朝井リョウさんの長編小説で、直木賞受賞作。当時、平成生まれの作家で初!とかいってたいへん話題になってたのでよく覚えてる。


就活中の5人(+就活しない1人)の登場人物のあいだに沸き起こるあれこれ。ある人は留学や国際ボランティアなど、スペックを上げておくことに勝機を見出し、ある人は落ちたときに傷つかないように、興味ねーというふりをしながらこっそり就活。仲間内で一人、二人と決まっていくたびにいろんな思いがうずまき、隠し、そしてまた就活という戦場へと向かう。


就活経験がない私でも、読んでるとまるで「内定」の二文字が戦前の「天皇」ぐらいのレベルで人生に君臨・支配してくる息苦しさにフルボッコ。祝福したい気持ちと、真逆の妬みと焦りとで、自分がだんだんイヤ〜な人間になっていくのを止められないのつらい…。


でも本当の本当にイヤ〜な人間なら、SNSの裏垢で人の悪口を書き連ねながらも、自分だけは要領よくポンと内定もらっちゃうと思うんですよね。


ここに書かれているのは、何者にもなれない、かといってとことん嫌なヤツにもなりきれない、もしかしたら本当は優しいのかもしれない若者たち。そしてこんなふうに彼らを抱きしめることができる朝井さんこそが、ほんとは誰よりも優しいのかもしれなくて、三浦大輔さんの解説そのまんま、「朝井リョウという個人に対して、読者が抱くイメージは、ひねくれもので、人の嫌なところばかり目につく、あまり友達になりたくない、怖い人間」と思ってた私は誤解してた、と思いかけて、いやでも小説家に限っては↑の人物評ってほめ言葉なんじゃ…?と、やっぱり思い直しました。

 

 


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