伊豆・夏の終わりに沼津アルプス日帰り縦走(沼津駅~香貫山~徳倉山) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

8月18日に日帰りで行ってきた静岡県東部は沼津市にある沼津アルプスにおける山行記録。(便宜上、表題は伊豆としている。)

今年の夏は天候云々ではなく、身内の不幸で山に行く機会が失われてしまった。
山に行く機会が無いまま約1ヶ月、時季的に日帰りで行ける標高の低い山はやや気が乗らないが、我慢も限界に来ていたので単休に思い切って低山に特攻することにした。

前日に計画を立て、当初は都県境の笹尾根を生藤山から例の美味しい蕎麦屋がある西原に近い槇寄山まで縦走を考えていたのだが・・・。

18日
目が覚めると室内は既に薄っすらと明るい。
嫌な予感を覚えて時計を確認すると時刻は6時前。
2時間の寝坊に晴天予報の今日は絶対に山に行くと決め込んでいた意思も萎え、身体を起こしたは良いけど行かない理由を探している自分が居た。
止める理由はいくらでもあった。
実は数日前に身内の面倒事を片付けるため運動も兼ねてチャリで猛暑のなか市内を東奔西走した帰りにプールで泳いだところ、左膝をおかしくしてしまったのだ。
低山を登ろうと計画したのは膝痛のリハビリを考えてのことだが、膝を曲げるだけでかなり痛い状態だ。
2つめに、寝坊により今回の笹尾根縦走の踏破は事実上困難になったこと。
目的地に行くことはできるけど、下山先で目当てのお蕎麦にありつく時間はない。
それではと箱根の未踏ルートを調べるも今一気が乗らない。
低山でエスケープが容易な山といえば・・・、あった。
アクセスも良く前から気になっていた沼津アルプスだ。
所謂ご当地アルプスの一つで、駿河湾の海岸線に沿って連なる最高でも400m弱の超低山だ。
老後(笑)にとっておいた山だが、富士山や駿河湾の眺望は良さそうだし、膝の調子が悪化してもすぐにエスケープできるコースなので、急ぎ支度をして家を飛び出した。

普段始発を乗り継いで乗る東海道線はこの時間既に混んでいて小田原駅で漸く座席に座ることができた。
熱海で乗り換え目的の沼津駅に着いたのは8:15頃だった。
登山口まではバスで行くことも出来るが、徒歩でもそこまで距離はなく、カラッとした陽気なので歩いて向かうことにした。
狩野川に架かる橋の袂に着くと、これから登る沼津アルプスの北端部が見えてきた。
橋を渡って狩野川沿いに遊歩道を歩いていく。
水面には水鳥の大群が、市街地の向こうには愛鷹山が良く見える。

駅から20分弱で沼津アルプス北端の香貫山登山口に到着。
登山口からはいきなりコンクリートのスロープ&手摺り付きの登山道らしからぬ道。
間もなく車道に出ると、ウォーキングのおっさんと爺さんに立て続けに出会うw
香貫山は誰でも気軽に登れる俗化した山だったのだ。
車道の向かいの階段をちょっとばかり登れば五重塔が聳える広くて明るい広場へ。
駐車場の他にトイレや営業している売店まで完備した市民の憩いの場だったのだ。
北西側の展望の良い場所は地元のご老人が語らいながら占拠していたため邪魔をしないように先へ進むことにした。
引き続き山頂へ向けて足を進める。
山の斜面には地元の小学校によって桜の樹が植林されている。
後で調べたところによると、この沼津アルプスは4月頃が桜の花目当てに混雑するようだ。
途中の水場はまさかの蛇口。
山頂付近まで水道が通っているようだ。
この山全体を通して公園っぽいな、と思っていたがそれもそのはず。
これも後で知ったことだが、香貫山公園として整備された山だったのだ。
小粒の栗が登山道いっぱいに落ちている。
栗や桜の木はこの先も普通に見られた。
9:13、最初のピークの香貫山(193m)に到達。
登山口から30分弱でのお手軽登頂だ。
地図には360°の展望マークがあるが、そんなことはなく展望は主に南から西辺りまで。
でも、普段訪れることの少ない伊豆の山々が見られて個人的には大満足だ。
湾を挟んで正面に一等三角点の達磨山や背後に天城山脈の主稜を望むことができる。
これから歩いていく稜線。
手前から横山、徳倉山、鷲頭山、横山の背後に被って僅かに見える太平山。
達磨山と駿河湾の眺め
故障している左膝を庇いながら、ゆっくりと香貫山頂から鞍部へ向けて階段を下っていく。
倒木の上で寛ぐ野良猫。
人里が近く餌付けされているのか、全く人を怖がらないどころか呑気に目の前で欠伸をしているw
舗装路を歩いていると向こうから地元のご老人がとぼとぼ歩いてきて、猫が後ろをついて歩いていた。
この辺りは野良猫の安息地のようだ。
舗装路から外れて階段を下ると交通量の多い車道へ。
反対へ渡り左手へ緩やかに歩いていく。
峠を越える辺り右手に登山口。
これまでの道を振り返ってどうせ大したことないんだろうと高を括りながら登っていくと、間もなくかなりの急登が待ち受けていた。
香貫山の登山道が全体的に遊歩道っぽく物足りなく感じていただけに、漸く山登り感が出てきた感じだ。
ゆっくりと着実に急登をやり過ごしたところで10:04、横山(183m)に到着。
樹林に囲まれた地味なピーク。
麓からは野球少年の練習の掛け声がハッキリと耳に届く。
樹林に囲まれた地味な横山のピーク
横山から緩やかに下った先で横山峠に到着。
真下辺りに車道が通っているので、この峠から東西どちらへ下りてもエスケープ可能。
膝の調子も思ったより悪くなかったので、このまま徳倉山への登り返しへ。
横山峠から間もなく、先が見えない長い長い階段地獄へ。
前情報通り、標高の割りに険しいアップダウンがあるコースだ。
階段を登り終えた頃には流石に息が上がった。
登山道の脇には小さな祠があり、歴史を感じさせる。
樹林を抜けると広場のような徳倉山の山頂へ。
歩を進める度にバッタが飛んで逃げていく。
10:43、徳倉山(256m)到達。
からっとした陽気に開放的な日溜りの山頂。
少し早いけど休むには丁度良い場所なので、ここで昼食とした。