<12th May Mon>
今日の午後は雷が随分長い間鳴ったり止んだり雨が降ったりという珍しいお天気でしたが、散歩は済ませてあったし出掛ける予定はなかったので家にいられてよかった。遠雷はなんか素敵だったけど。
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5月7日はバービカンでコンサート形式のヘンデルのオラトリオを聴きに行きました。
イェフタはこれまでに何度か観てて、2014年バービカン(→こちら)、2018年のガルニエでボストリッジ博士(→こちら)、2022年11月ROHはアラン・クレイトンで3度(→こちら)。
旧約聖書に出てくるお話で、古代イスラエルの武将イェフタは神に「この戦いに勝たせてくれたら、帰還して最初に出迎えてくれた人を生贄にするから」、と誓ったところ、現れたのは「お父さん、お帰りなさ~い」、と迎えに来た自分の娘・・・(モーツァルトのイドメネオとそっくりなシチュエーションですが、オペラにしたのはこっちが30年先)。聖書では娘は殺されてしまうのだけど、このオラトリオでは一生を神に捧げるという条件で天使に救われます(ROH版ではとんずらして恋人と一緒になりました)。
でも、ストーリーはこれだけと薄いので、ドラマとしては盛り上がらず、歌手たちの歌合戦として楽しむしかない作品です。
晩年のヘンデルが視力の衰えに苦しみながら長年掛けて作曲したこの最後のオラトリオは1751 年にヘンデル自らの指揮でロンドンで初演され、軽やかで華やかなヘンデル節とは違う深みのあるしっとりした作品ですが、昨夜バービカンで観た同じヘンデルのヒット曲満載で華やかでドラマチックなジュリオ・チェーザレと比べると地味さが更に強調されます。英語だし。
で、肝心の歌はどうだったかと言うと、
ジョイス・ディドナートを売り物にしててポスターは彼女で、切符の売れ行き良かったのも彼女のおかげでしょうが、主役ではないので沢山歌わないし、なんか精彩がなく、溌剌と元気だったディドナートも56才ですから太めになりシワも目立つし、彼女目当ての人はがっかりしたでしょう。最近はオペラにもあまり出てないみたいだし、残念です。
私はマイケル・スパイヤーズがお目当てで、十分上手で美声にうっとりでしたが、大好きな彼の声にすっぽり包まれるようにかぶりつきにすればよかったかな・・(その点で3月のカドガン・ホールはよかった(→こちら)。最前列だと字幕が見えないので、同じ値段だし見晴らしの良い7列目にしたのですが。46才の彼は最近はワーグナーも歌っているようですが、彼の声は向いてるから、いつか生で聴きたい。
めっけものは娘役のフランス人ソプラノのメリッサ・プチ。35才より若く見えるほっそり美人で赤いドレスもよく似合い、軽やかな歌にも惹かれました。
残念だったのは娘の恋人役で、これまで観た時は全てカウンターテナーだったのに、今回はアルト女性だったことで、ジャスミン・ホワイト、声はまあ良かったのですがうんと小柄だし、ドラマとして更に盛り上がらない要素の一つに。