関税政策が如何に素晴らしいかを熱弁している。
(この景色でその話題まじか)、と思いながら聞いていたら、
「例えば日本なんかとても不公平な貿易政策を取っているんだよ」
突然の飛び火。
「アメリカは日本の物に対して貿易制限を設けていないのに彼らはアメリカのものを買わないようにしているんだ」
・・・ここにアジア人いるの見えてないか。
日本人だったら、とかは思わんか。
まぁ見えた上で気にしてないのかもしれないけど。
強制的にBGMに日米貿易問題の話を聞かされながらmatterhorn glacier paradis到着(1回乗り換えたが始発なのでアメリカ兄ちゃん+トランプの貿易政策議論も一緒だった)。
まぁ別にどうでもいいんだけど・・・
この景色見ながら初対面の人と話すことがトランプの関税政策なのマジか

もう1回言うけど。
たぶんもっと他にあったと思うよ、アメリカ兄ちゃん。。。
気を取り直してスタート。
ブライトホルンに行く駅の出口がわからなかったらどうしよう、と思っていたけど心配は無用で駅の出口は一カ所しかなかった。
しかも駅からブライトホルンもブライトホルン取りつきもほぼ見えている。


メンヒの時と違って駅からはほぼ平坦な道をちょっと歩いて左の方に取りつきがある。
このカラフルな看板がある辺りからロープをくぐって左に入った。

天気が良ければ大量の登山者とトレースがあると思うので迷うことはないと思う。
この日も大量の登山者がいた。

別にアイゼンつけなくてもよさそうな道に見えたけど、私は一応ここでアイゼンをつけた。
一応・・・一人なので。
隠れクレバスに転がり落ちたらアイゼンで蹴ってなんとか止まれるように、という気持ち程度の安全策(でも後日氷河を歩いて思ったけど止まるのはたぶん無理だ)。
ピッケルも一応ザックから外して肩とザックの間に挟んだ。
ここでアイゼンつけたりロープでつないでいるパーティが多かったけど、もう少し先でアイゼンつけているパーティもいた。
しばらくはほぼ平坦&緩やかな登り。

分岐があって、ここで休憩している人が多かった。
分岐はマッターホルンに行くための試験だというハーフトラバースルートというやつなのだろうか?
通常ルートはこの上の写真の斜面を左にトラバースしていく。

この日は高速道路並みの道がついていた。

ただ高速道路なんだけど、ちょっとした雪の段差に右足が乗って足首が動くとこの日も「いって」と声が出るくらいだったので、この後のアラリンホルンとデュフールシュピッツェへの不安はちょっぴり高まった。
前にもたくさんの人がいたし、振り返るとたくさんの人が登ってくるのが見えて人気のルートなんだなというのを実感する。

全く怖い所はないけどこの斜面のトラバース路の下にはクレバス的なものが口を開けていたので、万が一何かで左にすっ転ぶことがあればそのままクレバスに吸い込まれるリスクはあるのかもしれない。

ひたすら高速道路を左にトラバースし最後右に折り返して登る。

頂上的な所に到着。
特に標識などはなく、一番高い所が頂上。

頂上まで約2時間。
体力カスの鈍足+この日は一応デュフールシュピッツェに向けたトレーニングのつもりでハーネスやロープを詰め込んでたけどそれでも割と順調に頂上到達。

ブライトホルン通常ルート…なんて私のようなヘタレに優しい山なんだ。
眺めは素晴らしい。

今写真見返して気づいたけどもしかして下の写真中央右寄りにあるのはマッターホルンなんだろうか。

頂上の先には道が伸びていて、向こうの雪稜にトレースや人影が見える。
あれがハーフトラバースルートなんだろうか。

ハーフトラバースの手前にも下に降りる道がありそうに思えてちょっと行ってみたい気持ちにかられた。
でもチキンだし下調べしていない道を行くのもどうかと思ったので往路を引き返した。

降りるときもまだたくさんの人が登ってきていてすれ違った。

氷河のある山のように早く登らないと日中雪が緩んでリスクが高くなる、というようなところはなさそうに思ったけど、単純に暑いのでこの時期登るなら早出早降りが良いかもしれない。
ピッケルは出発時に背中とザックの間に挟んだまま。出すようなところは全くなく、ストックだけで行けた。
ヘルメットをしている人は体感1割弱くらい。
ハスキー3匹を連れたパーティも登っていた(3匹中2匹はカッコいい犬ゴーグルをつけていた)。
山行時間は約3時間20分。
ブライトホルン…お手軽に登れて最高の眺めが楽しめる山だった。
ただ、私はこの日「お手軽だ」という印象を持ったけど、それが正しいのかはわからない。
この翌日のアラリンホルンではクレバスにかかるスノーブリッジを渡り、デュフールシュピッツェへの道中では暗闇の中ヘッドランプの明かりだけでクレバスだらけで迷路のような氷河をさまよい歩いた。
これはクレバスの迷路みたいなモンテローザ氷河。

それに比べると危ないと感じる所はなかったけど、最初の方の写真に載せたようにクレバスはあるにはあるので、コンディションが悪ければ危険な時もあるのかもしれない。
そういう意味ではロープでつないでいるパーティは結構いたように思う。ガイドパーティが多かったからかもしれないけど。
下に降りてきたときにこれから登ろうとしているたぶんイタリア人っぽいカップルに「ストックだけで上まで行けた?」と聞かれた。このカップルはピッケルは持っていないように見えたけど、既にお互いをロープで確保済だった。
帰りは途中駅のTrockener Stegで降りてマッターホルンを眺めながらちょっと休憩。

「岩場100%」みたいな山は個人的には登りたいとは思わない(登れるとも思わない)けど見ている分には好きだ。
マッターホルンも大変恰好いいなと思う。アイガー北壁と同じ。
あの肩(?)の辺りにあるのがヘルンリ小屋なのかな。
なんかもう一つ小屋があったような気もするんだけどあんまりよく知らない。
あんなところによう小屋建てようと思ったな。。。人間すごい。

行きはケーブルカーを2台乗り継いだような気がしたんだけど、帰りは何故かゴンドラだった。
同じところから乗り降りしたはずなんだけど、どこかで何か間違っただろうか。。。
行きに乗車した駅とは違う駅に出た。

スイスのゴンドラやケーブルカー、登山鉄道は発達し過ぎてて私には把握できない。。。
この後宿に行き預けていた荷物をピックアップしてサースフェーに向けた長い移動が始まった。
宿への帰りに見た広告。山岳映画の広告かと思ったけどどうやらYoutubeで調べたところ劇っぽい。
舞台がすごい。
Zermatt Tourism meets #6: The Matterhorn Story - YouTube

劇のストーリーはわからないけど上のyoutubeインタビューで「ミシェル・クロ」という役の人が出てきてこの名前を調べたところ1865年のマッターホルン初登頂時のガイドさんの一人らしいので、初登頂にまつわるストーリーなんだろうな、と想像。
街着と変わらないように見える恰好で登ってた昔の人、ほんとにすごいと思う。。。人の好奇心というか探求心というか勇気というか山への愛、すごい。