独学で対位法を学ばれる方へのアドバイスを書かせて頂きたいと思います。

 

 

何度か似たような内容を書いてますので、今回は基礎的な内容がある程度出来ているという前提でもう少し応用的な内容を書かせて頂いてます。

 

 

基礎的なことという用語をいわゆる教科書に掲載されている課題が普通にある程度まで解けるという意味で使っています。

 

 

独学だと自分で教科書の課題を解いても、果たしてそれが合っているのか、どんな部分が良くないのかがわからないという方は多いのではないかと思うのですが、実際に和声も対位法も対人添削を受けないと、自分の苦手な点や効果的な訓練方法がわからないままなのでなかなか上達しないのが現実だと思います。

 

また教科書に独学で学べるほど親切なものがないというのも難しさに加担しているように思えます。

 

しかしそれは独学である以上仕方ないことなので、ブログ上でアドバイス出来るとしたら教科書に載っているお手本をよくアナリーゼして、それの良いところ、悪いところを自分なりに考えてみましょう、というくらいしか言えません。

 

 

良いお手本とそれを分析的、批判的視点で見ることで、ある程度の基準が生まれてくるかもしれません。

 

 

ともあれ単純なミスをするということは楽譜=音の把握能力の問題であり、自分なりに納得のいく横のラインが書けないということは単純に練習不足ということになりますので、こればかりは日々の積み重ねがものを言います。人によって得手不得手がありますが、他人と比べても仕方ないことなので自分なりに頑張るしかありません。

 

 

今回はもっと実践的な作曲に役立つ対位法(的な)勉強の仕方です。

 

 

勉強の仕方と言っても特別なことはなく、ただ実際の作品における対位法(的)な作品から学べるアイデアをアナリーゼし、自分でも真似て作ることで、自分の実践的な対位法技術の確立を目指す方法になります。

 

 

テーマはあくまで独学、つまり一人きりで勉強するという内容であり、実際は先生に付いた方が良いほうに決まっているのは言うまでもありません。

 

 

【基礎編】

①自由な2声の曲をアナリーゼし作る。

インベンション1番

 

1番有名なのはバッハのインベンションでしょうか。他にもクラシックには二声の対位法楽曲はたくさんありますが、もしバッハのインベンションのアナリーゼをしたことがないのであれば全曲挑戦してみましょう。言うまでもなく、非常に良くできています。単純にクラシックという枠を超えて作曲全般に役立つアイデアに満ちています。

 

 

②自由な3声の曲をアナリーゼし作る。

シンフォニア1番

 

これも1番有名なのはシンフォニアでしょうか。内容は二声のインベンションよりも充実し、3声部における模倣や展開や主題活用の最も古典的な基礎を知る上では非常に勉強になります。

 

 

バッハだけでなく、ヘンデルにも取り組むことを私としては大いに勧めたいと思います。バッハに比べるとヘンデルは幾分和声的ではありますが、バッハとの違いや和声的書法と対位法的書法のバランスの取り方などは大いに参考になります。と言うよりも作風がかなり異なるのでバッハ以外の対位法の活用の手法という意味で参考になる点は多いのではないかなと思います。

 

 

他にもバロック時代の作曲家はたくさんいますが、独学で勉強なさる方はおそらく初学者の方がほぼ全員だと思いますので、バロック時代の作曲家はバッハとヘンデルだけ押さえておけばとりあえずOKだと思います。

 

 

さらっと書いていますが、実際にはこの2つだけでも独学で進めていくのはかなり難しいはずです。 

二声部だけで和声を充実させていくこと、両方の声部を美しく書くこと、模倣や展開を活用すること、主題をあらゆる技術を駆使して展開させていくこと、etc…などはまずバッハやヘンデルの楽譜を見てそれを初学者が読み取れるか?というのが問題ですし、読み取れても真似できるかどうか?は個人の技量によりけりといった感じです。

 

③様々なカノン

音楽の捧げものの主題

 

単純なカノンを美しく作れるか?というのは結構重要で私もBGMで使ったりします。

カノンに関しても枚挙に暇がないほどたくさんの実例があるので、いろいろな実例をアナリーゼしつつ自分でも全ての音度でカノンを作ってみましょう。

 

 

④単純フーガ

平均律の2番のフーガ

 

バッハの器楽フーガとヘンデルの声楽フーガはバロックの二大巨匠が残した人類の偉大なる遺産とも言うべき素晴らしい作品群ですが、バッハに限って言うのであれば平均律などに見られるクラヴィーアフーガとオルガンフーガを分けてアナリーゼし、また自分でも作ってみると良いと思います。

 

 

なぜこの2つを分けて考えるのか?と言うとまず主題の作られ方が異なり、主題の内容が異なるという事はフーガ全体の展開も異なるからです。

 

 

フーガに関して言えばモーツァルトやベートヴェン、シューマンやメンデルスゾーン、あるいはブラームス、さらにはフランクなどのフーガもバロックとどう違うのか?をアナリーゼしてみるとためになります。

 

 

フーガといっても独立した作品としてのフーガではなく、ソナタ形式などに組み込まれたいわゆる風フガートもクラシックの作品にはたくさんあり、古典派やロマン派あるいは近代音楽の作曲家たちがフーガに対してどのように向き合っていたのかを知ることが大いに価値のあることです。

 

 

フガートは古典時代やロマン時代に限らずバロック期にも多々見られ、 例えば有名なヘンデルのメサイヤの序曲にもフガートがあり、実例はほかにもたくさんあります。

 

 

それらを学ぶことは自分がフーガに対してどのように向き合いへば良いのか?という命題へのヒントになると思います。

 

 

個人的にバロック以外で特にお薦めなのがフランクのプレリュード、コラール、フーガであり、ロマン派におけるフーガの新しい可能性を切り開いた傑作と言えるでしょう。

 


 

⑤二重または三重のフーガ

シンフォニア9番

 

主題が1つだけではなく2つ、ないし3つあるものを二重または三重のフーガと呼びますが、単純フーガに比べると圧倒的に作品の数は少ないですが、さまざまの作曲家に見出すことができます。

 

 

上の譜例バッハのシンフォニアの9番ですが、最も美しい良くできた主題が同時に出てくるタイプの三重のフーガの実例と言えるでしょう。バッハのフーガの技法も多いに参考になりますし、複数の主題をストレッタでどのように求めているのか?というのが単純フーガと違う興味深い点になります。

 

古典のベートーベンにおける二重フーガの作例なども大いに参考になります。

 

 

 

【応用編】

 

独立した楽曲としての対位法的書法の二声、三声やカノンあるいはフーガはバロック時代において花咲いた様式であり、それ以降の時代では独立した楽曲として用いられるというよりはソナタ形式を始めとするその他の諸形式の中で部分的に活用されるようになり、独立した楽曲としてのカノンやフーガは明らかに下火であるというのは誰もが納得してくれると思います。

 


もちろん古典以降も完全にフーガは消えてしまったわけではなく、例えばベートーベンの大フーガ、シューマンやメンデルスゾーン、ブラームス、フランク、ラヴェルなどもフーガを書いていますし、管弦楽の中でフガートを活用しているという意味ならブルックナー、ラフマニノフなどものすごくたくさんの作曲家の名前を挙げることができます。

 

正直BGMのお仕事で独立した楽曲としてのフーガを求められる事は無いと思いますし、私も今まで1度もありません。多分これからもないでしょう。相当なレアケースだと思います。

 

 

フーガ、というよりももう少し広く考えて対位法技術というのはバッハなどに見られるような独立した楽曲ではなく、自分の作品のあらゆる部分にどのように活用していくのか?というのが現代に生きる我々の対位法との向き合い方であるはずです。

 

 

これを見出すにはやはりアナリーゼと練習であり、古典以降の作曲家たちの作品がどのように対位法と向き合ってきたのかを学ぶことが、そのまま自分の考え方に役立つはずです。

 

 

使い古された言葉ですが過去を学ぶことによって未来を予測するということで、ほんの些細な活用方法からかなり露骨な活用方法まで作例は枚挙に暇がありません。それこそ本当に山のようにあります。ロマン派における一例を出してみましょう。

 

 

ワーグナーのニュルンベルクのマイスタージンガー序曲冒頭

 

 

主題の旋律がバス声部になって登場する部分

 

ニュルンベルクのマイスタージンガーの序曲では冒頭で提示された美しい主題が曲の途中でバス声部となってあらわれます。

 

これはいわゆる展開可能対位法ではありませんが、対位法的な技術の活用の一種と言えるでしょう。

 

 

ほかにもたくさんあります。

 

 

ベートーベン 交響曲第9番4楽章二重フーガの部分

 

ベートーベンの交響曲第9番では二重フーガが使われています。それまでに登場した2つの主題を二重フーガとして展開しているわけですが、厳密に言えば二重フーガというより二重フガートと言ったほうが正しいかもしれません。

 

 


フォーレバイオリンソナタ1番 展開部

 

バイオリンソナタ+カノン=フランクのバイオリンソナタ4楽章を思い浮かべる方は多いのではないか?と思いますが、敢えて譜例をフォーレにしてみました。

 

展開部でバイオリンとピアノが順番を入れ替えたりしつつ、完全なカノンになっています。

 

 

ベートーベン ピアノソナタ第2番、第2楽章

 

ベートーベンのピアノソナタの2番第2楽章のLargoでは本当にちょっとした形で主題が8度のカノンで用いられています。前述のフォーレと違って完全な形のカノンではなく、結尾が多少崩れています。

 

 

この譜例のすぐ後で、変奏されてまたカノンになりますが、こういったちょっとした対位法技術の活用はあらゆる作品のあらゆる箇所に見出すことができます。

 

 

他にもありますか?と聞かれれば、既に述べたとおりそれこそ山のようにあります。クラシックにお詳しい方であればいくらでも「この曲のこの部分は~」のように実例を挙げることができると思いますが、要するに実例を山ほどアナリーゼして、真似て作ってみることを推奨しているわけです。

 

 

アナリーゼするためには基礎的な音楽理論や和声の知識が必要ですし(私が書いた作曲の本のような基礎レベルの知識)、真似て作るには基礎的な対位法の能力が必要です。それがなければ多分難しいでしょう。確固たる基礎が何よりも重要になります。

 

 

これらを独学であっても、実際にやってみることでかなり力が付くはずです。少なくとも技術的にはかなり向上が見込めるはずです。

 

 

そしてさらに大事なのが、バッハ以降の古典派の世代から近代におけるまでの大作曲家たちが果たして如何にして対位法と向き合ってきたのか?というスタンスを学ぶことによって、「では自分はどうするのか?」というヒント得ることができます。

自分にとって対位法やカノンやフーガがどういった意味を持っているということです。

 

バッサリ捨ててしまってもいいと思いますし、自分の作品の中に適宜に組み込んで行ってもいいと思います。この辺は完全に個人の作曲スタイルの問題になりますが、例えばポップスやロックによくあるようなストリングスやブラスアレンジでは対旋律として対位法?のような複数の声を同時に美しく描くという技術が必要とされますし、単純な旋律の伴奏というスタイルに限界を感じて対位法を求める方も多いのではないかと思います。

 

 

ともあれ基礎的な技術がないと応用的なことは出来ないはずですし、ちょっとした対旋律があるだけでも単純な旋律と伴奏のみのスタイルで作曲をしている方にとっては自分の作品をよりかっこよく聞かせるポイントになったりはしますので、是非大いに対位法を学んで欲しく思います。

 

 

このブログで書いた応用的な内容に関しては、いつまでも続けていく勉強ではあると思いますが。基礎的な内容に関しては学生のうちに終わらせておく方が絶対に賢いです。学生の方は大いに勉強しましょう。

 

 

レッスンでは生徒さんのレベルに合わせて課題を出したり、ここに書いていない内容を学ぶこともよくあります。

独学で難しいのは自分のレベルや趣味嗜好に合ったの作品を見つけるのが難しい点でしょうか。あとは自分の弱点に気づかなかったり、自分の対位法技術の善し悪しを判断しにくい点です。

 

 

対位法はなかなか独学では学ぶのは難しいというのが現状ではあると思いますが、この記事がどなたかのお役に立てば幸いです。

 

最後までお読み頂き有難う御座いました。

 

 

 



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独学で作曲を学ばれる方へのアドバイスシリーズですが、今回はアナリーゼと作曲のアイデアについてです。

 

 

作曲の初学者の方は作曲に苦戦して途中で製作が止まってしまう、あるいは製作のペースが非常に遅い、ということがよくあります。

 

理由は色々あると思いますが、まず1つは単純に音階や和音といった土台に加えて、一般的な意味での音楽理論(色々なコード進行や旋律の作り方)をしっかり理解していないケースです。

 

 

これはたくさん作曲の本が出ていますし、私自身も書いていますが、普通に読み進めていけば誰でも理解出来ると思います。先生を見つけるのも簡単でしょう。

 

 

いわゆる勉強、座学に入る範疇ですが、これは主にインプットの側面で自分の内部に外部からの知識や技術を詰め込む作業であり、創造的とは言えません。人それぞれ進歩の速度は異なるでしょうが、必ず努力報われる分野と言えます。

 

 

もう一つはそういった基礎的な内容はある程度、または完全に理解しているのに作曲が止まってしまう場合です。

 

 

音楽の基礎理論や作曲技法が完璧に理解出来ているのであれば、それは初心者とは言い難いですが、アウトプットの側面である作曲において単純にアイデアが浮かばないというようなケースで作曲が止まってしまう場合は、たくさんアナリーゼして真似て作っていく方法をお薦めします。

 

 

真似というとパクリ・盗作のようでイメージが悪いですが、過去の大家たちの作品やヒットソングやBGM楽曲をよく聴いて、その音楽的内容を理解し、そこに使われているアイデアや精神性を汲み取って自分の作品でさらに良いものとして活かすという方法は、多かれ少なかれ誰もがやっていることではないかと思います。

 

 

バッハやモーツァルトやベートーヴェンやヒットソングやBGMを無視する必要は何処にもなく、むしろ私としては初心者の人ほど多いに学ぶべきだと思いますし、そこから得た着想を活かせるように努力するべきです。

 

 

そのまま使ったら単なるパクリになってしまいますので、変更を加えていくべきですが、ここでは以下の内容を作曲の初心者の方に対してのアドバイスとして書かせて頂きたいと思います。

 

まず筆が何時間も止まってしまうようであれば、その続きのアイデアを過去の大家に求めるべきです。

 

 

そうしてしまうと完全なオリジナルではないわけですが、人によっては何日も、何週間も、何ヶ月も作曲が止まってしまう方もおり、そんなに長い期間止まってしまうくらいなら、何か続きを作る良いヒントがないか探してみた方が有益かもしれません。

 

 

もちろん露骨なパクリには反対ですが、かといって初心者段階にある方がいきなり誰の真似でもないオリジナルをスラスラ書けるわけもないため、自分を初心者だと思ううちはある程度までは勉強だと割り切って、自分が素晴らしいと思う作曲家の影響を受け入れるべきです。

 

 

例えば、ある初心者の方がバラード調の遅い曲を作っていたとしましょう。

途中までは作れたけれど、続きが思いつかないという場合に手が止まってしまいます。

 

 

もちろん作曲において悩むことは重要ですし、熟慮の必要があるのは言うまでもありませんが、例えばショッピングモールの様々なお店が建ち並ぶ場所でたくさんのお金を持っていて「何を買おうか?」と悩むことと、何もない荒地でお金も持たずにこれからどうしたら良いのか悩むことは、同じ悩むでも全く意味が違います。

 

 

作曲で言うなら、続きの展開をどうしようか有り余るアイデアの中からどれにしようか迷うのと、続きが全く思いつかなくて迷うのは全く意味が違います。

 

 

過去の大作曲家たちも多かれ少なかれ悩んだはずですが、それはおそらく作曲の初心者がぶつかるような悩みではなく、もっと高度で、複数の選択肢の中からどれを選ぶかで悩んだり、凡人には思いつかない部分で悩んでいたのかもしれません。

 

 

いずれにしても、作曲の初心者の方がこのようなケースで手が止まってしまった場合、自分が今作っている曲と類似する曲を探して、それがどのように作られているのかを出来るだけたくさん見てみましょう。

 

 

 

ベートーヴェン ピアノソナタ1番2楽章の8小節目から

楽譜の箇所は38秒あたり

 

スコアへのリンク

 

上の譜例はベートーヴェンのピアノソナタ1番の2楽章の途中部分です。最初の8小節の最後はドミナントで半終止して、続きがどうなっているのか?を見てみることは自分が止まってしまっている曲の続きをどうするのかを知るヒントになります。

 

この部分から得られるアイデアは以下の3つです。

 

①半終止の後はドミナントペダルで次の8小節がスタートする。

②Ⅴ→Ⅰ2の繰り返し。

③旋律と内声の動きが反行している。

 

もし自分が作っている曲のそれまでの部分でペダルを使っているならアイデアが被ってしまいますが、そうでないなら次の展開をペダルにするというのは変化があって面白いかもしれません。

 

またそれまでの部分が和音がコロコロ変わる変化の大きい和声(コード進行)なら、次はⅤ→Ⅰ2の繰り返しのような単純な響きの変化の少ないもので、曲調を一旦落ち着かせるのもそれまでとの変化があって面白いです。

 

反行のアイデアはアイデアというほどのものではありませんが、色々な場所で活用できるはずです。

 

 

もし私が作曲の初心者で途中で行き詰まって、続きをどうしようか…?と悩んだらこのように適当に楽譜をパラパラと開いて、そこで使われているアイデアを流用すると思います。

 

 

困ったときに初めて楽譜を見るのではなく、普段からアナリーゼを行って様々な作品に触れるべきですが、このようにしていけば作曲のアイデアにおいて膨大な引き出しを得ることが出来ます。

 

 

続きが思いつかなくて悩み手が止まってしまうのではなく、たくさんアイデアがあり過ぎてどれを使おうか迷ってしまうわけです。

 

 

そしてこれを流用したとしても、パクリだとは思いません。

曲の途中からペダルが使われている作品は山ほどありますし、具体的な内容ではなく、曲の大雑把な展開の概念を参考にしているのであって、「途中からドミナントペダルを使うのはベートーヴェンのパクリだ、盗作だ」というのはいくら何でもあり得ない話です。

 

 

普段から色々な作品に目を通すことで、こういったアイデアは自分の中にどんどん溜まっていくはずなので、初心者の方ほどたくさんのパターンを知って欲しく思います。

 

 

もちろんただ聴くだけではなくて、作曲する立場から曲に接する必要があります。

 

電車の中でMP3プレーヤーを聴くだけで、どんどんアイデアが溜まっていくというような夢のような能力があれば別ですが、普通は楽譜がないと無理でしょう。

 

 

また楽譜を見ても意味がわからない、という段階の方もいらっしゃると思います。

 

その場合は基礎的な内容に立ち戻る必要があります。いわゆる音楽理論の基礎がないと楽譜を見ても意味がわからないことが多々あると思いますので、基礎から勉強です。

 

 

もちろん他人の曲を無視して、自分一人だけで作曲を進めて困ったことは一度もない、というのであれば、それはそれで素晴らしいことですが、単なる思いつきやその場の勢いやノリだけで、大して考えもせず無計画で人生を生きていくことが賢くないように、作曲もその場の思いつきや勢いだけで無計画に作っていくのはあまり高等なやり方とは言えません。

 

 

ひらめきは大切ですし、勢いも大事ですが、その場限りの衝動や思いつきだけに頼って物事を進めていくのは、あまり賢い生き方とは言えないように作曲でも同じと言えます。

 

 

それは過去の大家たちの作品を見れば一目瞭然です。

 

 

一言で言うならちゃんとした知識や技術を元に良く考えて行うべきであって、思いつきや衝動のみを重視し、それを人生(作曲)の中心におくのはあまり良くありません。確固たる知識と技術と熟慮と経験と思考方法があったほうが絶対に良いはずです。

 

 

 

 

音楽理論なんて勉強したくない、他人の曲なんて聴きたくない、聴いたり、勉強したらそれに影響を受けてパクリになってしまうのが恐い、なんて方もいますが、様々な作曲技法をしっかりと身につけてそれを超えていくというのが正しいあり方であり、過去の大家たちがしてきたことです。

 

 

そもそもクラシック音楽の大家や現役でプロとして活躍している方たちの作品を無視する必要は何処になく、逆に積極的に自分よりも優れている人たちの作品から学ぶ姿勢が大切です。

 

 

そしてそれには曲を聴いたり、楽譜を見て自分の作曲で応用出来るように理解する能力、つまりアナリーゼの能力が必要になるわけですが、最も簡単な曲から最も難しい曲まで誰の何の曲を見ても理解出来ないことがないレベルのが最終的な理想です。

 

 

理解の速度も楽譜を読む速度も速ければ速いほど、限られた時間を有益に使うことが出来ます。

 

 

 

前述のベートーヴェンのピアノソナタくらいなら誰にでもわかるかもしれませんが、ロマン派や近代音楽や国民楽派たちや、今時のヒットソングやアニソン、あるいは映画やゲームやアニメのBGMなどには高度な音楽がたくさんありますので、音楽への理解度は高い方が有利です。

 

 

個人的には正しくアナリーゼ出来るなら、少なくとも真似は出来るわけで、真似にならないようにするにはそこに自分のオリジナリティーを挟んでいく必要があるわけですが、まずは正しくアナリーゼ出来るだけの知識と技術が初心者の方には優先的に必要になります。

 

 

悩んで止まるくらいなら、どんどん自分よりも優れている作曲家の作品を参考にしましょう。そうなると100%オリジナルではないかもしませんが、初心者のうちは仕方ないことです。

 

 

勉強だと思って割り切って、逆にたくさんの曲からたくさんのことを学び、たくさんの作品を作ってたくさんの知識と技術と経験を増やしていくことの方が、いつまでも悩んで立ち止まっているよりも遥かに有益です。

 

 

アナリーゼはずっと続けて欲しいですが、そのうち自分なりの作曲のやり方が身に付いてきたら段々と他人への依存度が減っていくはずです。

 

 

初心者が見るのと、プロの作曲家が見るのでは見えているものが違い、大切なことを見落としてしまうことがあるかもしれませんが、経験とともにアナリーゼ能力も上達するでしょうし、誰かに習うことでアナリーゼの考え方や見方や応用の仕方を学ぶことも出来ます。

 

アナリーゼはアナリーゼである種の技法と呼べなくもないので、これはこれで習得にある程度の努力が必要かもしれません。

 

 

まとめると初心者のうちは悩んで長時間手が止まるくらいなら、どんどん他人の優れた作品に学んで(真似でも良いから)作った方が良い、

そしてそのためにはアナリーゼ(音楽理論や作曲技法)への理解が必要なので、基礎的な音楽理論や作曲技法をどんどん学ぶことをお勧めします。

 

特にこういった基礎的なことは若いうちに、出来れば学生のうちに終わらせてしまうべきです。

 

作曲する行為自体はとても大切ですが、それと同じくらい音楽理論や作曲技法の土台を固めることも大切です。

 

 

最後までお読み頂き有り難う御座いました。

 



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「独学で作曲を学ばれる方へ」シリーズで今回は移調練習を取り上げてみたいと思います。

 

本当に一人で勉強していると、将来必要になるであろう内容になかなか辿り着かないこともあるのですが、その中でも特にないがしろにされているのがこの移調練習だと思います。

 

 

昔の作曲家には彼らの移調能力の凄さを伝える逸話がいくつも残っていますが、現代の作曲家でも移調能力が必要なのは変わらず、この能力はある程度の長いスパンでの訓練が必要になるので出来るだけ速いうちにそこそこの能力を獲得しておくと後で楽が出来ます。

 

色々なやり方がありますが、鍵盤があれば独学で可能な簡単な練習をいくつかご紹介します。

 

 

■旋律の移調練習

 

 

移調練習の最終目標は何の曲でも即座にすべてのキーに移調できるようになることです。

 

上のフレーズはブラームスのヴァイオリンソナタ1番の第1主題ですが、固定ドで読むとレーレーレードシソレーー、ミーミミーソとなります。

 

 

移動ドで読んだ場合

 

これをそのまま固定ド(音名唱法)で読むのではなく、移動ドで読みます。

 

KEY-Gでレは5番目の音ですので、KEY-Cに直すとソになります。要するにハ長調に移調して読み直します。

 

移動ド(階名唱法)でこのフレーズを読むとソーソソーファミドソー、ラーララードという風になりますが、このように移動ドでフレーズを読んで(あるいは暗記して)すべてのキーに鍵盤を弾きつつ移調します。

 

移調するときに固定ドで音名を言いながら歌っても良いですが、何のキーで歌っても移動ドで読むのが望ましいです。

 

前回の一日一曲と同じで毎日続けるのが望ましいので、一日十分でも十五分でも時間を取って継続していくのが上達のコツです。

 

 

練習してみたい方はこのブラームスのフレーズをまず移動ドで覚えたら、KEY-Cから半音ずつ上げて同じように鍵盤を弾きながら移動ドで音名を言いつつ歌ってみましょう。

 

12のキーすべてで間違えることなく出来るようになるまで練習します。

 

フレーズそのものは何でもOKで、自分が覚えられる長さであれば本当に何でも構いません。

最初のうちは臨時記号のないものを推奨しますが、慣れてきたら臨時記号や転調を含むものをやってみましょう。

 

これが上手く出来ないということは、単純にメジャースケールやマイナースケールを覚えていないということにもなりますので、復習が必要な方はスケールから見直してみましょう。

 

■コードの移調練習

 

単旋律の移調練習は比較的簡単ですが、慣れてきたら今度はコード進行ごと移調します。

 

最初はディグリーネームだけでボイシングを無視した移調でも構いません。

 

CAmDmGというコード進行はディグリーに直すと

ⅥmⅡmですので、これをあらゆるキーに移調します。

 

興味がある方は早速やってみて下さい。鍵盤で実際に弾きつつ、すべてのキーに難なく移調出来るようになるのが目標です。

 

 

慣れてきたら、ちゃんと譜面を用意して、譜面を丸ごと移調するようにします。ボイシングを変更せずに、DAWでコピー&ペーストしてずらすように移調します。

 

まずはダイアトニックコードのみで開始して上達してきたら副属7やSDMなどの借用和音を入れていきます。

難易度が上がりますが、実際の作品では言うまでもなく借用和音は一般的に使われるものですので、借用和音ありで練習する必要があります。

 

 

■両手の移調練習

 

さらに慣れてきたら大譜表のピアノ譜面をそのまま移調してみましょう。すべてを移動ドで覚えて、どんなキーに移調しても弾けるようにひたすら練習します。

 

 

メロディーやコードを移調出来る人にとって、これは結局は同じことなので特に難しくないはずです。

 

 

■移調によるメリット

 

移調が出来るようになることで得られるメリットは山ほどあります。

基本的に初心者の方に対してのアドバイスですが、まず様々なキーで作るということに抵抗がなくなるはずです。

 

よくKEY-D♭の曲をKEY-Cで作ってDAWで半音上げるような真似をする方がいますが、こういったこと本当に作曲において上達したいなら止めるべきです。

 

KEY-D♭もKEY-Cもあるいはそれ以外のキーもすべてはただずれるだけで同質のものですので、同じように扱えるようになるべきです。

 

 

また作曲における転調能力も向上します。KEY-D♭の曲をKEY-Cで作ってDAWで半音上げるような方はおそらくKEY-D♭をKEY-Cほど自由に扱えないので、この2つのキー間における自由な創意工夫溢れる転調はほとんど不可能なはずです。

 

習熟度によりますが、苦手なキーが多いほど転調や借用和音の発想は狭く限定されたものになり、つまりコード進行やメロディーの可能性は乏しいということになります。

 

一つのキーで作るとしても様々な借用や部分転調はカッコイイ曲を作るためには絶対に必要なので、それらの可能性も移調の上達とはずに広がってくるはずです。

 

 

作曲ではなくアナリーゼの側面での上達も見込めます。苦手なキーはそれだけで譜面を読みにくく、さらにそこに借用や転調が加わってくると余計にその曲のコード進行や和声が理解出来ないという方は多いので、それらの解消にも繋がります。

 

良くレッスンでもやりますが、難しい曲で生徒さんが自力でアナリーゼ出来ない曲でも全部KEY-CやKEY-Amに直すと出来たりすることもあるので、これは単純に移調能力の欠如の問題と言えるでしょう。

 

 

オーケストラスコアを読むときにも特に管楽器パートで音型が得られます。移調能力はそのままA管やB♭管の譜面を読む能力とイコールですでの、譜面を読むのが速くなるはずです。

 

アルト記号やテノール記号、和声でよく出てくるソプラノ記号もある意味で移調記号みたいなものですので、圧倒的に速く読めるようになるはずです。

 

 

移調能力は基礎的な範疇に分類され、特別な技術というよりは単なる音楽への慣れの問題であり、練習すれば誰でもKEY-Cと同じくらいすべてのキーを扱えるようになるはずです。

 

 

 

ピアノの伴奏者の方などは超人的な移調能力を持った方がいらっしゃいますが、そこまで行かなくても何かアナリーゼのために譜面を見たり、作曲しているときにささっと移調出来る能力があれば、ミスも減り作曲の速度も向上し、借用和音や転調という意味で和声の豊かさ・可能性も広がるので良いこと尽くめです。

 

 

実際には移調の練習方法は様々な練習があり、ここで述べた方法は自宅で一人で出来る簡易な方法ですが、楽器を習っている方は先生に相談したり、さらに詳しい勉強方法を調べてみると良いと思います。

 

 

しかし、私が見てきた限りでは余裕で移調が出来るレベルの高い方とほぼ全く出来ない方の二極分化しているように見えますので、慣れていない方はまずは簡単なメロディーやコード進行(和声)を全部のキーで移調する練習から始めると良いのではないかと思います。

 

 

これは作曲の基礎に相当する部分ですが、とても大切なことですので是非頑張ってみて下さい。

 

 

 



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独学で作曲を学ばれる方へのアドバイスを散発的にたまに書かせて頂いていますが、今回は一日に一曲必ず知らない曲を新規開拓して聴くという勉強方法をお勧めしたいと思います。

 

 

特別なことではないように思えますが、たくさんの曲を知っているということは自分が作曲するときにかなり有利に働く財産ですし、それをキッカケに自分でもそのジャンルの曲を作ってみようという気持ちにもなりますのでかなり有益です。

 

 

 

レッスンの生徒さんにも推奨していますが、このことにあまり時間や労力を使わないようにしつつ、毎日15分ぐらいの時間を使って全く知らない曲をどんどん増やしていきます。ポイントは下記の通りです。

 

 

・多楽章のクラシック作品は一楽章だけで一曲とする。

・長い曲はさらに分割しても良い。

・出来るだけ楽譜を手に入れる。

・鍵盤で重要な部分を簡単にさらってなるべく旋律や和声を把握する。

・時間を掛けない(15分程度まで)、疲れないようにする。

・その曲とその作曲家の由来や人物について簡単に調べる

・〇年〇月〇日と作品名と日時を記録に残す。

 

 

 

曲は本当になんでも構いません。自分が得意・好きなジャンルをより深めていっても良いですし、知らないジャンルに手を伸ばすのも良いと思います。

 

 

 

 

 

 

上の動画はリリ・ブーランジェの「ピアノのための3つの小品」という曲で、02:19からの「明るい庭にて(D'un jardin claire )」を聴いてみて下さい。

 

 

どうでしょうか?個人的にはドビュッシーやラヴェルが好きなので、その流れのリリも好きなのですが、2曲目の明るい庭にては明るく、透明感のある美しい感じの作品です。

 

 

紙の楽譜を購入しても良いですし、imslpで著作権が切れているものはダウンロードも出来ますが、とにかくこうやって毎日自分の知識を意識的に増やしていきます。

 

 

1年で365曲、3年続けたら1095曲(うるう年除外)でかなりの量になります。続けるためには負担になってはいけませんので、15分くらいにするのがコツです。

 

 

電車で通学なさっている学生さんなら電車の中でスマホで調べてyoutubeで聴くという方法でも良いですし、そうでなくても音楽を勉強なさっている方であれば一日に15分くらいはこのために時間を使っても良いのではないかと思います。

 

 

オムニバスもののスコアを買って、順番にさらっていくのも良いですし、適当に興味のあるジャンルをネットで検索して行き当たりばったりでも良いでしょう。こうして得た知識はそのまま作曲に繋がっていきます。

 

 

私の場合は既に作曲に対してある程度理解があるので、聴いてその場で簡単なフレーズを真似て作ってみたりします。これはすべの曲にするわけではありませんが、特に気に入ったものに関してはBGMのネタにして作ったりすることもあります。

 

 

例えば先ほどのリリの曲であれば、真似て速攻で一曲作るわけですが、そのためには楽譜を見てアナリーゼする能力が必要で、和声やボイシングやリズムや旋律作法などを把握出来なければいけません。

 

上の画像は先ほどの「明るい庭にて」の冒頭ですが、どうでしょうか?そんなに難しくないのですし、譜面も簡素化されていますので読み取りやすいと思います。

 

 

この練習の面白いところは自分一人だけの世界ではやらないであろう和声やボイシングや旋律作法やリズムと、そしてフレージングや曲の構成に出会えることです。そしてそれを真似て自分でも簡単に作ってみることで世界は広がりますし、時にはちゃんとした作品として残しても良いかもしれません。

 

 

この場合は単なる練習フレーズである場合と形としてちゃんと残す場合と2通りのパターンがありますが、いずれにしてもちょっとでも作ってみるのはとても大切です。

 

毎日例え2小節でも4小節でも書いていくのは「継続は力なり」なわけですから大切になってきます。スケッチみたいな感じで書いていくのは結構大切だったりします。

 

 

ここまで来ると絶対15分では終わらないですし、「聴く」ではなく「作る」になってしまっていますが、

何のために自分の知識を増やすのかというと、それは作曲のためなわけですから、新しく出会った作品が自分の新しい作曲のキッカケになればそれで良いわけです。

 

 

こうして知識や技術を毎日少しでも磨いていくことが無駄になるわけがありません。

 

 

クラシックに限らず、もう1曲何か取り上げてみましょう。

例えば「タンゴ」ならどんな曲を連想しますか?BGMでタンゴっぽい曲を作ってくれというケースは少ないかもしれませんがゼロではありませんし、普通の日常シーンっぽいBGMにタンゴ要素を入れたりするケースもありますので、色々なジャンルの曲に通じていると作曲ではかなり有利になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真っ先に浮かぶのはピアソラで、ほかにもアルベニスのタンゴやアンダーソンのブルータンゴなどたくさんの曲が思い浮かびます。

 

リズムや和声(コード進行)、そして旋律作法や楽器にポイントがあるわけですが、作れるようになる前にまずその曲やジャンルの存在を知らないと話になりません。

 

 

いざ作らなければならなくなった時に、初めて取り組むのではなく、予めタンゴの作曲法は習得しておいた方が良いに決まっていますので、音源や楽譜やその他の資料などを集めて自分でもタンゴを何曲か作っておく必要があります。

 

 

たまたまタンゴを例に挙げていますが、これがボサノバ、サンバ、ルンバ、フォルクローレ、チャチャチャ、レゲエなどの南米の音楽に限らず、ロックでもジャズでもクラシックでもダンス系でもすべてに当て嵌まります。

 

 

ボーカル曲の場合は基本自分の好きなジャンルだけをやれば良いという側面が少なからずありますが、BGM系のお仕事の場合は広く色々なジャンルに通じている必要があるため、毎日自分から意識的に知識を増やしていく必要があります。

 

 

ジャンル別の作曲技法の習得は大変ですし、クラシックはどうしても和声法や対位法や管弦楽法に関して明るくないと駄目で、ジャズ系もジャズ理論がどうしても必要になるので、それはまた別の話になりますが、そうなる前にまず「色々な作品に触れる」ということは入り口として、そして知識の量として大切なのであって、特に今勉強中の方は一日のうち15分でも良いので時間をとって自分の知識を広げていくことをお勧めします。

 

 

このことがキッカケでもっと別の何か新しいことに出会えたり、自分に足りないものを認識したり出来ますので、毎日(たまには休んでも良いですが)やってみて下さい。

 

毎日記録を付けて、自分が頑張った証を後で振り返るのも積み重なってくるとそれが励みになったりもします。

 

最後に大切ばポイントを繰り返すと、この勉強は15分くらいに収めて疲れないように、負担にならないようにするのがコツです。

なぜなら学習段階にある方は、ほかに勉強しなければならないことが山のようにあるはずですから、これは運動の前の軽い準備体操、またはストレッチくらいに考えて、これが終わったあとに疲れたり、一休みするようではいけません。

 

苦にならないレベルの僅かな負担で毎日続けて、自分の見聞を広めるというのが大切なポイントです。疲れるほど頑張って知識だけ増えても意味がありませんし、負担が大きいと毎日続かないのでとにかく軽めにするのが重要です。

 

最後までお読み頂き有り難う御座いました。

 



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前回の続きです。 

 

 

まず楽譜に書いてある音からコードネームを取れることが最低限の条件です。後期ロマン派や近代フランスや国民楽派などの発展的な音楽は常にドミソ=Cのようにわかりやすい和音ばかりではなく、疑義が生じる場合も多々ありますが、この部分が最低限の土台です。 

 

難しいケースがあるのはポピュラーのボーカル曲やBGMでも同じですが、この部分は特別なテクニックがあるわけではなく、その人の基礎能力・音楽への理解度の深さによって様々です。

   

 

ブルックナー 交響曲第8番 第3主題 

 

 

上の画像はコードネームを付けたものですが、ご自身でおやりになったものと比べてどうでしょうか? 

 

 

難しいとお感じになる方もいらっしゃるかもしれないので、上段の下声にはそのコードの第○音であるかを書き込んでいます(Rなら根音という意味)。 

 

 

この楽譜に関しては調判定もディグリーも書いてあるのでこれが答えになりますが、KEY-E♭mで♭Ⅵ♭ⅥⅡm7-5と進んでいる部分は比較的簡単だと思います。(最初のC♭E♭mと取れないこともありません) 

 

 

2声部に見えて実は1声部のような変則的な書法ですが、ブルックナーの興味深いテクニックの一つと言えます。上段は上声部はメロディー、下声部は基本アルペジオ(変則的ですが)なので、旋律と伴奏のようにも見えます。 

 

 

難しいのはDM7C#の部分ですが、まずその後にA7Dmと完全にKEY-Dmに転調していますので、この部分は所属転換を行って全部まとめてKEY-Dmで解釈出来るようにしてみましょう。

 

 

 画像にも書いてありますが、C#Gと裏コード関係にあります。和声学では本来裏も表もなく同一の和音ではありますが、今回はポピュラー理論で解釈していますので、裏コードという概念で説明しています。 

 

 

C#Gと考えると、KEY-Dmの場合にGA7Dmという流れになります。なぜKEY-DmでGになるのか?というとこれは和声で言うところのドリアのⅣ(+Ⅳと表記)、ポピュラーで言うならメロディックマイナーのⅣです。 

 

 

つまりⅤ7Ⅰmとなり、が裏コード化されているだけで実際はとても単純な進行になります。 次にC#の前のDM7ですが、これはC#に対するナポリの和音と考えることが出来ます。 

 

 

古典時代においてはナポリの和音はナポリの6の名前の通り第1転回形で用いられ、次にⅤ7に進むのが常でしたが、後期ロマン派の時代まで進むとそういった古典的な束縛から離れてもっと自由な用法が散見されるようになります。 

 

 

特にフォーレなどはかなり自由にナポリの和音を使っていますので参考になりますが、現代でもKEY-Cの時にD♭M7Cのような♭ⅡM7という進行があるように、ナポリの和音の後に必ずしもⅤ7に進むのではなく、そのままトニックに進むことが多々あります。 

 

 

これはポピュラーの作曲を行う方にとって周知のことと思いますが、ブルックナーはメロマイのⅣ(ドリアのⅣ)の裏コードを仮の主和音と見立てて、DM7C#、つまり♭ⅡM7という進行を行っています。 

 

 

私はこういった進行を私の作曲の本で副属7に擬えて、副ナポリ(私の造語)と呼んでいますが、要するにただの借用和音に過ぎません。

 

 

この辺りは和声~理論と実習の青本に載っていますので、ご存じの方も多いと思いますが、KEY-C#の♭ⅡM7となっているわけです。 

 

このKEY-C#のは、実はKEY-Dmのの裏コードなわけですが、いちいちKEY-C#→KEY-Dmと転調と取らずにわかりやすく所属転換して、KEY-Dmだけで解釈できるようにして表記してあります。 

 

これも和声~理論と実習に載っていますが、わずか1つ、2つの和音なら転調と解釈するより、所属転換した方がどう考えてもわかりやすいですし、表記も整理してみることが出来ますので、なるべくアナリーゼでは所属転換して書く方法がお薦めです。  

 

 

KEY-Dmの場合にC#Gの裏)→A7Dmの後は、分散和音や音階下行をしつつ、ロマン派を象徴する3度転調をして曲は続いていきます。 ブルックナーの交響曲第8番は、というよりブルックナー全体に、もっと言うなら後期ロマン派の多くの作曲家に愛用された3度転調ですが、これはまた別問題になりますので、また機会があれば述べてみたいと思います。 

 

 

このように和声の構造を把握出来れば、真似するのも容易いはずです。 ハーモニーだけでなく、旋律が2度上行の反復進行になっている点や二声部に見せかけて実はユニゾンのような作られ方もポイントになります。 

 

 

出来ればこちらでオーケストラスコアを確認して、どの楽器にどのパートが割り当てられているのかを見れば、それはそのままオーケストレーションの勉強にもなります。   

 

 

やはり面白いのはドリアのⅣを裏コード化して、それにナポリを持って来ている点でしょうか。 ポピュラーのボーカル曲(特にアニソン)ではⅡm7に借用のナポリとして♭ⅢM7を持ってくることが多いですが、ドリアのⅣの裏コードに借用のナポリはかなり珍しいです。 このように極限まで広げられた借用和音の調域は、この後の時代がどうなるかを示唆しています。

 

 

ワーグナーのトリスタン和声もそうですが、和声の半音階化や借用和音の調域拡大が限界まで進むと、ついに調性崩壊の時代に突入していきます。 

 

つまりドビュッシーやシェーンベルクやスクリャービンなどの長調・短調に縛られない時代に入っていきます。ブラームスと同期のブルックナーのその少し前の時代の人間ですが、無調時代への萌芽を感じさせるような箇所は後期になるとたくさん見つけることが出来ます。     

 

 

 

このように古典和声やポピュラーの見地から過去の大家の和声法を学べるわけですが、こういった勉強方法は学生さんにとてもお勧めなので、ハーモニーの勉強は教科書や和声課題集をやっただけで満足せずに、実際の作品の和声に触れてみて欲しく思います。 

 

 

ハーモニーを主体に記事を書いていますが、それだけに留まらず、大切なのは楽譜から何を何処まで読み取れるか?です。自分ではよくわからなかったら、自分よりも楽譜が読める人に一体どういう風に見えているのか?を聞いてみるのも参考になるはずです。 

 

 

今回はブルックナーでしたが、ほかの作曲家でもやることは同じで、もっと言うならジャズやロックやフュージョンやボサノバなどほかのジャンルでもやることは同じなので、アナリーゼというか、ハーモニーの把握というか、もっと砕けた言い方をすると「その曲のハーモニーがどう作られているのかが把握」出来ると勉強も作曲も捗るはずです。 

 

 

もちろん音楽はハーモニーだけではなく、メロディーの美しさ、リズムの多彩さ、ボイシング、楽器や音色の選び方や作り方、編曲(アレンジ)、ミックス、マスタリングなど総合的なものですので、ハーモニーだけ切り取ってすべてを論じることは出来ませんが、ハーモニーが音楽全体の中で占めている割合は決して小さくありません。 

 

 

 

これくらい余裕という方から、難しいという方まで色々な方がいらっしゃると思いますが、こういったことは単に勉強・努力をしたかどうかだけの問題なので、頑張れば誰でも出来るようになると私は思っています。 レッスンの生徒さんも最初は全然出来なくても徐々に上達していきますし、私も学生時代は全然出来ませんでしたが、今はそれなりに出来るようになっています。     

 

 

ブルックナーが出来たら、ポピュラーに属するジャンル、具体的にはポップス、ロック、ジャズ、フュージョン、ボサノバなどのコード進行でわからないことは皆無だと思いますが、前回の記事で最初に述べたようにアナリーゼでは特別なテクニックや方法が必要なわけではなく、純粋に基本的なことが理解出来ているか?が重要です。   

 

 

ここで言う基本的なことをより明確に言うなら「書いてある音符からコードネームが取れる」ことと「副属7や裏コードやナポリなどの音楽理論を知っている」ことです。

 

 

この2つが出来ていれば、調性の範疇で書かれている曲でわからないことはないはずです。クラシック楽曲の場合は和声学もある程度必要になりますが、このブログで書いているようにポピュラー理論で解釈することも可能です(古典やバロックはいわゆる「古典和声」で解釈した方が良いですが…)。   

 

 

しかし実際には上手く出来ない方が多いのも現実であり、ポピュラーのボーカル曲やBGM、あるいはクラシックの楽曲をアナリーゼ使用とするときに「??」という方もたくさんいらっしゃいます。 

 

 

これは色々な理由があると思いますが、多くは基本が出来ていないのに応用をやろうとするからであって、何よりも基礎をしっかり固めることが大切になります。

 

 

もしアナリーゼが出来るようになりたい方で難しいなぁと感じる独学の学生さんがいらっしゃれば、その人の理解度によりますが、やはり基礎的なことが本当に自分は理解出来ているのか、実は理解があいまいなままではないか、と省みてみるのも大切でしょう。

 

 

 勉強出来る学生のうちになるべく、基礎的なことをしっかりと身につけておいた方が有利なのは言うまでもありませんが、アナリーゼは特に難しいことではない割に、得られるものが大きいので色々な作曲家の和声法を普段から音楽を聴いたり、スコアを見たりして勉強し、引き出しを増やしておくと色々と有利です。 

 

 

 

あくまで楽譜から読み取れる範囲という条件付きですが、色々な人の作曲のテクニック(和声や管弦楽法、コード進行やアレンジテクニック)を知っておくと自分が作曲する時に捗るはずです。 次回に続きます。   

 

 



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独学で和声法を学ばれる方へ
アドバイス的なことを書いてみたいと思います。

また独学で学ばれる方の多くは、
音大受験ではなく、あくまで作曲のために和声を学ぶという
意味合いが強いと思いますので、
下記の内容は音大受験生の方にはあまり参考にならないかもしれません。

また書かれていることはかなり独断と偏見に基づいています。


和声を学ぶ一番良い手段は良い先生に付くことであり、
それが理想ではありますが、
現実問題として様々な理由によって
それが難しい場合もあるので、
こうしたら助けになるのではと思う内容を
間違いが多分にあることを含んで頂きつつ書いてみますので、
興味のある方は読んでみて下さい。


まず和声とは何か?という問題ですが、
大きく分けて3つの意味があると思っています。


1つ目は作曲の土台となる基礎能力の向上です。
あらゆる種類のバス課題、ソプラノ課題、アルテルネ課題、
借用や変位や転調や主題構成を持つ課題を解くことは
それ自体が基礎能力の向上になりますし、
またクラシックの作曲技法になくてはならず、
BGM的な楽曲でも十分に応用が効く内容です。

作曲の最も根本的な基礎能力の向上と言えます。


2つ目は古典的な和声法を学ぶことです。
(あるいはロマン派の和声も)
具体的にはバッハやモーツァルトやベートーヴェンのような
様式の曲を自分でも作れるようになることです。
これは和声学の本を学ぶだけではほぼ不可能で、
実際の大家の作品の分析と合わせて行わないと難しいと思います。


古典和声を何年も掛けて勉強したのに、
ベートーヴェンやモーツァルトのような作品を自分で作れないというのでは
なんのために古典和声をみっちり勉強したのかわかりませんし、
古典和声に基づく曲を自分でも作れないのであれば、
残念ながら古典和声を習得しているとは言い難いと思います。


もちろん作曲と和声の勉強は別だという意見はあると思いますし、
事実その通りですが、
何のために和声を勉強するのか?と考えたときに、
作曲するために学んでいるのであるならば、
作曲に活かすところまでやらなければ意味がないように思えます。


単なる教養だとか、アナリーゼ目的だとか、受験のためであれば、
和声を作曲に活かす必要はありませんが、
作曲のために和声を学ぶのであれば、
作曲に全く役に立たない和声学に
果たして学ぶ意味があるのかは疑問です。


3つ目は色々な和声進行(コード進行)を学ぶことです。
簡単に言ってしまえばあらゆる種類の借用和音、
内部調、反復進行、保属音など、ポピュラー理論と大いに通じる部分がありますが、
こういったいわゆる音楽理論のテクニックを習得することです。
(ポピュラーでいうところの副属7、SDM、裏コードなどです)


自分の作品作りでももちろん役に立ちますし、
アナリーゼでも役に立ちます。

アナリーゼに関しては役に立つというよりは
和声の知識がないとアナリーゼそのものが不可能な場合が
多々あると思います。


主にこの3つが和声法の勉強における産物であり、
学習段階で心掛けて行かなければならない部分です。


先生がいれば、個人個人にあった方法で
良い具合に指導してくれるかもしれませんが、
独学の場合は常に自分で自分を指導して行かなければなりません。

この3つが得られるものであるということをまずは念頭においてみましょう。



次の問題は教科書です。
独学で学ぶ以上、必ず何らかの教科書的な本が必要になります。


どの教科書にも利点と欠点があり、
たった一冊で和声のすべてを学べるような本は和書ではないように思えますが、
先生がいれば、自分が出来るようになりたいレベルや方向性に合わせて
良い教科書を選んでくれたり、教科書に書いていないことを
補足したり、その習得に必要な課題を(添削を含め)出してくれるでしょうが、
独学の場合は、良い本と出会えるかどうかが問題です。


一般的には和声~理論と実習が一番スタンダードだと思いますが、
ほかにももっとライトな和声本もありますし、
全員が同じ方向性、同じレベルを目指している訳ではないので、
どの本が良いのかは一概には言えません。


音大受験のために和声を学ぶ方と
趣味で学ぶ方ではかなり変わってくると思います。


本屋さんなどで立ち読みをしたり、
評判などを調べたりしつつ、何冊も手にとっていくしかないでしょう。



この点においてアドバイス出来ることがあるとすれば、
本だけに決して頼り切ってはならないという点です。


添削してくれる誰かがいれば良いですが、
ここで言いたいのは添削云々ではなく、
本に書いてあることを決して鵜呑みにしてはいけないということです。


どの本にも禁則やよく使われる進行などが掲載されていますが、
例えば和声~理論と実習では
「導音は重複も省略も出来ない」書かれています。
公理A2(赤本P113)
 

 

BWV184 待ちこがれし喜びの光
第5曲 コラール『主よ、しかとわれら望むなり』(Herr, ich hoff je)


拡大して赤い線と緑の線の部分をよく見て下さい。



①の赤い部分では導音が重複しています。
バスとテノール両方に導音があり、
片方が上がり、もう片方が下がっていますが、
これは和声~理論と実習では禁則扱いになっている音使いです。


バッハが死んだずっと後に現代のような和声学のルールが出来たので、
和声における禁則を過去の大家に見いだすことは
割と容易いですが、
独学の問題点はこういった部分を指摘してくれる先生がいない点であり、
本に書いてあることを鵜呑みにしがちな点です。


また②の緑の例外進行については3巻の青本に
ある程度書かれていますが、
実際には書かれている内容よりももっと自由な使われ方を
バッハの作品に見いだすことが出来ます。

もう一つ見てみましょう。

 

 

 

 

 

ベートーヴェン ピアノソナタ3番 2楽章冒頭




割と声部書法を意識した書かれ方をしていますが、

上のベートヴェンの例でもⅤ7の和音で導音が重複しています。


さらに言うなら、このⅤ7の和音の前の部分の
ソプラノの声部(ミ
→レ#→ミ→ファ#)を還元するとミになるので、
ソプラノとテノールは連続8度になります。
ミ(sop)→ミ(ten)とレ#(sop)→レ#(ten)。


これはほんの一例に過ぎません。
探せばたくさん登場しますし、
バッハやベートーヴェンなどを弾いていて
「あれ??これって…」と気づく方も多いのではないかと思います。



教科書には連続5度が駄目だとか、Ⅱ7の第7音は予備が必要とか、
Ⅰの第二転回形はⅤをセットで使うとか、
ほかにも色々なことが書いてあり、
それ自体は決して間違いでも嘘でもなく、
ある程度までは有用なのですが、
実際の作品ではもっと柔軟に扱われており、
その臨機応変さというか、実際の作品における和声の活用方法を
学ばないと、本当の意味では古典和声は身に付かないと思います。


試験でマルが貰える課題としての和声」
実際の「過去の大家たちが使う和声」には
どうしても齟齬があるのです。


また古典以降、時代が現代に近づくに連れて、
段々と古典和声の禁則が無視されがちになっていきます。

このあたりも独学だと戸惑う部分があるのではないかと思います。


私はよくレッスンで赤信号で例えますが、
「赤信号を渡ってはいけない」という風に交通ルールでは習います。


それ自体は間違いでも嘘でもありませんが、
どんな時でも絶対に赤信号で停止しなければならないかというとそうではなく、
救急車やパトカーなどの緊急車両は、時に赤信号を無視して走っていきます。


つまり信号無視という連続5度や限定進行音の重複という禁則を犯しているわけですが、
交通ルール(和声の教科書)で頭がガチガチになると、
「赤信号を渡ってはいけない」と思い込んでしまい、
実際の社会(作品)における融通が効かなくなってしまいます。


急病人を乗せた救急車が赤信号を律儀に守るようなものです。


先ほどのバッハやベートーヴェンでは導音が重複していますが、
学習者がこういった柔軟な実際の大家の作品と適切に出会い、
そして適切にその融通、つまりどんな時に、どんな理由で、
どんな風に教科書に書いてある禁則を犯しているのかを
学んで行ければ良いのですが、
教科書一辺倒になってしまうと、そちらに目が行かないことが多いです。


結果として「教科書に書いてあることを
ひたすら遵守する融通の効かない人間」になってしまい、
当然、作る曲も現実の古典和声を用いている大家の作品のような柔軟さはないため
思うような作品にはならないということが多いです。


もちろん教科書的な和声でも綺麗な課題を作る方はいらっしゃいます。
(シャラン、フォーシェ、ビッチュなどをやると割と自由だったりとします)


この部分は独学の方は陥りやすい点だと思います。
こと和声に関しては教科書は一応正しいけれども、
100%というわけではないという姿勢が良いかもしれません。


じゃあ、何が正しいのか?というと実際の古典和声における実際の作品が
古典和声とは何かという質問に対する一つの解答だと思います。
(異論はあるかもしれませんが)


古文とは何か?という質問に対しても、
多少授業で習う文法と違うところがあったとしても
やはり徒然草や枕草子や源氏物語に出てくる文章こそが、
本当の意味での古文なのではないかと思います。


もちろん受験としては現代人が文法化した古文こそが
受験でマルが貰える正しい?古文であることは言うまでもありません。

これがそのまま和声に置き換わるように思えます。


そもそも古文と一口に言っても、時代ごとに表現はかなり変わり、
個人個人の言い回しの違いもあるでしょう。
(現代の日本語でも同じですし)


クラシック音楽の大家たちの和声法も時代ごとに変わりますし、
また同じ時代を生きた作曲家でも個性が多分に発揮されているため、違いがあります。


こういった問題は教える側が随時内容に応じて適切に譜例を提示し、
どういう理由で、どういう風に、またどんな時代の誰の作品でどうなっているかを
習得段階で指導するべき部分ですが、
独学の場合はこの部分をフォローしてくれる先生がいないため、
自分で学んでいくしかありません。



そこで私としては教科書半分、実際の作品半分で
勉強進めることをお勧めしたいです。


例えば和声~理論と実習であれば、
古典和声に焦点を当てているので、バッハ、ハイドン、モーツァルトの
作品を和声の教科書を学びながらやっていくと良いと思います。


ベートーヴェンの中期あたりまでなら十分古典和声で解釈が可能なので、
ベートーヴェンのピアノソナタなども良いかもしれません。


独学で学ぶ方にとって何よりも重要なのは
実際の作品に触れることです。


和声の教科書だけを学んでも、古典和声は習得出来ません。
もちろん実際にはもっと入り組んだ問題で、
何をどれだけ習得したら古典和声を習得したと言って良いのかによりますが、
なるべくたくさんの作品を和声学の観点からアナリーゼしましょう。


その中で教科書との矛盾点を見つけ、
誰が?なぜ?どんなときに?どんな理由で?そうなっているのかを
考えていくことで、実際の芸術作品における和声の用法が見えてくるはずです。


私は和声~理論と実習に載っているような和声の内容やサンプルを否定しているわけではなく、
美しいとも思いますし、ある程度までは有益で有用なのですが、
それだけでは不十分なので、実際の作品になるべくたくさん目を通しましょう。
出来れば演奏しましょうということを言いたいのです。


私は中学から大学を出るまでに中学3年、高校3年、大学4年で
合計で10年間英語を学びましたが、
10年も掛けて英語を学んだにも拘わらず道で外国人に
道を聞かれたときに満足に英語で答えることが出来ません。


英語圏の国で一人でレストランに入ったり、買い物をしたり、
英会話が出来ないと生活できないようなシチュエーションでは会話に困ってしまう
カタコトの英語力しか持っていないのです。


DTM関連のソフトも英語の説明書だと
一応頑張って読みますが、やっぱり日本語マニュアルはないのか?と思いますし、
海外メーカーのサポートを受けるときは英語なので、
やりとりにはまず翻訳サイトを使い、それでも意味が理解出来ない文章もたくさんあります。


向こうが私の英文メールを見ても、さぞおかしな英語になっていることでしょう。


10年も勉強したのにこの有様です。
私だけでなく、こういった方は多いはずです。


少なくとも高校3年生の時点で英語を学んで6年目なわけですから、
英語で道を聞かれたらスラスラと答えられるくらいの英語力があって然りですし、
出来なければ毎日のようにあった英語の授業を受け続けたその6年間の
努力は一体何だったのか?とも思います。


普通に考えて、6年もほとんど毎日習い事をするのに
ピアノ教室や料理教室で置き換えて考えると
その成果がほとんどないというのはちょっとおかしい気もします。


なぜ私が何年も英語を勉強したのにロクに会話も出来ず、読み書きも苦労するのかは
やはり生の英語に触れず、教科書だけに頼ってきたからでしょう。


本当に英語が話せるようになりたいなら、
直接英語圏に行って生活すること、
これがベストだと思います。


それで否が応でも英会話能力は身に付いていくはずです。
実際の英語に触れないということはそれだけデメリットが大きいのです。


和声学でも教科書だけで学んだら10年やっても
私の英語と同じような感じになってしまうかもしれません。


つまり英語圏に行って、実際の英語に触れるという経験が必要であり、
和声で例えるならバッハやモーツァルトの実際の作品を大いに演奏し、
その和声をアナリーゼする必要があるということです。


あまりにも極論ですが、バッハやモーツァルトの作品に精通し、
同じような作品を作れるなら
和声学の教科書を見たことがなくでも、
受験を度外視していいのであれば、
古典和声を習得したと言えるかもしれません。


日本の英語の教科書を見たことがなくても、
アメリカに行けば幼稚園児でも英語を話すわけですから、
英会話の習得という目的であるならば
教科書が絶対に必要ということはないと思います。


しかし英語圏の外国人が英語を話せるかと言って、
東大入試の英語の試験問題や英語検定1級で高得点が取れるのか?というと
やはりこれは疑問です。


求められる能力が英語の会話や読み書きなのか、
日本の大学受験や検定に合格するためなのか、
同じ英語を学ぶという行為でも目的が違えば、
勉強方法も違わなければならないと思いますし、
事実違うはずです。


中・高・大と10年もひたすら英語を勉強しながら、
日常会話すらままならず、いまさら英会話教室というのは
10年間一体何をやってきたのか?と外国人は思うかもしれません。


和声学の習得においても実際の作品に触れないというデメリットは
果てしなく大きいので、
独学で学ばれる方は大いに実際の作品を研究する必要があります。


教科書とアナリーゼを5:5と言いたいところですが、
先生の指導がない分6:4、か7:3で実際の作品に触れる分量を
増やしても良いかもしれません。


教科書という第3者のフィルターを通して英語(和声)に触れるのではなく、
実際の生の英語(和声)に直接触れるのです。


本当に英会話を習得したいなら教科書ではなく、
実際の外国人の英語に範を求めるべきであり、
本当に和声を習得したいなら教科書ではなく、
実際の大家の和声作品に範を求めるべきです。
(あくまで試験ではなく、作曲におけるという意味で)



そして、最後になりますが、出来れば古典和声を活用した楽曲を自分でも書いてみましょう。
バッハやモーツァルトやベートーヴェンなど素晴らしいお手本は
枚挙に暇が無く、いくらでもあるわけですから
バロック的、古典的な作品を学んだ古典和声を大いに活用して作曲してみましょう。


フーガは対位法的な能力が必要になりますが、
コラール的なものなら和声法だけで対応出来ますし、
古典的なものは小規模でも良いのでロンドやソナタを書いてみると良いと思います。


モーツァルトっぽい、ベートーヴェンっぽいという感じが出せるようになったなら、
それはもう古典和声の様式を習得しつつあるということであり、
自分がしてきた努力が力となって現れている証拠です。


特に苦労もせずにスラスラと英語で外国人と会話が出来るようになってきたら、
英語が身に付いてきている証拠なのです。


教科書を学びテストで良い点を取っても実際の英語の会話や
読み書きが上手く出来ないのでは、
受験やテストでは役に立つかもしれませんが、
現実の生活ではあまり役に立ちません。


和声学も同様なのだと思います。


譜面を読む力、アナリーゼする力、各声部を美しく書く力、
内部調、転調、あらゆる借用和音、転位や変位を使った声部、
禁則に対する柔軟な対応など、
作曲能力が高まってきていることを何より感じることが出来るはずです。


それはクラシックのみならず、あらゆる種類の音楽を作曲する土台として
極めて強固で頼りになる土台です。


教科書的な和声が実際の作品でどう活かされているのか?は
随時教える側が臨機応変に伝えていく必要がありますが、
独学であれば常に実際の作品と教科書で学んだことを
見比べ、聞き比べて、何がどう違うのか?どんな風に柔軟に使われているのか?を
常に考えて行く必要があります。


教科書の内容と実際の作品の橋渡しとなる部分は
一言で終わるような内容ではないので、
ケースバイケースでとにかくたくさん見ていくうちに
わかってくることもたくさんあるはずです。


教科書の和声の勉強に10の力を注いでいる方が、
その半分の力を実際の芸術作品の和声の勉強に注いでしまったら
教科書の進歩状況は半分になってしまいますが、
独学ということを鑑みればそれが遠回りのようで
実は近道になっているように思えます。


あくまでこういう考え方の人間がいる程度に受け止めて下さい。


和声法や対位法は、現実問題として独学がかなり困難な分野ではありますが、
実際の作品に大いに触れるということを忘れなければ、
絶対に独学は不可能とも思えないので、
学習中の方はどうか頑張って下さい。
 



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DTMマスタリングのやり方

(マスタリングのやり方を基礎から解説した本です)

    
DTMミキシングのやり方
(ミキシングのやり方を基礎から解説した本です)

昨今Viennaなどのソフト音源でオーケストラを作る環境が
簡単に手に入るようになり、
色々な形で楽しむことが出来るようになりましたが、
自分で好きなように作るだけならまだしも、
過去の大家のオーケストラ作品を参考にしようと思った場合、
慣れていないと譜面を読むのは結構大変だったりします。


特に近現代のオーケストラの譜面は
カッコ良いものも多いですが、段数も多く
読むだけでも力が要ります。


読めるようになるコツは一言で言うなら「慣れ」なのですが、
練習次第で段々読む速度や正確さは上がっていくので、
オーケストラを勉強したいという方のために
お勧めの練習方法を紹介します。


まずは次の譜面のコードとコードスケールをとってみましょう。

クリックで拡大

難しい…と思っても僅か2小節ですので、
じっくり読んでみましょう。

ポップスやロックと同じようにコードネームや
コードスケールを付けることが出来ます。

これくらい余裕という方もいれば、
難しいという方もいらっしゃると思いますが、
慣れるまでひたすら練習です。


コードとコードスケールは何でしょうか?


上からコールアングレー(完全5度低い)
クラリネット(長2度低い)
バスーン(実音ですが、テノール記号)
ホルン(完全5度低い)
ヴィオラ(実音ですが、アルト記号)
チェロ(実音ですが、テノール記号とヘ音記号)
コントラバス(1オクターブ低い)
となります。


既存曲を参考にしたいと思って譜面を見ても
作曲家にとって煩わしいは
やはり移調楽器で、これのせいでかなり譜面が読みにくいのが実情です。


レッスンでもオーケストラを書く内容を取り扱っていますが、
既存の曲を分析したり、参考にしたりするときに
オーケストラの譜面を読むことそのものが大変な方が多いので
何よりもまず移調楽器になれることです。


音名を譜面に振ってみました。

クリックで拡大

ト音記号とへ音記号は普通に読める方が多いと思いますが、
この譜面では実音のト音記号は出てきませんし、
ヘ音もチェロの片方とコントラバスだけです。


移調楽器の読み方はたくさん本が出ていますし
ネットでもちょっと検索すれば出てくるので
わざわざ書きませんが、
ひたすら移調譜面を読み続けることで段々慣れてきます。


譜面そのものはなんでも構いません。
ポップスでもクラシックでもジャズでもロックでも何でもOKです。


○クラリネットB管 長2度下で読みます。

クリックで拡大 クラリネットB管

上の画像をクラリネットのB管として読んでみましょう。
全音下で読み替えながら音名を口に出して読んでみて下さい。

鍵盤が手元にあれば弾いてみるのも良いかもしれません。

答え(選択で反転)
ミソミレド#レミド シーラシソファ#ソ

慣れている方にとってはどうということはありませんが、
慣れていないと長2度下にずらして鍵盤で弾くだけでも
意外と大変だったりします。


○クラリネットA管 短3度下で読みます。

クリックで拡大 クラリネットA管

今度はクラリネットのA管です。
同じように読んだり、鍵盤で弾いてみましょう。


答え(選択で反転)
ファードーシ♭ラシ♭ファ  
ミ♭レ♭ラ♭レ♭ドーシ♭ー

○ホルンF管 完全5度下で読みます。

クリックで拡大 ホルン

古典時代のオーケストラは色々な移調楽器のホルンが出てきますが、
上の譜面はF管として完全5度下で読みましょう。

答え(選択で反転)
ドシシ♭ド ソソ♭ファミ

ここまでなんとなくわかったと思いますが、
譜面は何でもいいので、
自分でその譜面を○○と仮定して読む練習をするということです。

手持ちのピアノ曲でもバンドスコアでも楽譜は何でもOKです。
アルト記号やテノール記号でも同様です。


例えばポップスのボーカル曲のボーカルメロディーを
クラリネットのA管として読んだり、
ベースパートをアルト記号やテノール記号として読むことによって
譜面を読む力を鍛えていきます。


慣れてくると段々スラスラ読めるようになりますが、
加えてオーケストラスコアでは
複数の読み方の違う移調楽器と音部記号が出てくるので、
それらを脳内で変換して読まなければなりません。


基本的に①移調楽器が苦手、
②移調楽器は読めるけど、複数の違う移調楽器と音部記号が同時に出てくると苦手の
2段階の苦手の生徒さんがいらっしゃいますので、
まずは①の移調楽器そのものに対する苦手を克服していきましょう。


②のクラリネットA管、コールアングレー、ホルン、アルト記号、テノール記号など
複数の組み合わせを同時に読んでいくのは
実際のオーケストラスコアを見ながら練習していくしかありません。


段数の多い譜面が大変なら木管五重奏などの規模の小さい室内楽から
スタートするのも良いと思います。


しかし移調楽器がスラスラ読めるならば、
組み合わせて読んでいくのは練習次第ですので、
まずは移調楽器が苦手という方は
ひたすら色々な移調楽器や音部記号と仮定して譜面を読む練習を
積むことで段々慣れてきます。


移調楽器が苦手という方は、
手持ちの譜面を色々な移調楽器や音部記号として読み替えて練習してみましょう。


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生徒さんへのネタ提供と自分の勉強も込みで
ディレイ&リバーブレシピという本を買いました。

スグに使える ディレイ&リバーブ・レシピ
DAWユーザー必携の事例別セッティング集 (DVD-ROM付) 単行本



実際に読みながら付属のMP3を聴き、
また自分でも手持ちのプラグインでポチポチと
設定を真似ていると非常に勉強になります。



どんなところが勉強になるのか?というと、
プラグインの設定そのものではなく、
エンジニアさんが何を考えてその設定にしているか?の解説が
とても含蓄に富んでいてためになりました。


設定そのものは二の次で、
「何がしたくて」「どういう目的で」「どういう効果を狙って」「どういう意図があって」
どのパラメーターをどのように動かしているのか?というのが
最も大切なことであり、
具体例はあくまで一つの具体例に過ぎず、
ケースバイケースの一例に過ぎません。


よくEQなどの解説でべースは〇Hzを〇dBをブーストして~
などど具体例が書かれている書籍があって、
それはそれで初学者の方にとってある意味参考にはなるのでしょうが、
どうしてそのようなことを行ったのかの意図を
深く理解していないと
結局実際の作品で取り扱うベースの音は千差万別なので、
十分な学習効果とは言えません。


元の音が違えば
同じことをしても逆に音が悪くなったり、
不要である場合も多々あるからです。


空間系はコンプやEQに比べるFairchildやpultecのように
銘記と呼ばれるようなヴィンテージ機種が比較的少ないので、
人気がないためか、
適当に、なんとなく、それっぽくなれば良いという感じで
プリセットを選んでいる方が多いのでないかと思うのですが、
この本はかなり詳しく空間系エフェクトについて述べられているので、
初学者にとっては非常に有益な本だと思われます。


もちろん本書内で書かれていることは
著者さんの考え方であり、これもあくまで一例に過ぎませんが、
これから勉強する方にとってはとても良い取っかかりの一つだと思います。


少なくともリバーブのダンピングの調整とか
ディレイの後にEQ入れて音を作っていくとか
そういった初歩的なことが曖昧な方にとっては
基礎から学習するという意味でとても良書であり、
ミックス中級者くらいの方は前半半分くらいは知っていることばかりかもしれませんが、
中盤以降は飛び道具的な設定もたくさんあって、
BGM系の楽曲で使えそうな音作りのヒントになるアイデアがたくさん掲載されています。


私としては15年とか20年前に読みたかった…と思えるくらい良い本で
特に初心者に優しく書かれているのではないでしょうか。


私が長い時間掛けて試行錯誤してきたことが
わかりやすく書かれているのを見ると、
これから勉強する若い世代の方たちは勉強するのが楽でいいなぁ~と思います。


こんな本が当時あったらどれだけ便利だったか思うことしきりで
近年ミックスの勉強を始める方は
情報が氾濫し過ぎて取捨選択に困るかもしれませんが、
良い本や情報と出会えれば有益に活用できますので、
私やそれより前の世代の方たちよりもずっと勉強が楽になっているのではないかと思います。


20年前はこういった本の内容は私が知る限り、
サンレコなどの雑誌にチョロチョロっと載っているくらいで、
あとはエンジニアの方や先輩に直接習うくらいしか方法がなかったけれど、
今は当時に比べて遙かに開かれています。


当時は勉強することそのものよりも、
情報を集めることの方が大変だったのですが、
今は逆で情報が多すぎて、
正しいもの、自分にあったものを選ぶのが難しくなってきています。



①ミックスにおける音像に明確なイメージを持つこと、
②そしてその具体化の手段を知ることの二段階が必要な過程ですが、
この学習過程を実例を山ほど出しつつ、エンジニアの意図を述べ、
段階的に教えてくれる内容になっているので、
少なくともお値段分の価値は間違いなくあります。


結局ミックスはケースバイケースなので、
実際の曲の中でどうするべきかは千差万別であり、
まさに其処こそが個性の発揮のし所なのですが、
其処に至る道としてはなかなか空間系について
まとめられた本は少ないと思うのでお勧めです。



作曲が専門でミックスはあまり得意でもないし、
将来エンジニアになりたいわけでもないけれど、
コンペにエントリーしたり、BGMを作るのにミックス技術が必要だから上手くなりたい…
でも空間系のエフェクトはあまり整理して勉強したことがない。
という方にお勧めできます。


此の一冊のみで空間系がすべて完璧になるとは言いませんが
一つの整理された書籍として、また一つのアプローチとして有益なので、
興味があれば本屋さんなどで覗いてみて下さい。


また本書でフリーソフトとして使われている
soundhackの+DELEYもお勧めです。

SoundHack Delay Trio


フリーウェアですが、非常に優秀である意味、
WAVESなどのシェアウェアではできないことも一台で出来たりする優れものです。


DLはこちら

PROTOOLS11はAAXのみなので使えませんが、
PROTOOLS10以前であればなんとRTASにも対応しています。


使っているうちに普段はWAVESなどのディレイを使っていたのですが、
おもいのほかこのディレイが優秀で、
フリーソフトではあるもののメインで使うディレイの仲間に入ってしまいました。


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DTMマスタリングのやり方

DTMミキシングのやり方

独学で作曲を学ばれている方にお勧めな勉強方法というか、
勉強として取り組んで非常に有意義であると思われる曲を
ご紹介したいと思います。


実際有意義かどうかは主観によりますが、
少なくとも私個人の場合は
ドビュッシーによって目が開かれました。

良くも悪くも私は極めて強烈な影響をドビュッシーから受けています。

クロード=アシル・ドビュッシー



作曲とは何か?作曲とはどのように行うかのか?という
作曲に対する非常に根本的な態度や
音楽を音楽として興味深く意義あるものにするための様々な創意工夫、
旋律とはなにか?という問題、
調性とハーモニーの拡張、隠されたリズムの使い方、
また音色という楽譜に記すことの出来ない要素への
向かい合い方などドビュッシーから学んだことは
枚挙に暇がないくらいです。


私にも先生がいるけれど、
私にとっての作曲の先生はドビュッシーと言っても過言ではなく、
そのほとんどは独学ではありますが、
一体どれだけドビュッシーから作品から音楽における
示唆を得たのかわからないほどです。


それがボーカル曲であれ、BGMであれ、
ドビュッシーから学んだことはもの凄く役立っており、
これから作曲を真剣に勉強していこうという方に対しても
とても価値あるものになるのはないかと思います。


ドビュッシーにはとてもたくさん曲がありますが、
最も示唆に富んでおり、また学習という見地から有意義だと思われる作品は
個人的には前奏曲集だと考えており、これをお勧めします。

これを1曲ずつ分析して勉強していくと
得られるものは計り知れないと思われます。


著作権も切れいているので、
楽譜は楽器屋さんで簡単に手に入りますし、IMSPLでもDL出来ます。


IMSPLの前奏曲集第1巻のページ
音源や楽譜をDL出来ます。

分析のやり方はいつもこのブログで書いてるのと同じで
上にコードネーム、下にディグリーとコードスケールを書き込みます。
(出来れば出身キーも)


第1曲 ディルフィーの舞姫の冒頭の分析例



スコアへの直リンクはこちら


曲そのものをご存じでない方はスコアをDして
一度聴いてみて下さい。


実際の分析ですが、分析例の画像の左上のように、まずは調判定をします。
ドビュッシーに限らずクラシックのスコアでは
調号とそのときの調が違うのはよくあることなので、
まずは調判定能力が必須になります。


調判定くらい余裕だという方は多いと思うのですが、
ドビュッシーに限らず何かの曲に取り組むときに
調を取るのに苦戦する方がいらっしゃるかもしれません。


特に借用和音や内部調が増えると「??」となってしまうかもしれませんが、
調号や臨時記号、大きく見た和声の流れ、
作曲者がどの音をどのように扱っているか?
そして作曲者の意図を読み取る力が必要になってきます。


十全に分析を行い、たくさんの収穫を得ようと思うなら
クラシックの和声の知識、ポピュラージャズの理論の知識、
どちらも役に立ちますし、またどちらも必要です。



調判定に続いて、コードを付けます。コードを付けるのは比較的簡単で、
冒頭であれば、下からシ♭、シ♭、ファ、シ♭、レ、ファと鳴っているので
Bbコードであることがわかります。

KEY-BbにおいてBbコードはディグリーⅠなので下にディグリーを書き、
さらに下にコードスケールと出身キーも書き込みます。
BbMはBbメジャーの略。CmmはCメロディックマイナーの略です。


こんな感じで最後まで進めていきます。
これとは別に全体の小節構造などを別途書き出すと良いでしょう。
構成の勉強にもなります。


これだけだと寂しいので、
少しだけこんな風に分析していくと良いですよ、
という一例をお見せします。


実際にはコードやコードスケールや出身キーを明確にしつつ、
気づいたことなどを片っ端から楽譜に書き込んでいきます。


まず最初にピアノで弾いて気がつくのは、
ピアノの音の配置が倍音列そのままになっているということです。

6倍音までを完全になぞったボイシングになっています。


これは彼のオーケスレーションでも同じことが言えますが、
明らかに意図的に倍音列に沿ったボイシングを行っています。

もっとも和音が美しく響く配置の一つですが、
このようにドビュッシーの曲にはボイシングそのものに
意図や特徴がある場合もあるので無視できない要素です。


彼のオーケストレーションをアナリーゼするのも良いでしょう。



次に和声(コード進行)を見ていきましょう。

1拍ごとの出身キーが全部違います。

KEYーBbメジャーですので、
最初のBbはディグリーⅠで、Bbアイオニアンなので普通ですが、
次のAm7-5がくせ者です。

Am7-5はディグリーⅦm7-5ですので、
普通にダイアトニックコードのように思われますが、
旋律でシのナチュラルの音が出てくるため、
純粋な意味でのKEYーBbメジャーと考えることが出来ません。


旋律はシ♭→シ→ド→ド#という半音階なので
Am7-5のシをただの半音階的経過音と解釈することが出来ますが、
そもそも半音が4つも並ぶキーは存在せず、
ドビュッシーが通常のメジャーキー、マイナーキーを脱しようとした結果の
旋律であると個人的には考えたいので、
これは単なる気まぐれな経過音として考えるべきではなく、
立派な和声を構成する一つの音をして捉えたいと思います。


そうなるとAm7-5の部分では「ラシドレミ♭ファソラ」という
ミだけが♭になるスケールが見いだされますが、
ミだけが♭になるキーは何でしょうか?


Cメロディックマイナーですね。
これがすぐに出てこない場合はメジャー&マイナーのスケールの練習が足りない
ということになってしまいます。


和声学ではコードスケールという概念はありませんが、
出身キーという概念があるのでⅤのⅤの和音のように書かれますが
これは「Ⅴ度のキーのディグリーⅤの和音」という意味であり、
コードスケールがない代わりに出身キーを明確にします。



これをバークリー系の書籍のようにペアレントと呼んでも構いません。
呼び方は何でも良く、大切なのは調性の揺らぎを明確に把握して、
そして自分で応用できるレベルになれるかどうかです。

これを行うためにコードスケールや出身キーを把握するはとても役に立つのです。


和声のように音の並びから出身キーを見いだすことも出来ますし、
ロクリアン#2スケールはメロディックマイナーの6番目のスケールという
ポピュラー理論も役立ちますので、
どのみちこのAm7-5はCメロディックマイナーキー出身の和音であることがわかります。


3つめのFaugですが、
これはaugのド#をレ♭と読み替えてオルタードの♭13thと考えることが出来ます。


画像ではホールトーンスケール出身と書いてありますが、
♭13thだけならミクソリディアン♭6thかもしれないし、
ほかにも可能性があるのでは?と思うかもしれません。


♭13thはホールトーンでもミクソリディアン♭6でも当てはまる。
ほかにもドミナント系で当てはまるスケールは存在します。



全くその通りでホールトーンスケールはドビュッシーが良く使うスケールなので、
一例としてそう書いてあるだけで、
この部分で使われているスケールを、
譜面にある情報だけで特定することは出来ず複数の可能性に
絞り込むまでしか出来ません。


実際の作品でスケールの音がすべて出揃っている例はむしろ稀ですが、
分析の中で前後の流れや読み取れる作曲者の意図、あるいは一般的な原則から
おそらくは〇〇ではないか?と自分なりに解釈するのもOKです。


ホールトーンスケールと解釈するなら出身キーは「なし」ですし、
ミクソリディアン♭6スケールと解釈するなら出身キーは
Bbメロディックマイナーとなります。
ミクソリディアン♭6スケールはメロディックマイナーの5番目からスタートです。


つまり調の流れとしては
①key-Bbメジャー
 ↓
②key-Cメロディックマイナー
 ↓
③key-Bbメロディックマイナーもしくはなし

という流れになります。

たった3つの和音の流れだけを見ても
ドビュッシーのオリジナリティーというか、
既存の調性から彼なりの方法で脱却しようという意図が明確に見られます。


和声をしっかり勉強なさった方は最後のFaugは
属和音の第5音の上方変位なのではないの?と思われるのではないかと思いますが、
もちろんその分析も正解で、
単なる変化和音の一種として処理してもOKです。


しかし個人的にはシンメトリックなホールトーンや
ディミニッシュスケールを除けば
「出身キーを明らかにする」という行為は
作曲への応用としては非常に有益な行為だと思われますので、
このように分析しています。


またこの場合はたった1拍で四分音符1つですので変化和音解釈もありですが、
もしこれが1小節丸々使われていて、
旋律が色々動いていたら、
コードスケール分析が必要になり、
それに応じて出身キーも明らかにする必要が出てきます。


実際にはそうしなければいけない場合も多く、
今回のケースのように1拍のみであれば変化和音の一言で片付けることも可能ですが、
様々な曲への応用を考えると、やはりコードスケールとしても分析でき、
なおかつ和声的にも分析出来るという両方の解釈ができるほうが
「作曲」という見地からは有効です。

なぜなら
①key-Bbメジャー
 ↓
②key-Cメロディックマイナー
 ↓
③key-Bbメロディックマイナーもしくはなし
というキーの流れを学習者が理論的に把握出来れば、
自分のオリジナルの曲でこのアイデアをそのまま応用して使えるからです。

この曲は3/4拍子で四分音符1つずつで上述の流れですが、
オリジナルの曲を作るときに4/4拍子で1小節ずつコードが変わる曲にすれば
おそらくほとんど方はドビュッシーの応用だとは気がつかないでしょう。


大切なのは作曲家が音楽における技法を
明確に的確に自分が応用できるレベルで把握できるかどうかであり
(この場合はハーモニーの揺らぎや調性の拡張)
分析の方法は、極論を言えば、どんなやり方でも構わないのです。


前奏曲集が出版されたのは1910年ですが、
比較的初期の頃に書かれた弦楽四重奏や牧神と違って、
ドビュッシーのエッセンスが詰め込まれた内容となっており、
たった1小節だけでもなかなか面白いな、とは感じないでしょうか?


とくに将来BGM系のサウンドクリエイターを目指してらっしゃる方にとっては
非常に有益な勉強になると思います。


レッスンでもよくドビュッシーは取り上げていますが、
実際には割と高度な部分になってくると思いますので、
「書いてあることがドウもさっぱりわからん…」とか
「ある程度はわかるけれど、わからない部分もある…」という方は
より基礎的な内容をしっかり勉強すると良いと思います。


結局は何をやるにしても基礎が必要になるのは
音楽に限ったことはありませんが、
少なくともポピュラーの理論習得が終わっていないと
ドビュッシーは難しいかもしれません。
(出来れば和声も)


実際に勉強を進めるには誰のどんな本で勉強しても構わないし、
どんな方法で分析しても構いません。


結局は自分自身がより高いレベルで作曲できるようになれれば
それで良いわけで自分なりに一番良いと思った方法で勉強を進めてみてください。


私の場合はドビュッシーから多大な示唆を受けたというだけであって、
別の人は別の作曲家から同じものを受けるかもしれません。


一人ひとりの今現在の到達しているレベルや
精神構造、作曲家としての素養が違えば、
「何を」「どう受けとるか」は変わってくるのが当然ですが、
現代においてBGMや歌ものなどの作曲を学ぶ上で
ドビュッシーは非常にためなるので、
お勧めできる作曲家の一人であるということが言いたいわけです。


興味がある方は是非取り組んで見て下さい。


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