日本の英語力は世界の中でも弱いと言われており、TOEICテストの国別スコアでは、TOEICテストを年間500人以上受験した48カ国中で40位となっています。そして、アジアの中でも21カ国中15と低い順位となっています。

 

しかし、アジアの中で日本の英語力が低いのには幾つかの理由があります。下の表は、アジア各国のTOEICテスト国別平均スコアです。

 

アジア各国のTOEICテスト国別平均スコア
TOEIC国別スコア2
資料出所:TOEICテストWorldwideReport2013

 

表中の備考欄を見ていただくと、日本より上位の国には、かつて英国の植民地などで統治されていて公用語が英語であったり、官公庁で英語が使用されていたりというところが多いということに気付くと思います。

 

英国に統治されていた時代では、愚民化政策が施されていましたので、現地の人達は高等教育を受けることができませんでした。仮に高等教育が受けられたとしても、自民族の言語ではなく英語が使われていましたので、英国の統治から解放された現在でも、大学など高等教育機関では英語が使われていることが多いようです。

 

そもそも、そういった国を含めてアジアの多くの国では専門書が自国の言語に翻訳されていませんので、高等教育を学ぶためには英語を身に付ける必要があります。

 

その点、日本は世界中の専門書が日本語に翻訳されているため、英語が分からなくても高等教育が受けられ、専門的な研究も行うことができます。

 

 

また、上記の表に出てくるアジアの国というのは多くが途上国です。そういった国では、TOEICのようなテストを受けようとする人は、当然一部の高学歴の人に限定されます。つまり、TOEICを受けている人は、元々高等教育を受けるために英語が必要な人が多いということです。

 

それに対して日本は、学問上でも仕事上でも英語があまり必要ない人であっても、TOEICのようなテストを受けている人は多くいます。これと似たようなことは、アジアの中でも先進国に近い韓国や台湾にも当てはまることだと思います。

 

韓国や台湾は日本よりも平均スコアは高いですが、アジアの中で上位というわけではありません。韓国や台湾は日本に比べてスコアは少し高いですが、これは小学校から英語を学ばせるなど英語教育に力を入れていることが要因だと思います。

 

また、韓国人が英語教育に力を入れているのは、韓国社会に嫌気をさしたり韓国の未来に不安を抱いたりしている人が増え、移民願望が高まっていることも大きく影響しています。また、熾烈な国内の受験戦争や就職難を避けるため、義務教育期間でも英語圏に移る教育移住が増えているようです。

 

 

日本の英語力が世界の中で低いのは、やはり日本人の多くに英語が不必要だというのが一番の理由あると思います。そして、TOEICなどの国別平均スコアは、国全体の英語力を現しているのではないということも、見逃してはいけないような気がします。

 

英語力が高まれば、外国への情報発信力が高まることも確かなことだと思います。しかし、英語力の高さが国際的な競争力に比例する訳ではありませんし(詳しくは「英語力が弱いと国際競争力が低いのか?」 参照)、英語力を高めることで何を達成するのかを明確にすることが重要なのではないでしょうか。


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