統合失調症で痔主の街金業者のつぶやき~過払い金請求のデメリット -2ページ目

統合失調症で痔主の街金業者のつぶやき~過払い金請求のデメリット

突然精神的に破たんをきたしクリニックへ通い、統合失調症と向き合いながら、途中で痔ろうを患い手術を受け、地方都市でささやかなる貸金業を続けるも国策によって被害を被り、産業廃棄物業の会社へアルバイトに出かける毎日を書き綴る。

 早速事務の引き継ぎが始まった。今まで経験のない産業廃棄物を取り扱うなんて想像さえしたことがない。一般事務なら普段から本業でやっているのである程度の手順が分かるのだが、いざゴミ、となるとこれが結構厄介なのだ。

 一般家庭から出るゴミと企業、商店から出るゴミはさして変わるものではない。燃やすゴミ、プラスチックゴミ、ペットボトル、缶類、その他をこの会社は回収し、厳密に選別してそれぞれの処理場へ運んでいく。燃やすゴミは一日分巡回回収しそのまま焼却処理場へ。単価は23円/kgだ。お客さんへはこの金額の2倍を請求する。居日平均1トン回収するので差額分の23,000円が粗利となる。一か月換算で253万円の粗利を得る。 ゴミがお金に変わるのだ。この253万円から、ガソリン代やら車の修理やら、当然人件費やらを引くと少なくとも200万は残る計算だ。次にプラスチックゴミの場合、これは一概にリサイクルとは行かない。弁当の食べ残しや、ドレッシングやら醤油、ソースなどの容器もゴミに紛れ込んでいるので、回収したプラスチックゴミは選別工場へ運び込まれ、作業員が、簡単に言えば綺麗なプラスチックと汚いプラスチックに分ける。綺麗なプラスチックはリサイクル施設へ搬入し、汚いプラスチックは焼却される。割合的には6:4で汚いプラスチックが多い。国や自治体でプラスチックゴミは綺麗に洗ってから出すように勧めているが、現実はそうではない。リサイクルされる率は40%しかないのだ。60%は高温で燃やされる。当然CO2も排出されるし、ダイオキシンも少しは出ているだろう。で、プラスチックゴミは一袋当たり4,000円で回収する。結構高い。一か月の売り上げは400万円は超えるが、回収費用や選別費用、車の維持費用、処理費用を引くと250万が残る。・・・続く。

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 自分の住んでいる地域には闇金が5つある。当たり前のことだが、店舗は構えない。中には本業があって、その店舗の一室で営業している方もいれば、パチンコ屋の駐車場に1BOXカーを止め、適当に当りをつけ客を車に乗せ営業している方もいる。

 とんでもない話だが、当時の貸金業協会が県単位で事務所を構えていたころ、そこの研修委員を務め、法令順守を徹底させていた方が今は闇金を営業している。

 そして自分の顧客が闇金を利用しているのを多数確認している。一応、やめとけ、とアドバイスはするが、自己責任の上での契約なのだから、それ以上は深く首を突っ込むことはしないし、警察へ相談しろとも弁護士に相談しろとも言わない。資金需要者は子供ではない。自分で物事の善悪を分別出来る大人だ。

 利息はそれぞれで、月いちのところ、トサンのところに大方分類される。貸す側だってリスクを取らなければやってられない。なにしろ、顧客はもう正規の業者では貸してはくれないブラックの人だ。自営業の人が多い。果たしてその利用者は必死に利息だけを支払い続けている。気の毒なことである。

 たとえ金利が高くても、今日手形を落とさなくては不渡りになってしまう方、今日電気料を支払わなければ電気が止まってしまう方、今日水道料を納めなければ明日から水を利用できなくなってしまう方。ブラックの人たちにとって闇金があって何とかかんとか生活を続けている訳だ。

 闇金側だって、完済を望んではいない。いいとこ1年利息を払い続けてくれればかなり儲かる。元金を投げても全く問題ない。利用者が自殺しても夜逃げしても何も言わない。そして警察に捕まることもない。なぜなら利用者が訴えなくては事件にならないし、大前提として警察は民事不介入の姿勢だ。借りたものはきちんと返すものだ、との認識がある。いくら自治体や国や金融庁からの要請があっても、事件にならない限り警察は絶対動かない。弱者はいつまでも弱者であり、警察は弱い者の味方ではないし、正義の味方でもない。

 事件性のない事案は手を出さない。

 
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 もし「がん」なら、一刻も早く病院へ行って診察してもうらう必要がある。「がん」は早期発見が大事だとういうではないか。悩む。素人の悩み。ネットであちこち調べてもいまひとつはっきりしない。悩む。永遠に悩む。家族には悟られないようにしなければ。一応ガン保険には加入しているし、生命保険にも加入しているから、もしがん手術したとして治療費に困ることもないし、例え死亡しても何某かの大金が下りてくる。

 翌日、トイレに行きたくなった。ガンによる下血ならいきまなくても出血があるだろう。括約筋をちょっと緩めるだけで出血があるだろう。と考えると出る「もの」も出なくなった。いや、出せなくなったのだ。出血は恐ろしい。そうそうにトイレを切り上げてしまった。ここで名案。いきまなくても「もの」を出す方法。下剤の服用だ。ただし下痢は駄目だ。あれは「いきみ」が伴う。いきみが無くても「もの」を出す方法。すんなり、するっと出す方法。便秘薬の力を試してみよう。薬局へ行き、いろいろ商品を見比べテレビでもコマーシャルしている「コーラック」に決めた。普段はテレビのコマーシャルなんて効果があるのだろうか?などと馬鹿にしていたが、やはり効果はあるのだ。

 寝る前に1錠だけ服用してみた。2錠飲んで下痢でも起こしたら予定が狂う。

 翌朝、下腹にやや痛みを感じて目が覚めた。起き上がり、すぐトイレに駆け込んだ。予想した通り、まったくいきまずに「もの」はするっと出た。股ぐらから恐る恐る覗きこんだ。出血は無かったようだし、「もの」にも血が付着していないようだ。どうもこれは「ガン」の類では無さそうだ。

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 妻を交えた3者による診察が始まった。自分の書いた問診票を医者が鵜呑みにするわけにはいかない。裏付けが必要なのだろう。夜徘徊したり独り言を言ったり、時には絶叫してみたりなどの症状は自分には全く自覚がなく、そのような行動を取ったことを証明できるのは今のところ妻しかいない。

 彼はその症状が私の訴えたことを妻に尋ねた。勿論、妻は100%その通りだと答えた。しばし彼は考え込み、思考を巡らせ慎重に言葉を選んで言った。
 
 非定形統合失調症の疑いが強いです。

 ん?非定形?聞いたことがない。彼の判断によると、統合失調症だと思われるが、他にも隠れた症状が認められる。ひとくくりで統合失調症と判断出来ない。幻視、幻聴、徘徊、独り言、絶叫はその病気の範疇にはいるが、問診票に書かれている内容をみると、人格障害、強迫性障害、鬱症状があらわれている、とのこと。確かにその通り、突然別の人格が出現する。普段可愛がっているペットを殺したくなる衝動に駆られることがある。普段は使わない言動で他人を攻撃する。でもそういう自分を本当の自分が冷静に観察出来ている。家の中にある家具の特定の引き出しが怖くて開けられない。手を異常なまでに洗う。生きているのが辛くて死にたくなる。数え上げればきりがない。

 まずはひとつの症状から改善しましょう。


 いきなり全部の症状を治療するのは困難であるらしい。思わずため息がです。つくづく自分が嫌になる。

 最初に処方された薬は、セパゾン2mg、セロクエル100mg、サイレース1mg。これで様子を見たいとのことだった。

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 校舎の案内地図を確認し、自分の受験場所を探した。受験票を手にどの校舎の何階の教室なのか程なく分かり、やや緊張した足取りで階段を登り目当ての教室へと入った。それぞれの机の左上には受験番号が貼ってあり、運の良いことに窓側で一番前だった。これなら周りを気にしなくて済む。視線が気にならない。OKだ。席に座り、試験開始までまだ時間があったので、問題集や参考書を適当に眺め心を落ち着かせた。受験票と筆記用具を用意した。何の飾りもない、普通の教室であり、教壇と黒板が目の前にあった。およそ定員50名くらいの狭い教室も自分には合っていた。それ以上の100人位入る階段式の教室だとある意味精神上破たんする恐れがあったからだ。パニックになったら実力の半分も出せなかっただろう。で、はっと気づいてしまった。この教室には、


 時計がない。


 まずいことになった。普段腕時計はしていない。時間は携帯で確認するのが日常だったからだ。仮にも教室ならば時計くらいの備品はあるだろうと、会場に到着するまでに思いこんでいた。それが、ない、のだ。試験時間の配分ができない。簡単な問題から解いて、難しい問題は後に回す。最後にじっくり見直す。時計がないとそれが一切出来ない。正直うろたえた。しかし今さらどうしようもない。今日は日曜日なので売店は開いていないし、大学の近くにコンビニもない。諦めるしかない。最初の問題からじっくり解いていくことに決めた。


 で、ここでまた異常事態発生!

 シャープペンシルの芯が固定出来ない。


 カチカチと芯を送る。芯は出るものの、字を書こうとすると、ペン先が引っ込んでしまう。非常にまずい。本当にまずい。用心のためにもう一本持ってくるべきだった。もちろん鉛筆も持ってこなかった。さすがに、これは困ったので試験担当員に事情を話して貸してもらおうと頼んでみた。


 貸すことはできません。


 規則だから駄目だとあっけなく断られた。じゃあ、どうすればいいのか訊くと、どこかで調達してきてください、との返事が返ってきた。売っているイオンの店を教えてもらったが、これからでは間に合わない。時間がない。何度も何度もペン先を外したり付けたりを繰り返した。そして何とか治ることを祈った。が、無駄な努力でしかなかった。やむを得ず、ペン先を外し、不格好で覚束ないが、そうすることによって芯を出して固定出来ることを発見した。マークシート式なので、色さえ塗れればいいのだ。覚悟を決め、それでももう一回だけペン先を取りつけて芯を出して指先で押してみた。


 奇跡が起こった。


 なんと、芯が固定するではないか!思わずガッツポーズをとってしまった。誰かに見られても構わない、とその時は思った。運が逃げたと思ったら、ちゃんと帰ってきたのだ。神様はいるのだ、と確信したと同時に、もっと慎重に用意するべきだったと反省した。真っ白になった頭が元にもどった。


 受験に必要なもの、受験票は勿論のこと時計と鉛筆数本。鉛筆削りと消しゴム。


 試験の時間が来たようだ。解答用紙、問題が配られ試験の注意点の説明が始まった。

 コード71の付与。これはあくまで現在利用中の方の信用情報に付け加えるナンバーだが、当然のことながら信用情報の登録の方に付けることは出来ない。つまりその方々とは「完済」した方達だ。完済してしまえば、例え過払い金請求したとしても自分の信用情報を傷つけることはない。加えて、現在はコード71を付与して貸金業の他社へ注意喚起したとしてもJICC側がその情報を削除してしまう。そうなってしまっては我々貸金業者は金銭消費貸借契約を金融庁の指導のもとに顧客と結んだものが当時として正当なものであったとしても、その契約は完全に無視されるのだから、JICCの信用情報を基に与信判断が出来ない。国策として、過払い金請求は正当な行為と決められた訳だから、資金需要者は縦横無尽に、それこそ向かうところ敵なしとばかりに大手を振って金を借りに来る。多くの資金需要者は自分の責任において契約したはずなのに、その行為(過払い金請求)を恥とも思わず再び借金を繰り返す。これで日本は法治国家と名乗れるのだろうか?たかが、期限の利益喪失約款の一行が契約書にあるというだけで。約束した期日に金を支払わないことは許されるのか?約束を守らなければ罰則が与えられるのは当然ではないのか?


 何の役にも立たないJICCの個人信用情報に毎月高い会費を納め、尚且つ情報数に応じて情報料を課してくる。ばかばかしい。なぜ約束を反故にした者に金を貸さなくてはならないのか。過払い金の返還を受け、美味しい思いをしたのに、それを使い果たし(または浪費し)借金を繰り返す。性質が悪い。


 ここでひとつ苦言を呈するが、大手の消費者金融は独自のネットワークをお互い持っている。第二の信用情報である。大手に過払い金を請求した者はそこに登録され、所謂ブラックリストの一員に加えられる。そうなると、例えJICCの信用情報に傷がなくても、その者たちは一切利用できない。そして大手は現在銀行の傘下に入っている。法的に多少問題があるとしても、銀行系の金融もクレジットローンもどこも相手にしてくれないばかりか、就職する際の信用用度を確認する意味で、就職希望者にカード加入をさせる企業も多いと聞くし、賃貸マンション、アパートを契約する際に管理会社を通す場合が今は多い。そしてその管理会社の母体が現行傘下だったりしたら、住む部屋すら借りられないのだ。病気した場合でも、カードでの支払いを勧める病院もある。歯医者もそうだ。カードを持っていることがステータスとなる日もそう遠くはない。・・・続く。

 今や大小に限らず消費者金融業界は苦しんでいる。平成16年の最高裁判所での「みなし弁済」についての異常な、または認知症的な精神分裂を患っているような滝井繁男による判断、そしてある種の悪意的な誘導によって平成18年貸金業法改正へとつながっていく。


 期限の利益喪失特約のついた契約による支払いは任意性を欠いている。


 簡単に書けばこんな内容だった。これにより、利息制限法を超えた分の支払いは無効となってしまった。貸金業者は金融庁のガイドラインを遵守し、それを確実に実行してきたのに、完全に否定された結果となった。そこで始まったのが、被害者救済の旗を掲げた法曹界のダニともの骨肉の争い。つまりは被害者というパイの奪い合い競争だ。


 それいけ!やれいけ!どんどんいけ!


 ばかばかしい。自分の利益確保のため、設けるため、上手に利用者をたぶらかし、うその話までついて「お客さん」を積極的に確保したのだ。結果として表面化したのが、


 弁護士の脱税


 多く取りざたされたが、マスコミはそれをあまり深くは追求しない。そういう個別の事例があった、としか報道しない。


 利用者の多くはコード71をJICC(日本信用情報機構)に登録され、消費者金融業界から門前払いを食らった。果たして、その罪は「闇金」の暗躍を招いた。

 この話はこれからも続きます。

 次の日から早速通勤が始まった。生まれてこのかた他人のメシを食ったことがないから、通勤という行動形態は初体験だった。朝7時半に家を出て会社に8痔前に到着する。なかなか億劫なことだが、貸金業の収入が上がらない以上、外貨を獲得するには手っ取り早い。それに午後3時までの事務仕事だから本業はその後やればいいし、土、日にも営業すればいい。お客さんからの入金は銀行口座へ振り込むか、郵送してもらえばいい。集金してもいい。


 兎に角事務の引き継ぎが始まった。一通りの仕事を覚えるのに4週間かかった。当然だ。産業廃棄物、なんて気にもしたことがなかったのだから。この会社は企業から排出されたゴミを回収し、回収したゴミをリサイクル用と燃やしてしまうのと、埋め立て処理するのとを選別する。一般家庭から出たゴミも、引っ越して出たゴミも、夜逃げした後の家具類の始末もする。どちらのゴミも回収費用がかかる。夜逃げして処分する場合は、その親戚が出したり、大家さんが費用を負担する。ゴミの回収にはゴミによって専用の車を使用する。この会社は毎日曜日ごとに定期的に巡回契約している企業を回る、所謂ルート回収要員が3名、飛び込み依頼の回収要員が2名いる。飛び込み依頼のお客さんの中には、「箱」といて鉄製の5種類の大きさの箱を無料で貸し出し、それが一杯になると電話が入って、空の箱と交換する際に料金を頂くのも多い。それぞれのゴミは選別工場へ運び込まれ、中で働いている4名が種類ごとに分類する。ただし、料理屋関係の生ゴミだけは直接焼却処理場へ持ち込み、直ちに燃やしてもらう。その他の人は事務所にいて電話受付や伝票整理や経理処理を行う。それが3名。世の中から見れば紛れもなく零細企業である。がしかし、売上は年商1億は軽く超える。ゴミも高いものだ。

 その会社で働く毎日が始まったわけだ。



 この出血は大腸からなのか?直腸からなのか?まず真っ先に頭に浮かんだのが「がん」だった。私の家系は伝統的な「がん家系」であった。胃がんあり、食道がんあり、大腸がんあり。おまけに白血病まであった。だから、自分が死ぬのは病院のベッドであり、病名には「がん」がつくと予想していたものだ。


 それはともかく、いかにして出血を止め、この場所から脱出するか。出血したまま、パンツを上げるわけにはいかない。赤い色に染まったパンツは正常ではない。履き替えても洗濯機に放り込んでも妻が異変に気づく可能性はおおいにある。騒ぎになる。かといって捨ててしまえば、パンツの無くなっていることに何と言い訳をしたらいいのかわからない。やはり騒ぎになる。この線は捨てざるを得ない。


 名案が閃いた。肛門の括約筋だ。どこの出血であれ、まずは押さえろ、と言うではないか。肛門を直に押さえるのはトイレットペーパーしかないが、そもそもペーパーは水分にやたら弱い組織で構成されている。だからこそトイレに流すことが出来るのだ。果たして括約筋を締めてみた。結果オーライ。予想通りに出血は止まった。筋肉を絞め続けるのはかなり忍耐力が必要だ。それも、普段鍛えることのない括約筋だ。強く絞めたり弱まったりと思うように筋肉が動かない。それでも3分位は頑張ってみた。本当に止まったかどうか確認する必要があるので、トイレを流し、いったん何事もなかったようなトイレに戻した。勇気を出して筋肉を緩めてみた。しばし股ぐらから覗きこんだ。大丈夫だ。赤い絵の具は溶けていない。次に肛門を洗浄した。いつもは勢いの強い方で洗っていたが、今回ばかりは弱めに設定した。グイングインと洗浄棒が横揺れし、肛門を綺麗にしてくれた。残っていた周りの血液も洗い流してくれたので、若干トイレの水溜りはロゼになったが、まあいい。腰を浮かし、トイレットペーパーを引きちぎってやさしく肛門にあてがってみたが、なにも痕跡がない。OKだ。パンツとズボンを上げ、そろそろとこの閉鎖空間から外部へ出ることが出来た。

 なるべくゆっくりと歩を進め、何事もなかったかのように振る舞い、パソコンの前にある椅子に慎重に腰をおろしてネットであちこち調べることにした。
 

 素人の判断には限界があったが、出血の色が鮮血なことと、座り仕事であることと、いきんだ結果こうした事態になったことなどから、これは「がん」ではなく「痔」だろうという結論に至った。

 

 平成22年の夏の暑いさかり、仕事上の過度なストレスと座り仕事が中心だった私は、長年に渡り便秘と下痢に悩まされていた。今まさに便秘解消の強い意志を持ってトイレに籠城していた。トイレは洋式のウォシュレット付のものだ。ここで3日分の「もの」を出すのだ。全身全霊をかけて強くいきみ続けた。何とか「もの」が出る気配がする。さらにいきんでみた。すると、何やら水分の無くなって硬さを増した「もの」が出始め、安堵しながらもずっといきんだ。チャポン、チャポンと水たまりに「もの」が落ち始める。長さによって、チャポンの間隔が違う。苦闘すること10分間、合計5回のチャポンの音がした。3日分の「もの」だ。やれやれ。今回は下痢じゃなくて良かったと思いながら、下痢なら無駄な体力は使用せずに済んだかもしれない。まあいい。出たことは目出度きことだ。さて、肛門を洗浄しようとリモコンのボタンを押そうとするその瞬間、

 ピチャ。

ん?何の音だ?

 ピチャ。

ウォシュレットの残った水が垂れているのか?

 ピチャ。

少し不安に駆られながらも、出た「もの」の確認もあるし、股ぐらから覗き込んだ。

 便器内が朱色に染まっていた。「もの」と水溜まりも赤い絵の具を溶かしたように朱色だし、はねた後があちこちに飛び散っていた。何?出血?自分が混乱している。考えが纏まらない。

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