『よこはま・たそがれ』などの作詞でも有名な、山口洋子さんの直木賞受賞作(1985年)。
演歌の制作ディレクターと、女性作詞家と、大御所の作曲家。
いい大人たちが、まるで人生を必死で遊び倒してるみたいで、読んでて超仲間に入れて欲しくなっちゃいました。翌日仕事あんのに、勝手に北海道旅行を一日延ばしちゃうわ、演歌の新人にインド人起用しちゃうわ。もう、ただ好きでやってまーすって感じ。金と地位と権力のことしか考えてない周りの人によって、それがますます引き立っちゃって。そうそう、好きでやってる人って、ただやってんですよね。ただひたすら、やってるだけなんですよね。
そして、その楽しさに水を差すことは、死ぬまで隠し通すっていうのが、遊びのルール。死んだあとまで人の心に残るのは、金や権力じゃなくて、そういう人情なのさっていうラストシーンがかっこいい。言葉にせずに語るのがまた粋で。
いやー私も、こんな大人になりたいなー。まだまだ時間かかりそうです。
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- ●直木賞受賞作の読書記録(隠居の本棚より)