東京都の豊洲市場への移転問題について、小池都知事が設置した東京都の市場問題プロジェクトチーム(以下、市場問題PT)が素案を示しました。素案では築地存続と豊洲移転の両論を併記しましたが、中身が杜撰だという非難が相次いでいます。
小池氏は豊洲市場移転に反対していた理由として、豊洲市場の安全性を問題に挙げていましたが、市場問題PTは豊洲市場の安全性には問題ないということを結果として示しています。
素案では、青果業者だけを豊洲へ移転させる選択肢を出しています。豊洲市場の安全性に問題があるのであれば、青果業者も豊洲へ移転させるべきでないと主張するべきです。それとも、水産物を扱うのには安全とは言えないけど、青果物を扱うなら安全だと言いたいのでしょうか。青果業者を豊洲市場へ移転するという案を出しているというのは、結果として豊洲市場は安全だと言っているようなものです。
おまけに、築地市場を存続させて豊洲を売却する場合、豊洲の用地を1,900億~4,300億円で売却できると素案では見込んでいます。豊洲市場が安全でないならば、売却額はもっと低くなるのではないでしょうか。この豊洲の用地売却額からも、市場問題PTは豊洲が安全だと言っているのと同じです。
この2点で、市場問題PTが豊洲市場は安全であり、豊洲への移転に問題はないということを示していることになります。豊洲市場への移転問題の本質的な話は、ここで終わってしまうのですが、これで終わってしまうと記事が短過ぎますので、もう少し市場問題PTの素案について突っ込みを入れてみます。
築地存続の場合と豊洲移転した場合を比較すると、豊洲の維持費が築地よりも年間で60億円高くなっています。
豊洲市場は現在の築地市場と異なり、衛生面を大幅に向上させて密閉型の施設になっています。築地市場を改修して豊洲と同等の衛生環境を整備すると、維持費は豊洲と同じくらいになるはずです。築地を改修しても豊洲よりも維持費がかなり低くなるということは、現在の築地市場のような衛生面で未整備な施設を想定していることが考えられます。改修をしても、開放型の不衛生な市場で耐震性にも不安を抱えるような建築をしようとしているのかもしれないですね。
また、築地市場を営業しながら建て替え工事をするのは困難だということで、豊洲へ全面的に移転をすることになったという経緯があります。市場問題PTの素案では、工事技術の進歩や市場業者の減少によって、改修工事は可能だとしています。
ちなみに、同等の施設を建築する場合は、同じ敷地内に営業をしながら建て替えするよりも、別の場所に新たに建築した方が、建築コストは低くなります。従って、豊洲市場と同等の設備を、築地で建て替えて作ると、建築費は豊洲よりも高くなることが予想されます。
市場問題PTの素案では、築地改修の後期は7年と見込んでいます。これは、環境影響評価(アセスメント)は必要ないという前提になっています。しかし、東京都の環境局からは、築地改修の際には環境影響評価が必要で、それを考慮すると工期は10年以上になるようです。
こういったことから市場問題PTは、豊洲移転問題を更に混乱させることになっています。
そして築地存続の場合に、小池氏は豊洲をチャイナのアリババに売却するのではという噂が出ています。小池氏やマスコミが豊洲は安全ではないと盛んに宣伝してきましたので、アリババが購入するとなれば当然安く買い叩かれる可能性があります。そんなことになったら、都民の多くの税金がアリババに流出することになります。
小池氏は政策ではなく政局が得意で、豊洲市場の問題も政局として利用してしまっています。こんなことばかりやっていると、前任の2人の都知事と同様に、任期を全うできなくなるかもしれません。そうならないためにも、さっさと政局はやめて、やるべきことに着手して欲しいですね。
米国のタイム誌は、世界で最も影響力のある100人で小池氏を唯一日本人として選びました。北朝鮮の金正恩氏やチャイナの習近平氏も選ばれていますので、影響力というのは必ずしも良いという意味ではなく悪い意味の方もあるということです。一体、小池氏はどちらの意味の影響力で選ばれたのでしょうかね。
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