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●今回の話手 加納さん(仮名)


ってかさ、お前、偉そうに人の話聞いて、糞の役にも立たない的外れな答えを上から目線で話すけどさ、なってないんだよ!

 

くだらねえことばかり言ってんじゃねえよ。俺が見本見してやるから、なんか相談してみ。

 

なんだよ!焦ってえな。なんでも良いんだよ!話してみ。

 

ほら、カマ〜ン! カマ〜ン! ウェ〜イッ!

 

えっ?俺が誰に似てるって?元モデルで酔い潰れた女?なんだよそりゃ。

 

分かった!お前その女が好きなんだろ?

 

え?違う?

 

まあ、いいよ。お前はその女が好きなんだよ。そういうことにしとけよ。そうだなぁ。その女は元モデルで今はスナックのママをしてるんだよ。で、お前はそこの常連なんだよ。

 

オッケー?

 

ママに惚れてるけど、お前は小心者だから「好きだ」って言えねえの。だから金もねえのに毎日通ってるんだろ?

 

そのママに危機が訪れたんだよ。コロナの影響で店を閉めなくちゃならなくなったのさ。

 

どうするんだよ、お前? 男を見せるなら、今だろ! 今じゃなくて、いつなんだよ! ママはハートブレイクなんだぜ!

 

ちょっと練習してみるか。俺をママだと思って、ちょっと口説いてみ。ん? ほら、ほら、ほら。

 

なんか面白くなってきたな。もうちょっと酒飲むか。お前、何が良い? 何でも良いって、何だよ!自己主張がねえな。

 

親爺さん! 生2つね!

 

ほら、来いよ。ほら、ほら、ほら。

 

俺の手を握って、「好きです」って言ってみ。

 

チッ!

 

何だよ! これっぽっちも臨場感がねえじゃねえか!そんなんだから、ブログにも大した記事が書けねえんだよ!

 

ほら、ちゃんと俺の手を握って。

 

何だよ、その細っこい腕は! 俺の半分くらいしかねえんじゃねえの! 俺が押さえ付けたら逃げられねえんじゃないの?

 

ハハッ! 嘘だよ! 何、怖がってんだよ。可愛いなぁ。大丈夫だから、手を握って。なっ。

 

ほら、顔を上げて、ちゃんと俺のこと見つめてごらん?

 

何だよ、何照れてるんだよ。

 

ほら、「好き」って言えよ。なあ、頼むよ。

 

もうちょっとこっち来いよ。ん? ほらよく顔を見せて。

 

なんか食べたいものあるか? 何でも頼んで良いぞ。お前は何が好きなんだ? 遠慮するな。

 

もっと良い店に行こうか? 俺が奢ってやる。ここも良いよ。俺が払う。

 

ん? どうした? 怖くないだろ。大丈夫だから。なあ。俺がお前を男にしてやるよ。だからこっちにおいで。

 

そうだ! 今度は逆バージョンで行くか!俺がお前の役で、お前がママ役をやるんだ。手本を見せてやるよ!

 

何だよ。嫌なの?

 

・・・ 

 

好きだよ。

 

こうやって抱きしめてストレートに言えば良いんだよ。

 

ほら、分かるだろ。俺がどんなにお前のことが好きか。俺の体、もうこんなになっちゃってるよ。こんなに熱くなってるんだよ。

 

俺の家に行こうか。なっ、怖くないから。ちゃんと優しくするから。良いだろ?

 

突然で吃驚したって、そんなことないだろ。俺はいつもお前にそういう素振りを見せてたはずだぞ。お前も分かってたんだろ。分かってて今日来たんだろ?

 

我慢できないくらい、好きだよ。

 

キス、しよっか。

 

おい!ちょっと待てよ!

 

行くな!ごめん!俺が早まった!

 


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