王道日本:佐野雄二 -5ページ目

普天間・海兵隊基地を海外へ!

 維新の会・橋下氏の従軍慰安婦問題は、「9対1」ぐらいの完敗で終わりそうだが、彼の発言で致命的だったのは、「米軍はもっと沖縄の風俗を使ったら良い」と言った点である。

この発言は米軍の宗教的規制を知らないだけでなく、沖縄基地の固定化を前提とするものである。

 うち宗教的規制とは長くなるので、拙著『聖書は日本神話の続きだった!』を読んでいただきたい。


もう一つの問題として、普天間基地の海兵隊は、別名「敵前殴り込み部隊」といわれているように、荒くれ者が揃う。だから近くの嘉手納・空軍基地への統合論が出ると、こちらは紳士が多いから統合を嫌がるという構図がある。橋下発言は、その荒くれ者部隊を沖縄に固定化し、その欲求不満は沖縄の風俗で解消せよと言ったに等しい。


だから沖縄人のことを考えるなら「普天間基地は撤去を!」というのが正しい。


ここで問題は、先の民主党・鳩山氏の失敗である。彼の失敗は、その目的を達成するのに何の戦略も持たず、米軍での位置づけを把握せず、官僚の反発を考慮しなかったため、最後は「海兵隊の抑止力に配慮が足りなかった」という発言で終わった。


私はその後、色々と調べてみたのだが、もし鳩山氏が「普天間の移転先を岩国基地へ」と言っていたら、米軍も受け入れていた可能性が高い。なぜなら岩国基地には海兵隊の固定翼機部隊があり、普天間基地の海兵隊ヘリ部隊とは「一体運用」の関係にある。つまり同じ海兵隊同士だから岩国基地に統合すると言えば、反対できなかったはずである。岩国基地は民間機も使うほどだから余裕はある。


しかし、この論理はオスプレイの配備で大きく変わった。ご存じのようにオスプレイは全国6ルートで低空飛行の訓練をする。この訓練は、海兵隊ヘリ部隊を日本に置いておく限り、無くならないのである。


だから現在においては、「普天間基地は海外へ!」という目標が沖縄県民にとっても日本国民にとっても正しい選択となる。


「そんなことをすれば抑止力が減る」と考える必要はまったく無い。沖縄嘉手納基地には極東最大の空軍基地があり、別に世界最強の海軍・第7艦隊がある。海兵隊・ヘリ部隊が日本に常駐しなくとも、抑止力には何の影響もないのである。


もう一つ、鳩山氏の主張に対し、大手マスコミが皆、反対に回っただけでなく、官僚達が鳩山案をつぶそうとした。この理由は、米軍の将校と日本の外務省・経産省・財務省・国交省などの官僚が、毎月2回、通算1,000回以上(50年以上)も「日米合同委員会」で定期会合を持っている。

これでは官僚達は、ポッと出の政治家よりは米軍そしてアメリカの言うことを聞く構図になっていると言わざるを得ない。


この流れが官僚世界におけるTPPの推進力にもなっている。困ったものであるが、我々自身、こうした構図をしっかりと把握しておく必要がある。


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クマラ報告に抗議して、国連分担金の半減を!

引きつづき従軍慰安婦の問題についてであるが、秦郁彦氏の『慰安婦と戦場の性』(新潮社)を読んでいて、看過できないことが書いてある。


従軍慰安婦については、96年、国連・人権委員会においてクマラスワミ報告書が採択され、日本政府の責任を認定し、「性奴隷とされた被害者に補償金を支払うこと。公開の書面による謝罪をする。教育の場でこの問題の理解を深める」などの勧告が為されている。

国連が慰安婦問題を取り上げることにつき、日本政府も最初は「国連創設前の事件を取り上げる権限はないはず」、「日韓条約で解決済み」、「類似の慰安所制度は第2次大戦期のドイツ、イタリア、イギリス、ソ連などにも存在したのに、日本だけ事後法で処罰するのは公平を欠く」などの抗弁はしたようである。

しかし、「自社さ」の村山政権だったこともあり、その抗弁書を取り下げ、日本はすでに謝罪しているという弁解文書に差し替えてしまった。

クマラ女子が日本人の秦郁彦氏と面談した際、秦氏は、

◎慰安婦の強制連行についての日本側で唯一の証人とされる吉田清治の話はウソであることがハッキリしている 

◎強制連行されたという証言で、本人の話を裏付ける証人が1例もない  ◎慰安婦との雇用契約は日本軍との間ではなく、業者(慰安所の経営者)との間で結ばれていた。そのことは戦後に米軍情報部が作成した報告書で分かる、として同書のコピーを渡している。

 それをクマラ女子は、「秦郁彦博士は、大多数の慰安婦は日本陸軍と契約を交わしていた、・・・と信じている」と正反対に書き直している。 


 また、ウソを言った吉田の証言を引用し、人数も工場労働者として動員した女子挺身隊の20万人以上とし、最後は「河野談話」を引用して、日本軍による強制があったことにしている。

先にも述べた通り、従軍慰安婦は「兵士の暴力的事件が複数発生したので一般婦女子の安全と人権を守るため、民間業者に委託して娼婦を募集した」ものである。当時から娼婦制度があり、平時には警察が指導していたが、戦時において軍が管理・指導しただけである。

よく「自分の娘が慰安婦にされたらどう思うか」という批判があるが、同情したとしても、そうした批判は娘を身売りした親に言うべきであろう。

 

 さて、問題は今後の対応である。日本は国連分担金をアメリカに次いで負担している。2010-12年の分担率は12.53%で、アメリカの22%に次ぎ、イギリス(6.6%)、フランス(6.12%)、中国(3.189%)などの常任理事国よりズッと多い。最高時の00年には20.57%も納めていた。

 国連は第2次大戦の勝利国が常任理事国を務め、敗戦国の日本とドイツが分担金を多く負担するという構図が続いてきた。これを半減させるために「クマラ報告書に抗議する」という形にするのである。

 「日本政府として当時は争わなかったではないか」という批判に対しては、「その後に調査したら、事実と違う様々な問題が明らかになった」と抗弁する。


国内外で大きな議論になるだろうが、秦氏の説明を正反対に書いていること、吉田証言を裏付けとしていること、慰安所で働く女子につき軍の強制性は確認されていないし、国連創設前の事案を国連がさばくのはおかしい、女子挺身隊を従軍慰安婦としているなどの誤りが多すぎる。これでは日本を陥れるために悪意があったと言わざるを得ない。

「日本だけが性奴隷を行なっていた」という汚名を晴らすことと、これを機会に国連分担金の不公平を正す必要がある。


この対応は常任理事国を放棄することになるが、「将来、常任理事国になったら、その時は分担金を増やす」と言っておけば良いのである。そもそも常任理事国など、中国が反対するから、なれるはずがない。だからならなくて良いのである。

 

対米従属で腰砕けの安倍内閣には無理であろうが、あまりにも不当な扱いゆえ、将来的にはそうすべきと考える。

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維新・橋下氏へのアドバイス

日本維新の会・共同代表の橋下徹氏が「従軍慰安婦は必要だった」とか「沖縄の風俗を利用すれば良いのに」と述べたことに、アメリカまでが不快感を示した。国内においても、すべての女性を敵に回してしまった感があるが、前提たる事実関係については大筋は間違っていない。アメリカが不快感を示してもなお、「光栄だ」と言って反論する橋下氏の勇気に、私なりのアドバイスを送らせていただく。

 

慰安婦問題を語る時、一番大きなポイントは、日本軍がそれを利用したのは、南京攻略の際、日本軍が南京の婦女子を暴行したり、凌辱したという事件が複数件、起こったからである。それらは軍法会議で処罰されているが、日清・日露の戦争時には起こらず、規律の正しさに世界から驚嘆の声が上がっていた日本軍としては、初めての体験だった。

 

事態を憂慮した日本軍は、一般婦女子の安全と人権、並びに日本軍の名誉を守るために慰安所の設置を決め、その募集を主に韓国の民間業者に委託した。つまり一般婦女子の安全を守るために娼婦希望者を募集したので、そこに強制性はないし、かえって一般女性の人権保護の視点がある。

 GHQが日本に来て「慰安所をつくれ」と言ってきた時も、日本は「一般婦女子の安全と人権を守るため」として、対応している。


 こういっても「一般女性を守るために特定女性を分断する差別の構図がある」という論者がいるので難しいが、現代はともかく、娼婦希望者にも職業選択の自由があった(韓国業者によるだましは別である)ことと、「一般女性の安全を守ること」が主目的だったことは主張しておいた方が良いと考える。

実をいうと、この問題には韓国のねつ造がからむ。朝鮮戦争やベトナム戦争では有償の慰安婦だったが日本軍は無償だったとか、工場労働者として動員された女子挺身隊20万人が実は慰安婦だったとか、事実とまったく異なる話を国際ユダヤ人グループやアメリカ議会に持ち込んでいる。

アメリカのマイク・ホンダ議員など、反日運動を繰り返す中国系の団体から多額の政治献金を受け、反日活動の代弁者となっている。そうしたねつ造(誤解?)を前提とした反日活動がからんでいるので、問題は複雑である。

歴史問題で日本を押さえつけておけば、様々な交渉を有利に進められるという政治的意図があるので、特に韓国とは別に改めて議論するべきである。

 その他、橋下氏の「先の大戦は負けたのだから侵略戦争だったと認めるべき」という論理も全くおかしい。負けたから戦争の加害者・侵略者、勝ったから侵略の被害者というレッテル貼りは、東京裁判史観そのものである。


すでに述べたが、日本人自身が、先の大戦に至る経緯や必然性、誤りを正しく捉えていない。自らの善悪を含めて、日本人の手で歴史を総括するという分岐点に来ていると考える。

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安全保障観に欠陥をもつ自民党・安倍政権

安倍政権の暴走・迷走ぶりが止まらない。問題意識は分かるのだが、大局観の無さ、ツメの甘さ、暴走ぶりがアチコチに目立つ。

たしかに参院選では対抗勢力がいないために勝つだろうが、「おごる平氏は久しからず」で、方向転換できないのであれば、極めて問題である。


 その筆頭が、やはりTPPである。安倍氏やその賛同者は、TPPを「対中国のため」という。この論理は、あまりにも皮相浅薄である。「日本人をだますのはチョロイ」と、米日の多国籍企業の関係者は思っているだろう。


なぜなら、対中国のためには日米安全保障条約がある。これは軍事同盟であるが、すべての面で信頼関係を持てなければ維持することはできないものである。特に日本には全国85ヶ所にも米軍専用基地を置いているからなおさらである。「対中国」のためには、日米安保を維持しておけば充分なのである。



 TPPに入れば、食糧輸入が増え、カロリーベースの自給率は20%を切ると言われている。それを踏まえ、安倍氏は「農業を強化し、輸出して農業者所得を倍増する」と言っている。農業を新自由主義の国際競争にさらそうというわけだが、この政策は「食の安全保障」をまったく放棄している。


 最近、週刊誌が中国産の食糧問題を扱っている。ネズミやキツネ、犬の肉を鶏肉だと偽ったり、下水の水で洗浄したりと、恐ろしい国である。直ちに検査強化、あるいは輸入禁止の方向に動くべきなのに、安倍政権の動きはまったくない。


そこまでは行かないが、米国産の食糧にも問題は多い。元農相の山田正彦氏が数年前にアメリカの大規模食肉処理場を視察したら、極めて不衛生で、明らかな「へたり牛」がベルトコンベアに何頭か並んでいたという。「へたり牛」とは狂牛病(BSE)感染が疑われる牛である。


日本に、ここ2030年ほど、痴呆老人が増えているが、その原因の何割かはBSE感染ではないかと思われる。BSEに感染すると脳がスカスカになるが、痴呆老人もそうなのである。このことにつき、政府は調査してほしい。


また、アメリカでは肉牛を育てるために、成長ホルモン剤を使うことが許されている。この成長ホルモンとは、女性ホルモンで、牛の成長が早くなり、太るため、生産者の収入が増える。

しかし、問題なのは、発ガン性を持つことと、食べた人間も太りやすいことだ。それだけでなく、女性ホルモン入りの肉を食べ続けると男も女性化するのではないかと思われる。日本に草食男子が増えているが、その原因の一端は、米国産の肉を食べ続けた結果かも知れない。


また、遺伝子組み換え食物が増えているが、これはアレルギー誘発や発ガン性、生命短縮などの害をもつ。最近日本で増えている「アレルギー・ショック死」は、遺伝子組み換え作物が原因と思われるほどである。

その他、発ガン性のある防虫剤、防カビ剤、違反農薬の使用など、中国産・米国産を筆頭に外国産の食材には山のように問題がある。


TPPに入れば、相手国の検査尊重となり、食の安全保障が犯される。日本人が内部から病気化、衰弱していくのが、TPPなのである。


安倍内閣は、軍事だけが安全保障だと思い込み、食の安全や医療、金融など、総合的な安全保障観がまったく欠けている。「商売至上、経済至上主義」の新自由主義の欠点で、「おごる安倍政権は久しからず」と言わざるを得ない。



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様々な外交問題をどう捉えるか

中国による尖閣諸島の領有権主張や安倍内閣閣僚の靖国神社参拝に端を発して、安倍内閣の外交路線が様々に問題視され出している。


それを整理しておくと、中国は日本とアメリカの間にクサビを打とうと様々な行動をする。さらには日本を歴史問題で孤立させようと、韓国やロシア、アフリカ諸国に共闘を呼びかけている。


また韓国は、これまでライバル視していた日本の頭を押さえつけるのにちょうど良い機会であると、中国、アメリカの間を取り持ち、「日本外し」にかかっている。


一方、アメリカは比較的冷静であるが、日本が憲法を改正し、軍備を強化すれば、米軍の駐留は継続出来なくなるかも知れない。日本に今後も米軍を駐留させ、思いやり予算を出させるには現行憲法のまゝが良いと考えている。


さらには中国などの脅威のあった方が、「対中国のためだ」といってTPPに入らせることができる。TPPに入れてしまえば食糧の対米依存をさらに増すことができるから、その面からも日本を思い通りにできる。

そうした各国の利害、思惑が重なって、日本は孤立化の状態である。

この状況を切り拓こうとする時、アメリカが「審判」の位置にいることに注意しなければならない。それは中国にしろ韓国にしろ、日本の歴史認識などへの批判につき、必ずアメリカの同意を得ようとすることでも分かる。

そういう意味でアメリカは審判の位置にいるのだが、やっかいなのは、そのアメリカが、先の大戦で「日本は侵略戦争をした」と規定して、自虐史観を植え付けたことである。今においても日本が自虐史観をもって現行憲法を守る方が、アメリカにとっても都合が良いというプレーヤーとしての側面も持っている。

外交は政治の世界における最高難度のゲームであるが、どんなゲームでも審判を敵に回しては勝てない。だから絶えず審判の特徴や傾向には注意を払わなければならないが、その審判は決して中立・公正ではなく、日本はたえずアウエーで戦いをせざるを得ないという宿命を負っている。

しかし、周囲に配慮しながらも、あきらめずに抗議はしていくべきである。その前提として、はっきり言っておくが、日本は「不征」の国である。不征の国とは、その国を意味なく攻めたら、その国は大きな打撃を受けるというものである。


かって日本を襲った元寇が、2度とも神風にあって敗退し、その後、元は滅亡したことなどはその典型である。

今回、中国が尖閣諸島で日本イジメをしながら、その後においてPM2.5や食肉偽装、あるいは所得格差への不満など、国内問題が次々に起きていることもその好例である。


だから日本人はもっと自信を持って良い。無用な孤立化や対立は避けねばならないが、戦略をキチンと持って、周囲に配慮しながらも言うべきことは言うという姿勢を絶えず持ち続けることが、外交では必要である。

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憲法改正について

3日は憲法記念日であったため、新聞紙上では憲法論議が盛んで

あった。特に安倍政権は参議院選で勝利すれば、改憲に必要な

議員数を衆参各院の3分の2から過半数にゆるめることを

明言している。ために改憲は必然であることから、

各党とも参院選の争点にしようと躍起である。

反対論の中で「憲法は権力を縛るもの。国民を縛るものではない」

という主張がある。この主張が奇異なのは、現行憲法は占領下で、GHQが9日間でつくった草案をもとに、多少の修正をして制定された。だから「権力を縛るもの」というのは、占領軍が日本国政府をしばる

ために改正要件を厳しくした、それを守ろうと言っているに等しい。 自主性の無さもはなはだしいのである。

私見を述べれば、憲法改正の前提として、どの規定をどう

改訂するか、各党は明示すべきである。その上で、押しつけ憲法

はなく自主憲法を制定するために、一度、改正要件を緩和するのは

良いと考える。今のままでは、各院の3分の2をクリア後も

国民投票で過半数という要件があり、ほぼ永久に改正不可能である。

反対論の中で根強いのは、改正要件を緩和すれば、9条改正は

もちろん、集団的自衛権行使の名目で、アメリカが遂行する戦争

すべて協力させられるという不安感だろう。たしかにベトナム戦争

にしろイラク戦争にしろ、正義のない覇権目的の戦争が多かった

ことは事実で、集団的自衛権も専守防衛の範囲に限ると

限定すべきだろう。

もう一つ、反対論で考慮すべきは、仮に押しつけ憲法であっても

戦前の天皇絶対制や国民総動員体制から解放され、民主主義が

定着したのは、アメリカのお蔭であるという認識である。

これは確かにその通りで、明治期の維新政府は、西洋に追いつき

追い越すために、天皇制を利用して中央集権国家を築いた。

だから元々、近代化と絶対主義が同居していて、戦争拡大のために

天皇絶対主義が強化され、総動員体制がとられた。


この絶対主義は、西洋であれば、市民革命によって排除され、

バラバラのアトム的個人を前提とした民主主義が成立した。

しかし、日本では市民革命は起きず、敗戦によってGHQにより、

近代市民国家としての民主主義が実現したのである。


その評価があるために、戦後憲法の評価が大きく分かれている。

現代は戦後にもたらされたアトム的個人を前提とする価値観と、

日本的な価値体系にもとづく融合とバランスが求められていると

考える。

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稚拙な安倍外交・その2

安倍内閣の閣僚らが靖国神社を参拝したことで、中国と韓国が反発を強めている。

それに対して安倍総理は参院予算委員会で、「国のために尊い命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前。どんな脅かしにも屈しない」と述べた。


その発言は、これまでの自虐的に平身低頭するだけの歴代総理と違って、評価できる。日本は確かに戦争を拡大して大きな敗北をしたが、そのことによる懲罰は充分に受けている。


占領軍による20万人以上の公職追放、東京裁判の受諾、台湾や樺太・北方領土の放棄、国際紛争の武力解決の永久放棄などを筆頭とした憲法の受諾、日韓・日中国交回復後も数々の経済援助やODAの供与によって、充分に敗戦国としての罰を受け、罪を償っているのである。


それであるのに韓国や中国が、日本の政治家の靖国参拝に過剰に反応するのには、政治的な思惑があると言わざるを得ない。

中国であれば、事あるごとに日本を叩くことで、尖閣諸島の領有権交渉や更なる経済援助を引き出そうとするし、韓国であれば、今や経済的ライバルになった日本を押さえつけることで、自国の国際的地位と経済的利益を高めようとする。

そうした中、韓国の外相は、予定していた日本訪問の予定をキャンセルし、北朝鮮対応につき日本抜きで中国との連携を強める意向をはっきりとさせた。

そこまではいいだろう。歴史問題については、戦争の反省はしつつもしっかりと理論武装し、何度でも反論をしていくことが必要である。


そうした状況で、千代田区の朝鮮総連本部を45億円で落札した宗教法人・最福寺が、落札用の資金の融資を複数の銀行からことわられた。理由は「国から貸さないように言われた」とのことである。

これはあまりにもお粗末な国の対応である。北朝鮮は確かに問題の多い国であるが、だからといって経済封鎖と排除の外交だけでは、彼らの「瀬戸際外交」の刃が日本に向かうだけである。窮鼠猫を噛む危険性と彼らの本音を考えれば、数少ない交渉ルートは残しておくべきである。彼らの本音は、大国の証明である核保有国として認められたいことと、経済支援である。


特に韓国・中国が北朝鮮問題で日本外しをしてくるなら、アメリカとの情報交換を密にした上で、「日本は対応次第で北と直接交渉をしても良い」ぐらいの姿勢を見せるべきなのである。それ自体、日本外しをしてくる中韓への大きな牽制にもなるし、アメリカも北と平和裏に交渉できる存在を探している。


韓国や中国への有力な反撃手段を持たず、北への直接交渉という外交カードを自ら捨て去るのでは、稚拙な安倍外交というしかない。元気良く見えても何も次の策がないのではカラ元気で、しっかりした外交は出来ないと考える。

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保守の仮面をかぶった維新の会と安倍総理

TPPや道州制の議論が進むにつれ、維新の会と安倍内閣の正体が段々、

明らかになってきた。


まず、TPPでは「米など重要4品目についての関税例外が認められるという

言質を得た」として交渉参加を表明したが、日米両政府で発表する文章が食い違っていることが明らかになった。


詳細は新聞報道に譲るが、アメリカ側・通商代表部の臨時代表マランティス氏は「日本は参加するならすべての項目を協議することが明確になっている」

と言い、全米豚肉生産者協議会幹部は日米合意に「目まいがするほどうれしい。ゆくゆくは全ての商品の関税がゼロになるべきだ」とする。

TPP参加で、日本の農林水産業にどれほど影響があるかを19道県で試算したが、それによると北海道47%減、千葉の牛乳全滅、鹿児島のサトウキビ・サツマイモ全滅など、悲惨なものだった。

それでもなお参加したいという安倍総理や維新の会、みんなの党とは一体、何者なのか。保守の仮面をかぶった「エセ保守」というしかない。


彼らに共通するのは「新自由主義者でありグローバリスト」という性格である。それが「様々な面で国家権力の関与を強くする。あるいは憲法を改正する」という国家主義の側面を見せるから、純で素直な国民は本質を見抜けず、だまされやすい。

道州制も同じで、以上の3グループは道州制の導入をうたうが、これを採用すれば、たとえば大阪や京都、名古屋などの地名は無くなる。

なぜなら、大阪の場合、大阪市と大阪府を統合させて「大阪都」とし、最後はこれも解体して関西州と人口3040万人の特別区だけが残るからである。


414日の伊丹・宝塚の市長選で維新の会の候補者は惨敗したが、勝った側のスローガンは「維新と大阪都構想から兵庫を守ろう」だった。やっと道州制の危険性が認識されてきたかとホッとする。


ちなみに道州制も「新自由主義の政策」である。道州制になれば、各地域は独自に税率や法規制を制定できる。大企業からみれば、税率や労働規制で競わせ、もっとも有利なところに工場を移転する。意に沿わない道州には「従うなら知事選でお金と票を出す。従わないなら対立候補を応援する」と脅しやすいのが道州制なのである。


無限の競争をさせられ、結果、負け組となった道州は、年金や生活保護費は大幅ダウン、医療費は高騰、義務教育は短縮と、全国に夕張市をつくるのが道州制なのである。

こうした政策を進めようとする安倍内閣、日本維新の会、みんなの党は「保守とは程遠い。保守の仮面をかぶったエセ保守。新自由主義者」というべきだろう。


真の保守とは「たえず庶民の生活を中心に考えて政治を行う」ことである。残念ながら、今の政党にそうしたグループは居ないと言わざるを得ない。真の第3極、第2極の出現が期待される所以である。

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稚拙な安倍外交

 411日、台湾との漁業協定が妥結したが、その内容に驚いた。尖閣の領有権問題は棚上げし、沖縄漁民の権益を切り捨て、一方的に台湾に譲歩したからである。


私も尖閣の扱いは、「中国に先駆けて台湾と漁業協定をまとめるべし」との考えであったから、ここ3年ほど停止していた台湾との漁業交渉を前進させるのは賛成であった。特に「尖閣は台湾の一部。台湾は中国の一部」と中国が言っていたから、台湾に漁業権を認める代わりに、尖閣の領有権を認めさせることは意義のあることだからである。


それが尖閣の領有権は棚上げとし、地理的中間線を大きく譲歩する内容では、日本の国益は何処に考慮されたのか。こうした交渉は、妥結を目指すにしても守るべき重要な国益を譲ってはいけない。民主党に劣らず稚拙な安倍外交と言わざるを得ない。

北朝鮮のミサイル危機対応についても問題である。安倍内閣は問題が起きてから「許し難い」とか、「圧力をかけて国際的に孤立させる」という強硬路線の一辺倒であった。おかげで当初は対アメリカ、対韓国に向けられていた北朝鮮による批判が日本にも大きく向けられてきた。


相手は我がまま、自己チュウ、したい放題に育った未熟な若者である。もっと鷹揚に構えて、「対立路線ではなく、近隣国との融和路線をとるなら人道支援もする」ぐらいの外交姿勢であれば、相手は日本にミサイルの照準を合わせることはしないはずである。それが強硬路線一辺倒では、最初に狙われる国になる。 


窮鼠猫を噛むの格言にもある通り、北を相手に何も日本が積極的に矢面に立つ必要はない。稚拙であり、危険極まりない安倍外交であると言わざるを得ない。

TPP参加についても、安倍総理は「早期交渉入り」を願って動いている。これは政策詐欺に近いが、「TPPに参加すれば輸出が伸びてGDPが上がる。農業も国際競争力をつけるべきだ」という論理であるが、今の変動相場制では輸出が伸びれば、その分、円高になる。円高になれば企業は工場を海外に移すことを検討する。すると国内雇用が失われるので、TPPなど参加しない方が雇用拡大になるのである。


そうした変動相場制の自動均衡機能さえ知らないかのようなお粗末な理屈で、あまりにも稚拙な安倍外交と言わざるを得ないのである。

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