1人1票の平等判決にモノ申す
昨年12月の衆院選の「1票の格差」をめぐる訴訟に対し、全国13の高裁・支部がいずれも違憲判決を下した。うち2件は選挙の無効・やり直しにまで踏み込んだが、極めて問題の多い判決である。
1人1票の価値を平等にせよという論理は突き詰めて行くと、国の予算配分も人口に応じて比例配分せよという主張に行き着くことになる。
今、大都会に1棟で40万人の住む大規模高層マンションがあったとする。「1人1票の価値は同一だ」というのが民主主義の大前提なら、その高層マンション1棟に1つの選挙区が与えられなければならない。今の平均は約40万人に1つの選挙区となっているからで、そのマンションに住む住民が、「選挙区割りだけでなく、予算配分も人口に応じて為すべきだ」と主張したらどうなるか?
以前にも書いたが、北海道の松木兼公氏や武部勤氏を輩出した選挙区(稚内市、網走市、北見市など)は14,741km²と、膨大な広さを持つ。この面積は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県を合わせた面積より広く、大都市77の選挙区分の広さがある。それほど広い面積を1人の議員でカバーするというのは、不公平以外の何物でもないし、予算を人口比例でやられたら、地方は上下水道の整備や道路、橋の補修さえままならない。もちろん冬の除雪など不可能である。
戦後民主主義における「1票の価値の平等」は、西洋のアトム的な個人を前提とする。これは1神教の神とバラバラの個人が直接、信仰という契約を結ぶという歴史があり、近代になって神が国家に置き換わった。だから民主主義もバラバラの個人を前提とするが、日本の「共同体主義を前提とする民主主義」とは違うのである。
そうした文化の違いを認識するなら、日本では地域共同性を重視したものにするべきだし、人口を加味するにしても、同時に(市街化区域限定で良いが)面積の公平性を加味すべきなのである。
安倍総理は「戦後レジュームからの脱却」をうたうが、自分は保守であると自認するなら、「裁判所の判決はおかしい。司法がそこまで口を出すことは止め、逆に選挙区の面積や地域共同性を加味した区割りにすべきである。日本の民主主義は米欧のそれとは歴史も文化も違うのだから、それこそが憲法改正の必要な重要事項の一つである」というべきなのである。
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天皇は「元首ではなく、国家建国の父」
自民党・安倍政権になって、様々なものが動き出している。その方向性については問題のあるものも多いが、しかし民主党と比べると、「より良い」あるいは「日本が一度は通らなければ、覚醒しないもの」と捉えることができる。憲法改正もその一つで、今回は「天皇の位置づけ」について述べてみたい。
天皇の位置づけについては、これまで「元首か象徴か、あるいは不要か」という議論があった。その考えの根本には、西洋型の国家分類として、国家有機体説と社会契約説がある。
国家有機体説とは、国家を独立の生命体としてとらえ、その場合の頭に相当するのが元首であるとする。一方、社会契約説では、国家は諸個人の社会的な委任契約における社会的な人格の一つととらえる。
後者は現在の日本国憲法がとる国家観で、主権者たる国民が委任したから天皇の地位があるとする。このため、その延長で容易に「天皇制不要論」がでてくる。主権者たる国民が委任を解けば、象徴たる天皇の地位も終わると考えられるのである。
これらの議論の前提として、西洋型の国家分類がまずあって、それに当てはめると日本の天皇制はどれに該当するのかという判断である。いずれも日本という国の特殊性や歴史性を踏まえていないという意味で未熟な議論である。
諸外国の王族は、その国の戦争勝利者、支配者の末裔であるが、日本においては天皇が「国家建国の父」というように、天皇家が日本国・大和朝廷を創立した。その意味で、すでに確立した国家や民族集団があり、戦争や内戦によってトップが代わっただけの諸外国の王族とは異なるのである。
また天皇家は、神話上の天照大御神からつながるだけでなく、天照を生んだイザナギの命を真の皇祖神とする。イザナギはもちろん男神で、その左目を洗って生まれたのが天照であり、以来、「父、父、父、父・・」とつながるのが「万世一系」の意味である。つまり万世一系とは、家族制度の中の家長が男系で続く「家父長制」の別の表現だったのである。
この家父長制は別に封建的なものではない。それはユダヤ人の家母長制と比較すると良く分かる。ユダヤ人の神ヤハウェが日本名イザナミであることは、拙著『聖書は日本神話の続きだった!』(ハギジン出版)に書かせていただいた。そのユダヤ人とは、母親がユダヤ人か否かで判断される。「母、母、母、母・・・」と母親をたどっていくと神ヤハウェに行き着くのがユダヤ人の証明であり、これを「家母長制」という。
つまり日本人の万世一系の天皇制は、ユダヤ人の「家母長制」と対比することで真に理解できる。日本人とユダヤ人は、これまで対立の歴史を持ち、日本は敗北することが多かったが、その原因は祖神イザナギ・イザナミにまでさかのぼっての歴史である。だから、「元首か象徴か」と言った議論だけでは理解できないのである。
そもそも国家とは「国の家」と書く。その中で天皇家は、日本国を1つの家族とした場合の総本家の家長であると位置づけることができる。だから「家父長制は封建性の遺物だ」というのは、歴史を知らない無知な学者らの考えである。
これは別に、今後、家父長制を強化しろという意味ではない。歴史の認識としてそうだということで、「今後において女性天皇も女性宮家もつくらないことが、家父長制を守る総本家の家長の一族としてふさわしい」という程度の話である。男性の継承者がいなければ養子をとれば良いのである。皇祖神の1人である天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)は天照大御神の長男とされるが、実際にはスサノオの生んだ子である。それを天照が養子にとり、日本の皇祖神としたのだから、養子制度は、始まりの時から皇位継承のための正当な制度なのである。
話を元首に戻すと、将来、日本国憲法を書き換えるなら、天皇家は「国家建国の父として、わが国の創設者である」ことを明記する。その方が「元首」などという西洋的分類の定義よりはよほど分かり易い。
また、国民主権の前に「国家主権」のあることを明記する。これにより、対外的な主権者は国家であり、国民の集合ではないことが示されるし、国内的にも主権者としての国家の継続が、その時点の選挙民主主義に優越することが示される。まったく一回の選挙での勝利者が何を決めても良いとするのは横暴で、永続的な国家の継承にもっと敏感にならなければならない。
その点で「TPP参加」という国家主権の放棄(関税自主権の放棄、ISD条項による治外法権の容認)を決断した安倍内閣は、保守としては失格である。彼の選択は(対・中国という)民主党のアンチテーゼとしては理解できるが、所詮、「対米従属の保守」であり、多国籍化した大企業の利益優先の政治でしかない。彼には、「最初は良いが後で段々悪くなる。悪くなって○○の毛まで抜かれる」という『日月神示』の言葉を与えて置きたい。
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通貨安競争はグローバリズムでは必然
モスクワで主要20ヶ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)が開かれており、その中で日本の経済政策「アベノミクス」が話題となった。
安倍総裁就任を機に急激な円安となり、それが、大幅な金融緩和による「事実上の通貨安誘導政策」だとドイツ財務相などが批判していたからである。
こうした大幅な金融緩和策は08年9月のリーマン・ショック以降、アメリカやEUは既に採っており、米FRBは12年末で総資産を3倍に膨らませるほど、米国債などを買い増している。
その意味で安倍政権はそれにならっただけのものであるが、実をいうと、変動相場制の下でグローバリズムを進めると、どの先進国も同じようなデフレ状況に陥り、互いに通貨安競争をすることになる。
この説明のためにはデフレの分析が必要で、その原因は大きく分けて5つある。
第1が「通貨不足型のデフレ」。これは物の取引に対し、通貨が不足している場合に起きるデフレである。対策としては日銀の金融緩和が唯一有効で、古典的なタイプのデフレである。
第2に「需要不足型のデフレ」。これは供給は充分にあるが、需要が不足するために物価が下がり、デフレになるタイプである。これも古典的で、財政出動や金融緩和による貸し出し促進が有効な策となる。
第3に「規制緩和型のデフレ」。ネット販売の普及もこれに含まれるが、規制が緩和されると新規参入者が増え、過当競争となって値段が下がり、デフレとなる。
第4に「円高デフレ」。現実として円は85年の1ドル240円台から急激に円高となり、輸入物価が下落してデフレが続いた。その間、どれほど財政出動をしても金融緩和をしてもデフレは止まず、「失われた20年」と言われたが、その原因の相当部分は、これであった。
第5に「100円ショップ・デフレ」。これはグローバリズムの進展で、大企業が日本で消費されるモノを中国やインド、ベトナムなどの低賃金国でつくる。結果として先進国では物価が下がり、ワーキング・プアや失業者が増える。「失われた20年」の残りの半分の原因は、これであった。
以上の中で、100円ショップ・デフレは、変動相場制の下、グローバリズムを進めると、どの先進国でも陥いるデフレである。それを日本は先行して体験してきたわけである。
特に日本の企業は競争力があったため、どれほど円高になっても貿易黒字は止まなかった。最近になって、やっと貿易赤字の傾向が定着してきたが、その原因は、この間の貿易黒字の累積で海外資産260兆円から生ずる年間15兆円ほどの配当収入である。その分、絶対的に経常収支が黒字となるので、それに見合う貿易赤字とならないと、経常収支が均衡しないのである。
多国籍企業にとっては低賃金国でつくり、先進国で売ることで利益を最大にできるので、グローバリズムを進めれば、どの先進国でも100円ショップ・デフレが発生する。そのデフレの解決のために政府が金融緩和と財政出動をするというのも、他に策が思いつかない中では当然で、日本はこの20年近く、デフレの解決策として財政出動し、国の借金を積み増してきた。
以上を鑑みても、アベノミクスは「失われた20年」のデフレの分析がしっかりできていない。
今はタイミングよく貿易赤字が重なって円安に振れているため、大企業の業績が回復している。しかし、消費者物価2%増を達成しても物価は上がったが賃金は上がらない、あるいは低賃金国との価格競争で消費者物価はさほど上がらず、土地と株価だけが上昇するというバブルの再来の危険性が大きい。
バブルとなれば銀行借り入れで民間は借金を増やすが、いずれ破裂して「不良債権の山」が残る。それをハゲタカが買い漁って暴利を得るという同じ過ちを繰り返す危険性が高いのである。
また、10年間で200兆円の国土強靭化法も問題である。この20年間の例を見ても、波及効果はほとんど見込めないから、自然環境を破壊して借金を増やすだけのものとなる。
さらに問題なのは、通貨安競争が横行し、世界的にインフレとなることである。変動相場制の下、グローバリズムを進めると、100円ショップ・デフレが先進国に蔓延する。そのデフレを解決するために金融緩和と財政出動を繰り返す。その金融緩和が「自国の通貨安」をもたらすが、あくまで「国内のデフレ解決」を旗印にするから、批判はできない。どの国も「国内のデフレ解決」をうたって金融緩和し、それが通貨安競争をもたらすので、止めようがないのである。
この解決のためには変動相場制の見直しまで踏み込まなければならないが、残念ながら与野党ともに、そこまでの認識を持った人物もブレーンもいない。したがって、真のデフレ解決、雇用対策、財政再建のためには、アベノミクスでもダメだったという共通認識ができるまで、解決は先送りとなる。ある程度の時間が必要という認識である。
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民主党政治を総括する:その1
先月の総選挙で自民党が大勝したため、次の総選挙までの3年超は自民党政権が続くことは間違いがない。
政権をとった安倍内閣は、過去の過ちや失敗を繰り返さないよう相当に気を使っていることは見てとれる。しかし自民党が本当に過去を反省し、生まれ変わっているかというとそうではない。今は政権交代の勢いのある時期で、政局が小休止の状態である。いずれ参院選後当たりから動き出してくるだろう。
この小休止の期間に「民主党はどこが誤っていたのか?」を徹底して総括しておくことは重要である。なぜなら次回の総選挙において、自民党に代わる本物の政党の選択肢を示せなければ、日本は危ういと思えるからである。
これは本来、民主党に残った幹部達や新党幹部が為すべきであるが、残念ながら彼ら自身、何が悪かったのか、良い面は無かったのか、本当には分かっていないと思える。考えの違いはあろうが、私が総括の試案を提起させていただこう。
1. 【外交面について】
外交面での民主党の誤りは明らかで、鳩山氏の東アジア共同体論、小沢氏の「日米中の正三角形論」と、いずれもアメリカと疎遠になり、中国寄りの外交方針であった。これはアメリカの反発を買っただけでなく、中国は明らかに「日本、組みし易し」、「カモがネギ!」と認識した。だから2010年の尖閣沖での漁船衝突事件が起こったのである。
中国は確かに市場として見れば膨大な国であるが、如何せん日本に対する恨みが強すぎる。特に江沢民以降、徹底した反日教育を実行してきた。これは天安門事件以降、共産党の正統性を国内に示すために「反日」を利用してきたためである。その教育を受けた世代が大人になって「反日」を叫んでいるのだから手が付けられない。
アジアにしろアフリカにしろ、世界には「親日」の国は一杯ある。日本の力を必要としている国々の支援に力を尽くすべきで、わざわざ「反日」を掲げる国に媚びを売ることは無い。中国と仲良くするには、彼らの反日教育を止め、これまでの日本の貢献を正しく評価することが前提である。
また、民主党は、鳩山氏など「将来的には常時駐留なき安保が理想」と言っていたし、小沢氏は「米軍は(横須賀・佐世保に拠点を置く)第7艦隊だけで良い」と言っていた。
これらはまったく軍事面での戦略を無視した考えである。確かに在日米軍の軍事施設は全国に85ヶ所もあり、多すぎる。しかし海軍の第7艦隊だけだとすると、空軍や北の守りはどうするのか、軍事的情報収集はどうするのかと言った視点がまったく無い。
将来的に「より対等なる日米関係」を求めて基地負担の軽減を求めるとしても、海軍の第7艦隊だけでなく、空軍は沖縄・嘉手納基地と青森の三沢基地、三沢の通信基地といった、米軍にとっても世界戦略上、重要な基地は日本に残すべきである。その方が日本の戦略的重要さが失われないし、抑止力が充分に保たれるのである。
逆に言えば、米軍の世界戦略上、重要でない沖縄・普天間基地、横田基地などは返還を求めて良いのである。戦後67年も経ったのだからGHQ占領軍の継続という考えは捨て、そのための準備を整えて対米従属の脱皮に舵を切るべき時代である。
アメリカは財政難から、軍事費の削減をせざるを得ない状況にある。日本の戦後の復興はアメリカ無しでは実現できなかったのだから、感謝の気持ちを忘れずに、アメリカにとっても利益のある提案をすれば、聞く耳を持つ時代に入っている。
2.【政治主導について】
民主党の掲げたテーマで興味深いものであったが、官僚を排除して意思決定することが政治主導と勘違いした面があり、あまりにもお粗末であった。
本来、政党が政治主導を掲げるのは当たり前である。それが自民党政治においては官僚との癒着が強く、事実上、官僚と族議員とで政策が決まるという状態だった。その官僚主導と族議員の双方を脱皮しようとしたが、民主党は綱領さえ持たない政党であった。
政治主導を掲げながら共通した理念を持たず、シンクタンクも無く、国家戦略局を内閣の中に置いた。これらはどれも誤りである。
自民党は官僚組織をシンクタンクとして使うが、それに対抗しようとするなら、政党の中にシンクタンクを持つべきであった。官僚の分析とは異なる視点から状況を分析し、それに見合った政策を呈示するには、議員個人の力では限界がある。
また、自民党には自民党の、共産党には共産党の国家戦略がある。つまり政党ごとに異なるのが国家戦略で、だから国家戦略局は政党の中に置くべきなのである。内閣の中に置いたのでは、内閣改造や総理が代わる都度に国家戦略局長も代わることになる。スタッフは官僚の寄せ集めとなるから、官僚による国家戦略になってしまう。
現代はすでに政党政治の時代なのだから、政党の中にシンクタンクも国家戦略局も置くべきで、戦略局長は国家議員でない方が良い。
国会議員であれば、日々の政局や法案処理、地元の後援会固めに忙しい。政党の理念や綱領、重要な政策課題に中長期に関わり、戦略的に行動するには、国会議員でない方が良いのである。
この観点から見ると、自民党も民主党も「議員政党」としての限界がある。行き着く先は、結局は官僚依存か労組依存、族議員の復活となるが、小選挙区制では族議員が生き残れないとなると、官僚依存だけが力を増すことになる。
この欠点をカバーしようと、「ブレーン型政党」を指向しているのが、みんなの党や維新の会であろう。
しかし、ブレーン政治が有効なのは、政党の理念や方向性、重要政策がしっかりしている場合である。それらがしっかりしていないと、ブレーン同士の政策調整にまごつき、日本維新の会のようにコロコロと重要政策が変わる一貫性の無い政党になってしまう。
その点、日本の中で唯一「シンクタンクと揺るぎない国家戦略を持った政党」と言えるのは日本共産党ぐらいである。彼らの情報収集能力、分析力は客観的に見て優れている。理念や政策の中身はともかく、その点は「保守の政党」においても見習うべきと考える。
今後、何回かに分けて民主党政治の批判的総括を続けたい。それは日本の今後をになう政党のあり方を追求するものになる。乞うご期待!
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大企業と金持ち優遇か?安倍内閣
1月24日、13年度の税制改革大綱が発表された。相当な「大盤振る舞い」で、消費税増税のための地ならしと参院選対策、政権交代を印象づける狙いが読み取れるが、一方、財政赤字の拡大が心配になる。
その中身を見ると、色々と疑問の多いものがある。
まず第一に、研究開発減税や設備投資減税、交際費課税の緩和など企業へのバラマキ減税が目につく。企業減税で成長を促進し、雇用を増やしたらその分も減税するというが、株式を上場しているグローバル企業は「利益が上がれば先ず配当に」と外人株主が目を光らせている。
かってのように利益が上がったら従業員に配分するという日本的考えは、あまり期待できない。
また孫1人につき教育費として1500万円まで贈与税を非課税にするという。その計算根拠は小学校から大学まで私立に通った場合の必要額だという。呆れた話で、小学校から私立に通う富裕層を対象にした政策を国がとるというのは如何なものか? 何のために公立の小中学校があるのかと言わざるを得ない。
また、住宅ローンを4000万円まで拡充して、その1%の40万円を10年間、税額控除するというのも富裕層優遇だろう。住宅ローンを4000万円も借りられるサラリーマンは、それほど多くないはずである。
一方では相続税の課税強化があるが、これさえも、これまで約60坪までを8割評価減していたが、100坪までに引き上げるという。今どき100坪の土地に住む人は相当な富裕層であることは間違いがない。
これら大盤振る舞いの税制改革は消費税を増税させるため、その前に急いで景気回復させたいという面がある。
しかし消費税自体が「逆進性。人件費は控除できないので人件費の多い企業ほど納税する。価格に転嫁できず、担税力がなくとも納税する」
と3大欠点をもつ。その欠点はいずれも低中所得者、中小零細企業に重いが、大企業にとっては価格転嫁が容易であるだけでなく、輸出免税で
相当額が還付されるから腹は傷まないという税である。
12年の貿易統計が発表され、貿易収支は6.9兆円の赤字であった。
これが「円安」に振れる大きな原因で、その多くは中国への輸出減少
である。尖閣問題がこじれて円安をもたらしているわけで、円安は株高につながり、国内企業や輸出企業の有利に働く。それを見ても安倍政権に追い風が吹いていることは間違いがない。そもそも民主党政権の末期に尖閣問題が起きたこと自体、自民党への追い風であった。
問題は追い風にのって金融緩和をし、富裕層優遇の税制改革をし、
200兆円の国土強靭化法を実行したとしてどうなるか?
金融緩和で物価や土地が値上がりしても給料は増えず、大型のバラマキでGDPが増えても中間所得層は増えず、逆に国の借金を増やすだけで財政再建は遠のくばかりとなれば、いずれ逆風に切り替わる。先の見えた部分はあるが、今しばらくはお手並み拝見というところだろう。
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分裂症に陥入る安倍内閣
新年明けましておめでとう御座います。
中々先の読めない時代にあって、今後も羅針盤の1つとなれるよう、
気を引き締めて活動していきたいと思います。
昨年暮れの総選挙で、安倍・自民党が大勝した。大勝の理由は、民主党の余りのお粗末ぶりと選挙制度のマジックによる。小選挙区制では、4割の得票率で7割以上の議席をとるという現象が何度か続いていたが、その再現である。
安倍氏の滑り出しに合わせるように円安になったり、株高になったり、組閣においても「お友達内閣」を脱してバランスの良い顔ぶれになっており、政権担当への積極的な意欲がうかがえる。
しかし、詳細に見ていくと、この内閣は分裂症気味になっており、
いずれ内部矛盾が大きくなるのではないかと予想される。
それを見ていくと、
○TPPについて、積極派の伊藤元重・東大教授や竹中平蔵氏らを経済財政諮問会議などのメンバーとして入れたこと。安倍氏は選挙公約では「10年後にすべての関税を撤廃という前提がある限り、TPPには参加できない」と言っていた。しかし、ブレーンとして取り込んだ学者や経済人の顔ぶれはTPP積極派がほとんどというのでは、最初から内部に対立を抱えるようなものである。
○「民主党政権で日米同盟が揺らいだから尖閣問題などが起こった。日米同盟の強化が何より大事だ」と安倍氏は言う。その理屈で何でもアメリカの言うことを従順に聞こうとする。これが分裂症を引き起こす。
尖閣問題は別に日米同盟が揺らいだからではない。民主党・鳩山氏と小沢氏が、東アジア共同体と言ったり、「日米中は正三角形の関係に」と言って、中国寄りの姿勢を見せたからである。
中国から見れば「カモがネギを背負って来た」ようなもので、だから2010年の中国漁船体当たりが起きた。そのカモと思っていた民主党が突然、尖閣を国有化したので「買いカモに咬まれた」ぐらいの感覚で暴力的なデモを指示し、領海侵犯を繰り返すようになったのである。
中国にはそのような甘い顔をしてはいけないという教訓である。
問題は「日米同盟の強化」という名目でアメリカに従順姿勢を示すと、今度は別の矛盾が生じてくる。
たとえば、オバマ大統領筋は、安倍氏に「従軍慰安婦の件で『河野談話』を見直すようなことがあれば、何らかの対応をとらざるを得ない」と暮れに伝えてきたという(1月6日、日経より)。
これはアメリカ自身が韓国とのFTA、中国との貿易問題などを抱え、これ以上、近隣国と問題を起こしてくれるな、というメッセージであろうが、安倍氏のこれまでの主張と明らかに矛盾する。
また、23基の原発が稼働する韓国は3年後には使用済み核燃料が限界に達するため、再処理施設やウラン濃縮工場の建設をアメリカに要求している。
これに対しオバマ政権は「国際的な核不拡散政策に影響を及ぼしかねない」と難色を示し、日本に再処理を委託する案が浮上しているという。
日本の「原子力ムラ」の連中も、核燃サイクル政策を進めるために
「アメリカの要請、東アジアの安全保障、国際的な核不拡散」という
新しい大義名分ができる、とこれに飛びつきそうな勢いである。
青森・六ヶ所村の再処理施設は相変わらず「トイレなきマンション」の象徴であり、フランス・アレバ社の指導により、空中と海中に放射性物質を垂れ流している。そこは「大間のマグロ」の産地でもあり、豊かな漁場である。
それを継続・拡大して更にプルトニウムを取り出すことに、どういう意味があるのか。
福島原発の3号炉は再処理してプルトニウムが7~8倍入ったMOX燃料が使われており、それが大事故につながった。その事故をまったく反省していないというべきであろう。
これらの点は、「日米同盟の強化」を唱えるあまり、別の問題を抱えて、いずれ分裂症に陥入ると言わざるを得ない。
○その他、憲法を改正したいが、護憲派の公明党とは連立を維持したい。日銀は物価2%だけでなく、雇用や為替にも責任を持つべきだという主張も、いずれ破たんする。アメリカFRBの真似をして日銀に圧力をかけたからといって、日銀にそのような能力はない。
ズ―と続いた円高傾向は、日本の260兆円にも及ぶ海外資産から生ずる年10兆円を超える投資収益が原因である。変動相場制では、経常収支が絶えず黒字であれば、円高になるというのは常識である。最近の円安は投資収益が黒字の分、貿易収支が赤字になり出したからである。
これらの矛盾は、安倍氏における新自由主義的傾向と国家主義との矛盾、対米同盟強化路線と国家の独立性(国家主義)との矛盾、財政と金融・民間部門の役割分担の混同、路線の違いを無視して選挙対策で連立を組むことによる矛盾である。
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この政権は野党の攻勢によって倒れることはないだろう。そのような強力な野党はもう存在しないからである。
安倍氏は難病を抱えるが、その病気はストレスに弱い。いずれ矛盾が拡大して分裂症を起こし、巨大なストレスによって倒れるのではなかろうか。
再び土建国家と新自由主義の到来を憂う
総選挙も後半戦に入り、熱気を帯びてきて、マスコミの予想では「自民、単独過半数に達する勢い」のようである。この勢いでは選挙後の総理は安倍晋三氏であることは揺らがないだろう。
安倍総理となった場合、危惧していることが二つある。
その一つは教育改革である。安倍氏は6年前の総理の時、教育再生会議を立ち上げて教育改革をやり、提言をした。その中で最も評価すべきは教育基本法の改正だろう。アメリカGHQによってつくられた同法について、戦後初めて改正したのである。
それは良いのだが、同時に安倍氏は新自由主義的な教育改革をやろうとした。今回も自民党総裁に選ばれるや否や、すぐに「教育再生実行本部」を立ち上げ、教育改革について積極的にビジョンを打ち出す考えを示している。以下に問題点を列挙させていただく。
〇教員免許更新制度
前回の首相時に提言したものに「教員免許更新制度」がある。すべての教員につき10年ごと30時間の講習を受けて教員免許を更新する制度で、目的は「不適格教員の排除のため」と言い、2007年に制度化されている。
たしかに問題教員がおり、何とかしてほしいという市民の声はある。しかし、すでに既存の制度として、懲戒・分限などの制度があり、問題教員に対しては、本人の意に反して戒告、減給、停職、免職、降任、配置転換などができる仕組みになっていた。
したがってこの免許更新制度は屋上屋を架す制度で、いたずらに現職教員の時間を浪費し、不安感をかき立てる。結果として教員の目を生徒に向かわせるのではなく、免許更新や対策に向かわせるものとなっている。
教師が専門職だとして、他の専門職で10年ごとに更新のためのテストや講習を義務づける資格は無い。教員の知識維持のためなら自己啓発の任意の講習とすべきで、そうした制度は既にある。免許更新の単純な失念により、優秀な教員が教壇に立てないという弊害も出ており、即刻廃止すべきと考える。
○学校選択制と教育バウチャー制
学校選択制は安倍政権以前からあったのだが、安倍政権になって設置された前回の教育再生会議で、公立の小中学校につき、教育バウチャー制の制度化で積極的な推進がうたわれた。
バウチャー制とは引換券、利用券の意味である。教育予算として組み込まれている学校教育費の補助金を、学校単位ではなく、クーポン券のような形で個人(保護者)に配る。そのクーポン券が多く集まった学校は、多くの補助金をもらうことができ、教材や設備を充実できるというものである。
学校に競争状態をつくるための新自由主義政策であるが、安倍政権が短命に終わったためにバウチャー制は導入されなかった。
今回、再登板となって同様の政策を掲げるかは未定であるが、バウチャー制は学校選択制をさらに極限まで推し進める効果を持つ。しかし、学校選択制を実施した結果を見れば、「校舎の新しさ」など、教育内容と関係の無いところで選ばれる傾向がある。
公立の小中学校は、私立と違って人事異動で絶えず教員が入れ替わっており、学校単位で競争させるといっても無理がある。子供たちや父兄の地域の結びつきが無くなるなど、弊害が明らかであり、止めてほしい制度である。
再び土建国家に戻すのか?
上記の教育改革の他に危惧するのは、再びの土建国家の到来である。これは国土強靭化基本法案による10年間で200兆円の支出予定が典型である。
中身は「首都直下型地震や南海トラフ沖地震は100%来る。それに備えて公共事業を支出することが景気対策になり、雇用も生み、税収増にもなる」という理屈で、「道路は多面的な機能(災害時の避難場所、ヘリによる物資の搬入や救出、緑の癒しなど)を持つ。だから費用対効果などを考えず、どこでも万遍なく道路を建設しなければならない」とする考えのもと、高速道路をすべて完成、高く強い防潮堤建設などで200兆円を支出するというものである。
公共事業は必要なものはキチンとやるのは当然である。しかし、大震災があったからといって「すわ防潮対策だ、防災対策だ」といって過剰な設備類を建設するのは、もう止めた方がよい。高さ40メートルの防潮堤をつくったからといって、地震で少しでも割れ目が入ればまったく意味が無い。
大きな災害は国のあり方への警告という面が強く、過剰な対策をしても必ず弱い面から水が漏れる。「過ぎたるは及ばざるが如し」で、過剰な対策で災害を100%防げるわけでは無く、過剰な分、国の借金が膨らみ、今以上に財政が悪化するだけである。
また、「失われた15年、20年」で分かったことだが、公共事業の経済的波及効果はそれほど無くなっている。そのことは92年から13度に及ぶ計139兆円の補正予算、さらには1991年から13年間で計630兆円の公共投資など、どれほど公共投資をばら撒いてもデフレは脱却できず、景気は上向かなかったことで明らかである。
現在のデフレは変動相場制による円高デフレと、通称、100円ショップ・デフレと命名される開発輸入が原因である。この二つのデフレを直すには日銀の金融緩和や財政出動では無理で、どこまで行っても止まらない「円高傾向」をもたらす変動相場制を変えないとダメなのである。
ちなみに、為替制度や自由貿易のあり方、公共投資のあり方を考えるには、関良基氏の『自由貿易神話解体新書』(花伝社)がお勧めである。久々に胸のすく論客の本に出会った気がするので、ぜひ、ご拝読願いたい。
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橋下維新と中国の関係
東京都知事を辞職した石原慎太郎氏が、たちあがれ日本をまるごと、橋下維新の会やみんなの党と連携させようと必死になっている。
脱原発や消費税の地方税化のみならず、TPPによる国家主権の放棄、道州制による九州独立や沖縄独立の危険性など、橋下維新の会やみんなの党の、日本解体に向かう危険性をまったく察知しない石原氏、並びにたちあがれ日本の諸氏は、政治的感性が完全に劣化していると言わざるを得ない。
特にTPPは関税のみならず、アメリカのビジネスになる分野はどの面も国家主権を放棄し合うものである。今の憲法は国民主権をうたっているが、国に国家主権が無くなれば国民主権など無くなるのは必然である。その程度のことも分からないほど、選挙が怖い、第3極で多数派を占めたいというのは自己保身、我欲でしかない。
そもそも石原氏が新党を決断したのは、尖閣が国有化されたことと、息子の伸晃氏が自民党総裁選で落ちたことが大きい。そこに橋下氏から「維新を丸ごとあげる」とか「3男の宏高氏を東京比例区のトップにする」などの甘言で舞い上がったのだろう。そうしたことは亀井静香氏や村上正邦氏などが指摘しており、石原氏は自分の家族愛と権力欲で新党に向かったようなものである。
石原氏を舞い上がらせた橋下氏は、そういう意味で中々なものであるが、彼には中国がバックについているという話があるのを指摘しておきたい。
一つの証拠を挙げると、週刊現代が、何度も「橋下しか総理の適格者はいない」と執拗に持ち上げた。また同誌は、脱原発を執拗に掲載した。
週刊現代の社長は野間佐和子氏であり、元外交官の阿南惟茂(あなみこれしげ)の義姉に当たる。阿南惟茂はチャイナ・スクールで有名な外交官で、媚中派の最たるものであった。
彼はアジア局長時代、記者懇の席で「北朝鮮の日本人拉致は証拠がない。亡命者は何を言うか分からない」と暴言を吐いた。また2001年の瀋陽での脱北者亡命事件では、その直前の会議で、「脱北者が来たら追い払え。仮に人権問題になっても面倒に巻き込まれるよりマシだ」と公言していた。
彼は在任中から「橋本派北京出張要員」と呼ばれるほどの媚中派で、2002年6月に中国の経済成長を示す報告書が部下から出された際には、「これでは中国へのODAを減らせと言われる」と叱責して書き直させたほどである。引退後は新日鉄の顧問になって、やはり同社の中国ビジネスに暗躍している。
中国は外貨が余っている。その外貨をCIC(中国の政府系ファンド)を使って自国の国益増進に使おうと、日本のマスコミ対策にも2~3兆円の予算を割くことが決まっている。
狙いは媚中・親中国勢力を日本に拡大すること、南京虐殺や日本の侵略戦争を絶えず話題にして日本の頭を押さえつけ、ODAや技術の提供継続を含めて、日本を遣唐使の時代のような朝貢国にする。当然、尖閣諸島は取り上げることである。
つまり、橋下氏は、中国CIC⇒チャイナスクール・阿南惟茂⇒講談社・野間社長⇒週刊現代での「脱原発と橋下持ち上げ」の流れの中にある。
もちろん本人も自覚しているようで、「バカ文春」、「バカ新潮」とは言っても「バカ現代」とは言わない。
また、減税日本と連携しないと発言しているのは、建前はともかく本音は、党首の河村たかし氏が「南京大虐殺は無かった」と言っているからである。
その他、中国と戦略的互恵関係を積極的に進めると言ったり、尖閣で日本をダブル・スタンダードだと批判し、国際司法裁判所での解決を訴えるのは、中国に気を使っているためである。
ちなみに元外交官の孫崎うける氏は阿南惟茂とは友人(同期)であろう。資金的な報酬があるかはともかく、その関係で、孫崎氏は尖閣問題で中国擁護・日本批判の論陣を張っているものと推測される。
ここで脱原発が何故、中国につながるかというと、太陽光発電で世界一安いのは中国であり、それにさらに補助金を出して中国は輸出する。日本が脱原発となれば、中国の太陽光を買うことになり、それを休耕田に設置すれば、日本は食糧を中国などに頼ることになる。
つまり永遠に日本の首根っこを押さえつけるために、脱原発の主張にお金を出していると推定できるのである。
ちなみに、この中国・太陽光の輸入による日本の休耕田利用・食糧輸入路線は、ソフトバンク・孫正義氏の「脱原発・メガソーラーへの入れ込み」がすでにそうであることを指摘しておきたい。
石原氏,そして平沼氏よ。これらの事実を知っても、なお橋下維新の会と連携するというのか!
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ロシアと3島対1島で北方4島の分割を!
日本は中国・台湾と尖閣諸島、韓国とは竹島、ロシアとは北方領土の領有で争う状態となっている。隣接するどの国とも島の領有でもめ、かつ、それらのいずれもが先の大戦後の帰属処理が微妙にからんでいる。北方領土はその最たるもので、今回はそれを取り上げよう。
北方領土の歴史を簡単に見ておくと、日本が領有権を主張する根拠は、戦前までは日本人(アイヌ人)が住み、17世紀初めには松前藩が統治していた。ロシアも千島列島に進出を図ったが、ウルップ島以南には至らなかった。
その後、1855年の日露和親条約で日本とロシアが外交関係を結ぶ際、国境の確定作業が行われている。択捉島以南の北方4島は日本、ウルップ島以北はロシア領として国境を確定した。樺太については(アイヌ人が住んでいたが)、それまで同様に両国民が混在する共有の地として扱った。
その後、1875年(明8)の樺太・千島交換条約、1905年のポーツマス条約とあったが、樺太の領有や他の千島列島の扱いに変動はあっても、北方4島については一貫して日本の領土であった。
それが第2次大戦の終結直前にロシアが対日戦争に参戦し、以後、北方4島を占有する事態となっている。
ロシアが占有する根拠は、終戦半年前の1945年2月に行われたヤルタ会談において、アメリカのルーズヴェルト大統領、イギリスのチャーチル首相から、対日参戦の条件として、参戦すれば、当時日本領だった南樺太と千島列島をソ連に与えるという密約があったとする。
そして戦後に日本と連合国との間でサンフランシスコ講和条約が結ばれ、その中で日本は千島列島と樺太南部の領有権を放棄することに合意した。だから北方4島はロシア領なのだと主張する。
一方、日本の主張は、先の大戦時においてロシア(当時はソ連)とは日ソ中立条約を結んでいた。だからソ連の参戦そのものが条約違反であり、認められない。
ヤルタ協定は戦争に勝った場合の密約で、領土の帰属は正式にはサンフランシスコ講和条約だが、それにソ連は署名していない。そもそも連合国は大西洋憲章とカイロ宣言において、領土拡張の意図を持たないと宣言していた。
またソ連の参戦は、満州へは8月9日(長崎原爆の日)、北方4島への進軍は日本が8月15日に敗戦を認め、ポツダム宣言にサインした直後の8月16日以降である。
これらはソ連による「二重の裏切り」として、日本兵60万人のシベリア抑留もからみ、感情的になりやすい。こうした経緯から、ロシアの占有は不法占拠だとしている。
戦後に朝鮮戦争(50年~53年)があってソ連と中国共産党は北朝鮮側、アメリカは韓国側となって争ったため、話がややこしくなった。
サンフランシスコ講和条約にソ連は参加せず、その後、1956年(昭31)に日ソ共同宣言を行っている。この宣言では、「平和条約締結後、ソ連は北方4島のうち、歯舞・色丹の2島を現実に引き渡す」ことが明記された。つまり2島返還で平和条約を締結し、その他の領土は棚上げしようという考えである。
当時の重光葵外相は、国家百年の計を考えて、日本政府からの訓令を得ずに2島で妥協しようとし、松本大使らに止められていた。その前後にはアメリカのダレス国務長官から、「もし日本が国後・択捉島をソ連の帰属にせしめたなら、沖縄をアメリカの領土とし、永遠に返さない」と恫喝されている。
アメリカは、すでにソ連と「東西冷戦の時代」に入っており、日本とソ連の平和条約締結を好まなかったのである。
こうした経緯からソ連は一貫して2島のみでの決着を主張し、日本側は「サンフランシスコ講和条約で放棄した千島列島に4島は入っていない。4島でないと妥協できない」と言い争ってきたのである。
さて、細かいことを記すときりがないが、状況は互いにで妥協しやすい環境が揃っている。なぜならロシア側はシベリアの開発に日本の技術と資金を必要とし、プーチン大統領は北方4島での「引き分け」での解決を公言している。
日本は福島原発の事故があって、ロシアで産出される天然ガスが代替エネルギーとして魅力であるし、近隣のどの国とも領土問題でもめるのは終わりにしたい思いがある。
ロシアはシベリア開発に中国がからむことは好まず、日本も尖閣以降、中国の強欲ぶり、自己チュウぶりに辟易している。
問題はメドベージェフ首相だが、プーチンが「こうする」と言えば決まるとのことで、今が互いにチャンスであることは間違いがない。
さて解決法だが、2対2では日本が納得できず、4対ゼロではロシアが承知しないとなれば、3島対1島で分割するのが良いだろう。
その場合、ロシアは最北の択捉島のみとなるが、実はこの1島で、他の3島を合わせたよりも面積は広い。かつ、ロシアが北方4島に固執する理由に、国後島と択捉島の間の海峡が軍事的に重要だという点がある。
つまり3対1で妥協すれば、日本は数で上回る。一方のロシアは2分割以上の面積が手に入るし、軍事的に重要な海峡が今後も使用できる。
さらに日本領となる3島に住むロシア人には50~100年の居住権と財産権を認めれば、障害は無くなるはずである。
もちろん東西冷戦が終わったのだから、キチンと根回しすれば、アメリカはもう反対しないだろう。
竹島にしろ北方領土、尖閣にしろ、戦後処理の1つである。これまでの自民党・民主党の政権では解決できなかった問題であるが、互いの利益を考えて妥協点を探せば必ず解決の道はある。
中国への牽制を含めて今後、ロシア、そしてインドと仲良くしていくことは日本の国益にかなうというものである。
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先の日中戦争は日本の侵略ではない!
ここ1~2ヶ月間の中国・韓国との領土問題、歴史問題は、今後も何年も続く課題である。その度に先の大戦に至る日本の歴史認識が問われることになるので、今回もそのテーマで述べさせていただく。
今回は中国編であるが、対中国となると、いつも「日本は中国を侵略し、多大な迷惑をかけた。だからどんなにイジメを受けても、暴行・強盗・投石・略奪をされてもジッと我慢をして罪の償いをしなければならない」と我慢・我慢の苛められっ子を演じてしまう。
まったく自虐史観の効果は絶大であるが、では本当に日本が中国を侵略したのかが問題である。
先の日中戦争に至る原因として中国が挙げるのは、第1に1931年の満州事変である。これは奉天(今の瀋陽)北方の柳条湖の鉄道爆破事件を契機に翌32年には満州国を樹立した。しかし、これは侵略ではないことは断言できる。
なぜなら確かに関東軍将校が鉄道爆破をしたようだが、そもそも満州に関東軍がいたのは、満州に居座っていたロシアを日露戦争で追い出し、ポーツマス条約で南満州の権益をロシアから譲られたからである。
満州事変後、リットン調査団がまとめた報告書は、確かに関東軍への撤兵と国際管理を勧告しているが、それはイギリスなどが日本を追い出し、国際管理で利益を得ようとしたからである。
さらにリットン報告書において「一国の国境が隣接国の軍隊により侵略されたと言える簡単な事件ではない」と、それ以前の中国人による嫌がらせ、排日、侮日の行動を指し、日本の侵略性を否定している。
この満州事変を契機に翌32年には満州国を樹立したのだから、侵略だとすれば満州国建国であるが、これも全く違うものである。
この地を祖先としていたのは女真族であったが、中国・漢民族を征服し、清王朝を樹立後は皆、万里の長城より南に移動していた。だから満州の地は馬賊や部族が跋扈する化外(無法)の地であった。
満州国で初代皇帝となった溥儀について、溥儀の家庭教師を務め、のちにロンドン大・東方研究所長にもなった一級の中国研究者、ジョンストンの手記『紫禁城の黄昏』には、溥儀は父祖の地である満州に戻って独立国家をつくりたいと望んでいたことがハッキリと示されている。
日本は確かに満州国建国を強力に支援したが、化外の地であったし、溥儀の意思にもとづくものであるから、侵略国家ではないのである。
では日中戦争の発端となった1937年7月の盧溝橋事件はどうかというと、これは中国共産党の策謀であることがほぼ明らかになっている。
当時、夜間演習をしていた日本軍に銃弾が撃ち込まれた。日本軍は蒋介石軍がやったと思い、謝罪要求や小競り合いがあったが、のちに蒋介石軍と日本軍を戦わせたい中国共産党が、ソ連共産党の入れ知恵で双方に発砲したようである。
そのことは事件直後、北京大学の構内の通信所から延安の中国共産党司令部に宛てて「成功した」という電報(日本軍・元情報部員による解析の証言、H6.9.8付産経朝刊)、さらには秦郁彦氏の調査などでもほぼ明らかである。
この盧溝橋事件以降、日本人市民が280名も大量虐殺された通州事件(1937年7月29日)などが続き、険悪なムードになって行くのだが、それでも日本はあくまで自制していた。
日中戦争が正式に始まったのは、1937年8月13日の蒋介石軍20万人による上海駐留・日本軍約5000人に対する総攻撃からであろう。エドウィン・ライシャワー元駐日大使の『ライシャワーの日本史』においても、その日を日中戦争開戦の日としている。
さて、問題は「どちらが侵略戦争を仕掛けたか」であるが、日本の上海駐留軍はキチンとした協定にもとづき、米軍2800人、英国軍2600人、仏軍2050人、伊軍770人とともに区域分けし、駐留していたものである。
つまり日本の治外法権が正式に認められていた区域に突然、宣戦布告無しで総攻撃を仕掛けてきた。だから蒋介石軍こそが侵略戦争の開始者である。
侵略戦争の定義は、どこの国の領地で戦争が繰り広げられたかではない。ある国の国家指導部が周到に計画し、正式に認められた区域にいる国の国民ないし軍隊に対して、既存の協定や条約を無視して、区域を侵略して先制攻撃することも侵略戦争である。たんに一部の暴徒や跳ね返りの軍人がやったのではない。敵の総大将・蒋介石の指揮のもと、20万人が5000人を突然、襲撃したのである。
この事件の後、日本は南京を攻めて戦争状態となるのであるが、なぜ蒋介石が襲撃したかというと、ここにも中国共産党が関与している。
『マオ―誰も知らなかった毛沢東』(ユン・チアンら著)によれば、日本政府の不拡大方針にも拘らず、中国の度重なる挑発が続いたのは、中国共産党の大物スパイ・張治中の工作による。
彼は蒋介石軍の一司令官だったが、共産党に共鳴し、周恩来に入党を申し出た。だが周恩来は蒋介石軍にとどまり、ひそかに共産党と共闘するよう要請した。こうして張は蒋介石の懐刀のまま、スパイ活動に専心する。
その詳細は同書を読んでほしいが、張は、日本軍が中国人に対する攻撃を始めたと虚偽の発表までして反日感情を盛り上げ、開戦をしぶる蒋介石をせきたてて行った。
中国共産党はソ連共産党の指導もあり、日本軍とは闘わず、蒋介石と日本軍を戦わせて、蒋介石軍が弱り切ってから殲滅する作戦を採った。まさに「漁夫の利」作戦である。
だから、戦後に訪れた日本社会党・佐々木更三に対し、毛沢東は「・・・何も謝ることはありません。日本軍国主義は中国(共産党)に大きな利益をもたらし、中国人民に権力を奪取させてくれました。皆さんの皇軍なしには我々が権力を奪取することは不可能だったのです。この点で私と皆さんは意見を異にしており、両者の間に矛盾がありますね」、
「過去のああいうことは話さないようにしましょう。過去のああいうことは良い事であり、我々の助けになったと言えるのです」と語っている。
まとめると日本を最初に襲撃し、侵略戦争をしかけたのは蒋介石軍であり、中国共産党と日本軍とは闘っていない。逆に日本軍が蒋介石軍と闘ったから、共産党は漁夫の利で権力をとれたのであり、毛沢東は日本軍に感謝していた。そのことを今の中国人民ならびに共産党幹部は知るべきなのである。
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