民主党の年金制度の欠点
テーマ:メルマガこのところ国会で、民主党の年金案が問題となっている。発端は「税と社会保障の一体改革」を掲げて消費税の10%への増税を打ち出したことから、「では、年金制度の全体像を示せ」となった。
「ヤブヘビ」である。民主党の「一体改革」はまさにこれで、消費税増税の前提となる民主党の年金改革をまともにやれば、さらに7.1%分の財源が必要(2075年)で、とても飲めるものではない。今回はそれらを検証して行きたい。年金問題を語るには多くの課題があるので、箇条書きにすると、
◎まず民主党案の「年金一元化」は無用のものである。一元化とは公務員、民間サラリーマン、自営業者を同一の制度とするものだが、特に問題なのは、一元化すると自営業者は倍の負担になる。サラリーマンが社会保険料として15%を負担するといっても、現実には本人はその半分しか負担していない。残りの半分は事業主が負担しているからである。
自営業者も払った分、自分に戻ってくるから良いでしょうというのは屁理屈で、所得が多くなれば減らされる。
民主主義は「自立した個人」を前提とする。国に頼らず自立して生きて行けるヒトが増えれば、国家の自立も維持されるから、今後は「個人の自立」が重要な政治テーマである。そのためにも自立の典型例である自営業者が増えるよう誘導することが必要である。自営業者は定年がないのだから、老後も働くとなれば、何も倍額の年金保険料を払う必要はないのである。
◎民主党は国民年金の納付率が低いために、「7万円の最低保証年金」を考えた経緯がある。しかし納付率は、市町村から社会保険庁の所管に移してから急速に低下した。今でも年金徴収を国税庁に一元化(歳入庁)すれば徴収能力は高まるから、納付率は格段に上がる。そういう努力をしないで増税だけをしようというのは誤りである。
◎今の年金は「世代間扶養」という考えだが、これを「積立金方式」に変えるべきである。世代間扶養であれば、これから増える老人を少数の若者が支えなければならないと、「世代間の不公平」がクローズアップされる。しかし自分が掛けた分は将来、確実にもらえるのだとなれば、世代間の不公平を問題にする必要はない。
積立金方式にする場合、「積立金が圧倒的に足りない」という声をよく聞く。しかし計算上、本人の積立額を基準に支給するというだけで、残高として、その金額が無くとも一向に構わない。それこそ世代間で資金融通し、足りなくなれば、その分は税で補てんするか低利子で貸し付れば良いのである。
◎年金財源に限らず、増税といえば消費税が俎上に上がる。しかし消費税には逆進性以外に「人件費課税」と「利益が無くとも課税する」という3大欠点がある。
うち人件費課税とは、雇用する従業員の給料は税額控除できないから、人件費割合の多い企業ほど消費税を納める。だから税率をアップすれば企業は人員削減に向かう。消費は低迷し、不景気は拡大する。
また消費税は利益が無くとも納税する。「預かり金だから当然だ」というのは詭弁で、以前は1万円で売っていた物が、消費税導入で1万500円になった。しかし続くデフレと不景気で、税込みで8400円に値引きせざるを得なくなった。消費税導入前と比べて差引き1600円のマイナスだ、というのが中小企業の実体である。
これらの3大欠点を考えると、あまり消費税の税率を上げない方が良い。税率を上げて雇用が削減され、消費税倒産が増えるのでは、本末転倒である。
◎いずれにしろ少子高齢化が進む。また国の借金も1000兆円を超えて膨大である。だから、それらの解決のために政府紙幣(貨幣)を発行するしかないだろうというのが筆者の見解である。
政府紙幣は確かに麻薬であるが、過去にも麻薬は使ってきた。戦時中の「軍票」がそうである。日本の場合、軍票の管理がまずくて、戦後になって国内でも使えるようにした。だから物不足と相まってハイパー・インフレになった。
アメリカは軍票を発行しても現地だけの使用で、アメリカ国内では使わせなかった。だからハイパー・インフレにはならなかった。それらを踏まえ、現代流に管理と使い方を工夫すれば良いのである。そうすれば、「打出の小槌」としての良い面だけが生かせるのである。
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