2021年1月12日

 

ラウラが初めて可変機と初戦闘を行ってから数週間が過ぎ、年が明けた。

その後、可変機能を持つグラージと遭遇する事はなかった。

その間に海兵隊員としてきちんと任を全うしてるが、何処か心の中がぽっかり穴が空いたかのような感覚に陥った。

 

その頃、地球衛星軌道上では・・・

 

「オペレーション・ザ・フォー・ホースメン発動!」

 

「降下目標、ウラジオストク.エリアUー1」

 

「降下任務航空団、突入!」

 

「日本列島、朝鮮半島の航空部隊も呼応して目的地に向け出撃しました。」

 

新統合軍情報局がウラジオストクにて反統合勢力の朝鮮再興軍.シベリア独立解放軍が集結している情報を入手、新統合軍総司令部はオペレーション・ザ・フォー・ホースメンを発動し殲滅を計った。

 

結果は数時間で新統合軍の圧勝に終わり、金正一やウラジミール・マレンコフらが陸戦隊により拘束された。

 

【空母シナノ 吉野大樹執務室】

 

新統合軍の反統合勢力殲滅作戦の報は大樹にも伝わった。

当然の結果だろうとパソコン内の銀河ネットワークのニュースを閉じ、目の前にいる1人の女性兵士と対談を始めた。

 

「シュリ・ベルラン少尉、単刀直入で言うが私が転属するアンサーズ中隊の隊員にならないか?」

 

「大変申し訳ないのですけども、私の実力では吉野副隊長のお役に立つ事が出来ません。」

 

ゼントラーディ人で元海兵隊員だったシュリ・ベルラン少尉を勧誘するも、あっさり断られた。

腕前もよく文句ない人材だが、シュリ本人は乗り気ではなく断られた。

 

「どうしてもダメなのか?」

 

「後、クラビウスと言う環境お気に入りなので銀河転々とするのは嫌ですね。」 

 

「そうなのか」

 

そもそも実力が足りてない.お気に入りの環境から離れたくないと言っているシュリであったが、明らかに嫌そうな表情を浮かべていた。

もう1人の部下であるリック・ニーヴン少尉も同様な反応をしていた。

 

「ならば1年前、我が隊に配属される前いや訓練生になる前の同僚で目ぼしい人は居るか?」

 

「第29海兵隊に・・・ですか?」

 

「そうだ。まぁ聞くだけだがな。」

 

シュリは1年前は第29海兵隊に所属していた。

第29海兵隊つまりラウラの同僚であり、同じキヨラ機動戦隊出身の戦友だった。

一期後輩のシュリは戦後長らく海兵隊員としてクァドラン・ローに乗っていたが、地球文明への憧れからマイクローン化し訓練を経てブラックパンサーズ中隊クーガー小隊の一員になっている。

 

大樹はシュリの第29海兵隊員としての前歴を利用し目ぼしい人材がいないかを確認しようとした。

 

「今も海兵隊にいると思うんですが・・・」

 

「誰だ?」

 

「ラウラ・ベルタリア曹長、ゼントラーディ軍時代からの戦友なんですが・・・」

 

大樹からの問いに対しシュリはラウラを推薦した。

 

現在進行形でゲラムの駆るヴァリアブル・グラージに遭遇し人生観が一変しつつあるラウラだが、戦友の1人であるシュリから評価は高かった。

 

「ラウラは私の1期上の先輩でして・・・・」

 

ラウラは1998年にゼントラーディ合成クローンシステムにて製造され、直後にキヨラ機動戦隊に配属された所からシュリは話し始めた。

これまでのラウラの戦歴や戦術などを話せる限りの事をなんでも・・・

いろいろと話すシュリだが、大樹はある話に食いついた。

 

「ラウラはパイロットとしての腕でなく、分隊長でしたが指揮能力も優れています。」

 

「なるほど、どんな戦術を執ったのですか?」

 

「僚機にミサイルで牽制し自身は正面から斬り込んだり、時には自身が牽制し僚機でトドメを・・」

 

「なるほどな。」

 

ラウラはパイロットの腕でなく、指揮能力も優れておりメフォリアやアンジェミラを指揮していた。

 

能力が優れているラウラは切り込み隊長として正面から仕掛け、メフォリアとアンジェミラに支援特化させるなどきちんと役割分担をした戦術を取っていた。

 

これらを徹底させた事によりラウラ達は今日まで生き残る事が出来た。

 

大樹はもしマイクローン化したらスカウト出来ないかと期待していた。

 

「でも頭は固くゼントラーディ軍人としてのプライドが高いため、恐らくは・・・・」

 

現実は残酷だった。


ラウラをアンサーズ中隊にスカウトできるかどうかだが、新統合軍人とは言えゼントラーディ軍人としてのプライドが高いため不可能に近い。

シュリは申し訳なさそうな表情を浮かべながら大樹に正直に伝えた。

 

「ありがとう、ベルラン少尉。」

 

「お役に立てずにすいません。」

 

ラウラがもしマイクローン化したらスカウトしたかったが、無理であるならば仕方がない。

大樹は残念がりつつ、部屋から退出するシュリを見届けた後再度もう一度人材探しに取り組んだ。

 

【同時刻 太陽系外縁部冥王星】

 

 

 

ケアドウル・マグドミラ級メルトラスは僚艦のスヴァール・サラン級2隻と共に、4隻のピケット艦に護衛されたキルトラ・ケルエール級と合流していた。

 

「冥王星ケルベロス宇宙軍基地所属.補給艦ステュクス以下補給部隊、メルトラスの補給修復に来た。」

 

「ありがとう、ただちに補給作業してくれ丁度食料や水や弾薬が不足してきた所なんだ。」

 

「任せろ、たっぷり完璧に補給してやるさ少し待ってろ!」

 

キルトラ・ケルエール級以下5隻は冥王星衛星ケロベロス基地から来た補給部隊であり、弾薬や修理資材.食料や水などの補給物資をメルトラスに届けに来た。
 

「こちら第3ヌ―ジャデル・ガー部隊哨戒任務を開始します。」

 

「頼むぞ、補給作業中に敵に襲撃されてダメージを負うのは洒落になんねぇからな頼みますぜ。」

 

「へいへい分かりましたよ、そのかわり完璧にこなせよ。」

 

メルトラスはハッチから補給作業の警備ため、ヌージャデル・ガー部隊が出撃させた。

ヌージャデル・ガー隊は艦隊の周囲に展開し、警戒任務に就き艦隊周囲に補給部隊クァドラン・ノナ隊やクァドラン・ロー部隊が展開した。

 

「・・・・」

 

「ベルタリア曹長」

 

「あぁご苦労様。」

 

補給作業中のメルトラスの廊下で女性兵3人に敬礼したラウラは少し離れた場所でため息を吐いた。

 

「同胞との戦い・・・先の戦いで見た姿を変えるグラージ・・・はぁ」

 

あれ以来、ゲラムの駆るヴァリアブル・グラージと遭遇していない。

 

一ヶ月近く経っているが、特に何事もなく日々の勤務に務めていた。

可変する兵器と出会うことも無く、ひたすらはぐれゼントラーディと戦っていた。

 

「ラウラ大変よ!大変!」

 

メフォリアとアンジェミラが慌てた様子で駆け寄って来た。

ラウラはジト目で、振り返った。

 

「メフィリア、それにアンジェミラも一体どうしたの?はぐれゼントランか反統合勢力でもでたの?」

 

実は統合軍でトップの実力を誇るVF部隊と演習するらしいって、艦長が言ってたわ。」

 

「へぇ〜」

 

意味が分からなかった。

VFと言う単語が分からなかった。

メフォリアの言っている事が分からなかった。

 

トップの実力を誇る部隊なのは分かったが、VFと言うのが何なのか分からなかった。

 

「初とVF部隊との演習、なんかワクワクするわね」

 

「そう言えば、VFってなんだっけ?」

 

ワクワクするメフォリアに対しラウラはきょとんとVFなんなのかを疑問を述べた。

笑顔で話していたメフォリアは一瞬真顔になり、信じられないと言う表情を浮かべ、アンジェミラは飽きれたと言う感じで頭を抱えていた。

 

「えっ5ターム前に一緒に戦ったじゃない忘れたの?

 

「覚えてない〜」

 

「この前、うちの部隊にいたシュリがそれ目当てで転属したのに!?」

 

VFは10年前にボドル基幹艦隊決戦の時に共闘しており、つい最近なんかはシュリがVFに憧れを抱きマイクローン化し訓練生を経て大樹のいるブラックパンサーズ中隊に転属している。

 

いくら海兵隊とは言えVFは常識単語であり、知らない人はいない。

 

ラウラのマイクローン文化への関心のなさに2人は驚き飽きれた。

 

「恋すらしらずのラウラはゼントラーディ軍時代と変わらず。」

 

「今も昔も私はゼントラーディ軍だ!」

 

メフォリアは皮肉る事を言うとラウラは今もゼントラーディ軍人だとキリッと答えた。

ドヤ顔してラウラは言っているが、2人は更に飽きれた。

 

「今は新統合軍軍人でしょう」

 

アンジェミラは呆れた顔をしながら、ラウラに苦言を述べた。

今の自分達はゼントラーディ軍ではなく新統合軍である。

ゼントラーディ軍人の身分なんて先の大戦末期にとっくに捨てている。

 

「まぁいいわ、VFは可変戦闘機。ブリタイ司令率いるアドクラス艦隊や私達の所属していたラプラミズ艦隊、ミリアの部隊と交戦したマイクローンが運用する兵器よ」

 

何にも分かってないラウラに情報通のメフォリアは自信満々にVFの説明を始めた。

好奇心旺盛な性格であり、大戦後いろいろな知識を得ているメフォリアはオタク化した。

大戦中のアドクラス艦隊との戦闘の詳細やミリア隊との戦闘の記録の詳細など何でも知っている。

 

「マイクローンの?どんな形状を?」

 

「三段階に変形し、通常のファイター。バトルスーツみたいなバトロイド、手足のあるファイターのガウォークがあるわ」

 

「変形・・・・・マイクローンの考える事分からんわ」

 

豊富な知識に基づく説明はラウラに関心を持たせる事に成功し、質問するようになった。

どんな形状をしているかとラウラは質問をし、メフォリアはファイター・バトロイド・ガウォークの3段変形すると応えた。  

 

変形・・・以前見たグラージが使ってた変化だ。

 

地球人の考えている事が分からんとラウラは呟きながらも、心の中では地球人があのグラージを作ったのではないかと思った。

ゼントラーディ軍は新兵器は作らない、作るのは地球人だけだと・・・

 

ラウラの推測は当たっており、ゲラムの乗っていたヴァリアブル・グラージは惑星クラストラニアの反統合組織がニューナイル兵器開発工場にて開発された物だ。

 

マックスとミリア率いるダンシング・スカルにより開発施設は破壊されたが、設計データは分散されて保存しており全銀河にて製造され各地の反統合組織や闇商売人により運用されていた。

 

地球人の持つ技術と自分達ゼントラーディ人の技術が融合し新たな脅威となっている。

ラウラは地球人に畏怖の念を抱いた。

 

「で・・・・何故、今更演習を?5タームもやってないのに・・・・」

 

ラウラは10年以上、地球人の部隊と演習やってないどころか殆ど共に軍事行動した事が無かった自分達が何故今頃VF部隊と演習するのか疑問に思った。

何故、今になって自分達演習するのかは意味が分からない。

 

「人手不足なんじゃないのかしらね、あちらさんは私達と違って製造じゃないし。それにパイロットも少ないんだと」

 

「製造じゃない・・・・・」

 

「ずっと裏方中心にやってきた私達は後回しにされ、ようやく戦力が整ってきた今・・・ 演習だとさ」

 

先の大戦末期のゼントラーディ軍の総攻撃で人類の大半を失った事により人手不足に陥っていた。

新統合軍は大規模な軍拡を行なっていたが、それでも人手不足を補えず模擬戦はVF部隊や一部の海兵隊に優先されラウラ達が所持する第29海兵隊などの末端の部隊は後回しにされていた。

 

今回、ようやく余裕が出始め第29海兵隊に演習する機会がまわってきた。

 

「っで・・・・何処の部隊だ?」

 

「知ってるのはSVFー31ホークス、マイクローンの海兵部隊よ」

 

「相手も海兵なのか、中々面白そうだな」

 

「まぁその他部隊も参戦予定らしいわ。」

 

演習に参加する予定の部隊は海兵隊VF部隊の一つであるホークス中隊を始め地球圏各地から集められた精鋭部隊ばかりであった。

移民船団や植民惑星所属部隊は参加しておらず、地球や月面を始めとする太陽系防衛を担う部隊のみが参加を許されていた。

 

「でも負ける気がしないな、マイクローンの兵器如きに私は負ける気がしない」

 

噂じゃエースのミリアはそのマイクローンの兵器に負けてしまったらしいわよ」

 

「エースのミリアがマイクローンの兵器に負けた・・・ふっ笑える」

 

ラウラは変形するグラージにリベンジを果たすため器量を上げる努力をしており、太陽系各地のVF部隊に負ける気がしないと言えるほどの自信を持っていた。

アンジェミラがさらっとミリアがマイクローンの兵器に負けた事実にラウラは満足そうに笑った。

 

笑っているラウラだが、ミリアが負けた相手が天才エースマックスであり、自身の実力よりも圧倒的上だと言う事実はこの時まだ知らなかった。

 

「笑ってていいのかね?」

 

「なんで?エースのミリアを地に落とした機体だよ、マイクローン兵器に負けるミリアは惨め・・」

 

私が言いたいのはエースのミリアより技量が劣ってるのに、自分はそんな事言っていいのか・・・」

 

「それは・・・・ん・・・」

 

ラウラは今馬鹿にしているミリアより技量は劣っているので笑える話ではない。

ゼントラーディ軍時代目の敵にしてはいたが、ミリアに匹敵するほどの実力はなかった。

 

戦友に指摘されたラウラは気まずそうな表情を浮かべながらも何処か不満を抱いた。

 

「キヨラ隊長を強く慕っているラウラ・ベルタリア3級空士長、更に言うけど猿も木から落ちるだよ。」

 

「なんだそれ?」

 

「マイクローンの言葉で、簡単に言えば自信タップリなエースが油断して名も無き一般兵士に落とされる意味だよ」

 

「私がそれ?」

 

「まさにそれよ・・・・」

 

物知りであるメフィリアはラウラを猿も木から落ちると言う諺を使って皮肉った。

 

ラウラは猿という動物は当然知らないのでメフィリアに言葉の意味を聞くと、分かりやすく自信満々のエースが油断して名も無き兵士に撃墜されると答えられ顔を赤くした。

 

いくら油断しても名も無き兵士なんぞにやられんぞと

 

 

「まぁラウラも、VFにボロ負けしたら何か価値観変わるかもね〜」

 

「VFに乗りたくなって、転属希望しマイクローン化〜ありえるね〜」

 

「茶化すな、誰がマイクローンの兵器に乗りたくなってマイクローン化するか。私はクァドラン・ローでも十分にやれますから」

 

「強がっちゃって」

 

「強がってない!」 

 

ラウラがVFにボロ負けして性能に驚きマイクローン化し転属してVFパイロットになるのではとアンジェミラに茶化されたが即座に否定した。

 

まだまだクァドラン・ローは現役で戦えるし乗り換える必要はないと思っていた。

 

とは言え本音を言えばラウラは変形する兵器に乗ってはみたかった。

ヴァリアブル・グラージの柔軟な動きを見たり、見たことのない戦術に興味があった。

クァドラン・ローはまだまだ戦えるが、もしVFと言うのが予想以上の性能であればマイクローン化し隊を離れてパイロットに志願するのも悪くないと思っていた。

 

表沙汰で言えないのはゼントラーディ人が故のプライドからであり、本音を素直に言えない。

 

「まぁ実際にやってみて考えてみたらどうかしら?」

 

「実際にやってみて考える・・・・」

 

「実際にやらなくて、見下すのはよくないよ。今は昔みたいにあの考えが絶対とかないんだし。」

 

「ぬぅ・・・・・ 」

 

マイクローンいや地球人はそれが当たり前だってさ」

 

ゼントラーディ人のプライドと自身の本音の狭間で悩むラウラの姿を見てメフィリアは助言した。

 

実際にやってみて考えてみてはどうか?・・・と

 

物事には実際やってみないと分からない事が多い。

人々は根は保守的であり、新しい事に挑戦する事を躊躇うどころか拒否し見下してしまう。

 

  • 実際にやらなくて勝手に否定していいのか?
  • やらなくて見下してもいいのか?
  • 実際にやらなくて物事の価値を勝手に決めていいのか?

 

人類はまだ幼いが故に物事の価値をやる前に決めてしまいがちである。

その点は地球人もゼントラーディ人も変わらない。

 

メフィリアの助言を聞いたラウラは確かになと理解し、無意識に心境の変化が生じた。

 

「VFに・・・負けたミリアって生きてるのか?」

 

ラウラはメフィリアにVFに負けたミリアの生死について確認した。

ゼントラーディ人の常識的に負けたはを意味する。

 

負けたとなるとミリアは戦死したと言う事になる。

 

質問を聞いたメフィリアは呆れた顔をして言葉を発した。

 

「あのエースのミリアが死ぬはずないでしょ、キヨラ隊長のライバルだし。生きてるわよ、しかも今はVF・・・・ 可変戦闘機のパイロット」

 

「ミリアがVFのパイロット!?」

 

「噂じゃ特殊部隊やってるそうよ」

 

「ヤック・デ・カルチャー」

 

ミリアは生きており今もVFパイロットどころか特殊部隊の一員として全銀河規模で活躍している。

まさかの発言にラウラは思わずとても恐ろしいと思ってしまった。
 

(作画いわしぃさん

 

思い出せばミリアがマイクローンスパイになり、マイクローンの艦に潜入した事があった。

食事の席でミリアの悪口を言ってた時、ミリアの部下達と乱闘騒ぎを起こした事があった。

 

ミリアは生きてたな・・・今でも・・・

 

「とりあえず、VFの演習次第で」

 

「何が演習次第で?」

 

「何でもない!」

 

「まぁその演習で戦えばいつぞやのグラージに勝てるかもよ」

 

「うっさい」

 

VFと戦えば何か分かるかもしれない、これからの自分がどのように生きればいいのかと・・

 

ラウラはヴァリアブル・グラージと戦った時、衝撃が大きかったし価値観に変化が生じていた。

VFと戦えば人生を大きく変える切欠になると考えており、演習を楽しみにしていた。

 

ただこれは今までの自分の否定、戦友との別離を意味しておりメフィリアとアンジェミラに正直に話す事に躊躇いがあった。

 

 

【西暦2021年1月15日】

【新統合宇宙軍クラビウス基地白川秀康提督執務室】

 

この日、茂人は単身.基地司令部の白川提督の執務室を訪れていた。

最初は仕事の話とは関係なくお茶と菓子を食べながら趣味の話をして場を和ませていた。

 

「いよいよ、最終段階だな。桐原少佐」

 

「はい、何とか人員はほぼ確保しつつあります。」

 

ある程度趣味の話が落ち着くと本題に入った。

本題であるアンサーズ中隊の人員確保の話である。

 

茂人曰く人員確保の面はある程度スムーズに確保が出来ており、茂人・大樹体制である程度の小隊が編成するに至っている。

 

「人員不足もある中で、優秀な人材を集められた事は幸運でした。感謝します。」

 

「いや感謝するのはこっちさ、出切れば君の妻の桐原大尉も招集したかったが・・・」

 

「妻はだめですよ、それにただでさえ迷惑かけてるし。」

 

妻の招集の件を軽く断りつつ、人員確保が予想以上に進んだ事に茂人は感謝した。

白川提督の尽力もあってか、過半数の人材を確保する事に成功した。

 

ただ・・・・・

 

「吉野大尉、あのマーズウォーズ事件の英雄は元気か?」

「はい、原隊で人員確保してますがうまく行かないそうで・・・」

「まぁ人手不足だし、仕方がないな。」

 

大樹の方は自分の所属部隊から人材を集めているが、成功してはいない。

 

エリート街道を歩んでいる大樹だが、頭が堅いと言う弱点を抱えていた。

真面目な性格であるが故に堅物であり、他人とのコミュニケーションが弱かった。

 

なんせ闇の貴公子と言う異名が言われるほど、近寄りがたい雰囲気がある。

 

「順調とは言え残りの人材が揃うか心配だな。」

 

「大丈夫だ、部隊に適切な隊員候補がいたら君に伝えておく」

 

いくら人員確保が順調とは言え残りの人材が全員確保できるかは不安である。

白川提督は適切な隊員候補見つけたら茂人に伝えるというが、先の大戦が原因の人材不足である今の御時世だからこそ信用ならない。

 

茂人は信用してないと言う表情を浮かべると、白川提督はニヤッと笑って言葉を発した。

 

「保険として君を機種転換センターの教官として出向する。」

 

「はぁ?」

 

「カゴメ・バッカニア少尉を副官として派遣する。オペレート役は必要だからな」

「・・・・・」

 

機種転換センターの教官としてカゴメを副官に出向させると・・・・

突然の命令に茂人は呆れるも、何を言っても無駄だと考え渋々承諾した。 

 

承諾しなければ妻のデワントンが代りに招集され、子供たちが寂しい思いをしてしまう・・

白川提督なら絶対にやりかねない。

家族の危機を察した茂人は自ら人柱となり、矛先を向かないようにした。

 

「家族想いだな、桐原予備役少佐は・・・・」

「そうなのですか?噂では機種転換拒否して。左遷の末・・・予備役編入されたと噂ですが」

「噂じゃないよ、あの第1次星間大戦を生き抜き出世コースを歩むはずが・・・VFー1に拘り機種転換拒否した。まぁバカだよ」

「なるほど、馬鹿ですか・・・」

 

話し合いが終わりメロディーと2人きりになると白川提督は茂人について語った。

 

自身が拒否し妻のデワントンが招集されるのを防ぐ為に積極的に命令を承諾する。

これほどまでに使い勝手のいい人材はいない。

 

聞いていたメロディーは納得してない表情を浮かべながらも茂人の過去の機種転換拒否とそれが原因になって左遷された噂について述べた。

 

フフと笑った白川提督は噂を事実だと肯定した上で茂人をバカだと評した。

 

バカだと評したのは、茂人が正直であり与えられた任務は忠実にこなす反面、常識では考えられない発想で行動に移し予想もしない実績を残しているから。

 

「今回、桐原予備役少佐を招集したのは彼の腕を惜しんだからだ。このまま腐らせるのは勿体ない。だからアンサーズ中隊の隊長として抜擢したんだ。」

 

「なるほど」

 

「まぁバカだが、いい戦果を残してくれるだろう。あの地獄を生き抜いてきた猛者だからな」

 

予期せぬ実績を生み出すバカをスーパー銭湯の店主のままにするのは勿体ない。

せめてビンカーキン少佐との計画の橋頭堡となる1年間はきっちり働いてもらわねば・・・

 

「まぁどんな結果になるにせよ、いい結果は残してもらいたいものだな。」

 

「そのとおりですね。」

 

我々のためにな。」

 

この1年間が勝負・・・

 

茂人が精鋭揃いのアンサーズ中隊を率いてどんな実績を残せるのか白川提督は楽しみにしていた。

どんな結果にせよビンカーキン少佐率いる一派とスポンサーである新星インダストリー社が進めるVFー1の真の後継である次期主力可変戦闘機計画を前進させる結果であれば満足である。

 

白川提督は茂人を使い次期主力可変戦闘機計画において実績を積み自派閥拡大を目論んでいた。

 

全ては来たるべき政界進出そして大統領選の為に・・・

 

【西暦2021年1月16日.クラビウス基地第8格納庫】

 

クラビウス基地外縁部にある第8格納庫にVFー4ライトニングⅢが飛来した。

左翼が大きく抉られていたが、ガウォーク・ファイター形態に変形した事もあり墜落せずホバリングで第8格納庫まで到達した。

 

「シナノに帰還せず直で来いか・・」

 

パイロットは大樹であった。

 

クーガー小隊を率いてリケトスクレーター哨戒任務中にステルス塗装のSVー52オリョール1個小隊の襲撃を受けた。

激しい格闘戦(ドックファイト)の末に実施したサッチウィーブ戦術の際に攻撃役である大樹のVFー4の左翼とSvー52のコックピットがぶつかる空中接触した。

 

Svー52と接触撃墜後、直ぐ様ガウォーク・ファイター形態に変形し事無きを得たが残りの2機が逃亡すると言う失態を犯してしまった。

 

そのままシナノ帰還を目指していたが、茂人からの呼び出しでシュリとリックの2人と離れ指定された第8格納庫に向かった。

 

「うひぃ派手にやらかしたなぁ。」

 

「あんたは?」

 

「自分は第8整備隊.西村陽一曹長であります。」

 

「俺はブラックパンサーズ中隊.副隊長の吉野大樹大尉だ!よろしく頼むぞ曹長。」

 

大樹はVFー4のコックピットから降りるとメカニックマン達がやってきた。

整備担当の西村曹長などのメカニック達は大きく抉れた左翼を見て驚きつつも作業に取り掛かった。

 

「翌日までシナノに帰れない?どう言う事なんだ西村曹長?」

 

「桐原少佐の命令で一緒に飲むから帰るなら明日にしろだそうです。しかも自宅に泊まらすと・・」

 

「マジかよ。」

 

「ついでに言うならばシナノには連絡済みで報告書や副隊長の業務とかは代行者いるのでやらなくていいらしいです。」

 

呼び出しは今日一日で終わるかと思っていたが、茂人は一緒に飲みたいと言う理由で翌日にシナノに帰還するようにと言われ大樹は唖然とした。

帰ったら報告書とか副隊長としての業務とかやらんといけんのにと頭抱えたが、シナノに連絡済みで報告書や副隊長の業務は隊長のクン・ドユン少佐等々が代りにやるので必要ないと西村曹長は言った。

 

「まっお言葉に甘えますか」

 

業務負担が減るし、臨時休暇もらえるようなもんだと解釈し大樹は今この現状を受け入れた。

 

【月面クラビウスシティー.スーパー銭湯滝の華内.桐原邸】

大樹はいざって時に常備していた私服に着替え茂人と合流し車に乗って基地を出た後、近隣市街地にある桐原邸に到着した。

茂人の経営するスーパー銭湯滝の華の裏手にあり、ごく普通の日本による一軒家であった。

 

「「「乾杯」」」

 

「吉野大尉、お疲れ様でした。」

 

「これはどうも・・・まさか宅飲みとは・・」

 

「娘達が泊まりだからデワと一緒に飲み会をってね。」

 

家に到着して早々、茂人の妻デワントンが食事と酒を用意して待っていた。

荷物を置いてそれぞれの席に座ると乾杯し、ビールを飲みながら談笑した。

 

茂人とデワントンの娘達は同じ市街地に住む親戚の家に遊びに泊まり込んでおり、ゴールデンタイムで宅飲み会が開催できた。

 

「吉野・・部下をスカウトして失敗して悩んでいるそうだがそんなに気にするなよ。」

 

「しかし、人手不足だからこそ俺がスカ・・・」

 

「その辺は白川提督がきっちりやってくれる。吉野は今いる部隊での業務に専念し後任に引き継ぎしておけ。」

 

ブラックパンサーズ中隊でスカウト活動していた大樹に茂人はあまり気にするなと言っておいた。

人材確保は白川提督が強いバックアップがあり、人員はある程度確保できている。

 

それに・・・・

 

「一応、部隊正式配備での間.機種転換センターに教官として出向し人材を見つけてくる。」

 

「少佐お一人で?」

 

「カゴメ・バッカニア少尉と言う方も副官で行くそうよ。まぁ茂人が浮気しない人だから安心だけど。」 

 

「はぁ」

 

機種転換センターに教官としてカゴメと共に出向し訓練生の中からいい人材を発掘すればいい。

 

訓練生とは言え元は別機種に乗ってた兵士であり、エースパイロットの腕前を持つ者もいる。

VFの操縦技術と元々優れたパイロットの素質を合わせれば求めている人材が見つかる。

 

話を聞いた大樹も茂人とカゴメが教官として機種転換センターに行けば部隊の隊員として適したいい人材が見つかる可能性が高まると期待した。

とは言え男女2人なのでデワントンがどう思うのか不安に思ったが、胸を張って浮気するような人じゃないと言ってるので杞憂に終わった。

 

「所で少佐・・・」

 

「ん?なんだ?」

 

「部下のシュリ・ベルランからなんですがもし機種転換したらいい人材がいるそうです。」

 

「誰だ?」

 

「ラウラ・ベルタリアと言うんですけども。」

 

大樹はビールを飲みながら茂人にラウラの事を報告した。

 

第29海兵隊に今もなお所属しはぐれゼントラーディとの戦闘に明け暮れているラウラを本来報告しても意味がないのだが、教官として出向する茂人に今後を見据えて話しておかねばと考えた。

 

「機種転換したらの話だろ?それに海兵隊、意味ないじゃないか・・・」

 

「そうですけども、念には念を・・」

 

「念には念をねぇ、入る確率はないだろ。」

 

大樹から話を聞いた茂人は少し声を荒らげながら叱った。

いくら報告したからってラウラが機種転換し訓練過程を終えて卒業し部隊に配属される訳では無い。

 

これからもずっと海兵隊員として戦っていくかもしれないし、マイクローン化し転属しても必ずクラビウスに来るわけでもない。

 

「ラウラ?ラウラ・ベルタリアか・・・生きてたんだ・・・」

 

「大尉知ってるのですか?」

 

「知ってるも何もよく知ってるわ。」

 

生春巻きを食べながら話を聞いていたデワントンがラウラと聞いてぴょこんと割り込んだ。 

デワントンは元ミリアの副官であり、ラウラの事を知っててもおかしくはない。

 

「ラウラ・ベルタリア3級空士長、キヨラ・ディーヴァの機動戦隊の隊員でよくうちらに突っかかる動物で言えば猫みたいな感じな娘よ。」

 

「猫みたいな娘?」 

 

「ミリア1級空士長の事を一方的に宿敵視し問題起こしてたわ。乱闘騒ぎ起こした事あるし。」

 

デワントンはゼントラーディ軍時代のラウラの事を話した。

ミリアに対し宿敵視し問題を起こすのは日常茶飯事で、時には戦友と共に乱闘騒ぎを起こすなど大樹や茂人は想像もしてなかったのか絶句した。

 

「う~む、うちの部隊にもし加えるならば考えものだな。」

 

妻デワントンが話したラウラの詳細を聞いた茂人はもしVFパイロットになり部隊隊員の候補にするかは消極的な態度を取った。

 

「教官になるんだから教えたら軍人として地球の人間として・・・・」

 

「そうだな。」

 

ラウラは戦争しか知らず戦闘以外の楽しみを知らない典型的なゼントラーディ人だ。

機種転換センターの教官として勤務し、ラウラが候補生としてやってきたら1から10丁寧に軍人としての礼儀や地球人の振る舞いを教えればいいとデワントンは茂人に提案すると深く考え込む。

 

「少佐、バッカニア少尉が秘書官としているならば問題ないでしょう。バッカニア少尉にベルタリアを指導させる事を提案します。」

 

「バッカニア少尉?」

 

「同じ女性であればもしかしたら打ち解け心開き最低限の礼儀や常識が身につくのではないでしょうか?」  

 

大樹は茂人の秘書官として出向するカゴメに着目し、ラウラと接すれば心を開き礼儀や常識が身につくのではと言う事で指導させるように提案した。

 

「いいかもしれないな。」

 

「相性合うかどうか分からないけど、いいかも。」

 

大樹の提案した案は茂人・デワントン夫妻が気に入り無事採用された。

 

だがこの案はあくまでもラウラがマイクローン化し転属しクラビウス基地の機種転換センターに訓練生として入ってきた時に機能する話で、それまでに人材が見つかれば廃案になる。

 

一種のギャンブルみたいな賭けだが、保険として

 

 

【同時刻・新統合宇宙軍総司令本部月面アポロ基地】

 

新統合宇宙軍総司令部が置かれている月の裏側アポロ基地から1隻の軍艦が出港した。

その名は新統合軍特務部隊シーアンタレス所属.アルゲニクス級特務艦サドワラである。

 

僚艦であるオーベルト級コル・スコルピイとカントーの後ろを追尾し目的地に向けて出発した。

 

「新統合宇宙軍参謀本部より命令、第4独立戦隊は冥王星にて実施される演習に参加せよ!宇宙軍総司令官ブリタイ・クリダニク.参謀本部長真里谷信保.以上。」

 

「「ハッ」」

 

シーアンタレス隊は宇宙軍総司令部から冥王星にて実施される演習に参加するように命じられた。

特務部隊らしい任務ではないが、腕慣らしになるので皆やる気満々だった。

 

「絵理、相手はクァドラン・ロー有するから油断しないでね。」

 

「分かってるわ・・・クァドラン・ローはかつての愛機だったから尚更。」

 

ベレー帽を被った若い士官が絵理と呼んだ隣にいた同じくベレー帽を被った緑のショートヘアをした女性士官に演習にクァドラン・ローがいるから油断しないよう忠告した。

落ち着いた表情を浮かべクァドラン・ローがかつての愛機だから分かっていると言った。

 

「星村和也大尉、星村絵理中尉・・・アポロ基地からの直掩機帰投します。」

 

「御苦労と伝えてくれ。」

 

「了解。」 

 

若い士官の名は星村和也、シーアンタレス隊の隊長である新統合軍大尉である。

隣りにいる緑色のショートヘアの女性は星村絵理、シーアンタレス隊の副隊長を務める新統合軍中尉で和也の妻である。

 

2人は艦橋の窓から艦隊から離れるルナガードのVFー3メデューサを敬礼しながら見送った。

 

「クァドラン・ローかぁ元ミリア機動戦隊の一人として腕がなるわね。」

 

絵理は日系人どころか地球人ではなかった。

結婚する前はモーア・カリダムと言う名前で、元ゼントラーディ軍ミリア機動戦隊に所属していたゼントラーディ軍人であった。

 

元気っ子で戦闘好きであり上官であるミリアに対してタメ口で話すなど問題児であるが、腕前はミリア機動戦隊次点という高い実力を誇っていた。

 

「星村中尉、お疲れ様です。」

 

「御苦労、私の愛機の整備はどう?」

 

「ばっちりです。スタークルセイダーも最新鋭機に負けないほどの性能発揮できますよ。」

 

戦後はマイクローン化しVFパイロットとなりオセアニア方面に配属、その後一条輝らと共に月面アポロ基地に出向しVFーXー4のテストパイロットの一人になった。

 

そこで和也と出会いそのままアポロ基地に転属し、お付き合いをし結婚に至った。

 

「星村中尉、また機体見に来たんですか?」

 

「いけない?愛機見に来てはダメ?」

 

「いえ折角の演習までの休みなので星村大尉・・」

 

「ミアン・・・・和也は今仮眠中、それに好きでやってるから。」

 

結婚後、5人の娘を授かったり玉の輿に乗るなど順風満帆に生活を送っており夫婦関係も良好だ。

軍務に携わる中でゼントラーディ軍時代では味わえなかった事を数多く体験するなど充実していた。

 

絵理が副隊長として頑張ったお陰で業務が進んだり、厳しい戦場を生き延び成果をあげるなど和也から見れば幸運の女神であり何より一緒にいてくれるだけでも楽しい存在であった。

 

仕事や家庭などそれぞれの欠点を補い、幾度も厳しい困難を共に切り抜けてきたので、戦友でもありライバルでありそして大事な家族と強い絆で結ばれていた。  

 

「中尉、ロイ・フォッカー勲章また受章したんですね。」

 

「まぁね、殺した相手の名を冠した勲章を何度も貰うのは正直心苦しいけどね。」

 

幸せな生活を送る絵理であったが、第一次星間大戦の戦闘でロイ・フォッカーに致命傷を与え死に追いやった。

 

死に追いやった絵理だったが、戦後ロイ・フォッカー勲章が出来ると何度も受章した。

 

その度に複雑な心境になるし、心苦しかった。

 

「戦争だから仕方がないけど、殺した相手の名を冠した勲章もらっても虚しいだけなんだけどね。」

 

「そんなまた・・・・軍上層部もそれだけ中尉の事を高く評価してくれてるんですよ。」

 

「そうかな〜」

 

新統合軍上層部は日々の絵理の活躍を和也と共に評価しており、チタニウム勲章とロイ・フォッカー勲章を何度も授けていた。

受章する度に絵理は心苦しい思いに駆られていた。

 

「演習・・・・どんな奴がいるんだろうね?」

 

とは言え持ち前の明るさや負けず嫌いな性格もあってかポジティブ思考であり、すぐ気持ちを切り替える事が出来るのでいつまでも囚われる事はなかった。

 

絵理は自分の愛機であるVFー3000クルセイダーを見て演習で現れるであろう第29海兵隊に所属する強敵を楽しみにしていた。

 

その強敵の中にかつてゼントラーディ軍時代に乱闘騒ぎを起こした事のあるラウラがいるとは、この時思いもしなかった。

 

次回予告

 

ついに始まる第29海兵隊とVF部隊による合同演習。双方はお互いの実力を出し切り模擬戦を行う中、ラウラはVFの実力に強い衝撃を受ける。

 

次回 マクロス外伝青い髪のメルトラン

 

アンタレス・ザ・タイム

 

戦火の宇宙を駆け抜けろ!クルセイダー!

 

前回

 

次回

 

 

 

 

メカニックデザイナー

ロボノヒトさん

 

◆新統合軍警務飛行隊 

【組織】

新統合軍警務隊

【上部組織】

国防総省

【解説】

新統合軍警務隊が所持する飛行隊。

 

組織内の秩序維持、ゼントラーディ人捕虜の対応などを主任務にしている。

戦闘支援兵科にありながら機体は最新鋭機を与えられている。

 

警備飛行隊の機体と同じカラーリングであり、右肩にMPの文字が描かれている。

 

◆新統合軍警飛行隊

【組織】

新統合軍警備隊

【上部組織】

国防総省

【解説】

新統合軍警備隊が所持する飛行隊。 

 

主な任務としては商船の護衛や領宙警戒である。

警務隊と同じカラーリングであり、MPの文字が描かれていない。

【初放送】

1982年10月3日(日曜日)

【原作】

 スタジオぬえ

アートランド(原作協力)

【シリーズディレクター】

石黒昇

【シリーズ構成】

松崎健一

【脚本】

石黒昇

富田祐弘

松崎健一

大野木寛

星山博之

河森正治

【キャラクターデザイ】

 美樹本晴彦

【メカニックデザイン】

宮武一貴

河森正治

【音楽】

羽田健太郎

【製作】

毎日放送、タツノコプロ、アニメフレンド

【放送局】

MBS・TBS系列

【解説】

超時空シリーズ第1作目として製作されたリアルロボットアニメである。

 

3年前に放送された機動戦士ガンダムが人型機動兵器MSに対し、マクロスは3段変形が可能な可変戦闘機とデストロイドと呼ばれる陸戦兵器が登場している。

 

本作の特徴は異星人とのファーストコンタクトや異星人との戦争の最中で1人の少女でヒロインのリン・ミンメイがアイドルになり戦争の行方を左右するキーマンになる点の他、主人公一条輝と上官でヒロインの早瀬未沙そしてリン・ミンメイが三角関係のドラマが展開される。

 

歌 三角関係 可変戦闘機の要素は後のシリーズに継承され時代の変遷に沿う形で変化している。

 

1話ー27話までは異星人ゼントラーディ軍との戦争を描く第一次星間大戦

 

28話ー最終回までは戦後を描いており、戦後編で描かれた移民船団等の描写は後のマクロスシリーズの土台として確約されていきました。

 

放送から2年後、エピソードを再構成した劇場版超時空要塞マクロス愛・おぼえていますかが公開されました。

 

 

 

 

 

【交戦時期】

2009年2月22日

【交戦勢力】

地球統合軍/ゼントラーディ軍

【指揮官】

地球統合軍

ブルーノ・J・グローバル准将(SDFー1マクロス艦長)

デニス・A・ マイストロフ大佐(SDFー1マクロス副官)

ジョン・モートン大佐(ダイダロス艦長)

リッチモンド・スミス大佐(プロメテウス艦長)✝

池内光一大佐(南アタリア島防衛隊司令官)✝

 

ゼントラーディ軍

ブリタイ・クリダニク(第67分岐艦隊)

エキセドル・フォルモ(第67分岐艦隊記録参謀)

ドグマ・ダルニー(空戦隊指揮官)

ザルド・ガルトサダ(地上作戦指揮官)

 

【解説】

前歴

西暦1999年に落下したASSー1は地球統合政府の樹立後、着々と修理改修され2008年にSDFー1マクロスとして完成するに至った。

2008年12月24日には気化弾頭を装備した反統合同盟残党の襲撃を受けるも何とか退け、翌年の2月22日に進宙式を迎える見込みとなった。

 

マクロス進宙式

西暦2009年2月22日、無事進宙式を迎える事が出来た。

マクロス改修推進派筆頭のハイマン・グエント下院議員(自由共和党)などの超党派議員やジャミス・メリンなどの大物著名人が来訪した。

地球統合軍も各地から飛行隊がゲストとして招かれており、臨時の航空ショーも行われていた。

 

なおプロメテウス飛行隊司令官ロイ・フォッカー少佐の演説中に後輩の一条輝が飛行するファンレーサーがアクロバット飛行中のエンジェルバーズの列に乱入する珍事に見舞われていた。

 

ゼントラーディ軍来訪と開戦

ゼントラーディ軍第67分岐艦隊は月軌道上にデフォールドした。

第67分岐艦隊の任務は落下したマクロスの追跡であり、調査のためピケット艦2隻を派遣した。

 

地球統合軍は警戒態勢に入るも突如、SDFー1マクロスの主砲が突然暴走し動き出し発砲し接近中ピケット艦を撃沈した。

 

第67分岐艦隊司令官ブリタイ・クリダニクは監察軍の攻撃と誤認し総攻撃を開始、地球に向かっていたアームド級宇宙空母ハーラン・J・ニーヴンとインヴィンシブル以下護衛艦隊と遭遇し被害を受けながらも突破した。

 

この時、アームド級が発射した反応兵器を見てブリタイは監察軍ではないと察し幻の兵器の所持や修理する技術を見て衝撃を覚え第1次星間大戦中の作戦計画に大きな影響を与えた。

 

◆南アタリア島防衛戦

ドグマ・ダルニー率いる空戦隊が先陣を切りザルド・ガルトサダ率いる降下部隊がアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の迎撃を受けながらも南アタリア島沖に降下し、海中から降下した。

上陸地点を待ち構えていた南アタリア島防衛隊のM1エイブラムスやトーチカ群を突破し南アタリア基地や市街地に出てマクロスを襲撃した。

事態を重くみたブルーノ・J・グローバル准将はマクロスを地上から発進し衛星軌道上で交戦している宇宙軍艦隊と合流しようとするも重力制御システムが故障し落下、地球製の推進機で再度上昇し合流目指すも艦隊は壊滅していた。

 

フォールド

南アタリア島のシェルターに避難した避難民と来賓の安全から月の裏側にある地球統合宇宙軍総司令部アポロ基地周辺にフォールドするため、再度地球に降下し人類史上初のフォールド航行に突入した。

 

結果は南アタリア島周辺ごと消滅し第67分岐艦隊は撤退した。

 

地球統合軍総司令部と国防総省は報道管制を敷き南アタリア島は反統合同盟ゲリラの攻撃を受け住民もろとも全滅と言う偽りの発表した。

 

フォールドしたマクロスは太陽系外縁部の冥王星に飛ばされ、ゼントラーディ軍の攻撃を受けつつプロメテウスとダイダロスなどの洋上艦艇や南アタリア島の生存者を回収し地球への帰還を果たした。

 

戦後

南アタリア島は冥王星宙域に放置されたままであり定期的な立ち入り検査以外立ち入り禁止である

 

戦死した軍人や住民の遺体が宇宙の環境により死亡当時のままの姿を守っており、遺族は回収し埋葬を要望するも宇宙の環境に晒された遺体を回収した結果のリスクを考慮し許可されていない。

 

南アタリア島の管理は冥王星防衛隊司令部が担っている

(デザイン ロボノヒト

(パンサーズ中隊のVFー4ライトニングⅢ)

【創設】

2010年1月25日

【所属】

新統合軍

【本拠地】

月面クラビウス基地

【母艦】

アームド級宇宙空母シナノ

【隊長】

クン・ドユン少佐

【副隊長】

吉野大樹大尉

【隊員名簿(2020年)】

◆隊長

クン・ドユン少佐

クーガー小隊

◆隊長

吉野大樹大尉(副隊長兼)

◆隊員

シュリ・ベルラン少尉

リック・ニーヴン少尉

 

サーベル小隊

◆隊長

ザベル・ハンケス中尉

◆隊員

サイ・メイリン少尉

ジョニー・キタモト少尉

 

ピューマ小隊

◆隊長

アンソニー・フォード中尉

◆隊員

渡辺洋一少尉

リチャード・ブラウズ少尉

 

ダンパー小隊

◆隊長

ジョン・ドライバー中尉

◆隊員

ジェフリー・ワイルダー少尉

デイジー・キム少尉

 

サーバル小隊

◆隊長

エルリラ・ファルカ中尉

◆隊員

エル・ニョンゴ少尉

ライル・グリーソン少尉

 

【解説】

地球統合軍防衛計画に基づいて創設された飛行隊。

元は航空自衛隊第8飛行隊で、VFー1が配備された事で発展解消しアポロ基地に配属された。

 

第1次星間大戦後はクラビウス基地所属空母シナノを母艦とする飛行隊として活躍した。

 

部隊由来は黒豹で、小隊は猫科の動物が由来になっている。

 

創設以来VFー1を使っていたが、2019年末にVFー4に機種変更している。

 

精鋭揃いであり、各隊員は腕利きである。

 

 

(作画今日は早く寝るさん

(代表的なメルトラン ミリア・ファリーナ

 

【解説】

ゼントラーディ語で女性、つまりゼントラーディ人女性を指す言葉である。

対義語にゼントラーディ人男性を指すゼントラン。

 

直衛艦隊や一部の分岐艦隊に属しており、その部隊に属している兵士は全員メルトランで構成されておりゼントランで混合で構成されていない。

 

ゼントランに比べ小柄で肉弾戦には向かないが、俊敏で耐G能力に優れており機動力を有する空戦ポッドやバトルスーツを駆り一撃離脱戦法を得意としている。

 

2031年に公開されたDoyourememberloveでは男女に分かれ戦争している事になっているが、同じゼントラーディ軍に属している兵士である。

プロローグ

 

第1話

 

第2話

 

第3話

 

第4話

 

 

第5話

 

 
第6話

第8話

 

 

 

 

 

 

【西暦2020年12月23日】

【太陽系木星・衛星スポンデ周辺 ケアドゥル・マグドミラ級戦艦メルトラス】

 

大樹と茂人が白川提督との会談に赴いた同時刻。

第29海兵隊旗艦メルトラスの作戦室では海兵隊各分隊員が集められており、ラウラら海兵隊員の前でメルトラス第1海兵大隊隊長ラザル・ハズブロ少佐がモニターに表示される木星.衛星スポンデ周辺の航海図を指揮棒で指しながら説明していた。

 

「我が艦隊は新統合軍木星艦隊司令部の命を受けエリア・スポンデ哨戒任務に就く。最近では未確認飛行物体が確認されているとの事だ。」

 

「未確認飛行物体・・・・」

 

木星の衛星エウロパ内.ホワイトフローラシティーに司令部を置く新統合軍木星艦隊から衛星スポンデ周辺を警戒任務に就けと言う命令が来た。

第29海兵隊と第34海兵隊は全艦艇を持って反統合勢力やはぐれゼントラーディを燻り出すのが木星艦隊司令部の狙いである。

 

木星艦隊は木星エリア防衛に専念しているため海兵隊各隊が巡回で哨戒任務を行っており、第29海兵隊が木星での哨戒任務はこれで6回目である。

だが、今回の哨戒任務は普段と違う点が述べられていた。

 

未確認飛行物体

 

ラウラはその単語を食いついた。

未確認飛行物体、いつも相手にしてるはぐれゼントラーディ部隊とは違う・・・・

もしかして監察軍が地球圏にやってきたのか?と頭の中で考えていたが、ラザルが頭の中で考えていた事を吹き飛ぶような事を言い放った。

 

「グラージにそっくりだが我々、ゼントラーディのデータにない形状だそうだ。遭遇した際はくれぐれも気をつけろよ。」

 

グラージの形状にそっくりであり、監察軍でもなんでもないUE(未確認敵)であると。

今まで戦った事のない兵器である可能性、ラウラは頭の中が真っ白になった。

未知の敵に対し好奇心はあれど、恐怖心がある。

 

「ラウラ?」

 

「メフォリア・・・なんでもない。」

 

「珍しく震えてるなラウラ・・・らしくない」

 

メフォリアとアンジェミラが心配する程震えていたらしく、指摘されると弱気な自分を否定したいのか強がったのか何でもないと答えた。

ゼントラーディ軍人である自身が未知の敵に怯え震えている事実はラウラからすれば屈辱的。

出撃すればなんともない、普段通り戦えるラウラは自分にそう言い聞かせた。

 

だが、この後ラウラは自身の考えが甘過ぎた事を痛感する事になる。

 

 

 

 

【月面クラビウス基地.司令部白川秀康提督執務室】

 

大樹と茂人は軍高官の執務エリアの中に入った。

各部屋には小銃を持ったMPが各部屋のドアごとに配置されており、物々しい雰囲気だった。

白川秀康提督の部屋の近くに来ると89式小銃を構えたMP3名が警備している姿が見てた。

 

「89式自動小銃・・・流石、自衛隊出身だけあって拘ってるな。」

 

「お疲れ様です。」

 

「御苦労!」

 

白川提督は自衛隊出身とあってか警備のMPに89式小銃を持たせたりする等の拘りを持っていた。

アフリカ系とマレーシア系のMPであるが、それでも旧自衛隊の装備を持たりと白川提督は相当な変人だと言うのが良く分かる。

 

大樹はドアをノックする茂人の横に並んだ。

 

「入れ。」

 

「入ります!!予備役少佐.桐原茂人他1名は、白川基地司令官に要件があり参りました!」

 

「よし・・・よく来た少佐.大尉。かけたまえ」

 

大樹が見たのは秘書士官のメロディーと陸軍.海軍.陸自の旭日旗.航空自衛隊旗を背後に執務室で笑顔で出迎える白川提督の姿であった。  

右横には副官の秩父と在原の両大佐が立っており、真顔でじっと見つめていた。

 

大樹と茂人は白川提督と共に真ん中の応接セットのソファーにそれぞれ座った。

 

日本人が多いから地球語いや英語ではなく日本語で話そう。」

 

「失礼でありますが秘書士官殿は・・・」

 

「大丈夫だギンヌメール中尉は日本語は得意でね。」

 

「はぁ」

 

今回の会合は地球語こと英語ではなく、かつての故国日本の言語.日本語で話す事にした。

唯一フランス人である秘書士官のメロディーがいるのだが、日本文化が好きであるため日本語を覚えており違和感なく喋れる為問題がない。

 

「ギンヌメール中尉、お茶と間宮羊羹の用意を。」

 

「かしこまりました。」

 

白川提督はメロディーにお茶と間宮羊羹を持ってくるように命じた。

間宮羊羹とはかつての大日本帝國海軍給糧艦間宮で作られていた羊羹であり、日系の多い月面では名物として大々的に生産されていた。

お茶と間宮羊羹を待っているとし茂人は目を鋭くしながら言葉を発した。

 

「白川提督、何故予備役である私をお呼びしたのですか?

 

「無論君が先の大戦.第1次星間大戦でSDFー1マクロスでVFー1乗りしてたから私のある計画で使おうとね。」

 

茂人が予備役復帰させた理由

SDFー1マクロスのVFー1バルキリー乗りでありり、白川提督のある計画に使うため。

白川提督の計画が何なのか知らんが何故、自分が抜擢されたのかが気になった。

 

「マクロスのVF乗り?それだったら滝田とかマルコスとか他にもいるでしょ。わざわざ予備役を使わなくても・・・」

 

マクロスのVF乗り・・・

クラビウス基地所属であれば滝田英史やマルコス・マイヤーなどの生き残りがおり、予備役軍人である茂人を起用する必要がなかった。

新鋭機拒否して予備役になってスーパー銭湯の店主をして娘達を育てているのに今になって再招集するなんてと茂人は不満に思った。

不満げな表情を浮かべる茂人に白川提督はニコッと笑って言った。

 

「クラビウスで丁度いい人材は君しかいないんだよ。」

 

「つまり予備役で暇だから私を選んだと・・・」

 

「お察しのいい・・・まさにその通りだ。」

 

「稀代の鬼才の言われた貴方が・・」 

 

予備役で暇だから選んだ事実に茂人は頭を抱えた。

予備役だからと言っても暇ではない、スーパー銭湯の店主をしているし2児の父親であり妻のデワントンと共に子育てしているイクメンである。

それを暇人扱いするとは、鬼才である白川提督がこんな偏見の塊だったとはと茂人は失望した。

 

「美味い玄米茶と再現間宮羊羹は美味いな。」

 

「あの聞いてましたか?」

 

「?何が?」

 

メロディーから出された玄米茶を飲み間宮羊羹を食べる様子を見て茂人の失望感が強まり呆れた。

無責任にも程があるし、適当すぎる鬼才らしからぬ人物だ。

そうした中で大樹は手を挙げある質問をした。

 

「提督質問があります。」

 

「なんだ?」

 

「ある計画とは一体なんでありますか?」

 

先程言っていた計画である。

ある計画のために大樹と茂人が招集され、今ここにいる。

招集された以上、その計画の内容を知る必要がある。

大樹から詰め寄られた白川提督が真顔になり、秩父大佐を呼びファイルを持ってこさせた。

 

「これだ。」

 

「拝見します。」

 

大樹は白川提督からファイルを渡され目を通した。

渡されたファイルを隅々まで読んだ大樹であるが表情を変えた。

まるで好奇心旺盛の学生みたいな表情だ。

____________________________

                AD2020年.12月4日

 

新統合宇宙軍月面第2総軍司令官

チャールズ・ブラウン大将殿

 

      新統合軍VFー1P教導隊.計画書

 

              新統合軍月面第2総軍副司令官

                      白川秀康中将

____________________________(⚠実際は英語です。)

 

「VFー1P教導隊?」

 

「VFー1?吉野それを見せろ!」

 

ファイルに書かれていたのは教導隊つまりアグレッサー部隊(仮想敵部隊)の設立に関してだ。

メガロード級移民船団や近距離移民船団などを含め全銀河の新統合軍の可変戦闘機パイロットの技量を高めるべく、優れたパイロットを集め銀河各地で訓練する為などと書かれていた。

 

ただ何故か新設教導隊の装備機体は少し旧型化しているVFー1バルキリーであり、P型と聞き慣れない単語付きであった。

 

「VFー1Pフレイヤバルキリー、先の大戦で得られたゼントラーディとの戦闘パターンから得られたスレイプニル計画で開発された改修機だ。」

 

「北欧神話のオーディンの軍馬・・か」

 

「中でもステルス性に特化し最新鋭機VFー5000の技術を応用した傑作機だ。」

 

VFー1Pフレイヤバルキリー

スレイプニル計画で改修されたVFー1Xと並ぶバリエーション機の一つである。

VFー5000のデータを反映させた次世代主力機の性能に匹敵する程の性能を持っている。

 

VFー1Xよりも優れ、アタックバルキリーには劣るがそれでも負けじと使える有能機である。

 

それはさておき茂人はある疑念を抱き質問をした。

 

「で何故教導隊を?」

 

茂人は白川提督に何故教導隊なのかを聞いた。

教導隊であればVFー1使わなくても最新鋭機であるVFー4やVFー5000を使えばいい。

それなのにあえてVFー1バルキリーのバリエーションを使うあたり何か裏がある。

 

「単にブラウン提督を納得させる為の方弁、実際は新星と結託しフレイヤバルキリーのデータを収集し次世代開発に活か・・・」

 

「モルモットだろ、俺たちの役割は・・・」

 

「正解だ桐原君。」

 

求めていた答えは呆気なく答えた。

最新鋭機の為のデータ収集する為のモルモットであると。

白川提督の呆気ない返答に茂人は更に呆れつつ、次の話題を振った。

 

「部隊名.第64飛行隊アンサーズ中隊、大戦時俺が属した中隊だ。」

 

「部隊は君や戦友数名を残し先の大戦で壊滅し解隊、今回の為に復活させたがね。」

 

「結構俺的に辛い思い出もあるんですけどね。」

 

教導隊の部隊名がかつて茂人が所属し壊滅し解隊した第64飛行隊アンサーズ中隊である事。

先の大戦では部隊長や数多くの先輩後輩を失っており、いい思い出がない。

予備役復帰し配属先が壊滅したはずの部隊の隊長とはとても気分のいいものではない。

 

睨見つける茂人の表情を見て白川提督はお茶を飲みながら言った。

 

「私だけの発案ではないよVTREA局長アレキサンドル・ビンカーキン少佐からの提案だよ。」

 

「ビンカーキンだと?」

 

「誰です?」

 

「スカル中隊コールサイン.スカル6、通称.マフィア・ファイター」

 

「何故その人が・・・・」

 

今回のVFー1Pフレイヤバルキリーによる教導隊とアンサーズ中隊の復活の案はVTREA局のアレキサンドル・ビンカーキン少佐の発案だと・・・

ビンカーキン少佐はスカル中隊所属のVF乗りで、アル・カポネの顔を模したエンブレムがトレードマークのマフィアファイターの異名を持つエースであった。

 

戦後、ビンカーキン少佐の話を聞かなかったのでてっきりボドル基幹艦隊決戦で戦死したと思っていたがまさか生きているとは思わなかった。

 

大樹は驚愕する茂人を尻目に資料を再び見た。

 

アンソニー・ボイド大尉

=元.新統合軍ムーンシャドウズ中隊

=ワンショット・キラー

 

トーマス・クラタ大尉

=元.新統合軍クリッパーズ中隊

=異名.ブラック・リーパー

 

「エースばかり・・・」

 

ビンカーキン少佐の腹心は戦後の戦いでロイ・フォッカー勲章を授与されたエースばかりであった。

ボイド大尉.クラタ大尉の話は士官学校時代ニュースで知っている。

大樹はとんでもない事に巻き込まれたのではと思い始めた。

 

「ビンカーキン少佐はVFー4000.VFー5000それぞれの特徴を統合した新型機開発を進言してな・・・」

 

白川提督はビンカーキン少佐の計画を話しながらメロディーから資料を受け取り、茂人に渡した。

渡された資料には次世代主力可変戦闘機開発計画.ノヴァ計画なる物が書かれていた。

大量生産可能でより高性能なVFー1の完全な後継機を作ると言うのがビンカーキン少佐の考えだ。

 

「完全なVFー1バルキリーの完全後継の主力VF、当然新星やゼネラルも声をあげている。」

 

「なるほどね、だから我々はモルモットですか・・・新型機の為の・・」

 

「その通りだ・・・・アグレッサー役なんぞ表向きに過ぎない。」

 

白川提督と焚き付けたビンカーキン1党によるノヴ計画における次期主力可変戦闘機計画の実用データのダミー・アグレッサー、実質新型機のモルモット部隊の編成。

突っ込み処満載な状況に、茂人は等々心が折れ1年間隊長の職務全うしようと考えた。

 

「質問があります。」

 

「なんだね?」

 

「我々以外にも人員はいるんですか?後は母艦も・・・」

 

大樹は白川提督にアンサーズ中隊の人員の確保の状況や母艦について質問をした。

人員は新設部隊ともあってか人手不足の新統合軍の他部隊からの引き抜きは困難であり、特に技能の高い人員の確保は尚更厳しい。

次の母艦に関しては、話を聞く限り銀河各地点々としそうな感じであり、母艦が必要になる。

 

生真面目な性格である大樹は理想論よりも現実性を重んじている為、白川提督の話が単なる壮大な夢物語か否やを見極めたいと考えていた。

 

そんな大樹の懸念が杞憂である事が白川提督の一言で証明された。

 

「用意してある。アームド級宇宙空母1隻とオーベルト級3隻を手配し小規模機動艦隊を編成している。」

 

「そんなに?」

 

アームド級改空母1隻、オーベルト級駆逐艦3隻。

単艦あればいい方だと思っていたが、まさか小規模機動艦隊を用意するとは・・・

 

「それだけではないぞ、複数の中隊.早期警戒部隊も付ける。」

 

更に複数の可変戦闘機・可変攻撃機中隊や早期警戒部隊が付いてくる。

それだけでもかなりの部隊だが、肝心のアンサーズ中隊の人員がどのくらい集まっているかが重要。

大樹は名簿表がないか聞こうとした瞬間、メロディーが隣にやってきた。

 

「中尉・・・例のものを」

 

「こちらを・・・・」

 

「これは隊員名簿」

 

「本多義輝中尉、ガブラ・ノーボレス中尉・・・我々含めまだ5人か・・・」

 

メロディーが渡してきたのはアンサーズ中隊の隊員名簿であった。

大樹や茂人を含め小隊長予定者2名.一般隊員1名の計5人で、一般隊員は本多中尉の副官だと言う

 

「かつての帝国海軍第343海軍航空隊の如く各現場から反発あってね。」

 

「そりゃそうだ。先の大戦での人口減で人手不足だからな。」

 

「有能な人材が機種転換したり、いい新人いたら手配させよう。」

 

「はぁ」

 

人員確保は母艦などと違い簡単に集まらない。

第1次星間大戦で人類の人口は極限まで減り、残留ゼントラーディ人や移民先の少数民族を編入してもまだまだ人員不足は解消されていない。

戦後に生まれた子供達が戦力化するのは早くても数年後である。

 

しばらく人員確保の事で話し合いが行われ、結論に至った頃にノックの音がした。

 

「入れ!」

 

「ん?(誰だ?)」

 

「入ります!カゴメ・バッカニア少尉は白川秀康提督に要件があり参りました。」

 

ショートヘアの若い女性兵が制帽を横に持ちながら入ってきた。

真面目な雰囲気で笑顔が素敵な女性であり、目の輝き不備な大樹と比べ印象がいい。

名前はカゴメ・バッカニアと名乗った。

 

「御苦労。ギンヌメール中尉、お茶の用意を・・・少尉、紅茶はいかがかね?」

 

「いえ私はお二人と同じくグリーンティーを御所望します。」

 

「そうか、とりあえず桐原少佐の隣の席に・・・」

 

「提督・・・彼女は・・・・」

 

「あぁ彼女はカゴメ・バッカニア少尉、君の秘書兼母艦のオペレーターだ。」

 

「カゴメ・バッカニア少尉です。今後のデスクワーク含め補佐させてもらいます。」

 

茂人はポカーンとした。

副官として大樹、母艦のオペレーターで自身の秘書士官としてカゴメが配属されるとは。

パイロットの人員確保が難しいのに、それ以外の人員の確保は用意なのかと頭を抱える。

 

無理もない可変戦闘機パイロットなどそうそう簡単になれるわけではない、特に腕利きのパイロットなんかは更に難しいもんだ。

 

「彼女、若いですね・・・」

 

「心配は要らんよ。私の秘書士官ギンヌメール中尉の推薦で、同期であり士官学校では才女だったそうだ。」

 

「友人である私がカゴメを保証しますわ。少佐。」

 

「なるほどね。」

 

カゴメはメロディーの同期であり、同い年の20歳である。

メロディー曰く士官学校入学前は歌手希望で一時はアイドルとしてソロデビューするも売れずに短期で引退、そのまま夢を諦め軍の道を進んだと言う。

若いのに苦労するなど茂人は思っていた。

 

一連の様子を見ていた白川提督は咳払いするとある事を言った。

 

「おっほん・・桐原君.吉野君、君達の機体を見に行かないかい?」

 

「機体ですか?」

 

機体を見に行かないかと?

大樹達はきょとんとした表情を浮かべ、白川提督はニヤッと笑った。

 

 

【新統合軍クラビウス基地第4格納庫】

 

大樹達は白川提督に連れられクラビウス基地第4格納庫に来た。

第4格納庫は部隊に配属される前の機体が保管されている。

 

「見たまえ」

 

白川提督の言葉と共にシャッターが開かれ、一同は目を大きく開いて驚いた。

新品のVFー1Pフレイヤバルキリーが並んでいた。

16機分の機体が揃っており、一世代前の改修機とは言え圧巻だ。

 

「これが君達のVFフレイヤバルキリーだ。」

 

「見た目は旧式のVFー1だな。」

 

「性能面ではVFー5000に匹敵する程の性能強化がなされている。」

 

「そんな馬鹿な」

 

フレイヤバルキリーが最新鋭のVFー5000に匹敵する性能を持つと自信満々に言う白川提督に対し大樹や茂人は信じられないと言った。

VFは一世代前の機体であり、10年後の最新鋭機に匹敵するとは思えない。

 

「新規製造のアタックバルキリーより劣るがね。」

 

「・・・・・」

 

ゼネラルギャラクシーが大体的に宣伝していた新規製造のゼントラーディの技術を取り入れたアタックバルキリーの方がまだ信用できる。

スーパーパックもより高性能な奴を使っており、どうせ教導隊をやるならばそっちが良かった。

 

「まぁ不安がるな、VFー1の良さは誰よりも君が分かっているはずだ。」

 

「その通りですが・・・・」

 

「なぁに1年間の招集を迎えればいい。敵にやられるようなヘマをするとは思ってない。」

 

不安がる茂人の肩に白川提督は手を置き、まるで脅すかのような口ぶりで心配を和らげた。

優しい言葉をかけているつもりだが、どうも信用できない。

 

【クラビウス基地.地下都市内防衛格納群】

 

白川提督との会談は終わり解放された大樹は茂人とカゴメを乗せ地下施設防衛隊の格納庫群の中をハンヴィーで走っていた。

右隣にはベルト付きガンポッドを肩に掛け巡回しているVFー5000が見え、左前方には都市迷彩のシャイアンが整備士による点検が行われていた。

 

「なぁにが1年間の招集を迎えればいい・・・だ!あのメガネめ!」

 

「少佐そのような事を言わないで・・・」

 

「嫁や子供がいるし、今更・・こんな・・・・・」

 

「1年間経てば隊長職は俺が引き継ぎます。」

 

「そーゆー問題ではないんだわ。」

 

茂人は今回の会談が原因でかなり機嫌が悪かった。

エリート街道まっしぐらの白川提督の振る舞い方が好きになれない。

暇人扱いされ招集、ビンカーキン少佐の計画の駒気に食わない要素が多すぎる・・茂人はビール缶のフタを開けそのまま飲んだ。

一連の様子に大樹は車を運転しながら大丈夫かこの人と思った。

 

「今日から第4整備隊に配属されたシャーネ・マクレーンだけれども・・・」

 

「とりあえずIDカード提示を・・・・」

 

ハンヴィーは格納庫群のゲートに達した。

大樹は警備兵とやりとりしている女性兵を見ていた。

心の中でシャーネと言う女性兵に対しデカい尻だなと思った大樹だが、偶然見ていたカゴメからジト目で睨みつけられていた。

 

「しっかし、隊員は集まるのかね?」

 

「難しいと思います。ゼントラーディ人や新統合政府に編入された民族を含めても人手不足は深刻なので・・・・」

 

「俺みたいな平時はスーパー銭湯の店主をしている予備役が招集されてるぐらいだからな。」

 

人手不足は深刻かつ、優秀な腕前を持つパイロットが集まるのは難しい。

白川提督が付けてくれた他の中隊からの引き抜き編成を大樹は提案するも、却下されていた。

あくまでも他の部隊から引き抜かねばならない。

噂ではパイロット技能のあるカゴメの同僚が適性がいいと言う理由で配属されるとかあるらしいと

 

「奥様も予備役大尉でしたよね。ゼントラーディ人の・・・・・」

 

「娘達がいるから俺だけにしておいた。もしもの場合、招集された場合妻まで戦死したら子供らが可哀想だからな。」

 

「子想いですね。」

 

「俺は軍人だからな。」

 

カゴメから茂人の妻デワントンも予備役大尉でゼントラーディ人であり、可変戦闘機パイロットであるため予備役復帰させてはと提案された。

茂人はデワントンが招集され戦死し、ましてや共に戦死してしまえば子供が可哀想と言う理由で却下した。

愛する妻まで戦場に駆り出せば男が廃る、茂人の矜持的にそれは許されない。

 

「・・・・・」

 

「どうした吉野大尉?」

 

「ゼントラーディ人の女性と結婚とかどんな感じか気になりまして・・・」

 

大樹はメルトランと結婚してどんな感じか気になった。

ゼントラーディ人はプロトカルチャーにより戦いのために生まれた生物兵器であり、何処か地球人とは異質な存在と考えていた。

直属の小隊に部下にメルトランはいるが、付き合いは仕事の関係でしかない。

そんな大樹に対し茂人はタバコを吸いながら言った。

 

「変わんねぇよ、気が強いが地球人と変わらねぇよ。」

 

「そうですか?」

 

地球人とは変わらない。

地球人だろうとゼントラーディ人だろうと同じ女性でしかないと。

10年近くデワントンとの結婚生活を送ってきた茂人からすれば、ゼントラーディ人だろうと同じ人間であり笑ったり怒ったり悲しんだりする。

大樹は茂人の言葉聞いて、まだゼントラーディ人に対する理解は出来ていなかったが・・

 

「まぁ付き合って見れば分かるさ。もしかしたら我が隊に配属されるかもよ。」

 

「俺はそんな下心ありませんから!」

 

「まぁ」 

 

実際に付き合ってみれば分かると茂人に言われた。

恋人同士になると聞いて大樹は下心はないと必死で否定し、その横でカゴメはからかうかのように笑った。

 

一方、その頃

 

【同時刻 太陽系木星・衛星スポンデ】

 

木星・衛星スポンデ周辺の宙域で、3機のクァドラン・ローが宇宙空間を移動していた。

そのクァドラン・ ローはラウラ・アンジェミラ・メフォリアの3人組であり、今も昔も変わらずチームを組んで軍務に励んでいた。

 

「こちらベルタリア分隊ラウラ・ベルタリア曹長、定期報告。全くもって異常なし!」

 

「こちらメルトラス、了解!ルート辿って交代のアドスラス隊に引き継げ!」

 

「サ・エスケスタ」

 

隊長は実力が高く纏める能力が高いラウラがやっていた。

元々キヨラ機動戦隊にいた時と変わらず、この頃からも自然に実力が一番高いラウラが隊長みたいな振る舞いをしていた。

 

「今回はハズレだね」

 

「まぁマイクローン的には何も無い事が最適だと・・」

 

「それだとあたし達的には退屈だっての・・・」

 

「メフィリア、アンジェミラ無駄口叩くと怒られるよ。」

 

「「エスケスタ」」

 

哨戒任務には何事もなく終わった。

後は交代部隊であるアドスラス隊と交代し、母艦に帰還するだけである。

何事も無く任務が終わったのか、ラウラ達は楽しく談笑していた。

 

「まもなくアドスラス隊と交代地点だな。」

 

「待ってレーダーに反応、IFFに反応がない。」

 

「数は?」

 

「数は1機、進路上はアドスラス隊!」

 

まもなくアドスラス隊と合流を目前にしてレーダーに未確認飛行物体が映った。

進路上にはアドスラス隊がいる地点である。

合流直前にして異常事態に陥り、ラウラは思わず舌打ちをした。

 

 

「妙だ・・・はぐれ部隊とは言えゼントラーディ軍正規部隊、単機で活動するはずは・・・・とりあえず急ごう。」

 

ラウラは単機で活動する未確認機に魚の骨が喉に刺さったかのような違和感を覚えた。

同じ同胞.ゼントラーディ軍とは思えない異様な動きであり、単機で動くのは司令部偵察機ケルカリアぐらいである。

 

異様な雰囲気にラウラは不安を覚えた。

 

【合流ポイント】

 

アドスラス隊.ヌージャデル・ガーの部隊が合流ポイントに到着した直後、未確認機の接近を確認した。

 

「隊長、未確認機接近!」

 

「はぐれ部隊か?」

 

「しかし、このスピードは・・・・」

 

未確認を確認した直後、ヌージャデル・ガー1機撃墜された。

撃墜された海兵隊員は何が起きたのか分からず、命を落とした。

 

「くそ、散開!ベルタリア分隊が合流する前に撃墜しろ!」

 

「「エスケスタ」」

 

僚機が撃墜されるとアドスラス隊は散開した。

反撃しながら散開し、未確認機の視認を急いだ。

 

ただ未確認機の動きが早く中々捉える事が出来ない。

 

「ウトミ.デ・ブラン・エルケルト(敵機発見)」

 

「グラージ?にしては小さ・・・・」

 

ようやく視認した直後に、ヌージャデル・ガーが撃墜された。

最後に確認取れたのは小さいグラージであった。

ゼントラーディ軍の兵器であるグラージにしてはサイズが小さく、形も微妙に違う。

 

「ラナルド!?」

 

「な 舐めやがって!ハルガス、頭抑えろ!」

 

「エスケスタ!」

 

バルガスと呼ばれたが駆るヌージャデル・ガーが高速で移動する異型のグラージの背後を取った。

いくら異型のグラージだろうと背後を取ればこちらが有利になる!

そう強く信じていたバルガスだったが・・:

 

「よし背後を・・・・ラック・・・消えた!?な!?」

 

突然、姿を消し背後を振り返ると先程のグラージが人型兵器に変形していた。

ゼントラーディ軍の常識で言えば異常である。

 

「バトルスーツに変形!?奴・・がはっ」

 

一瞬で接近しヌージャデル・ガーの頭を掴み両腕のインパクトガンを放った。

頭を掴んだまま投げ飛ばしキャノン砲を放ち宇宙の塵と化した。

 

「バカなたかが1機で我が隊が全滅だと!」

 

ファイター形態に変形しジグザグ移動で接近、ヌージャデル・ガーの攻撃を回避しつつバトロイド形態に変形し目の前に立ち塞がった。

 

「こんな奴にぃ」

 

零距離でキャノン砲をヌージャデル・ガーの胴体を貫いた。

爆散する前に急バックで後退し、爆風による被害を最小限にとどめた。

 

「新統合軍の犬と化した同胞の全滅を確認、このゲラム・ダルダントンの敵ではない。」

 

変形するグラージに乗っていたのはかつて第1星間大戦でラウラと対峙したシュルケル・ウーのパイロット.ゲラム・ダルダントンであった。

マイクローン化しスーツを着ている所を見るに、地球の文化に適応しているようだ。

 

「いやまだ来るか。」

 

アドスラス隊と合流予定だった。ラウラ達3機のクァドラン・ローを確認した。

クァドラン・ローの姿を見てゲラムはため息を吐いた。

 

「商談先に赴く途中なのに、全く厄日だな。」

 

商談先に行く予定だったらしく、運悪くラウラ達海兵隊の哨戒ルートにぶつかってしまいアドスラス隊と戦闘状態に入ってしまった。

厄日だと言いつつ、別ルートで移動中の護衛のSv編隊と合流するためラウラ達を排除するためバトロイド形態からグラージ形態に変形した。

 

「まぁ少々、今だに旧型に乗り続ける同胞に我らと地球の技術の結晶の実力を教えてあげねば」

 

ゲラムは邪悪な笑みを浮かべるとラウラ達に迫った。

 

ラウラ達クァドラン・ロー3機はゲラムのグラージの機影を確認した。

単機で壊滅させられたアドスラス隊の惨状を見て引き攣った表情を浮かべた。

 

「グラージ?何故単機で?」

 

「アドスラス隊が全滅してる・・・なんて奴だ・・・」

 

精鋭揃いだったアドスラス隊が一瞬で全滅してしまった。

グラージ単機で殲滅させられるとは、中々手強い相手かもしれない。

 

「どうする?」

 

「嫌な予感がする私が正面切って仕掛けるからアンジェミラとメフィリアは側面からミサイル攻撃。」

 

いつも通りラウラが正面切って目標(ゲラム)と対峙し、アンジェミラとメフォリアがミサイル攻撃で追い詰める戦術を選択した。

正直な話、通用する相手かどうか不安であるが。

 

「一人でいける?」

 

「少なくともメフィリアとアンジェミラが支援してくれれば勝てる!」

 

メフォリアから1人でイケるかどうか確認してくるとラウラは無理をして勝てると言ってしまった。

戦友に頼られている限り、勝たなければならない。

敵前逃亡なんて以ての外だ。

ラウラは無茶な責任感に駆られゲラムと戦う事となった。

 

「一応本隊に救援要請出しておくね。」

 

「サ・ダンツ、仕掛けるぞ!」

 

「「エスケスタ!」」

 

ラウラとメフィリア.アンジェミラが散開した。

メフィリアとアンジェミラ機が側面からミサイルを撃ち込み、その隙にラウラがミサイルを放ちジグザグ移動でパルスレーザーを撃ち込みグラージを討ち取るそれがラウラ達の戦術である。

 

作戦通りラウラ達は本隊に救難要請を出した後、ゲラムに自分達の基本戦術を仕掛けた。

 

「ほう・・・面白い・・・だがな!」

 

 

ゲラムはラウラ達の戦術を褒めつつ愛機グラージをファイター形態に変形しシザーズ・マニューバしながらチャフを撒きミサイルを回避した、回避できないミサイルは回転反転し撃墜し爆発させた。

 

このグラージはグラージと地球の技術で再設計したヴァリアブル・グラージと言う機体である。

惑星クラストラニアにて開発され、指揮官機として銀河各地で使われていた。

 

「!?ヤック・デ・カルチャー 姿が変わっただと!?」

 

グラージが変形ゼントラーディからしたら異型の姿(ファイター)に変形した事にラウラは頭をかち割れたかのように衝撃を受けた。

グラージは驚き動揺するラウラを横目に攻撃を避けつつ通り過ぎた。

驚き動揺したラウラだったが、反転しゲラムを追いかけた。

 

「ならばこれはどうだ?」

 

ゲラムは上に上昇し逃亡を図る素振りを見せた。

ラウラは上に逃げたゲラムを追撃した。

姿形が珍しいだけで臆病者、ラウラは心の中で嘲笑った。

 

だが・・・・・・

 

「舐めやがって・・・いつまで逃げ・・・あっ・・・」

 

「もらった!」

 

ゲラムが突然減速した。

ラウラが追い越して、ゲラムに背後を奪われ立場が逆転した。

インパクトガンを背後からジグザグに放ち、ラウラに回避する余裕を無くした。

この戦法は木の葉落としと言う戦術で、相手に背後を追わせ意図的に失速し立場を逆転させるかつての日本海軍の零式戦のお家芸だった。

そうとは知らないラウラは何が起きたのか知らなかったが・・・・

 

「くっ」

 

まるで踊ってるかのようにインパクトガンの銃弾を回避し、反撃をしようと両腕を前に出すが目の前にキャノン砲の砲弾が通った。

 

「腕は中々だな」

 

ゲラムはラウラ達を褒めつつアンジェミラとメフィリアのミサイル攻撃から避けつつ、必死に反撃するクァドラン・ローに接近した。

 

「これで終わりだな!」

 

急降下しラウラに反撃の余裕を無くすくらいの猛攻を食らわした。 

戦友2人の援護がありながら追い込まれる。

 

 

「姿が消え・・・・・あぁ」

 

「甘いな!」

 

「くぐぅ」

 

ゲラムのグラージは視界から消えバトロイド形態に変形しラウラの目の前に現れ、動揺を誘ってキックを食らわした。

吹き飛ばされるラウラに向け、ゲラムは距離を取りインパクトガンを放った。

 

「このグラージ2度も姿を変え・・・」

 

インパクトガンの攻撃を回避しながらラウラは再びゲラムのグラージが2度変形した事に衝撃(ヤック・デ・カルチャー)を受けた。

今までのゼントラーディ軍や監察軍には変形する兵器は存在しておらず、ラウラは大戦時マクロスと戦ってない為可変機を知らない。

 

「こちらカラバル攻撃編隊、後3ミル50スペリング(3分50秒)で援護に入る!ガナル隊.エフィル隊到着予定5ミル!」

 

「友軍部隊!?こちらラウラ・ ベルタリア曹長、デ・ブランと交戦中、アドスラス隊全・・・・」

 

救難信号に呼応した本隊が増援部隊を出した。

ジナール空戦ポッドや重攻撃機.ブースター付きグラージの足の速い部隊が中心になっており、数分後にラウラ達のいる戦場に到達する予定である。

必死に友軍部隊に交信しようとするラウラだったが、ゲラムの猛攻に阻まれた。

 

「中々落ちないな・・・」  

 

ラウラは2分間メフォリアとアンジェミラの支援を受けながらゲラムの執拗な砲撃が続き、咄嗟に回避しながら防戦していた。

力の差は歴然であり、ラウラはゲラムに勝つ事は出来んが2人の支援攻撃もあってか何とか撃墜されずに持ち堪えていた。

持ち堪えるラウラの姿にゲラムは苛立った。

 

「ゲラム様、そろそろお時間です。」

 

「そうだったな・・・商談の方が大事だな。」

 

ゲラムは部下からの通信により商談の時間が迫った為ファイター形態に変形し、逃走を図った。

レーダーには3機のゲラムの部下の駆るSvー52と大多数の海兵隊が接近する反応が出ており、このままラウラ達と戦っては大損である。

ラウラ達の増援が到着する前にこの場から去った方が得策である。

 

「逃げる?コケにしておいて逃がすか!」

 

ラウラは激昂しゲラムを追いかけるも、ゲラムは反転しコブラ機動を行いバトロイドに変形しクァドラン・ローの右足を破壊した。

このままではやられる、自分がやれたらメフォリアとアンジェミラが死ぬ・・・

歯を食いしばって体勢を整え防御の姿勢をとるも、グラムは攻撃を止めた。

 

「くそ・・・・」

 

「お前では俺には勝てない・・この低度で済む事を感謝するんだな。」

 

「くそ・・・くそぉ」

 

ゲラムはラウラにそう吐き捨て再びファイターに変形し別方向から来た3機のSvー52と合流し、何処かへ姿を消した。

動きが止まったラウラの周辺に重攻撃機とジナール空戦ポッドが到着した。

 

「ベルタリア曹長、脚損傷しているが無事か?」

 

「特に何も・・・・」

 

モニターに映る攻撃隊長に笑顔を見せるも、通信が終わると舌打ちをした。

屈辱からか是正されたラウラの顔は酷く歪んだ表情を浮かべていた。

 

「私が・・・・負けた・・・」

 

しばらくしてアンジェミラとメフィリアのクァドラン・ローが見え、ラウラはある事を思った。

共に3機で攻めていたら勝てていたのだろうか? 

勝ててもどちらかが確実に死んでたと考え、酷く落ち込んだ。

 

「私は何と戦っていたんだ・・・何と・・・・」

 

落ち込むラウラは今日戦った出来事について上の空になりながら、感想を述べた。

 

可変するグラージと言う存在はラウラの価値観に脳みそをかち割るかのような衝撃を与えた。

今までの価値観であれば可変する兵器はあり得ない話だったからだ。

それが故に未知の敵すぎて、頭の中が真っ白になった。

 

「地球人は確か・・・可変する兵器持ってたな。もしかしたら今の私ならば・・・・」

 

ラウラはある事を思い出した。

メフォリアが地球人の変わった兵器の話をしていたのを・・・

地球人は可変する兵器を主に運用しており、先の大戦前から今日にかけて戦って来たという事を

 

ゼントラーディ軍人ではなく新統合軍の今の自分ならば可変する兵器を使い、今戦った変形するグラージに勝てるかもしれない・・・・

 

あの戦い以来、死に場所を求め沈んでいたラウラの心に小さな炎が灯った。

 

次回予告

年が明けて新統合軍はオペレーション・ザ・フォー・ホースメンを発動した頃、ラウラ達は人生で初めてVF部隊との演習が決定した。それはラウラの人生を大きく変化させる事となる。

 

次回 マクロス外伝蒼い髪のメルトラン

 

ドッグファイター

 

新たな運命を切り開けバルキリー!

 

前回

 

次回

 

 

 

 

司令官の長田義家です。

本日、マクロス外伝蒼い髪のメルトランのアカウント作りました。

 

 

皆様よろしくお願いします。

 

 

 

 

【行政区】

新統合連邦北米州首都中枢区

【人口】

120万6848人

【マクロスシティー市長】

リガルド・B・シェインバウム

【下院議院選挙区】

首都01区 仁科盛経(自由共和党)

首都02区 ソン・ヨンム(連邦民主党)

首都03区 ザラ・ルナルト(自由ゼントラン党) 

首都04区 頼清徳(自由共和党)

首都05区 ギャビン・ニューサム(連邦民主党)

首都06区    長島昭久(自由共和党)

首都07区 ジャン・バルニエ(自由共和党)

首都08区 レムリア・フォルサ(自由ゼントラン党)

首都09区    アルフ・ウィルキー(保守党)

首都10区 チャールズ・イノウエ(無所属)

【上院議院】

首都1区    ニコラス・グエント(自由共和党)

首都2区 リン・カイフン(無所属)

首都3区    サール・ゲルズ(自由ゼントラン党)

首都4区    野上憲一郎(銀河連邦党)

首都5区    ジョセフ・ガーランド(自由共和党)

【クラビウスシティー議会】

自由共和党35人

自由ゼントラン党25人

連邦民主党13人

銀河連邦党12人

保守党10人

無所属25人

【人口比率】

ゼントラーディ人25%

アメリカ人15%

日本人13%

台湾人12%

韓国人10%

イギリス人5%

中国人5%

マリトラーン人5%

その他20%

他国人は除く

【解説】

マクロスシティーとは旧地球統合軍アラスカ総司令部跡地に建設された新統合政府の首都である。

 

第1次星間大戦のボドル基幹艦隊決戦後でグランドキャノン跡地に着陸したマクロスは所属部隊を始め、アラスカ基地残存部隊や親地球派ゼントラーディ軍と共に残存ゼントラーディ軍との戦いに備え旧地球統合軍アラスカ基地を再建した。

 

戦後、新統合政府と新統合軍が設立すると新統合臨時議会は新統合軍参謀本部と首都機能を併設したマクロスシティー設置法案を可決させ、首都として地球各地の都市と月面都市を包括した。

 

2012年1月にカムジン・クラヴシェラの乱が勃発し部隊を率いて襲撃する第1次マクロスシティー攻防戦が勃発すると戦力を増強し首都防衛軍が設置され、最新鋭機が積極的に配備された。

 

2020年現在は終戦後に比べ高層ビルが増え発展する一方、マクロスシティー周辺のマイクローン化してないゼントラーディ人の居住が禁止されている。

 

【首都防衛軍施設】

・第1防空航空基地

・第2防空航空基地

・第3防空航空基地

・第1陸軍基地

・第2陸軍基地

・第3陸軍基地

・陸軍ヘリ飛行場

・マクロスシティ宇宙港

・北部レーダーサイト

・南部レーダーサイト

・東部レーダーサイト

・西部レーダーサイト

・対空迎撃ミサイル基地

・国防総省

・警務隊司令本部

・VF-X駐屯基地

●フォート・リチャード統合運用群基地

●ジュノー海軍基地

●エルメンドルフ航空基地

●イルーソン航空基地

●アンカレッジ陸軍基地

●アンカレッジ海軍基地

●ダッチハーバー海軍基地

●ウナラスカ航空基地

●ウラナスカ陸軍基地