奥多摩・三頭山~槇寄山日帰り縦走(三頭山~槇寄山~びりゅう館、帰途 | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。


三頭山頂標識(奥多摩三山ver)

三頭山頂から北側に本来見える石尾根の稜線や雲取山、飛龍山が見えるらしいが、今回は残念ながら雲の中。
まあ、奥多摩に景色は特に求めていないので、どうでも良いけど・・・。
石尾根方面のパノラマ

山頂にて軽食を食べながら小休止。
思ったより肌寒かったので、休憩を終えたらとっとと切り上げて先へ進む。
ここからは高尾山まで続く長い笹尾根を槇寄山まで歩いていく。
三頭山から階段で下って少し歩くと三頭山避難小屋へ。
奥多摩らしいログハウス調の造りで、トイレもしっかり併設されている。
ここに泊まれば1日で笹尾根を踏破出来そうだ。
内観は整然としていて綺麗だったが、玄関は隣のトイレの臭いが充満している点が残念だった。
三頭山避難小屋外観
三頭山避難小屋内観

三頭山避難小屋から緩い坂を登って直ぐに大沢山(1,482m)に12:07到着。
この付近は東京都檜原都民の森として過剰に整備されているので歩き易い。
三頭山頂付近程ではないが、人気も少なくない。
大沢山頂

大沢山の少し先で三頭大滝への分岐を見送り、西原峠方面へ下っていく。
分岐

暫くして道は平坦になり、広い尾根の樹林の中を歩いていく。
平坦で単調な登山道が延々と続き、何となく呆気ない感じ。
楽ちんなのは良いことなんだが、登山とは何か違うんだよなー。
起伏の無い平坦な尾根道

進んでいる内に軽い登りに差し掛かったかと思ったら、12:49槇寄山(1,188m)に着いてしまった。
標識は朽ちていて判りにくいが、槇寄山の山頂であることを確認した時、えっここなの?wと思ってしまった。
それくらい地味で味気無い山頂だったのだ。(山と高原地図にはそこそこ大きな文字で記名されていたので、景色が良いとか、何か特徴があるものかと思い込んでいた。)
槇寄山頂標識
槇寄山頂。そこそこ広く、晴れていれば富士山が見えるらしいので、幕営には良さげ。
4月に歩いた北都留の山々

空はどんより、周りは樹林、人気も無い静かな空間。
落ち着いた一時を過ごした。
さて、今回三頭山と槇寄山を繋ぐ計画を思い立った真の理由は山登りではない。
勿論、山登りも目的の一つではあるのだが、三頭山から敢えて地味な槇寄山へ南下した理由は、前回の北都留山行の坪山山頂で出会った老夫婦が絶賛していた西原地区にあるびりゅう館の蕎麦が食べたかったからだ。
そのびりゅう館のある西原は槇寄山から山梨県側郷原へ下って遠くない距離にあるのだ。(東側東京都の数馬の湯も捨てがたいが・・・)
郷原へのルートは槇寄山頂の前後にあり、戻るのもアレなので、少し陣馬山側へ下った分岐から下っていく。(途中で手前側からのルートと合流する)
郷原を含め四方へ別れる西原峠の分岐

分岐を郷原方面へ進み、槇寄山を巻くように登山道を進んでいく。
途中で槇寄山頂手前からのルートと合流し、尾根沿いに下っていく。
下っている最中、突然猛スピードで小さな何かが前方を横切った。
ウリ坊か小動物の何かかと思ったが、正体は雌の雉だった。
人生で2度目の雉との出会い。
1度目、今年2月に湯河原の南郷山で雄と出会ったが、茶色い、何と地味な羽毛だろう。
今回の山行は地味のオンパレードだなw
突然のエンカウントに竦んでしまい、その間も雉は山腹を駆け回る。
数秒後、急いでカメラを取り出そうとしたが、タイミングが遅すぎた。
野性動物の撮影って難しい!
やっぱり辛抱強く待ち伏せとかしないと撮れないのかな。
気を取り直し、再び下山開始。
登山道は程よい傾斜のジグザグの下り道。
ザックの軽さも相俟って、軽快に駆け下る。
途中の登山道より、山間の集落を見下ろす。
登山道の途中にあるオツネの民話に関する看板。
三頭山の急登、オツネの泣坂と関係があるようだ。

登山道を下るにつれて空からは晴れ間が覗き、だいぶ標高を下げたことでムワッとした生暖かい空気が包み込む。
猪避けの柵の扉を通過すると、長閑な郷原の集落に到達。
郷原地区の長閑な風景

この前通った時も長閑で良いところだなーとバスの車窓から眺めていたが、実際に自分の足で歩いてみて実感した。
時間の流れが不思議と遅く感じるのだ。
人家や畑、立派なお寺を通りすぎながら下っていき、13:39郷原バス停に到達。
雨降山と権現山
畑の脇の草叢に咲く花

バスが通る県道を上野原駅方面へ歩くこと数分、目的のびりゅう館への標識を発見。
標識の方向へ川沿いに進み、右岸へ渡る。
澄んだ水を汲み上げる水車を見て漸く目標のびりゅう館に13:46到達。
びりゅう館脇の水車

時間が時間だからか、お客さんは私だけ。
天婦羅蕎麦と地元名産の柚子を使ったソーダを注文した。
ここの蕎麦は近くの綺麗な水を使用した手打ち蕎麦が美味しくて有名とのことで、期待が膨らむ。
10分程待って出てきたのがこちら。
天婦羅蕎麦と柚子ソーダ。天婦羅はウドや人参、ユキノシタ等。

三頭山で軽食を摂ったばかりだが、こんな旨そうなものを見て食欲が沸かない筈がない。
早速蕎麦を麺つゆに浸けて一啜り。
・・・はんぱないっす。
味はさることながら、瑞々しさとコシが凄い!
普段はうどん派で滅多に、というかまず蕎麦を食べない私だが、蕎麦派に寝返りそうになるレベルの美味しさ。
そして、天婦羅も蕎麦と比べて遜色無い美味しさ。
衣のサクサク加減も絶妙なのだが、素材が美味しい。
ユキノシタって、よく登山道で見かけるけど、こんなに旨い物だとは思わなかった。
もう何だろ、登山なんてどうでもいいから、これ目当てだけで来ても良いレベルw
普段からろくなものを食べない私が言うのもアレだが、今まで食べた全ての蕎麦が霞んでしまう程だ。
絶対にまた来よう!絶対に!
・・・あれ?食レポ?登山はどこいったんですかね・・・?(笑)
帰りのバスは数少ない運行本数の中の16時台のバスに乗る予定だったのだけど、季節運行の14時半のバスについて問い合わせると、幸運にも6月上旬までは運行している事が判明。
食事を終え、土産品を買って店の外のベンチで一休み。
土産は現地の郷土料理というでん楽味噌で煮たジャガイモ。
こちらも甘辛い味が染みていて美味しかった。
びりゅう館

びりゅう館を後に学校前バス停へ向かい、14:43の上野原駅行きに乗り上野原駅へ。
帰りは中央本線で八王子に出て横浜線で帰途に就いた。
びりゅう館前にて

久しぶりの奥多摩登山。
登りはじめは今日は不調かな?と思ったけれど、日帰りの軽装だけあって途中から楽々と登ることが出来た。
景色は残念だったけれど、私が思うに奥多摩の魅力って樹林等の自然や静けさにあるんだよね。
景色が目当てなら、最初から道志や御坂、天子、今の時季は行かないけれど丹沢辺りに行ってるし。
その点では奥多摩の魅力を楽しめた山行だった。
今度は笹尾根を反対側の陣馬山側から登って未踏部分を埋めたいと思う。
そして何よりびりゅう館のお蕎麦。
主菜の天婦羅は言わずもがな、副菜の手造り蒟蒻など、全てが本当に美味しかった。
朝眠かったけど、強引に行くことを決断して本当に良かった。
登山とお蕎麦で満たされた1日だった。

6月9日
深山橋BS9:12➡三頭山西峰11:29➡大沢山12:07➡槇寄山12:49➡郷原BS13:39➡びりゅう館13:46➡学校前BS14:43