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『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展

 

 小雨の中、「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」@21-21デザインサイトへ。アーティストや建築家、それぞれバラバラなクリエイターが「そこまでやるか」という観点から集められているのも潔いというか面白い。

 

 

 以前はレストランだった手前の棟も展示室になっていました。内部に入ると平日ですが、外国人や小学生の団体などがたくさん来ていました。面白かったものを幾つか紹介。

 

 

 クリスト&ジャンヌ=クロードの「マスタバ」のドローイング。アラブ首長国連邦にドラム缶を積み重ねて壮大なマスタバを実現するプロジェクト。1977年から始まり未だ進行中。隣室では2016年6月、イタリアのイセオ湖に黄色の布でできた路を渡した「フローティング・ピアーズ」プロジェクトの1時間弱の映像が流れていました。こちらも1970年から考えていたプロジェクトだそうです。クリストのドローイングやコラージュを見るたびに、勇気をもらえるような力強さがあります。

 

 

 イスラエル出身のアーティスト、ダニ・カラヴァン。長さ3キロ以上、制作期間37年間という「大都市軸」の模型。その壮大なスケールと視点の長さがスゴイ。

 

 

 淺井裕介の「土の壁」5m×10mの壁一面を、絵の具は使わず各地で採取した土や泥のみを使用した絵画作品。

 

 ヌーメン/フォー・ユースの「テープ・トウキョウ02」。半透明で柔軟性のある素材OPPテープだけを使い制作された。2人ずつ中に入れるようで、外国人の若者が沢山並んでいました。

 

 

 ジョルジュ・ルース「トウキョウ2017」。何度も見た空間が白い線材により微分されているかのよう。

 

 

  黒川哲志建築設計事務所HP:https://www.kurokawadesign.com

店舗デザインにおけるBIM活用の実例

 トークセッションの後は、休憩を挟んで池田建築設計の池田暢一郎氏による「店舗デザインにおけるBIM活用の実例」と題したARCHICADの活用事例紹介を聴講。池田氏は前日に訪れた銀座伊東屋のインテリアデザインを手がけられた方でした。その話とともに伊東屋の羽田空港店を手がけられた時のお話もして下さいました。とてもタイトなスケジュールで、ARCHICADのBIMの特性を活かさなければとても間に合わなかったということです。

 

 

 基本図面、什器図、透視図夫々が連動していて、どれかを修正すればすべての図面が修正されること、また基本図面を描くことで3Dも自動で作成される点、ウォークスルーもストレスなく出来る点(但しPCのスペックをある程度上げる必要はあり)がまず素晴らしい。BIMはこれからの趨勢であり次第に全てのCADがこうなっていくでしょう。後は構造や設備、施工との連携がとれるようになるか。そこまで行くのがいつなのかを見据えて我々もソフトの整備を考えていかなければなりませんね(大きなお金がかかることなので)。

 

黒川哲志建築設計事務所HP:https://www.kurokawadesign.com

 

 

ブランディング戦略としての店舗インテリアデザイン

 

 午後、パークタワーギャラリー1でグラフィソフトジャパンと商店建築のコラボレーションセミナー「ブランディング戦略としての店舗インテリアデザイン」を聴講。ドイルコレクションの井上愛之氏と商店建築編集長の塩田健一とのトークセッション形式。

 

 まず井上氏が自身のブランディングに対する考え方を示されました。従来型の「分析型」ブランディングは、マーケティングからアートディレクションが終わった後、最後に店舗デザインとして空間に形を与えるためにインテリアデザインが行われますが、もう少し上流にインテリアデザインのフェーズを与えることでブランディングに具体的なアイディアや顧客とのコミュニケーションの可能性を広げることが出来る「創造型」ブランディングと言う考え方です。

 その事例として、自身の手掛けた「ミスタードーナツ」「タリーズコーヒー」「さぼてん」で、他店舗展開する際のブランドイメージを「デザインフォーマット」として確立した作品を見せて頂きました。インテリアデザインは立地条件や地域風土、建築の構造体などの条件で何処も同じ条件で設計することは難しいしまた全て同じデザインでは新規性にかける。その為最初の5店舗程度を自身で設計させてもらうそうです。

「ミスタードーナツ」は熟成期のリブランディングであり、既存店舗も色んなロゴやデザインのミスドがある。それはそれとして活かし、それでもミスドであることをロゴがなくても認識されるようにチェック柄によるデザインイメージを提案。これは採用されませんでしたが、初期にそのようなデザインイメージの提案をしたことで信用され、デザイン開発に関わることが出来たとのこと。

「タリーズコーヒー」は繁栄期のブランディング。確固としたブランドイメージが出来ているがために施設のコンセプトに合わないと出展を見合わせなくてはならないケースも出るようになってきたため、また競合にカッコイイお店が増えてきたため、更にブランドイメージを広げるインテリアデザインを行っています。

「さぼてん」は草創期のブランディング。創立50年を迎えるさぼてんはこれまでの展開を否定するのではなく、しかし今後50年を見据えて「これまでのさぼてん」=白木と明るい素材を用いた爽やかな空間とは別の「これからのさぼてん」=暗く重厚なイメージを持つ別ラインをデザインしています。

 

 ブランディングについて改めてロジカルに考えさせられる刺激的なお話でした。

 

 

 

 

黒川哲志建築設計事務所HP:https://www.kurokawadesign.com

イラストレーション解体新書

 

 午前中、友人のイラストレーターの展示会@銀座伊東屋へ。このポスターはフットサル仲間であるあさいとおるさんのイラスト。他にもイラスターズというフットサルチームでたまにお世話になっているイラストレータの方も参加されていて、楽しめました。この人がこんな絵を描くんだと人を知っているとまた面白いです。w

 今回は単なる作品の展示ではなく「イラストレーション解体新書」ということで、イラストの出来るまでを各人がそれぞれの視点で解説されています。使用されているソフトや作画の順番も人それぞれで、そこも興味深い。

 

 

 地階へ降りる階段にもイラストが!

 

 鑑賞後、伊東屋の上階へも上がってみました。什器のデザインが特徴的でカワイイ空間デザインとなっていました。インテリアデザインは、日吉坂事務所(1、2、6~8階)と池田建築設計(3~5階)だそうです。今度は文房具を買いに来よう。

 

黒川哲志建築設計事務所HP:https://www.kurokawadesign.com

【本】人間の建設

 

 今年の27冊目。

 

 文芸評論の大家小林秀雄と大数学者岡潔の対談集。どなたか、多分建築家の方(追記:堀部安嗣さんでした)が推薦していたのを見て買いました。ドストエフスキー、ピカソ、芭蕉、アインシュタイン、ベルクソンといった人たちが何にこだわって夫々の偉業をなしとげたのか、分かるようなわからないような話が繰り広げられていますw。何かに役に立つわけではない、けど読むことで生きることに対しての不安の霞が少し晴れるような読後でした。

 

 

黒川哲志建築設計事務所HP:https://www.kurokawadesign.com