私が引っ越しを機に所有の雑誌すべてを1986年に廃棄したことは「はじめに」で書いた通りです。また単行本の理工学書も昔から沢山抱えていたので、約30年前と10年ほど前に古書店街で有名な東京・神保町の専門店にて売却したことがあります。
その感想は「捨てた方が腹が立たないだけマシ」、です。「BOOKOFF」にタダ同然で置いて来るよりは値は付きますから、買取価格の問題ではありません。その店というのは、こちらが買う側でも無機質な接客しかしませんが、まして売りに行くと「こっちが客だ」、という態度も露骨にカスタマー・ハラスメントに出るからです。10年ほど前には買取価格に苦笑いの表情をしただけで中年男に、何だその態度は、と言いがかりをつけられました。私は「安い」とも何とも一言も口に出していないのにです。今現在はどうか知りませんが、従業員が次々と入れ替わるような規模の会社とかでもあるまいし、30年前も10年前も雰囲気の悪かった店の体質がそうそう変わるとは私は思いません。
これは古物商・道具屋の世界からの想像ですが、恐らく古書店にも業者間の交換会があるはずです。各店が仕入れでは雑多な分野が入っても、そのうちから自分の専門外のジャンルは放出し、逆に専門の物を集める、それで理工学なら理工学の専門店の在庫が形成されるという仕組みだろうと思います。
書籍を捨ててしまうのは社会的損失、と思われる方はオークションとかメルカリにが一番ですが、実入りを無視した次善の策としてはジャンルを問わずに一緒にまとまった数を集め、まともな書店に持ち込むことです。数が必要な理由は、「全部まとめて引き取って」、といえる程度の数でないと「これは引き取れます、これは要りません」とその場で選別されてしまうからです。
これならば不愉快店と取引する必要もなく、また汚いからと廃棄されることもないでしょう。実際、その後の私が実行してきた方法なのです。