新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景 -30ページ目

新・ぺんたno座右の銘盤withボクの新百景

独断と超偏見による、勝手気ままでええ事しか書かん日記のようなもんです。
まあるい形してて、音が飛び出してくるモノへの愛情表現です。
ほなお暇なお方はどうぞお入りやす。
某サイトの『ぺんたno座右の銘盤』、『続・ぺんたno座右の銘盤』の続編となります。


a fickle sonance
 前話のアート・ペッパーと時を同じくして聴いていたのがジャッキー・マクリーン。どちらかというと僕はマクリーン派だったと思う。手に持った楽器は奇しくも同じアルト・サックス。しかしこの両雄、同じ楽器とは考えられないほど別世界を築いた。何故キミはマクリーン派なんだい? その答えはこうだ。

 一つにペッパーと違って生まれつき生身の人間だったこと。二つには神に憧れ神になろうとし、悪魔に犯されたこと。三つとして音そのものが凶器だったことだ。
 1961年10月26日に仕上げた6曲、アルバム『A Fickle Sonance』にそれぞれがそれぞれの相応しい居場所に置いてある。1曲目はこれしかない、そうソニー・クラーク作「Five Will Get You Ten」。オーソドックスなジャズから脱皮しつづけたマクリーンが遠慮がちにジャックナイフ(後のアルバム・タイトルに使われる)を抜いた瞬間だ。油断していると鋭利な刃(やいば)の冷たい感触が肌を通る「A Fickle Sonance」。3分少し手前でトミー・タレンタインの虚空を突き刺すようなトーンが合図だ。ブルース・フィーリング溢れるソニー・クラークのピアノに枯れた味わいのブッチ・ウォーレンのベース、正確無比で決して手数の多くないこの頃、間の使い方が絶妙なビリー・ヒギンズのドラム、もちろんマクリーンも煽られ狂喜乱舞となす。皮肉にも彼が書いた名バラッド「Subdued」は腰が砕けるほどに甘く切ない。彼はペッパーと違って男らしく、とろけるほど格好いい音。好き嫌いの分かれる音色ではあるが、僕はとことん好き。これは感覚のみで味わう音ではなかろうか。
-NO.484-

【金沢21世紀美術館~感情のテイスティング】
 金沢でいま最も人気のあるスポットで、気軽さと常に変化しつづける感覚を芸術として形にした皆のための美術館である。その一角で《感情のテイスティング》なるフード・クリエイション、食欲のデザイン展が行われていた。怒りこみあげるテイスト、悲しみのテイスト、失意のテイストと大きく3つに分れ、全部で70強ある料理をランダムに選んで参加者の元へ。悲しみの味、けだるさの味、わずらいの味等など。いま食べたのは何の味? 参加料は1,000円。みんな難しそうな顔をしているのが分かりますか(笑)
-sensuous food, emotional taste-


アラジン
 ちらりと目をやった先にはアート・ペッパーのALADDIN盤『the art of pepper』の黄色いジャケットが。懐かしさを覚えるくらい久しく聴いていない。そもそもアート・ペッパー自体ホントご無沙汰しているわけでして、初めてペッパーに出会ってからもう30年近くにもなる。モダン、リターン、そしてこのアラジン、貪るように毎日日課のように聴いたものだ。
 僕は管ものはあまり聴かずピアノものばかり聴いていたとき、すんなりと入ってきたのがアート・ペッパーだった。湯水の如く湧き出るアドリブが天才的といわれ、女性的な音色とともに日本では圧倒的な人気を誇った。確かにメロディアスで、体内を流れる血の如く巡り狂ったものだ。万人向けといえばそれまでだが。
 しかし、彼も見えないプレッシャーの波にのまれそうになり、アルコールとドラッグに溺れてしまうのだ。そして長い、長すぎる沈黙のなか60年代後半に劇的な復活を遂げた。リヴィング、ノーリミット、インテンシティ、トリップなどの復帰諸作に聞くは逞しさを湛えたペッパーがいた。もちろん美しさは損なわれてなく、より人間味溢れる音像がある意味ホッとさせてくれた。コルトレーンに傾倒した時期もあったが、それすらより人間的ではあるまいかと可愛くも思えた。それだけ50年代のペッパーは超越した存在であったと言えよう。こうして身近な存在となったペッパーは今から15年ほど前に感じたのだった。
 一般的、いや大方は50年代のペッパーが最高だとおっしゃるでしょう。それに間違いはない、誰も反論はしないであろう。いま僕の部屋ではペッパーの吹く「Begin The Beguine」が鳴り響いている。バース部から主題へ、さあ世紀のアドリブへと。それにしても人間業とは信じ難い。どこまでがアドリブ、どこからがアドリブ。もはやアドリブの存在が不朽のメロディへと昇華してしまっている。これは神の仕業だ。
-NO.483-

【ディスクユニオン新宿ジャズ館】
 未だに疑問なのが店名。BIGでなくBICカメラ、discでなくdisc unionなのよね。今でこそアチラコチラに店舗を構える国内でも老舗的存在のレコードショップ。敢えてレコードだ。僕にとっては遊園地そのもの。


Sinatra
 フランク・シナトラのベストはと訊かれると一番好きな《In The We Small Hours》を筆頭に、とびっきりスウィンギーな《Swing Easy》内省的だが暗くならない《Sings For Only The Lonely》の3枚と決めている。いずれも共通していえるのが選曲の良さ。まあ個人的に好きな曲が目白押しってな訳だ。
 つい最近、『NOTHING BUT THE BEST』なるオールタイム・ベスト盤が発売された。初回プレス特典にシナトラの切手が同封されているとのこと。至極当然買ってしまいました。今までにも多くのシナトラのベストは発売されてきましたが、今回のこの内容に勝るモノはないであろうし、今後も出ないのではと思う。全22曲ある曲目に目を転じてみると、何故か前述した3枚のアルバムからは1曲たりとも選ばれていないのである。超人気盤とはいえずとも1曲くらいはとお嘆きのファンもいらっしゃるのでは。ただ私のようにひねくれ者にとってはありがたき選曲なのだ。何故って、「My Way」を始め「Theme From New York,New York」、「My Kind Of Town」「Somethin' Stupid(恋のひとこと)」は硬派というより軟派の域。これらのために大金をはたくには少し考えさせられるのだ。でも恥ずかしながら大好きとしかいいようのない名曲ばかり、ついにそれらを満足させてくれる究極のベストが出たのだから黙って買うしかないだろう。聴いていて思うことが一つ、シナトラの声だ。彼の若かりし頃と晩年と聴き比べても声の張りや艶は大きく変わることなく、録音やバックのオケを頼りに年代を感じとるのが聴いてての愉しみとなった。
 今回見つけたお宝は「Luck Be A Lady」だ。よくぞこの曲を入れようとお考えになった あ・な・た ナイスな選曲です。シナトラの歌、バックはビリー・メイ楽団、すべての良きエッセンスがちりばめられた珠玉のナンバーだ。その他バックにはクインシージョーンズやネルソン・リドル、クラウス・オガーマン、ドン・コスタなどがこのアルバムで架空のアレンジ合戦を繰り広げている。あなたの好みは? そんな楽しみ方も是非なさってはいかがでしょう。またあの「Strangers In The Night」を改めて聴いてみるとなかなかいけるではないか。終盤に♪ドゥビドゥビドゥ~ダダダダァ~ディなんかの節は昔恥ずかしくて聴けなかったのに今はどうだ、一緒になって口ずさんでいるではないか。シナトラのセンス勝ち、彼は恥ずかしさは微塵もなく堂々としているのだ。そして極めつけは愛娘ナンシーとのデュエット曲「恋のひとこと」でもう私はコテンパンにやられてしまった。今更ながらこんないい曲だったとはと再認識。またお前のことだからナンシーに首っ丈なんだろうとお察しのお方、残念でした。ここはお父様シナトラの麗しき声にやられてしまったのだ。しかしこの二人の声、父娘というより恋人同士に聴こえてくるほど高低差といいホントいい按配。お互いに五線譜のなかを絡み合うことなく、つかず離れずの繰り返しがお見事。イントロのボッサ風なギターが憎らしいくらい二人を乗せてしまったと確信する。
-NO.482-

【オアシス21】
 このオアシス21は名前のとおり新たな市民の憩いの場となっています。地下にはショッピングモール、時にはイベントなども行われ、バスターミナルとして発着点となっています。ここから望む名古屋TV塔は絶好のビュー・ポイントです。この冬(2009年12月)からスケートリンクとしても賑わいをみせている。


あなたと夜と音楽を
 僕のショットにしては珍しいお城の写真。城郭協会選定の日本百名城にも値しない小さなお城だが、時は戦乱の世、表にこそ出ないがそこに息づく人間模様が愉快であり痛快な日々が繰り広げられていた。時代劇すら興味ままならぬ自分がここまで吸い寄せられるのは何だろうか。直木賞候補作品《のぼうの城》は、この忍城を舞台に若手作家・和田竜が感性豊かに描く戦国絵巻。どう描こうが歴史そのものは変えられない。ありのままなら歴史書と同じこと。Jazz界も毎年多くの新人達が去来し、まだ味わったことのないJazzの無限の可能性を今日も求めているのです。
 ハンガリー生まれのピアニスト、ロバート・ラカトス、澤野での3作目『You And The Night And The Music』がこれ。普通に聴いていると手馴れたベテラン・ピアニストの作品と思えるくらいにまとまってて隙がない。前作『Never Let Me Go』での「Till There Was You」はビートルズでお馴染みのナンバー。僕がビートルズの奥深さを感じとった曲でもあり、ポールにこの伴奏で歌ってもらいたいと願うほどの出来だ。若手ミュージシャンにとっての狙いはオリジナル曲に負うところが大きいが、古典的スタンダードの新解釈に加え現代風スタンダードの発掘が鍵となる。さてこのアルバムで彼のオリジナルはというと「Sepia」と「Gloaming」の2曲あるが、いずれも何かを背負いすぎた感が見受けられ窮屈だ。ヨーロッパ・ジャズらしいといえばそれまでか、後者の終始クラシカルな調べに乗せた可愛いメロディがせめてもの救いであろう。ライブではもっとビートを効かせ、メリハリをつけた演奏で聴いてみたいものだ。僕のお気に入りのドラマー クラウス・ヴァイスがリーダーだったならそうなっていたのかもと考える。一方古典的スタンダードの出来はどうか。冒頭の「I Should Care」とラストナンバー「You And The Night And The Music」に期待を持つ。前者は僕の予想に反し急速調で進む。やはりヴァイスのドラミングにどうしても耳が立つ。後者にしても数々の歴史的名演にどう立ち向かうのか。無難な演奏に脈拍も落ち着いた時、ちょうど2分00秒、ヴァイスの連発するスネアに促されてピアノがスイングしまくる。アーサー・シュワルツの曲はこのように静かに青白く燃えだすものが多く、よって好きだ。ジャズ・ミュージシャンが作ったスタンダード、俗にいうジャズ・スタンダードも「Lament」「Whisper Not」もさることながら、あまり知られてないケニー・ドーハム作の「Scandia Skies」を選曲するあたりはラカトスただ者ではないと。改めて知らない曲を教えていただいたという感謝の気持ちでいっぱいだ。言い換えればこうやってケニー・ドーハムを知り、彼のファンになってゆく人もいるのだからジャズは素敵だろ?
 最後になったがロック・アーティスト、スティングの名曲「Fragile」は、多くのジャズ・ミュージシャンに取り入れられ、現代風ジャズ・スタンダードへの昇格の途にある。さあ貴方もスティングのオリジナル聴いてみたくなったのでは。こういった若い世代の感性が、ジャズの未来を明るくするのです。
-NO.481-

【のぼうの城~忍城】
 関東七名城で知られる忍城、いまや《のぼうの城》としての知名度の方が高いか。石田三成の水攻にも耐えたとされ幾多の誉名を残す。この御三階櫓が往時を偲ばせる。


カリブ
 EJBって? そうエルトン・ジョン・バンドだ。何であのエルトン・ジョンが最強のロック・バンドなんやって思われるのは若い世代の諸氏だけではないだろうか。シリアスで時にナイーブな作品を書く盟友バーニー・トーピンと、センシティヴでいて時折ダイナミックさもあわせ持ったエルトン・ジョンは、吟遊詩人と呼ばれる英国のシンガー・ソングライティング・チームの一組に過ぎなかった。もちろん既に《僕の歌は君の歌》などのヒット曲を生み前途洋々。将来も期待されていたし成功も約束されていた。
 アルバム《マッドマン》辺りからギターにデイヴィー・ジョンストン、ベースにディー・マレー、ドラムにはナイジェル・オルソンを不動のメンバーにし、後にイエスに参加するリック・ウェイクマンやロック・ヴァイオリニストのジャン・リュック・ポンティ、タワー・オブ・タワーのホーンセクションなどが客演するという後になって思うと空恐ろしい面子だ。4枚目のライブ・アルバム《17-11-70》ではトリオ演奏とは思えないくらいのド迫力で、既にライブバンドとしての存在を強く示していた。
 さあ最強のロックバンドEJBとしての最強のロックアルバムはというと意見が分かれるところだが、意外に評価が低く不人気な『カリブ』を僕は推そう。ジャケットを見てもいかにも安直、エルトンのいでたちも? としか言いようのないもの。しかし出来の悪い子ほど可愛いとはこのこと。聴くたびに愛着が湧いてくるのが本作。アルバムは「The Bitch Is Back」の軽快なR&Rで幕を開け、3曲目「Grimsby」でおやっ? 何かに似ているぞ・・・そう間違いない! クイーンのブライアン・メイの弾くあのギター・サウンドだ。もう既にクイーンもデビューしていたからどっちが先かは不確かだが、それは当時流行になりかかっていたサウンドなのかも。ちょうどその頃はギターSE(サウンド・エフェクト)も大流行だったからなぁ。「Solar Prestige A Gammon」に到っては英国的雰囲気の中、オペラ風な懐の深さ、引き出しの多さに驚かされる。つづく「You're So Static」はエンターテイナーぶりを発揮するには十分な作品で、今度は声がフレディ・マーキュリー似ときた。特にファルセット・ヴォイスは顕著で、以後フレディ似の傾向は強くなっていくこととなる。これもどっちが先かは興味の湧くところだが・・・。全体的に歌の上手さが目立つこの作品で、際立って印象深いのが「空飛ぶ円盤」での歌唱だ。デビューの頃の不安と自信はここではなくなっている。歌の上手さついでに僕の好きなナンバー「僕の瞳に小さな太陽-Don't Let The Sun Go Down On Me」という名曲が含まれており、トリビュート作品ではあのジョージ・マイケルがカバー。笑ってしまうが声がはたまた似ているのだ。もちろんエルトンの方が先なわけだが、エルトンは曲だけでなく歌い方そのものも多くのアーティストからリスペクトされているに違いないね。
 おっと、ところで最強のロックバンドたる所以は何ぞって? 答えは簡単さ。聴けば間違いなく最強のロックバンドって判るよ。そう若い奴らに聴かせてやってくれ。もちろんエルトン・ジョンと云わずにね。ブラインド・テストやったら世界最強のロックバンド、クイーンって答えるだろうね。それは僕だけか(笑)。
-NO.480-

【モエレ沼公園(モエレ山を望む)】
 イサム・ノグチ氏によって創り出された日本最大級の芸術。公園そのものが作品となっている。何度行っても感動に浸れるから好き。何てたってここはゴミ集積場だったのだから。