試験会場であわてた | 統合失調症で痔主の街金業者のつぶやき~過払い金請求のデメリット

統合失調症で痔主の街金業者のつぶやき~過払い金請求のデメリット

突然精神的に破たんをきたしクリニックへ通い、統合失調症と向き合いながら、途中で痔ろうを患い手術を受け、地方都市でささやかなる貸金業を続けるも国策によって被害を被り、産業廃棄物業の会社へアルバイトに出かける毎日を書き綴る。

 校舎の案内地図を確認し、自分の受験場所を探した。受験票を手にどの校舎の何階の教室なのか程なく分かり、やや緊張した足取りで階段を登り目当ての教室へと入った。それぞれの机の左上には受験番号が貼ってあり、運の良いことに窓側で一番前だった。これなら周りを気にしなくて済む。視線が気にならない。OKだ。席に座り、試験開始までまだ時間があったので、問題集や参考書を適当に眺め心を落ち着かせた。受験票と筆記用具を用意した。何の飾りもない、普通の教室であり、教壇と黒板が目の前にあった。およそ定員50名くらいの狭い教室も自分には合っていた。それ以上の100人位入る階段式の教室だとある意味精神上破たんする恐れがあったからだ。パニックになったら実力の半分も出せなかっただろう。で、はっと気づいてしまった。この教室には、


 時計がない。


 まずいことになった。普段腕時計はしていない。時間は携帯で確認するのが日常だったからだ。仮にも教室ならば時計くらいの備品はあるだろうと、会場に到着するまでに思いこんでいた。それが、ない、のだ。試験時間の配分ができない。簡単な問題から解いて、難しい問題は後に回す。最後にじっくり見直す。時計がないとそれが一切出来ない。正直うろたえた。しかし今さらどうしようもない。今日は日曜日なので売店は開いていないし、大学の近くにコンビニもない。諦めるしかない。最初の問題からじっくり解いていくことに決めた。


 で、ここでまた異常事態発生!

 シャープペンシルの芯が固定出来ない。


 カチカチと芯を送る。芯は出るものの、字を書こうとすると、ペン先が引っ込んでしまう。非常にまずい。本当にまずい。用心のためにもう一本持ってくるべきだった。もちろん鉛筆も持ってこなかった。さすがに、これは困ったので試験担当員に事情を話して貸してもらおうと頼んでみた。


 貸すことはできません。


 規則だから駄目だとあっけなく断られた。じゃあ、どうすればいいのか訊くと、どこかで調達してきてください、との返事が返ってきた。売っているイオンの店を教えてもらったが、これからでは間に合わない。時間がない。何度も何度もペン先を外したり付けたりを繰り返した。そして何とか治ることを祈った。が、無駄な努力でしかなかった。やむを得ず、ペン先を外し、不格好で覚束ないが、そうすることによって芯を出して固定出来ることを発見した。マークシート式なので、色さえ塗れればいいのだ。覚悟を決め、それでももう一回だけペン先を取りつけて芯を出して指先で押してみた。


 奇跡が起こった。


 なんと、芯が固定するではないか!思わずガッツポーズをとってしまった。誰かに見られても構わない、とその時は思った。運が逃げたと思ったら、ちゃんと帰ってきたのだ。神様はいるのだ、と確信したと同時に、もっと慎重に用意するべきだったと反省した。真っ白になった頭が元にもどった。


 受験に必要なもの、受験票は勿論のこと時計と鉛筆数本。鉛筆削りと消しゴム。


 試験の時間が来たようだ。解答用紙、問題が配られ試験の注意点の説明が始まった。