テキスタイル獣道
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アートを身近に置くこと

うちの事務所の壁には一つ、鎮座しているアートピースがあります。

 

 

実はこれは、私のパートナーであり、うちの事務所の社長でもある鈴木喬子の陶芸作品。

 

私自身はあまり身内のものを飾ったりはしないタイプなのですが、これは出来上がった瞬間に「欲しい!」と思って身内価格だけどちゃんと買ったもの。

 

というのも、作る工程を近くで見ていたんですけど 結構びっくりしたのがこの中心部分

 

 

 

ここ、アクリルにラメを混ぜて流し込んでいるんです。

 

いつもの工程だと ここにガラスを入れて焼く、というかんじだったのですが突然「ラメ入りのアクリルでいく」と言い出したのです。

 

その前段階まですごく時間がかかっているし、すごく良い感じに焼き上がっていたので、いつも通りにガラスを入れて焼けば高級感も出て間違いなく良い仕上がりになるのは目に見えていたのです。

 

いつも通りにやったほうが良いんじゃないの?失敗したら超もったいないよ?と思って見ていたのですが

 

出来上がったものはすごく新鮮で新しく、魅力的に見えたのです。

 

もちろんいつも通りにガラスでやっても良いものができたと思うんですが、なんというかその新しい事をやる心意気っていうんでしょうか? そういった勇気みたいなものが良い作品を作るんだな、と痛感してどうしてもこれを身近に置いておきたいと思って、事務所の壁にかけたのです。

 

これがあったら事務所でデザイン作業してて判断に迷った時、前向きな判断が出来るような気がしたので。

 

ということで、今でもものすごい存在感で私の事務所に鎮座しています。

 

彼女自身はその後どんどん腕を上げて行って、今見るとこれも随分拙いなあ、と感じたりするのですが、そういう視点とは全く違う意味で、私にとっては色あせない存在なのです。

 

アートを身近に置くって、そういう価値観もあるのではないかと。 以前、当時ZOZOの社長だった前澤さんがバスキアを買ったのもそんなかんじだったのではないかな?いろいろ批判されてたけど。

 

 

とまあ、前置きが長くなりましたが

 

本日3月20日から3月31日まで、鈴木喬子が渋谷のBunnkamuraギャラリー主催のBunkamura Gallery Selection 2021 に参加します。

 

https://www.bunkamura.co.jp/.../exhi.../210320selection.html

 

 

 

 

 

上記の最新作に加え、壁掛けのタイプも。

 

海外のアートフェアに行けない今、国内でこんな著名な方々に混じって奮闘しております。 

 

お時間ありましたらぜひー。

 

Bunkamura Gallery Selection 2021

期間:2021/3/20(土・祝)~3/31(水)

時間:10:00~18:30

会場:Bunkamura Gallery

主催:Bunkamura Gallery

 

 

師匠の展覧会

 

 

閉会日前日、ギリギリ滑り込みで師匠の展覧会に行ってきました。

 

 

「粟辻博のテキスタイル」 松屋銀座デザインギャラリー

 

 

内容が素晴らしいのは当然として

 

当然として

 

当然、、、

 

 

 

 

 

む、胸が痛え (;유∀유;)

 

気のせいか、空咳まで出てきた、、、

 

 

まあ、身内では有名な話なのですが私は大学卒業後に入ったこの粟辻先生の事務所では全くダメダメの劣等生で、本当に役立たずの所員だったのです。

 

当然、私はほぼ毎日のように烈火の如く怒られていて

 

朗らかではありつつも仕事ではとても厳しい先生だったので、私だけではなく所員はみんな、ビシビシと指導されていました。

 

とはいえ私はもう他のスタッフとはレベル違いにダメダメで、今思い返しても結構きつい時代ではあったのです。

 

 

えーっと

 

ひょっとしてこういうの

 

今風に言うと 

 

トラウマってやつなの?

 

 

 

 

展示、床まで柄で埋め尽くされてるのはさ、カッコいいんだけど

 

これ、足でふんじゃって良いの?怒られないの?

 

せめて土足厳禁にしてくんない?これ! (유Д유〣)

 

 

そういう個人的な事情はさておき

 

素晴らしい展示、でした。 胸は痛むが

 

本日、2月22日までです。

 

興味ある方は是非!

 

 

【展覧会概略】
第770回デザインギャラリー1953企画展「粟辻博のテキスタイル」
期間:2021年1月27日(水)-2月22日(月)※最終日午後5時閉場・入場無料
会場:7階デザインギャラリー1953
主催:日本デザインコミッティー
協力:AWATSUJI design 株式会社フジエテキスタイル
展覧会担当:川上元美
 

 

 

 

 

CAMPER とのコラボのこと その3

マヨルカ二日目にして最終日。

 

そしてこの日がいよいよカンペールの本社でのミーティングの日。

 

はるばる来た!本社!

 

この日のために前の年末から全集中でやってきた仕事。

 

いよいよとワクワクしながら朝早くに本社に入った我々を出迎えてくれたのは「試作サンプルがまだ届いていない」という悲報でした。

 

いつもならとっくに届いているタイミングだけど、やはりコロナ禍の影響で海外からの荷物が大幅に遅れているとの事。

 

打ち合わせができないなんて申し訳ない、とカンペール社内の工房でできる範囲のことで急遽サンプルを作ってくれていました。

 

その事自体は涙が出るほど嬉しかったけど、見せてくれたものはやはり設備が十分ではない状態で作ったものだったので、むしろ不安しか感じないものになっていたのです。

 

うーん。

 

 

↑This is 不安のカタマリ。

 

仕方ないかー、と思いながらもやはりこのコロナの状況がどうにももどかしい。

 

これさえ無ければー、と。まあ皆が思っている事だと思うけど。

 

そんなどんよりとした雰囲気の場に、「サンプルが届いた!」という知らせが入って来たのです。

ヤッホー。

 

そんな厳しい状況があったせいもあるのかもですが、届いた試作サンプルはどれもこれも光り輝いて見えました。指示したのと違う箇所もあったけど、それはそれでうまく出来ていてもう涙が出るくらい嬉しかった。

 

 

ピッカピカ!

 

 

途中、社食でランチを食べました。中庭に面した開放的なスペースで食べたランチ。

 

週末のランチではビールも飲めるらしい、、、まじか!

 

中庭にはレモンの木の畑があって、そのレモンを収穫してこの社食で使っているという話。その話は印象的でよく覚えています。

 

 

 

何か、夢の様だな。ここに来たことも夢の様になってしまうのかな、とか。

 

そんなことをぼんやり考えながら食べたランチ。

 

急激な安堵の気持ちからか、正直言って味も何も覚えていない。

そもそも何を食べたんだっけ。覚えてないな。

 

 

 

午後には本社の担当者と修正点を話し合い、スケジュールを詰め、無事に諸々全て確認を終えたのでした。

 

何よりもこんな状況でもサンプルが届き、ミーティングが出来た事にその場にいた皆がホッとしていたと思う。

 

 

 

実際このミーティングの翌日にはスペイン全土に非常事態宣言が発令され、カンペールのショップもオフィスも全て閉まり、社員は在宅勤務となったそうです。

 

結果的にはこの日の1日前でも後でもミーティングは不可能で、唯一のタイミングだったのです。今思えば本当にラッキー。

 

 

本社には今までカンペールは作って来た靴を全て保管してあるアーカイブルームというのがあって、撮影厳禁でしたが見学はさせてもらえました。

 

そこはもう夢の様な空間で、今まで欲しかったあの靴もこの靴も全てそこにありました。

 

私が初めて雑誌で見たあのTWINSも。

 

こんな状況だけど何とか無事に出来上がって、このアーカイブに加わって欲しい。あとはただ祈るばかりでした。

 

 

その夜、日本から来てくれたSさんと例のピーマンみたいな唐辛子の素揚げと白ワインで祝杯をあげました。

 

 

 

素朴なんだけど、これがとにかく美味しい。

 

 

私は翌朝早朝、彼はその半日後のフライト。

 

我々帰れるかねえ、なんて話をしながら。

 

 

短いマヨルカの滞在だったけど、この特殊な状況での打ち合わせは私の記憶に強烈な印象を刻んだのだけど、夢の様に覚めてスーッと消えてしまう気もする様な、そんな体験でした。

 

 

帰りの経由地、マドリードではガスマスクか?と思う様なマスクをした人たちが空港を行き来している異様な光景。

 

あと1日遅かったら帰って来れなかったのではないかな。

 

私よりフライトが半日遅かったSさんは空港で自分の飛行機のすぐ後までが次々と欠航に変わっていく掲示板を眺めながら「まるで映画のようだ!」と思ったそうです。

 

実際この後、世界中の状況は想像以上に悪くなっていき、私もSさんも帰国後は2週間の隔離を余儀なくされました。

 

 

この企画も連絡も途絶えてしまうのではないかと不安だったのですが本国側の担当者から淡々とメールが来てやりとりが続き、粛々と試作が進みました。

 

彼女は時間もしっかり守るし誠実だし指示も的確。

 

私のスペイン人のイメージがすっかり刷新されました(ずいぶん前だけど知り合いの設計事務所にインターンで来ていたスペイン人が昼食からなかなか戻ってこないと思ったら公園でシエスタをしていたらしい。←これが私の今までのスペイン人のイメージ)。

 

その後も私は一人ぼっちの事務所で作業を進め、おそらく彼女も自宅で粛々と作業を進めることで無事に連絡も続き、試作も進み、何とかこの企画が、靴が、出来上がったのです。

 

色々な意味で難産を極めた仕事でしたが、その分思いもひとしおだし、出来上がりも最高に良い出来になったと思います。

 

このデザインのシリーズは HOP STEP LIFE と、名付けました。

 

 

 

 

Men's

 

 

 

Lady's

 

 

 

Kid's

 

 

プリントトートバック

 

 

 

ジャガードトートバック

 

 

 

チャームたち

 

 

 

 

こんな時期だからこそ、この状況が収まった時にこそ、この靴を履いて出かけて欲しいと思う。

 

これを履いて出かけたくなる。そんな靴に、あの時雑誌で見たTWINSの様な存在になったら嬉しい。

 

 

 

この場を借りてこんな状況の中関わってくれた方々に、私の身も心も全ての最大限でお礼を申し上げます。

 

有り難うございました。

 

本当に本当に心からお礼申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

CAMPER とのコラボのこと その2

2020年の3月14日

私は最終サンプル確認のためにスペインのマヨルカ島にいました。

 

ちょうどその頃、欧州にコロナウィルスが本格的に広まっていった頃でした。

 

そんな時に不謹慎、と思われるかもしれないのですが、私が出発した3月初頭は欧州のコロナ感染状況はそれほどでは無く、むしろアジア諸国の事情が深刻でしたので、先方が問題無ければ打ち合わせしようという状況だったのです。

 

とはいえ成田空港も飛行機もガラガラ、最初に入国したヘルシンキの空港もガラガラであっという間に入国。

 

その頃のヘルシンキの街はコロナのコの字もなく平和そのものでしたが、私がバルセロナへ移動した後は外出制限、欧州間の飛行機移動に制限がかかりました。

 

ヘルシンキの知人から「大丈夫だった?移動できた?」と、メールをもらったほど。

 

日に日に状況は悪化して行き、私がバルセロナに入る頃にはパンデミックの中心は欧州に移ったという状況でした。

 

 

この時点ではバルセロナはまだ辛うじて日常だった。

 

バルセロナで泊まったのはカンペールが運営する ホテルCASA CAMPER 。

 

その部屋でテレビをつければ毎晩COVID19の話題で持ちきり。

 

スペイン語だから何を言ってるかは全然分からなかったけど、緊迫感だけはひしひしと伝わって来た。

 

普通だったらこのハンモックでリラックス出来たのになあ。

 

 

ホテルCASA CAMPERではベットルーム以外に廊下を挟んでもう一部屋あって、そこにハンモック!超オススメ!

 

私がバルセロナを後にした直後、サグラダファミリアなどの観光施設が全て閉鎖されたのでした。

 

 

 

最後の目的地であるマヨルカに着いたのは真夜中。

 

深夜の人っ子ひとりいないマドリード空港で乗り換えてやって来た欧州有数のリゾート地でもあるマヨルカ。

 

いつもは夜中でも観光客で賑わっているのであろうビーチ沿いのホテルに一人ポツリとチェックイン。

 

ホテルのベランダに出たら真っ暗な夜の帳の向こうにヤシの並木道が見え、波の音が絶え間なく聞こえてきました。

 

「打ち合わせ、出来るんだろうか?」

 

なんとか持ちこたえて欲しいという不安の気持ちと打ち合わせへの期待と高揚感。両方がごちゃ混ぜになった気持ちに長旅の疲労が加わって、その日はいつの間にか服のままベットで寝落ちしていました。

 

 

 

 

マヨルカ初日。昨晩暗闇に包まれていた窓からの景色は海!リゾート!

 

出張でこんなところ泊まったのは初めて。や、プライベートでも。

 

 

深刻な社会情勢だということを忘れちゃいそうな景色に頭がクラクラしました。

 

「こんなところで仕事のメールをチェックしている私って!」みたいな、妙なテンション。

 

日本から来た担当のSさんと合流して(本当に!よく来てくれた!涙。)まずはカバンのミーティングへ。

 

担当デザイナーが小さなお子さんを子育て中で在宅勤務をしているという事で、女性デザイナー宅へ向かう。

 

日本でもこのコロナ禍で在宅勤務が普通になりましたが、この段階ではまだまだ一般的とは言えなかったし、デザインミーティングをインハウスデザイナーの自宅でというのは経験がなかったので興味津々でお邪魔しました。

 

いや、良い意味で、本当に良い意味ですごくショックで、そしてすごく自由でした。

 

日本では考えられないけどこんな風に仕事ができたら色々なことが変わるなーと思いました。

 

でもこういうのはまだまだ先の話なんだろうなと その時は思ったけれど、このコロナで在宅勤務が増えている中、日本も色々な事がどんどん変わっていく可能性はあるな、そうなって欲しいなと思います。

 

 

話をしていて一番驚いたのは、彼女が何故カンペールに就職したかという話。

 

彼女はドイツ人で、スペインにもマヨルカにも何も縁がないのだけど、就職先を探している時に良い会社だと思ってエントリーしたと。

 

曰く、デザイナーが職を探すときは自国だけではなく、EU圏で探すのが普通らしいのです。

 

何というか、東の果ての島国で生きている我々とは考え方も価値観も全くスケールが異なり、果てしない気持ちになってしまった。

 

 

日本の奈良県と同じくらいの面積のマヨルカの小さな街を高台から見ながら色んな事が頭を駆け巡りました。

 

 

 

夜は子供も一緒にみんなで食事へ。

 

泣いたり笑ったりする子供を眺め、ピーマンみたいな唐辛子の素揚げを食べ、スペインの美味しいワインに頭がクラクラ。

 

もっともっと、本当にもっともっと頑張らないと、色々な事に置いてけぼりになってしまうなあ。

 

そんな事をぼんやりと、そして痛切に感じたマヨルカ初日でした。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

CAMPER とのコラボのこと その1

記憶はちょっと曖昧なのですが多分25年くらい前、私が就職したばかりの頃に雑誌で一つの靴の小さな写真を目にしました。

 

それは風景写真の様な柄が左右の靴にバラバラに分かれてプリントされていて、両方の靴を合わせると一つの絵が完成されるという靴でした。

 

(※イメージです)確かこんな感じ。

 

うちの社長と2人で「超カッコ良いねー」と。

 

今ではそういう非対称なファッションが普通にあるとは思いますが当時としてはあまりにも斬新で驚きと感動で目がハートになり、こんな靴を履いて歩いたらさぞ楽しかろうと妄想したのです。

 

誌面にはカンペールという靴のブランドのものだとクレジットされていました。

 

聞いたことはあったのですがちゃんと認識したのはこの時が最初で、その後この左右非対称の靴がTWINSというシリーズだと知りました。

 

TWINS、双子。なんてカッコいい靴!メンズでこれがあったら絶対買うのに!そもそも経済的に買えないけど!と、仕事がうまく出来ずにうだつの上がらない日々を送っていた当時の私に衝撃を与えた出来事だったのです。

 

もう無くしてしまいましたがこの雑誌は切り抜いてスクラップブック(懐かしい響き!)に貼って眺めていたのでした。

 

その後、カンペールというのはスペインのメーカーで、シューズメーカーだけど製品はとってもプロダクト的で、グラフィックや店舗デザインにその時々の気鋭のデザイナーを次々と起用する超イケてるブランドなのだという事を知り、憧れまくったのでした。

 

でもその憧れのカンペールの靴を手に入れたのはそれからずいぶん後の話。なかなかそこまでお金が回らなかったのよね。

 

 

さらにそれから本当にずいぶん時間が経った2013年、あのカンペールとカバンの企画でコラボする機会に恵まれました。

 

それは本当にひょんなきっかけで実現した事だったので、「人生分からんもんだ」と、当時あの雑誌の靴のことを思い出して一人しみじみとしていたのでした。

 

 

携帯に入っていた2013年の展示会招待状の写真。多分、当時の自分はよっぽど嬉しかったんだと思う。

 

 

その後もカバンの2回目のコラボを行うなど、カンペールとは企画の内容も含めてとても幸せな取り組みをしてきた訳ですが、メインアイテムの靴には手が届かない状態でした。

それはなかなかアンタッチャブルだったのです。

 

実はそれまでにも何回か靴へのデザイン提案をアプローチしていたのですが、なかなか上手く行かず。

ここぞ!という時にもお決まりのロストバゲージが勃発したりと不運が続き、願いは叶わずでした。

 

 

そして2019年、三度目の正直とばかりにコラボの話が持ち上がるのです。

 

今回も基本的にはカバンの企画でしたが担当のSさんと提案するだけ提案してみようということになり

 

昨年の秋から私は採用されるかどうかも全くわからない企画に全力で取り組み始めたのです。

 

提案するならばTWINS。絶対TWINS。それだけは最初から決めていました。

 

 

全集中で取り組んだおかげか天の計らいか、ある日ついに本国の担当者から突然メールが入ってきました。

 

ずっと待ち望んでいたメールだったのですが、電車移動中の京王線の中でそのメールを見た私は

 

「本当に来るんだ、、、」

 

と、どこか人ごとの様な感じでした。電車の中で泣くとか万歳するとかそういう素敵なストーリーは無いのよね。そんなものだよね、まあいつもそうなんだけど。

 

シミュレーションで柄をはめ込んだデザイン案は好評でとりあえず進行することになったのです。とりあえず。

 

でも実際に靴に柄を入れるというのは思っていた以上に難しく、提案時にシミュレーションでデザインをはめ込んだ状態と立体に立ち上がった状態ではまるで違うのだなと、制作が進行していく過程で思い知りました。

靴って難しい、、。

 

本国の担当者が来日する最終的な詰めの段階ではイメージしている物をそのまま落とし込む為に同じ型の靴を用意し、そこに直接イメージする柄を張り込んでいく事でバランスを見てデザインを確定し、データー化させていきました。

 

 

 

 

実際の靴に紙を貼り付けてバランスを見ながらデザインを決めていきました。これが最終のモックアップ

 

このアナログなやり方が結果的には原寸のモックアップまがいのものが出来上がる事になり、私自身も担当者もイメージを把握、共有が出来て一気にデザインが固まっていったのです。

 

 

つづく

 

POPな市役所が誕生しました。at 富士吉田市役所

今年はブログをほとんど書けなかったなあ、、、っていうか、たった2回しか投稿してない!チーン

 

最近はFBやインスタが中心になってしまって、もうやっていないも同然の状態ですが

 

それでも書きたいことがたくさんある時はここに書いていこうと思います。

 

来年はもう少し書くつもりですがー。

 

がんばります。

 

 

さて、今年最後の仕事です。

 

富士吉田市役所の壁画デザインをしました。

 

先日、寒空の中に除幕式があり、参加してきましたよ。

 

 

 

 

 

 

除幕前。 うっすら見えちゃっていますが

 

 

 

みんなで幕を引きます。

 

 

 

いよいよ

 

 

ジャジャジャ

 

 

 

ジャーン!

 

 

こんなPOPなお役所って、そうそう無いのではないかと思います。

 

取材で

「このデザインで、今後この街がどのように変わって欲しいと思いますか?」

という質問をされたのですが

 

個人的には富士吉田の街はもう随分前から変わって来ていて、だからこんなPOPな作風の私に依頼してきた市の職員がいたり、さらにはOKを出してくれた市長さんがいたりするのだと思います。

 

既に変わりつつある街が、もっともっと外からの人を迎え入れて、地元の人たちが富士吉田をさらに誇れる街になって行くよう願いを込めてデザインしました。

 

富士吉田市はもともと、四つの町が合併して出来た市ということで、4つの地域それぞれの文化、自然資源をモチーフにしています。

 

下段左から浅間神社の大杉、鳥居、蓮池、富士桜、白糸の滝

 

上段の富士桜の上に乗るのはこの地域の守神と言われているサル、富士山の雪解けに合わせて出現する農鳥、忠霊塔

 

そしてど真ん中には富士山。

 

 

 

PHOTO : 寺田哲史

 

※市役所です。一応。

 

 

 

私が初めて富士吉田に来たのは多分、1994年の年末だったように思います。

 

その時初めて行った機屋さんで、その後もたびたび仕事をしていた会社の企画担当の女性が除幕式に来ていて

 

久しぶりですねー、っと声をかけたら何と

 

「実は私の息子がこの壁画の施工を担当したんです」と。

 

びっくりすぎる。っていうか、本当になんかもう、しみじみとしちゃいました。

 

長い付き合いなんだよね。

 

そんな場所でこんな仕事ができたことを心から嬉しく思います。

 

 

コロナ禍で観光産業が厳しさを増すこの状況は街にも大きな影響を与えていますが

 

頑張ってください。本当に。

 

この街のますますの発展を願っています。がんばれー!

 

 

 

 

 

 

築40年のスイミングクラブを色で蘇らせるの巻

株式会社ニトムズのHARU stuck-on design; を使用した空間装飾を手掛けました。

 

場所は大田区にある久ヶ原スイミングクラブ。地元で40年も愛され続けているスイミングクラブです。

 

今年40周年を迎える老舗故、建物はやはり経年を感じるところもあります。そこをHARUを使って新鮮な風を吹かせよう、という企画です。

 

選んだ場所はプールへ続くエントランス階段部分とプール横の体操室と呼ばれている箇所。

 

 

 

最初に現場を視察した時に水泳の進級基準が壁に貼ってあり、一番初級が「顔を水に付ける」と書いてありました。

 

そしてプールサイドの体操室で「プールに入るのを嫌がる子がここで見学していたりもします」と説明された時に、それまでは全く忘れていたのですが自分が幼少期にまさにこういうスイミングクラブに通っていて、水が怖くて顔をつけられない子どもだった事を唐突に思い出しました。

 

確か、行くのを嫌がる私に親が「水中で目を開けられる様になったらマジンガーZの人形を買ってやる」と人参ぶら下げられて渋々通った様な。

その後マジンガーZを買ってくれたかどうかは覚えてないけど。

 

とにかく当時の私もプールに通うのが初めは恐怖だったけれど、段々と泳げるようになってからは行くのが楽しくて仕方なかったという記憶が突然蘇ってきたのです。

 

利用する人たちに泳ぐことの楽しさが伝わるよう、階段エントランス部分は水やプールを連想させる寒色系をベースに、暖色系も意識的に重ね合わせて『HARU stuck-on design;』ならではの華やかな色彩空間を生み出しています。悠々と泳ぐ魚にプールへ誘導されるようなイメージです。

 

 

 

 

 

体操室は既存のタイルの色を生かしつつ『HARU stuck-on design;』の多彩な色からチョイスして色調を合わせ、タイルに合わせてPETテープをカットして貼り、アクティブな空間に変化させるプランを立てました。

これからプールに入る高揚感や不安感を大きなクジラが受け止めているようなイメージでデザインしています。

 

 

 

 

 

 

 

自分で言うのも何ですが、施工前と後での空間の変化は劇的です。色って本当にすごい。

 

 

昔の私みたいに、水に入るのが怖い子の気持ちがちょこっと明るくなりますように。

 

企画:株式会社ニトムズ

施工:脇プロセス

写真:神宮巨樹

デザイン:鈴木マサル/UNPIATTO INC.

scope の Fabric of the day

ネットショップの雄、scope が毎年年末にテーブルクロスを販売する企画「Fabric of the day」。

 

今年の柄「Bolero」のデザインを手がけました。

 

https://www.scope.ne.jp/scope/fabric/bolero/

 

 

 

 

 

 

 

 

(  ._. )「美しい写真!だけどテーブルクロスよりも食器の方が目立っているのではないの?」

 

 

という声が聞こえてきそうですが、まあその通り。それは狙い通り。

 

この食器はアラビアから1970年代にリリースされたスンヌンタイというシリーズ。パラティッシのデザインでも有名なビルガー・カイピアイネンがデザインしたシリーズで、ビンテージ市場ではなかなかお目にかかることが出来ないほどの超人気の食器です。

 

これがこのほどアラビアから復刻されまして、このリリースに合わせて「(o゚◇゚)スンヌンタイとの相性が良いテーブルクロスを!」というとても珍しいオーダー、企画から生まれた生地です。

 

デザインをスタートした頃はまだ復刻前だったので、貴重なサンプルを借りてそれを眺め、ペーパーデザインの上にそれを置いたりしながらデザインを進めました。

 

当初はこの大胆な柄や鮮やかな黄色に合わせて、大きな柄やビビットな暖色系などでデザイン案を出したりしていたのですがどうもしっくり来なくて

 

しげしげと借りた食器を眺めていたら柄の丸い水玉部分がなんとも愛らしく見えまして(借りた食器がたまたまC&Sのカップだった事もあって)

 

これがポロポロとテーブルに散らばっているようなデザインがいいのでは?と思いつきまして。

 

色は、同じ暖色系というより真逆の色相に振って、ビビットというよりは、例えば白い食器が来てもコーディネートが映えるように薄いトーンでまとめて、とにかく食器が映えるような生地にしようと思い、デザインを進めました。

 

 

 

 

 

 

我ながらドンピシャ。そしてまさに私がイメージしていた通りの画像を撮って頂きました。感謝!

 

そんなこんなで、いろいろ山あり谷ありでしたが この特別な生地が完成しました。

 

 

そしてスンヌンタイのリリースに合わせ、ヘルシンキの超人気レストラン「アトリエフィンネ」のシェフを日本に招いて料理のメニューを組むという スコープ入魂の企画「RAVINTOLA SUNNUNTAI」。

 

ここまでやるのかー、と考えさせられました。ネットショップならではというか、時代はどんどん変わっていくのだと実感。

 

この企画ページでこの生地「Bolero」がふんだんに使われていますので是非ご覧ください。

 

https://www.scope.ne.jp/arabia/sunnuntai/

 

 

「鈴木さんのデザインとは思えないような柄と色だ(※いい意味でー)」と企画の進行中にちょいちょい言われましたが

 

いやいや私、何でもかんでも大きな柄や派手な色を使うわけではないのよ。

 

私、特に色は「役割」だと思っていて、作るものが求められている役割に沿ってカラーは決まっていくものだと思っていまして。そんな意味からも今回はオーダーがオーダーだったからすごくやりやすかったなあ。

 

Boleroはある意味振り切った、最高にカッコいい生地になったと自負しております。

 

スンヌンタイは勿論ですが、他のどんな食器が来ても問題なし。バッチこーい。

 

 

 

 

 

そして、テーブルクロスだけではなくてベット周りやらリビング周りやらバス周りやら、インテリア空間全般、どんな場所でも使いやすく、映える生地ではないかと思います。

 

販売開始は明日 11/29(金)、夜22:00からです 。

 

みなさま是非ー。

 

https://www.scope.ne.jp/scope/fabric/bolero/

 

 

 

 

 

 

謎のキワモノ生地、アンビエンンテ

フィンランドに来ています。今日はヘルシンキではなく、タンペレに。

 

何をしにタンペレまで来たかというと

 

実は春頃、フィンランドの行きつけのビンテージショップから「あなたがよく買う生地の展覧会が開催されるよ」というメッセージが来ました。

 

その「よく買う生地」と言うのは、イッタラなどで活躍したフィンランドのガラス作家、ティモ・サルパネバが1960年代にデザイン、と言うよりは発案&監修して、今はなき哀愁のテキスタイルメーカー、タンペラで製造していた生地「アンビエンテ」です。

 

このアンビエンテという生地はシルクスクリーンではなく、染料が生地に捺染されていく自然現象をそのまま工場生産のプロダクションに落とし込んだ様な生地です。

 

最近デザイン界を席巻しているコンテンポラリーデザイン的な考え方を取り入れた様な、とても不思議な生地で、作り方は今まで謎のベールに包まれていました。

 

言葉で言っても上手く伝わらないと思うので、画像をご覧ください。こんな生地です↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビンテージ生地の中でも、マリメッコの柄物とか人気のあるものとは違ってかなりニッチというか、知る人ぞ知る的なキワモノ系の生地ですが、私は見つけるたびに買っていたので店主が知らせてくれたのです。

 

まさかアンビエンテの展覧会が開かれるなんて!! 夢にも思っていませんでした。そんなもの一体誰が見にくるのだ?というレベルのニッチさですが、私的にはこれは行かないわけにはいくまい、と言うくらいの大事件。

 

今回のフィンランド出張に合わせてスケジュールにねじ込みました。

 

 

 

 

 

 

 

場所もガイドブックにも載っていないようなちっこいミュージアムでしたし、展示もこじんまりした物でしたけど、私はもう大興奮というか大満足というか、超最高の展覧会でした。

 

作り方は謎に包まれていましたがそこは個人的に、購入したビンテージの生地から「おそらく、昔のタンペラの工場にはこういう設備があって、こういう作り方をしていたのではないか?」と、私なりに楽しく推理していたのですが、それはほぼ当たっていました!((≖ω≖)ドヤ顔)

 

今回の展覧会では保存されていた製品だけではなく、試作品やさまざまなトライアルを試みた失敗作なども含めて数多くの生地が展示され、さらには制作ノート(読めないけど)を始めとする制作工程、当時現場にいた人たちのインタビュー映像などもあり、知りたかった事がほぼ解明されるという、本当にもう夢のような、涙ものの内容でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもまあ、そんなのを知りたいのはテキスタイル関係者の、さらに北欧ビンテージ好きの、その中でもさらにキワモノ&ゲテモノ好きと言う、超ニッチなマイノリティーテキスタイルマニアのみに響く内容ではあるんだけど、、、最高に幸せな時間でした。

 

意外だったのは、予想以上にシステマティックに管理され、量産や再現性を意識して作られていた事。それでも同じものは出来ない、と言うかそこが良いんだけど。

 

 

 

 

 

↑当時のハンガーサンプルとかも。 ヨダレが出ます。

 

これら以外にも 「ストライプだけではなくて、こんなアンビエンテがあるのか!」というような驚きのものなど、盛り沢山。

 

テキスタイルデザイナーではない人だからこそ出来た生地かな、まさに。

 

 

 

クラフトとプロダクトのちょうど真ん中にあるような生地。北の果ての辺鄙なミュージアムで堪能して来ました。

 

いつか日本でこういうの、作ってみたいなあ!

 

 

 

 

 

テキスタイルデザイナーのステイタス

広島出張。宿泊したホテルで私の師匠がデザインしたタペストリーとご対面。




おそらくもう30〜40年前に設置されたものだと思います。

デザインは色褪せておらず、堂々とした佇まい。

なのですが、流石に繊維素材故、実際の色はかなり退色していて時間の経過を感じずにはいられません。

全く同じものを再製作して設置とか、オトコマエな事をしてくれないかしら?


この時代はこういうホテルとか公共施設に設置するタペストリーをデザインするようになったら「テキスタイルデザイナーとしてそれなりのステイタス」みたいな雰囲気があったのではないかと思います。

テキスタイルデザイナーだけではなく、ファイバーアーティストと呼ばれていた作家の方々もしかり。

そういうの、なくなったなあー、きれいさっぱり。
緞帳とかは仕事としてまだあるんだろうけど、タペストリーとかほとんど見ないもんな。

今、テキスタイルデザイナーのそういうステイタスを手にしたと言える仕事って、一体どんな仕事だろうか?

なんて事を考えながら食べる広島焼き。

甘しょっぱいソースがなんかちょっと、切ない味のように感じました。





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