バブル景気は、昭和6312月から平成32月までの51ヶ月間の好況期のことです。この時代は、日本は好景気に沸き、地価や株価などの資産価格が上昇し、地上げや財テクブームという現象が起こりました。

 

日本全国の土地の価格総額はバブル前の2.4倍まで上昇し、バブルのピーク時には日本全体の地価の合計が米国全体の4倍になり、日本の土地で米国が4つ買えると言われていました。

 

株価はバブル前の約3倍となり、日経平均株価の最高値は38,915円を記録しました。株価上昇によって財テクブームが起こり証券会社は大儲けをして、新入社員の夏のボーナスが100万円を超える証券会社もありました。

 

日本中が好景気に沸いており、さぞや物価もかなり上昇していたのではないかと思っていました。しかし、経済学者の高橋洋一氏の著書「戦後経済史は嘘ばかり」を読んで、バブル期の物価上昇はそれほど高くないことを知りました。

 

実際に調べてみると、バブル期の物価上昇率(コアコアCPI)は前年比2.52.6でした。バブルの時代は人手不足で賃金も上昇していましたし、株価や地価が高騰していたので、もっと物価が上昇していると思ったのですが、物価は比較的落ち着いていたということです。

 

下のグラフは日経平均株価とコアコアCPIのバブル期の推移ですが、株価が高騰しているのに対してコアコアCPIは落ち着いた水準にあるのが分かります。

 


バブル期株価と物価
資料出所:世界のネタ帳、「平成22年基準消費者物価指数」総務省

 

「戦後経済史は嘘ばかり」で高橋氏は、バブル期における日銀の金融政策の誤りを指摘しています。

 

バブル期は地価や株価などの資産が高騰していましたが、物価上昇率は2.5%くらいでしたので、物価は落ち着いていた状態でした。それなのに、金利を上げるという金融引き締め策を行い、物価を抑制するようなことを行ってしまいました。

 

下のグラフは、公定歩合(金利)とコアコアCPIの推移を表したものです。

 


バブル期公定歩合と物価
資料出所:日銀、「平成22年基準消費者物価指数」総務省

 

バブル景気の時は、物価が高騰していないにも関わらず公定歩合を引き上げてしまい、金融引き締めを行っています。

 

物価が安定しているときに金融引き締めをしてしまえば、景気を冷えこませてしまうことになってしまいます。バブルが崩壊して株価が急激に下がっているのもあり、バブルは一気に弾けて崩壊してしまいました。

 

バブル景気のときは、実際には資産バブルであり実態経済はそれほどバブルの状態にはなっていませんでした。従って、高騰していた地価や株価などを抑制する必要はありましたが、実態経済は過熱していなかったので金融引き締めを行う必要はありませんでした。

 

不良債権問題などもありましたが、このときの金融政策の失敗が、その後の日本経済を低迷させることになってしまいます。この時だけでなく、これ以降も日銀は過度に金融引き締め策を実施してしまい、日本経済を長らく苦しめることになります。
 


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