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いったい
どれほどの人が
この日が来るのを待ち望んでいただろう

いったい
どれほどの人が
彼女のがんばりに勇気づけられただろう

もちろん
まだ夢の途中

自分を信じること

きっと夢は実現する


東京アクアティクスセンターで行われた
競泳の日本選手権

女子100Mバタフライ決勝
序盤は慎重に確実に先頭についていく展開
折り返し後半

池江の得意とする長いストローク
グングン加速する
ラストスパート
圧巻の泳ぎ

電子掲示板に映し出される
57秒77

あまりの衝撃に涙が止まらない
あふれる涙に目を覆い
プールから上がってこれない

カメラは池江を追い続ける

今までのつらかったことが
あの一瞬ですごく思い出された
ここまで戻ってこられたんだ


決して楽な道のりではなかったはず
泳ぐことをあきらめなければならなかった

あの日
生きている事だけに感謝をしなければならなかった

あの日

まさか、100で優勝できると思ってなかった
5年前のオリンピック選考会よりも

ずっと自信もなかった
自分が勝てるのは、ずっと先のことだと思ってた

勝つための練習もしっかりやってきた
最後は『ただいま』っていう気持ちで

スタート台に立った

自分がすごくつらくてしんどくても
努力は必ず報われるんだ
そう思った


つらく長かった道のり

この100Mバタフライは
一番戻ってくるのに時間がかかると思ってた

優勝は狙っていなかった
何番でもいい
ここにいることに幸せを感じよう

そう言うふうに思ってた

仲間達が全力で送り出してくれた

今とても幸せなの


まだ20歳の女の子には
過酷としか言えない運命

それでも必死に這い上がってきた

1年前

プールに戻った時点での体重は15キロ減

それでも

泳ぐことができる喜びを感じながら
一生懸命に泳いでいた

泳ぐ楽しさを噛みしめながら
はしゃぎながら

笑顔で

あれからわずか1年
レースの舞台に戻ってこれることなど
誰も想像していなかった

池江は帰ってきた

「ただいま」

スタート台に優しく語りかける

消えかけていた灯
再び熱く激しく
燃え上がる

いったい
どれほどの人が
この日が来るのを待ち望んでいただろう

いったい
どれほどの人が
彼女のがんばりに勇気づけられただろう

もちろん
まだ夢の途中

自分を信じること

きっと夢は実現する
 

 

Written by Kaz Okayasu

 

 



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