音楽の秋。孤独な魂を歌った素晴らしい楽曲がなんとも映える季節では

ないでしょうか。


そんな秋の夜長に、一人でひっそりと聞きたいのが今日の1曲。

スピッツの「楓」です。


ご本人たちにとっては、レコーディング時のバンド全体の精神状態がお悩み

モードだったので、いまさらあんまり思い出したくない、と語っていた名盤

「フェイクファー」からの1曲でございます。


このアルバム、音の感じが丸いというか、次作の「ハヤブサ」とか以降の

亀田誠治師匠プロデュースの時みたいになんかぎらついてなくて、個人的に

とても大好きな作品です。「運命の人」とこの「楓」だけで、もうおかわり何杯も
いけそうな気がします。


で、今日の映像はスピッツの皆さんのものではなく、先日「僕らの音楽」で
やっていた若手ミュージシャンによるカバーが素敵(というかやっぱ原曲が
素晴らし過ぎるんでしょうね)だったのでそちらをご紹介したいと思います。


http://jp.youtube.com/watch?v=7l568wMTSjA


あ~でもやっぱこうやって聞きなおすとやっぱ草野正宗氏のボーカルの方が

何倍も素晴らしいなあ、と再確認しちゃいましたね。



絶望感の漂い方がやっぱ全然違うわ。

あと崎山さんのドラムもほんと渋々で泣けるし。やっぱ本物もご紹介。

http://jp.youtube.com/watch?v=K_UMJKD7_aA&NR=1


確かこの曲、シングル・カットされてしかもカウント・ダウンTVの月間主題歌
にも選ばれたにもかかわらずほとんどヒットしなかった、という記憶が

あります。当時は(あ、もう十年前なんだなあ)、これが売れないなんて

どーなってんの、と思ったわけですが、今も若い人たちに歌い継がれている

のを見ると、やっぱり普遍的な名曲に間違いない!ってことなんでしょうね。



本日のソウル&ファンク・ネタ ; こちらもソウル名曲のカバーを。


曲は私が敬愛してやまないボビー・ウーマック師匠による究極のフリー

ソウル臭ぷんぷんの"Daylight"です。


元デスティニーズ・チャイルドのビヨンセじゃない人が歌っているらしい

バージョンです。原曲の映像があまり良いのがないのでこちらをご紹介します。


ずーっと後ろで流れているギターの旋律が泣けるのです。やっぱ原曲の
方が数百倍よいけど、まあそれでもやっぱよいものはよい、ということで。


Kelly Rowland "Daylight"

http://jp.youtube.com/watch?v=mXI5VXDi7Ps



途中のラップがいらねー!


すまん、原曲も聞いてや!


Bobby Womack "Daylight"

http://jp.youtube.com/watch?v=m4wIZrKC1ug



オバマ・米新大統領が選出されてからちょうど1週間がたちました。


今回の選挙は実質的にはブッシュ政権への国民投票だった側面が

強かったわけです。とにかく、奴を引きずり降ろさないと!ってことで
国民が一致団結したって感じですかね、ものすごくおおざっぱに言うと。

で、オバマさんも当選後のスピーチで「変革の時が来たのです!」
("A change has come to America!")と言ってましたね。


今日の1曲目はまさにその「変革」を訪れることを願ってやまなかった
公民権運動時代のアフリカン・アメリカンたちの思いが込められた

サム・クックの名曲です。


"A change is gonna come" Billy Preston

http://jp.youtube.com/watch?v=4CyDo1M_xsE



I was born by the river   俺は川べりで生まれたんだ

in a little tent ...        小さな小屋の中で…


という歌詞で始まるこの曲がリアリティーをもって歌われたのがおよそ
50年前のこと。ビリープレストン氏が歌うと、
サム・クック氏による

原曲クラッシーな感じが完全に失われ、なんとも能天気な明るい

曲に聞こえてしまうところが残念。でも、実はこういう田舎くさい、もっさい

演奏が最高に好きです。コーラスのハモリとか、うまか味です。


しかし、まさかこんなに早く「黒人」大統領が出現するとは…。

やっぱアメリカは侮れないなあ

ところでこの映像のなんとも垢抜けないおっさん、ビリー・プレストン氏。
最近お亡くなりになりましたが、彼はなんと言っても5人目のビートルズ
といわれたお方です。「レット・イット・ビー」セッション関連のハモンド・

オルガンやフェンダー・ローズ・ピアノのいなたいフレーズ

すべて彼によるものです。


個人的に大好きなのがこの曲。ジョンの中でも一番かなあ。



"Don't let me down" The Beatles

http://jp.youtube.com/watch?v=-O7PnvVgQvA


最後の方に流れるピアノ・ソロが素晴らしいですね。しぶしぶ。



ここで、最近、読んだ本の中で最高に刺激的だったものをご紹介。

タイトルなげえ~。


「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」町山智浩

                         (文藝春秋)1000円。


僕の心の師匠ですね。この方、TVブロスとかでもずーっと連載してますけど
アメリカ文化を語らせたら当代随一でしょう。まあ、とにかくアホなアメリカ

人のエピソードのてんこ盛り。アメリカ発の音楽、文学、映画の楽しみ方を
倍増させてくれる、暮らしにまったく役立たない雑学だけがどんどん

記憶の中に貯蔵されていきます。秋の夜長にお勧めの一冊。



さて、アメリカのホワイティーの中でも最も信頼のおけるばかちんを紹介。
80年代にマイケル・ジャクソンやマドンナのPVのパロディーで一躍有名

になったアル・ヤンコビック師匠です。彼の「アメリカ的なるもの」への批判

精神に最大級の賛辞を送りたいものです。ご本人も相当クレージーなお方

なのが素晴らしい!


曲は JB の "Living in America"「アメリカで生きていくこと」をパロった、
"Living with a herina"「ヘルニアを抱え、生きていくこと」です。

タイトル先行のネタですね。


まあ、とにかく腰痛持ちだと、アメリカだけじゃなくても生きていくのは辛そう

です。英語わかんなくても映像で楽しめます。全人類に向けた普遍的な

メッセージを師匠は歌い上げてるのですね。さすがだ。


"Living with a herina" Wierd Al Yankovic

http://jp.youtube.com/watch?v=hXozg2U_wss


あ、ちなみにこっちが元ネタ、じゃなくて原曲です。


"Living in America" James Brown

http://jp.youtube.com/watch?v=oHqUipinDyw



「ソウル・ファンク中間試験 : リスニング問題」

上の2曲の一番最後に流れる歌詞に注目して空欄を埋めなさい。(2点×2)


Jame Brown ; "I feel ( )!"


Al Yankovic ; "I feel ( )!"

たまには世の中の流れに連動した内容ということで。

明日にも史上初のアフリカン・アメリカンの米大統領が誕生するようですね。

ニュースなどで一度は耳にした人も多いと思いますが、オバマ候補の集会

などで必ず流れるあの曲、そう、今日の映像はまさにその曲、"Yes, we can." 

をご紹介したいと思います。


70年代~80年代にかけて活躍した女性ボーカル・グループのポインター

・シスターズ。はじめての出会いは80年代半ば、MTVでやたらかかっていた
曲かなあ。(タイトルすっかり忘れたけど、とにかくシンセ・ベースがやたらう

るさいなんとも80’sな曲調・アレンジで、積極的に嫌ってましたねえ)


で、90年代に入り、僕の方もロック一辺倒から音楽趣味のシフト・チェンジを

図っていたのですが、そのころヒジョーにお世話になった、米のレーベル、

ライノ・レコーズの70年代ソウル名曲のコンピレーション、"SOUL HITS OF

'70s : Didn't it blow your mind" シリーズの1枚に収められていたのが
この "Yes, we can." なのでした。


まあとにかくワン・コード、ベースのワン・リフで押しまくりるファンキーな曲に

すぐさまノックアウト。そしてなんと言ってもドラムがかっこいい!ということで

誰が叩いているのかなあと思っていましたが、ありましたよ映像が!


The Pointer Sisiters "Yes, we can."

http://jp.youtube.com/watch?v=b-ULwExPXvg


どうやらドラムのお方はジャズ系の人ですかねえ?(詳しくなくてすいません)

3:05あたりからのドラム・ソロ。ただひたすらにファンキーな演奏に酔いしれ

てください。


ちなみに歌詞の内容ですが、一番重要と思われるところを紹介しますと…


We 've got to make this land         私たちはこの国を

a better land         もっとよい国に変えなければいけない

than the world in which we live       今私たちが住む世界以上に


I know we can work it out         わたしたちはやれるはずだ

I know we can make it, if we try ...   わたしたちは変えられる、挑戦すれば



この曲が作れたのは71年、72年あたりですかね。まあキング牧師の暗殺

以降、公民権運動もかげりを見せつつあったころなんでしょうが、それでも

ベトナム戦争も終結間近なこの時期。音楽的にはまだまだ多くのアフリカン・

アメリカンが希望を捨てずにいた、「ソウル・パワー」が輝いていたころですね。


Bill Withers の"Lean on me" と共にまだまだ人々が音楽の力を信じること
ができた(と個人的には思いたい)時代の名曲です。

しかし、この歌詞、まさにオバマ候補のためにあるようなものですね。


P.S. あまりにもファンキーな演奏にスタジオ観覧のホワイティーたちが凍り

   つき微動だにしないところが印象的ですね。白人(そしてもちろん日本人
   も)がこのリズム感・リズム認識に到達できるまでさらに15年ぐらい

   かかります。







YouTube でお気に入りのアーティストたちのレアな映像をチェックしていると

あっという間に時間がたってしまい、ブログ書くのなんかどうでもよくなってし

ます。ほぼ1ヶ月ぶりですね。いかんいかん。


今日は最近見つけた、心揺さぶられた映像をひとつご紹介します。


ラファエル・サディークというお方、90年代後半まで一世を風靡したアメリカ

のR&Bグループ、トニ・トニ・トニ(正確な呼び名が怪しいですが)のメイン・

ボーカルだった人の最新のソロ作のライブ映像です。


トニ・トニ(面倒くさいから省略)自体は知り合いのソウル・ファンク狂から92

年頃に"sons of soul" というアルバムがお薦め!と言われて以来ずっと
愛聴していたのです。あんま最近のシーンとか分からないのですが、おそらく
トニ・トニはラップ系を除くブラック・ミュージックの中では最後の、ヒットを連発

したself-contained バンド(作詞・作曲を自ら手がけライブにおいてはすべて

楽器を自分たちで演奏するバンド)ではないでしょうかね。


アルバムでは打ち込みのドラムを使用していても、ライブの場面ではしっかり

生演奏(これがまた上手い!)を聞かせてくれる、なんとも昔かたぎの歌心

あふれるバンド。惜しくも解散してしまいましたが、中心人物のラファエル

さん、今やディアンジェロなどとならんでR&B界の最重要人物なのです。


今日のこの曲、何度もループされるフレーズが泣かせる、そして昔の

ボーカルグループを思い出させる振り付けがなんともかっこいい、地味地味

な名曲です。


Raphael Saadiq "Oh Girl"

http://jp.youtube.com/watch?v=MniFG4WHeho


最後の方にはトニ・トニの名曲 "Lay your head on my pillow" もメドレー
でやってくれています。比較的小さな会場で演奏しているようですが、こんな

間近で見れていいなあ。


ラファエルさんって30代?彼にはシーンとか流行とかそういうところを超越

して、ひたすら自分の愛してやまないソウル・ミュージックをいつまでも奏でて

いてほしいなあと思います。「ラスト・ソウルマン」って呼ばれたこのおっさんと

同じように。


Bobby Womack "Harry Hippie"

http://jp.youtube.com/watch?v=h1CRnWw0V7w



カントリー・フレイバーもありつつ、歌的にはゴスペル・ライクなこの曲。

やっぱソウル・ミュージックはライブに限るなあ。幸せ。

まずはじめに注意書き。


ここ4,5年はベースを練習しているのです。それ以前のウン十年はギター

野郎でした。あんま上手くなれなかったけど。


でね、最近のJ-Popとか聞いていると、ギターいらねー。というかギター一生

懸命練習しても報われねー。ベースとかドラムの方がかっちょいい!

そんな趣味嗜好に変わってしまったおっさんの視点から書きますよ。

ちょっと大きなお世話なギタリスト列伝です。


第1回目はまあ、「ロック」ということでジミヘンですかねえ。


洋楽専門誌「ミュージック・ライフ」によると「3大ギタリスト(クラプトン・ペイジ

・ベック)」を超越した真の天才とはジミ・ヘンドリックスをおいて外に無し!

と小6のころに読んだので、中1のころ親戚のおばちゃんにもらったお小遣

買いました。「天才ジミ・ヘンドリックスの生涯」という2枚組(のち

に、彼の伝記的映画のサントラだと判明)。「真の天才」なんだから凄いに

違いないということで、修行僧のごとく、かなり我慢しつつ聞きまくりました。

これが理解できないようじゃ「ロック」を語る資格なし、と自らを洗脳するが

ごとく...



洗脳前; 曲がみな同じ、ポップじゃない、音がぐちゃぐちゃ、ソロが長い


洗脳後; ギター奏法に革命をもたらした情念溢れるプレー、ソロが長い



まあ、正直言うと、「歯でギターを弾く」とか「ステージ上でギターに火をつけて

燃やした」といった「伝説」、というか「キッス的なおバカ感」に心を惹かれ

たの一番のキッカケなんですけどね。中坊なんてそんなもんでしょ。


で、その2枚組、モンタレーでの「ヘイ・ジョー」とかウッドストックでの

「アメリカ国家」(これはほんまものの名演ですね)、さらにワイト島での

「レッド・ハウス」(映像観るまでフライングVで演奏しているとは知らなかった)

とかもう歴史的名演のオンパレードなのですが、個人的にもっともハマッた

のがこの曲。今も昔も本当に愛聴できるのはこれだけかなあ。


Jimi Hendrix "Hear my train coming"

http://jp.youtube.com/watch?v=SKaLqATmm3g



ギターを爪弾き、曲が始まる前に、「撮影されているかと思うと死ぬほど

ビビっちゃうよ (I'm sacred to death!)」 などどカメラ目線で語るジミが

可愛い。


で、やっぱブルーズ・マンだよね、この人は。もうなんか全身からデルタ

魂が出まくってます。あ、シアトル出身だっけ。歌がせつない、せつない。


あ、ギター奏法的なこととか書いていないなあ。それよりも...

なんで、この曲に惹かれたのかなあ、と自分の音楽ルーツを思い返して

みたら、僕、このCMソングが自分の根っこにずーっとあることに気がつき

ました。70年代のサントリー・オールドの曲、って言って分かる人は

確実にオーヴァー・フォーティー(オバフォー、流行語大賞候補)ですよ!


http://jp.youtube.com/watch?v=fhiXUypuN64&feature=related



音楽的原点といえば、あとやっぱこれも欠かせないなあ、


「ルパン3世のエンディング曲」

http://jp.youtube.com/watch?v=LiJevKgOcqM&feature=related



5,6年前に奥田民夫大先生もカバーしていましたね。


しかしサントリー・オールドのCMに、「ドナ・ドナ」。みんなマイナー・キー

で、こんなメロディに惹かれる小学生って...家庭環境になんか問題が

あったんでしょうね...


そう、お父さんが大酒飲みで...


って突然のアダルト・チルドレン、カミング・アウトですいまめーん(古い)。