皆さんも旅行などに行ったときは、周りの人に土産物を買うことがあると思います。この「土産物」にどうして「土」という字が使われているか知っているでしょうか?

 

「土産物」というのは、その土地の産物ということを示しています。「土」という言葉には、その土地のという意味があります。江戸時代の絵には「土人」という言葉が書かれたものがありますが、これは差別用語ではなく、その土地の人という意味です。

 

 

また、現在でも使われている言葉や言い回しには、江戸時代に生まれた言葉が数多くあるようです。ここでは、2つほど紹介します。

 

群馬県では「カカア天下とからっ風」とよく言われます。両方とも群馬県の名物です。カカア天下というのは養蚕と関係があります。養蚕は1960年代まで全国の農村で行われていました。その中でも上野国(現在の群馬県)は、特に盛んでした。養蚕はほぼ女性の仕事で、結構な現金収入になりました。そのため、女性の発言権が強くなり女性の権利意識も高かったので「カカア天下」と言われるようになったようです。

 

 

「くだらないもの」というと、取るに足らないものとか馬鹿馬鹿しいものという意味で使われます。これは江戸時代の物流状況から生まれた言葉です。江戸時代では大阪が日本一の商業都市で、多くの物が大阪に集積してから江戸や日本各地に物が運ばれました。そして、大阪から物が来るときは「大阪から下ってくる」と言いました。大阪から下ってこない江戸近郊で作られた物は陳腐な物だという意味があり、そこから「くだらないもの」という言葉が使われるようになりました。