THOUSAND WINDS -13ページ目

有栖川希美の回想

昔家に犬がいたらしい。
まだ小さかったから覚えていない。
知らぬ間にその犬はいなくなったらしい。
あれからペットは飼わなくなったとか。
超常現象研究クラブの部室に来ている。
日曜日と言うのに学校に来ている。
体育会系でもないのに、一体何やるつもりだろう。
頭にヘッドギアをつけられ、脳波測定をされる。
これもここじゃ日常茶飯事。
「やー毎度ご苦労さんでした、まあ日常的出来事ってわけ」
車折さんがいる。当クラブは大半が特別クラスの生徒で占めている。
普通科は僕とこいつだけのはずだ。
彼らが興味を示した人じゃないと、入部出来ないはずなんだが。
「ふーん、レベルB+か。キミ十分特別科Bクラスでやってけると思うんだがな。
ちなみに何か特技持ってる?」
部長の右京さんだ。こう見えても学園一の超能力者、特技は念力のはず。
「めんご、遅れた。ああシンシアまだなんじゃ。だったらまだ出来ませんね」
いきなり女性が目の前に現れた。彼女は副部長の北野さん、特技はテレポート。
あの部長、今から一体何やるんでしか?
「よく聞いてくれた。聞いて驚け、これより魔王を召喚する」
何だって!

家族八景

「実は私は女の子が欲しかったの」
いつもの日常、久しぶりに日曜の朝、家族みんなで集まって朝ごはん中。
「詳しい事は言えないけど、のぞみのオチンチンが駄目になった時、お父さんは天を見上げて『何て事だ!』て嘆いてたの」
「おい待て誰が嘆いてたって」
「私はこれって天の采配かなって、でね、どうせ全部切り取らなきゃならないって言われたから、
知り合いの性転換手術の名医の先生に頼んで、
体に無理のない範囲で女の子らしく整形していただいたの」
えらい迷惑な。どうせだったらまだ男の子らしく治してもらってよかったのに。
「まあ過去不幸があったが、お前もちゃんとこうして大きくなれたんだから、その先生に感謝せんと」
自分が知らぬ間に勝手に女の子に作り替えられてて、感謝なんか出来るか。
「お姉ちゃん、みそ汁さめちゃうよ。それと今日出かけるんでしょ」
我が愚弟よ、兄さんだこらだれが姉さんだ。お母さんだな、こんな洗脳したのは。
おおっ、確かにもう休日の部活の時間だ、行かなきゃ。
「のぞみぃ、お母さんこんなブラウス作ってみたんだけど、着てくれない?」
だぁ~、あんたが全部の悪の元凶だよほんと。
(何これ)

三者三様

「プハァ~、やっぱり風呂上がりのフルーツ牛乳は最高よね」
おっさんかあんたは。
腰にタオル巻いて仁王立ちして、腰に手をあてがっておいしそうに、
紙パックのフルーツ牛乳、ストローでちゅうちゅう飲むな!
あれはガラスのびんだからこそ美観に耐えるもんだ。
お邪魔虫の車折雅美、いきなり割り込んで来て、
これでもう僕が女風呂に入る変態だと言うのが、学校中に言いふらすに違いない。
「あら、言いふらすなんてそんな、ひどい事しないわよ。
でもノゾミちゃんてば、まんま女の子なんだから、戸籍の性別変えてさ、堂々と女になったらいいじゃん」
誰がノゾミちゃんだ、確かに最近やたらうるさく、親から言われるんだ、
お前はもう男としては生きられないのだから、
成人するまでに性認定受けて、
女になる決心しなさいと。
何て親だ。僕のこと、一人娘にしようなんて。
「じゃあ先出るわね。車折さん、希美君ごゆっくり」
え、そりゃないよ。つれないなあ大宮さん。

有栖川希美君の幸せ

「カポーン」
近所の銭湯、女湯のガラス戸を勢いよく開ける。
僕が女湯に入ってる事は、学校の男共には内緒だ。
どうせうらやましがられたり、こっそり防水デジカメで盗撮してくれとか、
何でお前だけがそんないい目にあうんだ、
男湯に入れ、などと
不当な罵声が飛び交うに違いない、うっ。
大宮ナミがいる。ここだけの秘密だが、裸の付き合いだ。
僕がここの風呂場の女湯に来てる事、唯一知る人。
こんな入り口近くのちっちゃな湯船につかって、
口をあんぐりしてこちらを凝視してる。
目の高さがそうだな、僕の腰のあたりか、さぞかしよく見える事だろう、この僕の特異点が。
一緒に風呂に行こう、みたいな自分でもバカなメールを送ってしまい、全然レスがなくて、
しょうがなく一人で来てみたらこうだ。
「え~っと、希美君、こんばんわ、偶然、よね?」
え~っ、それわないだろ、君メール見てないの。
まあいいやこんばんわ、ちなみにもう上がるの?
「み~っけ、特大スクープ、実の男が女湯に入って、恋人と裸の密会、なんてねハートブレイク
げっ、こいつ誰だっけ、そう、歩くメガホンの車折じゃねえか。
どうしよ~(T_T)
(何これ)

有栖川希美君の憂鬱

男友だちからエロ本なるものを借りてきた。
よく分からん。
これ見てむらむらして来たり、チ○ポが立ったり、チ○ポの先が濡れてきたり、
また何かするとチ○ポから何か出てきたりするらしい。
自分は男だけれども、悲しいかな今はチ○ポがないので、連中がどんなに感じてるか分からない。
別に珍しかない。自分も似たようなもの持ってるし、
銭湯じゃ女湯の方に入ってるから、いくらでも見慣れてる。
でもだ、まがりなりにも、曲がってるけどだ、
男としてはそのムラムラする気持ち、分かりたい気がするんだが。
あの同じクラスの大宮ナミ、だったか。
彼女の事を考えてると、何かドキドキするて言うか、
まあ裸の付き合いみたいなのもあったし、
風呂場で出くわしただけなんだが、
こう言っちゃなんだが
これって恋かもね、みたいな
つまりこれがむらむらってやつか。
体の方は全然反応しやがらないんだ、
あいにく「アンテナ」にあたるのがないから。
そだ、またメールしよう。
今日何時に風呂に行くって