【12年前 西暦2009年12月8日 太平洋上】
第1次星間大戦後半、冥王星からの長きに渡る航海の末.ゼントラーディ軍の包囲網を突破し地球に帰還したSDFー1マクロスは太平洋上に着水した。
乗員達は地球帰還を喜んだが、非情にも地球統合軍総司令部は帰還を喜ばず世間に異星人と戦争中の事実を隠蔽するため民間人の受け入れは許可されず敵の目を引きつける囮の任を命じられた。
そうした中、カムジン・クラヴシェラ率いる第109分岐艦隊.第7空間機甲師団がマクロスを襲撃し、戦闘の最中にスカル中隊バーミリオン小隊長一条輝がフレンドリーファイアにより負傷した。
「いいか、私の目指す相手が出てきたら手だしは絶対に無用。お前たちは、私がその者と1対1で戦える状況をつくってくれれば、それでいい。」
「分かりました。他はお任せください。」
カムジンからマクロス艦内に凄腕がいると聞いたミリアが自身の部隊と空戦一般部隊を引き連れ大規模な攻撃を展開した。
30機以上のクァドラン・ローと空戦ポッドの大編隊の接近を確認したマクロスは空母プロメテウスから各VF部隊を出撃させ迎撃に向かわせた。
「私の目指す相手?メフィア・エリアーノ、なんかずるくないミリア。」
「モーア、上官にその口ぶりはやめたら?じゃないと消去刑にされるわ。」
「別にいいじゃん」
ミリアの命令を聞いたモーアは目指す相手の意味を凄腕と見抜き、自分だけ独り占めする気なのでは?と思い不満を述べた。
メフィリアはモーアに上官に対する態度を諌めるも、全く意味がなかった。
「モーア・メフィア・エリアーノ、マイクローンにやられるなよ。」
「はいはいやられるもんですか〜監察軍よりも弱い連中なんかに〜」
同じミリア機動戦隊の隊員の一人モシアート・クロウドが絡んできた。
モシアートはモーア達と同期であり、別チームを組んでいたが比較的に仲が良く戦闘のない時間帯はよくお喋りをしていた。
「行け!!」
ミリアの号令と共にマクロスに対し攻撃が開始された。
両軍激しい戦闘状態に突入し、一進一退の攻防を展開した。
「遅い!」
戦闘の最中、マックスはミネリア・アジハの駆るクァドラン・ローと空戦ポッド数機を撃墜した。
神業が如く、ファイター形態とバトロイド形態を上手く活用し相手の先を進んだ戦術を展開した。
「ミネリアを良く・・・・・」
「敵機撃墜!こちらバーミリオン3、パープルリーダーそちらの敵は任せましたよ!」
近くにいたクロン・バジェスが仇をとろうとするも呆気なくマックスに撃墜され戦死した。
クロン撃墜した直後に付近でパープル小隊長で従兄弟のジョニー・ギルバート中尉の駆るVFー1Jが空戦ポッド相手に善戦する姿が見えた。
マックスは敬礼し、ジョニーに空戦ポッド相手を任せクァドラン・ロー撃墜に専念しようとした。
「はっ! あいつか。ようし。」
マックスの活躍を見ていたミリアはニヤッと笑い、指揮官用のクァドラン・ローを駆りゼントラーディの死の遊びを楽しむため突撃した。
「マックス逃げろ!」
「逃げる?」
ミリアのクァドラン・ローの接近を確認したロイ・フォッカーはマックスに退避勧告を出した。
退避勧告に戸惑うマックスだったが、ミリアの強襲から逃れる事は出来なかった。
「んんっ!私の攻撃をかわしたな。」
「早いこいつか!?パープルリーダーの言ってた手ごわい相手ってのは!」
ミリアの強襲は不発に終わった。
マックスは持ち前の技量を活かして回避行動を取りつつ、無駄のない動きで反撃した。
今まで見た事のない動きを見せるマックスにミリアは驚くも、負けじと攻撃を繰り返した。
戦いの場はマクロス艦内でも展開されたが・・・
「私が負ける!? そんなバカな!」
マックスの技量はミリアを上回っており何度か被弾、ミリアは敗北を認め撤退を始めた。
人生で初めて敗北と言う屈辱を味わったミリアは再戦を望み、次こそは討ち果たそうと考えた。
「どけどけ!」
マックスがミリアを撃退している頃、フォッカーは部隊を指揮しながらミリアの配下と戦っていた。
フォッカーの攻撃でジャリア・トリモスの乗るクァドラン・ローが火だるまになり爆発した。
「くそ舐めるな!」
フォッカーにより次々とやられる味方を目にしたモシアートが敵を討とうと単機突撃した。
既にフォッカーの手により何人か討ち取られており、モシアートは冷静さを失い仇をとらなければ気がすまなかった。
「モシアート単機で突撃するな!私達が行くまで待って!」
モーアはメフィアとエリアーノとケッテ編隊でフォッカーに迫っていたが、単機で突撃するモシアートを目撃し声を荒くして突撃するなど言った。
「あぁ」
願い虚しくモシアートは火達磨になり太平洋の藻屑と消えた。
同期であり今まで共に過ごしてきたモーアは最初は動揺するも、次第に憎悪の念を激しく抱いた。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
激昂したモーアはパルスレーザーガンをフォッカーのVFー1Sを狙撃した。
モーアの動きに呼応してメフィアとエリアーノが牽制攻撃としてレーザーガンを発射、本命であるモーアの攻撃はVFー1Sに命中した。
「くそ!落ちろ!落ちろ!」
命中したがフォッカーの器量もあってか撃墜に至らなかった。
何度も執拗にフォッカーのVFー1Sを撃墜しようとしたが、むしろ逆に追い込まれるのでは?と言う危機的状況に陥った。
「モーア!メフィア!エリアーノ!撤退命令だ!退け!」
「くっ・・・サ・エスケスタ・・・」
ミリアが戦意を喪失し撤退した為、副官のデワントンとメールは各隊員に撤退命令が出した。
メールから撤退命令を聞いたモーアは不満を抱いたが、味方も撤退を始めている為渋々従った。
戦いはミリア機動戦隊から6名の戦死者と多数の下士官達を失う大敗を喫した。
「ラプ・ラミズ司令、私をマイクローン・スパイに任命してください。」
「バ、バカな!お前ほどのパイロットが、なぜわざわざマイクローンなどに。ミリア!」
「私は、マイクローンになります!」
補充兵が配属され戦力再編した頃、ミリアはマイクローンスパイに志願した。
隊員達はミリアがマイクローンスパイに志願した事実にショックを受けたが、副官のデワントンやメールが代理で部隊を運営していく事となりしばらくして元の日常に戻った。
「ミリアがマイクローンスパイ?」
「部隊を放り出してマクロスに潜入したんですって?」
艦内の食堂でキヨラ機動戦隊所属のラウラは戦友のメフィリアからミリアがマイクローンスパイとしてマクロスに潜入したと聞いた。
ミリアが出撃し被害が出たとは聞いてはいたが、自身が敗退しそれが原因でマイクローンスパイとしてマクロスに潜入したとはこの時知らなかった。
事情も知らないラウラは黙々とミリアの批判を始めた。
「自分勝手に部下を放り出してマイクローンスパイ、ゼントラーディ軍人の資格はないわ〜」
「分かる・・・責任感の強いキヨラ隊長と比べたらだらしないと言うか・・・」
キヨラ・テキーヴァを強く慕うラウラ達は部下を放り出し、マイクローンスパイになりマクロスに潜入したミリアを批判した。
後にミリアがマックスに負けた事が原因だと知るのだが、ラウラ達は自身の戦術ミスで成果も上げられずに部下や空戦隊の兵士を多数失い責任から逃れる為にスパイとしてマクロスに潜入したのだと思っていた。
「ラウラ、アンジェミラちょっと・・・」
「ん?ぐふっ」
ラウラはメフィリアが怯えた声で何か訴えるので振り向くとモーアから顔面殴られた。
驚くメフィリアとアンジェミラだが、動揺する間もなく戦友メフィアとエリアーノや補充兵のビネークとフェリロらに殴られ倒れた。
「ミリアの子飼いが!」
ラウラ達もすぐさま反撃に移った。
近くにいたシュリと言ったキヨラ機動戦隊の隊員も加勢し、艦内の食堂で乱闘騒ぎが起きた。
様子を見たミリアの部下のアマテラ・サーノとシャン・クロッケルがデワントンとメールに報告し、直様艦内の食堂に急行した。
「モーア!やめなさい!」
「止めるな!こいつミリアの悪口言った!」
「事実を言って何が悪い!部下を置いて自分勝手にマイクローンスパイするミリアがおかしいだろ!」
「なにぃ」
食堂は酷い有様だった・・・・
ラウラとモーアはお互い口から血を流しながら両方の原隊副官による説得の最中、お互い罵りながら殴り合いを続けた。
最終的に各部隊預かりの処分になり乱闘騒ぎは終わった。
この乱闘騒ぎを最後にラウラとモーアは会う事がなかった。
その後、終戦を迎えモーアは新統合軍に入隊。
メフィアとエリアーノと分かれる事になったが、勤務地であるオセアニアで順風満帆に活躍した。
そして一条輝と共に月面に出向し、愛する夫となる星村和也と出会い結婚する事になる。
幸せな生活を送る反面・・・・・
「私は・・・そうか・・・私も同じ事をしたんだな。」
第1次星間大戦末期の地上戦の最中、あの戦いでロイ・フォッカーと言う軍人を殺し、遺された愛機は後輩の一条輝が引き継がれたと知った。
あの戦いで殺したフォッカーにはクローディア・ラサールと言う恋人がおり、自身の攻撃のせいで愛する人の命を奪った。
戦争だからと言えこうした事実は胸が苦しくなる。
モーアは事実を受け入れ、戦いを楽しむ事を止め軍人としての役割を全うしようと決意した。
それから10年後・・・・
【西暦2021年1月18日午前10時 冥王星】
アームド級ホーランディアを旗艦とした第6機動航空戦隊とアームド級セーシェルを旗艦とした第44機動航空戦隊がデフォールドした。
2個戦隊は各旗艦アームド級空母2隻を中心に僚艦オーベルト級駆逐艦10隻を左右に横一文字に展開、後からデフォールドしてきた絵理と和也率いるシーアンタレス艦隊を真ん中に据え第29海兵隊を迎える準備をした。
「爽快だなぁ、計15隻とは言え見事な艦隊だわ。」
かつてのモーアこと絵理は目を輝かせながら周辺に展開する新統合軍艦隊を見ていた。
サドワラを中心に左右に空母2個戦隊が並んでおり、絵理のテンションが上がっていた。
「ゼントラーディ軍と比べたらショボいけど。」
「和也、左右の艦隊はゼントラーディ軍とは別の魅力があるから。」
新統合軍の主力艦艇はゼントラーディ軍艦艇と比べたら内火艇みたいな感じであり、元ゼントラーディ軍人である絵理からしたら地味なのでは?と夫で隊長である和也は思っていた。
実際の絵理は地球艦艇特有の美的センスを気にっており、ゼントラーディ軍艦艇よりも好きだった。
しばらくすると後方に演習艦隊旗艦のダイダロスⅡ級強襲揚陸空母レプライザルが到着し、演習艦隊は計19隻に膨れ上がった。
「隊長、副隊長。新統合軍VF任務航空団司令による作戦内容が届きましたので、ブリーフィングルームへ。」
「分かった。」
絵理は自身が率いる小隊副官のミアンからブリーフィングの時間だと告げられると和也と共にブリーフィングルームに向かった。
メルトラスのブリーフィングルームではラザルが海兵隊員を集め作戦会議を開いた。
ラウラ達は他のクァドラン・ローパイロット達で纏まりながら、ラザルら海兵隊艦載部隊幹部の話を聞いていた。
「クァドラン各隊を統合し編成した遊撃任務戦隊が露払い作戦を展開し、ジナール各隊を統合し編成した挟撃任務戦隊が左右に展開する。」
「我々、遊撃任務戦隊や挟撃任務戦隊で敵艦載機部隊を撃破しハズブロ少佐ら主力部隊を持って敵艦隊を殲滅する。これが今回の我々の作戦だ!」
作戦はクァドラン・ローなどの高機動機で仕掛け、その隙にジナール空戦隊が挟撃で敵戦力を撃滅しラザル率いる主力部隊が防衛ラインを突破し演習艦隊を制圧するものだった。
海兵隊のゼントラーディ将兵は地球の戦術を吸収し、自分達の戦術を組み合わせはぐれゼントラーディ軍部隊相手に多大な戦果を上げていた。
「私がマグゼミグ・ラフに乗り戦線を指揮し、私の直掩はセランとフラスワのログレン・ロー隊が火力支援はランソーとエルシャのシグノー・ミュール隊が行う。」
「後のクァドラン・ロー隊はクァドラン・ノナ隊を率いて戦線を切り開け!」
ラウラの属する遊撃任務戦隊の指揮官はティムロ・グロイザ少佐で副官ホフィン・ルム大尉で、ティムロはクァドラン派生種による各隊を率いてホフィンは主力隊を率いる。
無論、ラウラはホフィン率いる主力隊に属しており2個クァドラン・ノナ分隊を率いる。
「敵部隊は100機以上を有しており、直掩部隊も含めて計200機いる。油断せず全力でかかれ!」
新統合軍VF部隊は100機、正確には海兵隊VF部隊の数であり各空母に60機にシーアンタレス隊23機そして各地方から参加した部隊18機が参加している。
艦隊直掩に空間デストロイド部隊や空母迎撃機のデストロイドを含めると300機近い数の戦力が参加している事になる。
有人機だけでの話であり、無人機ゴーストを含めれば300機少し超えた戦力となる。
「注意事項としては相手に対して行っていいのは模擬射撃と模擬ミサイル攻撃のみである。間違っても殴ったりなどはしないように。」
模擬戦であるので使用武器はペイント弾であり、ミサイルも中身はペイント弾だが命中寸前で自爆する物であった。
当然、パルスレーザーもペイント弾を放つ代物に換装されており、格闘戦については機体の損傷やそれに伴う搭乗員の死亡事故のリスクから禁止されていた。
「ラウラ、楽しそうな戦いになりそうだな。」
「気分転換になるししっかり楽しもうよ。」
アンジェミラとメフィリアは久しぶりに大部隊同士の戦闘が出来るとテンション上がっていた。
ボーとしていたラウラに楽しむ事を勧め、模擬戦を思う存分楽しもうと思っていた。
「気分転換か・・・・悪くないな。」
可変する機体に関心を持っていたラウラは二人の言葉を受け入れ楽しむことを決めた。
打倒ヴァリアブル・グラージの為、改めて同じ可変機と戦えば何か分かるかもしれないと楽しみながら特性を掴もうと考えていた。
初めてVFと戦うのでラウラは久しぶりに笑顔を見せて・・・・・
「サ・リンツ・メルトラン・マトラスカス(女の意地にかけて必ず)」
と強い意気込みを見せた。
VFと戦えば対抗戦術だって生み出せるし、もしかしたら人生を変える何かを得るかもしれない。
ラウラは前向きに考え演習本番に備えた。
この時まだ予想以上の出会いとは知らずに・・
【1月18日 午後13時】
ホーランディアとセーシェル各艦から各VF部隊が発艦した。
主力機はVFー4とVFー5000であるが、VFー7ゴーストやフレイヤバルキリーやXタイプなどの改修型のVFー1なども参戦していた。
「艦長、演習予定時間になりました。」
「うむ、我々は一般部隊と格が違う事をここで示す。全バルキリー隊並びに直掩隊、発進せよ!」
演習艦隊旗艦を務める地球ラグランジュポイント防衛を担う新統合海兵隊・海兵第3遊撃戦隊旗艦レプライザルは各艦隊に遅れ、部隊発艦準備に入った。
直掩の空間戦デストロイド・ドーントレスが艦隊前方後方左右に展開し、続いて無人戦闘機ゴーストとゴーストⅡが発艦した。
「Course clearane.All system is green. Good luck !」
「ThanksYou It sorties!!」
直掩部隊が全て発艦後、海兵隊飛行隊.ホークス中隊のVFー1Xが発艦した。
グリーンナイツ中隊とカウボーイ中隊などの飛行隊が飛び立ち、艦隊前方中心部に展開した。
海兵隊員の大半はゼントラーディ人や移民先で見つけたら亜プロトカルチャー人の兵士であり、市民権獲得のため新統合軍に志願し海兵隊員として最前線で戦っている。
「海兵隊は贅沢だよな。」
「俺たちの母艦はせいぜい2個中隊32機なのに人員豊富に使いやがって。」
海兵隊飛行隊の人員は新統合宇宙軍に比べ少ないものの、各隊の充実はそれ以上であり1隻に100機搭載するなどかつての地球の小国空軍に匹敵する戦力を誇っていた。
ただ海兵隊の大半はゼントラーディ軍装備であり、海兵隊VF部隊は圧倒的少数であった。
「ダルダントン中尉、地球本国の連中・・・我々エデン防衛軍と大違いですね。」
「風間・・慌てるな、我々は最新鋭機VFー7を与えられているんだ。胸を張れ!」
「はっ」
ホーランディアに分乗した惑星エデンから派遣されたエデン防衛軍のティモシー・ダルダントン中尉と風間健一少尉は地球本国軍の装備と人員の充実さに驚いていた。
彼らには最新鋭機VFー7ゴーストを与えられているが、地球本国軍の部隊には最新鋭機VFー5000スターミラージュが60機以上がこの演習に参加している。
「地球本国ももう少しは地方の事を考えてもらいたいものだな。」
ティモシーは地球本国軍の充実ぶりを見て不満を吐いた。
惑星エデンは人類最初に見つけた入植可能惑星であるのだが、地球と比べ発展途上であった。
エデン防衛を担うエデン防衛軍は最新鋭機は配備されてはいるが少数派であり、地球本国からのお古のVFー1バルキリーが主力を担っている。
アドクラス艦隊出身のティモシーは戦後、地球文明と歴史に感銘を受け新統合軍に引き続き属していたが新統合政府の中央集権体制に反感を覚えておりいつか改革せねばと心の中で誓った。
「各VF任務航空団を編成、ダイヤモンドフォーメーションにて展開。」
「先発した狙撃隊、各方面に展開待機。」
各艦から発艦した各VF部隊は任務航空団を編成した。
海兵隊グリーンナイツ中隊は戦列を離れ任務航空団に加わらず、近くのデブリベルトに分散しVFー1XSスナイパーバルキリーとVFー1XCオブザーブバルキリーが潜伏し周囲に護衛兵が固めた。
「任務航空団、間もなく戦闘圏に突入します!全機オールウェポンズフリー」
主力の任務航空団は第29海兵隊との戦闘圏に突入しようとしていた。
各VFパイロットは演習とは言え、実戦さながらの緊張感を持ってやってた為息を飲み一斉に模擬ミサイルを発射した。
「間もなくインファイトゾーンに突入する。各隊抜かるな。」
「攻撃目標はレプライザル艦橋にペイント弾をぶつけ撃沈判定を出す事だ!なぁに相手はマイクローンだ!私達なら勝てる!」
ラウラ達はティムロとホフィンに率いられながら、任務航空団との戦闘圏を目指していた。
攻撃目標は演習艦隊旗艦レプライザル、艦橋にペイント弾を付着させればラウラ達の勝ちである。
「ラウラ抜かるなよ!」
「そっちこそ、アンジェミラにはまだまだ負けません。」
ラウラはアンジェミラからの煽りを笑いながら煽り返しをした。
今回相手ははぐれゼントラーディ軍ではない、地球人だけの部隊である。
久しぶりに心置きなく戦う事ができる!今のラウラは10年ぶりに幸せな気分になった。
が・・・・・・
「私こそ2人には・・・・なっ・・・」
「メフィリア!?いつの間に撃たれ!」
「ラウラ、周囲に敵は・・・がっ・・・こっちもだ・・・」
「ヤック・デ・カルチャー、バカな敵の姿は・・」
幸せな気分の束の間、メフィリアとアンジェミラが狙撃された。
一瞬の出来事にラウラは何が起きたのか分からなかった。
敵の姿が見えないのにメフィリアがやられ、アンジェミラがやられた。
「くっ」
見えない敵からの狙撃を避ける為、ジグザグ機動で回避しようとした。
回避行動しているラウラだったが、率いていた分隊他の僚機も狙撃の餌食になった。
攻撃は狙撃だけでは終わらなかった。
「ミサイル!?」
多数のミサイルが飛来した。
ラウラはミサイルを回避したが、率いていたクァドラン・ノナ隊に命中し壊滅状態に陥った。
ミサイルの攻撃が終わると同時に各VF部隊が突入した。
「各機、連携を取れ!来るぞ!」
「「エスケスタ」」
残ったクァドラン・ノナ隊に指示を出し、突入してきたVFを迎撃を命じた。
ラウラが指揮するクァドラン・ノナ残存機は連携を取りながら、VFに優位に立ち何機か撃墜判定を出していったが狙撃により指揮系統に混乱が見られ劣勢が続いていた。
「こいつらも変形したか・・・」
何機かのVFがガウォークやバトロイドに変形し、様々な戦術を駆使し攻勢を強めた。
ヴァリアブル・グラージと同じ変形機能を駆使したVFを見たラウラは厳し目な表情を浮かべた。
機動力は劣るものの変形機能がないクァドラン・ローと比べ、ファイター・ガウォーク・バトロイドの三段変形が出来るVFの戦術は未知の存在だった。
撃墜できると思ったら形を変え予期せぬ動きを見せ回避し、逆に追い詰められ撃墜される。
「ベルタリア曹長・・・・相手には・・・わぁ」
「マイクローンめ・・・」
ラウラのクァドラン・ノナ隊は次々と撃墜され、生き残ったのがミュレ・フリジェルのみになった。
ミュレはクァドラン・ノナ隊の分隊長で軍曹で、アンジェミラとメフィリアと同階級だ。
クァドラン・ノナ隊の分隊長とあってか、しぶとく生き残っている。
「ベルタリア曹長、生き残りは自分だけに・・・」
「ミュレ!私と上手く連携しろ!勝ち残りたければ私に続け!」
「エスケスタ!」
ラウラは自身の部下や戦友でライバルだったラミア・レレニアが脱落し動揺しているミュレを叱咤し自身とエレメント組むように命じた。
エレメント組み反撃しようと試みたが・・・・
「また見えない攻撃・・・・動いているクァドラン・ローを・・・・何処だ!」
目の前で戦っていたクァドラン・ローが狙撃されペイント弾が付着し撃墜判定が出てしまった。
ラウラは周囲を見渡し、狙撃した機体を探した。
「デルケ・ダカン・デ・ブラン・メルケス!(遠い位置に敵を見つけた!)」
ラウラは自身を狙った狙撃を当たる寸前に回避し、狙撃方向を特定した。
狙撃位置は先の大戦でマクロスのフォールドに南アタリア島と共に巻き込まれ放棄され漂流しているアーレイ・バーク級駆逐艦。
駆逐艦の後ろにVFー1XSがスナイパーガンポッドを構えており、周囲に護衛のVFー1XとVFー1XCオブザーブバルキリーらしきものが遠目であるが見えた。
「ミュレ、仕掛けるぞ!」
「ハッ」
ラウラは他のVFの相手を他のクァドラン隊に任せ、ミュレと共に狙撃地点へ急行した。
挟撃任務戦隊と主力部隊の突入までもう少し、耐えれば形勢逆転できる。
その為にも狙撃兵を潰せねば、両部隊に損害が被り演習相手の艦隊を制圧できない。
勝つためにラウラは迫るVFを蹴散らしながら、狙撃殲滅を優先した。
「流石だなマッサーラ少尉。今のは惜しかったが・・・」
「いえそれほど・・・戦闘態勢に入ったクァドラン相手にはもう狙撃はきついですが・・・」
「そうかではスナイパーガンポッドを連射モードにしろ!実戦に入る!」
「エスケスタ」
狙撃用のVFー1XSに搭乗していたサーラ・マッサーラはラウラに発見された事を確認し、スナイパーガンポッドを連射モードにし反撃態勢に入った。
サーラはゼントラーディ軍出身で、ラウラとは同期で元戦友の一人であった。
戦後、VF訓練課程経て狙撃型VFのテストパイロットとなり海兵隊に移籍した。
狙撃兵としてグリーンナイツ中隊に所属し、数々の成績を挙げてきた。
迫りくるラウラとミュレに同事する事なく、スナイパーガンポッドのトリガーを引いた。
「くぁ」
「ミュレ!?」
「あのクァドラン・ロー出来る!」
サーラがトリガーを引いたスナイパーガンポッドから放たれたペイント弾は、ラウラとミュレを同時に命中するように向かっていった。
ラウラは回避に成功するも、ミュレのクァドラン・ノナの左腕に命中した。
「ベルタリア曹長、私は継戦不能後退します。」
「しょうがない、後は私がやるか・・・」
ミュレは被弾判定が出た為、戦線から離脱した。
他の隊に合流してもいいのだが、戦場が混乱し合流しようにも出来ない状況に陥っていた。
「マッサーラ少尉、援護するから仕留めろ!」
「エスケスタ!」
2機の護衛のX型と観測機のXC型の支援の元、サーラはかつての愛機クァドラン・ローのようなマニューバでラウラに接近した。
「ヤック・デ・カルチャー、クァドラン・ロー!」
クァドラン・ローのような動きで迫るサーラにラウラは驚いた。
相手は同じメルトラン、クァドラン乗りのエースパイロット。
そう認識したラウラは直ぐ様相手の予測進路上を認識し、最初に放つカノン砲を囮として放ち予測進路上に逃げたサーラにパルスレーザー(模擬戦仕様)を放った。
これなら確実に仕留められるそう思ったが・・・・
「なんだあの動きは!?」
カノン砲を放ったが、サーラはVFー1の脚部にあるエンジンを使い急バックして回避した。
想像以上の動きにラウラは驚くものの、次の手を出すも護衛機の妨害により頓挫した。
「思う以上に力が発揮出来ない・・・」
初めて戦うVF、初めて戦うVF部隊による集団戦術にラウラは苦戦していた。
もし実戦であれば最悪自分自身が戦死してしまう結果になってしまうだろう。
「くそやられた!」
「志田少尉、各機・・・散開(ブレイク)」
苦戦していたラウラだが、根は歴戦のエースである為グリーンナイツ中隊やその他の部隊のVFを何機か撃墜判定を出した。
更に他の隊のクァドラン・ローなどの友軍機が通過し、サーラなどに攻撃した。
「友軍機のお陰で戦いやすくなった・・・これならば・・・」
ラウラは友軍機の散発的な攻撃で隙が生まれたサーラを捉え、ミサイルを放ち予測進路上にパルスレーザーを放った。
放たれたミサイルをサーラは迎撃し、ペイント弾が命中した模擬ミサイルは自爆し放たれたパルスレーザーはまたしても急バックで回避した。
「もらった!」
「クソッ!!」
急バックで回避した先の背後にはラウラのクァドラン・ローが回り込んでおり、パルスレーザーを両腕組んで構えていた。
ラウラは反転しスナイパーガンポッドを構えるサーラに向けパルスレーザーを発射、頭部と右脚部にペイント弾を命中させた。
「マッサーラ少尉・・・!!・・・挟撃か!?」
中破認定が出たサーラのVFを援護しようとした僚機だが、ジナール空戦隊を中核とした挟撃任務空戦隊が左右から任務航空団を挟撃した。
任務航空団は混乱が生じ、形勢逆転しラウラら第29海兵隊が優勢になった。
「マッサーラ少尉、艦隊へ後退するぞ!」
「私はまだ・・・戦えます!」
「馬鹿野郎、実戦なら死にに行くようなもんだ。撤退しろ!援護する!」
「ハッ分かりました。」
中破判定を食らったサーラであったが、戦闘の意思が衰えておらず戦線復帰しようとした。
だが、実戦であれば被弾した機で突撃するのは自殺行為であった。
僚機はサーラに帰還を命ずるも拒否られ、思わず怒鳴りながら撤退を強要され渋々了承し艦隊へ向かう他の隊と共に撤退した。
「逃さない!」
「そうはさせん!」
「邪魔だ!邪魔するな!退け!」
ラウラは撤退するサーラやその他被弾判定機を追撃するが、グリーンナイツ中隊に妨害された。
VFとの戦闘のコツを徐々に掴んだラウラの敵ではなく次々と戦闘不能にした。
「ベルタリア曹長!追撃はよせ!」
「グロイザ少佐、ルム大尉!」
「手負いを優先するより、敵防衛戦突破を優先しろ!」
「サッ!」
またまた近くを通りかかったマグゼミグ・ラフに乗るティムロとホフィンから追撃中止命令が出され、敵防衛戦を突破するように命じられた。
ラウラは不服に感じてはいたが、上官の命令は絶対な為素直に従った。
【演習艦隊アルゲニクス級2番艦サドワラ】
【同サドワラ前、シーアンタレス各隊。】
任務航空団が苦戦している頃、演習艦隊と直掩部隊は慌ただしくなった。
撃墜判定機や戦闘不能判定機が次々と帰還し、演習艦隊幹部は予想外の苦戦に驚愕し慌てて直掩機による防衛線を構築した。
「やはり敵は挟撃か、第29海兵隊流石は精鋭だな。」
「艦隊直掩部隊の防戦開始、後続の主力突破されたらまずいな〜」
「それはどうかな?案外粘るかもな。」
任務航空団が苦戦しているのはジナール空戦隊が挟撃した事による混乱からであり、事実.挟撃に動揺しなかった部隊は善戦していた。
とは言え混乱が生じた事により防衛線が崩れ、第29海兵隊は直掩部隊のデストロイド・ドーントレス部隊と戦闘開始した。
『こちらオピリオネス、シーアンタレス各隊に通達します。艦隊司令部より出撃命令が出ました。』
「ようやく戦線か、ずっと機内待機だから退屈したなぁ。」
サドワラのオペレーター.エレナ・ラング少尉から艦隊司令部からの出撃命令が伝えられた。
シーアンタレス各隊は二手に分かれ、それぞれの目標へ向かっていった。
「ミアン。」
「はいなんでしょう?」
「厄介な相手出てきたら私がやる!部隊の指揮任せたわよ!」
「またですか・・・・エスケスタ。」
戦場へ向かう最中、絵理はミアンに厄介な相手が出てきたら指揮を任せると言った。
ジト目になりながらミアンは了承した。
「ソリフーゲ小隊右翼展開!アラクニド小隊は左翼展開!」
「守勢とは言え、相手も消耗している。押し出せ!」
第29海兵隊と任務航空団の戦況は膠着状態に陥っていた。
直掩として残されていたティモシー率いるエデン軍派遣隊の参戦により任務航空団の混乱が収まり、第29海兵隊の前進が止まっていた。
「第29海兵隊・・・予想以上に強敵だな・・しかし・・・私に対しては力不足だな!」
VFー7ゴーストを駆るティモシーの活躍は凄まじかった。
既にリガード3個小隊.ヌージャデル・ガー1個小隊、クァドラン・ロー3機その他多数を戦闘不能にしていた。
「ひゅ〜凄まじい。流石は元アドクラス艦隊のエース。」
「ほう、シーアンタレス隊の副隊長いやエースのミリアの部下モーア・カリダムか!相変わらず生意気な口ぶりだな。」
戦場に到着した絵理は前線で活躍を見せるティモシーと絡んだ。
絵理からの通信にティモシーは元ミリアの部下のモーア・カリダムだと見抜いた。
ミリアの部下時代の絵理の活躍をティモシーは知っており、生意気な性格である事も上官に対しタメ口を使う事も知っていた。
「オールキルウィザードの異名がダメじゃないと言う事教えてくださいね。」
「モーア・カリダム、貴様ら相変わらず減らず口を言う。」
「文化と家族に出会えても性格は変わらないのよね。では突貫!」
ティモシーをからかった絵理はバトロイド形態に変形するとクァドラン部隊に目掛け突撃した。
絵理はミアンらスコーピオン隊各隊員に指示し、2個小隊に分け左右に展開させた。
「くぁ」
「ホフィン!」
「一瞬でやられた・・・実戦だと死んでた・・誰だぁ。」
絵理は各隊に牽制攻撃を仕掛け気を取られたホフィンや近くにいた海兵隊を撃墜した。
ティムロは副官のホフィンがやられ、シーアンタレス各機に狙いを定めたが攻撃する直前に絵理のクルセイダーが目の前に現れ睨見つけるように振り向いた。
「あいつか!!」
「もう1機のマグゼミグ・ラフ、直衛艦隊司令機クァドラン・キルカに並ぶ最強機体・・・だがぁ!」
「ラック消えた!」
「私の実力の前では無意味!」
絵理はティムロから攻撃を受ける前にガウォークに変形し急上昇からの宙返りし背後を取るとバトロイド形態に変形しガンポッドの銃口を突きつけた。
「ラック・デ・カルチャー(馬鹿な)」
「エット・デ・ブラン・テルネスタ♪(大した敵ではない♪)」
零距離射撃で絵理はティムロを撃墜した。
撃たれたティムロは他の被弾機と共にリタイアゾーンへ退いていった。
撃墜して間もなく浮遊物を蹴ってバーニアを駆使し僅か数秒間でシグノーミュールと地球技術改修型のクァドラン・ローθを複数機撃墜した。
「何・・・・あの機体の動き・・・」
ラウラは目の前で大暴れをする独自のサソリマークを付けた絵理のVFー3000クルセイダーを見て驚いた。
頭部レーザーやガンポッドなどの多岐に渡る武装を駆使し複数のリガードやクァドラン・ローを難なく戦闘不能に追い込んでいた。
ログレン・ローやマグゼミグ・ラフなどの高性能機ですら簡単に戦闘不能にし、グラージの上に乗って零距離射撃で撃墜した。
「舐めるな!」
ラウラは模擬パルスレーザーを発射すると絵理は一瞬に消え、ガウォークで斜め横をまるで滑るかの進みながらガンポッドを放った。
絵理はラウラをただの海兵隊員だと思っており、確実に撃墜出来ると思っていた。
「くっ・・・・まだまだ!」
「やるわね・・・ただの海兵隊員と言うわけじゃないのか・・・クァドラン・ローしかも一般機中々の腕だ・・・面白い♪」
ラウラは絵理が消える直前、動きを追っていた。
追ってたと言ってもギリギリであり、一歩間違えば確実に負けていた。
予想以上の動きを見せるラウラに絵理は笑い、ガンポッドを投げつけた。
「くっあ・・・・武器を投げた!?」
「フェイクに引っ掛かったな!これならどうだ!」
武器を投げつけた絵理は後退翼下兵装ステーションから小型ガンポッドを2丁取り発砲した。
ラウラは近くの小惑星に降り立ち、踊るかのように絵理の攻撃を避けて見せた。
「踊るかのように避けるのか・・・・ますます興味深いな。」
「クァドラン・ローのような動き・・・あのVFと言う兵器に乗ってるパイロットは私と同じメルトランなの?」
今戦っているVFー3000に乗っているパイロットが絵理と知らないラウラはかつては同じクァドラン・ローパイロットだと見抜いた。
VFに乗っているとは言えクァドラン乗り特有の動きを見せれば簡単に分かる。
更に・・・・・
「パイロットはまさか・・・・モーア・カリダム・・・生きていたのか・・・・」
動きの癖を思い出したラウラはパイロットが絵理であると見抜いた。
確証はないが、絵理であればあの地獄のボドル基幹艦隊決戦を生き抜いていても不思議ではない。
「モーア、援護します!」
「ミアン・・・・必要ないわ。」
「?・・・・あっ・・・・なるほど・・・」
援護しようとするミアンに絵理は必要ないと言った。
絵理の言葉を聞いたミアンは首を傾げたが直ぐに言葉の意味を理解し納得してその場から離れた。
「モーアであればあの活躍は分かる・・・でも、ゼントラーディ軍の頃と違って強くなっている。」
ラウラは戸惑っていた。
ゼントラーディ軍時代と比べて強くなっている絵理の実力に・・・・・
今演習相手として戦っている絵理の実力はゼントラーディ軍時代と比べかなり上がっていた。
それに・・・
「私とモーアは腕前はそんなに変わらなかった。でも今のモーアは私よりも強くなっているし、私の知らない戦術を使っている。」
ラウラとほぼ同じ実力の差が無かった絵理が、今は自分より強くなっていて自分がまったく知らない戦術を使っている。
「これがマイクローンの兵器の力だと言うの?」
VFの実力を見たラウラはカルチャーショックを受けた。
何もかもがゼントラーディの常識とは桁違いだ。
カルチャーショックを受けたラウラの意識に変化が生じた。
出来るならマイクローンの兵器に乗り、マイクローンの戦術を取り入れたい。
先の大戦で同胞殺しの罪悪感で苦しんでいたラウラの心に光が灯る。
次回予告
突如、現れた星村絵理のバルキリーの動きはラウラを驚かせた!激しい戦闘の最中、ラウラの心の中にある望みが芽生え始める!
次回、マクロス外伝蒼い髪のメルトラン
【ヴァリアブル・インパクト】
新たな道,突き進め!ダイダロス!
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