あの日の絆 -忘れない- | アスユメ_labo.通信

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前回の続きを

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こちらからどうぞ

あの日の絆 -憂い-

あの日の絆 -猛る(たける)-

あの日の絆 -想い-

あの日の絆 -翔る(かける)-

あの日の絆 -繋ぐ(つなぐ)-

 

 

仙台テックへ400人分の物資を

無事に届けるというミッションは

おっちゃんの車庫に戻ってきたよ

と言う連絡をもって終了した

 

わずか3日の出来事が

何週間も何か月もの時間に感じたのは

私のみではなく

このプロジェクトに関わった

すべての人がそう感じたことだろう

 

最大の功労者は

もちろんおっちゃん

まさに命を懸けて

被災地に飛び込んで行った勇気は

決して忘れてはならない

 

そして

協力を惜しまなかった

全ての関係者に感謝を送った

 

これですべては終わり

 

 

ではなかった。

 

想像以上に

壊滅的ダメージを被った仙台テックへ

更なる追加の救援物資を走らせることが

私のいないところで決定されていた

 

そして

引き続き指揮を執るようミッションが下った

 

結局

3回に渡り4t車4台分の救援物資を送り込んだ

2回目以降は、もう何の問題もなく届けられた。

 

それからしばらくは

あまりの脱力感に

抜け殻のように過ごしてしまったせいか

全く覚えていない

 

 

数週間か経ったある日

知らない番号から電話が入った

 

間違い電話かと思い取ってみる

 

「もしもし?岡安さん?」

 

「はい。そうですけど。。」


「中村と言います。仙台の。」

 

「どうもお世話様です。。」


まったく思い出せない。なんか約束してたかな?

急いで手元の手帳をめくり、用件を思い出す

 

「岡安さんでしょ。これから会いたいんだ。

15分ぐらいでそちらの事務所に行けるけど、

時間もらえますか?」

 

「え、ええ。ちょうど空いてますので

大丈夫ですけど・・

ごめんなさい。何かお約束してましたでしょうか。

ちょっと手元にメモが無くて

思い出せないのですが・・」

 

「そうじゃないよ。

仙台で救援物資を受け取った者です。

直接お会いしてお礼がしたいので、

会っていただけますか?」

 

「いや。お礼されるも何も・・」


「では到着したらもう一度電話します!」

 

びっくりしながらも

とりあえず身支度を整える

上司か社長か?確認するが両方とも不在

アポなしだからしょうがないか・・

 

会議室を抑え

玄関で待ち構えることにした。

 

目の前に現れたのは

見上げるような大男でかなり年配の方。


岡安さんだね。

確認されるといきなり抱きしめられた。

 

「君が岡安くんか。

こんな小柄で若い青年だとは思わなかった。

本当にありがとう。

届けられた備蓄品はすぐにみんなで分け合ったんだ

特にあの乾パンがうまくてな。

これで生き延びられると思った。

何とかなると思った。本当にうれしかった。

君の名前は有名になってるよ。

本社が救援物資は出せないと断ったのに、

その翌日に子会社の君たちがいきなり届けたんだ。

しかも400人分だぞ。

トラック満載の備蓄品を見た時は

さすがに目を疑った。

あり得ない、本当に夢ではないかと思った。

みんなと抱き合って喜んだ。

あの時の感動と感謝を伝えたくてきた。

みんなにも頼まれた。

岡安さんにありがとうと伝えてくれと・・」

 

中村さんとどれぐらいお話ししただろう。

中村さんの思いを心から受け止めた


自分が関わったミッションが

これほど多くの人々の喜びを作り出せたのか

これほど多くの人々に希望を与えられたのか

 

何度も心折れそうになりながら

つらい思いをしながら

それでも

あきらめず、そしてかたくなに

自分を信じてやってきたことが

間違いではなかったことが

今やっと理解できた

 

 

さらに数日後。

 

社長室に呼ばれる

 

「今回の件はご苦労さんだった。

先ほど高輪から連絡が入った

今回の件について、高輪本社が

君に感謝状を贈りたいので

〇〇日に来てほしいと言っている。行ってこい!」

 

いや、それは違う


「ちょっと待ってください!

それは話しが違う。

今回は個人でやったわけではなく

会社としてミッションとしてやったことで

会社として表彰を受けるべきで

個人で受けるべきではないと思います!

それに最大の功労者が表彰されるべきで、

それは私ではない。

命を懸けて現地に飛んだ〇〇会社の

〇〇さん(おっちゃん)であるべきです!」

 

「わかった。わかった。

お前がそう言うならそう伝えてみるよ」

 

結局、私のワガママが通ることになった。

高輪からの表彰は2つ。

うちの会社に対してともちろん〇〇会社。


もちろん授与するのは

おっちゃんと岡安

 

表彰の様子は

全国の支店にも同時中継で

生配信されることになった

おまけに広報まで入ることになったので

社内報にも特集が組まれ

なぜか私の名前が全国区に広がる羽目になった

 

巻き込まれて有名になってしまったおっちゃんも

にやけ顔が止まらない

 

「今日のためにスーツ買いなおしたんだぞ!

高かったんだからな。請求書、おまえに回すからな!」

 

「いいよ。その分ご馳走してもらうからね!

銀座の高級なお寿司がいいな!」

 

「ばかやろう!こんな時期に贅沢できるかい!」


「じゃあ、いつもの家系ラーメン食いに行こう!」

 

「それがいいなぁ!この後行くか!」


「着替えてからね。

せっかくのスーツ汚れちゃうから(笑)」




あれから10年

 

おっちゃんは

あの後も

しばらく現役を続けていたらしいのだが

さすがに引退したと聞いている

何度か電話してみたが

残念ながら携帯はつながらなかった

それっきり・・

 

でもきっとまた


「じゃまだ!とろとろ歩いてんじゃねーよ!」


って後ろから怒鳴られることを

こころのどこかで待ち望んでいる

 

そして本当に困ったとき

またカッコつけながら

でもニヤニヤしながら

ちゃんと助けてくれるんだろうな

そう考えることにした

 

あの日の絆

 

今も忘れない・・・

 

 

 

追伸


本社は今回の救援物資につき、

多賀城市より表彰を受けた

仙台テックの体育館は

市の緊急避難場所に指定され

会社関係者のみではなく

地元の被災した市民の皆様にも開放された

届けられた物資も本社ファミリーだけではなく

地元多賀城市の市民の皆様にも

大きな貢献を果たしたのである

 

 

Written by Kaz Okayasu

 

 



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