「MIU404」第6話~リフレイン | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「MIU404」

 

第6話~リフレイン

 

※無断転載対策のため、不本意ですが、

しばらく、注意喚起させていただきます。

 

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「日々のダダ漏れ」

 

 

伊吹) 志摩ちゃん、

 ちょっとお話ししようか?

志摩) 話?

伊吹) 俺が志摩をより深く知るための、

 ワン ツー スリー・・・。

志摩) 結構です。

伊吹) 「結構」すんなよ、それ禁止ね? 

 志摩! もうっ。

九重) お疲れさまです。

伊吹) 聞いてくれたって・・・。

志摩) 俺は眠いんだよ。

伊吹) よっ! 相棒殺し。

 おっ・・・マジ顔。

 いやあさ~お前のことをさ、

 そう言ってるやつがいるんだよ。

 何の話かなあと思って。

 おいおいおいおい・・・

 待て志摩、待て志摩。

 し~まし~まし~ましま、相棒殺し・・・

 (陣馬に叩かれ)イテッ!

陣馬) 余計な話を広めんな。

九重) 本人に直接聞くなんて・・・。

伊吹) いや相棒殺しってあれでしょ?

 ボケ殺しみたいな、鬼殺しみたいな、

 丸ごとメロンパンにメロン丸々1個

 入ってないみたいな・・・。

九重) 志摩さんの相棒が

 死んでるのは、ホントですよ。

伊吹) はっ!?

九重) 事故か自殺か、他殺か。

 よく分からないって。

伊吹) マジか?

九重) 2013年8月8日の未明、狛江市

 平羽で、男性の遺体が発見された。

 男性は、警視庁捜査一課所属の、香

 坂義孝巡査部長、転落死とみられる。

 場所は香坂刑事の自宅があった、雑

 居ビルの敷地内で、遺体を発見した

 のは、同僚の刑事。香坂刑事の遺体

 は、靴を片方しか履いておらず、もう

 片方の靴は、屋上に残されていた。

 近くには、ウイスキーのボトル。

伊吹) ウイスキー・・・。

九重) 報道はここまで。

伊吹) 酔っ払って屋上から落ちた?

九重) 聞いた話ですが、香坂刑事は

 酒が飲めなかった。

伊吹) うん?

九重) しかし体内から多量の

 アルコールが検出され、遺体

 から香るほどだった。

伊吹) ・・・・・・いやいやいや・・・。

 

**********

 

陣馬) だいぶ前な、俺が一緒にいた

 のは、志摩が捜一に入る前・・・。

伊吹) そ・・・捜一!?

 捜一って、捜査一課の捜一?

九重) はい。

伊吹) そこに志摩は・・・

 捜査一課にいたの?

陣馬) 聞いてないのか?

九重) 4~5年いて優秀だったって。この

 事件を機に、飛ばされたみたいですけど。

伊吹) う~んよ~く分かったー。

九重) 志摩さん・・・。

伊吹) 志摩は俺をナメてるな・・・。

九重) 伊吹さん・・・。

伊吹) だってそうだろ? 

九重) 伊吹さん、伊吹さん!

伊吹) 俺には大事なこと何にも言ってない!

陣馬) 伊吹!

志摩) 報告を終えたんで、帰りま~す。

伊吹) お疲れさま。

陣馬) 俺も帰ろう。

伊吹) 話の途中。

陣馬) 6年も昔のこと今さらほじくったって

 しょうがねえだろ。

伊吹) 昔の話じゃねえよ。

 志摩にとっては今も何も終わってない。

 志摩、何があった?

陣馬) 伊吹。

伊吹) どうしてウイスキー飲めなくなった?

志摩) お前には関係ない。

伊吹) ある。俺は404、お前の相棒だ。

志摩) うぜえ~。

伊吹) うんうん? 何て? 何て?

志摩) 聞き方に工夫がない。刑事のくせに。

 「話せ」って言われて「はいそうですか」って

 ホイホイ答える容疑者がいるかバーカ!

 刑事だったら自分で調べろ。

 まっ、お前ごときの捜査能力じゃ

 調べられないだろうけどな。

伊吹) おっ、言ったな、後悔すんぞ、

 ギャフンと言わせんぞ。

志摩) はいはい、ギャフンギャフン。

伊吹) おい、2回言うなよ。心の底から

 ギャフンって言わせてやるよ。

志摩) できるもんならやってみろよ。

 

**********

 

陣馬) 志摩、いいのか?

 あのバカ本気でほじくるぞ。

志摩) まあどうせ分かりませんよ、

 本当のことなんか。

 お疲れさまでした。

 

**********

 

(回想)

桔梗) 毎日殺人とか恐喝とか、盗んだとか

 裏切られたとか、そんなんばっかでしょ?

 でもお店で、焼きアスパラ美味しい~!と

 か、イチジクのゴマあえ最高ー!とか言っ

 てさ、毎日雨ばっかりで、洗濯物乾かなく

 て変なニオイするって言ったら、「ゆづるさ

 ん、それ、重曹入れるといいよ」って。

麦) えっ、すごーい。

桔梗) でしょ? 

 そういうどうでもいいこと、ダラダラ話して。

 あ~っ・・・。大切な時間だったなあ。

 

麦) そういう時の桔梗さん

 すっごくカワイイんですよ。

 たぶん・・・仕事中は見せない

 んだろうなあって顔で。

志摩) へえ~。

麦) 何か一人でしゃべっちゃってごめん

 なさい。桔梗さんとゆたちゃん以外の

 人と話すの、久しぶりなんです。

志摩) なるほど。

 

**********

 

陣馬) 俺の酒が飲めないっつーのかよー。

九重) 飲みません。

 酒ハラスメントには屈しません。

陣馬) 筋トレにも付き合ってくんねえし。

九重) 筋ハラにも屈しません。

陣馬) どいつもこいつもよー

 俺が時代遅れのオヤジだって、

 バカにしやがってあ~ん・・・。

おっちゃん) 陣馬さんの、

 息子さん今度結婚するんだって。

伊吹) えっ、めでたいじゃん。

おっちゃん) だけどね、お嫁さんの家族

 との食事会、来なくていいって言われ

 たんだって。

陣馬) 親父はどうせ仕事だろっつってさ、

 かみさんなんて「暑苦しいのがいたら

 縁談が破談になるから来なくていい」、

 下の娘なんてよ、「お父さんがいたら

 事件が起こるから来るな」っつって。

伊吹) うんうん、うーん・・・。

陣馬) 誰の稼ぎで大きくなったと

 思ってやがんだーい。

伊吹) よいしょーっ、そのとおり!

九重) そういうこと言うから

 嫌われるんですよ。

伊吹) そのとおり!

陣馬) ズコッ。

伊吹) ズコッ、う~ん・・・はい陣馬さん

 フタ開いてな~い。ねえ陣馬さんさ、

 3機捜で、桔梗隊長と組んでた時、

 このビル、臨場したことあるよね?

 この時さ・・・。

陣馬) 俺は何にも言わねえぞ。

伊吹) うわあ~酔ってもだまされねえ

 さすがデカ。よっ・・・。

九重) 飲めばいいんですよね?

 飲めば話を聞かせてくれる。

陣馬) やめろ、やめやめやめ!

 お前飲めねえガキが、

 無理すんじゃねえっ!

九重) 少しは飲めますよ。

陣馬) どうして半分も飲んじまうかね・・・。

九重) まだ飲んでませんけど。

伊吹) シーッシッ。

陣馬) あの日はタリウム事件の南田弓子

 が逃げた日で、祖師谷署のデカも、そっ

 ち取られてよ。番手が一番低かった俺達

 が、最初に臨場することになった。

 

(回想)

志摩) 何度かけても電話に出なくて、

 様子見に来たんです。

 そしたら、この状態で・・・。

陣馬) 酒のニオイ・・・。

志摩) グレングリアン、

 スコットランドのウイスキーです。

桔梗) 何で分かるの?

志摩) 転落死のように、見えますね。

陣馬) 俺にもそう見える。

桔梗) ここは私が。

陣馬) 志摩。上見に行こう。

志摩) 非常階段で・・・

 屋上へはエレベーターじゃ上がれない。

(屋上)

陣馬) あったもう片方。

 グレングリアン・・・志摩、お前俺たちが、

 来る前ここに来たのか?

志摩) いえ、今が初めてで・・・

 「初めて」っていうのは、「ゆうべ来てない」

 って意味で。以前来たことがあるんです。

 

**********

 

(回想)

志摩) 香坂、お前のしたことは

 許されることじゃない。

 だけど・・・そうさせたのは・・・俺だ。

 

**********

 

九重) 二人は南田弓子を追っていた。

伊吹) 追ってた。

九重) その捜査過程で何かがあって。

伊吹) 何かがあって。

九重) 決定的な諍いを起こし。

伊吹) 諍いを起こし。

九重) 屋上から突き落としてしまった。

伊吹) ダメじゃん!

 もう殺しちゃったじゃんそれ。

九重) だからその可能性は

 捨てきれませんよ。

伊吹) いや、志摩は、屋上には行ってない

 って言ってんだぞ。で朝になって、陣馬さ

 ん達が来てから、屋上に上がったって。

九重) それが嘘かもしれない

 じゃないですか。

伊吹) うわ、そっから疑う?

九重) 前に志摩さんが言ってたんですよ。

伊吹) うんうんうん?

九重) 人は誰でも何かのスイッチで、

 進む道を間違える。

 

(回想)

志摩) 誰と出会うのか、出会わないか。

 この人の行く先を変えるスイッチは何か?

 

九重) 志摩さんは道を踏み外してしまった。

 何かのスイッチで。

 

**********

 

電・伊吹) あっ、志摩? 志摩ちゃん?

 あのね、陣馬さんがね、朝4時になると、

 靴脱ぐんだって。それがくっせえんだって、

 で九ちゃん言えないのそれ。

電・志摩) はっ!?

電・伊吹) 酒の誘いは断れんのに、

 足がくせえって言えないの。

九重) もうよか・・・です。

電・伊吹) 分かんないよね、

 若者分かんないよね。

電・志摩) 楽しそうで何よりだ。

 

**********

 

志摩) 世界一意味のない電話でした。

ゆたか) 休みなら出なければいいのに。

志摩) そういうわけにもいかないの。

ゆたか) 刑事だから?

志摩) まあそれもあるけど、

 相棒だから。

ゆたか) 相棒?

志摩) うん。相棒からのSOSだったら、

 間に合わなかったら困るだろ?

 

**********

 

伊吹) 何だよあいつ。

九重) いきなり電話するからですよ。

 また直接志摩さんに、相棒殺したのか?

 って聞くつもりだったんすか?

伊吹) 聞いて、「ああそうだ」って

 言われたら怖えな。

陣馬) 手紙があったんだよ。

伊吹) あっ、はっ!

 陣馬さん? 陣馬さん、

 陣馬陣馬、陣馬陣馬陣馬!

陣馬) 香坂の最後の・・・。

伊吹) 何? 陣馬さん? 

 陣馬、陣馬陣馬・・・。

九重) 最後の手紙? 遺書?

 

**********

 

(志摩の夢)

香坂) これ、志摩さんが好きなやつ。

 事件解決したら、乾杯しようって。

 約束しましたよね。俺はもう刑事じゃ

 なくなっちゃったけど。刑事じゃ・・・。

志摩) 香坂。刑事じゃなくても・・・

 お前の人生は終わらない。

 

**********

 

伊吹) 俺が4機捜に来たのが、

 スイッチだとして。

桔梗) スイッチ?

伊吹) ほら、俺が4機捜に呼ばれたのって、

 急遽誰かが4機捜に入ったから、志摩と

 組むやつが足りなくなってこう、俺が呼ば

 れたんでしょ? 玉突きされて入った俺が、

 404で志摩と組むことになって二人で犯人

 追っかけてその一個一個一個全部がスイ

 ッチで。何だか、人生じゃん? 一個一個、

 大事にしてえの。諦めたくねえの。

 志摩と全力で走るのに、必要なんすよ。

桔梗) まず、シャワーを浴びて、

 酒を抜いてきなさい。

伊吹) うおっ! 大好き、隊長。

桔梗) 今すぐ! 早く!

 

**********

 

桔梗) 2013年に起きた、

 転落死事件に関する、報告書。

 志摩を4機捜に呼ぶ時に、反対す

 る声が一部で上がって、わざわざ

 作って、刑事部長に提出した。

九重) 読んでいいんですか?

桔梗) 部外秘だからね。

伊吹) はい。

桔梗) 変な噂に惑わされてウロウロ

 されるより、事実を共有した方がいい。

桔梗) 見つかったのは、

 遺書ではなく、退職願。

 司法解剖の結果も書いてある。

 それが、起きたことのすべて。

 

香坂) 「私の夢は、

 刑事になることでした。

 刑事とは、正義」。

 

香坂) 「彼女が、死んだ男達

 とつきあっていた証拠は、

 なかなかつかめなかった」。

 

香坂) 「私は、休みの日も、一人で、

 対象者を調べるようになりました。

 迷いましたが、チャンスだと思いま

 した。タリウムの入手経路はまだ

 分かっていない。部屋に何か、

 ヒントがあるかもしれない」。

 

香坂) 「どうにかして証拠を・・・

 志摩さんには言えませんでした。

 使えないやつだと見限られる。

 捜査一課にいられなくなる」。

 

**********

 

(回想)

志摩) これは何だ?

香坂) 証拠です。あの女が

 タリウムを入手した証拠。

志摩) いつ調べた?

香坂) 志摩さん、嫉妬ですか?

志摩) はっ!? 

 この証拠から分かることは、マルタイと

 同じ住所の人物が2日前、フリーアドレ

 スからタリウムを注文した、それだけだ。

香坂) それだけあれば、

 家宅捜索令状が取れます。

志摩) お前が注文したのか?

香坂) まさか。

志摩) なりすますことは可能だ。

香坂) もし仮に、そうだとして、

 それが何です?

志摩) はっ!?

香坂) 大きな正義の前に、

 そんなさまつなこと。

志摩) 本気で言ってるのか?

 今まで何を習ってきた? 警察は、法律

 が定める手続きによってのみ個人の

 自由を制限できる。法を守らずに力を

 ふるったらそれは権力の暴走だ。

 俺達警察は・・・。

香坂) あの部屋からは必ずタリウム

 が出る。あいつはこの先何人殺すか

 分からない。家宅捜索するべきだ。

 こっちは命がけでやってんだ。

 逮捕するんです! 逃げられる前に。

 

**********

 

(回想)

志摩) 犯人が逮捕された。

 部屋からタリウムも発見された。

香坂) アハッ・・・。あ~あ。

 俺達の手柄になるはずだったのに。

志摩) ニセの証拠で?

香坂) はい。

 でも結果は同じでしたよね?

志摩) 逮捕された女だ。

 名前は南田弓子。

 俺達が、調べていた中山詩織は、

 同僚の南田弓子が犯人だと気づ

 いてひっかき回して楽しんでた。

 中山詩織が不倫相手だというタレ

 コミは、中山自身がフリーアドレス

 を使って送った嘘のメールだった。

 お前が出した毛髪と尿の薬物検査、

 これは誰の検体だ?

 どうしてこんなことをした?

 

**********

 

伊吹) 高いな。

九重) ここで酒を飲んでいた香坂は

 深の2時頃、非常階段を下りた。

伊吹) う~ん・・・。

陣馬) やれやれ、飲んだあとの

 オヤジをこき使うなよ。

九重) 下りますよ。

伊吹) よっし陣馬さん下りるよ。

陣馬) 何でだ!

九重) 司法解剖の結果、陥没骨折はなく、

 脳挫傷は見られない。頭蓋骨には放射状

 の亀裂骨折のみ、つまり、被害者は、屋上

 など、高所からの転落ではなく、低い場所

 からの、転落死だった。

伊吹) ここで足を滑らせたのか・・・。

九重) この辺りですか。

陣馬) 手すりから落下時の指紋も取れた。

 現場に矛盾はない。間違いなく事故だ。

九重) 頭頂部を打撲しての、急性硬膜

 下血腫による死亡。人って、この高さで

 も死ぬんですね。

陣馬) 打ちどころが悪くなけりゃ、あるい

 は酔ってなかったら助かったかもな。

 

**********

 

陣馬) 香坂には一人暮らしの母親がいた。

 受理前だった退職願と手紙は、一課長

 の判断で公表せず、死亡退職金を出す

 ことにした。自分の息子が刑事失格な

 んて母ちゃんに言うことはねえだろ。

九重) 俺が香坂刑事だったら・・・

 志摩さんに言えたかな?

 自分が使えないやつだって・・・

 認めるのは怖いですよ。

陣馬) 間違いも失敗も言えるようになれ。

 バーンって開けっぴろげによ。

 最初から裸だったら何だってできるよ。

 運動したら喉渇いた。ちょっと一杯いくか。

 怒んなよ、冗談だよ。

九重) 飯ならつきあいます。

陣馬) ゲホッ。

九重) 飯ですよ! 飯!

陣馬) 飯?

 

**********

 

電・志摩) 何だ?

電・伊吹) 事故だった。

 香坂の手紙も読んだ。

電・志摩) 何だ? ホントに調べたのか?

電・伊吹) 当ったりめえよ! 俺は有限

 実行の、藍ちゃんなんだよ~。でも・・・

 一個だけ分かんなくってさ~。なあ志摩。

 生きてる香坂に最後の会ったのはいつ?

 志摩はその時、何て声かけたの?

 調べても、そこは分かんなかった。

電・志摩) 降参か?

電・伊吹) 降~参! フフッ。教えて。

電・志摩) 最後は・・・あいつが肩を

 落として、あの手紙を書いてた時。

 それから・・・あのビルの屋上。

電・伊吹) あの夜・・・屋上行ったの?

電・志摩) 行かなかった。

 俺はどっちにも行かなかった。

 チャンスはあった。何度も。

 だけど声をかけなかった。

 いつの間にか帰ったあいつが、

 メールしてきて。

 「うちの屋上で飲みませんか。志摩

 さんの好きな酒、買って待ってます」

 って。こっちは始末書書いてんのに

 ふざけんな。何が「飲もう」だ?

 無視した。あれから何度も、何度も

 何度も何度も何度も何度も何度も!

 頭の中で繰り返す。あの時声かけて

 いたら。あの時屋上に行っていたら。

 もっと前、俺があいつの異変に気づ

 いていたら。スイッチはもういくらでも

 あった。だけど現実の俺は、それを

 全部見過ごした。見ないふりした。

 俺があいつに、最後にかけた言葉は、

 「進退は自分で決めろ」。

 

(回想)

志摩) 香坂? 香坂・・・おいっ。

 

電・志摩) 事故!?

 俺はそうは思えない。

 悔いても悔いても、時間は戻らない。

電・伊吹) 志摩、香坂が死んだのって・・・

 2013年のタコの日の深夜の2時頃だよな?

電・志摩) タコ?

電・伊吹) ああ・・・。

 

**********

 

伊吹) 香坂ちゃん、サンキューな。

 よーっしゃ!

 

**********

 

電・伊吹) 志摩! 今すぐ来い、

 事件のビル、香坂のビル!

電・志摩) 何で?

電・伊吹) いいから来い。

 来ないとお前は、後悔する。

電・志摩) はあっ?

 何だ行かねえよ。

 

**********

 

伊吹) 遅えよ志摩。

志摩) 何だ?

伊吹) あそこの線路の向こう側、

 どこだか分かる?

志摩) 世田谷区。

伊吹) そうそう、区境になってて、

 このビルとは管轄が違う、で・・・

 俺はすごいことに気づいた。

 あの日、香坂ちゃんはここで、

 志摩を待ってた。だがいつまで

 たっても志摩は来ない。

 仕方なく、景色を眺めて・・・

 見つけた、犯罪の瞬間を。

志摩) 何だその作り話は?

伊吹) 作ってない、マジの話。

志摩) 証拠がない。

伊吹) ギャフンと言わせるぞ。

 いやギャフンと言え、

 今すぐギャフンと言え、証拠はある。

 あそこ。あの日あの夜、

 香坂はここから通報した。

 通信指令本部に連絡して、

 当時の記録をほら。見つけた。

 2013年8月8日深夜2時7分入電。

 

**********

 

千春) 110番してくれたのどっち?

志摩) 俺の・・・相棒の刑事で、

 職務上名前は明かせませんが

 今は、ここにはいないんです。

千春) いやあマジでね、ヤバかったの。

 部屋に入ってきた男と取っ組み合い

 して、殺される~って時に、サイレン

 の音がパフォーパフォーって。フフッ、

 天使のラッパに聞こえた。

伊吹) ラッパ? 分かるわあ。

志摩) ずっとあの張り紙を?

千春) あれは先月からダメもとで。

 ここを引っ越すことになったんですよ。

 それで、ふと思い出して。

 通報してくれた人がいなければ、

 私も、この子も、

 マジで生きてなかったなあって。

 はあ~結婚前にスッキリして

 よかったわ。

 ほいっ、ご苦労さまでした。

伊吹) ありがとうございます。

千春) ありがとうございます。

伊吹) じゃあね~ベイビー。

千春) あっ・・・その人にくれぐれも

 お礼言っといてください。

 あなたのおかげで、元気で~す!

志摩) はい。必ず伝えます。

 

**********

 

志摩) ずっと来られなくてごめん。

 お前を・・・弱いやつだと思った。

 刑事に向いてない、

 弱いやつだって・・・。

 だけど俺はあれからウイスキーが

 飲めない。俺もたいがい弱かった。

 今、機捜でホシを追ってる。

 彼らに偉そうに言葉をかける。

 その度に、すっげえブーメラン。

 俺にそんなこと言う資格があるのか?

 俺こそが裁かれるべきなんじゃないか?

 お前の相棒が伊吹みたいなやつだったら、

 生きて・・・刑事じゃなくても、

 生きて、やり直せたのにな。

 忘れない。絶対に忘れない。

 

**********

 

伊吹) よっ。俺のおごりな。

 なんつって、フフッ・・・。

 何話したの?

志摩) 内緒。

伊吹) なあ志摩ちゃん、

 刑事辞めたりしないよな?

志摩) 今辞めたら、俺は一生自分を

 許せない。何度も何度もブーメラン

 食らいながら続けるよ。

伊吹) またむじいこと言うなあ。

 まっ、安心しろ。

 俺の生命線は長い。

 殺しても死なない男、

 それが・・・伊吹、藍!

志摩) 今心の底からイラッとした。

伊吹) 何で?

 何でそうなるかなあ・・・。

電・志摩) はい。

電・ゆたか) 志摩、どこだよ?

 

**********

 

伊吹) ハムちゃんむっちゃ

 きゅるっとしてる。

 きゅるっと魔人レベルのきゅる。

 ハムちゃんきゅるきゅる~。

ゆたか) きゅるきゅる?

伊吹) そう! きゅるきゅる。

桔梗) ちょっと変なこと教えないでよ!

伊吹) 父親に代わって、

 男同士の話をしてるんです。

志摩) 勝手に父親に代わるなよ。

ゆたか) 俺志摩がいい、なってよ。

桔梗) ハハハ、ないない。

 警察の男はね、ダメ。プライベートでも

 仕事の話しちゃうから、ない!

ゆたか) え~っ。

志摩) ですよね、分かります。

桔梗) 肉だけじゃなく野菜もねとかそう

 いうきれいごとはいらない。肉は肉・・・。

志摩) まあでも、警察官同士の

 結婚とか結構ありますけどね。

伊吹) わあ~隊長聞いてない、

 全然聞いてない。

麦) すいませーん、

 またビールでいいですか~?

伊吹) あっ、はいはい! 僕が、つぎます。

志摩) 「僕」!?

ゆたか) 3人でお風呂入ろうぜ!

桔梗) 入ってく? 私は別よ。

志摩) ですよね。

 

**********

 

野木さんの脚本はマジやばい。うっかりすると

台詞を全書きしてしまいそうになるじゃないか。

志摩&伊吹はもちろんのこと、九重まで可愛く

なってきちゃって、何気ない会話も愛おしく・・・。

 

これまでも、これからも、目の前にはたくさんの

分岐点があって、スイッチがあって、そのたび

に選んだ道が正解だったのか間違いだったの

か、死ぬまで・・・いや、死んでもわからないまま

なのかもしれない。わかるのは、現時点までの

自分を肯定できていれば、概ね過去の選択で

よかったと思えるだろうなってこと。リフレイン

する後悔の記憶。自分の過去は変えられない。

けれども、知ることができたことで救われる思

いはある。志摩の心が少しでも救われたのが

うれしかった。ドラマには救いが欲しい。少なく

ても、私にとってはそうであって欲しいと願う。

 

肺に睡蓮 遠くのサイレン
響き合う境界線
愛し合う様に 喧嘩しようぜ
遺る瀬無さ引っさげて

たった一瞬の このきらめきを
食べ尽くそう二人で くたばるまで
そして幸運を 僕らに祈りを
まだ行こう 誰も追いつけない 
くらいのスピードで

(米津玄師「感電」より)

 

愛し合うように喧嘩しようぜ・・・志摩と伊吹に

はずっと愛し合うように喧嘩していて欲しい。

ギャフンと言ったり・・・言わせたりしながら・・・。

 

間違いも失敗も言えるようになれ。
バーンって開けっぴろげによ。
最初から裸だったら何だってできるよ。

 

間違いも失敗も言える社会・・・学校でも会社

でも家庭でも、そうなれたらいいんだけどね。

 

 

「MIU404」第1話~激突

「MIU404」第2話~切なる願い

「MIU404」第3話~分岐点

「MIU404」第4話~ミリオンダラー・ガール

「MIU404」第5話~夢の島

「MIU404」第6話~リフレイン

「MIU404」第7話~現在地

「MIU404」第8話~君の笑顔

「MIU404」第9話~或る一人の死

「MIU404」第10話~Not found

「MIU404」第11話~ゼロ(前半)

「MIU404」第11話~ゼロ(後半)

 

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