ブランディング戦略としての店舗インテリアデザイン
午後、パークタワーギャラリー1でグラフィソフトジャパンと商店建築のコラボレーションセミナー「ブランディング戦略としての店舗インテリアデザイン」を聴講。ドイルコレクションの井上愛之氏と商店建築編集長の塩田健一とのトークセッション形式。
まず井上氏が自身のブランディングに対する考え方を示されました。従来型の「分析型」ブランディングは、マーケティングからアートディレクションが終わった後、最後に店舗デザインとして空間に形を与えるためにインテリアデザインが行われますが、もう少し上流にインテリアデザインのフェーズを与えることでブランディングに具体的なアイディアや顧客とのコミュニケーションの可能性を広げることが出来る「創造型」ブランディングと言う考え方です。
その事例として、自身の手掛けた「ミスタードーナツ」「タリーズコーヒー」「さぼてん」で、他店舗展開する際のブランドイメージを「デザインフォーマット」として確立した作品を見せて頂きました。インテリアデザインは立地条件や地域風土、建築の構造体などの条件で何処も同じ条件で設計することは難しいしまた全て同じデザインでは新規性にかける。その為最初の5店舗程度を自身で設計させてもらうそうです。
「ミスタードーナツ」は熟成期のリブランディングであり、既存店舗も色んなロゴやデザインのミスドがある。それはそれとして活かし、それでもミスドであることをロゴがなくても認識されるようにチェック柄によるデザインイメージを提案。これは採用されませんでしたが、初期にそのようなデザインイメージの提案をしたことで信用され、デザイン開発に関わることが出来たとのこと。
「タリーズコーヒー」は繁栄期のブランディング。確固としたブランドイメージが出来ているがために施設のコンセプトに合わないと出展を見合わせなくてはならないケースも出るようになってきたため、また競合にカッコイイお店が増えてきたため、更にブランドイメージを広げるインテリアデザインを行っています。
「さぼてん」は草創期のブランディング。創立50年を迎えるさぼてんはこれまでの展開を否定するのではなく、しかし今後50年を見据えて「これまでのさぼてん」=白木と明るい素材を用いた爽やかな空間とは別の「これからのさぼてん」=暗く重厚なイメージを持つ別ラインをデザインしています。
ブランディングについて改めてロジカルに考えさせられる刺激的なお話でした。
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商店建築2017年7月号
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黒川哲志建築設計事務所HP:https://www.kurokawadesign.com