2008年2月・冬の青森旅行(3)
- 津軽鉄道ストーブ列車 -
戻ってきた五所川原の駅。JR五所川原駅に隣接して、津軽鉄道の津軽五所川原駅がある。
中で乗車券及びストーブ列車券を購入し、早速ホームへと向かう。ちなみに切符は両方とも硬券。今となっては貴重な硬券を未だ普通に使っているとは…。
ホームには、もう既にストーブ列車の姿が!! 先頭には「ストーブ列車」のヘッドマークを掲げたディーゼル機関車。
DD352と言う形式。僕は正直、機関車はほとんど興味が無いので詳しいことは知らないが、とにかくやたら古そうな車両だと言うことは分かる。このオンボロ感年季の入った感じがたまらない。
大勢の客に囲まれ、皆がこの古い機関車の写真を撮っている。この日は平日だと言うのにも関わらず、団体客がいる様で、決して広いとは言えない津軽鉄道のホームが人で溢れ返っている。
ストーブ列車は、機関車+客車2両+一般型気動車と言う4両編成。客車は2両ともストーブ車両だが、うち1両は団体専用となっている。最後尾に一般型気動車を繋いでいるのは、ストーブ列車に乗らない(この車両はストーブ列車運賃を払わずに乗れる)人の為。
皆の注目を浴びる先頭のディーゼル機関車と対照的に、こちらの一般型車両にはほとんど誰も見向きもしない。…たまには、「走れメロス」のコトも思い出してあげて下さい(涙)
2両のストーブ列車のうちの片方に乗る。と、この車両も半分ぐらいのところまでは団体席となっていた。仕方なく、車端部の座席に腰を下ろす。団体席の方はほぼ満員。一方、車端部の方は割と空いていて、僕はワンボックス丸々使って座ることが出来た。
機関車もオンボロ年季が入っていれば、こっちの客車も相当に古い。車端部の壁面に座席、窓枠に荷棚と至るところに木材が使われている。これぞまさに本物のレトロ車両。最近はレトロブームだとかで、あちこちの鉄道会社でもレトロ風の車両を新造(あるいは改造)して走らせているが、そんな「まがいもの」のレトロ車なんて裸足で逃げ出してしまう様な、「本物の渋さと風格」が漂っている。
大勢の乗客(ほとんど団体だが)を乗せたストーブ列車は、11時40分に津軽五所川原を出発。
列車が発車してすぐ、地元のおばちゃん(おばあちゃん)と言った風情の売り子さんが車内販売にやってくる。手作り風のお餅だとかを売っていて、せっかくなので買ってみた。
ストーブで焼くと美味しいとのことなので、網に乗せて焼いてみる。しっかり焼くと、表面がパリっとして、中の餡子がアツアツになって確かに美味しい。
このストーブだが、1車両につき2ヶ所ある。ストーブは石炭式で、その排煙の為のパイプが天井へ向けて通っているのが特徴的。
石炭式なので、石炭が無くなれば車掌が補充にやってくる。列車内で石炭式ストーブに火をくべる光景と言うのもなかなか貴重…と言うか今となってはまず他では見られない。
この津軽鉄道のストーブ列車、なかなかに商魂たくましく(?)、先程のお餅だけじゃなく、今度は車掌がグッズを売りに来た。
もちろん買っておいた。ストーブ列車と、あとはついでに(扱いヒドスw)一般型車両のキーホルダー。
団体客が乗って、車内販売もあって…と、車内は完全に観光ムード。僕としては、独り静かに古い列車の揺れを楽しみたい派なのだが、まあ、たまにはこんなのも悪くないだろう。
途中、12時06分に金木に到着。…と、ここで団体客を含めほとんどの乗客が降りてしまった。
車内に残ったのは、僕を含め…たったの3人!?
この金木と言う場所は、太宰治に関する資料館だとか色々あって、津軽鉄道沿線随一の観光スポットなので、まあここで大半が降りるだろうと言うのは想像していたのだが…それにしてもまさか、乗客3人しか残らないとは。
ついでに言うと、車内販売のおばちゃん達も降りてしまった。まあそりゃそうだ。乗客3人しかいないのに餅売りに来てもなぁ(苦笑)
車内がガラガラになったので、車内を色々と見て回る。
車内全景を見渡すと、ボックスシートがずらりと並び、そこに何と言ってもストーブが強烈な存在感を放っている。
そしてデッキにはストーブの燃料となる石炭が置かれている。
車内に残った乗客達と、誰からともなく話し出す。残っていたのは、僕と、やや酔っ払っている感じのおじさんと、僕よりも年上かな?と言う女性と。見ず知らずの者同士なのに、お互いに記念写真を撮ったりして、湧き合い合いと過ごす。
ちなみにこの女性、いわゆる「鉄子」さんだった模様。話を聞けば、なんでも九州から「あかつき」「日本海」と乗り継いで青森までやって来たらしい…。って、ブルトレ二夜連続って凄え!! 全然俺よりも上手(うわて)だよ…。
五所川原を出て50分。12時半に列車は終点の津軽中里に到着。
田舎の小さな終着駅、と言った感じだ。
2008年2月・冬の青森旅行(2)
- 五能線のキハ40と五所川原「立佞武多の館」 -
相当に寒いことを覚悟して、「あけぼの」から弘前駅のホームに降り立つ。
…あれ? あんまり寒くないぞ??
ううむ…これは…俺の防寒対策があまりに完璧だったと言うコトか!!
…などと一瞬思ったりもしたのだが、何のことは無い。本当にこの日は暖かかったのだ。後で地元の人から聞いた話では、前日までは寒かったらしいのだが、今日はうって変わって暖かくなったとのこと。
弘前からは9時24分発、五能線直通の普通列車に乗る。車両はキハ40。
先月乗った男鹿線のと違い、車内はクロスシートだったので一安心(笑)
列車は弘前を出て、その2つ次の駅、川部で進行方向が変わる。車窓は青空の下、ただただ雪景色が広がる。そんな中、整然と並んだ木々がやたらと多いことに気付く。りんご畑だろうか。
車窓を眺めながらぼんやりしていると、断続的に眠気が襲ってくる。正直、昨日はあまりよく眠れなかった。興奮して…と言うのもあるが、「あけぼの」で揺れが気になったと言うのもある。客車は、走り出すと静かなのだが、出発時の「ガクン」と言う揺れが電車や気動車などより酷い気がする。
時折、うとうとしながら、10時09分、五所川原に到着。
ここから、歩いて5分ほど。「立佞武多の館」 へ。
青森県と言えば「ねぶた祭り」が有名だが、その中でもここ五所川原市は、巨大な「立佞武多」と言う独特のものがあるらしい。
近代的で大きな外観の建物の中へと入る。
すると、中には…。
凛々しくそびえ立つガンダム様。
…あれ? ここってねぶた祭りの博物館じゃなかったっけ??
だからなんでガンダムがいるんだよw
もうワケが分からない。あまりの唐突な展開にただただ( ゚д゚)ポカーンとするしかない。
とりあえず奥へ進むと、きちんとねぶたに関する展示室があったので一安心(笑) ちょうど今は展示の補修期間か何かで作業を行っていたが、しかしそれでもきちんと見学は出来る様になっている。
写真だとちょっと分かりにくいかもしれないが、この「立佞武多」。恐ろしく巨大なのだ。一つ一つが20メートルくらいの高さがあるだろうか。それが3、4体も展示されていてかなりの大迫力。
祭りの時はこの巨大な「立佞武多」が実際に町を練り歩くのだろうから、それはさぞかし凄い光景なのだろう。
青森県のねぶたには青森・弘前、そしてこの五所川原と、その地域によって色々と特色があるらしい。「ねぶた」と言う祭りだけでもかなり独特なものなのに、それが更に同じ県内でも地域によって変わると言うのだから面白い。
やや駆け足気味に見学を終え、再び五所川原の駅へと戻る。これからは本日のメイン、津軽鉄道のストーブ列車へと乗り込むのだ!!
2008年2月・冬の青森旅行(1)
- 出発の刻 ~寝台特急「あけぼの」の一夜 -
2008年2月19日(火)。この日はいよいよ青森への旅に出る日だ。仕事を夕方で上がらせてもらい、一旦マンションへ帰宅。着替えと用意を済ませ、出発する。
今回の旅立ちは上野から。ここから寝台特急「あけぼの」に乗って行くのだ。寝台列車に乗るのは2年半ぶり位か。久々の寝台列車の旅と言うのも凄く楽しみだ。
時間は21時ちょっと前。駅弁に酒、つまみ類を買い込み、ホームで列車の到着を待つ。「あけぼの」の上野出発は21時45分だが、少し早め、21時15分過ぎ位に入線してくるとのこと。
ホームの電光掲示板には「あけぼの 21:45 青森」との表示。
期待に胸が高まる。この、列車を待っている時の高揚感と緊張感が入り混じった気持ちと言うのも、とても良いものだ。
時計に目をやると時刻は21時15分。そろそろだ。そろそろやって来る…。
と、ここでなにやら案内放送が流れる。
「寝台特急あけぼの号は、車両基地での車両故障により、到着が30分ほど遅れます…」
んん?
「寝台特急あけぼの号は、車両基地での車両故障により、到着が30分ほど遅れます」
ええええええええ!!!(゚Д゚;)
…なんと言うことだ。まさか旅が始まって早々いきなりこんなトラブルに見舞われるとは…。これは縁起が悪い。悪過ぎるぞ!! こんなことで今回の旅は果たして大丈夫なのか!?
と、いきなり不安にかられる俺。
30分遅れと言うことは、本来ならちょうど出発する時刻に入線してくるワケで、そこから出発時刻も遅れるだろうし、明日の朝、向こうに到着するのも遅れるとなると列車の乗り継ぎも…。色々と考えれば考えるほど不安になる。
結局。「あけぼの」は21時40分過ぎに入線してきた。今日はなぜかカシオペア牽引機が引いている。
さて、最初に案内があったのよりは早くの入線となり、それはそれで良かったのだが、一つ問題が。入線時刻が40分を回っていたのに、出発時刻は予定通りの45分。…て時間全然無いじゃん!! 写真なんて撮ってる場合じゃねぇぇぇ!!!
と言うワケで、慌てて列車に乗り込む。せっかくのカシオペア機。貴重なシーンだからもっとゆっくり眺めていたかったのに…ハァ。
今回の旅。青森・函館フリー切符を使用している。この切符では、現地までの往復には東北新幹線及び「あけぼぼ」使用可能となっていて、「あけぼの」の場合はB寝台とソロ個室が使える様になっている。僕は当然、ソロ個室をチョイス。
狭い通路の両側に整然と個室への入り口が並ぶソロの車内。もう5年も前だろうか。九州へ向かう「なは」に乗ったことがあるのだが、それのソロ個室とよく似ている。
部屋へと入る。今日の部屋は、車端部の2階部屋だ。
…って、狭っ!!!!!
狭い…これは狭いぞ!!
「なは」のソロも相当に狭かった記憶があるが、これはそれより更に狭い気がする。それになんだか、「なは」のよりもちょっと貧相だ。造りはほぼ似た様な感じなのだが、照明だとか窓枠だとか、そんな細かい部分の造作が簡略化されている様に思える。
まあ、「狭い狭い」と文句を言っていても仕方が無いので、とりあえず部屋に入る。しかしこれだけ狭いと、どこにどうやって荷物を置いて、自分の居場所をどう確保するか…それを考えるだけでも一苦労だ(笑)
まあ何とか荷物を仕舞いこみ、早々に浴衣へ着替えたところで車掌がやって来たので改札を済ませる。そしてやること全て終えれば、もう後はお待ちかね!! 寝台列車の楽しみと言えばコレの酒タイム!!!
酒は日本酒。前日にあらかじめ某デパートで買っておいたもの。言うまでもなく純米酒。と言うか純米大吟醸。「磨き三割九分」とある。吟醸酒独特の香り高く、それでいて吟醸酒にありがちな香り一辺倒で味が貧相になってしまっていることは決して無く、米由来のしっかりとした旨味とコクがあり、なかなか…と言うか非常に良い酒だ。
駅弁は、「北海味メッセ」。1700円もした(笑) が、さすがにその値段だけあってかなりの豪華版。ウニやカニを載せたご飯を中心に様々な海の幸が散りばめられている。個人的には「かすべ」の唐揚げが入っていたことに感動。この「かすべ」と言うのはエイに近い種類の魚で、以前、仙台の「伊達路」と言う料理屋でその唐揚げを食べたことがあるのだが、その美味さには感嘆すら覚えた記憶がある。コリコリとした軟骨の歯ざわりと、身の部分のホクホクした感触と、その味のコントラストがたまらないのだ。この弁当のかすべ唐揚げは、「伊達路」のそれとは違い、当然冷めてしまっているから味は比べ様も無いが、それでもやはり美味いことに変わりは無かった。
弁当をつまみに日本酒をちびりと飲り、その後はビールに切り替えて飲み続ける。寝台列車の個室で独り飲む酒と言うのは本当にいいものだ。そして、この寝台で独り過ごす時間と言うのは、独特でなんとも言えない。夜の車窓を眺めながら独りぼんやりと物思いにふける。そんな時間がたまらなく好きだ。
もうこの頃には、部屋の狭さも全く気にならなくなっていた。むしろこの限られた空間が心地良くすら感じられる。…酔っ払ってどうでも良くなってきただけかもしれませんが(笑)
散々飲んで、寝たのは1時近かっただろうか。
**********************************************************************
翌朝、目を覚ますともう秋田県内に入っていた。一面は真っ白な雪景色。
そしてとにかく寒い。寝る前に部屋の暖房を切っていたのだが、そのせいか外の外気が直に伝わってきてとにかく冷える。慌てて暖房を入れ、朝食代わりに買っておいた菓子パンをほおばる。
秋田駅近辺では、曇天の寒空の中、雪が降りしきっていた。列車は東能代、大館と進んでいく。青森県に入る頃にはもう雪はすっかり止み、綺麗な晴れ間が広がってきた。
9時17分。弘前に到着。「あけぼの」とはここでお別れだ。
そしていよいよ、今回の青森旅行。本当の意味でのスタートだ!!


























