DESIGN TIDE 2025
今週末、12月12(金),13(土),14(日),に行われるデザインイベント DESIGN TIDE 2025 に参加します。
近年積極的に取り組んでいる両面プリント生地の新作が初お披露目となります。
無地でも成り立つのに色や柄を入れる意味はなんだろう? というのは私の永遠の問いですが
柄ってなんだろう、と考えるよりも先に「無地ってそもそも、何だろうか?」というあたりから今回のデザインはスタートしました。
世の中にあるものはほとんどこの「無地」ってやつなわけですが、そこから柄物になる瞬間ってなんだろう、と。
当然、何か線や点を描いたらそれが柄になるわけですが、それはちょっと違うかな、と思い
絵を描くような行為ではなく、「描く」ではない形で柄になる瞬間はなんだろうと考え
画面を分割するような行為はどうだろうか?そもそも画面を構成するって何の為だろうか?と考えて、
画面を分割してそれを両面に配置することで、無地から柄になる瞬間を生地に取り込もうと試みました。
ここ最近は空間へのインストールをイメージすることが多く、柄がどんどん大柄になっていき、形もミニマルになってきていましたが
今回は結構もう、行き着くとこまで来たような気がしています。
さすがにこれ以上は、、、それこそ無地になってしまいそう。
両面プリント、しかも耳に白場がないやり方は現場にかなり負担をかけていて
結構間違いが起こりがちということもあって、今回はがっつり立ち会いに行ってきました。
現場では次々と柄が生まれていくのを、ただただっずっと眺めているのです。
その、プリントテキスタイルが作られていく様子を眺めている時に
「良いのが出来たなあー」
としみじみ思い、昔々、初めてオリジナル生地のプリントに立ち会った時の感動を思い出したりして
なかなか胸アツな時間でした。
結局こういう瞬間に立ち会いたくて仕事をしているのよね。
来週の18,19,20,21に開催のマーケットにも参加予定ですので、こちらも是非。
私は18以外は会場にいる予定なので、ご来場いただいたら是非お声がけください。
DESIGN TIDE TOKYO
Main Exhibition
2025.12.12 (Fri) 〜 12.14 (Sun)
Market
2025.12.18 (Thu) 〜 12.21 (Sun)
10:00-19:00
入場料:
Week1
Class of 2025
入場無料
Week2, Week3
[通し券] ¥3,000(学生 ¥2,500)
Week2
Main Exhibition
[1日券] ¥2,000(学生 ¥1,500)
Week3
Market
[1日券] ¥1,500(学生 ¥1,000)
※学生割引は学生証提示の場合のみ ※中学生以下無料
会場:
朝方の写真撮影
FUJI TEXTILE WEEK に参加しています。
FUJI TEXTILE WEEK は2021年よりスタートした、テキスタイルと芸術が融合する国内唯一の布の芸術祭です。
テキスタイルに光を当て、アートやデザインを通じて、テキスタイルの新たな可能性を模索し発見するイベントです。
私は山梨中央銀行吉田支店の正面ファサードと店内を生地で装飾しています。
店内側は銀行の営業時間のみですが、外側は夜22:00までライトアップされ、無料で見ることができますので是非。
当初のプランから技術的な問題や現場の制約などもあって2転3転し、気がつけばもう時間ギリギリになって制作がスタート。
約300平米の大きさの垂直面へのインストールを考えると、時間、予算的にもデジタルプリント1択ということになり、顔料を使った両面プリントで制作しています。
何回目かの視察の時に、夜明けのタイミングで撮影をしたいなあと思い
しかもアングルを少し上からいきたいなあとか思ってしまって
ドローン撮影の達人、Oさんにお願いして撮影することにしたのです。
で、事前にそのことをお伝えすると
(゚Д゚)ノ「鈴木さん、もしもそういうタイミングをおさえたいのなら、撮影できる時間は10分も無いと思う。そのタイミングを逃さないように早めに入りましょう!
先日都内の撮影で4時40分頃にはもう明るくなってきてたので、集合は準備もあるので、、、4時にしましょう!」
ということで、外気温0度の現地に4時集合
アングルを決め、ドローンのテスト飛行もして、さて太陽よ、いつでもドンと来い!と、待ち構えていたのですが
待てども暮らせども明るくならない、、、、
うーん、、、、
(T▽T) オリオン座って綺麗だなあ、、、
と、二人で凍えながら待つこと2時間!
後から現地の人にそのことを話したら
「あー、山があるから都内と比べると太陽が出るタイミングが遅いんだよね。」
とのこと。勉強になりました。
さて、ようやく山の向こうが明るくなって来て、いよいよ撮影か?と思ったけどOさんは動かず
私が急かすと「いや、照明が明るいからこの明るさではまだカメラが反応しないんです」とのこと。
モニターを見ると確かにまだ背景は真っ暗、、、ここから待つこと約10分
「OK、いきましょう」と言ってからのOさんの動きの素早さよ
ドローンを操り、地上のカメラも操り、次々と絵を押さえていく
途中Oさんが
「動画をメインにしようと思っていたけど、これはスチールの方が絶対いいからスチール多めで良いですか?」と。
もちろんお任せしますとも!
ということで出来上がって来た写真がこちら
本当にイメージ通りで、気分が爆上がり。
雲ひとつない富士吉田の朝焼けはまるでオーロラのよう。Oさん、本当に有難う。
現在動画も編集中。こちらも楽しみだなあ。
作品の解説、コンセプトは以下、ステイトメントになります。
- Everyday Patterns, Festive Colors -
初めてここの現場を見に行った日は薄曇りの天気で、まだ日が落ちる前の時間帯でした。道路を挟んだ反対側から建物の全体を眺めていると、建物の大きなガラスウォールにうっすらと富士山が映っていたのです。その向かい側を見ると遮るものがまったくない状態で富士山が当たり前のように鎮座して、改めてこの風景が日常でもあり、特別なものでもあるということに気が付かされたのです。
おそらくは建物が竣工した時からずっと毎日この富士山が映っていたであろうこのガラスウォールには物質的にもこの風景が焼き付き、もはやこの建物の一部になってしまっているのではないかと感じたのです。
この場所を訪れる街の人々も毎日の生活の中で、いろんな用事でここに出入りしていることと思います。
初めて出た給料を下ろしに来た人
子供の入学金を振り込みに来た人
会社の事業資金の融資を申し込みに来た人
それほど変わらないように思える日々の生活でも、富士山の景色が毎日目まぐるしく変化するように大小さまざまな事柄が人それぞれに起こります。
ここが銀行という場所ゆえに、街の人たちのさまざまな節目にこの建物は立ち会って来て、見守って来たのだと思います。
日常と祝祭がテーマです。
日々映し出される風景として富士山をイメージしたフォルムをガラスウォールに取り込み、それぞれの生活で起こるさまざまな事柄にエールを送るような気持ちで、華やかな色彩を建物にインストールしました。
この建物の歴史を可視化し、利用者の記憶に想いを馳せつつ、非日常的なギフトとして装飾します。
名 称:FUJI TEXTILE WEEK 2025
会 期:2025年11⽉22⽇(⼟)〜12⽉14⽇(⽇)*11/25(⽕)、12/1(⽉)、12/8(⽉)は休館
時 間:10:00〜17:00 会場により16:00閉館(最終入場は各会場閉館30分前)
会 場:⼭梨県富⼠吉⽥市下吉⽥本町通り周辺地域
※会場の一部は一般の店舗や公共施設を活用しているため、休館日や開催時間が異なります。
公式SNS Instagram:@fujitextileweek X:@FUJITEXTILEWEEK
万博に行って来たの巻
急遽思い立って、日帰り弾丸で万博に行って来ました。
行かないとなー、と思ってはいたのですが加熱し続ける万博フィーバーぶりに躊躇していたらもう閉幕間近ではないの!どうしよう!と思っていたところに
イギリスパビリオンでリバティー展が期間限定で開催中というニュースを見て「行くきっかけにはちょうどいい!」と思って前日予約&行きののぞみの中で行き帰りのバスのチケット予約(というより、開催場所や行き方そのものを調べる)という、全く突発的ノープランで行って来ました。
入るのに約40分、、、、灼熱!日傘も帽子も用意していなかった!
まず万博会場についてですが、開催前は色々良い意味でも悪い意味でも話題になりましたが、実際の会場は本当に良かった。
大屋根のリンクについては発表当時、本当に色々と言われてしまっていましたが あれがあることで生まれる会場の一体感、全体を俯瞰して見ることのできるエンタメ感、パビリオンに入れなくても1周歩くだけで得られる満足感。
環境問題、リサイクル問題、色々とネガな面もたくさんあるのも間違いないと思いますが、これだけ熱のこもった仕事があるからこんなにも多くの人が集まって来ているのだよなー とか
すごいなー、でももうすぐこれを全部壊してカジノ作るんだよなー とか
色々な事を考えながら帰路につきました。物を作るって何でしょうね。でもこういう考えをするきっかけを多くの人に与えるだけでも意義はあったのかも、とか思った。
さて、リバティー展 こじんまりした展示ですが、これも良かった。
本物もショーケースの中に多少あるのですが、会場を埋めているのは色んなリバティー柄を拡大したり縮小したり、自由に組み合わせてパッチワーク状にして、デジタルプリントで出力した生地たち。
えー、デジタルプリントおー?とか思うなかれ。これがとっても良かった。
どうやらコンテンポラリーアート系のディレクターがキュレーションしてるそうで、「柄がみっちり」って感じがいい感じでした。伝統を生かして、だけどとらわれてない感じがめっちゃ良かったです。
リピートにもとらわれていない、、、w
リバティー展はもう終わってしまっていますが、パビリオンに入れなくっても万博、おすすめです。
良くも悪くも色々と考えさせられて。
あ、あと万博と関係ありませんが、行きのバスから見れたワッサー様のゴミ処理場、色々と言われている建築ですが個人的には最高でした!
いつかこれ単独で行きたい。
MUJIの収納
事務所の移転というのは本当に大変なのだと痛感しました。
30年も同じ場所にいたのでいやいや、こんな小さな事務所でこんなに大変なんだから大きな会社の引越しってどんななんでしょう?
とにかく想像以上の荷物。
普段棚に収まっているものを地上に下ろすとあら不思議。あっという間に地上を覆い尽くします。
棚ってすごい収納力なのねー、と改めて思う日々。
7、8月は積み上がった段ボールの山に囲まれて仕事をしていました。
そしてこのお盆休み!ついにこのダンボールたちを片付ける決意!![]()
とにかく棚に収めるケースを用意せねばと思い、今まで倉庫で使っていた引き出しを調べてみると 15年くらい前に購入したMUJIの引き出し収納ということが分かり
で、さらにその後10年前くらいに買い足していることが判明。
ならば、もしかしたら今も同じ規格なのでは?と思って試しに一つ買ってみたらバッチリ同じ規格の商品しでした。
大手ってすごい、、、というか、MUJIのことを見直したわー。15年以上同じ企画の収納を売っているって本当にすごい。
今回の私みたいに環境の変化に合わせて買い足せるわけで
高さが3種類あるんだけど、それぞれうまく合わせられるモジュールが組んである。これもずっと変えていないということよね。
濃く黄ばんでいるのが15年ほど前に購入したもの。少し黄ばんでいるのが10年前。そして白いのが今回購入したもの。
こういう色の差も思ったよりも気にならず、感慨深い雰囲気。
今まであまりMUJIのことを特別どうとか思ったことはなかったのですが、このロングスパンで販売する姿勢はすごいなーと思った。
また10年後に買い足すようなことがあったら、どうなっているだろうか?
こうなったらずっと同じ企画でプリーズ。m(_ _)m
さよなら円山町
渋谷の円山町と言う場所に事務所を構えて実に30年
人生の半分以上をこの繁雑な街で仕事をして来ましたが、ついに事務所を移転することにしました。
思えば30年前、うちの社長が絵皿の店をここに出すという英断をし、私はそれにあやかる形で奥のスペースを間借りし、この場所で事務所をスタートさせました。
その後社長は自身の作陶も行う工房を持つことになったので、ここ10年ほどはデザイン事務所として使用していました。
club asia の通り二筋ちがい、ラブホ街の最果てという、やってる仕事の内容とは真逆のディープな場所でしたが、何だか居心地が良く気に入って 随分長居してしまいました。
この場所を借りた当時の円山町は花街の面影がまだ残っていて、たまに芸者さんとすれ違ったり有名な演歌歌手が街を闊歩していたりと、とても不思議な街でした。
ここでの思い出はもう書ききれないほど沢山あるし繁雑な街ではあるけど、imaさんが設計してくれた内装とかも含めてとても気に入っていたので、もう最後までずっとここで仕事をするのかもしれないとか思っていたのですが
移転を決めた理由は様々、いろいろと複合的にあるのですが結局のところ「動くなら今かな」と、ふと思ったからです。
円山町は今、大規模な開発が続いています。ラブホの建て替えは区の条例で禁止されているので古いものから取り壊され、それと連動して歴史ある飲食のお店も次々と閉店し、地域全体が新しい街に生まれ変わろうとしています。
私の事務所の前の、車1台がちょうど通れるような細い道に今は5分おきに工事のダンプカーやセメントミキサーが轟音と共に通って行き
さらに
近所に2箇所あるストリートカートの発着所から出入りするけたたましいカートたちも加わり、煩雑を超えて超混沌とした状況になっています。
渋谷にいる人も少なく見ても半分は海外からのツーリストで、スクランブル交差点はインスタグラマーの有名な撮影地と化し、街自体が独特の近未来的な異国感に包まれています。
そんな混沌とした街や人並みに紛れるような感覚で過ごし、仕事をしているのが個人的には気に入っていたわけですが、ある時ふと、もう少し違う、集中できるような環境で仕事をしても良いかな とここ最近思ったりしていたのでした。
とにかく仕事をするのが大好きな私は朝から深夜までこの場所に居て、円山町のケバケバしいネオン街を通って食事をとり、ツーリストの人並みをかき分けてハンズに画材を買いに行き、毎日仕事にいそしんでいました。
娘のベビーベットがある時期もあったし、泥棒に入られた時もあったし、コロナで人っこ1人いない街を歩いて通勤していた時もあった。
仕事以外でも本当にいろいろあった場所だから、ここを出る時はもう間違いなく泣いちゃうんじゃないかと思っていたのですが
スケルトンに戻し、大家さんに引き渡す時はとても晴れやかな、何か感謝しかない、明るい気持ちに満ちていました。
ずっと見守ってくれて有難う
ずっと支えてくれて有難う
この場所だから僕たちはここまで成長できたのだと思います。本当に本当に有難う。
さよなら円山町 お世話になりました。
新しい場所で僕たちは今まで以上に働いて、頑張ろうと思います。
30年前のスケッチ
事務所の荷物を整理していたら、本当に驚くほど昔の、
もう30年ほど前の、独立した当初の仕事のために描いたスケッチが出て来ました。
、、、あまりの下手くそっぷりにも驚いたけど、よく見れば今と大して変わっていないと言う事実に驚く、、、
これは愛知県にある市民プールのバナーデザインを依頼されて描いたもの。
地方の小さな市民プールという、規模の小さな案件だったけど、話をもらった時には飛び上がるくらい嬉しかったのを覚えている。
そんなんでかなり張り切っていた私は、このスケッチ以外にもたくさん案を出して提案したのでした。
結果的にこの案が選ばれた。
他の案はもっとシャープな感じのやつとか、デザイナーっぽいものもあったと思うのだけど、このヘナチョコ案が選ばれたのだ。
今にしてみると、不思議だなあと思う。
で、これを制作することになったワケだが、今のようにデジタルプリントなんて、、、あったのかもだけど当時の私には全く手に負えない存在で
そもそもネット検索とかないし、確かタウンページとかで調べた記憶が、、、時代、恐るべし!
いろいろと予算の範囲で出来る方法を探した結果
なんと、帆布の生地に職人さんが手描きで描いてくれる方法が一番安く仕上がると言う結果に。
今では考えられないけど
ちょっと気になって調べてみたら、竣工当時と思われる写真が載っているサイトを発見。
幸田市民プール
https://www.nishimikawanavi.jp/spots/detail/875/
泣けるわー、まじで泣けるわー
当時の思いとか、掘っ立て小屋のような仕事場で朝から晩までデザイン画を描いていた部屋の空気感とか、、、
もうエモい気持ちでいっぱい。
今も誠実に仕事に取り組んでいるとは思うけど、この頃は誠実を通り越してもう、「なんでそこまで?」と言うレベルで取り組んでいたような気がします。今思えば。
時代的に、そういうのが必ずしも良い訳ではないかもしれないけど、私はそうやって色んな人に助けてもらって来たなあ と、しみじみ。
いろいろと何と言うか、もっともっと頑張ろうと思った30年後の私でした。
大柄って素晴らしい
marimekko がアジアを中心に巡回している花柄の企画「Field of flowers」、現在はクアラルンプールでPOP-UP 展開中です。
この企画には5人のデザイナーがそれぞれ5点、花柄の生地をデザインして参加しています。
私の場合、ラフアイデアの段階ではデザイン案はもっとあったのですが、その中からディレクターの方がチョイスし、そこからさらにデザインをブラッシュアップし、調整していったのです。
私の中で今回、特にこだわったポイントの一つが柄のサイズ感です。
小さなアイテムにも展開しやすい小柄から、何に使うのか分からないくらい大きな柄のものまで、タッチだけではなくサイズ感を意図的にバラつかせ、異なるさまざまな花柄をデザインしました。
中には、ラフ段階の20%くらいまで大きさを小さくスケールダウンしたものもあります。
今回デザインしたものの中で、特に気に入っているのが rantakukka というデザイン。
これは与えられた画面、目一杯の大きさで1輪の花を放り込みました。
大柄ということもあり、pop-uoを告知するビジュアルとかにもよく使われています。
この柄はディレクターの方が私の過去の仕事のアーカイブの中から「こういうのも良いと思う!」と、進言してくれたことからスタートした柄でした。
多分、私1人で考えていたらここまで度胸のいるデザインは提案できなかったのでは?と思っています。
テキスタイルというカテゴリーの中で、大柄というものは魔性というか、禁断の果実というか、
おそらくはテキスタイル、特にプリントテキスタイルに関わっている人の多くがこの「大柄」というものに何らか取り憑かれてこの道に入ったと言っても過言ではないのでは?それほどの魅力を持っていると思います。
大きな柄が生地にバーンとプリントされて、ただユラユラしている
何て素晴らしい!( ゚∀ ゚)
大柄の生地、バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ! ヽ(;▽;)ノ
でも、柄が大きくなればなるほど使い道は限定されて、役立たずになっていきます。
そこがネックというか、ジレンマというか、悩ましいところなのです。
でも、誤解を恐れずに言わせてもらうと、、、というか間違いを承知で言わせてもらいますが
何に使うのか分からない生地ほど素晴らしいものは無い(迷言)(゚Д゚)ノ
という事で今回作った生地たちは rantakukka を筆頭にどれも良い感じに仕上がりまして
自分的には「やった感」があったのですが
先日、別企画でマリメッコからアーティストコラボシリーズがリリースされまして
スウェーデンのコンテンポラリーアーティストのPetra borner という人のデザインで
これが
めっちゃ良いのです。
あんまり良いのでマリメッコのショップに実物を見にいきまして
実際のを見てもやっぱり良いので購入しようと決意し、ショップの人に
「1リピートは何センチですか?」
と聞くと
「あ、この柄はちょっと特殊で、、、180cm です!」(^0^)/
180cm!
まじ? (゚Д゚)
でかっ!
よく見ると、約90cmリピートの版を2連で組んであって、型口も直線にバッツリ切っていて(もうちょっとまともな片口切れるだろ!と突っ込みたくなるほど見事な切りっぷり)
リピート巾を稼ぐためだけを考えた版構成、、、お見事、、、
嗚呼、自分ももっと自由に伸び伸びとやった方が良かったのではないか?と、よく分からない想いが頭を巡る。
大柄って素晴らしい。何だか分からないけど素晴らしい。
何だかよく分からない想いを抱えながら2.5mを購入。約2万5千円なり。
そんな何に使ったら良いか分からないような大柄の生地を買って何するのさ ってか?
そんなの畳んでしまっておいて、たまに広げてニヤニヤと眺めて、また畳んでしまっておくに決まっているではないの!
テキスタイルで稼いでテキスタイルに使う
地産地消(ちょっと違う)
良いのだろうか、、、楽しいからまあ良いか。
10年目の富山もよう
少し前に手掛けた仕事のこと。
この仕事に関しては色々思うところあって文章にはしていなかったのですが、先日富山から良い写真が送られて来たのでここに諸々綴っておこうと思います。
私がずっと手掛けている「富山もよう」という仕事があります。
富山もようは富山の良いところをを県外だけではなく、県内にも再認識という形で伝え、富山の魅力を広く発信していくもので10年前からスタートした企画です。
昨年、2024年はこの富山もようがスタートして10年という節目の年でした。
その10周年企画として色々な事を企画検討していたのですが、その年が始まる日に北陸地方に大きな地震が発生しました。
特に能登半島は大きな被害を被ったのですが、富山も地域によっては甚大な被害に見舞われたのです。
年明け早々の自体に北陸地方では様々な対応に追われ、とても周年事業どころでは無くなったのでした。
そこから少し時間が経過した3月頃、被災地の石川、富山への支援企画として富山もように声がかかりました。
いつものような新聞のラッピングは勿論、その模様を使用した防災チャリティーグッツを作って売り上げを寄付しようというもので、周年企画をやるのではなくこちらを進めようと。
勿論私も含め、関わる人や企業は全て無償のボランティアで参加し、少しでも被災地に貢献しようという企画となったのです。
まだ復興が手付かずの地域が多く、おいそれと行ける状況ではありませんでしたが4月頃、現状を把握するため、行ける範囲で視察に行ってきました。
震災の中心地域ではありませんでしたがそれでも被害は想像以上で、そこで生活している人たちのご苦労が強烈に伝わってきました。
視察という名ではありましたが、どこか呑気な気持ちでいたこと事態が申し訳なく、罪悪感とも猛省とも言えない気持ちで帰路につき、果たして、いったいどんのものをデザインしたら良いのか全く分からなくなり、新幹線の中途方に暮れたのでした。
「富山もよう」はもともと、富山の良いところを模様にして広く伝えていくという、元々が何か問題解決的なものでもなく、どこかピースフルな、牧歌的な要素があるものでしたので、あの切迫した事態を目の当たりにすると果たしてそんなものが必要なのだろうか?と思わない訳にはいかなかったというか。
そもそも、色や柄とかは絶対に必要なものでもないですし、さらにはこう言った切迫した状況下ではもっと必要なものは山ほどある訳だし、わざわざこんな事をする必要はあるのだろうか?と
デザインが全く進みませんでした。
5月、少しづつ復興の兆しも見えてきた頃。どうにかデザインを進めないといけない頃。
色々と思い悩んだ末に私は、「何か美しいものを描こう」と思ったのです。
少し時間が経過したということもあると思いますが、何か美しいものを見たら人の気持ちは少しは癒されるのではないか、と考えたのです。
富山にある立山連峰や石川にまたがるにある白山連峰が夕陽に照らされてピンク色に輝く光景がたまに見られるそうです。
一部では晴れ山とも呼ばれ、その美しさは息をのむようだという話を聞きました。
そんな美しい光を追いかけるように、点描で白山連峰と立山連峰を描きました。
晴れ山、私はまだ見たことはありませんが、いつか見てみたい。
そして余剰なものだとは思いますが、気持ちが少し明るくなるようなものが人には必要なのだと信じたい。
1日も早い復興を願います。
マリメッコという存在
マリメッコのシグネチャープリントであるフローラルデザインの未来を称える、巡回型のポップアップエキシビション Field of flowers
参加デザイナーは Antti Kekki、Masaru Suzuki、Eija Vehviläinen、Aino-Maija Metsola、Erja Hirvi の5人。
私もデザイナーの1人として参加し、新作のフローラルプリントを手掛けています。
3月から日本を皮切りに、アジア各地を巡ります。
やはりなんというか、私にとってマリメッコ という存在は特別でして、この企画に参加できることも、とーっても嬉しく、光栄に思っています。
そもそもマリメッコ との仕事はコロナ以降では初になるので、とても久しぶり。
実はこのブログを10年以上遡ると、マリメッコ との仕事が初めて決まった時のことが生々しく書いてあると思います。
そう書いておきながら何ですが、私自身はもうとても読み返すことができない。
読み返したら色々な事が蘇ってきて、耐えきれずに消してしまいそうでw。
私がマリメッコ に出会ったのはさらに遡って、私がまだ10代! (ノ ○ Д ○)ノ! の頃。
カビの匂い漂う大学の図書館にあった海外の雑誌に小さく掲載されていたモノクロの写真でした。
洗濯物のように吊るされて風にたなびく大柄のプリントテキスタイル 。
それに何故だか心惹かれて、テキスタイル から気持ちが離れそうだった当時、なんだかんだとそこから離れずにいられたのはあの体験があったからなのかなと、今では思ったりします。
私にとってはテキスタイルの原体験とも言えるブランドと仕事で関われているという事に嬉しさや、サポートしてくれる方たちや環境に凄い感謝は当然あって、それとともに大変さも当然あって
この企画が始まってからのスピード感は文字通り「怒涛」で、昨年はもう瞬く間に過ぎ去ってしまった感じ。
今年に入って最終チェックが終了したと思ったらもうすぐにPOP-UPがスタート。しかも最初が大阪。そして今はタイ。これまた怒涛。
怒涛すぎて生地の画像や写真もまだない状態ですが、今回手掛けたのは5柄。
全てのデザインがこちらの指示通りのほぼパーフェクトな仕上がりで、しかもかなりクイックな対応で進行しました。本当にすごいことだと思う。
これはひとえに、マリメッコ本社にプリント工場が併設されている強みでしょうね。こんなブランドはやはり、他にはないと思う。
↓こちらは最終サンプルが届いた時の写真。
嬉しそう。
実際、嬉しかった。
落ち着いて、ちゃんと画像が揃ったらまたこちらで紹介したいなあ。
SETOMANEKIに柄を入れてみた の巻
最近テキスタイル以外の話ばかりで、お前はテキスタイルデザイナーを辞めたのか?獣道はどこへ行った?( ゚д゚)
と思われそうですが、いえいえそんなことは決してありませんで、あまりこういうところで気軽に書きにくいような仕事が最近多くて、むしろこういうネット上にアップすることを歓迎されるタイプの仕事を書こうと思うと 年明けにリリースしたセラミックのプロダクトやグラフィック系の仕事にに偏っていたりという訳で。
私自身はテキスタイルに特化した専門家になりたい願望は常に持っているのですが、仕事内容的にどうにも分野を越境せざるを得ないような時代背景でもあって、最近では自分の肩書きがとっても難しいと思う今日この頃。
でも肩書きはしつこくテキスタイルデザイナーです。
何故って、やっぱり一番好きだからですかね。
そんな訳でさて、またセラミックのお話です。
私が敬愛するプロダクトデザイナー、清水久和さんがデザインした、現代の生活にフィットする招き猫「SETOMANEKI」
このSETOMANEKIに様々なアーティストとのコラボレーションシリーズ「SETOMANEKI &」が誕生し、その第一弾コラボレーターとして柄を入れるというとても光栄な仕事をいただきました。
清水さんは世界で一番売れたカメラ、canonのixy のシリーズをデザインした超本格派デザイナーなのですが、そういうハードな仕事以外にとってもファンキーで楽しいプロダクトやアートを生み出している方で、「あー、ものづくりを楽しんでいる人だなー」と、羨望の眼差しで見ていました。その清水さんとコラボできるとはなんとも感慨深い。
そんな訳で結構緊張してあれこれデザインを考えたのですがまず技法のチョイスとして、全て手描きで絵付けをするという選択肢もあったのですが
「あまり工芸的な雰囲気になるのはちょっと違うなー」と考え
転写紙を使って装飾し、量産出来るプロダクトとして成立させることを試みました。
しかしデザインを進める工程で SETOMANEKIの3D CADでデザインされた複雑な曲面に転写紙を貼ることが難しく、制約も多く、かなり苦戦することに。
その制約をクリアするために、描いては紙を貼って検証するプロセスを何回も繰り返して作業を進めました。3D CADなSETOMANEKIに対して嗚呼、アナログ、、、、(T _ T)
こういう作業、、、
デザインについては、どんな柄にしたら良いか考えた時に猫の毛の模様にはトラ、三毛、サバ、タビーなど様々な種類があって、模様と猫の性格がリンクしている説があることを知り、模様で性格が分かれるって面白いな!と思い、これをテーマにデザインする事にしました。
考えてみればテキスタイルデザイナーも人によって全然違う柄を描くしね。描く柄も性格別と言っても良いかも。
すごくストイックな感じの人はシャープでミニマルな柄を描くし、保守的な人はコンサバな柄を描くし、フリーダムな人はパッパラパーな柄を描くし、、。
話がそれちゃうけど、テキスタイルの業界的には色々なタイプの柄を描けることを求められがちです。私も実はそういう仕事をしていた時期がずいぶん長くありました。
それはそれでプロフェッショナルな感じで素晴らしいことですけど、出来る事なら自分の作風っていうの?アイデンティティーっていうの?そういうものに向かって邁進して行けたら良いよね、とは思うけどそれって案外難しいんだよね。どの業界も同じかもしれないけど。
で、それでSETOMANEKIの柄、出来上がったのは calico / ミケ saba / サバ tora / トラ の3種
ちなみに真偽は不明ですが
トラネコはおとなしくて甘えん坊、ミケはマイペース、サバはフレンドリー
らしい、、、ホントかなあ、、
ちなみに、ボツになった柄がこちら↓
下記にてwellcatと共にお披露目中。
SETOMANEKI × 鈴木マサル CERAMIC ART EXHIBITION 平面と立体の境界
会期:2月1日(土)〜2月28日(金)
場所:中川政七商店 渋谷店 東京都渋谷区渋谷二丁目24-12 渋谷スクランブルスクエア 11階
フルラインナップで、全力であなたを招いております!![]()
あなたはどの柄(性格)の SETOMANEKI が好みでしょうか?
ペットのような招き猫になってくれたら幸いです。

































