浜のスズキは今期はもう終わりなんだろう。

12月の前半はカタクチイワシと思われるベイトの接岸が収まったのち、コノシロに付く大型を期待したが、荒天続きで10日ほど浜に出れなかったのが痛かった。間をみて2-3度出てるが全くのノーバイト。それでも年初に掛けて釣りに出れば大型が拾えるのかもしれないがこれはもう運だろう。

 

で、浜のスズキ釣りで使うリールの話。

 

30年ほど前から始めたこの釣り。当初釣り仲間が使っていたのはシマノのバイオマスターかツインパワーだった。ツインパワーは当時の私には高価で買えなかったし、初心者だったので仲間の勧めでバイオマスターの4000番に3-4号のナイロンラインを巻いて使っていた。

バイオマスターでも自分には安い買い物ではなかったので、当然ダイワのリール、同クラスだとエンブレム辺りも検討はしていた。が、ダイワのこのクラスのリールはローターの回転バランスが悪く、言い方は悪いがワゴンリールのような感触だった。私が使ったわけではないがドラグの作動も不安定だと言われていて海のルアー釣りではシマノしか選択の余地はなかった。

一旦こういう固定観念が根付いてしまうと、安いとは云えないリールの買い替えに冒険はできない、アルテグラ、バイオマスター、或いはその価格帯のリールを買い替えていき現在へと至った。当然ダイワのリールが良くなっているということは情報として分かっていたのだが、どうしても身銭を切る立場だと替えスプールの互換性も含めてリールメーカーは変更しにくかった。

 

で、結局現在は、

20ツインパワー4000MHGと4000。他に予備としてストラディックや汽水湖用にツインパワー3000MHGなども所有しているが、浜で使うメインはこの2台だ。

サーフのルアーフィッシングはハイギア、或いはエクストラハイギアが当然、という風潮であるが、私の釣りではマズメ、夜間のミノーイング主体でありルアーの操作に限っては速く巻く必要がないし、波の押し引きでリトリーブ速度は断続的に調整する必要がある。スローリトリーブ主体で、巻き、止めといった操作を伴う釣りでは、巻きが重い高ギア比リールはストレスが予想され、浜で使う4000番のリールはずっとノーマルギアばかりを選択してきた。

それでも実際にハイギアの有用性を確かめたくて初めて購入したリールがツインパワー4000MHGだった。確かに巻きは重かったが、狙ったポイントをルアーが通過した後の回収、及び魚がヒットした後のやりとりでは僅か10%程度の巻き速度の速さだったが、それはそれで有用だったこともまたわかった。

 

どちらのリールであっても両方のケースに対応できなくはないが、デイゲームをやらない条件でどちらか1台しか持てないならやはりノーマルギアだろう。そしてハイギアの巻きの重さ、特に初動、止めといった操作の重さは気になるところだ。だが、どうせハイギアリールを併用するなら別のリールでこれを改善したいと思っていた。

 

まともに考えるならシマノのクイックレスポンスシリーズ、

21ツインパワーXD 4000HG、これだろう。ボディー構成はノーマルツインパワーと同じ、どう考えてもプラのマグナムライトローターがアルミのノーマルツインパワーに比べて耐久性に勝るとは思えないが、傷のつきにくいバリアコートスプールリングの採用だけでeXtream Durability(過剰な耐久性)を謳う、ちょっと意味が分からないモデルだ。単にノーマルツインパワーのライトモデルというのがこのXDの実態だろう。

売り文句は疑問しかないが、ハイギアであってもツインパワーのノーマルギアに匹敵する巻きの軽さが期待できるXDはシマノでは有力なモデルだ。クイックレスポンスシリーズとしてはハイブリッドマグネシウムボディーの19ヴァンキッシュ、21エクスセンスがある(22ステラ以降の密巻きモデルは購入対象外)が、10ft前後のロッドには軽量すぎ、この無用な軽さのためにXD以上のコストを払う必要などないだろう。

 

ということで、中古も含め価格を調べたりしていたのだが、そうなると気になるのがこれだ。

24セルテートLT4000-CXH。

ダイワ機のスピニングリールを使ったことはないが、このクラスのダイワ機の優位性はもう疑う余地はないだろう。シマノの4000番より大口径のマスターギア(シマノφ30-32、ダイワφ35)を搭載するにも関わらず、フルアルミモノコックボディー(シマノはCi4プラ+アルミ)、Ci4より高硬度なザイオンローター。にもかかわらずノーマルツインパやXDよりわずかに軽量なのだ。

スペックに限らず実釣の評価も19セルテートからすこぶる高く、個人的にはイケてないデザインではあるが、スズキを釣る道具として隙が無い。勿論、セルテートにすれば手持ちの替えスプールは活かせなくなり、従来のスプールの整理売却やダイワの替えスプール購入など余分な出費も必要になる。セルテ―ト自体も最新モデルだしXDより高価で財布にも厳しい。

 

長年シマノのリールで満足はしていた。だが、今となってはモノコックボディー、ザイオン樹脂といった優れた技術、突き詰められた道具としての利便性の追及といった現状のダイワの姿勢には共感する部分がやはりある。

片やシマノは22ステラから過去ライントラブル多発で修正を余儀なくされた超スローのスプールオシレーションで密巻きを復活させ、少なからず従来の非密巻きモデルよりトラブルが発生しているユーザーが居る、という事実に公の見解を示さずにいる。契約テスターらは「あなたが下手だから」、「使い方の問題だ」などユーザー側の問題だという態度を変えていない。

 

個人的にはこれまでリールメーカーを変更する、という冒険を冒したくないからシマノを使ってきたが、彼らの企業理念に共感してる訳でもない。実際に今のシマノではスピニングリールの技術特性や、ユーザーに向き合う態度はダイワに及んでいないと判断せざるを得ない。

当然のことだが、どちらを選択するにしてもコストは考慮しなければならない。XDはローター、巻上力が弱い、少々重い、といったところでそれはセルテート比較すればの話であって80アップのスズキの釣りくらいで実質的な問題がある訳ではないし、単体でのコストの安さや現有の替えスプール資産の活用を考えればトータルでやはりXD、という判断になるかもしれない。将来性の乏しいシマノのスピニングリールからは抜けたい、という気持ちはあるが。。。

 

更に引いて考えると、少々の不満があるだけで現在のリールで釣りが出来ない訳ではない。趣味や贅沢に使う金には労働所得を充てない、というのが自分の方針だ。投資で十分に支払える額が儲かれば新しいリールを買うかもしれないが、そうでなければ我慢するだろう。なるべくこれは守っていきたい。