
30年前のスケッチ
事務所の荷物を整理していたら、本当に驚くほど昔の、
もう30年ほど前の、独立した当初の仕事のために描いたスケッチが出て来ました。
、、、あまりの下手くそっぷりにも驚いたけど、よく見れば今と大して変わっていないと言う事実に驚く、、、
これは愛知県にある市民プールのバナーデザインを依頼されて描いたもの。
地方の小さな市民プールという、規模の小さな案件だったけど、話をもらった時には飛び上がるくらい嬉しかったのを覚えている。
そんなんでかなり張り切っていた私は、このスケッチ以外にもたくさん案を出して提案したのでした。
結果的にこの案が選ばれた。
他の案はもっとシャープな感じのやつとか、デザイナーっぽいものもあったと思うのだけど、このヘナチョコ案が選ばれたのだ。
今にしてみると、不思議だなあと思う。
で、これを制作することになったワケだが、今のようにデジタルプリントなんて、、、あったのかもだけど当時の私には全く手に負えない存在で
そもそもネット検索とかないし、確かタウンページとかで調べた記憶が、、、時代、恐るべし!
いろいろと予算の範囲で出来る方法を探した結果
なんと、帆布の生地に職人さんが手描きで描いてくれる方法が一番安く仕上がると言う結果に。
今では考えられないけど
ちょっと気になって調べてみたら、竣工当時と思われる写真が載っているサイトを発見。
幸田市民プール
https://www.nishimikawanavi.jp/spots/detail/875/
泣けるわー、まじで泣けるわー
当時の思いとか、掘っ立て小屋のような仕事場で朝から晩までデザイン画を描いていた部屋の空気感とか、、、
もうエモい気持ちでいっぱい。
今も誠実に仕事に取り組んでいるとは思うけど、この頃は誠実を通り越してもう、「なんでそこまで?」と言うレベルで取り組んでいたような気がします。今思えば。
時代的に、そういうのが必ずしも良い訳ではないかもしれないけど、私はそうやって色んな人に助けてもらって来たなあ と、しみじみ。
いろいろと何と言うか、もっともっと頑張ろうと思った30年後の私でした。
大柄って素晴らしい
marimekko がアジアを中心に巡回している花柄の企画「Field of flowers」、現在はクアラルンプールでPOP-UP 展開中です。
この企画には5人のデザイナーがそれぞれ5点、花柄の生地をデザインして参加しています。
私の場合、ラフアイデアの段階ではデザイン案はもっとあったのですが、その中からディレクターの方がチョイスし、そこからさらにデザインをブラッシュアップし、調整していったのです。
私の中で今回、特にこだわったポイントの一つが柄のサイズ感です。
小さなアイテムにも展開しやすい小柄から、何に使うのか分からないくらい大きな柄のものまで、タッチだけではなくサイズ感を意図的にバラつかせ、異なるさまざまな花柄をデザインしました。
中には、ラフ段階の20%くらいまで大きさを小さくスケールダウンしたものもあります。
今回デザインしたものの中で、特に気に入っているのが rantakukka というデザイン。
これは与えられた画面、目一杯の大きさで1輪の花を放り込みました。
大柄ということもあり、pop-uoを告知するビジュアルとかにもよく使われています。
この柄はディレクターの方が私の過去の仕事のアーカイブの中から「こういうのも良いと思う!」と、進言してくれたことからスタートした柄でした。
多分、私1人で考えていたらここまで度胸のいるデザインは提案できなかったのでは?と思っています。
テキスタイルというカテゴリーの中で、大柄というものは魔性というか、禁断の果実というか、
おそらくはテキスタイル、特にプリントテキスタイルに関わっている人の多くがこの「大柄」というものに何らか取り憑かれてこの道に入ったと言っても過言ではないのでは?それほどの魅力を持っていると思います。
大きな柄が生地にバーンとプリントされて、ただユラユラしている
何て素晴らしい!( ゚∀ ゚)
大柄の生地、バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ! ヽ(;▽;)ノ
でも、柄が大きくなればなるほど使い道は限定されて、役立たずになっていきます。
そこがネックというか、ジレンマというか、悩ましいところなのです。
でも、誤解を恐れずに言わせてもらうと、、、というか間違いを承知で言わせてもらいますが
何に使うのか分からない生地ほど素晴らしいものは無い(迷言)(゚Д゚)ノ
という事で今回作った生地たちは rantakukka を筆頭にどれも良い感じに仕上がりまして
自分的には「やった感」があったのですが
先日、別企画でマリメッコからアーティストコラボシリーズがリリースされまして
スウェーデンのコンテンポラリーアーティストのPetra borner という人のデザインで
これが
めっちゃ良いのです。
あんまり良いのでマリメッコのショップに実物を見にいきまして
実際のを見てもやっぱり良いので購入しようと決意し、ショップの人に
「1リピートは何センチですか?」
と聞くと
「あ、この柄はちょっと特殊で、、、180cm です!」(^0^)/
180cm!
まじ? (゚Д゚)
でかっ!
よく見ると、約90cmリピートの版を2連で組んであって、型口も直線にバッツリ切っていて(もうちょっとまともな片口切れるだろ!と突っ込みたくなるほど見事な切りっぷり)
リピート巾を稼ぐためだけを考えた版構成、、、お見事、、、
嗚呼、自分ももっと自由に伸び伸びとやった方が良かったのではないか?と、よく分からない想いが頭を巡る。
大柄って素晴らしい。何だか分からないけど素晴らしい。
何だかよく分からない想いを抱えながら2.5mを購入。約2万5千円なり。
そんな何に使ったら良いか分からないような大柄の生地を買って何するのさ ってか?
そんなの畳んでしまっておいて、たまに広げてニヤニヤと眺めて、また畳んでしまっておくに決まっているではないの!
テキスタイルで稼いでテキスタイルに使う
地産地消(ちょっと違う)
良いのだろうか、、、楽しいからまあ良いか。
10年目の富山もよう
少し前に手掛けた仕事のこと。
この仕事に関しては色々思うところあって文章にはしていなかったのですが、先日富山から良い写真が送られて来たのでここに諸々綴っておこうと思います。
私がずっと手掛けている「富山もよう」という仕事があります。
富山もようは富山の良いところをを県外だけではなく、県内にも再認識という形で伝え、富山の魅力を広く発信していくもので10年前からスタートした企画です。
昨年、2024年はこの富山もようがスタートして10年という節目の年でした。
その10周年企画として色々な事を企画検討していたのですが、その年が始まる日に北陸地方に大きな地震が発生しました。
特に能登半島は大きな被害を被ったのですが、富山も地域によっては甚大な被害に見舞われたのです。
年明け早々の自体に北陸地方では様々な対応に追われ、とても周年事業どころでは無くなったのでした。
そこから少し時間が経過した3月頃、被災地の石川、富山への支援企画として富山もように声がかかりました。
いつものような新聞のラッピングは勿論、その模様を使用した防災チャリティーグッツを作って売り上げを寄付しようというもので、周年企画をやるのではなくこちらを進めようと。
勿論私も含め、関わる人や企業は全て無償のボランティアで参加し、少しでも被災地に貢献しようという企画となったのです。
まだ復興が手付かずの地域が多く、おいそれと行ける状況ではありませんでしたが4月頃、現状を把握するため、行ける範囲で視察に行ってきました。
震災の中心地域ではありませんでしたがそれでも被害は想像以上で、そこで生活している人たちのご苦労が強烈に伝わってきました。
視察という名ではありましたが、どこか呑気な気持ちでいたこと事態が申し訳なく、罪悪感とも猛省とも言えない気持ちで帰路につき、果たして、いったいどんのものをデザインしたら良いのか全く分からなくなり、新幹線の中途方に暮れたのでした。
「富山もよう」はもともと、富山の良いところを模様にして広く伝えていくという、元々が何か問題解決的なものでもなく、どこかピースフルな、牧歌的な要素があるものでしたので、あの切迫した事態を目の当たりにすると果たしてそんなものが必要なのだろうか?と思わない訳にはいかなかったというか。
そもそも、色や柄とかは絶対に必要なものでもないですし、さらにはこう言った切迫した状況下ではもっと必要なものは山ほどある訳だし、わざわざこんな事をする必要はあるのだろうか?と
デザインが全く進みませんでした。
5月、少しづつ復興の兆しも見えてきた頃。どうにかデザインを進めないといけない頃。
色々と思い悩んだ末に私は、「何か美しいものを描こう」と思ったのです。
少し時間が経過したということもあると思いますが、何か美しいものを見たら人の気持ちは少しは癒されるのではないか、と考えたのです。
富山にある立山連峰や石川にまたがるにある白山連峰が夕陽に照らされてピンク色に輝く光景がたまに見られるそうです。
一部では晴れ山とも呼ばれ、その美しさは息をのむようだという話を聞きました。
そんな美しい光を追いかけるように、点描で白山連峰と立山連峰を描きました。
晴れ山、私はまだ見たことはありませんが、いつか見てみたい。
そして余剰なものだとは思いますが、気持ちが少し明るくなるようなものが人には必要なのだと信じたい。
1日も早い復興を願います。
マリメッコという存在
マリメッコのシグネチャープリントであるフローラルデザインの未来を称える、巡回型のポップアップエキシビション Field of flowers
参加デザイナーは Antti Kekki、Masaru Suzuki、Eija Vehviläinen、Aino-Maija Metsola、Erja Hirvi の5人。
私もデザイナーの1人として参加し、新作のフローラルプリントを手掛けています。
3月から日本を皮切りに、アジア各地を巡ります。
やはりなんというか、私にとってマリメッコ という存在は特別でして、この企画に参加できることも、とーっても嬉しく、光栄に思っています。
そもそもマリメッコ との仕事はコロナ以降では初になるので、とても久しぶり。
実はこのブログを10年以上遡ると、マリメッコ との仕事が初めて決まった時のことが生々しく書いてあると思います。
そう書いておきながら何ですが、私自身はもうとても読み返すことができない。
読み返したら色々な事が蘇ってきて、耐えきれずに消してしまいそうでw。
私がマリメッコ に出会ったのはさらに遡って、私がまだ10代! (ノ ○ Д ○)ノ! の頃。
カビの匂い漂う大学の図書館にあった海外の雑誌に小さく掲載されていたモノクロの写真でした。
洗濯物のように吊るされて風にたなびく大柄のプリントテキスタイル 。
それに何故だか心惹かれて、テキスタイル から気持ちが離れそうだった当時、なんだかんだとそこから離れずにいられたのはあの体験があったからなのかなと、今では思ったりします。
私にとってはテキスタイルの原体験とも言えるブランドと仕事で関われているという事に嬉しさや、サポートしてくれる方たちや環境に凄い感謝は当然あって、それとともに大変さも当然あって
この企画が始まってからのスピード感は文字通り「怒涛」で、昨年はもう瞬く間に過ぎ去ってしまった感じ。
今年に入って最終チェックが終了したと思ったらもうすぐにPOP-UPがスタート。しかも最初が大阪。そして今はタイ。これまた怒涛。
怒涛すぎて生地の画像や写真もまだない状態ですが、今回手掛けたのは5柄。
全てのデザインがこちらの指示通りのほぼパーフェクトな仕上がりで、しかもかなりクイックな対応で進行しました。本当にすごいことだと思う。
これはひとえに、マリメッコ本社にプリント工場が併設されている強みでしょうね。こんなブランドはやはり、他にはないと思う。
↓こちらは最終サンプルが届いた時の写真。
嬉しそう。
実際、嬉しかった。
落ち着いて、ちゃんと画像が揃ったらまたこちらで紹介したいなあ。
SETOMANEKIに柄を入れてみた の巻
最近テキスタイル以外の話ばかりで、お前はテキスタイルデザイナーを辞めたのか?獣道はどこへ行った?( ゚д゚)
と思われそうですが、いえいえそんなことは決してありませんで、あまりこういうところで気軽に書きにくいような仕事が最近多くて、むしろこういうネット上にアップすることを歓迎されるタイプの仕事を書こうと思うと 年明けにリリースしたセラミックのプロダクトやグラフィック系の仕事にに偏っていたりという訳で。
私自身はテキスタイルに特化した専門家になりたい願望は常に持っているのですが、仕事内容的にどうにも分野を越境せざるを得ないような時代背景でもあって、最近では自分の肩書きがとっても難しいと思う今日この頃。
でも肩書きはしつこくテキスタイルデザイナーです。
何故って、やっぱり一番好きだからですかね。
そんな訳でさて、またセラミックのお話です。
私が敬愛するプロダクトデザイナー、清水久和さんがデザインした、現代の生活にフィットする招き猫「SETOMANEKI」
このSETOMANEKIに様々なアーティストとのコラボレーションシリーズ「SETOMANEKI &」が誕生し、その第一弾コラボレーターとして柄を入れるというとても光栄な仕事をいただきました。
清水さんは世界で一番売れたカメラ、canonのixy のシリーズをデザインした超本格派デザイナーなのですが、そういうハードな仕事以外にとってもファンキーで楽しいプロダクトやアートを生み出している方で、「あー、ものづくりを楽しんでいる人だなー」と、羨望の眼差しで見ていました。その清水さんとコラボできるとはなんとも感慨深い。
そんな訳で結構緊張してあれこれデザインを考えたのですがまず技法のチョイスとして、全て手描きで絵付けをするという選択肢もあったのですが
「あまり工芸的な雰囲気になるのはちょっと違うなー」と考え
転写紙を使って装飾し、量産出来るプロダクトとして成立させることを試みました。
しかしデザインを進める工程で SETOMANEKIの3D CADでデザインされた複雑な曲面に転写紙を貼ることが難しく、制約も多く、かなり苦戦することに。
その制約をクリアするために、描いては紙を貼って検証するプロセスを何回も繰り返して作業を進めました。3D CADなSETOMANEKIに対して嗚呼、アナログ、、、、(T _ T)
こういう作業、、、
デザインについては、どんな柄にしたら良いか考えた時に猫の毛の模様にはトラ、三毛、サバ、タビーなど様々な種類があって、模様と猫の性格がリンクしている説があることを知り、模様で性格が分かれるって面白いな!と思い、これをテーマにデザインする事にしました。
考えてみればテキスタイルデザイナーも人によって全然違う柄を描くしね。描く柄も性格別と言っても良いかも。
すごくストイックな感じの人はシャープでミニマルな柄を描くし、保守的な人はコンサバな柄を描くし、フリーダムな人はパッパラパーな柄を描くし、、。
話がそれちゃうけど、テキスタイルの業界的には色々なタイプの柄を描けることを求められがちです。私も実はそういう仕事をしていた時期がずいぶん長くありました。
それはそれでプロフェッショナルな感じで素晴らしいことですけど、出来る事なら自分の作風っていうの?アイデンティティーっていうの?そういうものに向かって邁進して行けたら良いよね、とは思うけどそれって案外難しいんだよね。どの業界も同じかもしれないけど。
で、それでSETOMANEKIの柄、出来上がったのは calico / ミケ saba / サバ tora / トラ の3種
ちなみに真偽は不明ですが
トラネコはおとなしくて甘えん坊、ミケはマイペース、サバはフレンドリー
らしい、、、ホントかなあ、、
ちなみに、ボツになった柄がこちら↓
下記にてwellcatと共にお披露目中。
SETOMANEKI × 鈴木マサル CERAMIC ART EXHIBITION 平面と立体の境界
会期:2月1日(土)〜2月28日(金)
場所:中川政七商店 渋谷店 東京都渋谷区渋谷二丁目24-12 渋谷スクランブルスクエア 11階
フルラインナップで、全力であなたを招いております!![]()
あなたはどの柄(性格)の SETOMANEKI が好みでしょうか?
ペットのような招き猫になってくれたら幸いです。
蛍光色を使ってみた
派手な色、濁った色、薄い色、濃い色
色にはいろんな色があって、どんな色でもそれ自体は美しいもので、汚く見えるのは隣にくる色との組み合わせがうまくいっていないからだと思っています。
元々美しいものを使い手次第でダメにもしてしまうし、より引き立たせたりもする。だから色を使うことは面白く、時に自分のイメージを超えた表現が出来上がったりするエキサイティングな行為なのだと思う。
逆に失敗すると事態は混沌とする。そうならないように慎重に色を選ぶ訳だけど、不思議なことに慎重になりすぎると色は輝かなかったりする。何か勢いとか、鮮度とか、勇気を持って飛び込むような意気込みが必要だったりするのです。
前置きが長くなりましたが、今回は蛍光色というものについて。
私はずーーっと、蛍光色を使うことを避けて来ました。
1番の理由は色味の調整がしにくい(場合によっては出来ない)ということなのですが、何か単純に蛍光色を使うと今っぽくなるという感じが「飛び道具」を使っている感じがしてしまって、色の組み合わせの妙というか、そういう感覚が薄くなってしまってプロっぽくないぞー、みたいな。
使うとかっこよくなるのだろうなと思いながらも、変な意地を張って避けて来たのです。
でも去年、ホールガーメントで鞄を作る企画の時に、いつもの色調とはちょっと雰囲気の違うカラフルさが欲しいという気持ちが強くなって
ちょっと使ってみようかしら (∴◎∀◎∴)
多分、飛び道後でも何でも良いから雰囲気を変えたかったのです。
それこそ微妙な色の調整なんて全く出来なかった訳ですが、思い切って使ってみよう、と。
そしたらですね、いつもの色彩にある種の軽薄さが加わり、スーパーポップな仕上がりになりまして
めっちゃ良いのが出来まして
それに味をしめ、今回瀬戸で作った招き猫のパッケージにも蛍光色を使いました。
陶器の箱って通常は白とか黒とか茶色とか、陶器の素材に合わせたナチュラルなものがほとんどだと思います。
ある意味、陶器が持っている素朴な雰囲気に合っているし、中身を際立たせる少し控えめなパッケージとして、それはとても正しいと思うのですが
今回はそういう雰囲気を吹っ飛ばすような、ナチュラル路線の対極にいるような箱にしようと考え
下箱、フタの両方とも蛍光色にしました。
陶器の箱としての佇まいはゼロ。狙い通りの異邦人っぷり
さらに調子に乗って、展示会場のファサードに貼るカッティングシートを初めて、蛍光色を指定しました。
そしたらその破壊力たるや!
そして遥か遠く高台からでも認識できる凄まじい視認性。これはすごい
蛍光色、恐るべし
書きながら思ったんだけど
いままで蛍光色は使ってこなかったと言ったけど
昔、美大受験の平面構成の色(ニッカーのデザイナーズカラーという名のポスカラ!)を作るときに、密かに彩度を上げたいときにこっそり蛍光色を混ぜていたことを今、思い出した。
裏表のない招き猫は果たして、何を招くのか?
テキスタイル デザイナーという肩書きの私なので、何でこうなった?的な話ですがこの度、招き猫をデザインしてリリースする事になりました。
瀬戸にある陶磁器メーカーの中外陶園からお話をいただき、あれよあれよと進んだお話で、何なら展覧会やりますか!適な話の流れでリリースに合わせて新年早々、瀬戸にあるギャラリーで展覧会を行います。
鈴木マサル「CERAMIC ART EXHIBITION -平面と立体の境界-」
2025年1月9日(木)- 2月24日(月)
住所/〒498-0821 愛知県瀬戸市薬師町1番地 STUDIO 894内
開館時間: 10:00 - 17:00 (休館日:火曜日)アクセス: 名鉄瀬戸線 尾張瀬戸駅から徒歩8分
あ、瀬戸での展示に連動して今回の企画をディレクションしてくれた塚本さんとトークイベントを行うことになりました。
こちらから申し込み出来ますので、興味ある方は是非ー!
■開催概要
・開催日時: 2025年1月12日(日)14:00 - 15:00
・会場: STUDIO 894
・登壇者:鈴木マサル、塚本 太朗(STUDIO 894 ディレクター)、モデレーター/石倉 夏枝
・参加費: 無料
・お申込み期間:~2025年 1月11日(土)
*先着順、定員に達し次第締め切らせていただきますので ご了承ください。
元々のオファーは敬愛するデザイナーの清水久和さんがデザインしたとてもモダンな招き猫「SETOMANEKI」に柄を入れるというとても光栄な仕事をいただき、柄のデザインを進めていました。
話が進行していく過程で先方が
「SETOMANEKIの企画は進めるとして、何なら別案件として招き猫そのものもやってみますか?」
という事になり、SETOMANEKI企画と同時進行でオリジナル招き猫企画を進める事に。
SETOMANEKIは3D-CADを駆使してデザインされたものらしく、曲線が美しい立体的な形をしています。それゆえに柄を入れる転写シートが貼りにくく、柄の形状や場所がかなり制約されました。(職人さんが手描きで絵を入れるという事も出来たのですが、売価が高額になるし、今回は出来るだけ手痕を残さないプロダクトにしようという気持ちがあったので)
なので、並行して進めていたオリジナル招き猫の最初の構想は
「転写紙が貼りやすく、柄が自由に入れられるペタンコな招き猫」
というプランでスタートしたのです。
ペタンコなので、紙で気軽にモックアップが作れました。たくさんスタディを重ねて出来た形がこちら
作ってから気づいたことなのですが、、
これは、、、
両面リバーシブルの招き猫になるのでは?
で、裏表になると猫が上げている手が右と左になってめっちゃ良いのでは? (゚∀゚ )
(※招き猫は上げている手が右なら金運を、左だと人やお客を招くと言われています)
こうして誕生したのが裏表のない招き猫 wellcat です。
柄のデザインは3種、それぞれ3サイズ展開です。
welgood
右手側には「幸運を!」のgood luck、
左手側には「ようこそ!」のwelcome という言葉を身に纏った、メッセージ性のある招き猫。
mugiwaraamime
右手側には真っ直ぐ伸びる様子から縁起が良いと言われる麦藁手(むぎわらて)文様、
左手側には捕獲の成功や幸運を象徴する網目文様をあしらった、縁起の良い招き猫。
lovepeace
右手側には愛を象徴するハートを、
左手側には平和を象徴する四つ葉のクローバーを身に纏った、LOVE&PEACEな招き猫。
飾る向きでデザインと意味が変わり、金運もお客さんも、良きものは何でも招く最強でオシャレな招き猫、wellcat
家に1匹、ぜひ。
何を招くかは迎え入れてからのお楽しみ!
フィジカルとは何ぞ
どこまでデジタルで描いてOKか?
とか言うと、もうAIが勝手に描いてくれる時代に一体何?って感じになってしまいますが
私も案件によってはオールデジタルでデザインを仕上げるってこともありますが
でも私が手がける仕事はほとんどアナログな手描きをベースにした、フィジカル満載の仕事がほとんどです。
iPadで描かれたデザインを見ると、もう手描きかデジタルかはモニターではほとんど見分けがつかない今日この頃ですが、パソコンの外にアウトプット(出力)されると途端に悪い意味でのデジタル臭が漂うような気がします
だから、モニターの中で完結するものならもう手描きの味とかは飲み込まれちゃうのだと思いますが、フィジカルの世界に出力されると画一的なディテールがとても気になるって感じなのでしょう
テキスタイルの世界ってフィジカルしか無いので、デジタル比率が低い業界なのかもしれませんね
前置きが長くなりましたが
先日、陶器の産地である瀬戸に行ってきました
現在、陶(瀬戸物)のプロダクツを開発していて、それのお披露目に合わせて1月に瀬戸で展示を行うことになったので、それの準備で
瀬戸は食器からタイル、置物まで様々な陶製プロダクトを生産している産地です
様々な特徴がある産地なのですが、私は特に半磁器の素地に呉須(ごす)と呼ばれる顔料で絵付けをするスタイルに惹かれまして
それを自分でもやってみたい!とわがままを申してタイルに絵を描いたものを展示に出すことにしたのです
東京で描いたものを送り、瀬戸で焼く というスタイルで試作を何回か行い、失敗をたくさん経験して、いよいよ本番を現地で描くことになって現地に滞在して描いて来ました
いつもはテキスタイルデザイナーとして模様を描き、色を付け、デジタルで仕上げるという事を仕事としていますが、陶の現場は手痕が濃く残るプリミティブなもので、普段の仕事とは共通点はあれども、体感的には随分異なる感じ
描いたものをデジタルではなく1000°を超える窯を介してアウトプットする作業は普段のそれとは異なり、仕上がりが全く読めないとてもスリリングなものでした
雰囲気的にスマートなスタイルは陶という素材に拒絶されているような気がして 結果、非常に泥臭い作業を行って来ました
現在、強烈な筋肉痛に見舞われています ヽ ( ꒪д꒪ lll)ノ
でも楽しかったんですよね。この先が読めないめんどくさい作業が
自分が古いタイプなのはまあ置いておいて、自分の思いが指先から素材に直に伝わっていく感覚が強烈にありました
この高揚感はどうよ 痺れるような感覚
この感覚をどうにかデジタルで再現できないものだろうか?と、ちょっと真剣に考えてみたい
どのように焼き上がるのか、不安と期待でいっぱいです
もうやり直す時間はないので、来年1月にお披露目されますので、興味ありましたらぜひ
商店会のバナー
約2年ぶりにブログを書いています
もう時代的にあまり自由にものを書くことが難しくなってしまったこともあってブログを書かなくなってしまったのだけど、つい先日知り合いのテキスタイルデザイナーの人に
「あのブログを楽しみに仕事していた」
的なことを言われ、当時このブログを更新することでモチベーションを保っていた自分がいたことを思い出してちょっとウルッときてしまい、たまには書いてみようかなと思って
昔のように自由には書けないとは思うのだけど、少し不定期にこっそりと書いてみようかなと思います
情報がメインのインスタやfbとは少し違う視点で書けたらいいなと
もう7年も前になるのだけど、事務所がある通りにかけるバナーをデザインしたことがありました
https://masarusuzuki.com/free/graphic-others#1,1
きっかけは事務所の大家さん(近所の酒屋さん)が突然
(゚Д゚)ノ「鈴木さんってデザインの仕事しているんだよね? ちょっとこの通りにバナーを設置することになったからなんかデザインしてくんない?」
と言われ、ほぼボランティアで引き受けたのでした
その何年か後、大家さんは急逸してしまったのですがこのバナーはその後も商店会のシンボルとして生き残ってきたのです
昨日、事務所に向かう道すがら、バナーを新しく付け替えている光景に遭遇
なんだか有難くって泣けてきました
私がどんな仕事をしているのか全く知らずに頼んできてくれた大家さん
デザイナーに頼んだからどんなにシャープなかっこいいものができてくるのかと思ったらこんな緩いものが出てきてどうしたものかと戸惑った(らしい)商店会の皆さん
その場で「これはすごくいいと思う!」と推してくれた(らしい)地域の美術館の学芸員さん
そして、何だかんだともう7年以上も継続してくれている地域の方々
有難うございます。作り手冥利に尽きます
これを励みにこれからも頑張って仕事をして行こうと思った、秋の終わりの日。
アップサイクル 素材のカバン
今回のPOP-UPの名前が「傘とカバン」となっています。
そう、ちょっと特別なカバンが今回リリースされるのでアナウンスを。
このカバンは今からちょうど1年前、東京ドームシティ内、Gallery AaMoで開催予定だった展覧会「鈴木マサルのテキスタイル ―色と柄をすべての人にー」で使用した壁面装飾用ターポリンとタペストリー生地をアップサイクルして作られています。
この展覧会は膨大な熱量をかけて準備されましたが、3日間にわたる設営作業が終了した開催前日、新型コロナウィルス感染に伴う緊急事態宣言の発令とイベント等の休業要請により開催中止となり、一般には公開されることなく「幻の展覧会」となってしまいました。
この知らせを聞いて現場に駆けつけてくれたCAMPER JAPANのスタッフの方が「この色彩空間を別の形にして生かせないだろうか」と申し出てくれたのです。泣ける、、、。
CAMPERはスペイン、マヨルカ島発のコンテンポラリー・シューズーブランドで、もとよりサステナブルな取り組みに積極的なブランドです。
近年は製品のほとんどをリサイクル素材で製作しており、今回の取り組みもまさにCAMPERらしい発想、企画なのですね。
撤収の時に丁寧に剥がしたターポリンと試作や色校としてプリントされた生地を裁断して縫製しています。
そしてそれを工場に持ち込み、型紙にそって裁断し、縫製していきます。
いろいろな事が制限されるこの時期に、少しでも気持ちが晴れる綺麗な色彩空間を、という思いで企画された展覧会でした。その思いをそのまま受け継ぎ、手の中の収まるプロダクトとしてアップサイクルされたこのカバンを「SECOND COLOR」と名付けました。
ターポリンはカバン用に開発された素材ではないので傷つきやすかったりもしますが
「色々なものを無駄にしない」という考え方に賛同して頂く気持ちでこのカバンを、色を、手にとって使っていただければ幸いです。










































