あの日の絆 -想い- | アスユメ_labo.通信

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こんにちは

ご訪問いただきありがとうございます。

 

前回の続きまだご覧になっていない方は

こちらからどうぞ

あの日の絆 -憂い-

あの日の絆 -猛る(たける)-

 

 

ハイエースを走らせ高輪に到着

入り口には大柄な男たちが10人ほどたたずんでいる

通行人も何かあるのかと

いぶかしげな視線を送っている

 

その中のガタイの良すぎるリーダーが

おもむろにハイエースの扉を開ける

 

「岡安さん聞いたよ。人数はこれで足りるかな。

10人いる。

みんな知ってる顔だろ。今日は精鋭そろえたぜ。

さあ早く降りて段取りを説明してくれ」

 

「ちょっと待って。

高輪総務に連絡を一発入れるから

みんな集めてくれる?」


「わかった。みんな来てくれ!」

 

間髪入れず総務に電話。

 

「岡安です。メンバー到着しました。

これから車両入れ込みますので

出荷スタンバイをお願いします。」

 

「早いな。ありがとう。

すぐうちの社員向かわせるから。私もすぐに降りる。始めててくれ」

 

「わかりました。順次始めますよ」

 

振り返ると大男たちに周囲を囲まれて

ほぼ身動きができない。


隙間からのぞくと遠巻きから

うちの応援社員がこちらを見ている。


こっち来て!とうちのメンバーに声をかけるうちに、

高輪の応援部隊も集まってきた。

 

あれ?総勢30人ぐらいはいるんじゃない?

ちょっと多すぎじゃん。。


狭い駐車場は男たちの熱気であふれかえり

ちょっと息苦しい。


群衆の鋭い眼光は

大男達に埋もれている僕の小さな体に

向けられていた。

 

さすがにこの状況に興奮してきた。感情が高ぶる。

今日は高輪の応援もいるので

一応失礼のないように


感情を抑えて声を絞り出す

 

「今日は急な応援ですいません。

みなさんのご協力に感謝します。

これから備蓄倉庫からバケツリレーで

備蓄品を引っ張り出し

トラックに積み込みます

トラック側は、〇〇会社さん!

手前をうちの社員!

倉庫からのバラシを高輪応援の皆さんで

お願いします!

決して無理はしないでください。

ゆっくりで大丈夫です。

一つも落として破損させないように

それだけお願いします。

ではみなさんくれぐれもケガの無いように!」

 

「みんな気合い入れろ!

俺たちの底力見せつけてやるぞ!おー!」

リーダーがすかさず

あおりを入れやがった。

 

つられて、みんないくぞーっ!って・・

社員までいっしょにコブシ振り上げちゃってるよ。


やっぱりそういうノリになっちゃうのね。

まぁいいでしょう。

 

〇〇会社はすぐ整列してスタンバイ。

さすがに慣れている。


やはり不慣れな社員たちは右往左往。

 

すぐ飛んで行く

社員の体格を見ながら

あなたはこっち、あなたはこっち、

あなたはここに入って!

 

右往左往する社員を振り分けながら

ポジションを決めていく。

 

みんな並べて、

バケツリレー(腕振り)のやり方を教えて

荷物なしで練習。


うまくできないところとか

近すぎるところなどを調整して、再度練習。

掛け声も重要なので、声出しも。

 

うまくできるようになった頃合いを見て

荷物を流し出す。

だんだんリズムがあってくる。

 

なんだかみんな緊張が解けて楽しそうだ。

徐々にスムーズに荷物が積み込まれる。

とても即席チームには見えない

 

総務部長がもう一人の男性を連れて降りてきた

「やってるねー。いいねー。」

 

「いいねーじゃないですよ。

忙しいんだから、腕組んで感心してないで、

そこの人と一緒にここに入ってください!」

 

「わかった。ここか。よし。そーれ。そーれ!」

 

いつもなら1時間以上かかる量だが

わずか15分ぐらいで積み込みは完了した。

 

「みなさん!ありがとう。

用意した400人分きっちり積み終わりました。

この荷物は、この後平和島で積み変え、

すぐに仙台に向けて出発します。

時間は読めませんが、

明日中にはこの荷物は、

仙台のファミリーに届けられます。

みなさんの想いも

荷物と一緒に届けさせていただきます!」

 

どこからともなく拍手が鳴り響く。

いつの間にか駐車場中に響き渡っている。

ぜんぜん鳴りやまない。

みんな目を真っ赤にして、

手を真っ赤にしてたたき続けていた
 

拍手の中

派手にクラクションを響かせて車両は出発した

おいおい。それは、やりすぎ・・・

 

ハイエースに向かおうとすると

総務部長が呼び止める。

 

「フロアでコーヒー飲んでけよ。」

「いや。まだ平和島が残ってるので行きますよ。」

振り切ろうと思ったけど

 

「ではちょっと顔出しだけ。すぐ失礼しますから。」

一緒にフロアへ向かう。

 

部長の席の近くかと思ったら

社長室の前で止まった。

 

「社長から君にぜひ挨拶をしたい

と言うことなので。」

 

「いや。今日は作業着だからまた改めますよ。

この汚れた格好では失礼すぎますよ。。」

 

「大丈夫だから!」

気が重かったが、そのまま社長室をノックした。

 

「岡安と申します。ご挨拶だけですが!」

ドアを開けると、社長がシャツを着替えていた。

 

あれ?あれ?あれ?

そう。

さっき部長と一緒に腕組んで眺めていたのは

ここの社長だったのだ。

 

さすがにこれだけ大きな会社の社長に

直接お目にかかったこともなく

写真しか見たことなかったので

まったく気が付かなかった。

 

あの時失礼なこと言わなかったかな・・

記憶をたどるも興奮していたので

全く覚えていない・・・

やばい。とりあえず謝っておこう・・・

 

「きみが岡安くんか。今回はありがとう!」

いきなり強くハグされた。

 

「いや、あの僕は何も・・」

 

「君が孤軍奮闘してくれたことは聞いている。

君んとこの社長にもさっきお礼を言ったところだ。

うちのワガママで大変だったんだろう。

本当にありがとう!」

 

野太い声が胸から伝わってくる

 

「いえ。社長!まだこれからです。

仙台に物資を届け

トラックが無事帰還するまでがミッションなので、

まだ気を許す訳にはいかないんです。


それに一番大変なのは僕ではなく、

命を懸けて物資を運ぶ〇〇さん(おっちゃ)です。

〇〇さんが無事帰ってきたら、

ぜひ会って直接お話しをして

いただけないでしょうか?」

 

強くハグされたまま応えた。

 

「わかった。そうだな。まだだったな。

これからが本番だったな」


ゆっくり体を離すと、今度は強く腕を握られ

 

「頼んだぞ。頼んだぞ。仙台を助けてくれ。

何としても成功させてくれ!」

 

「もちろんです。

社長のお言葉も添えて間違いなくお届けします。」

 

「それでは。」

 

社長室を後に駐車場へ戻る。

社長怒ってなくてよかったぁ。

うちの社長に伝わったら

また大目玉だったな(笑)

 

ニヤニヤしながら車に乗り込み

エンジンをかける


総務部長が遠くから走ってくる。


あれ何か忘れたかな?


「おかやすー。あとこれ持ってってくれ!

届けてほしい。追加だけどな!」

 

垂れ幕だ

真っ赤な文字で大きく

 

「がんばれ!東北支店!!

高輪社員一同」

 

「荷物の一番最後に目立つよう貼ってくれ。

俺たちみんなの想いだ!」

 

黙ってうなづく

「では部長!行ってきます!」

 

遠く見えなくなるまで、

おとな気なく大きく手を振る高輪の社員たち


真ん中でずっと頭を下げ続ける部長が小さく見えた

 

俺たちみんなの想い!・・か

 


続きは次回・・

 

Written by Kaz Okayasu

 


 

 



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