今年の夏は天候云々ではなく、身内の不幸で山に行く機会が失われてしまった。
山に行く機会が無いまま約1ヶ月、時季的に日帰りで行ける標高の低い山はやや気が乗らないが、我慢も限界に来ていたので単休に思い切って低山に特攻することにした。
前日に計画を立て、当初は都県境の笹尾根を生藤山から例の美味しい蕎麦屋がある西原に近い槇寄山まで縦走を考えていたのだが・・・。
18日
目が覚めると室内は既に薄っすらと明るい。
嫌な予感を覚えて時計を確認すると時刻は6時前。
2時間の寝坊に晴天予報の今日は絶対に山に行くと決め込んでいた意思も萎え、身体を起こしたは良いけど行かない理由を探している自分が居た。
止める理由はいくらでもあった。
実は数日前に身内の面倒事を片付けるため運動も兼ねてチャリで猛暑のなか市内を東奔西走した帰りにプールで泳いだところ、左膝をおかしくしてしまったのだ。
低山を登ろうと計画したのは膝痛のリハビリを考えてのことだが、膝を曲げるだけでかなり痛い状態だ。
2つめに、寝坊により今回の笹尾根縦走の踏破は事実上困難になったこと。
目的地に行くことはできるけど、下山先で目当てのお蕎麦にありつく時間はない。
それではと箱根の未踏ルートを調べるも今一気が乗らない。
低山でエスケープが容易な山といえば・・・、あった。
アクセスも良く前から気になっていた沼津アルプスだ。
所謂ご当地アルプスの一つで、駿河湾の海岸線に沿って連なる最高でも400m弱の超低山だ。
老後(笑)にとっておいた山だが、富士山や駿河湾の眺望は良さそうだし、膝の調子が悪化してもすぐにエスケープできるコースなので、急ぎ支度をして家を飛び出した。
普段始発を乗り継いで乗る東海道線はこの時間既に混んでいて小田原駅で漸く座席に座ることができた。
熱海で乗り換え目的の沼津駅に着いたのは8:15頃だった。
登山口まではバスで行くことも出来るが、徒歩でもそこまで距離はなく、カラッとした陽気なので歩いて向かうことにした。
狩野川に架かる橋の袂に着くと、これから登る沼津アルプスの北端部が見えてきた。
水面には水鳥の大群が、市街地の向こうには愛鷹山が良く見える。
駅から20分弱で沼津アルプス北端の香貫山登山口に到着。
登山口からはいきなりコンクリートのスロープ&手摺り付きの登山道らしからぬ道。
間もなく車道に出ると、ウォーキングのおっさんと爺さんに立て続けに出会うw
香貫山は誰でも気軽に登れる俗化した山だったのだ。
小粒の栗が登山道いっぱいに落ちている。
栗や桜の木はこの先も普通に見られた。
登山口から30分弱でのお手軽登頂だ。
地図には360°の展望マークがあるが、そんなことはなく展望は主に南から西辺りまで。
でも、普段訪れることの少ない伊豆の山々が見られて個人的には大満足だ。
手前から横山、徳倉山、鷲頭山、横山の背後に被って僅かに見える太平山。
達磨山と駿河湾の眺め
人里が近く餌付けされているのか、全く人を怖がらないどころか呑気に目の前で欠伸をしているw
舗装路を歩いていると向こうから地元のご老人がとぼとぼ歩いてきて、猫が後ろをついて歩いていた。
この辺りは野良猫の安息地のようだ。
からっとした陽気に開放的な日溜りの山頂。
少し早いけど休むには丁度良い場所なので、ここで昼食とした。