データベース制圧の精神科医ブログ、長崎広島原爆・福島原発・第二次大戦・児童虐待・DV・レイプ複雑性PTSDの薬物療法 -4846ページ目

(59)とんでも本の典型なのに結構売れた「危ない精神分析」マインドハッカーたちの詐術 矢幡洋

真実を否定したいというどこから出てくるかわからない妄念という点では「アウシュビッツの嘘」と通じるところがあるこのとんでも本が、意外にもてはやされるのは、人類の歴史で繰り返されてきた人間の負の局面を否認したいという無意識の欲望を満たしているからでしょう。まともに論破するのも自分が馬鹿になるみたいだから嫌なんですが、「外傷記憶とはオカルトである。だから否定する。」の一行がこのとんでも本の中身の全てです。実証的調査の積み重ねとか、論理的科学的思考に基づく議論とかから一万光年隔たったこの著者の思考にはため息しか出ません。思考というより泥沼から浮き出てくるメタンガスみたいなもんなのかもしれませんね、この人の頭の中で起きていることは。オカルトの方がこんな人間に下に見られてかわいそうです。「脳内革命」に匹敵する奇書です。こんな本が売れるから三十万人の自殺者の山を築きながら、うつ病が誤診であることに気がつかないんでしょうねこの国は。

(58)リフトン医師とPTSD

PTSDの疾患概念を精神医学で確立したのはユダヤ系米国人精神科医リフトンです。彼が最初にアウシュビッツ強制収容所の加害者被害者の精神医学的調査研究を開始したのはかれがユダヤ人であったことと無関係ではないでしょう。日本人精神科医の誰もがなし得なかった広島原爆被爆者の精神障害の体系的調査を行ったのも彼です。ベトナム戦争で無抵抗の住民500人を殺害したソンミ村事件の加害兵士の調査を行ったのも彼です。彼の尽力なしではPTSDは成立しませんでした。かなり高齢の彼はイラク復員兵のPTSD支援も行いました。傷ついた人間を支えようとする彼の執念を見習いたいと思います。
「黒い雨」被爆PTSD再再調査をすると騒いでいる広島原爆放射線医科学研究所(原医研)さん。リフトンの「死の内の生命」探してきて読みなさい。

(57)チェルノブイリとPTSD

以前朝日新聞の記事でチェルノブイリ原発事故の処理作業で被爆した元軍人のインタビューがありました。その人物自身も放射能障害による体の不調に苦しんでいましたが、周囲では同じ作業にあたった仲間が次々と発癌して死んでいました。その人物は記憶力の低下にも悩まされていましたが、記事を書いた記者も患者自身もPTSDの病態に知識がないためか、やはり知識のない読者が読んでも放射線による記憶力の低下と信じてしまうような文面でした。PTSDによる解離性健忘と思われます。

セミパラチンスクとか好きな広島原爆放射線医科学研究所 (原医研)さん精神医学も勉強したほうがいいよ。

(56)PTSDに有効な向精神薬 SSRI SDA 3環系抗うつ薬 セロトニン作用活性薬

世界中の精神科医が唯一の科学的手法と思い込んで抜け出せなくなっている、非科学的な統計の迷路とは関係なく、わたしの症例報告数世界最多の薬物治療経験によれば現在までにPTSDに有効性が確認できたのはSSRIではパロキセチン、ルボックス(商品名:ジェイゾロフトは未経験)、SDAではリスパダール、ジプレキサ、セロクエル、セロトニン作用活性薬のセディール、3環系抗うつ薬のアモキサン、デジレル(3環系ではない)。患者 と深く関わらない精神科医がこれらの薬物に有効性を見いだせないのは(1)ミルトン・エリクソンの混乱技法などで患者と無意識下の交流である「ラポール」が形成された時にのみ治療的に作用する。(2)うつ病と紛らわしい抑うつ感などの表層的症状の改善よりも抑圧された外傷記憶の想起など認知・記憶機能の改善が主作用である。(3)催眠術が治療の主役ではないように薬物治療もPTSDの膨大な治療体系の重要ではあるが全体の一部に過ぎないこと。などが全く自己の経験として理解できないからです。

(55)催眠療法家ミルトン・エリクソンの混乱技法

第二次大戦後に精神医学の本流からは催眠療法が もっとも否定された時期に独創的な研究を行ったのがミルトン・エリクソンです。いわゆる五円玉を糸でつないでゆらす「定型」催眠術とは異なる「混乱技法」の開発者です。自分がPTSD患者の治療中にしばしば患者が催眠状態に陥るのは彼の技法に類似していることがわかりました。「君の悩みは君のお父さんの自殺と関係があるんじゃないかね」「肉親の自殺が障害を引き起こすのは不思議ではないよ」「お父さんの自殺が障害と関係ないか検討する価値があるんじゃないか」少しずつ言葉を入れ換えて同一の主題について語り続けていると患者が催眠状態に陥ることがあります。これが混乱技法です。定型法が無効な患者にも有効です。催眠術は万能ではありませんがPTSDの病態を調べる探り針の役割を果たしたり、治療経過を短縮させる効果があります。

(54)日本精神神経学会総会の内情

103回(昨年・高知)、104回(今年・お台場)両方で総計600の演題の中でPTSDの薬物治療についての発表は今年の自分一人なので精神医学正統の灯を消さないようにしなければならない。友人が今年はスライド発表が少ないような気がすると言った。特別講演(えらい先生が話す華々しいが中身のない話)はどうでもよいが、一般講演(臨床第一線の話)でポスター講演(青二才の話すレベルの低い話)が多く、スライド発表が少ないと。臨床の古強者(ふるつわもの)はみな討ち死にして絶えたということらしい。

(53)防衛省のPTSD対策

自衛隊のイラク派兵に際しての手際から考えると、防衛省内部に並の精神科医よりはるかに頭の切れる人物がいるようです。帰還に船舶を使用したこと。部隊の交代を迅速に行ったこと。部隊ごとの団結心を高める演出を行ったこと。しかし、PTSD対策が必要な危険な戦場に兵士を送るのは、国民と歴史に対して責任を負う政治家が自らの命をかけて決断することです。秘密裏に行うがゆえに責任を負わない官僚の独断にまかせていいことではありません。また官僚は過去のみから学ぶ秀才であり、未来を切り開く科学の目をもちません。過去のPTSD対策を周到に施しながらも、帰還した隊員の自殺がPTSDによるものだとしたら、貴重な犠牲から学び、未来の医学を切り開いていかねばなりません。なぜJSTSS(日本PTSD学会)は自国軍隊の兵士(自衛隊員)のPTSDについて発言しないのでしょう!

(52)雅子さまとPTSD

最初にことわっておくなら私は皇室に敬意を表する立場です。 少し前にオーストラリアの下品なライターが書いた本に雅子さまはうつ病であると書かれ、慶應大学精神科の主治医団が適応障害であると反論しました。うつ病も適応障害も精神障害の心理的原因(PTSD)を否定して遺伝を重視したドイツ精神医学の産み出した概念です。ドイツ精神医学も精神障害の心理的原因を全否定するのは心苦しかったとみえて、遺伝的要素がない障害として適応障害という疾患概念を形成しました。しかし、適応障害というのは寝てれば治るという意味で誰の目から見ても 長期化した雅子さまの病態からするとおお外れです。日本人なら誰もが知ってるが、無意識に否認しているからこそ雅子さまのトラウマにあたる事実。雅子さまのご実家の小和田(豪)邸は水俣病の原因を作りだした株式会社チッソの会長だった雅子さまの祖父(最近亡くなったことも報道された)のものです。聡明な雅子さまが少女の頃からそのことを苦にされてなかったと考えるのは不敬というものです。PTSDの原因のトラウマは自分の頭で素直に考える習慣のない周囲の人間には目の前にぶら下がっていてもわからないのです(もちろん患者は別)

(51)認知症と高齢者PTSDの見分け方

高齢者PTSDは記憶力の低下で内科を受診し、CTで脳が萎縮しているから(高齢者の脳が萎縮しているのは当たり前だ)認知症ですという医学とは無縁の診断を受けています。CTでみるべきなのは高齢者PTSDに共通して基底核のラクネ(中心部分の小梗塞、黒い穴が抜けて見えます)がほとんどないことです。○アリセプトに全く反応しない○排泄など日常生活能力が落ちない○年単位経過しても進行しないなどが診断の参考になります。決め手は戦争当時の話を聞けば生き生きと記憶がよみがえることです。認知症も初期なら昔のことを忘れにくいといいますが年単位の経過後ははっきりPTSDと差がつきます。

(50)自衛隊とPTSDと朝日新聞

イラクに派兵した自衛隊隊員が帰国する時にわざと船舶を利用したことは一般には報道されませんでした。フォークランド紛争でイギリス軍がPTSD対策で同じ手段を用いた(第二次大戦時には船舶で帰した米軍がベトナム戦争でいきなり航空機で帰したことがPTSDの増加につながったと考えられている)ことを防衛省の技術官僚(テクノクラート)が真似たのでしょう(防衛医科大学精神科教室に知人がいますが彼の研究活動から推測すると自衛隊の精神保健対策とはリンクしていないようです)。ネットで検索してみると船舶で帰したことはぼかしてありますが、1部隊だけ民間航空機を利用して帰還しPTSD対策は念頭にない表面的な批判を浴びています。実験的な要素があったのでしょう。朝日他の新聞も帰還後に隊員に自殺者が出たことは自衛隊の発表通り機械的に報じていますが、イラク派兵との因果関係については専門家のコメントも深い考察も避けています(統計的に派兵隊員の自殺率が非派兵隊員よりも高いと報じながら)。平和問題については何でも政府、自衛隊にかみつくイメージの朝日新聞にしては奇妙な馴れ合い感覚が感じられます。なぜJSTSSは自国の軍隊のPTSDについて発言しないのでしょう!