「重版出来!」第2話~これが僕の仕事だ!幽霊社員の本気の営業! | 日々のダダ漏れ

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「重版出来!」



第2話
これが僕の仕事だ!
幽霊社員の本気の営業!


これまでの人生、
そつなくこなしてきた。
なのになぜ、
僕は選ばれなかったんだろう。

娯楽があふれたこの時代、
漫画雑誌も単行本も、
一部奈メジャーなタイトルを除けば、
売り上げは低迷し続けている。
それを売れといわれても、無理がある。
漫画を読んでる人なんて、そういない。

もう3年、異動願いを出し続けている。
いつになったらこの毎日から、
抜け出せるんだろう。


**********

営業部が作成する、新刊部数決定基礎資料。
過去のデータから、今後の売り上げを予測し、
各コミックスの発行部数を決める、
毎月恒例の儀式。
こっちだって残業してまで作ってるんだから、
そんないちいち…。


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心) 部決会議?
壬生) 部数決定会議の略。
菊地) 興都館のコミック部門が、
    漫画の単行本を毎月どれくらい
    出版してるか知ってる?
心) 研修で習いました。女性誌、
  男性誌とも合わせて、毎月約100冊。
菊地) その各単行本を、
    それぞれ何部ずつ印刷するかの
    最終決定の場が、部決会議。
壬生) 部決会議ってのはな、部数を増や
    したい編集部と、部数を抑えたい営
    業部との、戦いだ。
心) つまり、営業部への…討ち入り。


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八反カズオの、「たんぽぽ鉄道」。



ある朝、都会で働くサラリーマンの「ボク」、





児太郎は、人身事故で止まった電車に、
思わず…。



舌打ちしてしまった。





動き出した電車の中、児太郎は思う。



ボクは、「人間」ではなく、
「物」として運ばれている。



そのまま度に出ることを決めた児太郎は、







気の向くままに、旅先で、





様々な人達と触れあっていき、





いつしか笑顔を取り戻していく。





**********





心) これは何を?
岡) メジャータイトルのない作者の作品に宣伝
  費はかけられない。だから、1話ずつばらし
  て、書店さんに置く。試し読み冊子を作る。
  1話でも読んでもらえれば、作品の良さは伝
  わるはずだ。読んだ読者をそのまま、レジに
  向かわせたい。
心) なるほど~。

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心) あっ…ご自分の本がバラバラにされるの、
  いい気分しないですよね。
八反) いえ、ありがたいです。自分の作品が、
    皆さんのお力で、色んな場所に
    広がっていくんだなって思うと。
    たんぽぽの種みたいに。


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菊地) サイン本は、書店さんの
    買い取りになるんだよ。
心) えっ?
菊地) 今は不況が続いてるから、
    単行本も3巻までにブレイク
    しないと先がないからね。
八反) 嫁には、苦労ばっかり
    かけてて、申し訳なくて。
心) 売れるといですね。
八反) はい。
菊地) こんなにいい漫画が売れない
    なんて許せません。
心) はい!


**********

心) そういえば、オリオン書房の河さんも
  言ってました。ユーレイって。
小泉) えっ?
心) 書店員さん達って結構横のつながり
  あるんですよね。大丈夫ですよ。私な 
  んて熊って呼ばれてます。小熊。人間
  ですらありません。
小泉) いや、ユーレイも人間じゃないし。
    存在してない。
心) 人間目指して、一緒に頑張りましょう。
  すいません。ご飯お代わりください。
小泉) 黒沢さんよく使うけど、
    頑張れって言葉嫌いなんだよね。
心) えっ?
小泉) 頑張れ頑張れって、頑張れの
    インフレが起こってげんなりする。
心) 私は…嬉しいです。言われると、
  よし、頑張ろうって気になります。
  今、単純って思いました?
小泉) あっ、いや…。
心) 私、柔道やってたんですけど、ケガで選手
  を引退して、一緒にやってた仲間が、しばら
  く腫れ物に触るみたいになっちゃって。遠慮
  されちゃったっていうか…。でも、就職決まっ
  て、漫画の編集やるんだって。次は、その仕
  事に打ち込むんだって言ったら、みんなが、
  「心、頑張れ」って。「頑張れ、応援してる」。
  「頑張れ」って、たくさん言ってくれて。嬉しか
  った。だから私は、頑張って頑張って、今ま
  で応援してくれた人達みんなに、喜んでほし
  いって思います。でも、小泉さんみたいに、
  頑張れって言われるの負担に思われる方も
  いらっしゃるなら、注意した方がいいですね。
  以後気をつけます。


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電・心) 菊地さん、すごいです。見てください。
     ジャ~ン。



菊地) はっちゃん。
電・心) どうですか~?

**********



心) 人形かわいいです。
男性) タンポポは僕作りました。
木俣) 徹夜でね。
男性) はい。
木俣) 楽しかったです。

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八反) すごい…。すごいことだな。


**********

心) あっ。見てください。



木俣) あっ、嬉しいね。



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小泉) あの…。書店…書店さんを…まわりを、
    していて気づいたんですが。お客さんは
    たくさんいるのに、バイブスの棚の前は、
    比較的若い人ばかりで、例えば、旅行本
    とか、鉄道本のコーナーに置いてもらっ
    たら。あの…こないだ、黒沢さんが鉄道
    コーナーに置かせてもらったんです。そ
    したら、結構年配の方や、鉄道ファンの
    方も買ってくださって。旅行が好きな、悠
    悠自適の定年リタイア組や、中高年層
    の国内旅行熱は、「たんぽぽ鉄道」の世
    界とちょうど合うと思うんです。ローカル
    線への郷愁もある。漫画コーナーに来て
    もらえないなら、こちらから積極的に違う
    畑に出て行って、興味を持ってもらえれ
    ば、実売に結び付くと思います。
岡) よし。やってみよう。


**********

小泉) あの…岡さん。
岡) うん?
小泉) みんなが忍法帳って呼んでるそれ、
    見せてもらえませんか? お願いします。
    昭和63年。
岡) 入社した、初めの年だ。



小泉) 書店員さんの、趣味まで?
岡) 俺達が打っているのは本だが、
  相手にしてるのは人だ。
  伝える努力を惜しむな。
  俺達の思いを、書店員の方々が
  つないで、お客様に届けて下さる。
  漫画はどんなに面白くても、売れるとは限
  らない。勝手に売れる作品なんてない。
  売れた作品の裏には、必ず売った人間が
  いる。俺達が売るんだ。
小泉) はい。


**********

入社して3年。
その間僕は、何をしていたんだろう。
頑張る。今頑張らなければ、
僕は一生、ユーレイのままだ。



「初めまして。突然お手紙を差し上げる失礼を、
お許しください。興都館で、コミックスの営業を
やっております、小泉と申します。同封の作品、
「たんぽぽ鉄道」は、正直に申し上げて、まだ
だまり売れていない、少ない部数の本です。



コミックスのご担当の方でも、ご存じないかもし
れません。ただ、読まれた方は皆さん、この作
品のことを、ニコニコと話してくれます。登場人
物達のことを、まるで、自分の友達の話でもす
るように。温かく楽しげに、話してくれるんです。
難しいことは、重々承知ですが、旅行書の棚
でも、展開していただけないでしょうか。主人公
・児太郎の、小さな冒険に、どうか、お力を貸し
ていただけないでしょうか」。

**********

五百旗頭) 岡さんがよく言ってんだけどな。面
      白い漫画が必ず売れるとは限らない。
      でも、自らアイデアを出し動く営業。協
      力的な、担当編集者。作品を愛してく
      れて、推してくれる、書店員さんたち。
      この3者がしっかりと手をつなげば、
      作品が大化けする可能性がある。

**********

人を羨んでいた頃は、
分からなかった。
これが、営業の仕事。
これが、僕の仕事なんだ。

**********

小泉) 「たんぽぽ鉄道」、重版、決まりました!
菊地) ありがとう。


**********



八反) 重版、だって。
八反・妻) うん、何?
八反) 重版出来だよ!
八反・妻) やった!
八反) お父さん、やったよ。



**********

ミサト) いいわね、若いって。
五百旗頭) ミサトさんも若いじゃないすか。
ミサト) あら、ありがと。五百旗頭さんがいら
     して下さるだけで、若返るのよ。



五百旗頭) じゃあ俺もっと来ちゃおうかな。



ミサト) そうね。



五百旗頭) 見るなよ。



心) 勉強になります。
小泉) うん。

五百旗頭) ていうかさ、来るなよ。
      俺の隠れ家を荒らすなよ。
心) 隠れ家なんですか?
ミサト) みんな知ってるわよね。
五百旗頭) 精神的な心のオアシスなの。
心) 私、心です。
小泉) あっ、心のオアシス?
心) そうです。



五百旗頭) くっだらね~。
      何この2人。出禁にしたら?
心) 邪魔はしませんよ。ねっ。
小泉) ねっ。
心) フフフ。


**********









**********

最近よく試し読みの冊子を見かけるけれど、そ
ういう事だったのか~と、ものすご~く納得した。
返品の山を無駄にするより、バラしてでも、中身
を知ってもらう方がチャンスは広がるもんね~。
表紙だけでは絵柄も内容も分からないし、中身
を見て、ちょっと買ってみようかと思う事もある。

今回の「たんぽぽ鉄道」の漫画家、八反先生の
中の人は、映画にもなった「星守る犬」を描いた
人、村上たかしさん。漫画も持っているのだけれ
ど、絵柄を見た時は、「アキオ…」の人なのかな
と思っていて…「星守る犬」を描いている人と同
一人物という認識がなくて…。いや、現在ビック
コミックオリジナルで連載中の「アキオ…」がね、
面白くて。私の中では「星守る犬」と「アキオ…」
が、イマイチつながらなくて、新鮮な驚きだった。
「アキオ…」の試し読みはこちらから↓
「アキオ…」試し読み
村上たかしTwitter

ちなみに、「たんぽぽ鉄道」、「ドラゴン急流」の
試し読みもできます。「デジタルバイブス」って
コーナーがちゃんと作られているのが嬉しい♪
デジタルバイブス

白い漫画が必ず売れるとは限らない。
でも、自らアイデアを出し動く営業。
協力的な、担当編集者。作品を愛して
れて、推してくれる、書店員さんたち。
この3者がしっかりと手をつなげば、
作品が大化けする可能性がある。

うんうん。そうなんだよね。営業でも編集者で
も書店員でもないけれど、本を、漫画を愛する
一人として、今回のお話には胸が熱くなったし、
泣けてしまった。大好きな本が、大好きな作家
さんの本が売れ、たくさんの人に知ってもらえ
ることは本当に嬉しい事だから。人がつくって
いるものを、人が売り人が買う。どんなにいい
ものでも、伝える人がいないと、手段がないと、
埋れてしまうんだよね。本屋さんによって、時々
思いもよらない本との出会いがある。こんな本
があったのかって、書店員さんが、そこに置い
た思いに導かれる出会いがある。感性が近い
本屋もあれば、まったく心が動かない本屋もあ
る。それがまた楽しいのだけれど…。デジタル
もいいけど、やっぱり、紙の本が、本が置いて
ある、本屋が好きだ~! なくなってほしくない。

そうそう、ドラマの中で八反先生の子供が出て
くるけれど、八反先生の中の人の、お子さんと
いうことで、何ともほのぼのとしてしまったよ~。

そして、このドラマでの五百旗頭役のオダジョ
ーが、このキャラ設定のオダジョーが、かなり
どストライクの好みのタイプなのが嬉しすぎる。
好みのキャラがいると、ドラマは100倍楽しい。
いい話のあとに、強烈な顔芸ですべて持って
いった荒川良々にも、別の意味で萌えますが。
お話もキャストも、何もかもグッジョブ。イェイ!


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●「重版出来!」HP


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