折角投網を買ったのだから、と、この夏は鮎取りで川に出る週末になっている。

距離にすればせいぜい片道1km弱ほどを遡上し、また元のところに戻ってくるだけだが、投網を打ちながらなので結構な運動量になる。普通に歩くなら1kmの往復なんて運動にもならないが、足元のおぼつかない滑りやすい河原の石底を流れに逆らって歩くわけだし、錘のついた総重量4-5kgの投網を抱えながら魚を入れるクーラーと行ったり来たりとなると距離に対して何倍もの全身運動になる。最初の頃はヘトヘトで、家に帰ると体中が攣って悲鳴を上げていた。

ただ歩くだけならモチベーションに乏しいが、そもそも目的は歩くことではなくて鮎取りなのでもう少し、もう少しと歩数も増える。鮎の塩焼きも食べれて結構な運動も出来るし、なかなかいい夏の趣味って感じだ。鮎好きの義母がおすそ分けを喜んでくれるのもよかった。

 

最初は上手く打てなかった投網だが、今ではそこそこ狙ったところにある程度の広さで打てるようになってきた。最近では出れば20-30匹くらい獲っている。

今期は総数で80-90匹くらい獲ったのだろうか。投網は普通の人が思うほど効率的なものではないが、それでもヤスではこの数は無理だ。

 

石がゴロゴロした川底で投網を使うと、どんなに注意していても網の外周に近いところのナイロン糸が石に擦れて弱くなる。網を無理に引っ張ったりはしないのでビリビリと広範囲に破れることはないが、糸の摩耗が蓄積し毎回2-3か所は小さい穴が開く。こういった河原では、投網を打った後に掛かった鮎を一匹ずつ網から外して回収し、最後は引っ張らずに周囲の錘を少しずつ集める感じで網を収納するほうがいいのだろう。

穴が開いたままだとそこに力が集中して更に穴が大きくなりやすいので、都度修理する。

網針、通称アバリと言うようだ。最初はこんなもの必要ないと思っていたが、これがあるのとないのでは修理の能率が全く違う。というかこれなしでは実質的に網の修理は無理だろう。

漁の後は網の掃除もしないといけないし、魚取りも道具が大きくなってくればそれなりに後始末も大変だ。

 

ヤスでは敵わないほどの数の鮎が投網で獲れるのは事実だが、どうしても取れる鮎に違いがある。

投網の場合は、単独で縄張りを占有している比較的大型の鮎は打ち損じが多く基本狙いにくい。効率を考えるとどうしても群れの鮎を狙う訳だが、こういう群れは縄張りからあぶれた魚でサイズが小さく、いいコケを食ってないので特にハラワタの食味が劣る。

これは縄張りを持っている鮎との比較だから、それでもまあ美味しいのだが。

 

ヤスを構え、大型を選んで突く方が結局いい鮎が獲れる。川を知り尽くした叔父がヤス漁に拘っていたのはやはり理由があったのだろう。今となっては他界した叔父にその真意を聞くことも出来ないが。

どちらもできるように投網に加えてヤス、水中メガネも持っていけばいいのかもしれないが、機動性が落ちるのでこれも考えどころだ。

 

たかが趣味の鮎取り。なんだけど、どんな趣味も追及していけば難しい。だから面白いのだろうな。