伊豆・夏の終わりに沼津アルプス日帰り縦走(徳倉山~大平山~山口道BS) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。


徳倉山頂より望む愛鷹山。
その背後に見える筈の富士山はすっぽりガスの中。
徳倉山から先は急な下り。
と、ここで石車に乗ってしまい故障している左膝を痛め、あまりの痛さに呻き声が漏れてその場に踞ってしまう。
患部を擦って暫くした後漸く歩くことが出来たが、無事に踏破出来るだろうか。
機関銃座の跡地。
L字状の穴の奥には部屋が残っているらしいけど、立ち入り禁止のロープが張ってある。
マメヅタに覆われた大樹。
人間の生活圏はすぐ近くなのに、自然が色濃く残っている。
暫くアップダウンが少ない登山道が続く。
昆虫や小鳥のざわめきが響き渡る鬱蒼とした樹林の道で、展望は無い。
千金岩という峠への下りに転じたところで駿河湾や沼津市街、愛鷹山の展望が一気に開ける。
綺麗に弧を描く海岸線の景色が素晴らしい。
冬の空気が澄み渡った日なら南アルプス南部の山々も望めそうだ。
沼津アルプス最高峰の鷲頭山が見えてきた。
達磨山などの眺望
稜線で出会った光沢が美しい蝶
11:41、志下山(214m)通過。
稜線上の突起のような所謂ザコピークだ。
下ったところでぼたもち岩の巨岩がある志下峠を通過。
志下山からの下りでまたも膝を痛めてしまい、峠からエスケープしようと思ったけれど、最高峰は目前だというのに諦めるのは納得できない。
というわけで山行続行。
いよいよ沼津アルプス最高峰の鷲頭山への登りに転じる。
志下峠から少し登った中腹に聳える中将岩の岩壁と岩屋。
荒船山の威怒牟畿不動ほどではないが、迫力ある岩壁だ。
中将岩からは険しい急登が始まる。
途中の樹間より望む箱根の山々
12:17、前衛の小鷲頭山を通過。
沼津アルプス最高峰の鷲頭山はもう目前。
日の当たるところには百合が数株花を咲かせていた。
ツクツクボウシ
沼津アルプス全山を通して見かけた。
鳴き声のリズムに連動して腹部を動かすのが観察していて面白い。
小鷲頭山で見かけた百合の仲間
小鷲頭山から10分程で12:28、鷲頭山(392m)に到達。
木漏れ日が心地よい広々とした山頂だ。
鷲頭山頂やその前後で数名のハイカーと出会ったことから、この暑苦しい時季でも人気があるようだ。
小休止した後、引き続き南下して多比バス停を目指す。
箱根から伊豆半島に連なる丹那山地の山並み

急坂を下り終え、大平への下山路を見送り分岐を軽く登り返して多比峠へ到達。
ここから先は進路を東へ変え大平山方面へ。
これまでの登山道とは一変して岩稜のようなコースに。
北側が懸崖の道が細い箇所も。
この付近はウバメガシという関東では見られない樹木の北限に当たるらしい。
小刻みにアップダウンを繰り返した後、多比バス停への下山ルートがある多比口峠に到達。
当初の予定ではここから下山する予定だったけど、沼津アルプスNo.2の大平山はすぐ目前。
膝痛は下りで左足から下ろせば今のところ問題ないので、予定を変更して引き続き東進して大平山へ。
多比バス停へのルートを見送り、大平山への急坂が始まる。
今回は低山とは言え何度もキツイアップダウンを辿ってきたので少々ヘトヘト。
最後の登りをじっくりと登っていく。
13:23、大平山(356m)到達。
樹木に囲まれた静かなピークで眺望は南東に少し開ける程度。
人気もなく落ち着く山頂だ。
休憩しながら地図を広げ、スマホを片手に下山ルートを思案。
山と高原地図では大平山より東は破線ルートとなっているが、どうやら近年地元有志の尽力でしっかりと整備されている模様。
引き返して多比に下るのも味気無いので大平山以東の破線ルートを経て下山することとする。
大平山頂、破線コースの入り口には奥アルプスと書かれた手製の看板がある。
破線コースだけあり道は一気に細くなり下草が煩いが、道は明瞭。
大平山頂からは再び急な下りに転じるが、ロープの設置など必要以上に整備されていて一安心。
特に左膝を壊している私からすればロープには非常に助けられた。
大岩に掛かる梯。
標高の割りにバリエーションに富んでいて楽しい。
間もなく、下山予定の山口道バス停への分岐へ。
引き続き大嵐山に向けて稜線を進もうか迷ったが、今回はここでドロップ。
分岐を山口道バス停へ向けて下っていく。
大平山より先は人の往来があまりないのか蜘蛛の巣があちこちに張り巡らされていてとても煩わしい。
棒を振りながら沢沿いに下っていく。
一部やや不明瞭な箇所があったので登りは兎も角、下りは少し注意。
やがて右岸右手、苔むした階段の先に小さな祠が見えてくる。
14:15、山口登山口に到達。
ここから先の道は鋪装されており、少し進むと住宅地の中を歩いていく。

住宅地を過ぎると一面の水田。
振り返ると大平山(左)~鷲頭山(右)、以北の歩いてきた稜線を望むことができる。
鷲頭山以北の山並み。
中央が徳倉山かな。

歩いて来た山々を一望したのち山口道のバス停を目指す。
水田の水面に注意を向けると時折イモリやゲンゴロウの姿が。
水棲生物を見つけながら田圃脇の道路を歩くこと数分、コンビニの手前に山口道のバス停が見えてきた。
山口道バス停は沼津駅と三島駅双方にバスが出ていて本数も多いので多比バス停に比べて何かと便利なのだ。
山を歩いてすっかり空腹になってしまった胃袋をコンビニで満たし、その後三島駅行きのバスに乗って帰途に就いた。

気楽な気持ちで臨んだ沼津アルプスは標高こそ低いものの、縦走を通して全山巡ると中々歩きがいのあるコースだった。
コースの変化や道中出会った動植物もバリエーションに富み、市街地から近い低山の割りに十分に面白いし、駿河湾や伊豆の山々の眺望も素晴らしい。
老後とは言わず、また機会があれば再訪したい。

歩数:26,531歩
沼津駅8:15→香貫山9:13→横山10:04→徳倉山10:43→志下山11:41→鷲頭山12:28→大平山13:23→山口道バス停14:26