ドビュッシーの夢はなんとなく旋法っぽいです。
ドビュッシー=旋法を使うというイメージも強いので
よく夢も旋法かと間違う方もいらっしゃる。
(実際にはラヴェルの方がずっと旋法的ではありますが…)
楽譜はこちらです。
コード付けをするなら(取りにくいですが)、
KEY-Fで
Gm → C7 → Gm → Fというスタートの仕方なので、
Ⅱm7 Ⅴ7 Ⅱm7 Ⅰ
Gドリアンスタートだからドリアンモードと感じる方もいらっしゃり、
Gmの部分も長いのでその気持ちもわかります。
ディグリーとしては
Ⅱm→Ⅴ7→Ⅱm→Ⅰ
なのでⅡm-Ⅴの後にⅡmが出てきてⅠに進み、
冒頭部分は完全にFメジャーキーと私としては解釈したいです。
ⅡーⅤーⅠというカデンツも見られますし、
必ずしもそのKEYのⅠ度から和音がスタートするとは限らないからです。
ただ全体的には結構曖昧で、
そもそもにして最初の左手のアルペジオが
右手の旋律の音次第で別のコードに取れるような音になっているため、
解釈が分かれそうな感じではあります。
ローマ留学の後の作品なので、
既に旋法を復活させるというテクニックを
使い始めている時期ですし、
わざと曖昧に書いているのかもしれません。
夢のようなロマンチックな曲ですが、
どうも作曲者本人的には不満だったらしく、
「駆け出しの頃に、経済的な苦境から必要に迫られて書いた曲」といい、
なかなか出版はしようとしなかったようです。
ドビュッシーらしさを十分に表した曲というには
ちょっと単純なので、本人もその部分が気になっていたのかもしれません。
彼は1918年(55歳)に直腸癌で亡くなっていますが、
死ぬ3年前に冬の薪代に困った彼は
「もう家のない子供たちのクリスマス」を書くなど
ドビュッシーは生前、お金に困って自筆譜を欲しがるファンのために
曲を二束三文で書くことがよくあり、
生活費欲しさに書いた曲がいくつか残っています。
(だからといって作品の価値が損なわれるわけではありませんが…)
本人の自己評価に反して、
ドビュッシーの作品の中では人気作品であり、
演奏されることも多く、
そのままBGMで使えそうな世界観なので私も好きです。
作品の高度さという意味では牧神や海や夜想曲の方が
何倍も何十倍も高度ですが、
芸術は趣味嗜好の問題を別とすれば
すべからく受け取る側の知性の発達度合いによって
評価されるという良い例であり、
音楽的に高度だからといって人気が出るかどうかというと
それがまた別問題であり、
そのことにどう取り組みべきか?ということを考えさせられます。
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