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【生年月日】

2002年2月28日

【性別】

男性

【種族】

地球人/ラテン系アメリカ人

【出身】

アメリカ合衆国フロリダ州

【所属】

新統合軍

【階級】

少尉→中尉

【声優】

大川透

【解説】

新統合軍ブラックパンサーズ中隊に所属するVFパイロット。

 

クラビウス基地建設に携わった技士モーガン・ワイルダーの息子であり、家族と共にクラビウス基地に移住し第一次星間大戦におけるボドル基幹艦隊による艦砲射撃を逃れた過去を持つ。

 

成長すると新統合軍に志願しVFパイロットとなるも、最初の戦場にて戦果をあげるものの戦傷を負い額に傷を負ってしまう。

 

順調に戦果をあげていきエースパイロットと呼ばれるに相応しい実績を残した。

 

趣味はサーフィンであり、休暇の時に月面の海洋プラントでサーフィンするのが楽しみ。

 

後に38年後のバジュラ戦役にてS.M.Sマクロスクウォーターの艦長ととして活躍する。

 

【西暦2021年1月25日】

【新統合政府首都惑星.地球北米.マクロスシティー】

【新統合議会下院】

 

この日、新統合議会下院にてボドル基幹艦隊決戦勝11周年記念式典が2月11日に、第1次星間大戦戦勝11周年記念式典が3月31日に執り行われる事が賛成多数で可決された。

 

新統合政府大統領フランク・マロニーの演説後、上院での採決が始まった。

 

「国防総省よりマクロスレイク及び国会議事堂.政府各省庁の防衛の為戒厳令を発令、各首都防衛部隊は記念式典まで防衛任務に徹せよ!」

 

国防総省は不穏分子による妨害活動やそれに伴う治安悪化を懸念し戒厳令を敷き陸軍部隊や各軍航空隊によるマクロスシティー警備が実施された。 

統合警察も警備デストロイドや特殊部隊も動員され、シティー内は物々しい雰囲気に包まれた。

 

「不穏分子が5名逮捕か・・・」

 

「はい。」

 

厳戒態勢においても不穏分子は式典の妨害を目論んだ。

警備開始して6時間も経たない間に不穏分子が5名が警察に逮捕されている。

これはあくまでも逮捕された人数であり、郊外では警察と不穏分子による銃撃戦が起こっており既に死傷者が多発していた。

 

戦争が終わって10年、人類は今だに苦しい戦いを止められずにいた。

 

【翌・26日12時4分】

【月面クラビウス基地.クラビウス市役所食堂】

 

クラビウス基地内にあるクラビウスシティーの市役所の食堂ではクラビウス市役所職員やクラビウス市議会議員がお昼休憩を取っていた。

 

『星間大戦戦勝式典には・・・』

 

「戦勝11周年か、僕的にあんまり喜べる話じゃないんだよね。」

 

クラビウス議会無所属議員の石崎ひでゆきはコーヒーを片手にタブレットでニュースを見ながら渋い顔を浮かべ戦勝11周年記念式典についての私見を述べた。

 

石崎市議は議員になる前、経営者として活躍していた第1次星間大戦の2月11日、地球統合軍の避難勧告により退避シェルターに避難し奇跡的にボドル基幹艦隊による艦砲射撃から難を逃れた。

だが難を逃れたものの、自身が経営していた企業のあった市川市は壊滅し人生大事にしてきた物を殆どを失う挫折を味わった。

 

戦後、心機一転をかけて月面クラビウス基地に移住し戦前までとはいかないものの経営していた企業を再興する事に成功していた。 

その後、クラビウス市議会選に立候補し当選。

2期連続当選し、クラビウス市民の為に働いていた。  

 

「Mrイシザキ、また戦勝記念式典に渋い顔だな。」

 

「グラスリー市議、先の大戦で勝てたと言っても代償が大きすぎます。経済基盤も秩序もまともに機能してたのは月面だけだと聞いております。」  

 

「確かにな、あれから10年以上経ったがようやく今がマシになったと言うレベルだしな。」

 

「そうです、ここまで来るのに全国民は苦労しました。素直に先の戦争で勝てたからと言って素直に喜べる物ではありませんよ。」

 

同じく無所属市議のジム・グラスリーに石崎市議は自身の考えを述べた。

先の大戦で得られた物が大きかった反面、失うものが多すぎた。

全人類の大半や全地球規模の経済基盤や秩序、数えたらきりがない。

 

10年経ってようやく経済基盤は回復したが、ここに至るまで国民の苦労は壮絶であった。

 

「いくら失った物が大きいとは言え、生き残ってしまえば何かを成せると考えれば喜べるものよ。」

 

イ・ジェウク

クラビウス議会国防委員長を務める自由共和党所属の市議会議員である。

元新統合宇宙軍大佐であり、統合戦争では平壌解放戦で多大な功績をあげている。

 

ジェウクはロコモコ定食を食べながら戦勝記念式典についての私見を述べた。

 

第一次星間大戦は奇跡の勝利であり、今こうして生きて過ごす事だけでも僥倖だ。

生きているからこそ、経済基盤や文明の回復や短距離・超長距離移民船団による銀河播種計画により、地球人類の生活圏の拡大が行えている。

 

リン・ミンメイ

 

先の大戦ではSDFー1マクロス艦内で行われたミス・マクロスで誕生した歌手リン・ミンメイがボドルザー基幹艦隊決戦の最中で歌い、勝利の鍵を握った。

 

「8年前のASHES・TO・ASHESのライブでリン・ミンメイを見たが分かる気がするな。」

 

8年前のメガロード01船団から来訪したリン・ミンメイのライブ『ASHES・TO・ASHES』がクラビウススタジアムにて行われた。

新統合軍中佐としてイベント警備隊長としてミンメイの歌、熱狂するゼントラーディ人達の姿を見て何故先の大戦を勝ち抜けたか理解した。

 

 

第1次星間大戦は確かに辛い戦争であったかもしれないが、得られた物は遥かに大きい。

今では銀河各地に新統合政府の存在感が大きく、旧時代のアメリカ合衆国のような覇権を握れた事は先の大戦において大きな成果だとジェウクは評価した。

 

「!?あ・・あの人は!?」

 

「軍の大物のお出ましだな。」

 

牛ロースカツ丼を食べていた石崎市議とグラスリー市議は市役所食堂に来訪した人物を見て驚いた。

制帽を被り将官用制服を着用し、副官2名と秘書士官を引き連れ堂々と歩いている。

将官用制服を着用している士官はジェウクの前に立ち止まった。

 

「イ・ジェウク市議、久しぶりだな。」

 

「白川提督、先の選挙戦以来です。」

 

「うむ、少し話がしたいから基地から出向いた。久しぶりにそれぞれの近況でも話し合おうじゃないか。」

 

士官の正体は白川提督であった。

 

白川提督は副官の秩父大佐や在原大佐、秘書士官のメロディーを引き連れジェウクと話をするために市役所食堂を訪れた。

 

石崎市議を初めとするクラビウス市議達や警備の常駐警察官は勿論、一般市民も驚いて見ていたが白川提督は気にせず堂々と振る舞っていた。

 

「話し合おうって第2総軍副司令の立場である提督が堂々と、もしもの事があったらどうするのです?」

 

「心配なく優秀な護衛はおりますので。」

 

「優秀な護衛?」

 

「桐原少佐、吉野大尉きたまえ!」

 

第2総軍副司令の立場でありながら、護衛をロクに付けず手荷物検査があるとは言え堂々と市役所を歩く事がジェウク的には不安で仕方がなかった。

そんな事を知らずか白川提督は笑顔を浮かべたままハンドサインをすると、4人の士官が近づいてきてそのうち2人がジェウクの前に並び敬礼した。

 

「自分は第64飛行隊・隊長切原茂人少佐であります。」

 

「同じく副官・吉野大樹であります。」

 

「私の部下達だよ、一応私服MPもいるがね。」

 

「流石に職権乱用じゃないか、まったく防大の頃から変わりませんね。」  

 

やってきたのは茂人と大樹だ。

きちんと制帽を被り乱れぬ動きで敬礼するなど、普段よりも真面目な態度をとっている。

ジェウクに挨拶を終えると2人は下がると、大樹が不満げな表情を浮かべ本音を吐いた。

 

「なんで俺までこんな事を・・・」

 

「提督の気まぐれだよ、私服MPもいるのに俺も護衛で使うし。」

 

「本当に分からんな。後ろに控えている本多中尉とイ少尉が引いてるぞ。」

 

突然軍司令部から召集命令がかかり、クラビウス沖で停泊中の空母シナノで副隊長業務してた大樹は愛機に乗り制服を持ってクラビウス基地に向かい同じく茂人とアンサーズ中隊に配属された隊員と共に召集先に向かった。

召集内容が護衛兼クラビウス市議会議員のジェウクに挨拶する事とは・・・

 

「ほうここの食堂、タブレット式か・・・軽くたこ焼きに・・・」

 

「本日の要件は・・・・・」

 

「ビールだな。」

 

「そうそうビール、なっビールだと!?」

 

自由すぎる白川提督の暴走は続く、前に座ってタブレットを開きたこ焼きとビールを注文した。

勤務中に飲酒と言う前代未聞の行為にジェウクは絶句し、遠くから見ていた石崎市議は飲んでいたコーヒーを思わずむせてしまう程驚いた。

 

「何しに来たんです提督、まさかビール飲む為にしかも仕事中に・・・」

 

「堅いなジェウク、まぁいいトークメインデッシュはこの2人ではない単に上官だからな。」

 

「何?」

 

「本多中尉、イ少尉きたまえ」

 

今回来訪した目的はビール飲む為でも、部下をお披露目する為ではない。

きちんと目的があって市役所食堂で話し合いをしているわけだ。

白川提督の命令で後ろに控えていた男女の士官らが前に出るとジェウクは驚いた表情を浮かべた。

 

「え・・・エラ!?」

 

「父上、お久しぶりであります。」

 

「本多義輝.中尉であります。彼女はイ・エラ少尉で私の副・・・・」

 

「私の娘だ・・・・皆までいい。」

 

驚いた理由は娘イ・エラがパイロット要員のベレー帽と女性制服を着用し、目の前に現れたからだ。

 

長男と次男が将校として軍へ、新星インダストリー社に入社した長女以外の娘3人皆軍人希望で軍学校に通っているが内心最前線へ送りたくないと思っていた。

次女であるエラはわずか16歳で軍に志願し反対を押し切りVFパイロットになった。

1年半の学生生活の後、ケロヨン中隊に配属され実戦を経験している。

 

同じく配属された本多義輝中尉はエラの上官でケロヨン中隊からの付き合いであり、エラは義輝の副官としてアンサーズ中隊に配属されている。

 

「提督、これはどう言うつもりだね?私の娘を前線に・・・・」

 

「今回のトークメインデッシュはまさにそれ、私が行う計画の為.イ・エラ少尉を貰い受ける。」

 

「正気か・・・・」

 

トークメインディッシュはエラをアンサーズ中隊の一員として貰い受ける事だ。

エラがVFパイロットに志願する際に反対したジェウク本人で、

 

「ジェウク、今後の為話し合いでもしようか。」

 

不敵な笑みを浮かべながら白川提督はジェウクに話し合いを提案した。

 

後ろから見ていた茂人は対等な話し合いと言うよりかはワンサイドゲームになるだろうと思った。

なんせジェウクの票田の半分は白川提督が握っており、何よりトーキングスキルがかなり高い。

 

話し合いは終始、白川提督が圧倒しジェウクはエラのアンサーズ入りを反対するも正論をぶつけ続け最終的にエラの自身の意思もあってか最終的に了承合意に至った。

 

「反論しても圧倒され負けるだけか、なるほどな。」

 

この場にいる面々は、改めて白川提督が恐ろしい人物だと認識した。

若手で副官である大樹はなるべく敵にしたくないと畏怖の念を抱いた。

 

 

【同時刻】

【地球軌道上衛星都市エクシア・ローダー宙域】

【ケアドウル・マグドミラ級メルトラス】

 

第29海兵隊はL4にある衛星都市エクシア・ローダー建設現場防衛の任に就いていた。

防衛任務に就いているものの、至って平穏であり戦闘こそ趣向と言うゼントラーディ海兵隊員からすれば退屈極まりない日々を過ごしていた。

 

「ベルタリア隊、発進!」

 

ラウラ達は担当宙域の哨戒任務の為出撃した。

 

模擬戦以降のラウラは絵理に言われた事やVFの操縦性に魅了され、今後どうするかは悩んでいた。

転属するにせよ、アンジェミラやメフィリアら長年苦楽を共にした戦友との別離を意味しておりその事を考えると躊躇ってしまう。

 

それでもマイクローン化し、自分自身が変わっていきたいと思っていた。

 

その頃、ラウラ達のパトロールルートの先のある宙域では民間の輸送艦が航行していた。

 

10年後に公開される戦勝20周年記念映画Remember・LОVEに登場する勢力・メルトランディ軍のピケット艦として使われている、ゼネラル・ギャラクシーが開発製造したマヤン級輸送艦でありリチャード・ビルダーが経営する星間運輸の所属艦クロスレイである。

 

エクシア・ローダー建設用の資材を運搬しており、星間運輸が所持するオーベルト級駆逐艦2隻を含む私設軍隊S.M.Sが護衛に就いていた。

 

S.M.Sとは星間運輸が所持する私設軍隊であり、元新統合軍人や元反統合ゲリラ出身者で構成され星間運輸輸送艦の護衛や要人警護を主な業務としていた。

 

後に38年後のフロンティア船団で起きたバジュラ戦役で

 

「輸送艦を確認、都市建設の為の物と思われます。」

 

「上物だ・・・攻撃準備」

 

エクシア・ローダーに向けて移動中のクロスレイを見つめる異型のVFー1の姿があった。

 

機体名Svー53フルクラムⅡ

 

裏取引ないし鹵獲されたVFー1バルキリーをリバースエンジニアリングし、MIGー29の翼を備え付け比較的安価で生産されている可変戦闘機である。

 

反統合ゲリラやテロリストに販売もしくは横流しされており、多数の機体が確認されていた。

 

反統合ゲリラのSvー53はバトロイド形態からファイター形態に変形しクロスレイに強襲を仕掛けた。

 

「敵可変戦闘機確認!アンゲロス小隊.ウリエル小隊、迎撃せよ!」

 

輸送艦は星間運輸所属であり、クロスレイから護衛の企業私軍であるS.M.SのVFー1が出撃した。

2個小隊からなるS.M.S護衛戦闘機部隊は反統合ゲリラの襲撃に迎撃し、数的不利を質で補い一進一退の攻防を繰り広げた。

 

『メーデーメーデー、こちら星間運輸所属輸送艦クロスレイ、ゲリラの攻撃を受け苦戦中。新統合軍に対し救援を求む・・・・』

 

「マイクローンからの救援?」

 

「ラウラ、私達の方が一番近いから救援に・・・」

 

「そうだな、よし行くか・・・」

 

ラウラ達は輸送艦からの救援要請を受け取った。

 

S.M.Sと反統合ゲリラとの戦闘宙域から一番近い新統合軍部隊はラウラ達であり、真っ先に駆けつけられる位置にいる。

優れた戦果を残せると期待していた。

 

だが・・・・・・・

 

「デ・マーカ・・・プレ・ガドラス・・・」

 

戦闘宙域に着く頃には戦闘が終了しており、S.M.SのVFー1が戦後処理を行なっていた。

既に反統合ゲリラのSvー53部隊は壊滅しており、残機はS.M.Sにより武装解除されていた。

 

「完全に出る幕もないか・・・・」

 

武装解除される反統合ゲリラの姿を見てラウラは酷く落胆した。

まるで自分達が時代遅れの産物かのように。

 

その後、エクシア・ローダー基地からVAー3インベーダー編隊が飛来しS.M.Sが拿捕した反統合ゲリラのSvー53の残存機を引き取っていた。

 

落胆しながら帰還の途についたラウラだったが、思わぬ事態がこの後起こる事をまだ知らなかった。

 

「ベルタリア曹長!」

 

「フリジェル軍曹か、どうした?」

 

帰還すると先の模擬戦で一緒になったクァドラン・ノナパイロットのミュレが話しかけてきた。

何やら嬉しい事があったのかミュレの表情が明るかった。

 

「なんか嬉しい事あったの?」

 

「もしかしてクァドラン・ロー乗りに昇格とか?」

 

アンジェミラとメフィリアはてっきりミュレの実力が認められ、簡易量産型のノナからローに乗る事になったのではないかと思っていた。

ミュレの実力は高くラウラ自身、この前の模擬戦で頼もしい存在だと認識していた。

 

そんなラウラ達の認識にミュレは首を横に振り、口を開く。

 

「実は私、転属しようかと思ってます。」

 

「転属?何処へ?」

 

「ハッ、マイクローンになりVFパイロットに志願しようかと思っております。」

 

「えっ・・・・」

 

転属・・・マイクローンになりVFパイロットになる。

 

ミュレの衝撃的な一言にラウラは激しい衝撃を覚えた。

堂々と躊躇いもなくゼントラーディ軍人としての生き方を捨てマイクローンになりVFパイロットになるミュレに失望感を覚えたが、何処か羨ましく思えた。

 

なんせ、ラウラは優柔不断・・・・今後どうするか決められていないから・・・

 

「今度、工業衛星に寄港するんですけれども転属希望者を引き取りに月面アポロ基地からシャトルが来るのでそこで私は他の希望者と共に海兵隊去ります。」

 

「残念だね、ミュレの実力ならばローに乗れたのに。」

 

「いえ今のままだとローよりも高性能な機体に乗れないので実力高め、マイクローンの作る新型に乗ってみたいんです。」

 

ゼントラーディ軍海兵隊は接収したゼントラーディ軍装備をそのまま運用したり、地球の技術で改修された兵器を運用している。

反面、旧来の装備のままであり革新的な最新鋭機はVFやデストロイドなどに集中しており、時代遅れと言う印象が強かった。

 

先の模擬戦で多種多様な装備と機種を誇るVFを見たミュレは海兵隊に居続けたら、自身は何も進歩できないと感じマイクローン化し転属を望んだ。

 

「ベルタリア曹長、私はいつまでもゼントラーディ軍人として生き続けるのは無理です。曹長の後期とは言え、私は地球人としての人生歩みます。」

 

「私からは何も言えない、軍曹・・・好きにしろ・・・」

 

「ハッ好きにさせてもらいます。ですが、曹長からの恩は忘れません。では失礼します。」

 

ミュレは今の今までより目が輝いていた。

それに比べ自分は何も決められず、過去の事でいつまでも引き摺っている。

下級兵であるミュレは堂々と進路決めてるのに、上級兵である自分は何も決めれてない。

 

本当になんだろう・・・・

 

下級兵であるミュレが未知で危険な道を進む覚悟があるならば、自分に出来ないはずがない。

 

「ラウラ〜何ボケっとしてるのよ?」

 

「早くしないと飯の時間遅れるぞ!」

 

「すまん、考え事していた。」

 

興味があるのに怖気づいて転属を躊躇うか、ミュレのように勇気を持ってマイクローン化し転属してVFパイロットになってみるか。

 

ラウラは歩きながら意を決して重大な決断を下した。

 

【西暦2021年1月26日15時2分】

【月面クラビウス基地宇宙港】

 

この日、ゼントラーディ海兵隊転属希望者引き取りの為クラビウス基地人事局からヴィルフリート・フォン・ロイエンタール少佐以下の兵員の出発式が執り行われていた。

 

「ヴィルフリート・フォン・ロイエンタール少佐以下、11名.転属希望者受領の為出発します。」

 

「うむ、無事任務完遂頼むぞ。」

 

「ハッ」

 

ロイエンタール少佐を始め副官を含む人事局隊員5名、警護警務官6名による編成でありアポロ基地にてアポロ基地人事局員団と合流しゼントラーディ工業衛星に向かう予定である。

 

「ゼントラーディ人の転属希望者か・・・・」

 

「八原参謀、連中信用できますかね?」

 

「信用も何も人手不足だからな、生物兵器連中を信用したくないが縋るしかない。」

 

ロイエンタール人事局団の出発を見送った後、保安参謀八原博嗣大佐はタバコを吸いながらこれから迎えるゼントラーディ人に不信の意を顕にしつつも人員不足だからと言う理由からか諦めの表情を浮かべていた。

 

月面はゼントラーディ人に対する忌避感や不信感は地球に比べ少ないものの、それでも持つ層は一定数存在する。

 

まだまだ戦争により引き起こされた溝は深い。

 

「ロイエンタール少佐・・・」

 

「どうしたユク少尉?」

 

「今回の任務上手くいきますかね?」

 

マイクロシャトル.スター・グースの機内にてユク・ミヨンが不安そうにロイエンタールに作戦が上手くいくかどうか聞いた。

ミヨンは配属されてから浅く初めてゼントラーディ人転属者を引き取りに行く任務に従事するので不安に駆られていた。

 

「心配するな、地球人ではないとは言え同じ人間だ。普段通りにやればいい。」

 

「はぁそうですか・・・・」

 

「最初は厳しいだろうが、次第に気にしなくなる。頑張れよユク少尉。」

 

ロイエンタールは不安がるミヨンに同じ人間として普段通りに接すればいいと諭した。

ゼントラーディ人も地球人関係のない、ただ人事局員としての業務を遂行すればいいと。

 

その言葉を聞いたミヨンは胸をほっと下ろし安心したが、ロイエンタールは辛気臭い笑みを浮かべ仕事中なのにラム酒の入ったグラスを口に近づけた。

 

【同時刻】

【月面アポロ基地宇宙港】

 

アポロ基地の宇宙港では同じように人事局団の出発式が執り行われていた。

クラビウス基地からの人事局団を迎えた後、オーベルト級宇宙駆逐艦ゴダードに乗艦し目的地である工業衛星に向かい転属希望者を引き取る予定である。

 

「元上官であるミリアを迎えるとは不思議な気分ですね♪」

 

「お前・・・私と同じ階級になったからと言ってますます態度がデカくなったな。」

 

「今はゼントラーディ軍ではなく新統合軍です。それに元部下ですし、同じ階級で同じ立場で対等です。」

 

人事局団を他所に、絵理はミアンと共にシーアンタレス隊に出向してきたミリアを出迎えた。

絵理は元上官であるミリアに対し、同じ階級とあってか態度がデカかった。

既にゼントラーディ軍人でもなく上官部下の関係でもなく、新統合軍人であり別部隊の人間であり何言われようとも気にしなかった。

 

「全くお前は地球の文化に染まりすぎだ。結婚してゼントラーディ人としての名も捨てて、星村絵理と・・・・」

 

「いいじゃないですかミリア、今の私は地球人の星村絵理♫ゼントラーディ人のモーア・ カリダムじゃないですから」

 

「少しはゼントラーディ人としての誇りは残しておけな(はぁ)」

 

「(それに関しては同感です、ミリア1級空士長・・・・・)」

 

絵理はミリアの部下の中で一番地球文明に感化されているかつ、比較的裕福な生活を送っており今日に至るまで様々な事を楽しんできた。

夫の和也と結婚する前も親族の養子入りし、自ら名前を考え星村絵理と名乗っておりゼントラーディ人であるモーア・カリダムとキッパリ決別していた。

 

ミリアは地球人化する絵理に少しでもいいからゼントラーディ人としての誇りを持ってほしいと思っていたが、無理だなと諦めた。

 

「今が楽しいからいいじゃないですか、味気ないゼントラーディ軍時代と比べたら最高。」

 

「味気ないと言ったら戦死した仲間が報われんぞ」

 

絵理にとってゼントラーディ軍時代は味気なく、今は物凄く楽しい。

味気ないの発言にミリアはゼントラーディ軍時代に失った戦友達を絡め苦言を呈した。

 

「死んだ仲間の為にも私達がその分楽しめば問題はないない。」

 

「それもそうだ・・・ってお前が楽しみたいだけだろ!」

 

「(これから作戦会議あるのに大丈夫かな、この二人)」

 

絵理とミリアの会話を見てミアンはこれからある作戦会議が上手く事が運ぶか不安になった。

楽天家である絵理と真面目なミリアの関係は水と油のようであり、よくゼントラーディ軍時代同じ部隊でやってこれたなぁと思った。

 

「星村中尉、そろそろ仕事モードに・・」

 

「そう」

 

「いつもこのぐらい真面目に出来ないのかしらね?」

 

ポーカーフェイスのままミアンは絵理に仕事モードに入るように進言した。

流石の楽天家も状況を理解したのか、夫に迷惑かけない為仕事モードに入った。

 

しばらく淡々と会議室に向け歩いていたが、絵理の表情が崩れた。

 

「さてあいつ、そろそろ来るかな。」

 

「ん?モーア・・・・あいつって誰だ?」

 

「ん?内緒、どうせいつか会えると思うから言わな〜い。」

 

「はぁ?」

 

表情が崩れた絵理は両手を頭を押さえながら、ラウラがマイクローン化し転属する事に期待した。

必ずVFパイロットになる、あの時ここまでボロ負けさせれば悔しさから転属しVFパイロットとなって自身に対しリベンジしに来る。

 

ラウラ・ベルタリアはそんな女(メルトラン)だ!

 

またまた聞いていたミリアは気になって質問をしたが、絵理はお茶を濁すかのように誤魔化した。

 

 

 

【2021年1月26日17時30分】

【第4工業衛星沖・航行中】

【ケアドウル・マグドミラ級メルトラス】

 

ラウラは艦長室の方に向け一人歩いていた。

第29海兵隊司令ガミロフ・ボーマン大佐と面会し、自身の本音を打ち明け転属を申請するためだ。

 

ミュレの姿を見て何も決めれてない自分に嫌気が差し、意を決して転属する覚悟を決めた。

 

面会し転属する旨を伝えるとガミロフは疑いの目でラウラを見ながら、口を開いた。

 

「お前が転属ね。」

 

「はい、悩みましたが・・・・・」  

 

「マイクローンの連中も、人手不足だし。転属は受理できる。」 

 

予想に反してあっさり申請は通った。
 
それもそのはず、現在新統合軍は人手不足である。
先の大戦での被害により、人的リソースが足りないのだ。
開拓惑星の原住民やゼントラーディ人の編入、クローンなど人口を回復しているが、移民船団などなど人的リソースは足りない。

全て軍人と言うわけにもいかないので、2020年に入っても新統合軍は慢性的な人員不足に悩まされていた。

そんな中のラウラの転属は歓迎される話だった。

ラウラは嬉しがるが、予想外の事がガミロフの口から伝えられた。

 

「転属したいと申し出た兵はお前だけじゃない。」

 

「知ってます、フリジェル軍曹が話してましたので。」  

 

「ゼントラン5名、メルトラン6名。貴様を含めたら7名。戦力としては大損害だがな。」

 

転属希望者はラウラやミュレを含め計12名、1個中隊に相当する人数だ。

第29海兵隊としては大損害だが、投降し恭順した兵士を代わりに補充する為問題はない。

 

「アポロ基地、クラビウス基地の機種転換センターですか?」

 

「そうだ。訓練の為、クラビウス基地の方に行ってもらう。」

 

「しかし、実戦部隊・・・・」

 

「貴様にいきなりマイクローンの部隊に転属するのは、不味すぎる話だ。地球の習慣知ってるのか?」

 

「いえ・・・」

 

転属先はクラビウス基地の機種転換センターとされた。

実戦部隊に配属されるかと思っていたラウラは驚き何故機種転換センターに配属されるかと質問をしようとしたが、ガミロフからの逆質問され不発に終わる。

 

地球の習慣を知っているか?

 

当然の事ながら第1次星間大戦後も新統合軍海兵隊員とは言え実質ゼントラーディ軍同然の生活を送っている為、地球の習慣は知らない。

これからVFパイロットになるには地球の習慣は覚えなくてはならん。

 

「給料は?」

 

「給料?何それ?」

 

「この大馬鹿者が!それで転属とはいい度胸だ!それに可変戦闘機には資格だけでなく地球の風習に慣れる事も必要なんだぞ!」

 

「ひっ・・・・そうなんですか?」

 

習慣の知らないラウラだが、事前に給料と言う概念もなかった。

転属希望者は給料の事を上級士官から教わるが、ラウラの転属動機が突然だった為.上級士官から給料の事を教わらなかった。

 

給料を知らないと発言したラウラにガミロフは激怒し、給料とは何かを一から十まで教えた。

 

「地球のエルメンドルフ基地も候補にあったが、流石に地球は厳しすぎる。」

 

「はい」

 

「工業衛星到着.後各種準備!マイクローン装置は既に起動可能だ!後は人事局員団の指示に従え!」

 

「はい・・失礼しました」

 

いろいろ話をして1時間、ラウラのマイクローン化し転属する事が決定した。

工業衛星到着後、マイクローン装置を使い地球人サイズになった後人事局員団と合流し制服やキャッシュカードを受け取り月面に向け出発するだけだ。

 

以外と簡単に事が進んだ。

知らなかった事があったけど、なんだかんだ上手くいけそうな気がした。

 

ただやり残している事が1つある・・・・

 

「私・・・・転属しようかと思う」

 

『えっ』

 

戦友であるアンジェミラとメフィリアに転属する事を報告する事だ。

突然の報告に二人は驚き、涙目になっていた。

 

「本気なの?転属なんて・・・・」

 

「私は可変戦闘機に乗ってみたい・・・・・転属しかないわ」

 

「転属・・・・突然すぎるわ・・これからも一緒だと思ったのに。」

 

当然の反応だった。

人員製造衛星で製造後、同じ隊に同時期に配属され数々の激戦をくぐり抜け生き延びてきた仲だ。

それがいきなり無くなって離れ離れになるのは辛すぎる。

 

「ごめん、メフィリア.アンジェミラ。でも私は生きる意味を探してみたいと思うんだ。」

 

「本気なんだね?」

 

「私だって離れたくない・・・・でも私はやりたい事を初めて見つけたから。」

 

戦友との分かれは辛いがやりたい事を見つけたから自ら行動して実行に移したい。

今のラウラの心はそれしか考えていなかった。

 

かつてマイクローン化し転属していったシュリ達のように、自ら進んで行って新しい価値観を体験して自分自身を変えてみたいと。

 

「私が死ぬわけじゃないし、悲しまないでよ。」

 

「そうだけど、やっぱり寂しいから辛いわ。」

 

「共に生き抜いてきたし、離れ離れになるのは嫌よ。」

 

「アンジェミラ、メフィリア・・・・・」

 

それでも生まれてずっと過ごしてきた戦友達は泣き崩れた。

ラウラは今までアンジェミラとメフィリアに大事にされたからこそ今まで戦ってこれたんだなと思うと、思わず涙が流れた。

 

「ごめんね私は、転属する。ここでしなかったら、私は前へ進めなくなる。だから行かせて、必ず生きて会いに来ますので。」

 

転属すると覚悟を決めたので、今更やめるわけにはいかない。

立派なVFパイロットになり、二人の下に戻ってくる。

ラウラはゼントラーディ軍式の敬礼をして、2人に約束をした。

 

「まぁ言いだしたらしょうがない。」

「頑張りなさい、応援してるわ。」
 

決意を聞いたアンジェミラとメフィリアは新たな世界に旅立つラウラを応援する事を決めた。

ボドル基幹艦隊決戦後、死に場所を求めていた感があったので10年間心配していた。

死に場所を求め生きてきたラウラに生きる意味を持てたと言うのが嬉しかった。

 

2人は悲しい半面、生きる意味を持てたラウラを新たな世界に応援しながら送り出そうと思った。

 

「うん、私・・・頑張ってくるよ」

 

二人の応援にラウラは奮い立った。

立派なVFパイロットになり、必ず戻ってきて再会してやると。

 

シュリだって自ら進んでやって見せたんだ。

私にも出来ないはずがない。

 

ラウラは拳を握りしめ、これからの人生を挫けずに頑張ろうと誓った。

 

【西暦2021年1月26日19時4分】

【月面シッカルトクレーター上空】  

 

空母シナノはシッカルトクレーターにてオーベルト級駆逐艦カーペンター.コルホーンの護衛の下、VF2個小隊が発艦した。

 

リーダーズ・ベネフィットフォーメーションを組むのはブラックパンサーズ中隊のVFー4ライトニングⅢのクーガー小隊とダンパー小隊である。

 

「エネミータリホー・クーガープラトゥーン・コンバットオープン!」

 

先頭を行く大樹はシュリやリックそしてジェフリー率いるダンパー小隊に敵を目視で発見、戦闘開始を大きな声で告げた。

 

サーベル小隊の護衛で守られているVEー1エリントシーカーからの敵に対する電波妨害の支援の下、一斉に急降下しながら目標の敵に対し攻撃を開始した。

 

「レーダーに乱れ、新統合軍の来襲!」

 

「犬どもめ!返り討ちにしてくれる!」

 

ゼントラーディ軍のピケット艦を改造したゲリラ組織の駆逐母艦からSvー53とSvー51の混成部隊が出撃してきた。

数は24機数は4倍であり、クーガー小隊とダンパー小隊は圧倒的に不利である。

 

「各チーム散開!ジェフリーは俺に続け!5分だけ持たせろ!」

 

「「了解」」

 

ただでさえ不利なのに部隊を3つに分けた。

これにより敵の数12倍となり、誰が見ても無謀と言ってもいい状況になった。

 

「相手はたったの2機?楽勝だな!」

 

だが、ゲリラ組織の飛行隊長は大樹達が2機だけで襲撃してきたと勘違いをした。

電波妨害と、シュリ達が後方にいた為分散した事に気が付かなかった。

 

「ぶちかませぇっ!」

 

戦闘を開始すると二人は圧倒的数的不利ながらも奮戦していた。

ジェフリーはゲリラのSvー53とすれ違う寸前にスーパーパックをパージし、サーファーが記念が波に乗るかの如く機体を動かしバトロイド形態に変形し撃墜した。

大樹は斜め宙返り左横滑り左捻り込みを駆使し、複数のゲリラ飛行隊を翻弄した。

 

「仕上げだ!全機突入せよ!」

 

ゲリラ飛行隊を翻弄している隙にシュリとリック達ら各2機のチームが左右から攻め込んだ。

大樹は自身とジェフリーを囮にして各部下達を二手に分けゲリラ飛行隊を包囲殲滅をする釣り野伏せに似た戦術を考えていた。

 

左右から攻められたゲリラ飛行隊は数は勝っていたが強襲により混乱が生じ総崩れになり、次々と撃墜され全滅していった。

 

「バカな3分も経たずに24機の可変戦闘機が壊滅!?化け物か!残りの機を出せ!我が艦を守れ!」

 

圧倒的戦力を誇っていた飛行隊がたった6機のVFにより全滅させられた。

艦長は予備機を出し艦を守らせようとした。

 

だが、ここでトドメを刺す一報が部下から届く。

 

「艦長!」

 

「なんだ?」

 

「背後より新統合軍艦隊です!」

 

「なんだと!?」

 

アームド級宇宙空母アルタミラ以下オーベルト級宇宙駆逐艦3隻がゲリラ組織母艦の背後から接近、更にVFー5000スターミラージュ配備の3個中隊が発進していた。

 

更に大樹達の増援として無人機ゴーストを引き連れたサーバル小隊が参戦した。

 

「ぬわぁ!?」

 

「降伏しろ!ゲームオーバーだ!」

 

大樹はゲリラ駆逐母艦の艦橋にガンポッドを向け降伏を促した。

抵抗しようにも周辺には大樹含む57機の新統合軍VFに囲まれており、ゲリラ母艦の艦長は観念し降伏する決断を下した。

 

「アポロ基地と我が基地の航路の反政府組織やはぐれゼントラーディの排除、颯爽獲物が出てきて大手柄ですねぇ大尉。」

 

「ジェフリー、本来なら存在してはダメな連中だぞ。」

 

拿捕した反統合ゲリラの母艦を曳航する空母アルタミラと護衛艦と所属飛行隊のVFを見ながら大樹達は戦後処理をしていた。

 

白川提督の嫌なやり取りを見せられてすぐ原隊に戻り、反統合ゲリラやはぐれゼントラーディの掃討をやらされており大樹は何処か不満げだった。

ジェフリー相手に愚痴を言い続ける大樹に一件のメールが届いた。

 

「なんだこのメール?海兵隊からの転属希望者名簿.新統合軍クラビウス人事局・・・」

 

何故か知らないがクラビウス人事局から転属希望者名簿がメールで届いた。

VFのモニターを開きメールを開き、転属希望者名簿を読んだ。

 

「ん?これは・・・・こいつは・・・」

 

赤マーカーに塗り潰された名前にラウラ・ベルタリア曹長と言うのを見つけた。

シュリのかつての戦友で石頭で転属しそうにないラウラの名前が転属希望者名簿に記載されていた。

 

更にメールにはラウラが無事に到着するよう、反統合ゲリラやはぐれゼントラーディを掃討するようにと言う命令が記載されていた。

 

「なるほどな、何故今この任務やらせているのか理解できましたよ。」

 

大樹はメールの送り主が誰なのか想像が出来た。

クラビウス人事局名義だが、背後にいるのは白川提督であろう。

わざわざ転属希望者名簿を送ってくるとは危ない橋を渡るにも程がある。

 

「吉野大尉!」

 

「・・・・・」

 

「吉野大尉!!聞いてますか!!」

 

「おおうすまんな。」

 

転属希望者名簿を見るのに集中していた大樹は話しかけてきたシュリを無視してしまった。

無視されたシュリはかなり怒ってる様子だった。

 

薄っすら忘れかけていたがラウラとシュリは同じ海兵隊・同じ部隊の出身だ。

ラウラが転属すると言う事を伝えたいが、極秘事項の情報なので言えない。

 

『クーガー小隊、ダンパー小隊ただちにシナノに帰還しサーベル小隊とピューマ小隊と交代せよ!』

 

「了解!クーガー小隊帰還する。」

 

「ダンパー小隊、同じく帰還する。」

 

シナノの若い女性オペレーターから帰還するように指示が出た。

まだまだアポロ基地とクラビウス基地間の航路の反統合ゲリラやはぐれゼントラーディを掃討し安全を確保しなければならない。

 

指示を受け大樹とジェフリーは母艦シナノへの帰還の途ついた。

 

この後、思いもよらない出来事でラウラと大樹が初めて出会うのだがそれは少し後の話。

 

次回予告

 

次回、マクロス外伝蒼い髪のメルトラン

 

マイクローンになったラウラはクラビウス基地機種転換センターに向けて旅立った。途中で立ち寄ったアポロ基地にて、戦争以外の楽しみを知ることになる。

 

次回

マクロス外伝蒼い髪のメルトラン

 

カルチャー・ファースト・コンタクト

 

新しい扉を開け!ライトニング!

 

前回

 

次回

 

 

【西暦2021年1月18日午後15時 冥王星】

 

新統合軍.第29海兵隊と任務航空団・シーアンタレス隊の演習が始まって1時間が経過した。

海兵隊は作戦により任務航空団に対し優位に立ったが、シーアンタレス隊の参戦により一気に劣勢に追い込まれてしまった。

 

「こちらコーカサス3、敵1個小隊沈黙完了。」

 

「こちらコーカサス7、敵指揮官制圧。敵指揮系統を分断完了したわ。」

 

シーアンタレス隊は当初、隊長である星村和也大尉の父統合軍提督星村謙三中将の七光部隊と言う侮辱的仇名が付けられていた。

その後数々の功績を残し、次第に七光部隊と呼ばれなくなった。

星村絵理と星村和也の実力が高いだけでなく、人員も優れたエースや能力の高い乗員などがおり高い組織戦を行えるエキスパート集団となっている。

 

「何だこいつら?」

 

「一瞬で複数の部隊が殲滅されただと!?」

 

「模擬戦でこれじゃ、俺達は全員戦死だぞ!」

 

高い組織戦は強力であった。

少数精鋭であり、2つの実働部隊と2つの支援部隊計24機で多数の反統合組織やはぐれゼントラーディの部隊を討伐していった。

 

「デストロイド・ドーントレス隊前に出せ!」

 

シーアンタレス隊の母艦であるサドワラ艦長.醍醐忠義大佐は艦隊直掩のデストロイド・ドーントレス部隊を前面に出すように指示を出した。

デスストーカー隊.イエローファットテール隊のデストロイド・ドーントレス部隊は最前線に急行し、シーアンタレス隊や任務航空団を支援攻撃を開始した。

 

「醍醐大佐、いい支援だね。」

 

「デスストーカー隊は副隊長のスコーピオン隊支援するようですね。」

 

「まぁ絵理の実力であれば、必要はないと思うけどね。」

 

ドーントレス部隊の活躍は和也を唸らせた。

高機動を駆使し、連装ビームカノンで海兵隊のクァドラン・ローですらいとも簡単に命中させた。

回避した機体は和也直結のコーカサス隊や各支援隊が撃墜し効果は2倍に発揮した。

 

「実際の敵として現れたら恐怖でしかない。」

 

撃墜判定が出て離脱する海兵隊員はシーアンタレス隊が敵として現れる事に恐怖を感じた。

実戦部隊のパイロットの実力、徹底した組織戦と戦術どれも見事と言ってもいい。

見事が故に敵にしたら恐怖でしかなく、同じ新統合軍で良かったと思った。

 

「ラウラ大丈夫かな?」

 

「まだ帰還してないから大丈夫だろ。」

 

アンジェミラとメフィリアは艦内のモニターで他の撃墜判定者と共に戦場の様子を見ていた。

真っ先に狙撃でやられた二人は、演習の大半はモニターで見て過ごす事となった。

模擬戦の様子は観測用リガードが撮影しており、各艦内のモニターで放映されていた。

 

「あれは!?」

 

「ラウラ!?」

 

モニターにラウラと絵理が戦っている姿が映し出された。

ラウラは善戦しているように見えるが、絵理に押されている一方である。

二人はVFー3000クルセイダーに乗っているのは絵理と知らないが、動きから見てかなり手練れの同胞(メルトラン)であると見抜いた。

 

「ラウラ・・・・」

 

ただ見ているだけしか出来ないアンジェミラとメフィリアは望みは薄いとは言えラウラが絵理を制し最後まで生き残る事を祈るしかなかった。

今二人に分かるのは、完全に負けるのは我々第29海兵隊であると・・・

だからこそ、ラウラに生き残ってほしい。

 

長年の戦友として今まで苦しんでいたところを見ていた者としてそう願うばかりだった。

 

 

ラウラと絵理の戦闘は続いていた。

近くは先の大戦でマクロスのフォールドに巻き込まれ、宇宙の目ずくとなったアーレイ・バーク級駆逐艦やワトソン級輸送艦が漂っておりそれを足場にして死闘を繰り広げていた。

 

「マイクローンの死体か・・・・小さいな」

 

ラウラの目の前に先の大戦で南アタリア島で亡くなった女性兵士を始めとする複数の遺体がまるで生きているかのような姿で目の前で見えた。

宇宙区間では地球上と違い完全な分解プロセスがないため朽ちる事がない。

11年経った今でも死んだ当時のままの姿を保っている。

だが宇宙空間に晒された遺体は未知の病原菌等の関係で回収されず、今もこうして漂っている。

 

「もらった!!」

 

「くっ」

 

一瞬の隙だった。

ラウラは女性兵士の姿に気を取られ、絵理の接近に気が付かなかった。

隠れていた物陰から、飛び出てガンポッドで銃撃しラウラは慌てて回避した。

 

「危なかった・・隙を作ってしまうなんて不覚。」

 

隙を作った自身を恥じながらラウラは反撃に移った。

ミサイルを一斉発射しつつパルスレーザーで攻撃するラウラだったが、絵理は愛機の脚部のバーニアを駆使しフレアを撒き急バックからの反転し回避した。

 

「いい加減やられろよ・・・」

 

ラウラは歯を食いしばりながらパルスレーザーを撃ち続けるが、絵理はステップするかのように回避しガウォークに変形しガンポッドを放ち逆襲した。

 

「よく耐えるなぁ、ならばこれならどうだぁ!」

 

「逃げる?何を企んでいる?」

 

絵理は何か閃いたのかファイターモードに変形し、まるで逃げる動きを見せた。 

ラウラは絵理の動きに疑問抱きながらも追撃した。

追撃してくるラウラの姿を見た絵理は振り返り、くすっと笑いながら然りげ無くクァドラン・ローやリガードを撃墜しながら操縦桿を引いた。

 

「消えた!?」

 

「ほぉら!もらったよ!」

 

絵理の姿が突如消えた。

コブラ機動を行い、ラウラの背後についた。

ただのコブラ機動ではない、ファイターからバトロイドに変形した上でのコブラ機動だ。

背後に突かれたラウラは振り返ると、ガンポッドを構えた絵理からの銃撃を受けた。

 

「モーアの奴、いつの間にこんな技能を・・・」

 

「流石はエース級、見事・・・」

 

それでもラウラは回避し、ミサイル攻撃するも絵理は回転するかのように動きながらフレアを放ちながら回避行動を取り、ガンポッドで反撃した。

 

「思い出した、この動きはラウラ・ベルタリア!生きてたのか・・・あの程度で死ぬバカじゃないか。」

 

絵理は目の前にいるクァドラン・ローのパイロットがラウラだと気がついた。

癖や技術はラウラであるが、必ずしもそうとは限らない。

限らないが、絵理的にはラウラだと確信していた。

 

「流石にあいつが上だなんて認め・・・ラック!」

 

「何処から?グラージとリガード、もろに付着したな。」

 

ラウラと絵理の間に突然砲撃が割り込み近くにいたグラージやリガード数基にに命中し全体がペイント弾の色が付着した。

再び砲撃が開始される中、ラウラ達の前にVFでもない機体が編隊を組んでやってきた。

 

「ドーントレス?デスストーカー隊?」

 

「星村中尉殿、援護します。」

 

「河窪中尉か!」

 

デスストーカー隊のデストロイド・ドーントレスが戦闘に割り込んできた。

ラウラと絵理に気にせず、デスストーカー隊はフォーメーション・フィンガー・フォーで高機動を活かし、一撃離脱戦法でラウラを一斉に砲撃した。

 

「あれだけの砲撃を避けるとは・・・ 」

 

「やられたぁ」

 

「各機、3番機がやられた油断するな!奴はエースだ!」

 

ラウラは砲撃と砲撃の間を上手くくぐり抜けるかのように回避し、そのまま反撃しドーントレス3番機をパルスレーザーで撃墜した。

デスストーカー隊は戦術を変え、ラウラ撃墜を目指した。

 

「河窪中尉、支援は不要です。」

 

「星村中尉殿、我々はシーアンタレス指揮下の部隊ではありません。それに戦場では個人の武勇なんぞ優先順位は下位です。」

 

「まぁそれはそれで正論か・・・仕方がない。」

 

絵理は河窪信経中尉に支援は必要ないと抗議するかのように言ったが、河窪中尉は戦場は個人の武勇を誇る場ではないと反論した。

正論を突きつけられた絵理は苦虫を噛み締めながら、戦術変更を考えた。

 

「モーア・カリダム!個人の力を使わず卑怯な!」

 

事情を知らないラウラは激怒した。

一対一に等しい戦いを行なっていたのに、意味の分からない部隊が援護した。

ゼントラーディ軍人の塊やゼントラーディ人の本能そのものとも言うべきラウラからすれば受け入れがたい卑劣極まりない行為だと認識していた。

 

「バレック少尉、スコーピオン3から7を指揮せよ!」

 

「はぁ、フローラン少尉は・・・・」

 

「ミアンは私のロッテパートナー、だから連れて行く!」

 

「はいはい了解しました。(全く自由すぎる人なんだから)」

 

ラウラの猛攻を確認した絵理は副官の一人ジャック・バレック少尉に部隊指揮を命じ、ミアンには自分のロッテパートナーとしてついてくるように命じた。

絵理の命令を聞いたミアンは適当な返事で了承した。

 

「河窪中尉殿、この敵は私達で十分です。私の部下達と共に他の海兵隊を相手にしてはいかがでしょう?」

 

「ぬぅ・・・・了解した。」

 

「ありがとう♡」

 

十分部下に指示出した絵理は河窪中尉にラウラの相手するよりも、部下達と共に他の海兵隊を相手にするように提案した。

的確な指示を出した絵理の姿を見てた河窪中尉は苦虫を噛み潰したような表情で了承した。

 

「よーし思いっきり楽しむぞ!」

 

「いいんですか?一対一ではなくて?」

 

「一応エース兼指揮官なので、戦術駆使して仕掛けるわ!」

 

「指揮官としての自覚強く持ってくださいね。」

 

思う存分、ラウラと戦えるような状況を作った絵理はミアンを相棒にした戦術駆使しようと企んだ。

囮戦術を使うのだが、囮役としてラウラと戦うのはなんと絵理である。

 

「本気ですか?」

 

「いいから、ミアンは周囲のザコ倒しつつ私が引きつけた奴を撃墜。なぁに失敗しても、私が討ち取れば問題ない。二段構えの策、なんちゃって♡」

 

「そんなにお気楽で大丈夫なんですか?」

 

「まっ私にまっかせなさーい」

 

普通であればミアンが担当するのだが、絵理はあえて自分自身を囮役として徹する事を決めた。

ミアンであれば囮役として十分果たせるが、絵理は自身の技量を活かし戦術を持ってラウラを必ず撃墜できる作戦を練っていた。

 

「モーア!?急に!!」

 

真面目に作戦を練り上げた絵理は強かった。

ラウラは絵理のVFパイロットとしての癖を理解し対策を練ったが、予想を上回る技量と戦術を出した絵理に対し無意味だった。

 

「ふっふっふー、ビクともしませんなァー」

 

技量と技術の面で絵理が上回っていたが、本気を出していなかった。

まるで遊んでいるかのような戦い方をしている。

 

「最初から本気を出して来なかったのかよ。そんなに私の事を自分より弱いと思っているのかモーア・ カリダム!!」

 

ラウラは絵理が最初から本気を出さず自身と対峙した事に腹を立てた。

ゼントラーディ軍人として常日頃、敵と戦ってきており全力で自身と力を出してきた。

本気を出さず舐めプレイをして来る絵理に物凄く腹がった。

 

「モーア・カリダム!私が弱いからと言って本気を出さなかったたな!」

 

「怒った♪怒った♫こうして挑発すれば潜在能力は発揮するかも♫」

 

「くそ舐めやがって!ゼントラーディ軍時代からもいつもいつもそんなふざけた態度取りやがって!」

 

全ては絵理の腹の中であった。

ラウラは絵理が自分よりも弱いと思って本気を出さないと勘違いした。

戦って分かったゼントラーディ軍時代、絵理が自分自身どう思っていたのかを・・・

 

「私は弱くなんかない!私はお前より強いんだよね!ゼントラーディ人の誇りにかけて!」

 

ゼントラーディ軍人としての誇りを持ち今まで数々の戦場を生き残ってきた。

苦しさを抑え同じ同胞を殺してきた、死に場所を求めていた。

ゼントラーディ軍の兵士として、負けるわけにはいかない!

 

「それがお前の弱さなんだよ!ラウラ・ベルタリア!」

ラウラの動きを察した絵理の目つきが急に鋭くなった。

別方向からミアンのVFー3000がファイター形態で急接近し、ガンポッドを発射しつつ横回転しながらバトロイドに変形しガンポッドとミサイルを発射した。

 

「こんな程度でやられる私ではない!」

 

ラウラは当然のように回避してみせた。

いくら絵理の相棒ミアンがエースでもこの程度の攻撃であれば簡単に回避できる。

回避し反撃に移れば絵理の相棒(ミアン)を撃墜出来る。

この時のラウラはそう確信したのと同時にミスを犯してしまった。

 

「ならばこれならばどう?」

 

「ラック!」

 

ラウラの背中に絵理がガンポッドを突きつけた。

ミアンに気を取られすぎて、絵理の存在を一瞬だけ忘れてしまった。

回避行動を取るも間に合わずガンポッドの銃弾の餌食となった。

 

「負けた・・・・私が負けた・・・・」

 

「賭けだったけど、結果オーライね。」

 

ガンポッドの銃弾(ペイント弾)の餌食になったラウラは実戦であれば顔面を潰れ、腹を撃ち抜かれるなど悲惨な状態になっていた。

絵理のVFー3000は、周囲を見渡しミアンを引き連れて他の戦線に向かおうとしたが直後艦隊司令部から通信が入った。

 

『艦隊司令部より全部隊へ、第29海兵隊各部隊の組織的戦闘能力喪失した事により降伏により模擬戦を終了します。』

 

「終わったか・・・・」

 

ラウラと絵理が戦っている合間に第29海兵隊はラザルを含む指揮官が全員戦死判定、喪失率は過半数越えた事により戦闘継続が困難になり司令官ガゼフ・ボーマン大佐は降伏を決断した。

勝利した任務航空団側も損害判定機は大きく、シーアンタレス隊の参戦が無かったら艦隊に突入され制圧され敗北もしくは任務航空団のVF部隊全滅に全力を上げていたら敗退していた。

 

「辛うじて我々が勝利しましたが・・・・」

 

「巨人共にここまでやられるとはな、今回の結果を元に我々の戦術を変えねばな。」

 

今回の模擬戦の結果はどの陣営も戦術変更を余儀なくされた。

今のままでは想定敵である反統合ゲリラのVF部隊やゼントラーディ軍と実際に戦闘になった時に大損害を被り、国家安全保障上の危機に陥ってしまう。

戦死するのが軍人だけならまだしも、守るべき民間人に被害が出てしまう。

 

両陣営上層部は自分達の問題にせず、新統合宇宙軍総司令部と海兵隊総司令部にすぐさま報告した。

 

「モーア・カリダム・・・・」

 

演習を終えたラウラは帰還しようとしたら、絵理にずっと見られている事に気がついた。

しばらく沈黙を貫いていたが、突然絵理が近づいてきた。

すると右腕を大きく上げて、殴った。

 

「あっ痛」

 

「やはりラウラ・ベルタリアか!やはり生きてたわね。」

 

「やはりはこちらのセリフだ・・・モーア・カリダム」

 

殴られた衝撃は強かったが、モニター越しの通信に映し出された絵理の姿の方が衝撃的だった。

ミリア機動戦隊次点の強さを誇るエースであるモーア・カリダムが見慣れない真っ青なパイロットスーツを着てモニター越しに映っている。

 

生きてても当然か、簡単に死ぬような奴ではない。

 

「まぁいい、帰還する前に少し話をしない?」

 

「話?私に何の話をするつもりだモーア。複数機で対決とはエースも堕ちたものだな。」

 

絵理から話さないかと言われたラウラだが、一瞬で気まずい雰囲気になった。

勘違いしていラウラは、複数機で対決してきた事に絵理に抗議した。

ラウラの抗議に明るい雰囲気だった絵理の表情は冷たい冷酷な表情に変わった。

 

「戦場は個人芸の場じゃないんだよなぁ、それがお前の弱さなんだよラウラ。」

 

「私の弱さだと?」

 

「そうお前の弱さ、だからこそ話さない?ベルタリア曹長殿。」

 

ラウラの弱さ

 

絵理の放った言葉にラウラはまるで心を鷲掴みにされたかのような感覚に襲われた。

まるで怯えるような表情を浮かべたラウラを見た絵理はクスッと笑いながら、話し合おうと言った。
 

【西暦2021年1月18日 同時刻.午後16時】

【クラビウスシティー中央中枢区.スターダスト】

ラウラと絵理が会話している頃、大樹は有給を使い一人バースターダストで酒を飲んでいた。

飲んでいる酒はショートカクテルのオーロラである。

カクテル言葉で偶然の出会いと言うのがあり、転属先の部隊の人材集めの為願掛けに来ていた。

 

『本日、冥王星で宇宙軍と海兵隊による合同軍事演習ジャイガントが実施されました。軍の発表によりますと・・・・』

 

「演習やってたのか・・・」

 

テレビのニュースではラウラ達の演習の様子が映し出されていた。

大樹は演習の様子を見ながらこの中から我が隊に相応しい人材いないかなと考えた。

 

「吉野大尉、ジェフリー・ワイルダー中尉参上しました。」

 

「ジェフリーかぁ、まぁ座れ・・・何を飲む?」

 

「モスコ・ミュールを一杯。」

 

アメリカの若者らしい私服を着たジェフリーが来店した。

大樹の隣の席に座るとモスコ・ミュール一杯とチョコレートの盛り合わせを注文した。

 

「ジェフリー・ワイルダー中尉 中尉昇進とダンパー小隊隊長就任おめでとう。」

 

「それほどでも、転属になったドライバー中尉やキム少尉の分頑張ります。」

 

本日の会合の目的はジェフリーの小隊長就任と中尉昇進の祝いであった。

ジョン・ドライバー中尉が転属し、エースとしての実績を認めらダンパー小隊長に任じられた。

 

「大尉殿、人材集めは順調ですか?」

 

「微妙だな、中々集まらない。まぁ桐原少佐や白川提督がなんとかしてくれるらしいが・・」

 

ジェフリーの祝いの会であるが、話は基本的に仕事の話ばかりだった。

お互い軍人であるが故、洒落た話ができなかった。

そうした時間がだらだら続いたが、ジェフリーはカールスバーグビールを飲んでる最中にSNNテレビの模擬戦特集の映像で何か気がついた。

 

「大尉、あの機体シーアンタレス隊の星村絵理中尉のVFー3000クルセイダーですね。」

 

「星村絵理?スカルリーダー殺しの?」

 

「本人の前で言ったら大問題ですよ・・大尉。」

 

ラウラのクァドラン・ローと絵理のVFー3000クルセイダーの戦っている姿だ。

絵理のパーソナルマークの独自のアンタレスマークは新統合軍内では有名であり、一般兵卒のジェフリーですら星村絵理の名を知らない者がいない。

 

大樹はフィッシュアンドチップスを食べバレンシアコブラーを飲みながら、スカルリーダー殺しと言う発言をしジェフリーは呆れた顔をしながら大問題発言だと諌めた。

絵理が元ミリアの部下モーア・カリダムで、ロイ・フォッカーを殺した事も有名である。

 

「にしてもあのクァドラン・ローいい動きだな。」

 

「敵として出てくれば流石の俺でも厳しいな。」

 

「その意見は同感ですよ、大尉。」

 

模擬戦を観ていた二人はラウラのクァドラン・ローに注目していた。

ミリアに次ぐ技量を持つ絵理の動きに付いてこれるラウラの実力を見て敵として現れたら厳しいだろうと高く評価した。

 

「あれがラウラ・ベルタリアって女よ。」

 

「なるほど・・・あれがラウラか・・・」

 

「確かシュリと同じ部隊にいた噂のエースだったな。あれがそうなのか。」

 

近くから女の声が聞こえ、クァドラン・ローのパイロットがラウラだと教えてきた。

大樹とジェフリーはシュリから散々話を聞いてたので近くから聞こえた女の言葉に納得した。

 

だが女の声は聞き慣れた声だった。

 

「ん?」

 

「どうしたの副隊長?」

 

「お前・・・何でここにいるんだ?」

 

大樹は声の主の女に呆れた表情で何故ここにいるのか質問をした。

ジェフリーも声の主の女を見て同様に呆れた表情を浮かべていた。

 

「私も有給取ってたので昼飲みしてます。」

 

「ベルラン少尉、俺は聞いてないぞ。」

 

「隊長には申請出してます。」

 

「今度から俺にも言え・・・な。」

 

声の主の女の正体はシュリであった。

大樹はシュリがリックと共に停泊中のシナノ艦内で勤務していると思っていた為、仕事サボって昼呑みし事と次第では叱ろうとしたが実際は有給だと発言し叱る気も失せた。

 

有給取るのはいい、だが自分にも言って欲しかったと大樹は思った。

 

「ところでベルラン、何故あのクァドラン・ローがラウラだって分かるんだ?他にもクァドランいるし。」

 

「ワイルダー中尉、私達ゼントラーディは動き見ただけで誰が乗ってるのか分かるのよ。」

 

「そりゃ凄いな。」

 

「まぁだいたい知っている人に限るって話ですけどね。」

 

ゼントラーディ人はだいたい知っている人であれば機体を見ただけで誰が乗っているのか分かる。

身近な人の戦闘スタイルや癖は大体覚え、一目見ただけでも分かってしまう。

シュリは紫の長い髪を結びながら、呟いた。

 

「モーアやっぱ強いなぁ、組織戦上手く活用してるし。」

 

「そりゃシーアンタレス隊の副隊長だしな。」

 

「副官を相方に二段構えの策でラウラを討ち取る、地球の文化に触れてかなり強くなったなぁ。」

 

絵理が自身の部隊を上手く活用し、自身が望む環境を作り良き副官であるミアンだけ連れていきエレメントフォーメーションによる連携でラウラを討ち取った。

二段構えでラウラの逃げ道を塞ぎ、2度目の回避で背後を取り零距離射撃で撃墜する絵理を敵に回したくないなとシュリはつくづく思った。

 

「ベルラン、お前とベルタリアどちらが強いんだ?」

 

「ラウラだね・・・あんな風にモーアとは戦えんし。」

 

「あの副官機相手ならどうだ?」

 

「それが精々ってあの副官機が倒せるかどうかって所だね。」

 

ラウラとシュリが一対一で戦ったら軍配が上がるのはラウラである。

兵士としての実力はラウラが優れており、ゼントラーディ軍時代は優れた実力を発揮し何度も上官であるキヨラに可愛がられていた。

 

一方で絵理はラウラよりも更に上を行く実力を有しており、ミリアに次ぐ実力者としての名声を欲しいままにしていた。

 

シュリからすればラウラや絵理は高嶺の花の実力者であり、敵として相まみえるのならば確実に死ぬのは自分であろうと思っている。

 

「ベルタリアがこれほど強いとはなぁ。」

 

「大尉、彼女来てくれますかね?」

 

「ワイルダー中尉、ラウラは頭硬いからね。その可能性は低いと思うわ。」

 

ラウラが今回の模擬戦を切欠にマイクローン化しVFパイロットになるかジェフリーは大樹に質問をしたが、シュリに否定された。

シュリ曰くラウラは頭が硬い為、模擬戦を経験したとしてもマイクローン化する気はない。

 

「残念だな、パイロットになってくれたら・・・」

 

「期待しない方がいいですよ、むしろ転属した方が奇跡ですから。」

 

「奇跡でもいいから、可能性のある種は欲しいもんだ。」

 

頭が硬いラウラが転属するのは奇跡だとシュリは言うものの、大樹はそれでも欲しいと願った。

まだ未熟であるが育てたら凄いパイロットになるのではと動画を見た大樹は確信していた。

 

「大尉殿、マティーニ奢ってくれませんか?」

 

「シュリおまっ何、奢らせようとしているんだ?」 

 

「ジェフリーくん硬ーい。」

 

「俺はお前の上官だぞ!中尉だぞ!」

 

深く考えていた大樹だが、シュリが調子に乗りマティーニを奢ってくれと頼んだ。

しかもシュリが望んだマティーニは一番高い部類のマティーニにであり、大樹は思わず苦笑いした。

 

地球人の女もゼントラーディ人の女も何も変わらんなと。

大樹は心の中ではそう思った。

 

「ジェフリー、シュリお前ら二人に奢ってやる。」

 

「いいんですか!?」

 

「いいの!!」

 

「飲みたい気分だからな、特別に許す。」

 

飲みたい気分だったので特別に奢ることを許可した。

どんな事言われようがラウラがマイクローン化してVFパイロットとなり、自身が所属する部隊にスカウトしたいと思った。

 

【同時刻・木星軌道上衛星都市ホワイトフローラ】

【新統合軍駐留基地・アルゲニクス艦内】

 

惑星ネオ・ヨークでの任務を終えアポロ基地に帰還中のアルゲニクスは補給の為、木星軌道上衛星都市ホワイトフローラに停泊していた。

アルゲニクスの一室で冥王星の模擬戦の模様を見ていた人がいた。

 

「流石はモーア、腕前もどんどん上がっているわね。」

 

ダンシング・スカル副隊長であるミリア・ファリーナ・ジーナス中尉だ。

ミリアはSNNの報道を見て元部下である絵理の姿を見て感心していた。

第29海兵隊に圧倒する実力、エース相手に隙を見せない実力を発揮する絵理を見て流石は自分に次ぐ実力を持つ部下と評価した。

 

一方・・・・

 

「上官にもう少し敬意を払ったり謙虚であればなぁ、そこが欠点だわ。」

 

絵理の性格に対して厳しい評価を下した。

ミリアは上官としてゼントラーディ軍時代の絵理と接しており、散々自由気ままな絵理に振りまわされ今になっては同じ階級ともあってか更に酷くなっている。

 

「ミリア、冥王星での演習のニュース見ているのかい?」

 

「そうよ、偶然見てたらモーアが出てたからね。」

 

「モーア・・・星村絵理中尉か、あの人は腕はいいがモア並に元気のある娘か。」

 

「元気があるのはいい事だけど、ありすぎるのもねぇ。」

 

絵理の自由きままな性格はミリアの夫であるマックスを振り回していた。

振り回されているマックスであったが、絵理の実力を高く評価しており地球の文化を取り入れて成長している事を評価していた。

 

そうこうしている内に演習が終わり、報道も終盤に差し掛かった。

 

「ん?星村中尉、何やっているんだ?」

 

「モーア何をやってるのかしら?クァドラン・ローと睨み合ったりして?」

 

クァドラン・ローとVFー3000が睨み合っていた。

動く事もなく、ただずっと睨み合っているだけ。

画面はすぐ切り替わったが、ミリアとマックスは何をしているのか疑問に思った。

 

その同時刻

 

 

 

【冥王星】

 

ラウラのクァドラン・ローと絵理のVFー3000クルセイダーは睨み合っていた。

近くにはミアンのVFー3000が控えており、絵理に内緒で実弾を装填し不測の事態に備えた。

 

「私の弱さって何?」

 

ラウラは絵理の言った自身に向けて言った弱さについて質問をした。

自分自身の弱さを指摘する絵理の意図が知りたい。

腹が立つが、絵理が指摘した意図を知らなければ釈然としない。

 

キツい表情を浮かべるラウラの姿をモニター越しで見た絵理はクスッと笑い口を開いた。

 

「いつまでも過去の栄光と出来事に囚われたり、視野が狭い事だよ・・・・ ラウラ。」

 

「過去の栄光と出来事・・・視野が狭い?」

 

「本当にくだらない事に拘ってるから私に勝てない。」

 

絵理が出したのは過去の栄光と出来事に囚われている事とラウラの視野が狭いと言う事だった。

出された答えにラウラは呆然としたが、絵理は淡々と拘ってる限り自身に勝てないと言った。

 

「だったら何故、集団でけしかけた!」

 

「あのさここ戦場みたいなもんよ、個人芸を披露する場じゃないし。私も予期せぬ展開だったし。」

 

出された答えに反発したラウラはデスストーカー隊の乱入やミアンの援護の件を絵理を追求した。

ラウラからの追求に絵理は淡々と予期せぬ展開だったと釈明した。

銃を構え見ているミアンは自分自身も個人芸を楽しんでたじゃないかと心の中で突っ込んでいた。

 

「もっともゼントラーディの誇りを捨てた私からすれば、ラウラなんてものの数ではないわ。」  

 

「なにぃ」

 

「腹立つのもいいけど、最終的にそれ何処に行き着くの?腹を立てても今の自分の弱さに直視しなければ私に勝てない。」

 

いくら反発しても絵理に正論の前では無力だった。

ゼントラーディ軍の誇りを捨てたと言う絵理の言葉が許せずラウラは反発するものの、絵理からは最終的にその怒りは何処に行き着くのか?今の自分の弱さに直視しなければ勝てないと言われ何も言えなくなってしまった。

 

「私は先の大戦で地球文明を知り歴史を知り、今の自分がある。今のラウラは何がある?」

 

「私は・・・・・」

 

「ゼントラーディ軍人としての誇りはあの戦いで終わってるし、ゼントラーディ軍人としての誇りをいつまでも囚われたままでは漂流者のままだわ。」

 

絵理は地球の文明と歴史を知り、そして夫であると和也と結婚し5人の子宝に恵まれた。

文明と歴史から己の戦闘技術を組み合わせ独自の戦闘スタイルを確立し、結婚し家族を得た事で自分自身の戦う意味を見出している。

それに対しラウラは今だに同胞殺しの罪悪感やゼントラーディ軍人としての誇りにいつまでもこだわり続けており、何も成長していない。

 

「わ・・・私は好きでゼントラーディ軍人を辞めたわけじゃない!好きで同胞殺したりしてない!」

 

ラウラは声を荒くして反論した。

 

ゼントラーディ軍人の人生を終わらせたのも、同胞を殺したのも自ら望んだ事ではない。 

ある日、司令官ラプ・ラミズがブリタイと共にボドル基幹艦隊と戦うように命令された。

命令のまま同胞を殺し仲間を失った上、戦後ゼントラーディ軍から新統合軍になった。

出来るならば海兵隊を脱走し他の基幹艦隊やはぐれ部隊と化した直衛艦隊に合流したい。

 

「こいつ!」

 

「待てミアン・・・」 

 

「しかし・・・」

 

「何もしてないのに発砲したら軍法会議、いい?」

 

ラウラから漂う殺気にミアンはガンポッドを向けようとするも、絵理に制止された。

絵理はミアンを制止しながら、ラウラに向け今自分が思っている事を嘘偽りもなく吐き出した。

 

「私もそう、好きでゼントラーディ軍人を辞めてないかつ同胞を殺してなんかない。」

 

「だったら・・・・」

 

「でも私達をそうしたのはボドルザーでは?」

 

「ボドルザー司令が・・・」

 

自分達がゼントラーディ軍人としての人生を終える切欠になったのはボドルザーの決定だ。

絵理自身も望んでゼントラーディ軍人を辞めたわけでもなく、同胞を殺してなんかいない。

気持ちの根はラウラと同じだ。

 

「私達やブリタイらアドクラス艦隊は任務に従事したのに文化に触れたから消去刑、忠実に命令に従った結果が5ターム(10年)前の戦いなのよ。」

 

「しかし・・・何故、マイクローンと?」

 

「ただでやられるくらいならマクロスと共に抗っただけ。」

 

同胞と殺し合いになったのも理不尽な粛清に抗う為であり、共に抹殺される運命であった敵戦艦SDFー1マクロスと手を組み破滅の運命に抗った。

必死の抵抗の末、辛勝と言う結果に終わり今に至っている。  

 

話を聞いたラウラは暫くの沈黙の後、口を開いた。

 

「モーア一つ聞きたい?」

 

「何?」

 

「何故マイクローンになった?」

 

何故マイクローンになったのか?

 

ラウラの目の前にいる絵理はマイクローンであり、VFに乗っている。

何故、絵理がマイクローンになりVFに乗ろうと思ったのかラウラは不思議に思った。

 

「なりゆきよ。」

 

「なりゆき?」

 

「そうなりゆき、いろいろあったから今に至る。」

 

返ってきた答えはなりゆき

自ら志願したわけでもなく、ただ世の中の流れに任せたままマイクローン化しVF乗りになった。

なりゆきの意味をアンジェミラから一応知っていたラウラは自らの意思ではなく、自然に身を任せマイクローン化しVF乗りになった絵理に驚いた。

 

「自らマイクローン化しマイクローンの兵器に乗ったと?」

 

「そう言う事、ただスパイとして潜入していたミリアが上手く乗りこなしてたり地球文明楽しんでいる姿を見て私も乗り気になったんだよね。」

 

「そんなにいいのか?」

 

「そこにいる私の副官ミアンもその一人だけどね。」

 

マイクローン化しVF乗りになったが、絵理自身は快く受け入れていた。

 

上官であるミリアがVFパイロットとなり戦果を挙げていく姿や地球文明の素晴らしさに感銘を受け、積極的に受け入れていった。

ゼントラーディ軍時代にはない美味しい食べ物や娯楽があり、戦闘以外の楽しみも出来た。

 

「ラウラ、貴女は今後どう生きたい?」

 

「どう生きたいって?」

 

ラウラが考える前に絵理は今後どう生きるか問いかけてきた。

問いかけに対しラウラはボドルザー基幹艦隊決戦から抱き続け苦しかった感情を露わにした。

 

「私はできれば同胞を殺したくない。」

 

ボドルザー基幹艦隊決戦時、新統合軍海兵隊に所属してのはぐれゼントラーディ軍や反乱ゼントラーディ人の討伐で数多くの同胞を手に掛けたラウラはこれ以上同胞を殺したくないと言った。

聞いていた絵理であったが、持ってたガンポッドを鈍器のようにしてラウラを殴った。

 

「痛っ何をする!」

 

「ゼントラーディ人のくせに甘い事を言うのね。アマちゃんだわ。」

 

「なっ!?私が甘い?なんで?」

 

「何故甘いかって?地球人は戦争でたくさん同じ地球人を殺している中で、現地球の軍人であるお前が同胞殺しを気にするなんて甘い考えだなと思ったまで。」

 

殴られたラウラは抗議するが、殴った絵理は気にせず甘いと苦言言ったりアマちゃんだと弄った。

考え方が甘いと言われたラウラは戸惑うが、絵理は地球人の戦争による同胞殺しの事実とそうした中で地球軍人になったラウラが同胞殺しを気にする事を甘い考えだと吐き捨てた。

 

「どう言う事?地球人が戦争で同じ地球人と殺し合っている?」

 

「私達ゼントラーディ人と戦争する前から、そして現在進行系で今も。」

 

「今も?」

 

地球人が同じ地球人同士で戦争をして殺し合っている

 

その事実にラウラは激しい衝撃を受けた。

自分達ゼントラーディと戦争する前どころか、現在進行系で戦争を行い殺し合っている。

同じ地球人同士で殺し合う、何故同じ種族殺し合えるのか?ラウラは不思議に感じた。

 

「モーア私はどうすれば・・・・」

 

「バカ、私を頼るな。今後どうするかはお前が決めろよラウラ。人間ならば人生どう決めるかは自分だろ?決めるのは他人じゃない。」

 

「決めるのは自分?」

 

「分からないなら一生考え続けるんだな。一つ言えるならば今日感じた体験した事をどう思うか、今後どうするかを考える所を始める事ね。」

 

いろいろ戸惑ったラウラは思わず絵理に助けを求めたが、無慈悲にも拒否され厳しい言葉をかけた。

ラウラ厳しい言葉をかけた絵理だが、一つだけアドバイスを送り成長を促した。

 

「私としてはマイクローン化し、戦争以外の楽しさ知って欲しいなぁと思うんだけどな。」

 

「戦争以外の楽しさ?私に?」

 

「ん?単なる独り言よ。」

 

同胞殺しの罪悪感により心に傷を負いゼントラーディ人の本能のまま生き戦場で死ぬまで戦い続けるラウラは見てもいられなかった。

絵理としてはラウラにかつての元気で猫のように煩かった姿に戻ってもらいたいと思っていた。

 

「そろそろ御時間が・・・」

 

「そうね、ラウラ・・・次会う時はマイクローンの姿でね。」

 

「誰が・・・やると決めたわけじゃ・・・」

 

「それもそうね。」

 

会話していた時間は短かったとは言え、次の予定を控えている為お開きになった。

絵理は母艦サドワラに向けて帰還する為ファイター形態に変形した。

 

「そうそう今の私はモーア・カリダムではなく、ゼントラーディ系地球人1世星村絵理、ただの5人の娘を持つ母親よ!」

 

「ゼントラーディ系地球人?母親?それは何?」

 

「マイクローンになれば分かる事よ。また会おうラウラ・ベルタリア曹長。」

 

絵理はそう言い残すとミアン引き連れその場から去っていった。

モニター越しで映った絵理の表情はゼントラーディ軍時代見たことのない希望に満ち溢れた飛び切りの年頃の女の子の笑顔であった。

絵理の笑顔を見たラウラは何処か羨ましいと言う感情を抱いた。

 

「どう生きるか、考えた事も無かったな。」

 

自分の目の前から去っていく新たらしい力を得たかつての別の部隊の同胞の後ろ姿を見ながら、ラウラの心に変化があった。

 

ラウラに生じた心の変化はこの日を境に活発化していった。

 

次回予告

模擬戦の結果と絵理との再会はラウラの価値観に衝撃を与えた!今までの自分とこれからの自分の行く末に深く悩んだ。ラウラの葛藤を他所に世界情勢は少しずつ動き始めていた。

 

次回、マクロス外伝蒼い髪のメルトラン

 

ロスト・ゼントラン

 

新たな道を切り開けクルセイダー!

 

前回

 

次回

 

 

【前職】

ゼントラーディ軍

新統合軍

【階級】

大尉(最終階級)

【クラビウス市議会議員】

3期 

(2013年ー)

【所属政党】

(自由共和党→)
自由ゼントラン党

【役職】

クラビウス市議団長

【キャラクターデザイン】

いわしぃさん

【イメージ声優】

野島健児

【解説】

クラビウス市議会自由ゼントラン党市議団長。

 

ゼントラーディ軍第67分岐艦隊所属で、ブリタイ・クリダニクの腹心であるランドル・オルカ指揮下のケアドゥル・マグドミラ級戦艦(クラークゲス)のヌージャデル・ガー部隊の隊長として勤務した。

 

戦後は新統合軍に属したが政治の道を志し退役、自由共和党候補としてクラビウス市議会選に立候補し当選した。

 

自由ゼントラン党が結党すると離党し参加している。

 

現在は市議団長。

【生年月日】

1998年5月4日

【所属】 

新統合軍

【階級】

少尉

【人種】

ゼントラーディ

【髪色】

【イメージ声優】

瀬戸麻沙美

【キャラクターデザイン】

いわしぃさん

【解説】

ブラックパンサーズ中隊クーガー小隊に所属する新統合軍人・少尉。

 

元ゼントラーディ軍ラプラミズ直衛艦隊キヨラ機動戦隊に所属していたゼントラーディ兵で、ボドルザー基幹艦隊決戦後はメルトラスに収容されそのまま新統合軍海兵隊に長年属していた。

 

戦後10年経って心機一転の為、マイクローン化しVFパイロットとして宇宙軍に移籍し訓練の後ブラックパンサーズ中隊に配属された。

 

◆能力

元々優秀なエースパイロットであり、訓練課程で車の免許やバイクの免許を同時に取得する優等生であり地球語の標準語である英語や日本語など話せる。

 

自由ゼントラン党との関係

熱烈な自由ゼントラン党支持者であり、下院議員サリア・ロルファやエリラ・マーシェル市議とは友人関係である。

 

愛機 

・ゼントラーディ軍から海兵隊時代

クァドラン・ロー

 

・ブラックパンサーズ中隊

VFー4ライトニングⅢ

 

戦友

戦友にナザリア・ファロやチェリア・ユリンがいたが、基幹艦隊決戦中に生き別れた。

ナザリアは戦傷の為.チェリアは軍以外の道を選び退役し、ナザリアはアポロシティーにチェリアは惑星エデン・キャピタルシティーにそれぞれ暮らしている。

 

◆リン・ミンメイ

容姿がリン・ミンメイに似てる事からミンメイファンの男性、特にゼントラーディ人ファンから好意を寄せられる事がある。

 

仇名に気が強いリン・ミンメイと言うのがある。

【議長】

マイケル・ウィッカー

【副議長】

モガル・クリダニク

【役職】

国防委員長

イ・ジェウク(自共)

経済委員長

桂直仁(無所属)

文化委員長

姉小路芳麿(自共)

教育委員長

佐藤豪(自共)

技術委員長

アピシット・シナワット

インフラ委員長

ラファエル・オカノ(連民)

環境・食料委員長

ハワード・グラス

【定数】

54人

【政党】

与党

自由共和党

野党

自由ゼントラン党

銀河民主党

銀河連邦党

中立

無所属

【解説】

月面クラビウス基地内の地下都市クラビウスシティーにおける地方議会。

月面最大都市アポロシティーの議会に次ぐ規模を誇る。

 

2015年あたりは自由共和党が圧倒的議席を誇る与党の地位にあったが、ゼントラーディ人住民の参政権・公民権が認められたり自由ゼントラン党の結党により議席を大幅に減らしている。

 

月面第2の軍都であり、主に軍人票が強く元新統合軍大佐であるイ・ジェウク議員や元SDFー1警務隊長の佐藤豪議員が大きな力を有している。

 

議員数とクラビウスシティーの人口の割に選挙区が大きく(クラビウス直径225キロメートル)、新統合軍が選挙の移動の際に各候補者にVー22+オスプレイプラスや軍用リニアモーターカーを貸し出している。

 

【議員名簿】
◆自由共和党24人

イ・ジェウク

わき雅昭

田口広康

マイケル・ウィッカー

カトリーヌ・グリーンヒル

セター・マター

キム・ヒョサン

ハワード・グラス

林同栄

リンジー・マクフォール

 

ローラン・ブレトン

アンドレア・ラメロウ

姉小路芳麿

オミット・マイヤー

アンデル・サンチェス

佐治義雄

アンドレアス・ミツォタキス

ツァヒアギーン・エンフバヤル

マーティン・エスクデロ

中条美幸

佐藤豪

ドラウパティ・ダンカール

ジョン・ニシムラ

エルラ・カルジェル

 

◆自由ゼントラン党15人

サルゾ・グランバザ

ガラル・ドセル

ラガバルド・ガルンシェラ

アリーナ・サンケス

エリラ・マーシェル

フラット・ルフル

ガナード・ガシュベル

モガル・クリダニク

トラカ・スーダル

 

マルジェラ・ファール

マイラ・メルスト

バーガス・ロウ

ガメラ・ゴジラル

ラドー・ンキャフ


◆連邦民主党3人

アシュリー・スコット

ラファエル・オカノ

ガレフ・ガルバッソ


◆銀河連邦党2人

ヨ・チャンモ

大掾義剛


◆無所属10人

石崎ひでゆき

ジム・グラスリー

仁木盛貞

桂直仁

アピシット・シナワット


二之湯真士

トーマス・エドワーズ

アレックス・三島

トラス・ナンテス

韓啓臣

【12年前 西暦2009年12月8日 太平洋上】

第1次星間大戦後半、冥王星からの長きに渡る航海の末.ゼントラーディ軍の包囲網を突破し地球に帰還したSDFー1マクロスは太平洋上に着水した。

乗員達は地球帰還を喜んだが、非情にも地球統合軍総司令部は帰還を喜ばず世間に異星人と戦争中の事実を隠蔽するため民間人の受け入れは許可されず敵の目を引きつける囮の任を命じられた。

 

そうした中、カムジン・クラヴシェラ率いる第109分岐艦隊.第7空間機甲師団がマクロスを襲撃し、戦闘の最中にスカル中隊バーミリオン小隊長一条輝がフレンドリーファイアにより負傷した。

 

「いいか、私の目指す相手が出てきたら手だしは絶対に無用。お前たちは、私がその者と1対1で戦える状況をつくってくれれば、それでいい。」

 

「分かりました。他はお任せください。」

 

カムジンからマクロス艦内に凄腕がいると聞いたミリアが自身の部隊と空戦一般部隊を引き連れ大規模な攻撃を展開した。

30機以上のクァドラン・ローと空戦ポッドの大編隊の接近を確認したマクロスは空母プロメテウスから各VF部隊を出撃させ迎撃に向かわせた。

 

「私の目指す相手?メフィア・エリアーノ、なんかずるくないミリア。」

 

「モーア、上官にその口ぶりはやめたら?じゃないと消去刑にされるわ。」

 

「別にいいじゃん」

 

ミリアの命令を聞いたモーアは目指す相手の意味を凄腕と見抜き、自分だけ独り占めする気なのでは?と思い不満を述べた。

メフィリアはモーアに上官に対する態度を諌めるも、全く意味がなかった。

 

「モーア・メフィア・エリアーノ、マイクローンにやられるなよ。」

 

「はいはいやられるもんですか〜監察軍よりも弱い連中なんかに〜」

 

同じミリア機動戦隊の隊員の一人モシアート・クロウドが絡んできた。

モシアートはモーア達と同期であり、別チームを組んでいたが比較的に仲が良く戦闘のない時間帯はよくお喋りをしていた。

 

 

「行け!!」

 

ミリアの号令と共にマクロスに対し攻撃が開始された。

両軍激しい戦闘状態に突入し、一進一退の攻防を展開した。

 

「遅い!」

 

戦闘の最中、マックスはミネリア・アジハの駆るクァドラン・ローと空戦ポッド数機を撃墜した。

神業が如く、ファイター形態とバトロイド形態を上手く活用し相手の先を進んだ戦術を展開した。

 

「ミネリアを良く・・・・・」

 

「敵機撃墜!こちらバーミリオン3、パープルリーダーそちらの敵は任せましたよ!」

 

近くにいたクロン・バジェスが仇をとろうとするも呆気なくマックスに撃墜され戦死した。

 

クロン撃墜した直後に付近でパープル小隊長で従兄弟のジョニー・ギルバート中尉の駆るVFー1Jが空戦ポッド相手に善戦する姿が見えた。

マックスは敬礼し、ジョニーに空戦ポッド相手を任せクァドラン・ロー撃墜に専念しようとした。

 

「はっ! あいつか。ようし。」

 

マックスの活躍を見ていたミリアはニヤッと笑い、指揮官用のクァドラン・ローを駆りゼントラーディの死の遊びを楽しむため突撃した。

 

「マックス逃げろ!」

 

「逃げる?」

 

ミリアのクァドラン・ローの接近を確認したロイ・フォッカーはマックスに退避勧告を出した。

退避勧告に戸惑うマックスだったが、ミリアの強襲から逃れる事は出来なかった。

 

「んんっ!私の攻撃をかわしたな。」

 

「早いこいつか!?パープルリーダーの言ってた手ごわい相手ってのは!」

 

ミリアの強襲は不発に終わった。

 

マックスは持ち前の技量を活かして回避行動を取りつつ、無駄のない動きで反撃した。

 

今まで見た事のない動きを見せるマックスにミリアは驚くも、負けじと攻撃を繰り返した。

戦いの場はマクロス艦内でも展開されたが・・・

 

「私が負ける!? そんなバカな!」

 

マックスの技量はミリアを上回っており何度か被弾、ミリアは敗北を認め撤退を始めた。

人生で初めて敗北と言う屈辱を味わったミリアは再戦を望み、次こそは討ち果たそうと考えた。

 

「どけどけ!」

 

マックスがミリアを撃退している頃、フォッカーは部隊を指揮しながらミリアの配下と戦っていた。

 

フォッカーの攻撃でジャリア・トリモスの乗るクァドラン・ローが火だるまになり爆発した。

 

「くそ舐めるな!」

 

フォッカーにより次々とやられる味方を目にしたモシアートが敵を討とうと単機突撃した。

既にフォッカーの手により何人か討ち取られており、モシアートは冷静さを失い仇をとらなければ気がすまなかった。

 

「モシアート単機で突撃するな!私達が行くまで待って!」

 

モーアはメフィアとエリアーノとケッテ編隊でフォッカーに迫っていたが、単機で突撃するモシアートを目撃し声を荒くして突撃するなど言った。

 

「あぁ」

 

願い虚しくモシアートは火達磨になり太平洋の藻屑と消えた。

同期であり今まで共に過ごしてきたモーアは最初は動揺するも、次第に憎悪の念を激しく抱いた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ」

 

激昂したモーアはパルスレーザーガンをフォッカーのVFー1Sを狙撃した。

モーアの動きに呼応してメフィアとエリアーノが牽制攻撃としてレーザーガンを発射、本命であるモーアの攻撃はVFー1Sに命中した。

 

「くそ!落ちろ!落ちろ!」

 

命中したがフォッカーの器量もあってか撃墜に至らなかった。

何度も執拗にフォッカーのVFー1Sを撃墜しようとしたが、むしろ逆に追い込まれるのでは?と言う危機的状況に陥った。

 

「モーア!メフィア!エリアーノ!撤退命令だ!退け!」

 

「くっ・・・サ・エスケスタ・・・」

 

ミリアが戦意を喪失し撤退した為、副官のデワントンとメールは各隊員に撤退命令が出した。

メールから撤退命令を聞いたモーアは不満を抱いたが、味方も撤退を始めている為渋々従った。

 

戦いはミリア機動戦隊から6名の戦死者と多数の下士官達を失う大敗を喫した。

 

「ラプ・ラミズ司令、私をマイクローン・スパイに任命してください。」

 

「バ、バカな!お前ほどのパイロットが、なぜわざわざマイクローンなどに。ミリア!」

 

「私は、マイクローンになります!」

 

補充兵が配属され戦力再編した頃、ミリアはマイクローンスパイに志願した。

隊員達はミリアがマイクローンスパイに志願した事実にショックを受けたが、副官のデワントンやメールが代理で部隊を運営していく事となりしばらくして元の日常に戻った。

 

「ミリアがマイクローンスパイ?」

 

「部隊を放り出してマクロスに潜入したんですって?」

 

艦内の食堂でキヨラ機動戦隊所属のラウラは戦友のメフィリアからミリアがマイクローンスパイとしてマクロスに潜入したと聞いた。

ミリアが出撃し被害が出たとは聞いてはいたが、自身が敗退しそれが原因でマイクローンスパイとしてマクロスに潜入したとはこの時知らなかった。

 

事情も知らないラウラは黙々とミリアの批判を始めた。

 

「自分勝手に部下を放り出してマイクローンスパイ、ゼントラーディ軍人の資格はないわ〜」

 

「分かる・・・責任感の強いキヨラ隊長と比べたらだらしないと言うか・・・」

 

キヨラ・テキーヴァを強く慕うラウラ達は部下を放り出し、マイクローンスパイになりマクロスに潜入したミリアを批判した。

 

後にミリアがマックスに負けた事が原因だと知るのだが、ラウラ達は自身の戦術ミスで成果も上げられずに部下や空戦隊の兵士を多数失い責任から逃れる為にスパイとしてマクロスに潜入したのだと思っていた。

 

「ラウラ、アンジェミラちょっと・・・」

 

「ん?ぐふっ」

 

ラウラはメフィリアが怯えた声で何か訴えるので振り向くとモーアから顔面殴られた。

驚くメフィリアとアンジェミラだが、動揺する間もなく戦友メフィアとエリアーノや補充兵のビネークとフェリロらに殴られ倒れた。

 

「ミリアの子飼いが!」

 

ラウラ達もすぐさま反撃に移った。

 

近くにいたシュリと言ったキヨラ機動戦隊の隊員も加勢し、艦内の食堂で乱闘騒ぎが起きた。

様子を見たミリアの部下のアマテラ・サーノとシャン・クロッケルがデワントンとメールに報告し、直様艦内の食堂に急行した。

 

「モーア!やめなさい!」

 

「止めるな!こいつミリアの悪口言った!」

 

「事実を言って何が悪い!部下を置いて自分勝手にマイクローンスパイするミリアがおかしいだろ!」

 

「なにぃ」

 

食堂は酷い有様だった・・・・

 

ラウラとモーアはお互い口から血を流しながら両方の原隊副官による説得の最中、お互い罵りながら殴り合いを続けた。

 

最終的に各部隊預かりの処分になり乱闘騒ぎは終わった。

 

この乱闘騒ぎを最後にラウラとモーアは会う事がなかった。

 

その後、終戦を迎えモーアは新統合軍に入隊。

メフィアとエリアーノと分かれる事になったが、勤務地であるオセアニアで順風満帆に活躍した。

そして一条輝と共に月面に出向し、愛する夫となる星村和也と出会い結婚する事になる。

 

幸せな生活を送る反面・・・・・

 

「私は・・・そうか・・・私も同じ事をしたんだな。」

 

第1次星間大戦末期の地上戦の最中、あの戦いでロイ・フォッカーと言う軍人を殺し、遺された愛機は後輩の一条輝が引き継がれたと知った。

あの戦いで殺したフォッカーにはクローディア・ラサールと言う恋人がおり、自身の攻撃のせいで愛する人の命を奪った。

 

戦争だからと言えこうした事実は胸が苦しくなる。

 

モーアは事実を受け入れ、戦いを楽しむ事を止め軍人としての役割を全うしようと決意した。

 

それから10年後・・・・

 

【西暦2021年1月18日午前10時 冥王星】

アームド級ホーランディアを旗艦とした第6機動航空戦隊とアームド級セーシェルを旗艦とした第44機動航空戦隊がデフォールドした。

 

2個戦隊は各旗艦アームド級空母2隻を中心に僚艦オーベルト級駆逐艦10隻を左右に横一文字に展開、後からデフォールドしてきた絵理と和也率いるシーアンタレス艦隊を真ん中に据え第29海兵隊を迎える準備をした。

 

「爽快だなぁ、計15隻とは言え見事な艦隊だわ。」

 

かつてのモーアこと絵理は目を輝かせながら周辺に展開する新統合軍艦隊を見ていた。

サドワラを中心に左右に空母2個戦隊が並んでおり、絵理のテンションが上がっていた。

 

「ゼントラーディ軍と比べたらショボいけど。」

 

「和也、左右の艦隊はゼントラーディ軍とは別の魅力があるから。」

 

新統合軍の主力艦艇はゼントラーディ軍艦艇と比べたら内火艇みたいな感じであり、元ゼントラーディ軍人である絵理からしたら地味なのでは?と夫で隊長である和也は思っていた。

実際の絵理は地球艦艇特有の美的センスを気にっており、ゼントラーディ軍艦艇よりも好きだった。

 

しばらくすると後方に演習艦隊旗艦のダイダロスⅡ級強襲揚陸空母レプライザルが到着し、演習艦隊は計19隻に膨れ上がった。

 

「隊長、副隊長。新統合軍VF任務航空団司令による作戦内容が届きましたので、ブリーフィングルームへ。」

 

「分かった。」

 

絵理は自身が率いる小隊副官のミアンからブリーフィングの時間だと告げられると和也と共にブリーフィングルームに向かった。

 

メルトラスのブリーフィングルームではラザルが海兵隊員を集め作戦会議を開いた。

ラウラ達は他のクァドラン・ローパイロット達で纏まりながら、ラザルら海兵隊艦載部隊幹部の話を聞いていた。

 

「クァドラン各隊を統合し編成した遊撃任務戦隊が露払い作戦を展開し、ジナール各隊を統合し編成した挟撃任務戦隊が左右に展開する。」

 

「我々、遊撃任務戦隊や挟撃任務戦隊で敵艦載機部隊を撃破しハズブロ少佐ら主力部隊を持って敵艦隊を殲滅する。これが今回の我々の作戦だ!」

 

作戦はクァドラン・ローなどの高機動機で仕掛け、その隙にジナール空戦隊が挟撃で敵戦力を撃滅しラザル率いる主力部隊が防衛ラインを突破し演習艦隊を制圧するものだった。

 

海兵隊のゼントラーディ将兵は地球の戦術を吸収し、自分達の戦術を組み合わせはぐれゼントラーディ軍部隊相手に多大な戦果を上げていた。

 

「私がマグゼミグ・ラフに乗り戦線を指揮し、私の直掩はセランとフラスワのログレン・ロー隊が火力支援はランソーとエルシャのシグノー・ミュール隊が行う。」

 

「後のクァドラン・ロー隊はクァドラン・ノナ隊を率いて戦線を切り開け!」

 

ラウラの属する遊撃任務戦隊の指揮官はティムロ・グロイザ少佐で副官ホフィン・ルム大尉で、ティムロはクァドラン派生種による各隊を率いてホフィンは主力隊を率いる。

 

無論、ラウラはホフィン率いる主力隊に属しており2個クァドラン・ノナ分隊を率いる。

 

「敵部隊は100機以上を有しており、直掩部隊も含めて計200機いる。油断せず全力でかかれ!」

 

新統合軍VF部隊は100機、正確には海兵隊VF部隊の数であり各空母に60機にシーアンタレス隊23機そして各地方から参加した部隊18機が参加している。

艦隊直掩に空間デストロイド部隊や空母迎撃機のデストロイドを含めると300機近い数の戦力が参加している事になる。

 

有人機だけでの話であり、無人機ゴーストを含めれば300機少し超えた戦力となる。

 

「注意事項としては相手に対して行っていいのは模擬射撃と模擬ミサイル攻撃のみである。間違っても殴ったりなどはしないように。」

 

模擬戦であるので使用武器はペイント弾であり、ミサイルも中身はペイント弾だが命中寸前で自爆する物であった。

当然、パルスレーザーもペイント弾を放つ代物に換装されており、格闘戦については機体の損傷やそれに伴う搭乗員の死亡事故のリスクから禁止されていた。

 

「ラウラ、楽しそうな戦いになりそうだな。」

 

「気分転換になるししっかり楽しもうよ。」

 

アンジェミラとメフィリアは久しぶりに大部隊同士の戦闘が出来るとテンション上がっていた。

ボーとしていたラウラに楽しむ事を勧め、模擬戦を思う存分楽しもうと思っていた。

 

「気分転換か・・・・悪くないな。」

 

可変する機体に関心を持っていたラウラは二人の言葉を受け入れ楽しむことを決めた。

打倒ヴァリアブル・グラージの為、改めて同じ可変機と戦えば何か分かるかもしれないと楽しみながら特性を掴もうと考えていた。

 

初めてVFと戦うのでラウラは久しぶりに笑顔を見せて・・・・・

 

「サ・リンツ・メルトラン・マトラスカス(女の意地にかけて必ず)」

 

と強い意気込みを見せた。

 

VFと戦えば対抗戦術だって生み出せるし、もしかしたら人生を変える何かを得るかもしれない。

ラウラは前向きに考え演習本番に備えた。

 

この時まだ予想以上の出会いとは知らずに・・

 

 

【1月18日 午後13時】

 

ホーランディアとセーシェル各艦から各VF部隊が発艦した。

主力機はVFー4とVFー5000であるが、VFー7ゴーストやフレイヤバルキリーやXタイプなどの改修型のVFー1なども参戦していた。

 

「艦長、演習予定時間になりました。」

 

「うむ、我々は一般部隊と格が違う事をここで示す。全バルキリー隊並びに直掩隊、発進せよ!」

 

演習艦隊旗艦を務める地球ラグランジュポイント防衛を担う新統合海兵隊・海兵第3遊撃戦隊旗艦レプライザルは各艦隊に遅れ、部隊発艦準備に入った。

直掩の空間戦デストロイド・ドーントレスが艦隊前方後方左右に展開し、続いて無人戦闘機ゴーストとゴーストⅡが発艦した。

 

「Course clearane.All system is green. Good luck !」

 

「ThanksYou It sorties!!」

 

直掩部隊が全て発艦後、海兵隊飛行隊.ホークス中隊のVFー1Xが発艦した。

グリーンナイツ中隊とカウボーイ中隊などの飛行隊が飛び立ち、艦隊前方中心部に展開した。

 

海兵隊員の大半はゼントラーディ人や移民先で見つけたら亜プロトカルチャー人の兵士であり、市民権獲得のため新統合軍に志願し海兵隊員として最前線で戦っている。

 

「海兵隊は贅沢だよな。」

 

「俺たちの母艦はせいぜい2個中隊32機なのに人員豊富に使いやがって。」

 

海兵隊飛行隊の人員は新統合宇宙軍に比べ少ないものの、各隊の充実はそれ以上であり1隻に100機搭載するなどかつての地球の小国空軍に匹敵する戦力を誇っていた。

ただ海兵隊の大半はゼントラーディ軍装備であり、海兵隊VF部隊は圧倒的少数であった。

 

「ダルダントン中尉、地球本国の連中・・・我々エデン防衛軍と大違いですね。」

 

「風間・・慌てるな、我々は最新鋭機VFー7を与えられているんだ。胸を張れ!」

 

「はっ」

 

ホーランディアに分乗した惑星エデンから派遣されたエデン防衛軍のティモシー・ダルダントン中尉と風間健一少尉は地球本国軍の装備と人員の充実さに驚いていた。

彼らには最新鋭機VFー7ゴーストを与えられているが、地球本国軍の部隊には最新鋭機VFー5000スターミラージュが60機以上がこの演習に参加している。

 

「地球本国ももう少しは地方の事を考えてもらいたいものだな。」

 

ティモシーは地球本国軍の充実ぶりを見て不満を吐いた。

惑星エデンは人類最初に見つけた入植可能惑星であるのだが、地球と比べ発展途上であった。

エデン防衛を担うエデン防衛軍は最新鋭機は配備されてはいるが少数派であり、地球本国からのお古のVFー1バルキリーが主力を担っている。

 

アドクラス艦隊出身のティモシーは戦後、地球文明と歴史に感銘を受け新統合軍に引き続き属していたが新統合政府の中央集権体制に反感を覚えておりいつか改革せねばと心の中で誓った。

 

「各VF任務航空団を編成、ダイヤモンドフォーメーションにて展開。」

 

「先発した狙撃隊、各方面に展開待機。」

 

各艦から発艦した各VF部隊は任務航空団を編成した。

海兵隊グリーンナイツ中隊は戦列を離れ任務航空団に加わらず、近くのデブリベルトに分散しVFー1XSスナイパーバルキリーとVFー1XCオブザーブバルキリーが潜伏し周囲に護衛兵が固めた。

 

「任務航空団、間もなく戦闘圏に突入します!全機オールウェポンズフリー」

 

主力の任務航空団は第29海兵隊との戦闘圏に突入しようとしていた。

各VFパイロットは演習とは言え、実戦さながらの緊張感を持ってやってた為息を飲み一斉に模擬ミサイルを発射した。

 

「間もなくインファイトゾーンに突入する。各隊抜かるな。」

 

「攻撃目標はレプライザル艦橋にペイント弾をぶつけ撃沈判定を出す事だ!なぁに相手はマイクローンだ!私達なら勝てる!」

 

ラウラ達はティムロとホフィンに率いられながら、任務航空団との戦闘圏を目指していた。

攻撃目標は演習艦隊旗艦レプライザル、艦橋にペイント弾を付着させればラウラ達の勝ちである。

 

「ラウラ抜かるなよ!」

 

「そっちこそ、アンジェミラにはまだまだ負けません。」

 

ラウラはアンジェミラからの煽りを笑いながら煽り返しをした。

今回相手ははぐれゼントラーディ軍ではない、地球人だけの部隊である。

久しぶりに心置きなく戦う事ができる!今のラウラは10年ぶりに幸せな気分になった。

 

が・・・・・・

 

「私こそ2人には・・・・なっ・・・」

 

「メフィリア!?いつの間に撃たれ!」

 

「ラウラ、周囲に敵は・・・がっ・・・こっちもだ・・・」

 

「ヤック・デ・カルチャー、バカな敵の姿は・・」

 

幸せな気分の束の間、メフィリアとアンジェミラが狙撃された。

 

一瞬の出来事にラウラは何が起きたのか分からなかった。

敵の姿が見えないのにメフィリアがやられ、アンジェミラがやられた。

 

 

「くっ」

 

見えない敵からの狙撃を避ける為、ジグザグ機動で回避しようとした。

回避行動しているラウラだったが、率いていた分隊他の僚機も狙撃の餌食になった。

攻撃は狙撃だけでは終わらなかった。

 

「ミサイル!?」

 

多数のミサイルが飛来した。

ラウラはミサイルを回避したが、率いていたクァドラン・ノナ隊に命中し壊滅状態に陥った。

ミサイルの攻撃が終わると同時に各VF部隊が突入した。

 

「各機、連携を取れ!来るぞ!」

 

「「エスケスタ」」

 

残ったクァドラン・ノナ隊に指示を出し、突入してきたVFを迎撃を命じた。

ラウラが指揮するクァドラン・ノナ残存機は連携を取りながら、VFに優位に立ち何機か撃墜判定を出していったが狙撃により指揮系統に混乱が見られ劣勢が続いていた。

 

「こいつらも変形したか・・・」

 

何機かのVFがガウォークやバトロイドに変形し、様々な戦術を駆使し攻勢を強めた。

ヴァリアブル・グラージと同じ変形機能を駆使したVFを見たラウラは厳し目な表情を浮かべた。

 

機動力は劣るものの変形機能がないクァドラン・ローと比べ、ファイター・ガウォーク・バトロイドの三段変形が出来るVFの戦術は未知の存在だった。

撃墜できると思ったら形を変え予期せぬ動きを見せ回避し、逆に追い詰められ撃墜される。

 

「ベルタリア曹長・・・・相手には・・・わぁ」

 

「マイクローンめ・・・」

 

ラウラのクァドラン・ノナ隊は次々と撃墜され、生き残ったのがミュレ・フリジェルのみになった。

ミュレはクァドラン・ノナ隊の分隊長で軍曹で、アンジェミラとメフィリアと同階級だ。

 

クァドラン・ノナ隊の分隊長とあってか、しぶとく生き残っている。

 

「ベルタリア曹長、生き残りは自分だけに・・・」

 

「ミュレ!私と上手く連携しろ!勝ち残りたければ私に続け!」

 

「エスケスタ!」

 

ラウラは自身の部下や戦友でライバルだったラミア・レレニアが脱落し動揺しているミュレを叱咤し自身とエレメント組むように命じた。

エレメント組み反撃しようと試みたが・・・・

 

「また見えない攻撃・・・・動いているクァドラン・ローを・・・・何処だ!」

 

目の前で戦っていたクァドラン・ローが狙撃されペイント弾が付着し撃墜判定が出てしまった。

ラウラは周囲を見渡し、狙撃した機体を探した。

 

「デルケ・ダカン・デ・ブラン・メルケス!(遠い位置に敵を見つけた!)」

 

ラウラは自身を狙った狙撃を当たる寸前に回避し、狙撃方向を特定した。

狙撃位置は先の大戦でマクロスのフォールドに南アタリア島と共に巻き込まれ放棄され漂流しているアーレイ・バーク級駆逐艦。

駆逐艦の後ろにVFー1XSがスナイパーガンポッドを構えており、周囲に護衛のVFー1XとVFー1XCオブザーブバルキリーらしきものが遠目であるが見えた。

 

「ミュレ、仕掛けるぞ!」

 

「ハッ」

 

ラウラは他のVFの相手を他のクァドラン隊に任せ、ミュレと共に狙撃地点へ急行した。

 

挟撃任務戦隊と主力部隊の突入までもう少し、耐えれば形勢逆転できる。

その為にも狙撃兵を潰せねば、両部隊に損害が被り演習相手の艦隊を制圧できない。

勝つためにラウラは迫るVFを蹴散らしながら、狙撃殲滅を優先した。

 

「流石だなマッサーラ少尉。今のは惜しかったが・・・」

 

「いえそれほど・・・戦闘態勢に入ったクァドラン相手にはもう狙撃はきついですが・・・」

 

「そうかではスナイパーガンポッドを連射モードにしろ!実戦に入る!」

 

「エスケスタ」

 

狙撃用のVFー1XSに搭乗していたサーラ・マッサーラはラウラに発見された事を確認し、スナイパーガンポッドを連射モードにし反撃態勢に入った。

サーラはゼントラーディ軍出身で、ラウラとは同期で元戦友の一人であった。

 

戦後、VF訓練課程経て狙撃型VFのテストパイロットとなり海兵隊に移籍した。

狙撃兵としてグリーンナイツ中隊に所属し、数々の成績を挙げてきた。

 

迫りくるラウラとミュレに同事する事なく、スナイパーガンポッドのトリガーを引いた。

 

「くぁ」

 

「ミュレ!?」

 

「あのクァドラン・ロー出来る!」

 

サーラがトリガーを引いたスナイパーガンポッドから放たれたペイント弾は、ラウラとミュレを同時に命中するように向かっていった。

ラウラは回避に成功するも、ミュレのクァドラン・ノナの左腕に命中した。

 

「ベルタリア曹長、私は継戦不能後退します。」

 

「しょうがない、後は私がやるか・・・」

 

ミュレは被弾判定が出た為、戦線から離脱した。

他の隊に合流してもいいのだが、戦場が混乱し合流しようにも出来ない状況に陥っていた。

 

「マッサーラ少尉、援護するから仕留めろ!」

 

「エスケスタ!」

 

2機の護衛のX型と観測機のXC型の支援の元、サーラはかつての愛機クァドラン・ローのようなマニューバでラウラに接近した。

 

「ヤック・デ・カルチャー、クァドラン・ロー!」

 

クァドラン・ローのような動きで迫るサーラにラウラは驚いた。

相手は同じメルトラン、クァドラン乗りのエースパイロット。

そう認識したラウラは直ぐ様相手の予測進路上を認識し、最初に放つカノン砲を囮として放ち予測進路上に逃げたサーラにパルスレーザー(模擬戦仕様)を放った。

 

これなら確実に仕留められるそう思ったが・・・・

 

「なんだあの動きは!?」

 

カノン砲を放ったが、サーラはVFー1の脚部にあるエンジンを使い急バックして回避した。

想像以上の動きにラウラは驚くものの、次の手を出すも護衛機の妨害により頓挫した。

 

「思う以上に力が発揮出来ない・・・」

 

初めて戦うVF、初めて戦うVF部隊による集団戦術にラウラは苦戦していた。

もし実戦であれば最悪自分自身が戦死してしまう結果になってしまうだろう。

 

「くそやられた!」

 

「志田少尉、各機・・・散開(ブレイク)」

 

苦戦していたラウラだが、根は歴戦のエースである為グリーンナイツ中隊やその他の部隊のVFを何機か撃墜判定を出した。

更に他の隊のクァドラン・ローなどの友軍機が通過し、サーラなどに攻撃した。

 

「友軍機のお陰で戦いやすくなった・・・これならば・・・」

 

ラウラは友軍機の散発的な攻撃で隙が生まれたサーラを捉え、ミサイルを放ち予測進路上にパルスレーザーを放った。 

放たれたミサイルをサーラは迎撃し、ペイント弾が命中した模擬ミサイルは自爆し放たれたパルスレーザーはまたしても急バックで回避した。

 

「もらった!」

 

「クソッ!!」

 

急バックで回避した先の背後にはラウラのクァドラン・ローが回り込んでおり、パルスレーザーを両腕組んで構えていた。

ラウラは反転しスナイパーガンポッドを構えるサーラに向けパルスレーザーを発射、頭部と右脚部にペイント弾を命中させた。

 

「マッサーラ少尉・・・!!・・・挟撃か!?」

 

中破認定が出たサーラのVFを援護しようとした僚機だが、ジナール空戦隊を中核とした挟撃任務空戦隊が左右から任務航空団を挟撃した。

任務航空団は混乱が生じ、形勢逆転しラウラら第29海兵隊が優勢になった。

 

「マッサーラ少尉、艦隊へ後退するぞ!」

 

「私はまだ・・・戦えます!」

 

「馬鹿野郎、実戦なら死にに行くようなもんだ。撤退しろ!援護する!」

 

「ハッ分かりました。」

 

中破判定を食らったサーラであったが、戦闘の意思が衰えておらず戦線復帰しようとした。

だが、実戦であれば被弾した機で突撃するのは自殺行為であった。

僚機はサーラに帰還を命ずるも拒否られ、思わず怒鳴りながら撤退を強要され渋々了承し艦隊へ向かう他の隊と共に撤退した。

 

「逃さない!」

 

「そうはさせん!」

 

「邪魔だ!邪魔するな!退け!」

 

ラウラは撤退するサーラやその他被弾判定機を追撃するが、グリーンナイツ中隊に妨害された。

VFとの戦闘のコツを徐々に掴んだラウラの敵ではなく次々と戦闘不能にした。

 

「ベルタリア曹長!追撃はよせ!」

 

「グロイザ少佐、ルム大尉!」

 

「手負いを優先するより、敵防衛戦突破を優先しろ!」

 

「サッ!」

 

またまた近くを通りかかったマグゼミグ・ラフに乗るティムロとホフィンから追撃中止命令が出され、敵防衛戦を突破するように命じられた。

ラウラは不服に感じてはいたが、上官の命令は絶対な為素直に従った。

 

 

 

【演習艦隊アルゲニクス級2番艦サドワラ】

【同サドワラ前、シーアンタレス各隊。】

 

任務航空団が苦戦している頃、演習艦隊と直掩部隊は慌ただしくなった。

撃墜判定機や戦闘不能判定機が次々と帰還し、演習艦隊幹部は予想外の苦戦に驚愕し慌てて直掩機による防衛線を構築した。

 

「やはり敵は挟撃か、第29海兵隊流石は精鋭だな。」

 

「艦隊直掩部隊の防戦開始、後続の主力突破されたらまずいな〜」

 

「それはどうかな?案外粘るかもな。」

 

任務航空団が苦戦しているのはジナール空戦隊が挟撃した事による混乱からであり、事実.挟撃に動揺しなかった部隊は善戦していた。

とは言え混乱が生じた事により防衛線が崩れ、第29海兵隊は直掩部隊のデストロイド・ドーントレス部隊と戦闘開始した。

 

『こちらオピリオネス、シーアンタレス各隊に通達します。艦隊司令部より出撃命令が出ました。』

 

「ようやく戦線か、ずっと機内待機だから退屈したなぁ。」

 

サドワラのオペレーター.エレナ・ラング少尉から艦隊司令部からの出撃命令が伝えられた。

シーアンタレス各隊は二手に分かれ、それぞれの目標へ向かっていった。

 

「ミアン。」

 

「はいなんでしょう?」

 

「厄介な相手出てきたら私がやる!部隊の指揮任せたわよ!」

 

「またですか・・・・エスケスタ。」

 

戦場へ向かう最中、絵理はミアンに厄介な相手が出てきたら指揮を任せると言った。

ジト目になりながらミアンは了承した。

 

「ソリフーゲ小隊右翼展開!アラクニド小隊は左翼展開!」

 

「守勢とは言え、相手も消耗している。押し出せ!」

 

第29海兵隊と任務航空団の戦況は膠着状態に陥っていた。

直掩として残されていたティモシー率いるエデン軍派遣隊の参戦により任務航空団の混乱が収まり、第29海兵隊の前進が止まっていた。

 

「第29海兵隊・・・予想以上に強敵だな・・しかし・・・私に対しては力不足だな!」

 

VFー7ゴーストを駆るティモシーの活躍は凄まじかった。

既にリガード3個小隊.ヌージャデル・ガー1個小隊、クァドラン・ロー3機その他多数を戦闘不能にしていた。

 

「ひゅ〜凄まじい。流石は元アドクラス艦隊のエース。」

 

「ほう、シーアンタレス隊の副隊長いやエースのミリアの部下モーア・カリダムか!相変わらず生意気な口ぶりだな。」

 

戦場に到着した絵理は前線で活躍を見せるティモシーと絡んだ。

絵理からの通信にティモシーは元ミリアの部下のモーア・カリダムだと見抜いた。

ミリアの部下時代の絵理の活躍をティモシーは知っており、生意気な性格である事も上官に対しタメ口を使う事も知っていた。

 

「オールキルウィザードの異名がダメじゃないと言う事教えてくださいね。」

 

「モーア・カリダム、貴様ら相変わらず減らず口を言う。」

 

「文化と家族に出会えても性格は変わらないのよね。では突貫!」

 

 

ティモシーをからかった絵理はバトロイド形態に変形するとクァドラン部隊に目掛け突撃した。

絵理はミアンらスコーピオン隊各隊員に指示し、2個小隊に分け左右に展開させた。

 

「くぁ」

 

「ホフィン!」

 

「一瞬でやられた・・・実戦だと死んでた・・誰だぁ。」

 

絵理は各隊に牽制攻撃を仕掛け気を取られたホフィンや近くにいた海兵隊を撃墜した。

ティムロは副官のホフィンがやられ、シーアンタレス各機に狙いを定めたが攻撃する直前に絵理のクルセイダーが目の前に現れ睨見つけるように振り向いた。

 

「あいつか!!」

 

「もう1機のマグゼミグ・ラフ、直衛艦隊司令機クァドラン・キルカに並ぶ最強機体・・・だがぁ!」

 

「ラック消えた!」

 

「私の実力の前では無意味!」

 

絵理はティムロから攻撃を受ける前にガウォークに変形し急上昇からの宙返りし背後を取るとバトロイド形態に変形しガンポッドの銃口を突きつけた。

 

「ラック・デ・カルチャー(馬鹿な)」  

 

「エット・デ・ブラン・テルネスタ♪(大した敵ではない♪)」

 

零距離射撃で絵理はティムロを撃墜した。

撃たれたティムロは他の被弾機と共にリタイアゾーンへ退いていった。

撃墜して間もなく浮遊物を蹴ってバーニアを駆使し僅か数秒間でシグノーミュールと地球技術改修型のクァドラン・ローθを複数機撃墜した。

 

「何・・・・あの機体の動き・・・」

 

ラウラは目の前で大暴れをする独自のサソリマークを付けた絵理のVFー3000クルセイダーを見て驚いた。

頭部レーザーやガンポッドなどの多岐に渡る武装を駆使し複数のリガードやクァドラン・ローを難なく戦闘不能に追い込んでいた。

ログレン・ローやマグゼミグ・ラフなどの高性能機ですら簡単に戦闘不能にし、グラージの上に乗って零距離射撃で撃墜した。

 

「舐めるな!」

 

ラウラは模擬パルスレーザーを発射すると絵理は一瞬に消え、ガウォークで斜め横をまるで滑るかの進みながらガンポッドを放った。

絵理はラウラをただの海兵隊員だと思っており、確実に撃墜出来ると思っていた。

 

「くっ・・・・まだまだ!」

 

「やるわね・・・ただの海兵隊員と言うわけじゃないのか・・・クァドラン・ローしかも一般機中々の腕だ・・・面白い♪」

 

ラウラは絵理が消える直前、動きを追っていた。

追ってたと言ってもギリギリであり、一歩間違えば確実に負けていた。

予想以上の動きを見せるラウラに絵理は笑い、ガンポッドを投げつけた。

 

「くっあ・・・・武器を投げた!?」

 

「フェイクに引っ掛かったな!これならどうだ!」

 

武器を投げつけた絵理は後退翼下兵装ステーションから小型ガンポッドを2丁取り発砲した。

ラウラは近くの小惑星に降り立ち、踊るかのように絵理の攻撃を避けて見せた。

 

「踊るかのように避けるのか・・・・ますます興味深いな。」

 

「クァドラン・ローのような動き・・・あのVFと言う兵器に乗ってるパイロットは私と同じメルトランなの?」

 

今戦っているVFー3000に乗っているパイロットが絵理と知らないラウラはかつては同じクァドラン・ローパイロットだと見抜いた。

VFに乗っているとは言えクァドラン乗り特有の動きを見せれば簡単に分かる。

 

更に・・・・・

 

「パイロットはまさか・・・・モーア・カリダム・・・生きていたのか・・・・」

 

動きの癖を思い出したラウラはパイロットが絵理であると見抜いた。

確証はないが、絵理であればあの地獄のボドル基幹艦隊決戦を生き抜いていても不思議ではない。

 

「モーア、援護します!」

 

「ミアン・・・・必要ないわ。」

 

「?・・・・あっ・・・・なるほど・・・」

 

援護しようとするミアンに絵理は必要ないと言った。

絵理の言葉を聞いたミアンは首を傾げたが直ぐに言葉の意味を理解し納得してその場から離れた。

 

「モーアであればあの活躍は分かる・・・でも、ゼントラーディ軍の頃と違って強くなっている。」

 

ラウラは戸惑っていた。

ゼントラーディ軍時代と比べて強くなっている絵理の実力に・・・・・

今演習相手として戦っている絵理の実力はゼントラーディ軍時代と比べかなり上がっていた。

 

それに・・・

 

「私とモーアは腕前はそんなに変わらなかった。でも今のモーアは私よりも強くなっているし、私の知らない戦術を使っている。」

 

ラウラとほぼ同じ実力の差が無かった絵理が、今は自分より強くなっていて自分がまったく知らない戦術を使っている。

 

「これがマイクローンの兵器の力だと言うの?」

 

VFの実力を見たラウラはカルチャーショックを受けた。

何もかもがゼントラーディの常識とは桁違いだ。

カルチャーショックを受けたラウラの意識に変化が生じた。

 

出来るならマイクローンの兵器に乗り、マイクローンの戦術を取り入れたい。

先の大戦で同胞殺しの罪悪感で苦しんでいたラウラの心に光が灯る。

 

次回予告

突如、現れた星村絵理のバルキリーの動きはラウラを驚かせた!激しい戦闘の最中、ラウラの心の中にある望みが芽生え始める!

 

次回、マクロス外伝蒼い髪のメルトラン

 

【ヴァリアブル・インパクト】

 

新たな道,突き進め!ダイダロス!

 

前回

 

次回

 

 

 

【生年月日】

2002年11月3日

【所属】

新統合軍

【階級】

少尉

【人種】

韓国人

【性別】

女性

【出身】

大韓民国・高陽市

【髪色】

栗毛

【イメージ声優】

夏樹リオ 

【キャラクターデザイン】

鈴花べる

【解説】

転属希望者引き取りにメルトラスに訪れた月面クラビウス基地人事部に所属する新統合軍人の一人。

 

ラウラらメルトランの転属者に制服・携帯・銀行口座を配布した。

アポロ基地到着後はラウラ担当として身分証明証作成や戸籍の手続きを手伝った。

 

性格はクールで真面目であり、業務を淡々とこなす。

 

ゼントラーディ人に対し偏見を持っておらず、普通の人間として接している。

(デザイン いわしぃさん

【所属】

地球統合軍

新統合軍

【武装】

マウラー 11mm対空レーザー機関砲×2(J)
ハワード 55mm3連ガトリングガンポッド×1

【選択武装】

AMM-1 対空対地ミサイル×12

UUM-7 マイクロミサイルポッド×4

RMS-1 大型対艦反応弾

他多数

【乗員人数】

1名

【解説】

VF-1Jバルキリーに通信能力向上、エンジンを推力向上型FF-2001Dに換装した改修型。

中隊長機であるS型を補佐する副官機として扱われ、SDF-1マクロスと月面アポロ基地・月面クラビウス基地に少数が配備された。

 

VF-1XやVF-1Pにも同タイプの機体が作られている。

青・マスターアーカイブ出身

赤・版権キャラ

黒・オリキャラ

◆新統合軍

◆第29海兵隊

ラウラ・ベルタリア.曹長

メフィリア・ラリアス.軍曹

アンジェミラ・ランケス.軍曹

ラザル・ハズブロ.少佐

 

◆空母シナノ・ブラックパンサーズ中隊

吉野大樹.大尉

シュリ・ベルラン.少尉

ジェフリー・ワイルダー.少尉

リック・ニーヴン.少尉

ジャスティン・ボーグナイン.大佐

 

◆アンサーズ中隊

桐原茂人.予備役少佐

カゴメ・バッカニア.少尉(秘書)

 

◆ダンシング・スカル

マクシミリアン・ジーナス.大尉

ミリア・ファリーナ・ジーナス.中尉

 

◆月面クラビウス基地司令部

白川秀康.中将

メロディー・ギンヌメール中尉

秩父俊仁.大佐

在原業高.大佐

 

◆シーアンタレス

星村和也.大尉

星村絵理.中尉

ミアン・フローラン.少尉

 

◆その他

シャーネ・マクレーン.軍曹

西村陽一.曹長

 

◆民間人

デワントン・フィアロ.予備役大尉(桐原安奈)

 

◆反統合組織

◆反政府組織キュクロープス

ゲラム・ダルダントン.総統

 

◆その他

金正一.委員長/朝鮮再興軍

ウラジミール・マレンコフ中将/シベリア独立解放軍