ミキシングでステレオトラックをもっと広げたいときに美しく音像をワイドに出来るプラグインとして
A.O.M.の【Stereo Imager D】 が気に入っています。
A.O.M. Stereo Imager D
今は色々なプラグインがありますが、ステレオイメージャーで最も老舗なのはWAVESのS1かもしれません。
プラグインの内部構造やプログラミングに詳しくないので、こういったステレオイメージャーがどういった原理で音像をワイドにしているのか?というのはよくわからないのないのですが、ほとんどのステレオイメージャーは無理に音像を広げようとすると多かれ少なかれ音像が崩れていきます。
WAVES S1
最も簡単に想像できるのはMS処理のS成分をブーストする手法で、実際にこの方法で広げているプラグインもあると思うのですが、音が崩れてもそこまで気にならないPAD系のシンセならともかく、崩れて欲しくない場合はなかなか上手く出来ません。
コピートラックを作ったり、ディレイやリバーブで広げることももちろん可能ですが、市販のサントラを聞いていると、ソロのシンセやギターやブラスなどのリードパートが綺麗に広がっているものも多く、いかに音像を崩さずに広げるかというのは私にとって結構ポイントだったりします。
DMG Audio EQuilibrium
IK Multimedia T-racks Ckassic EQ
今はMS系のプラグインは珍しくないですし、EQやコンプで細かい設定も出来るのですが、こういったプラグインは単純にS成分の増幅に過ぎないので、EQでMS個別に周波数ごとに調整たとしてもやはりある程度は崩れてしまいます。
Stereo Imager Dは公式の説明文によると
「Stereo Image Dは、(中略)左右の信号を左・中央・右の3つの成分に分解し、Center GainとSide Gainの設定に沿って再合成します。」
とあり、信号をMS処理のMとSの2つの成分で処理するのではなく、左・中央・右の3つで処理していると書いてあるので、これがワイドに音像を広げても崩れない秘密なのだと思います。
崩れる・崩れないを無視して広げるだけならどんなプラグインでも構わないですし、むしろ多少崩れて音が劣化感じがカッコイイ場合もトラックによっては存在するので(背景のPAD系など)ケースバイケースなのですが、Stereo Imager Dはかなり綺麗なままでステレオイメージングをコントロールすることが出来ます。
一例としてキーボード伴奏のトラックでキャプチャーしてみました。
sideを200%に。
かなり広がったステレオ感ですが、音像はかなり保たれています。
元々のステレオトラックを加工によって広げているので、 100%不自然さを払拭することはできないかもしれませんがStereo Imager Dは強めに広げても元からそういう音であったかのような自然さをかなり維持できます。
少なくとも現時点で市販されているプラグインの中では1番良い出来かもしれません。
「空間系エフェクトを使わずに美しく広げる」あるいは「空間系エフェクトだけでは出来ないようなさらなる広がりを得る」という時にはかなり重宝しています。広げても不自然な感じにならないのは素晴らしいです。
崩したい時は今でもS1を使ったりしますが、音像を崩したくないときはStereo Imager Dが最近のお気に入りです。
A.O.M.は素晴らしいプラグインがほかにもまだまだあるので、また別の記事でレビューを書いてみたいと思います。
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