業界分析は、ある業界に注目して、共通して言えることやその特徴を調べるというものです。
 ①ビジネスモデル(どんな事業をしてどうやって収益をあげるのか...)
 ②現状と問題点
 ③業界の特徴が財務諸表にどのように反映されているか
の3つを軸に業界を分析していきます。

APの活動で過去に業界分析した、「化粧品業界」について、実際にみてみましょう!






【現状】
まず現状からみていきましょう!
これはすべての業界に言えることですが、原油高や世界同時不況の影響を受けているため、利益は減少しています。

●通信販売、ドラッグストアの売り上げは増加しているが、デパートでの売り上げは減少している。
このことから、消費者は安くていいものを求めていることがわかる。

●国内の市場の成長は見込めないため、海外市場への進出が加速している。
EX)資生堂⇒中国富裕層と中流階級   KOSEI⇒アラブなどの中東諸国
それに伴い、海外のメーカーに対抗するためM&A(買収・合併)が盛んである。

●近年Eコマースが、サンプル配布や返品等のサービスによって現在では業界全体をけん引するチャネルとなっている。
*Eコマース⇒インターネットを利用して契約する通信販売のことで、
「あきらめないで!」というCMでおなじみの“茶のしずく”などがこれ。

●化粧品の主材料は、ほぼ水! だから原価が安い。そのため自動車業界などに比べて異業種からに参入しやすい。
最近では富士フィルムがスキンケア用品を売り出している。


【問題点】
●2001年に化粧品の全成分表示が義務付けられた。そのため、ヒット商品の類似品がより早く市場に出回るようになってしまった。
結果、消費者を多数のメーカーで奪い合うという状況が生まれている。


【財務諸表からわかること】
●前述のとおり、原価が安いということは利益率が高い!
数値でみると、
飲料・家電業界が約5%なのに対して、化粧品業界は約8%と高めとなっている。

●化粧品会社は、毎年季節ごとに“春の新色登場!”などといって新商品を次々と出します。
そのため研究開発費がほかの業界に比べ、ずば抜けて高い!
数値で見てみると
キリン(飲料)⇒4% なのに対して資生堂⇒33%  花王⇒15 %とかなり高い。

●そして、研究開発費が高い企業は、負債(他人資本)より株主資本(自己資本)による資金調達が多い。
そこで、自己資本比率を出してみると、
EX)東芝⇒14.6%であるのに対して、資生堂⇒44.9% 花王⇒53%
と化粧品企業が圧倒的なことがわかる。
これは、研究開発がうまくいかなかった場合のことを考えればよそからお金を借りるよりも、自己資本である株主資本から出したほうが、リスクが少なくて済むからである。

●同じブランドを使い続ける傾向にあり、ブランドのイメージが大事!
女性が憧れるような人(E角さんとかK野さんとか)をCMに起用していますよね!ということで、広告宣伝費が高い。
売上高広告宣伝比率で見てみると、
EX)サントリー⇒3.3%であるのに対して、資生堂⇒8.1% 花王⇒7.8%
とかなり高いことがわかる。




ここまで業界分析してきましたが、今は“さっぱり分からない(*´-ω-`)”という人もいると思います。ですが先輩と一緒に学んでいくうちに少しずつ分かるようになっていきます!!