スズキ釣りやシロイカのオモリグのサブリール、或いはハゼ釣りなどエサ釣り用に持っている19ストラディック4000、同2500SHG。
4000については標準スプールは深溝でPE仕様のルアー釣りには使いにくいので4000MHGのスプールに入れ替えているし、2500SHGはスズキ釣りにはもう少し強いドラグを使いたいので、予備に3000MHGスプールを持っている。
19ストラディックは2500番以下はフェルトドラグワッシャーで、3000番以上はカーボンが使われている。中型サイズ以上の青物などをターゲットとしないライトなルアー釣りの用途では普通3000、4000番でもフェルトワッシャーが使用されるのだが、ストラディックというモデルは価格と耐久性を含めた性能のバランスがよく、海外おけるシマノの主力スピニングリールとなっていることがその理由なのだろう。
海外だと国内みたいに繊細な釣りは多くなく、強いライン、ドラグでガシガシと巻くスタイルで、総合的に考えればカーボンワッシャーが妥当なのだろう。
22ステラからは耐久性を備えた新しいフェルトワッシャーがデュラクロスと称して搭載されるようになり、ストラディックも23モデルからはこのフェルトワッシャーが使われるようになった。
何れにせよ、手持ちのカーボンワッシャーの3000MHG、4000MHGスプールはある程度滑らかな初期ドラグ動作が求められるスズキなどにはマッチしていない。これまではスプール互換性がある上位機種や夢屋のスプールに取り替えて使用していたのだが、これらのストラディックのスプールも有効に使いたいし、ドラグワッシャーをフェルトにできないものか? できればデュラクロスが望ましいのだが、とネットなどで調べていた。
シマノのパーツリストを見れば各モデルのドラグワッシャーの大体のサイズやパーツ番号は分かるのだが、正確なサイズはわからないし、ドラグワッシャーの互換性も公表されてない。YouTubeなどでちらほらそれらしい投稿もあるのだが、何れにせよ確証は乏しい。同モデル間であれば旧モデルのフェルトワッシャーはデュラクロスに交換可能なことが分かった程度だ。
余り無駄な買い物はしたくないが、デュラクロスワッシャーは税込220円だし、とりあえずやってみることにした。


購入したのは24ツインパワー4000のドラグ座金(A)、(B)。デュラクロスだが、これらはストラディック以上のモデルでは同番手なら同一部品だ。今後既存のフェルトワッシャースプールのメンテに使うかもしれないので少し多めに買っておいた。フェルトワッシャー用ドラググリスDG01(ACE-0)も併せて購入。
カーボン、デュラクロス交換での懸念は、直径、穴径などがスプールに適合するのか、ということと、厚さの違いでワッシャー組み込みで支障がないか、ということになる。各径が適合するかどうかはカーボン、デュラクロスの各ワッシャーを並べて比較すれば分かるが、厚さの違いは組んでみないと分からない部分がある。一般に、厚いカーボンから薄いフェルトへ置換などのようにドラグワッシャーが薄くなるぶんにはワッシャー収納の面では問題が無いようだが、今回もそうだとは限らない。
ワッシャー厚が変わるのでまず現行スプールとドラグノブの位置関係を見てみる。


ドラグノブをスプールに押し込んでみる。


4000はこんな感じ。ノブの外周ツバがわずかにスプール上部の穴に潜る感じだ。

3000も同じくらい。
3000MHGのスプールからドラグ部分の部品を取り出す。

下に置いているのが同じ場所に位置するデュラクロスワッシャー。
各ワッシャーの厚さを確認する。

カーボンワッシャーの厚さは0.9-0.95mm

フェルトワッシャーは圧を掛けた状態を想定し、ノギスを押さえ気味で計測する。
デュラクロスワッシャーは0.55-0.6mmくらい。
スプールと共に余分なグリスを洗って改めて確認する。交換するデュラクロスワッシャーを座金類と順に並べる。

右上から、
0003 10QBU 小判座金、t1.15
0005 10R5H ドラグ座金(A)、外φ21*内φ14*t0.6
---(SH-031S)24ツインパワー4000Mのパーツ図より
0005 102XW 耳付座金、外φ21*内φ14*t0.95(耳部除く)
0005 10R5H ドラグ座金(A)、外φ21*内φ14*t0.6
0006 10BCG 小判座金、外φ21*t0.75
0008 10R4W ドラグ座金(B)、外φ18*内φ11.5*t0.6
---(SH-021S)24ツインパワー4000Mのパーツ図より
右下から、対応する元のカーボンワッシャーは
0004 10345 ドラグ座金(SH-041)x 2、外φ21*内φ14*t0.95
0007 10C1A ドラグ座金(SH-042)x 1、外φ21*内φ12.5*t0.95
スプール最下に位置する「10R4Wドラグ座金(B)」の外φが「10C1A ドラグ座金」より小さい。実際にスプールに置いてみる。

外も内も位置が決まらず偏芯する。

ここも外φ21の「10R5H ドラグ座金(A)」のほうが良さそうだ。

改めて「10R5H ドラグ座金(A)」*3枚で並べ直す。
0003 10QBU 小判座金
0005 10R5H ドラグ座金(A)
0005 102XW 耳付座金
0005 10R5H ドラグ座金(A)
0006 10BCG 小判座金
0005 10R5H ドラグ座金(A)
の順で、まずはグリス類を付けずに組み込んでみる。

ドラグノブを押さえてみるとやはりかなりスプールの中に入る。ドラグワッシャー3枚分で1.2mmくらいトータルで薄くなっているから当然こうなる。ノブを回してみても何かに引っ掛かっているような感じはしないが、本当に大丈夫なのか....
確認するにはスプールの断面図を取るしかない。計測して、図面化か.... やるんじゃなかったな....
ということで断面図。計測不能な箇所、内部は省略。

図中グリーンが金属座金類、ピンクがドラグワッシャーだ。
これにデュラクロスを組み込むと、
この構成には問題がある。
「抜ケ止メバネ」とドラグノブ、スプール本体とドラグノブの間隔が1mm、0.9mmとやや小さいことだ。現状これくらいならよいと思うが、ドラグワッシャーは使っていけば摩耗して薄くなる。薄くなる分だけこの間隔は小さくなり、スプールの首振りで各パーツが接触する可能性はある。
最大の問題は、圧縮されたドラグワッシャー厚を0.6mm程度としたときに真ん中と最下のドラグワッシャーが座金やスプール底に適正な圧で接触しない可能性があることだ。これは「102XW 耳付座金」が図中より下に行かない為で、現物でも、
のように座金は溝が切られているところまでで止まってしまう。まあ、構造を見れば当たり前なんだが、これだと適正な圧が掛かって機能するのは上のワッシャーのみで、「102XW 耳付座金」自体もごく小面積の2か所の耳部分でドラグ設定圧を受け止めなければならない。この不安定さはスプール首振りの原因になるし、そもそも耳付座金、及びスプール溝底の付き当て部分が破損する危険性がある。
この問題の厄介なところは、フェルトのドラグワッシャーは圧を加えなければ1mmくらいの厚みがあり、ドラグノブで圧を掛けても「102XW 耳付座金」が溝で底突きをしているかどうか分かりにくいことだ。また、底付きしていて真ん中と最下のドラグワッシャーが機能していない場合でも上のワッシャーのみがシングルワッシャーモデルとして機能し、特にドラグ値が2kg未満の時はドラグが作動時でもこの異常に気付きにくい。
結論としては、19ストラディック3000、4000番スプールのカーボンドラグワッシャーはフェルトワッシャー(デュラクロス含む)に単純には入れ替えは不可、だ。スプールの内部構造が不明だから断言はできないが、カーボンドラグワッシャー搭載の18ステラ、19ヴァンキッシュ、20ツインパワーの各5000番、20ヴァンフォード3000番以上、17/21ツインパワーXD全番手などにも注意が必要だろう。
対策がないわけではないが....
スプール底部にもう1枚「10R5H ドラグ座金(A)」を追加すれば、図面上全ワッシャーは機能するようになるし、各パーツ間の間隔も0.5mm程度拡張することができる。
が、柔らかいフェルトワッシャーを2枚重ねにするとワッシャーが均一に圧縮されないかもしれない。均一なドラグ動作の阻害、及びやはり首振り助長の原因にはなり得る。
ドラグの滑り出しを現行デュラクロスワッシャーと同等にするためには、スプール底部、及び「10BCG 小判座金」の底面に接するのはフェルトワッシャー(今回はデュラクロス)である必要がある。他の材質のワッシャーを入れる、という訳にはいかない。
まあ、やってみないと分からないことだし、そもそもサブリールのことなんだから細かいことを気にしなくてもいいんだが。そういう妥協ができるならそもそも改造などせず純正状態のカーボンワッシャーに戻せばいいんじゃないか、という話なんだよな。
余計なことをしなきゃよかったな、とちょっと思ってる。