今年の夏から鮎の投網漁を始め、やはり釣りとは勝手が違うことを感じてきた。
オカッパリの釣りの場合、ルアー釣りでは殆どリリースなので、移動しながらの釣りであっても釣れた魚は写真を撮るなりしてリリースした後は魚の取り扱いに注意する必要はなかった。浜のキスや汽水域のハゼ釣りは基本キープだが、移動するにしても大した距離ではない。釣れた魚はクーラーに放り込んで氷締めというパターンだから、釣り場とクーラーボックスを行ったり来たりすることはなかった。
これまでの川の鮎取りはヤス突きで、同じところでやってると魚が散ってしまうのと、余り長時間体を水中に浸けると冷えてくるので比較的短時間の漁になっていた。獲れた鮎はみかんが売られているようなネットに入れ、紐を伸ばして腰ベルトに結んで移動していた。
鮎の投網漁の場合、最初は、投網とクーラーボックスを持って移動していた。岸辺や浅いところにクーラーボックスを置いて、その周囲で投網を打つ。獲れた鮎はその都度クーラーボックスに入れるのだが、クーラーボックスは10-20cm以上水深があると流されるので、投網を打っている場所とは離れたところに置いておかねばならないケースが多い。あらかた投網を打ったら、投網とクーラーボックスを持って200-300m上流へ移動し、またクーラーボックスを置いて投網を打つ、その繰り返しだ。
一般的な投網漁のイメージとは違い、鮎漁のように大小の石がゴロゴロした川底で投網を打つと、網に頭を突っ込んだり、投網端部の袋に入った鮎以外に、石の陰に隠れたり、石の隙間から逃げる鮎も居て、網に入っているのに逃げられることがかなりある。なので、網の中に入った鮎は一匹ずつ捕らえてクーラーボックスに入れなければならない。鮎の回収が済んでから初めて投網を回収する、という手順になる。
となると、離れたところにあるクーラーボックスの間を何往復もしなければならなくなり、これがかなりのタイムロスになっていた。勿論、これまでヤス突きで使っていたみかん袋にまとめて入れておいて、ある程度溜まってからクーラーボックスに入れてもいいのだが、ヤス突きとは違い、投網で捕らえた状態では鮎は生きている訳で、みかん袋に入れてしまえばせっかく生きていた鮎も死にやすい。
投網の場合はかなり河川を遡上するので、もともと生きていた鮎はクーラーボックスに入れるまではある程度まとめて生かしたまま携行したい。特に、鮎はハラワタを食べる魚だから、野締め(魚が徐々に弱って死ぬ状態)はなるべく避けたい。
参考にしたのが鮎の友釣りだ。鮎の友釣りでは釣った鮎はオトリに使うので元気なまま生かしておかねばならない。釣れた鮎は引き舟という小型の舟状の箱に入れ、紐を伸ばして腰ベルトに付けておく。投網の場合は獲れた鮎を生かしておく必要はないが、鮮度を保ったまま手元に置いておくには生かしておくのが一番いいので、引き舟はやはり有用だろうと考えた。
地元の河川は鮎のサイズは大きくなく、都度クーラーボックスに移すだけの数量が入ればいい。となると引き舟は出来るだけ軽量コンパクトなものが携行の面で望ましいし、小さいものは価格も安い。
有名なのは、
ダイワ 友バッグ2。普通のプラスチックの引き舟とは違い収納部分が袋になっている。これはバッグなので軽く、直接腰ベルトに付ければ浅いところでも使いやすい。鮎のみならず渓流釣りでも魚が生かせた状態にできる魚籠代わりに使う人が居るようだ。
選んだのは、
ダイワ 友舟 GX-420W、楽天で6,560円。友バッグより安かった。
容量4.2Lで引き舟としては最小クラス。友バッグに比べるとさすがに重いが、それでも単体重量は900g程度。流しておいてもそんなに引き抵抗はないし、思ったほどは投網の邪魔にはならない。これを使い始めてから44匹、34匹と比較的多く鮎が獲れ、そこそこの数を入れたが、投網から外すときに目立ったダメージがなければ殆ど鮎は死ぬことはなかった。流石、友釣り用に考えられた道具だな、と感心した。
クーラーボックスを持って大きく移動するときに活かした状態の鮎をクーラーボックスに入れれば、それで氷締めができる。
かなり理想に近い道具といえるが、問題がないわけでもない。
移動するときは腰ベルトに引っ掛けておけばいいのだが、それでもそれなりの容量のものと腰ベルトが増えるわけで、携行性は落ちる。引き舟を流している状態で投網を打っても思いの他邪魔にはならないが、魚を回収するときは広げた投網の上に流れてくることがあり少々鬱陶しく感じることがある。
浅場、大きな石があるところではどうしても底にガツガツと石に当たることが避けられず傷がつく。
2回しか使ってないのにこんなに傷が。そもそも引き舟はそういうもので、使ってれば傷だらけになるものらしい。少しでも傷を防ごうとするなら、浅いところではある程度水を抜き腰にぶら下げるておくなど手間はかかる。
最も大きい問題は、この舟に生きたまま鮎を入れれば長時間元気なままキープしておけることだ。そのために購入したのにそれが問題点になるのも妙な話だが、元気なまま網から外して入れようとすると鮎に逃げられるケースがあることだ。以前は逃げられないように、網の中で魚のエラに指を突っ込んで弱らせてから回収していた。最後の力を振り絞って逃げる魚も偶に居るのだが、遠くには逃げられず川底で弱って沈むことが多い。なので取り逃がす、ということは少なかった。
鮎は頭が小さくて細長く、ドジョウほどではないがヌルヌルしてるので、特に小さいものほど指の間をすり抜けやすい。回収するときは「絶対に逃がさないぞ」と指の間に頭を出さないようにしっかり掴むことを意識する必要がある。
ま、いろいろあるが、特にこの小型の引き舟は投網漁であっても使い勝手はよい。今年は禁漁が近いが、来年からはこのパターンでいけそうだ。